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2017年11月15日 (水)

サウジアラビアでのムハンマド・ビン・サルマーンの粛正はより大きなものの前兆

Abdel Bari Atwan
Raialyoum 2017年11月10日

我々の地域は戦争の瀬戸際にある。レバノン首相サード・アル-ハリリの辞任や、サウジアラビアでの王子や元閣僚たちの拘留のような些事で、全体像や舞台裏で起きている本当の進展から、目をそらされてはならない。本当に危険な段階は、サウジアラビア国内戦線におけるムハンマド・ビン・サルマーン皇太子の粛清の後にくるものだ。誇張でなしに、現代史上で最も破壊的な戦争となりかねない地域戦争のシナリオの前兆の可能性がある。

現在起きていること全てが、入念に計画され仕組まれた策略の一環で、アメリカや、地域およびイスラエルによる支援を得て‘シーア派’イランと、イエメン、レバノンとイラク内のその代理人の増大しつつある勢力に対して、‘アラブ民族主義者’を装ってしかけられる宗派戦争の前兆なのだ。

かつてのサウジアラビアは、もはやない。ワッハーブ主義は息を引き取りつつあり、半ば埋葬されていて、歴史の一コマとなる過程にある。現代風を装い異なる同盟に基づく、第四サウジアラビア国が誕生しつつあるのだ。

創始者気取りの時の人、ムハンマド・ビン・サルマーンは、イランがイエメンの派閥にミサイルを提供したと主張し、サウジアラビアに対し‘戦争行為を意味する直接軍事攻撃’をしかけたと、イランを非難しており、彼の姿勢をアメリカが是認し、支持しており、地域において、アメリカが率いる新たな同盟が姿を現しつつあるのは明らかだ。

汚職との戦いという旗印の下、11人の王子と多数の実業家と元高官の拘留を含むムハンマド・ビン・サルマーンの国内粛清は第一段階に過ぎない。これまでの所、いかなる深刻な障害に出くわすことなく、円滑に進んでいるように見える。

今や皇太子は、国家権力の四本柱 - 経済、治安と軍部隊、マスコミと、宗教支配層(公式な聖職者最高評議会と、非公式なサフワ(覚醒者)聖職者の両方)を - 完全に彼の支配下においた。彼は敵全員、そして、彼の支配に対し何らかの批判をするあらゆる人々を投獄した(あるいは、王子たちや他の高位の連中の場合は、当面、豪華なホテルに監禁している)。我々が直面しているのは、進路にはだかるあらゆるものをぺちゃんこるするブルドーザーに直面しているので、最新の拘留が最後のものである可能性は低い。

やがて、ムハンマド・ビン・サルマーンは、我々が、より深刻な第二段階と考えているもの、つまり軍事的対立へと進むはずだ。

それには下記の措置が含まれる可能性がある。

    - 一番目、イラン・ミサイルがフーシ派の手に渡るのを防ぐという口実で、イエメンに対して陸路、空路、海路の壊滅的な完全封鎖による包囲を背景にしてのイランとの軍事的対立の促進。

    - 二番目、1990年に、イラク軍をクウェートから追い出すため結成された「砂漠の嵐」同盟の線に沿った新たな同盟の形成。サウジアラビアとUAEに更に加えるメンバーの候補者には、UAE、ヨルダン、エジプト、スーダンとモロッコがある。(モロッコ国王は、偶然UAEの首都アブダビにいるが、最近の拘留を巡って、サウジアラビアとの仲介を狙ったものと報じられている。しかし、信頼できる情報源によれば、彼はリヤドから、サウジアラビア内で起きていることに干渉するなという明確なメッセージを送られている。)

    - 三番目、レバノン爆撃とインフラの破壊onヒズボラを壊滅させるための口実。そのような攻撃は、ヒズボラを、集中的ミサイル攻撃による対イスラエル報復に駆り立て、イランとシリアを巻き込む可能性が非常に高い。

    - 四番目、カタールに配備された総勢30,000人のトルコ軍との衝突を引き起こす、カタール政権打倒を狙ったエジプトと首長国とサウジアラビア軍による侵略。

    - 五番目、アメリカと、その同盟者たる反政府代理勢力が失ったアレッポ、ホムスやデリゾールなどの地域の奪還を狙ったシリアでのアメリカ-サウジアラビア-イスラエルによる反撃。アメリカは、たとえロシアと衝突するリスクをおかしても、ロシアとイランによるシリアでの敗北に容易に我慢できないのだ。アメリカはモスクワが呼びかけたソチでのシリア国家対話会議を、シリア反政府派にボイコットさせて意図的に頓挫させた。

    - 六番目、イラン、トルコとイラクを弱体化し、不安定化する狙いで、これらの戦争で、アメリカの代理勢力としての北イラクとシリアのクルド民兵動員。

これらは、連中が自らを何と呼ぼうと、アメリカが率いる新たな同盟が行う可能性のある最も明白な措置の例に過ぎない。

だが、こうしたもののどれ一つとして、その目的達成、狙った仕様通りの地域再編が成功する保証はない。

これに対抗するシナリオとして、ロシアがもともと共感するはずのイラン-シリア-トルコ-イラク同盟が強化し、最終的に、そちらが優勢になる可能性もある。これらの国々をあわせれば、恐るべき数のミサイル備蓄があり、その大半が、サウジアラビア、UAEとイスラエルを標的にするはずだ。同時に発射される何千発ものミサイルによる集中攻撃には、標的にされた国々にある、大いに喧伝されているアメリカ製パトリオット防空用地対空ミサイルシステムも役に立つまい。

この予想される、たぶん差し迫っている地域戦争の成功指標は、イランの破壊、カタールでの政権転覆と、ヒズボラの根絶だ。しかし、これに失敗すれば、サウジアラビアとイスラエルとUAEにとっての荒廃と、サウジアラビア王国が木っ端みじんになることを意味しよう。

我々は占い師でも易者でもない。とはいえ、これは、状況、国境、そして、おそらくは住民をも変え、地域を変貌させる最後の戦争になる可能性がある。アラブとイランは、そのような大変動にも確実に生き延びるだろう。しかし、現状の姿のイスラエルも生き延びられるだろうか?

記事原文のurl:http://www.raialyoum.com/?p=775943
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二横綱同時引退説をタブロイド紙の見出しで見て驚いたが、別の「引退」が迫っているとは想像できなかった。

緑のタヌキ一派、見事に野党分裂に成功し、与党勝利を実現した後は、憲法破壊推進がお仕事。全て想定内だろう。

孫崎享氏のメルマガ題名

「希望の党」最早、解党への運命だろう。衆院選で「安倍1強を倒す」と訴え選挙後「改革保守政党」(長島昭久氏命名)に誰が投票するのか。政党支持立憲民主9.6%、希望の党3.2%。今後九条改憲に動きますます支持を減らす。

そして日刊IWJガイド

「小池百合子氏が希望の党の共同代表を辞任! にもかかわらず、希望の党の『極右・歴史修正主義』の姿がますますあらわに!!/疑惑山積の加計学園・獣医学部を林芳正文科相が『認可』判断! 国会審議は行われないまま、2018年4月開学へ/『武装難民、射殺か』麻生太郎副総理発言を安倍政権が『問題意識を喚起する趣旨』と閣議決定! 殺人煽動発言も問題ないことに!?」2017.11.15日号~No.1888号~

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