恐れられていた'テヘランからベイルートへのランドブリッジ'が実現する中、ナスラッラー、"ダーイシュとの共謀"のかどでアメリカを非難
Tyler Durden
2017年11月23日
ZeroHedge
過去十年間のワシントンのシリア政策は、いわゆる "シーア派の三日月" 、つまり連続した勢力圏の円弧で、テヘランを地中海と結ぶであろうイラン・ランドブリッジに対する恐怖に駆られてきた。イラクとシリアで事態が急速に進展する中、真っ先に挙げられるべ
きものに、ISISの敗北と、お互いの国境での、シリアとイラク国軍のつながりによって、ランドブリッジが今や近年の歴史上、初めて実現したことがある。
シリア政府を弱体化させる計画は、2000年代中期という早い時期に、ダマスカスが、2003年のイラク侵略後、アメリカに、"次はお前だ" と通知されて現れた。実際、2005年のインタビューで、CNNのクリスティアン・アマンプールが、撮影時に直接、アサドに彼が政権転覆の標的にされているのを伝えたことは、外交界で良く知られ、あけすけに語られている。彼女はこう言ったのだ。"大統領、アメリカ合州国から、政権転覆の言説が、あなたに向かっているのをご存じでしょうか。彼らは積極的に新たなシリア指導者を探しています。彼らはビザを与えられ、シリアの野党政治家を訪問しています。連中は外交的に、あなたを孤立化させ、更におそらくクーデターで、あなたの政権を崩壊させることを話し合っています。"
決して忘れるな。2005年。戦争の何年も前にアマンプールがアメリカがシリアで"クーデター'政権転覆" を企んでいるとあからさまに言っていた。pic.twitter.com/SlWWG8vv01
- Alan (@AFK_10) 2017年3月30日
現在の中東戦争を動かしている地政学は、シーモア・ハーシュが2007年に報じた通り、ブッシュ政権の下で立案され、始動されたのだ。
大多数がシーア派のイランを弱体化させるため、ブッシュ政権は、事実上、中東における優先順位の変更を決定した。レバノンでは政権が、イランに支援されているシーア派組織ヒズボラを弱体化させることを狙った秘密作戦で、スンナ派のサウジアラビア政府と協力していた。アメリカも、イランと、その同盟国シリアを狙った秘密作戦に参加していた。こうした活動の副産物が、イスラム教の戦闘的な解釈を奉じ、アメリカに敵対的で、アルカイダに親和的なスンナ派過激派集団支援だ。
しかし、2017年も終わろうとしている今、勝利しているのは、シリア-ヒズボラ-イラン同盟で、崩壊し、大混乱に陥っているのは、サウド家と、アメリカが支援する同盟のように見える。ハーシュが、2007年の昔に予言したことに一致して、アメリカは長年、"シーア派(イラクとイラン)拡張の戦略的深奥と見なされているシリア政権を孤立化させる"ため、シリア国内の聖戦戦士回廊を維持して来た。
今週、ヒズボラ議長のハッサン・ナスラッラーは、またしても、シリア国内で、ISISを支援しているかどで、アメリカ合州国と同盟国を非難した。最近のアブ・カマル奪取の戦いに関する月曜日にテレビ放映された発言で、ナスラッラーはこう述べた。“町をダーイシュから解放すべく戦っている部隊と直接交戦こそしないものの、アメリカはアブ・カマルでできる限りのことをして、ダーイシュを支援した。”さらに彼は、シリア東部で、ISISテロリストに上空掩護を行い、進撃するシリア軍からの連中の脱出を幇助したかどでアメリカを非難した。
だがナスラッラーが"ダーイシュ陰謀"と呼ぶものの背後にある真実は一体何だろう? 現在のシリア戦場の地政学と、ユーフラテス川東岸におけるアメリカ政策と権益は、現実にはアメリカ軍には、シリア軍に圧力をかけ、最近のBBCによる爆弾調査報道が裏付けているように、時にダーイシュの脱出を許すあらゆる動機がある。しかしアメリカの政策と戦略が展開している、こみいった内容を理解するには、今月起きた歴史的な "イラン・ランドブリッジ"実現の重要さを図解することが重要だ。
下記は、現在この地域の現場におり、紛争に関与している複数の高官をインタビューしたAl Rai Mediaの、中東を本拠とする主要な戦争特派員イライジャ・マグニエがものし、投稿した特電だ。
北東シリアのアメリカ緩衝地域とテヘランからベイルートへのランドブリッジ。地図出典: Stratfor
シリア軍と、その同盟が“シリア北東の町アブ・カマルの「イスラム国」”集団に勝利した後、1979年にイラン・イスラム共和国が宣言して以来、テヘラン、バグダッド、ダマスカスとベイルート間で、四カ国の首都とその国々の支配者にとって、安全で敵意のない道路が初めて開通した。
アメリカ合州国はテヘランとベイルートとの間の道路を、クルド部隊に半狂乱の競争を強いて、アブ・カマルで阻止しようとしたが、ワシントンはその狙いを実現し損ねた。
シリア軍は同盟部隊(レバノンのヒズボラ、イラン革命防衛隊とイラクのハラカト・アル・ヌジャバ)とともに都市を解放し、アルカイム検問所で、イラクとの国境を開いた。ISIS戦士は、イラクのアンバル砂漠と、アメリカ軍とクルド軍が活動しているユーフラテス川東岸に逃走した。
アメリカ合州国は、ユーフラテス川東岸で、新たな交戦規則を作り、アメリカは、いかなる地上軍(シリア軍と同盟者)も、ユーフラテス川東岸に入ることを認めず、たとえ地上軍の目的がISISを追うことであろうとも、川の東岸に近づくあらゆる標的をアメリカは爆撃するとロシア軍に伝えた。
かくしてアメリカは、それがユーフラテス川東岸のISIS部隊のためになり、テロリストに一種の保護を与えていることの否定に気遣いすることもなく、新たな宣言なしの飛行禁止空域を設定している。更に、アメリカが率いる国際同盟の対ISIS空爆も著しく減った。
#ナスラッラー: ダーイシュは#アブ・カマルを攻撃する部隊を砲撃する際にアメリカ無人機が提供する座標を利用していた。アメリカは、ダーイシュと戦っている勢力の無線周波数を妨害した。敗北後、アメリカはダーイシュ部隊の#シリア、ユーフラテス川東岸のSDF地域へ撤退する手助けをした pic.twitter.com/A4662IVEWG
- Walid (@walid970721) 2017年11月22日
このアメリカの警告で、ワシントンはシリア国内の占領軍駐留を宣言したが、特に連合軍の駐留が、以前発表されていたISISとの戦いとつながっているのは明らかだ。2014年7月以来、イラクで、そしてこの日時の前にシリアで占領していた全ての都市を、現在、ISISは失った。従ってアメリカ軍のレバント地域駐留には何の法的理由もない。
占領軍となることによって、アメリカ部隊の指揮下で活動していた代理のクルド人と共に、アメリカ部隊は、イラクで、そして、1982年、イスラエル侵略の際、レバノンで、同じ相手を攻撃している正体を現した。
二国の主権に関わることなので、イラク-シリア道路(アルカイム-アブ・カマル)をアメリカ合州国はもはや阻止することは出来ない。しかし、だからといって、テヘランがこの経路を、バグダッドとダマスカスを通ってレバノンのヒズボラに武器を送付するために利用することを意味しない。理由は二つある。第一に、イラクには主権があり、特にあらゆる都市でのISIS敗北後、イラク国軍が治安維持の責任を負うので、ハイダル・アル=アバーディ首相は、いかなるイラクの武装集団にも武器保持を認めていない。アバーディ首相の次の措置は、2018年までに、一番高い可能性として、5月の選挙後、イラクのあらゆる運動団体の武装解除だろう。消息筋によれば、イランとナジャフにあるシーア派の最高機関マルジャイヤは(および大半のイラク政党も)アバディがもう一期に再選されることを期待している。
ISIS殲滅に参加したものであろうとも、非国家主体に資金提供するために領土が利用されることを、イラクは認めるまい。アバーディ首相は、兵器がイラクを横断して、ヒズボラなど、イラク軍ともに戦った同盟者に送付されることも許すまい。彼は彼はアメリカ合州国や地域の国々に反対の立場ではないのだから。これはイラクの戦争ではないのだ。
第二に、テヘランとの海路と空路がシリア経由で通じており、そこからレバノンにつながっているので、ヒズボラには、テヘランからベイルートという陸路は不要だ。しかも特に、あり得るあらゆる将来のイスラエル戦争に対して、レバノン-シリア戦線が統合されたので、ヒズボラはレバノン内で、更なる兵器はもはや不要だ。
シリアについては、政治交渉へ道を切り開くための、困難で複雑な一連の交渉を開始する準備がロシアのソチで始まった。トルコ同様、シリア北部に極めて長期間居すわる意図を示して、アメリカ合州国が要求しているので、当然こうした交渉は困難だ。
この文脈で、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領は新憲法に備える準備ができており、作業は数ヶ月前に始まった。シリアと国際人権専門家と法律専門家が、様々な集団と、武装解除し、シリアの将来のための交渉に参加するよう無数の反ダマスカス政党を招くことを目指し、いかにしてシリア新憲法の基盤を確立するかを議論している。
唯一残されている問題は、Bilad al-Shamにいるアルカイダと、トルコ-シリア交渉の結果を待っているイドリブの何千人もの外人戦士だ。主に同盟相手が頻繁に変わるため、戦争は長く複雑だった。しかし、報復や貪欲な領土への欲望に由来する将来の戦争を避けるためには、平和構築も、それと同様に複雑だろう。
記事原文のurl:http://www.zerohedge.com/news/2017-11-23/nasrallah-accuses-us-daesh-conspiracy-feared-tehran-beirut-land-bridge-established
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内部からの必然性から憲法論議をするのと、外部からの、宗主国の指示で、砲弾の餌食として侵略戦争に参戦するため憲法を破壊するのとでは、雲泥の差。
国会討論、傀儡与党質疑、ほとんど聞いたことがない。野党という名の別動隊質疑も。
「大本営広報部生放送」に時間や電気代を費やすのは無駄。
『主権なき平和国家』を拝読しているが、腹が立ってなかなか進まない。
もちろん二人の筆者が悪いわけではない。描きだされる、余りに情けない属国状態。
同じ敗戦国のドイツも、イタリアも、はるかにましな地位協定へと改訂した。
宗主国さまさまと、金科玉条として異常な地位協定を奉じているのは日本だけ。
壊憲以前に、地位協定見直し。もちろん傀儡属国大本営広報部は触れない。
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