シリアにおける中国の軍事関与の狙いと意味
Alex GORKA
2017年12月2日シリアにおける中国の軍事関与の狙いと意味
Alex GORKA
2017年12月2日
Strategic Culture Foundation
中国は、シリアでの訓練、助言と支援のため、軍隊を配備しつつある。11月24日に、シリアのブサイナ・シャーバン大統領顧問が中国の王毅外務大臣と会談した後、この決定がなされた。最近シリア北部に出現する、東トルキスタン(中国の新疆ウイグル自治区)からのイスラム戦士の人数が増加している。シリア政府は、約5,000人のウイグル出身戦士が、東南アジアやトルコを違法に通過して、シリアにやって来ていると主張している。ウイグル聖戦士の東トルキスタン・イスラム党(TIP)は、アルカイダとつながっている。中国聖戦士は、アルカイダとつながるテロ集団タハリール アル・シャームと共に戦っている。彼らは独立国家東トルキスタンを設立すべく、新疆の中国からの分離を要求している。
“シベリアの虎”や“夜の虎”として知られている中国部隊が間もなくシリアに派遣される。2015年の対テロ法で、テロ対策任務のため、中国治安部隊を外国に派遣することが可能になっている。2016年3月、中華人民共和国主席習近平は、新たな職務を設けた - シリア特使だ。イラン、エチオピアやアフリカ連合の大使をつとめたベテラン外交官解暁岩(解晓岩)が新たな職に任命された。
2016年4月、シリア軍に医療と土木分野の訓練を行う目的で、中国は300人の軍事顧問をダマスカスに派遣した。2016年8月、中国中央軍事委員会の中央军委国际军事合作办公室主任の関友飛(关友飞)少将が、シリアのファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣とダマスカスで会談した。訪問中、彼は捕らえられてシリア刑務所に入れられたウイグル戦士を追跡する仕組みを含む共同対テロ作戦の覚書に署名した。中国がシリア支援を強化する中、昨年シリア軍は幾つかの中国軍事代表団も受け入れた。
記者会見で、予定されている派遣について質問されて、中国外務省の耿爽報道官はこう述べた。"世界は平和な中東無しに、平和を実現できません。また対テロ活動から和平に至るまで、経済再建から社会変化に至るまで、地域は正念場にあります… 国連安全保障理事会常任理事国として、中国は中東の平和と安定性と発展に常に注目しています"。中国政府のシリア問題特使解暁岩がジュネーブでの和平交渉新ラウンドに参加する。
シリアにおける中国の経済利益はシリアとレバノン周辺の重要な戦略的地域を一帯一路プロジェクト(OBOR)とつなぐ2004年にまでさかのぼる。北京は、OBOR構想で説明されている、地域における中国貿易と投資のつながりを拡大するために大いに必要な安定性をもたらすシリア内戦終結に関心をもっている。計画によればインドも参加する、中東、カフカス、中央アジア、ロシアと北ヨーロッパを含む広大な地域統合の中心となるこの回廊の近くに、シリアはあります。今年3月、中国マスコミとのインタビューで、バッシャール・アル・アサド大統領は、中国訪問貿易代表団と、教育上のつながりの拡大を確認した。
シリア政府入札や再建の分野のみならず、二国間貿易協定を探し求める上でも、中国実業代表団は極めて積極的だ。中国とロシアは、国連でシリア政府を支持している。戦争にもかかわらず、中国石油天然気集団は、シリア最大の石油生産企業二社、シリア石油会社とアルフラット石油会社の株を保有しており、中国中化集団も様々なシリア油田におけるかなりの株を保有している。2015年12月、シリア政府と中国の巨大通信企業華為との間で、OBORの一環として、シリアの通信インフラを再建するための大型契約が締結された。
中国代表団は、2011年に紛争が開始して以来、最初のダマスカスでの国際貿易見本市に参加したと報じられている。中国当局は、シリア再建にむけた支援の20億ドルを約束した。レバノンでは、中国実業代表団とプロジェクト投資の数の増大はシリアとつながっている。更に中国民政部は、戦争で荒廃したシリアのための初めての支援と早期回復プロジェクトを承認した。
中国はシリアにおいて極めて重要な国となりうる。シリアにとっては戦後再建が必要で、中国は大いに貢献できる立場にある。安全保障理事会常任理事国として、和平調停における中国の役割は非常に重要だ。中国の参加により、和平プロセスは広範囲の国々が参加する本格的な国際的活動となり、欧米の役割が減少する。
紛争は下火となり、再建が表面化しつつある。膨大な経済資源を持った、シリア政府同盟国としての特別な立場ゆえに、中国の役割の重要性は増大しよう。3月、バッシャール・アサド大統領は、戦争が終わった後のシリア再建ということでは、イランとロシアと中国が優先されようと述べた。
中国とロシアが上海協力機構(SCO)と呼ばれるものの主要メンバーであることは注目すべきだ。イランはオブザーバーの地位にあるが、加盟国になるのが願いだ。この願望はロシアと中国に支持されている。国際経済制裁が解除されたので、可能性は現実のものとなっている。SCOは、主要加盟国あるいはパートナーとして、総計17カ国をまとめるもので、トルコ、イラン、インド、パキスタン、及び中央アジアの諸国をも含んでいる。これは巨大組織で、アメリカの影響力が及ばない対テロ活動組織だ。ロシアと中国とイランがシリア紛争を解決する取り組みに参加していることが、SCOが欧米に対する本格的拮抗勢力となりつつあり、中東における存在感と影響力が増している事実を反映している。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/12/02/analysis-aims-implications-china-military-involvement-syria.html
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実に個人的なことだが、忘年会の誘いがきた。自民と希望の支持者ばかりの、おさななじみから。排除され、誘われなくなったと安心していたのだが。敵もさるものひっかくもの。もちろん不参加。
一部の中国人名、全く読めないので、勝手ながら、日本の漢字でも表記させていただいた。
大本営広報部が、決して触れない、日米地位協定にまつわも、昨日の長大なIWJインタビュー、都合上、全編連続して聞けなかった。後日、ゆっくり拝聴したいと思う。
上記ガイドの中、昨日のインタビューに関する部分をコピーさせていただこう。
大本営広報部には全く期待しないが、相撲スキャンダルや、北朝鮮ミサイルではなく、この話題こそ、6時間でも、12時間でも、語り尽くすべきものだろう。
さて、昨日岩上さんは、『主権なき平和国家 地位協定の国際比較から見る日本の姿』(http://amzn.to/2Bv1wkP)の共著者である伊勢崎賢治氏と布施祐仁氏のおふたりにインタビューをしました。
沖縄で米兵による女性への暴行・殺人などの凶悪な事件や、米軍の輸送機墜落などの重大な事故が相次ぐのも、トランプ大統領が平然と横田基地から入国してくるのも、背景には「日米地位協定」の存在があります。
『主権なき平和国家』の中で伊勢崎氏と布施氏は、1960年以降、一度も改定されていない「日米地位協定」のもと、日本が他国の地位協定に比べて、ダントツに「主権不在」の状況に置かれていることを「軍事的な主権があるかどうかが国家の全てです。主権がなく、『緩衝国家』である場合、戦争になったら戦場になります」と指摘しました。
大国と大国の間に置かれた日本のような国を、伊勢崎氏は、「緩衝国家」と呼びます。開戦したら、その「主権なき緩衝国家」が戦場になるというのです。
11月29日には、北朝鮮がICBMの発射実験を行い「核戦力」の完成を宣言しました。一方の米国では、北朝鮮との対話を求めてきたティラーソン国務長官が更迭される可能性があると報じられ、対話路線の後退がくっきりとし、他方、「ロシアゲート」疑惑のかかるフリン前大統領補佐官がFBIに虚偽供述したことを認めるなど、トランプ政権の土台に激震が走っています。
窮地に陥るトランプ政権が、戦争どころではなくなるのか、逆に自らの疑惑を吹き飛ばすためにも血迷って先制攻撃に踏み切るか。後者の可能性も拭えません。「北の脅威」を煽り立てている安倍政権は、トランプ政権の決定にひたすら盲従する様子なので、日本が「戦場」となるかどうかはトランプ大統領の胸先三寸で決まるともいえます。これが「主権なき国家」の実相です。
本物の戦争を見てきた「紛争解決人」の伊勢崎氏と、日報問題を明るみに出し、稲田朋美元防衛相を辞任に追い込んだと言っても過言ではない布施氏へのインタビューは、6時間以上に及ぶ長編になりましたが、まだまだ終わらず、続編に。昨日のインタビューのアーカイブは、ただいま準備中ですので、しばらくお待ちください!
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