ロシアの外国メディア法を巡るアメリカとヨーロッパのばかげた偽善
Finian Cunningham
2017年11月28日
RT
これは余りにあつかましく偽善的で、ほとんど冗談だ。アメリカと欧州連合は、外国報道機関を規制するロシアの新メディア法を一斉に非難している。同時に、彼らはロシア報道機関を“外国代理人”として迫害する一方的権利を当然のものと思っている。
我々がする通りにでなく、我々が言う通りにせよというのがこの傲慢な物の考え方だ。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、先週末、新法案に署名し、法律として成立させた際、クレムリンは、アメリカが今月初めロシア国有放送局RTに、外国代理人として登録を強いた動きへの“相応する対応”措置だと説明した。
ロシアの新法のもとでは、アメリカ国内のRT子会社が、司法省によってそうするよう強いられたのと同じ形で、ロシア国内で活動する外国が資金提供するあらゆる報道機関が、財政とジャーナリズム活動の詳細を開示し、外国組織として登録するよう要求される可能性がある。
至急: ロシアの#プーチン‘外国代理人’メディア法修正に署名 https://t.co/88BEX2kPv8pic.twitter.com/OL3x2uWqtS
- RT (@RT_com) 2017年11月25日
どの欧米報道機関も、公式には、まだロシアの規制による影響を受けていないが、アメリカ政府国営のラジオ・フリー・ヨーロッパとボイス・オブ・アメリカが対象となる可能性があるという報道がある。ロシアの法律は、政府系と民営のメディアを区別していないように見える。アメリカのケーブルTV放送局CNNや、ドイツ国営のドイチェ・ヴェレも、新たなメディア登録法の下で組織として対象になる可能性があると報じられている。
更に読む: ロシア、ラジオ・フリー・ヨーロッパと、ボイス・オブ・アメリカに、外国代理人として認識される可能性を通知
アメリカとEUの性急な対応は、驚くべき二重思考をさらけ出している。
RFEとVOAの両方を管理しているアメリカ放送理事会のジョン・ランシング理事長は、声明で“このような措置を、アメリカの行動への相互主義だと表現するのは、現実のひどい歪曲だ。”と述べた。
マーヤ・コツィアンチッチEU広報官は、クレムリンの“法律はロシアの人権義務と誓約に違反している”と述べた。
彼女は更に、法律は“自由な独立したメディアと情報アクセスに対する更なる脅威”で “ロシア国内での自立した意見のための空間を縮小させる更なる企てだ”と述べた。
クレムリンが説明している通り、新法はロシアで活動している外国が所有するメディアにのみ適用される。ロシアを本拠とする報道機関には適用されない。だから、EUによる、この動きが“ロシア国内での自立した意見のための空間を縮小させる”という主張は実に薄弱に思える。
要は、この対応が明らかにしたのはアメリカとヨーロッパの全くの偽善と殊勝さだ。
ワシントンは自分にはRTを“外国代理人”として中傷し規制する権限があると考えているが、ロシアが同じ対応すると、そのような動きは、不当で“歪曲”だと非難される。
今月早々、欧州連合は、ロシア報道機関に“偽”というレッテル貼りをする任務を負うブリュッセルを本拠とするメディア監視機関に110万ユーロを拠出すると発表した。どういうわけか、こうした形の検閲や規制は許容されるものと思われているようだが、ロシアが、それに応じて対応すると、モスクワは“自由で独立したメディア を脅かし”“人権上の義務”を損なうと非難される。
そのような義務はワシントンやヨーロッパには適用されないのだろうか? どうやらそうではなさそうだ。
11月13日に、アメリカ司法省が、RTに、外国代理人として登録せよ、さもなければ刑事訴訟の目にあうぞと強要した際、国家安全保障担当のアメリカ合衆国司法長官代行デイナ・ジェイムズ・ベンテイは“アメリカ政府や国民に影響を与えるべく、外国当事者のために、誰がアメリカ合州国で活動しているのか知る権利がアメリカにはある”と述べた。
もしアメリカ人に、そのような情報を知る権利があるのなら、一体なぜロシア人には同じ権利がないのだろう?
アメリカ政府弁護士は、こうも言った。“司法省は、FARA[外国代理人登録法]の施行に全力で取り組んでおり、国籍にかかわらず、どの外国当事者のためであれ、規定されている活動を行っている、あらゆる組織による法律の順守を期待している。”
アメリカ政府はウソを言っているのではないにせよ、筋が通らない。この公的正当化が、一貫して本当に適用されるなら、BBCやフランス24、ドイチェ・ヴェレ、アル・ジャジーラや中国のCGTNなどの国営メディアは、一体なぜFARA下での登録を強いられないのだろう?
更に読む ‘外国代理人’をご紹介。アメリカのニュースを、アメリカ人のために報道している、アメリカ在住のアメリカ人
決定は言論の自由や、人々が情報にアクセスする権利の侵害に対する深刻な意味合いと無関係に、実に政治的、ご都合主義に、ロシアRTは恣意的に標的にされたのだ。
アメリカやEUや欧米のアムネスティー・インターナショナルなどの人権団体は、最初にワシントンが行った動きに対応するロシア法を巡って攻撃するが、アメリカが始めたことによるダメージに関しては、どうやら懸念は表明されていない。
アメリカでRTに対して課された当初の規制を巡る、欧米マスコミの沈黙も恥ずべきだ。ロシア報道機関排斥の話となると、言論の自由と報道の自由というリベラル価値観とされるものは、どうやら脅威に晒されないようだ。この矛盾が、欧米政界で広く見られる、みじめなロシア嫌いという考え方を例証している。ロシア・メディアは、はなから正当なものではないのだから、ロシア・メディアを検閲してもかまわないというのがこの偏見思考の主張なのだ。
こうした欧米のリベラル唱導者連中が認識し損ねているのは、“クレムリン・プロパガンダの代理人”だという偏向した主張の下でのRTと、概してロシア・メディアに対する忌むべき攻撃で、言論と情報の自由の原則そのものが攻撃されていることだ。
ロシアの外国メディア規制は、どこか正当性を欠き、相互的なものではないという思い上がりの底にあるのは、アメリカ諜報機関や様々な欧米政治家が主張する非難は正確で本当だという傲慢な考え方だ。
ロシア報道機関が昨年のアメリカ大統領選挙に“介入”したとされている。あるいはイギリスのテリーザ・メイ首相が今月初め主張したように、ロシア・メディアが欧米諸国に“不和の種を蒔こうと”しているというのだ。そのような見方は、“事実”を装う偏った意見に過ぎない。あるいは、言い方を変えれば“諜報情報”として飾り立てられたプロパガンダかつ、偽ニュースなのだ。
更に読む
グーグルによるRTの検索結果順位引き下げは、一種の検閲で、露骨なプロパガンダ 日本語訳 英語原文
ロシアの介入という人騒がせな主張を裏付ける証拠は一切提示されていない。ロシアと、その報道機関は、どういうわけか悪意あるものだという偏見とあてこすりに、連中は、もっぱら依存している。これは世界に核の相互確証破壊という恐ろしいものをもたらしたマッカーシー主義者の“赤狩り”時代の冷戦被害妄想を煽ったのと同類の全く純然たるロシア嫌悪だ。
欧米諸国の国民が益々認識しなければならなくなっているのは、民主的権利に対する本当の脅威は、ロシアや、そのメディアではない。民主的原則と法の支配を信奉すると言いながら、グーグルのような企業に、指定された情報源への“ランク引き下げ”を思い通りに課すことを認め、実際は代替メディアやインターネットの自由を検閲している欧米政府こそ危険だということだ。
RTのようなロシア・メディアは、事実上、ワシントンとヨーロッパ同盟諸国の刑事責任を暴露する、シリアやイエメンの戦争などの重要な国際的出来事に対する立派な別の視点となっている。
これこそが本当の不和の種だ。欧米の自称王様連中が裸であることをロシア・メディアが暴露したのだ。なにもかもさらけ出した裸を。
まさにこの“破戒”ゆえに、ロシア・メディアには即座に猿ぐつわをかませなければならないのだ。
だが、そうすることにより、欧米諸国、そのマスコミ、人権運動家は、自らのむき出しの偽善と偽りの大義名分を更にさらけ出すばかりだ。
本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。20年以上、ミラーや、アイリッシュ・タイムズや、インデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は編集者、著者として働いた。
記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/411209-russia-foreign-agent-threat-eu/
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全く試合放送も見たことがないのに、翻訳をしながら、たまたま抽選会を見てしまった。
数日前、ロシアで外国マスコミ規制法が導入されたのは、プーチン大統領が自分の選挙を有利にするためだ、といわんばかりの大本営広報部呆導を見た後の、この記事。
大本営広報部、そもそも宗主国司法省によるRT迫害を報じたことがあるのだろうか?
考えるべきテーマ、大相撲暴力と北朝鮮ミサイルだけの大本営広報部。だが、そうすることにより、日本を含む諸国、そのマスコミは、自らのむき出しの偽善と偽りの大義名分を更にさらけ出すばかりだ。
忖度しない貴乃花、追放されるのだろうか?
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