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2017年12月14日 (木)

フランスのマクロンとサウジアラビア皇太子の芸術的欺瞞

Finian CUNNINGHAM
2017年12月12日
Strategic Culture Foundation

フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、アブダビでルーブル美術館を開館した一週間後、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたとされる絵が、ニューヨークのオークションで、史上空前の508億円で落札された。

更に、買い手は、マクロンが親密な個人的関係を保っていると言われる、他ならぬサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子であることがわかったと報じられた。

500年前のルネッサンスの‘ サルバトール・ムンディ’ (‘世界の救世主’)と題するイエス・キリスト肖像画は、たぶんサウジアラビア王室からの長期貸し出しで、今後アブダビのルーブル別館で展示されることになろう。

これは、フランス大統領とサウジアラビア王位継承者が、文化と芸術を“ソフト・パワー”投射に、より無味乾燥な言い方をすれば、両国の国際的イメージをきれいに見せかける広報活動に利用しているというお話だ。温和な外交的仲介者というイメージで、マクロンがいかに、悪辣なフランスの中東内政介入をごまかしているかという話でもある。

アラブ首長国連邦の首都アブダビのルーブル美術館は、同名の著名パリ美術館の世界で唯一の公式別館だ。有名なルーブルの名称を使えるようにするため、フランスにUAEが、5億ドル以上支払ったと言われている10年をかけた建設の後、開館された。

フランスとUAEと両国と緊密に提携するサウジアラビア支配者は、特にサウジアラビア皇太子が、ルネッサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチによるこれまで世界で最も高価な絵画を購入したと報じられて以来、国際的威信を大いに高める恩恵を得た。ダ・ヴィンチのもう一つの著名な肖像画モナ・リザはパリのルーブルで展示されている。ここには、ある種整然とした対称がある。

しかしながら、古典美術といううわべの下には、下劣であさましい政治世界がある。

先週末、フランス大統領はパリでレバノンの国際支援集団と題する、レバノン首相サード・ハリーリーを主賓とする会議を主催した。マクロンはサミットで“外国列強がレバノン内政に干渉しないことが肝要だ”と結論を言ったと報じられているが、この発言の含意は、レバノン連合政府のメンバー、ヒズボラとのつながりを通した干渉の犯人として、イランを指し示しているのだ。

地域のどこかの国が、レバノン政治に臆面もなく干渉する罪をおかしているとすれば、それはサウジアラビアだというのが、ここでの皮肉だ。レバノンで、彼のスンナ派イスラムとつながる政治運動のスポンサーであるサウジアラビア支配者によってリヤドに召喚された後、11月4日にハリーリーは首相辞任を申し出た。突然の辞任を説明する際、ハリーリーは、劇的かつ挑発的にイランとヒズボラが彼の暗殺を画策していると非難した。

ハリーリーは、その後安全にレバノンに帰国し、先の首相辞任発表を撤回した。イランもヒズボラも、意図されている犯意という彼の主張を、ばかげていると否定した。ハリーリーは、特に最近のシリアでの軍事的勝利後、強硬派のスンナ派(ワッハーブ派)サウジアラビア支配者が“シーア派異端者”で、地域の大敵と見なしているイランとヒズボラを悪者として描き出すサウジアラビアの使い古された言説を伝えようとしているように見える。

ハリーリーが、サウジアラビア支配者に指示されたことを依然継続しているのは明白だ。先週パリ・サミット前に、彼はインタビューで、イランとヒズボラの同盟者であるバッシャール・アル・アサドのシリア政府は、彼に死んで欲しがっていると、パリ・マッチに語った。2005年、彼の父親ラフィクの暗殺にシリアが関与していたという根拠のない非難を彼は繰り返した。数日後、パリ・サミットは、ヒズボラと、その延長として、イランの地域への影響力は“分離されるべきだ”というハリーリーの要求を支持した。フランスのマクロンはこの要求を公式に支持した。

そこで、欺瞞の技術の話になる。アイラン、ヒズボラとシリアに対するサウジアラビの敵意が、フランス外交の詭弁によって、巧妙に隠蔽されているのだ。フランスのマクロン大統領と、ジャン=イヴ・ル・ドリアン外務大臣は、現実には、リヤドとパリこそ非難されるべきなのに、地域を不安定化していると双方を非難して、イランとヒズボラを悪者として描き出すサウジアラビアのたくらみに、巧妙に信憑性を与えている。

フランスの外交姿勢によって、ご立派な隠れ蓑を与えられているレバノンは、サウジアラビアによるそうした介入の一例に過ぎない。先月の辞任後、異様な二週間のリヤド滞在中、レバノンのキリスト教徒大統領ミシェル・アウンと多数のレバノン国民が、サウジアラビア支配者をハリーリー“誘拐”のかどで非難している中、ハリーリーを家族と共にパリ訪問するよう個人的に招待して、サウジアラビアによる介入から注目をすばやく逸らしたのはフランスのマクロンだった。このハリーリーのパリ招待で、11月18日、サウジアラビアは、レバノン政治家を強制的に拘留しているという主張から解放されたのだ。

サウジアラビア-フランスによる言語道断の介入のもう一つの例は、シリアだ。サウジアラビア、フランスや他のNATO同盟諸国によって、大半密かに支援されていた約七年間の戦争でシリアは荒廃させられた。この戦争は、ロシア、イランとヒズボラによる軍事介入で、ようやく終わろうとしている。

イエメンでは、サウジアラビア支配者は、膨大なアメリカとイギリスとフランスの兵器輸出によってあおられたほぼ三年間の戦争で、アラブ地域での最貧国を荒廃させた。 L’Observatoire des Armementsによれば、2014年末に、サウジアラビアが、その費用を負担するつもりだと言われていた、フランスがレバノンと調印した36億ドルの武器商談は、結局、イエメンでの戦争のため、サウジアラビアに転用されることになった。

フランス兵器は、何千人もの一般市民を標的にする複数の戦争犯罪で非難されているサウジアラビアの爆撃作戦を可能にしているクーガー兵員輸送ヘリコプター、ミラージュ戦闘機、無人機や空中給油機を含むと報じられている。フランス兵器には何百万人もの子供たちに飢餓と病をもたらしている、サウジアラビアによるイエメン海上封鎖実施に役立っている海軍のコルベット哨戒艦や巡視艇も含まれている。

サウジアラビア-フランスによる地域への犯罪的介入の規模を考えれば、この二国がイランとヒズボラ攻撃を狙った言説を推進しているのは滑稽だ。

だがこの偽ものが、無批判な欧米マスコミと、進歩派、リベラルの教養ある政治家というイメージを身につけたフランスのマクロン大統領によって信憑性を与えられているのだ。

11月8日、アブダビで、マクロンがルーブル美術館を開館した際に演説し“芸術の利点”は“憎悪の言説”を克服する治癒力の源泉だと賛美した。彼は、美術館は“美、普遍性、創造力、理性と友愛を擁護する”だろうと述べた。

この胸くその悪い身勝手さは、むしろ、もったいぶったフランス似非哲学のように聞こえる。A load of高遠に聞こえる御託兵器を輸出し、紛争をあおっている残虐なフランス国益の実態を隠し、何か素晴らしく優しく、開明的なものであるかのように見せる。

翌日、アブダビでの“感動的”演説の後、マクロンは予定外で、リヤドに飛び、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子と会談したと報じられている。これはレバノン首相サード・ハリーリーが、まだ彼の意思に反して、サウジアラビアの首都に留め置かれていた時のことだ。

一週間後、11月15日、ダ・ヴィンチの肖像画‘サルバトール・ムンディ’がニューヨークのクリスティーズ美術品競売で売りに出た。先週まで買い手は不明だったが、ニューヨーク・タイムズが、540億円もつぎ込んだのは皇太子MbSだったと報じた。こういう疑問が生じる。32歳という若さのサウジアラビア専制君主は、教養あるフランスの友人マクロンの助言で、多少の良い国際広報になるよう行動したのだろうか? 確かに画策の雰囲気は感じられる。

サウジアラビア王位継承者によるこの放漫な金遣いは、彼と共に支配している徒党が、賄賂と不正利得に対する厳重な取り締まりと称するもので、約200人のサウジアラビア王族連中を逮捕するという具合の悪い時期のものだ。気後れからか、サウジアラビア支配者は、後にMbSが買い手だというのを否定し、そうではなく、アブダビで、ルーブルの代理人として動いていた皇太子のいとこが、尊ばれている芸術作品を取得したと主張している。

ダ・ヴィンチの‘世界の救世主’の正確な買い手が誰かの真実が何であれ、いずれにせよ、フランス国家とサウジアラビア君主国が、イメージをきれいに見せかける身勝手な行為にふけっていることは明らかなように見える。両者は、高尚な文化と宗教的神聖さを、文明と善行のイメージを投影する手段として利用しているのだ。

特にマクロンは、サウジアラビア支配者のための洗練された広報代理人をつとめ、サウジの酷く汚れたイメージをきれいに見せかけている。引き換えに、マクロンが、儲かる将来のフランス兵器の対サウジアラビアと、対首長国への輸出を確保したのは確実だ。サウジアラビアは、フランス兵器産業の最大輸出市場なのだ。

フランスのサウジアラビアとの兵器取り引きは、イエメンやシリアにおける無辜の人々の虐殺に直接責任があるのだ。同時に、フランス外交の詭弁は、サウジアラビアによるレバノン内政破壊の隠蔽だ。ところが、サウジアラビアと、そのフランス広報大統領エマニュエル・マクロンは、地域への介入のかどで、イランとヒズボラを非難するあつかましさだ。

これはまさに“芸術の利点”だ。つまり欺瞞という芸術の。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/12/12/france-macron-and-saudi-prince-artful-deception.html
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ICANのノーベル賞受賞を歓迎できない、むき出しの傀儡属国。

部品が落下した保育園に電話やメールで中傷する連中が多数いるという。そして、小学校に部品落下。

主権なき平和国家』。地位協定を改訂する意思、傀儡政権、属国官僚には皆無。

IWJ岩上氏による『主権なき平和国家』共著者 伊勢崎賢治氏・布施祐仁氏インタビュー -を拝聴したばかり。

そもそも、基地受け入れも、兵器取り引きも、世界各地における無辜の人々の虐殺に直接責任があるのだが。

憲法を改悪すれば、日本軍兵士が宗主国侵略戦争で、世界至るところで宗主国傭兵をつとめさせられることになる。傭兵サムライの国。

日刊IWJガイド「オスプレイ墜落から1年の日に、沖縄の普天間飛行場に隣接する小学校に米海兵隊CH53E大型輸送ヘリの窓が落下、小学生が軽傷!『日米地位協定』が変わらない限り、日本に主権はない!/東京新聞記者・望月衣塑子氏の講演動画をアップしました! IWJ会員限定での公開です!/本日は岩上安身のインタビューが2本立て!元TBS記者・山口敬之氏の『準強姦疑惑』を国会で追及した希望の党柚木道義議員と、『アベノミクスによろしく』著者・明石順平氏にインタビュー!」2017.12.14日号~No.1917号~

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