シリア、ロシアとイランは外交に移行、一方アメリカと同盟諸国は戦争を推進
Finian Cunningham
2017年11月21日
シリア和平交渉の週、イランとトルコの指導者も集まるソチで、アサド大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に歓迎された。おそらく、ふさわしいのだが、アメリカは、シリア和平のための新たな努力に何の提案もできずにいる。
プーチンは、ISIS (ダーイシュ、「イスラム国」)やシリア内他のテロ集団の打破は事実上達成されたので、紛争の当事者は、平和を勝ち取るための政治的手段を補強しなければならないと述べた。ロシア黒海のリゾート地、ソチでの交渉は、シリアの主権当局として、バッシャール・アサド大統領と彼のダマスカス政権を承認した先のジュネーブ合意を強化するのは重要だ。
ワシントンとヨーロッパの同盟諸国によるアサド“辞任”要求は、とうの昔に期限が切れた。この無効状態は、政権転覆を狙った、シリアでのほぼ七年間秘密の戦争、あるいは、少なくとも、欧米が支援する代理過激集団を装った秘密の戦争が敗れたことの暗黙の承認だ。
今週、ソチでの和平交渉に、アメリカとヨーロッパ高官が欠席していることが、シリア戦争における連中の悪質な役割について、実に多くを物語っている。
シリア、ロシア、イランとトルコが和平交渉を刷新しようと尽力する中、ペンタゴンのジェームズ・マティス長官が先週、アメリカ軍はシリア領に更に腰を据えるつもりだと述べたのことは重要だ。
テロ集団の崩壊にもかかわらず、シリアからの撤退をアメリカ軍がいやがっているのは、一環地域におけるアメリカ軍事的存在の復興と見るのが一番当たっているだろう。トランプ大統領の下 - 彼の選挙運動公約にもかかわらず - アフガニスタンやイラクで、アメリカ軍のレベルは大幅に強化された。シリアへの配備は地域における強化というこのパターンに合致する。
地域におけるアメリカ軍勢力レベルの強化は、サウジアラビアとイスラエルがイランとレバノンに対する敵意を強めている不吉な兆しも強調している。
テロ集団が駆逐されつつあるにもかかわらず、先週、ジェームズ・マティス国防長官は、アメリカ軍はシリアに留まるつもりだと述べた。アメリカ軍のシリア駐留は、国連の法的委託を受けているというマティスの主張は、ロシアとシリアによって、国際法の曲解だとかたづけられた。
だが、たとえマティスの間違った論法によっても、彼の主張はおぼつかない。もしアメリカ軍が、主張通り、テロリストを打ち破るため、シリアに駐留するよう委託されていても、テロリスト連中がほとんど打ち負かされたのを考えると、そこに駐留しているのは一体なぜだろう?
アメリカ軍の新たな目標は“ISIS 2.0”の出現を防ぐことだとマティスは述べた。アメリカはISISに対する戦いはほとんど行わず、実際は、BBCでさえ報じた通り、危険な状況からの司令官連中のヘリコプター空輸を含め:過激派戦士に安全な通行を保障した事実にもかかわらず。
アメリカと、NATOと、地域の傀儡政権によって、秘かに武器を与えられ、資金を供与されていたテロ集団を撃退するあらゆる力仕事をしたのは、シリア・アラブ軍、ロシア、イランとヒズボラだった。ISIS、ヌスラ戦線や、他のあらゆる略語だらけのテロ集団は、シリア政府や ロシアが既に指摘している通り、実際には、外国による侵略に当たる駐留にあたる、戦闘機や特殊部隊のアメリカによるシリア配備の口実に過ぎない。
今マティスが、シリアでISISを打ち破ったのはアメリカだったと主張し、アメリカの手先が、ISIS 2.0として再登場する亡霊を警告しているのは、シリア領土占領を継続するための口実だ。アメリカの手頃なまぼろしの敵は、二度も役立ってくれる。これはis toアメリカのシリア干渉を“正当化”するためだ。そして今度は、テロリストに対する本当の勝者、シリア、ロシアとイランが、シリアを非武装化しようとしている時期に、アメリカ軍のシリア駐留を正当化するために。
'#シリアに‘革命’など決してなかった、外部諸大国によってあらかじめ計画された戦争だ' (Op-Ed by @EvaKBartlett) https://t.co/ISNJAQEnVS
- RT (@RT_com) 2017年11月3日
国民に見えないところで、アメリカ軍はシリア、アフガニスタンやイラクで駐留を拡大している。Politicoはこれを“公式な見え透いた言い訳”と呼んでいる。トランプ政権とペンタゴンは、アメリカ人の意向に背き、中東全域に更に数千人の軍隊を配備しようとしているのだ。
ワシントンにとって大変不快なことに、先週、アメリカがシリアに13の軍事基地を擁していることをトルコが暴露した。ロシアは、過去二年間、ISISや他のテロリスト・ネットワークを打ち破る上で、ずっと大きな軍事的影響を持ってきたにもかかわらず、ロシア、明らかに、わずか五つの基地しかない。
最大の米軍基地の一つは、北部の都市ラッカから約140キロ、コバニ近くにある。これが、先マティスがアメリカ軍は腰をすえるつもりだと言った際に、言及していた場所であることは確実だ。
コバニのアメリカ空軍基地は、極めて限定されたわずかな機種の航空機しか受け入れられない素朴な飛行場から、最大の兵員輸送、貨物輸送機を含む、ペンタゴン航空隊の“どの種の機体でも”着陸できるものへと、昨年以来、劇的に強化されている。
コバニのアメリカ軍基地は、北イラクのカッヤラ・ウエストから、ラッカの北、タブカ・ダムを結ぶ一連の新たな飛行場の一環でもある。
ペンタゴンのForce Management Level政策の下で、公式にはシリアには、わずか500人の兵士しかいないことになっている。アフガニスタンやイラクでと同様、実際の人数は、公式に認められているものより遥かに多いと考えられている。
インチキ計算の大半は、ペンタゴンが相手国に120日以下しか駐留しない部隊を数に入れないことから起きている。こうした部隊は橋梁、道路や滑走路建設を任務とするエンジニアや兵士だ。
これは、アメリカとNATO軍が、バルト海と黒海地域で、“交替制駐留”の範疇の兵士、戦闘機や艦船を恣意的に数に入れないことで、部隊態勢を過小評価しているのと、そっくりだ。しかし十分頻繁に交替すれば、部隊態勢は実質的に恒久的となり、実際には、公式に認められているよりずっと多い。
アメリカの代理勢力が“ISIS 2.0”として再来することがないようにする(何というあつかましさ!)ことに加え、現地アメリカ軍の拡張は、11月28日に再開するジュネーブ和平交渉が、“影響力”を得られるようにするためだとマティスは述べた。
“我々は、ジュネーブ・プロセスが影響力を持つ前に、今すぐ立ち去るつもりはない”先週イギリス国防大臣とのロンドンでの会談で滞在中にとマティスは述べた。
これが示唆しているのは、ワシントンがシリア領土の違法軍事占領を、政治プロセスに影響を与える手段として利用しているということだ。シリア領土に無理やり居すわることで、ワシントンは、アサド政府が、アメリカの辞任要求に折れるか、新憲法を制定して、敗北した反政府派に、より発言権を与えるかするのではと、おそらく計算しているのだ。
もし、アメリカが、シリアにおける政治プロセスに本気で貢献するつもりなら、次のジュネーブ ・サミットに備えて、ロシアが仲介した今週ソチでの交渉に弾みをつけるべく、なぜアメリカ外交官たちが参加していないのだろう?
しかし、一層不吉なのは、地域全体でのアメリカ軍強化という状況だ - ほとんど秘密で、アメリカ国民に知られずに。ワシントンの傀儡政権、サウジアラビアとイスラエルが、直接、あるいは、レバノンとイエメン経由で、イランとの対決を推進しており、シリアでの軍事駐留拡張は、戦争は終結から程遠いことを示している。逆にこれは、更に壊滅的な地域戦争の前兆かも知れない。
Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で、作詩作曲家でもあるミラーや、アイリッシュ・タイムズや、インデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は20年以上、編集者、著者として働いた。
本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/410530-syria-russia-iran-war-isis/
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予定通り、ソチでプーチン、エルドアン、ローハニの各大統領が会い、シリアでの主要な戦闘部分は終わり、あとは政治決着だという形を見せつけた。
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本文とは関係ないコメント失礼します。
山田正彦さんのブログを読んでおられる方やフェイスブックでフォローしておられる方は既にご存知とは思いますが、山田先生はツィッターが凍結されていますので、代わりに貼らせてくださいませ。
(手抜きですけど、私の見解はまた後程書きますので取り急ぎ宜しくお願いします。)
大変なことになります。
お願いです。是非、シエア拡散して頂けませんか。
こんなに早く種子法廃止に伴う運用規則までが廃止されるとは思ってもいませんでした。
そのために参議院で付帯決議を付けて種子法が廃止されても、都道府県の優良品種の奨励制度等は残り、予算を確保できるつもりでしたが。
実は近く「農水省から種子について大事な通達がある」との噂があったので連絡していたら今日、私のところに農水省次官による通知が届いたのです。
そこには明確に「運用基本要綱、種子制度の運用、1代雑種審査基準の審査、指定種苗の運用は廃止する。以上命により通知する」と有ります。
種子法廃止後の都道府県の役割についても「これ迄実施してきた稲、麦、大豆の種子に関する業務の全てを直ちに取り止めることを求めるものではない」と有ります。
都道府県によっては、暫く続けてもいいが、国の予算措置は厳しいぞと言わんばかりです。
しかも「民間業者による種子(日本モンサントのとねのめぐみ、三井化学のみつひかり等)の生産、参入が進む迄の間は、原種等を維持して、それを民間業者に提供する役割を担う」と。
これで、公共の種子として農家に安く提供されてきたコシヒカリ等の多様な固定種はなくなり、モンサント等の民間の数種に絞られることに。(農競強化法8条4項)
政府は農競力支援法の8条3項の独立行政法人(農研)、都道府県の種子の知見を民間に提供するとあるのはモンサント等外資にも適用すると答弁しています。
農研は国の予算だけで、毎年2千億が投じられ既に遺伝子組み換えのコメの種子WRKY45等が試験栽培されています。
その蓄積された知見が全てモンサント等に提供されることになります。既に9月から研究職員が民間に出向しています。
そうなれば、日本も三井化学のみつひかりのようにF1の種子だけでなく、遺伝子組み換えのコメを食べざるを得なくなるのでは。
米国、カナダ、豪国等は主要農産物は州立の農業試験場等で栽培された安全で、安価な公共の種子なのに残念です。
投稿: びいとるさいとう | 2017年11月23日 (木) 18時43分
「大航海時代以後、今ほど欧米世界が狭くなった時期はなかった?」
いつも示唆に富んだ良い記事をご紹介いただきありがとうございます。
私も、アサド大統領とプーチン大統領の抱擁の写真を感慨深く眺めた一人です。ともかくシリアは踏みとどまりました。アサド大統領はフセイン、カダフィに続く生贄の役が役不足であることを証明しました。それを可能にしたのはイラン、ロシアとの堅い絆。地政学的な要諦であるシリアを欧米側に奪われなかったことはイラン、ロシアにとっても勝利に違いありません。国民の高い支持を受け続けこの戦乱を生き抜いたアサド政権はこれから国内の安定化に邁進しなければなりません。それがこの戦乱の中で支持し続けてくれたシリア国民に対する責務です。
そのためにはアメリカをシリアから追い出さなければいけませんが、それがどれほど困難なことかは私たち日本国民がよく知っています。なによりシリアは近隣諸国の様々な軍事的緊張の中でヤジロベエのように左右に大きく振れながらも、綱渡りをするピエロようにその細い綱の上に踏みとどまり続けなければなりません。平和とは決して停止した状態ではありません。激しく動き続ける中での見かけの静止状態なのです。たまたま釣り合っている、そんな不安定な状態こそが平和なのです。だから平和を維持すること、平和を取り戻すことはそれを失うよりもはるかに大きなエネルギーと忍耐が必要なのです。
横暴なる超大国の国防長官がISを撃退したのはアメリカだと主張しているそうですね。誰の目にもロシア、イラン、そして最終局面で参画したトルコの貢献であるように見えます。それでも(アルカイダ、ISを支援した)アメリカがその手柄を厚顔無恥にも横取りしようとしています。
その心は「国際政治はつまるところ国内問題なのだ」ということです。アメリカ国民からの支持を得続けるため、国民に自分たちが正義で勝利者であることを絶えず宣伝しなければなりません。国際的に影響力を持つ国家及びその政権も自国内の支持を得ずにはその影響力を行使し続けることは出来ません。国際政治を主導する指導者たちは各々自国民の代表として選出されなければならないからです。形なりの選挙、形なりの支持率。それらは彼らに必要なのです。ISの戦いもアメリカ国民にとってはアメリカ軍の勝利でなければならず、それが事実でなかったとしても宣伝によって新しい「真実」にすり替えれば良い。だから彼らは選挙、支持率や失業率に手を加えてもっともらしく装います。
嘘のためにさらに大きな嘘をついて自転車を漕ぎ続けなければいつか倒れて真実が明るみになるので、そうならないよう彼らも必死なのですよ。
つまり、こうも言えるでしょう。
大航海時代以後、今こそ最も世界が狭くなった時期はない。
その意味は、世界が一つに繋がって障壁が減ったのではなく、逆に分断された各々の国家の国内で新しい「真実」を垂れ流すマスメディアが耳目を集め、他国の出来事が遠い別の世界の話のように聞こえるよう管理されている、ということなのです。
投稿: 海坊主 | 2017年11月23日 (木) 18時06分