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2017年12月17日 (日)

トランプとネタニヤフとムハンマド・ビン・サルマーン: ネオリベラル世界秩序の破壊者たち

Federico PIERACCINI
2017年12月13日
Strategic Culture Foundation

ネオリベラル世界秩序は、もう何年も危機にあるが、回復の兆しは皆無だ。トランプ当選は、支配層エリートが、アメリカ国民の信頼を裏切っていることの現れだ。

最悪の状況。それが今の中東状況だ。この地域における次から次の出来事が、微妙な勢力の均衡の画期的変化に向かって動いているように見える。

ダマスカスと同盟軍による、シリアにおけるテロに対する勝利の後、中東における勢力の均衡は素早く変化した。モスクワの新たな役割が、イランに事実上、地域で活動するための無限の余地を保証している。シリアにおけるイラン新軍事基地は、ロシアとエジプト間のテロに対する協力での共通部分の構築合意に対応している。

この複雑な文脈の中、ドナルド・トランプは、この地域におけるアメリカ権益の破壊者として登場している。シリアにおけるクルド・シリア民主軍(SDF)とアメリカの協力を観察すると、アンカラとワシントン間のあらゆる問題の起源を見ることができる。かつては、オバマと国務省の中心的戦略でもあった政治的イスラム教徒(ムスリム同胞団)を、トルコは中東と北アフリカを不安定化する方法として利用してきた。今やトルコは、この三国によって与えられる役割で、同盟諸国間と、カタールのようなイスラム過激派を幇助している国々の間を、エルドアンが巧妙に活動するのが可能となる、モスクワと北京とテヘランという多極環境の方向に移行しつつある。

トルコは、この地域が、その上でなりたっている微妙なバランスの一例だ。モスクワは、あらゆる当事者にとって唯一の仲介者となり、彼らの誰とも悪い関係にあるようには見えない。サウジアラビアは、S-400システムをロシアから買おうとしている。ネタニヤフは、イランに対し、何らかの形で利用するため、モスクワに影響力を与えようとするよう強いられたが、ほとんど無駄だった。ムハンマド・ビン・サルマーン(MBS)は、トランプと彼の女婿による許可のおかげで、さらに歩を進め、サウジアラビアの有力者や投資家(クリントンとオバマに極めて近い)を何十人も逮捕し、イエメン人に対する虐殺を実行し、この地域のあらゆる場所のワッハーブ派イスラム主義テロリストに武器を与え、明白に効果のないことがわかっている疑似戦争で、カタールとのあらゆる関係を絶っている。

この抑えきれない混乱の中、アメリカ合州国に忠実な各党派の中でも、ネタニヤフは、争う余地のないレバノン領空から発射されたイスラエル・ミサイルが、シリアで撃墜されるのを目にすることになった。MBSは、彼の弟子ハリーリーに辞任を強いることさえできない。フーシ派を裏切り、見捨てた後、イエメンのサレハさえ殺害されてしまった。アブダビリヤドは自分たちの無分別な軍事的選択の結果に身近に直面し、自分たちが、フーシ派部隊から銃火を浴びつつあることに気がついている。イスラエルでは、ネタニヤフ政権は、汚職スキャンダルの海に溺れつつあり、街路の抗議行動参加者たちは彼の辞任を要求している。カラー革命は、ぐるり巡って飼い主の手を噛むのだろうか? 石油価格下落の結果、福祉が欠乏し、国庫は戦争で空になって一層悪化しているサウジアラビアでは、同様なシナリオを避けるため、MBSは彼の敵全員を逮捕し、略奪すると決めたのだ。トランプは、こうした行動の影響を気にしているようには見えず、アジアでは、習近平と、中東ではプーチンと、物事を最高レベルで調整している。

トランプは賢明な選択をして、世界覇権を実現するという不可能な目標を断念し、その代わり、国内問題の解決を狙っている。彼に投票した人々のために献身し、その目的で、2020年の再選を狙って、アメリカ経済を再起動させるため、同盟諸国から出来るだけ多くの金を搾り取ろうとしている。

この意味で、世界のある地域に対するトランプ政権の関心の欠如は象徴的だ。トランプとモディの相性は良さそうに見えるが、国境紛争で高まったインドと中国間の緊張は、解消したように見える。ネオコンが、ロシアと中国を分裂させるのに失敗した後、インドと中国間の国境を巡る緊張さえ、今や消えつつあるように見える。更に、ウクライナでは、殺人兵器をキエフに送るという決定さえ軽視されており、ウクライナは今やサアカシュヴィリが率いる(そう、またしても彼だ)反クーデターに直面している。非道な反ロシア政策という悪の大西洋主義態度の結果を直接体験して、ウクライナは混乱状態にある。

それ以外の世界の国々は、エルサレムをイスラエルの首都として認めるという類いの、ありとあらゆる決定が、何の合理的説明もなしになされるのを、戸惑いを強めながら見守っている。このシナリオで最も損害を受けるのは、当然アメリカ合州国と最も緊密な国々だ。イスラエルと、今やパレスチナの大義のために立ち上がらざるを得ないサウジアラビア(お金)の下に集まった全てのアラブ諸国だ。無能のせいであれ、立場をはっきりさせる上での戦略的無力さのせいであれ、なぜこうした決定がなされるのかは重要ではない。ドナルド・トランプとMBSとネタニヤフは、まさにこの地域と、世界が必要としていたものだった。一体なぜだろう? この三人は、連中の行動のおかげで、中東における抵抗の枢軸を再団結させ、地域におけるロシアの存在感を強化し、中国一帯一路構想への統合に焦点を合わせた再建のためのアジア資金に対する門戸を開いたからだ。この三人の名ばかりの頭目は、連中の無謀な判断のおかげで、完全な敗北への道を開いたのだ。

ブロックチェーンのような新技術や、金の重要性の再評価は、アメリカ・ドルから脱却し、多様化させるための避けることのできない競合をもたらす。アメリカの軍事力は危機にあるが、アメリカ・ドルは世界の主要準備通貨のままだ。敵を友に変え、同盟を強化するのに加え、モスクワと北京は、ドルによってもたらされる投機的バブルや、現実から完全に切り離された、全く架空の経済を作り出した中央銀行やあらゆる金融制度を弱めるため、本物の価値(金の裏付けのある通貨)に基づく新たな経済環境を作り出すことを狙っている。

トランプはアメリカ合州国に焦点をあてており、国際問題には無関心に見えるが、これは長期的な世界の安定に寄与する。一方、ロシア、トルコとイランは、世界的混乱の中心地域を統治するための新たな経済的、軍事的解決を試みている。エジプトと中国兵士が平和維持軍として働いており、紛争地域における協力は新たなレベルに達し得る。地域の紛争解決を加速し、新たな多極的世界秩序に軍事的に関与する国々の幅を広げているのも、もう一つのロシアの妙技のようだ。

プロパガンダに役立つマスコミが、偽りの人為的現実を描きだそうとしても、ネオリベラル-ネオコン体制の危機は明らかだ。主流マスコミが、悪のロシアが、アメリカ選挙に干渉しようとしたというおとぎ話を世界中の聴衆に売り込もうとする中、絶望感は強まる。それにもかかわらず、何の証拠も提示せずに、ロシアのオリンピック・チームを巻き込む、ドーピング疑惑という、新たな中傷的主張がなされている。RTに対する検閲のような連中のささやかな勝利が、古いネオリベラル世界秩序の真の悪を表している。

MBSとネタニヤフとトランプは、欧米と中東におけるあらゆる悪の代表だ。連中が生き残ろうとしてあがけばあがくほど、ネオリベラル・エリートの権益を一層損ない、連中の本当の大量虐殺という顔(イエメンやパレスチナでのように)を暴露したり、連中のあらゆる政治的な動きが、アメリカ合州国に都合が良いように意図されている(トランプの"アメリカ・ファースト"ドクトリンが、それを実にはっきり、あからさまに示している。)ことを公に認めたりするのにしか役立たない

ネオリベラル秩序は、主流マスコミが承知の上で行っている欺瞞を基盤にしている。連中は、出来事に対する特定の党派的見解にすべく、ニュースをぼかすのだ。そうした好戦的で非人間的な傾向に反対する人々は、MBSとトランプとネタニヤフという思いもよらないトリオが与えてくれた好機を活用しなければならない。ネオリベラルの偽善を一掃すれば、欧米の支配層エリートの残虐さを暴くのが容易になる。思いも寄らないこのトリオは、この戦争を商売にする世界秩序に反対するほとんど全ての勢力を団結させ、地理的に様々な地域で、同盟と友好を強固にするという予想もしなかった結果さえ実現してくれた。

北アフリカから中東、南米からアジアまで、ワシントンは、もはや、あらゆる決定を指示する唯一の発言者ではない。過去と違い、ワシントンは、もはや他国のために選択をするのではなく、軍事的、経済的な弱さが明らかになるのを避けるため、参加しないことを好んでいる。特にそれが、状況からそう強いられるのではなく、自由意思で行われるものとして喧伝される場合、世界の舞台からの撤退さえ戦略なのだ。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/12/13/trump-netanyahu-mohammad-bin-salman-destroyers-neoliberal-world-order.html
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IWJの米ジョンズ・ホプキンズ大学の北朝鮮分析サイト『38ノース』の全文仮訳を拝読した。大惨事を避けようとしている韓国大統領、それを推進しようとしているどこかの阿呆。岩波書店月刊誌『世界』1月号記事を思い出した。北朝鮮の標的として。
「ルポ・軍事列島 三沢 攻撃とミサイル防衛の最前線」。南の沖縄、北の青森。
同じ号には「名護の未来と辺野古新基地」という、稲嶺名護市長による記事もある。

三沢基地に関しては、十年前下記記事を翻訳したことがある。強化される一方の実態。
三沢のパイロット「最も功績ある飛行」の栄誉を受ける

孫崎享氏の今日のメルマガも愚劣な政治家を批判しておられる。
敵基地攻撃論の愚と無責任、「中谷元防衛相"必要あれば敵基地攻撃も",巡航ミサイル」北朝鮮は日本攻撃可能な中距離弾道ミサイル、ノドンを200-300発実戦配備。この内敵基地攻撃で幾つ破壊できるか。残りで日本に報復攻撃。

日刊IWJガイド・日曜版「米ジョンズ・ホプキンズ大学の北朝鮮分析サイト『38ノース』の全文仮訳を、公共性と緊急性に鑑みてフルオープンで公開!/昨日は岩上安身が『今治加計獣医学部問題を考える会』共同代表の黒川敦彦氏にインタビューをしました!民進党・無所属の会・原口一博衆院議員もFacebookのビデオ通話で登場!加計学園獣医学部の坪単価や施設設計の不自然な点をとことん掘り下げ!」2017.12.17日号~No.1920号~

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