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2017年12月10日 (日)

アメリカ左翼は復活可能だろうか?

2017年12月7日
Paul Craig Roberts

読者の皆様: もし、このサイトが死んだら復活することはない。ご支援願いたい。

“必要な時に、左翼は一体どこにいるのか”というのは、私が折りにふれ呈してきた疑問だ。左翼と、アンティファとアィデンティティ政治を混同している読者の中には、私の疑問で混乱している方がおられる。一体なぜ、更なるアンティファ暴漢連中やアィデンティティ政治の白人憎悪を、私が望むのかと、彼らは問うてこられる。

アンティファとアィデンティティ政治は、左翼とは正反対のものだというのがお答えだ。本当の左翼は労働者階級を支持し、あらゆる労働者階級、あらゆる人種、性、性的嗜好を支持する。アィデンティティ政治は、労働者階級を白人異性愛男性による被害者に分裂させて、労働者階級の結束を破壊し、搾取する連中が搾取するのを容易にする。アンティファは、白人だけを人種差別だと非難し、白人に対する憎悪に集中することで、この過程を促進する。

“世界の労働者よ団結せよ。鎖以外に何も失うものはない”と言ったのはカール・マルクスだった。

アイデンティティ政治は“世界の労働者よ分裂せよ、被害者集団に分裂せよ、白人男性を憎悪せよだ。”言い換えれば、アイデンティティ政治は、労働者階級にとって、これまでで最悪の敵だ。資本家の搾取は労働者階級を団結させるが、アイデンティティ政治は労働者階級を分裂させ、資本家による搾取と、政治家による無視を容易にする。

左翼復活という私の呼びかけは、私がマルクス主義者であることを意味するのだろうか?

そうではない。アメリカ合州国が明らかにそうなっているように、拮抗力がなければ、経済-社会-政治体制のバランスが崩れてしまうというジョン・ケネス・ガルブレイスに私は同意しているということなのだ。短期間で、アメリカにおける収入と富の配分は、妥当なものから不当なものへと変わってしまった。労働階級と中流階級の賃金、給与や、雇用機会は悪化した。だが無責任な大企業による雇用の海外移転と、無責任な連邦準備金制度理事会による金融資産価格インフレのおかげで、1パーセントの所得と富は信じられないほどのレベルに至っている。ごくわずかな人々が、1億人のアメリカ人より多くの富を持っている。議会は、ごく少数の人々と、ごく少数の強力な既得権益団体にしか応えないので、民主主義は剥奪されているのだ。所得と富の分布がアメリカ史上最悪の時に、不平等を拡大するように作られた減税法案が議会を通った。(例えば、https://www.paulcraigroberts.org/2017/12/04/plunder-capitalism/ を参照) 悲惨な状況に対処するのではなく、アイデンティティ政治go after白人と、白人労働者階級によって選出されたとされることでトランプ大統領。

CounterPunchで、CounterPunchのラジオ・ホスト、エリック・ドレイツァーによる白人労働者階級“トランプの惨めな連中攻撃”を呼んで、CounterPunch創設者のアレクサンダー・コバーンは墓の中でのたうち回っているに違いないと思った。CounterPunchがアイデンティティ政治へと落ちぶれた後、労働者階級は、World Socialist Web Site以外に賛同者がいなくなってしまった。

アイデンティティ政治は、トランプ大統領に対する“ロシアゲート”攻撃で、軍安保複合体の隊列にリベラル-進歩派-左翼を、加わらせて、世界を核のハルマゲドンに追いやりかねない。私がご説明している通り、ロシアゲートの狙いは、トランプが核超大国ロシアとの関係を正常化し、ロシアに対する、無謀で無責任なアメリカ政府の行動によって高められた危険な緊張を緩和するのを阻止する。ワシントンによるロシアとロシア指導部の悪者扱いによる、世界の恐ろしい結果について、私は何度も説明してきた。(例えば、https://www.paulcraigroberts.org/2017/12/05/walking-into-armageddon/ を参照。)

昨日、CounterPunchで、マイケル・K・スミスによるアイデンティティ政治の実態に対する攻撃を読んで、アメリカ左翼の崩壊を巡る私の絶望はいささか軽くなった。団結を破壊して、労働者階級を破壊する卑劣な狙い。ここでスミスの記事が読める。https://www.counterpunch.org/2017/12/05/class-dismissed-identity-politics-without-the-identity/ これはアメリカ左翼を生き返させるCounterPunchの第一歩かも知れない。

強力で団結した労働者階級がなければ、大企業権力に拮抗するものは皆無だ。資本家の強欲、労働者階級の収入と消費者の購買力を破壊することで、自らを破壊する結果となる。更に強欲は、民営化されるか、略奪に解放されるべきだと要求して、守られてきた国定公園や北極野生生物国家保護区に今起きているように、公的資産攻撃に向かうだろう。

労働者階級が隅に追いやられてしまった後、現在、押し返されつつあるのは、環境保護運動の影響力だ。一握りの支配者集団のが社会体制をニュー・ディール以前の時代に押し戻しているので、次は社会保障とメディケアとなろう。拮抗力が無い中、資本主義アメリカを住みやすい社会にした改革の巻き戻しには限りがない。

これを防ぐため、アメリカ左翼の復活は、我々全員に関わり合いがあるのだ。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2017/12/07/can-american-left-resurrected/
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「拮抗力」という言葉、ガルブレイスは、著書『アメリカの資本主義』で使った。
『アメリカの資本主義』は手が届かなくとも、伊東光晴著『ガルブレイス』なら容易に手に入る新書。79ページ以降で「拮抗力」について書かれている。

hontoにも書評欄があるが、星一つの書評、「軽薄としか言いようがない」巨大ネット書店並の愚劣さ。

下記の伊東光晴著『ガルブレイス』書評をネットで拝読。まさに「労働組合是認論」
ガルブレイス -「労働組合是認論」(あるいは解雇規制)の経済学的根拠

「連合」なるもの、ガルブレイスの言う拮抗力とは無縁な「労働者階級を分裂させ、資本家による搾取と、政治家による無視を容易にする」組織だろう。

ノーベル平和賞、文学賞、ほとんど興味がなかったが、今年だけは別。

日刊IWJガイド・日曜版「本日授賞式!ノーベル平和賞受賞の『核兵器廃絶国際キャンペーン』が核兵器禁止の輪を広げるため『#YesICAN』キャンペーンを開始!/IWJファンドレイジング・イベント『TALK ABOUT DEMOCRACY ~波乱の2016★希望を探す2017』をカウントダウン配信!」2017.12.10日号~No.1913号~

奇怪な宮司殺害事件、聞いた瞬間、神社本庁や日本会議との関係を思い浮かべた。IWJのスクープに驚いた。

【スクープ!!】「30年にわたる富岡家の内紛の真相をお伝えします」〜富岡八幡宮殺傷事件で容疑者が残した手紙を会員限定で全文公開!「死後もこの世に残り、たたり続ける」込められた深い「怨念」 2017.12.10

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コメント

確かに、今の安倍一強独裁を見るれば、拮抗力というのは大事だと痛感します。

小泉純一郎が自民党をぶち壊してから、自民党は党内派閥という拮抗力を失い、自制が効かなくなりました。
野党にも、それを補うだけの力は今は皆無という有様です。
これも全ては国民自身の愚かさが招いた悲劇と言う他ありません。

ここのところ立て続けに安倍と何らかの関係がありそうな事件が頻発してますけれど、私は全く喜べません。
あの加計疑惑でさえ逃げ切る程の狡猾な安倍ですから、それに比べたら他の事件など屁でもないものに違いないからです。

何時ぞや、池上彰氏がテレビで日本会議と神社庁の関係や、これらと安倍政権の関係まで語っていたらしいですけど、世間一般は殆ど無反応でした。(無意味だと言っている訳ではありませんので誤解の無いように)
それ程までに、この国の民は愚民化、白雉化してしまっているのです。
それで毎度の選挙でも「自民党しかない」との思い込みから抜け出せずに投票してしまっている訳です。

スパコン事件もイザとなれば安倍は逃げ切るでしょうから、私は静観してます。

リニア不正入札疑惑については、あれはタイミング的に疑念があります。
リニアは、東京五輪と同様、安倍政権の目玉政策なので、それに係る事件は通常、検察はおろか特捜部も動かない筈です。
それが動いた。
これは異例な事です。

それは日欧EPAが妥結したと同時に発覚したというタイミングの良さにあります。
ここに私は強い違和感を抱くのです。

つまり、日欧EPAによって日本の公共事業に進出してくる欧州系ゼネコン企業への利益誘導という線がチラつくのです。
そうでもなければ、安倍友であるJR東海社長のイメージダウンともなりかねない事案であり、且つ税金も投入されている事案である事から、これに特捜部が首を突っ込む事を易々と許すとは思えないからです。
逆に言えば、安倍が本気で止めようと思えば簡単に止められる筈だからです。
何しろあの強姦魔山口のレイプ事件ですら、逮捕寸前で止められたのですから。

つまり安倍は、大林組を降ろしてでも、日欧EPAを妥結したかった。
そしてそれは成功したという事ではないかと私は思うのです。

安倍政権の本質は外資への利益誘導に集約されているのですが、様々な方面、特に軍事色が強いイメージがある為、多くの人は目晦ましされていて中々こうした視点を見逃しがちに思います。

日本の大企業も外資比率が高いですから、実質的に外資企業の様なものと見なければなりません。
よって、経団連も外資の様なもの、これに外資系の商工会団体やら、CSISなどのロビー活動によって清和会色の強くなった現自民党は動かされていると言っても過言ではないのです。
更にこれに官僚機構が加わり、そこから発せられる日米合同委員会との兼ね合いもあります。

そういう視点から見れば、安倍の悪政行動には何らの矛盾もない事に気づく事でしょう。


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