« 帝国の終焉 | トップページ | エリートには“何の威信も残されていない”ジャーナリスト、クリス・ヘッジズ・インタビュー »

2017年10月13日 (金)

カタルーニャ独立: マドリッドの難を逃れ、NATOの大難に陥るか?

2017年10月9日
Tony Cartalucci

スペインからの独立に関する最近のカタルーニャ住民投票を巡るあらゆるマスコミ報道は、マドリッド治安部隊の有権者に対する弾圧に焦点を当てている。だが、カタルーニャで進行中の独立実現への努力に関して、一体誰が率いていて、成功した場合、この地域にとっての計画は、一体どういうものなのかなど、触れられていないことも同様に重要だ。

カタルーニャは、シンガポールやスコットランドと同等か、やや上回る人口とGDPを擁し、スペインで最も繁栄している地域の一つだ。カタルーニャは何十年も、様々なレベルの自治を享受してきており - 世界中での多くのアメリカ-ヨーロッパによる“独立”プロジェクトとは異なり - 独立した、繁栄する主権国家としてたち現れる可能性が高い。

この事実だけで、多くの人々が、カタルーニャ独立を熱心に支持している。

本当の独立か、それともマドリッドから、ブリュッセルへと頼る相手を変えるだけか?

ところが、欧米マスコミや、マスコミが代理している既得権益組織が、カタルーニャ独立に無関心、あるいは反対のふりさえしようとしているにもかかわらず、欧米大企業-金融業界が資金提供するシンクタンクによる政策文書は、堅固な軍事能力と思われるものを、連中の世界侵略戦争に組み込もうとする、とりわけNATOによる強い期待を示している。

2014年にNATOシンクタンク、北大西洋理事会が発行した“スコットランドとカタルーニャ分離の軍事的意味”という文書にはこうある。

カタルーニャの人口は730万人で、3000億ドル以上のGDPを誇っている。このわずか、1.6%を国防に振り向けているだけで、年間45億ドル以上で、高く評価され、効率的な国軍を擁するデンマークの予算に近い。カタルーニャ軍の計画は、より曖昧だが、今の所、彼らは海軍を強調している。バルセロナとタラゴナに素晴らしい港を構えたカタルーニャは、‘地中海は、我々の戦略的環境で、NATOは我々の 枠組みだ’と防衛に関する民族派シンクタンクは主張しており、二級の海軍国としては良い位置にある。素案は、まずは数百人の水兵による沿岸治安部隊を要求している。数年後、地上配備の沿岸哨戒機と小型水上戦闘艦で、カタルーニャは“地中海における主要当事者”としての責任を負う。最終的には、民族主義者の野望は、集団安全保障において、本格的な役割を果たすため、小型攻撃空母の遠征軍と数百人の海兵隊をも保有する可能性がある。

北大西洋理事会記事は、独立を実現できた暁には、NATOに参加したいというカタルーニャの意図に触れている“集団的自衛における特化という貴重で新鮮な見解を示唆している”と連中が呼ぶカタルーニャ政策文書を引用している。

これまでに出されている少数の白書を正確に表現すれば、分離主義者の姿勢は、集団的自衛における特化という貴重で新鮮な見解を示唆している。比較的、陸上の出来事に影響を与えることに注力する海軍の構築だ。

これは、個人的に、自分の後継者現大統領カルラス・プッチダモンを選び、支持したアルトゥール・マス・ジャナラリター・デ・カタルーニャ(自治政府)元大統領を含む主要カタルーニャ政治家たち自身による曖昧な発言によって確認されている。

カタルーニャ首相、NATO加盟を確認し、集団的自衛を確約する”と題する2014年の記事で、当時の大統領アルトゥール・マスは、カタルーニャのNATO加盟計画をはっきり述べていた。

記事には、こうある。

アルトゥール・マス首相は、カタルーニャはNATO加盟を求めていると明言した。イタリア日刊紙ラ・レプブリカの最近のインタビューで、カタルーニャ州政府のアルトゥール・マス首相は、独立カタルーニャはNATOの中核になることを狙っていると述べた。これは国際社会、集団的自衛、国際法、海の法の支配の原則に対するカタルーニャの誓約と一致している。

アレックス・カルヴォとカタルーニャの海軍専門家ポル・モラスが書いた記事もこう主張している。

カタルーニャは、自由を求めるが、それに伴う逃れられない責任を避けることなく、パートナーや同盟国と協調して、責任を完全に果たす。カタルーニャ人は代償なしに、自由は得られないことを十分承知しており、独立というのは、外国による支配ではなく、人民の、人民による、人民のための政府を意味するが、彼らは、危機や難題が生じた際に、見て見ぬふりをすることは出来ないことも意味する。次のアフガニスタンが起きた際には、カタルーニャ人の血も流されることになるのを彼らは理解している。

2015年、フィナンシャル・タイムズは、“カタルーニャ大統領、離脱計画を強化”と題する記事で、元大統領アルトゥール・マスのこの発言を引用している。

最も微妙な課題は、将来のカタルーニャ軍“設計”準備だ。“国防は、こうした物の中で、最も機微なもので、カタルーニャ内で、これに関する合意はない”と、マスは述べた。“しかし、我が党と、私個人は、カタルーニャは、NATOの一部として残るべきだと考えている。また、NATO加盟国として、我々も義務を果たさなければならない . . . カタルーニャが、国防体制を持たないわけには行くまい。軽武装であるにせよ。”

独立派のカタルーニャ自治州議会によるものなどの政策文書は、既にカタルーニャを、加盟国として、NATOに統合する詳細を計画し始めており、具体的に、軍事力を国家自衛のためでなく、NATO内での“集団的自衛”に向けて編成することに焦点を当てている。

“カタルーニャ国防軍の各側面: 海軍(要旨)”と題する2014年のそうした報告書で、NATO内で使用する海軍力に焦点を当て、こう書いていた。

    地中海: 我々の戦略的環境。NATO: 我々の枠組み
    カタルーニャは、SNMG2 (第2常設北大西洋条約機構海洋グループ; 旧地中海常設海軍部隊)、NRF(NATO即応部隊)の一環に参加すべきである。

    SNMCMG2 (第2常設NATO対機雷グループ)参加も適切だろう。

カタルーニャには、カタルーニャのNATOや欧州連合への加盟に反対する諸政党は存在しているが、マドリッドから離脱し、新国家を、スペインに対するよりも、NATOにとって、より熱心かつ、効果的なものに変えようと固く決意している親EU、親NATO指導者たちを阻止する能力には欠けているように見える。

NATOにとって、スペインが、NATOへの貢献を継続する中での、新たなNATO加盟国としてのカタルーニャは、一つの値段で、二つ買える好例だ。一つの国家から切り出した二つの国家は、いずれも、それぞれのGDPの一定比率を、軍とNATO支出に献納しなければならず、しかも二つの国は、遙かに大きく、より強力な加盟諸国が設定するNATOのより大きな集団的政策に影響を与えたり、反対したりするという点で、一つにまとまっているよりも、分裂後はより弱体化する。

カタルーニャ人政治家が、カタルーニャ住民に、NATO加盟が不可欠だと信じさせたいのは一体なぜかという点では、良く挙げられる理由の一つは“テロ”だ。好都合にも - 住民投票に至る直前の8月- テロリストが二件の自動車突入攻撃を実行し、歩行者14人を殺害した.

攻撃は事実上、最近ヨーロッパで起きた他の全てのもの同様、ヨーロッパ、スペインやカタルーニャ治安機関にとって既知の有罪判決を受けた犯罪人が陰で糸を引いていた。テレグラフは、記事で、攻撃を過激化させたとされる“イマーム”が、2010年、麻薬密輸のかどで有罪判決を受け、投獄されていたと報じた。他の記事は、シリアでの戦争に参加していた欧米が支援する過激派が計画と実行犯の過激化に関与していたことを示している。

ヨーロッパの他の様々な国々で、 国内向けと、海外での果てしない戦争の為に、NATOが予算をくすねる正当化を継続するため利用されている国内での攻撃と同様、8月の自動車突入攻撃のたぐいは、新たに独立したカタルーニャに、NATO加盟を売り込むのに、理想的な触媒だ。

感情重視、事実軽視の言説

独立そのものについて言えば、住民投票に至る前の世論調査で、スペインからの分離を支持しているのは半数以下であることが分かっており、カタルーニャ人は分裂しているように見える。住民投票自体は、マドリッドによって粉砕されたが、有権者の42%の投票中、92%が独立賛成に投票し、カタルーニャの全ての資格ある有権者中約38%が、独立を支持している計算になる。

住民投票が、マドリッドの干渉無しに、自由に行われていれば、カタルーニャ有権者は、違う投票をしていた可能性はあるが、独立問題では、カタルーニャが実際分裂している可能性もある。もしそうであれば、親EUで、親NATOのカタルーニャ指導部が、それでもなお独立を実現したがっているのは一体なぜなのかを理解することが重要だ。

最近、カタルーニャ独立運動の指導者や擁護者連中は、NATO加盟や、同盟の将来の戦争で“血を流す”ことへの熱意に触れないよう配慮している。カタルーニャ独立に反対に見える連中も含め欧米マスコミも、EUあるいはNATO内でのカタルーニャの将来には触れない。

ところが独立への動きが続く中、言説は、欧米が支援する他の政治運動でも見られるお馴染みの話題、感情、個人的な戦いや、国家暴力 対 国民と個人の自由のための戦いを基本とする言辞で構成されている。

カタルーニャの本当の将来は?

カタルーニャが、スペインからの独立を実現できたとして、もしカタルーニャの諸政党が、両組織に加盟し、カタルーニャを犠牲にして、両方の権益に仕えることを熱心に狙っている、親EUで、親NATO指導者連中やロビイストを阻止し損ねれば、新たに“独立した”国は、北アフリカにおけるNATO戦争から逃れる難民に対する地中海での監視業務の任務を課され、おそらくは、戦争そのものに参加すべく、北アフリカ海岸に海軍と海兵隊を派兵させられることになろう。

更に、カタルーニャ兵士たちは、アフガニスタンのような地球の裏側の国々で、NATOが大好きな長引く侵略戦争や占領や征服で戦っていることに気づくことになろう。

カタルーニャ住民は、GDPの一定比率が、外国の防衛請負業者や、外国での戦争や、外国の権益団体により、連中のために実行される治安作戦に振り向けられるのを目にすることとなろう。

カタルーニャ自体の内部は、他のヨーロッパの国々同様に、果てしない戦争の社会的・経済的影響や対立や、これらの戦争が荒れ狂う中、絶え間なく強くなり、益々集中化する外国大企業-金融業権益の影響に直面することになろう。

8月に実行されたようなテロ攻撃は、ブリュッセルとより緊密に連携する“独立”カタルーニャの一部になるだろう。テロと暴力は、海外での欧米による戦争からの“逆流”でもあり、欧米諜報機関が、これら果てしない戦争の必要性に関する大衆のイメージをあやつり、管理するための手段でもあるのだから。

独立国家としてのカタルーニャの将来が、必ずしもこうなるとは言えないが、もし現在の政治指導部が、この方向に、カタルーニャを進めるのが許されれば、そうなろう。カタルーニャ独立を支持する人々にとって、こうした問題に取り組み、明快で決定的な代替案を列挙、提出することが重要だ。

“独立”実現後、カタルーニャをNATOの戦争機構に組み込むための十分な資金援助を得て、うまくまとめられた計画が待ち構えているので、もし、カタルーニャ人が、独立で、他に明確な将来方向を見出せない場合には、これこそ、まさに起きるはずだ。

Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/10/09/catalan-independence-out-of-madrids-frying-pan-into-the-nato/
----------
同じ筆者の「カタルーニャ独立: 考慮すべき事、五つ」の拡大版?

大本営広報部、夜の番組で、国難が、モリ・カケ追求に画面に映らないところで切れた話や、別の番組の時間が、モリ・カケに偏りすぎだという狂った難癖を読まされる。
番組そのものを見ていないのでわからないが、そもそも、モリ・カケを逃げ、更なる国難を推進するのが傀儡支配層の狙いだ。モリ・カケ追求のどこがおかしいのか、難癖を読んでもわからない。

北朝鮮ミサイルより、宗主国基地の方が危険なこと、宗主国の手先以外なら、わかるだろう。圧倒的多数を得て、憲法を破壊し、宗主国による世界中での侵略戦争に派兵するのが、傀儡連中の夢。絶望の党が踏み絵に使った戦争法案も、狙いは派兵だろう。

「日米指揮権密約」の研究 自衛隊はなぜ、海外へ派兵されるのか』末浪靖司著を購入した。多少拝読してから、下記のIWJインタビューを拝見しようと思っている。

新刊『「日米指揮権密約」の研究』自衛隊はなぜ、海外へ派兵されるのか 岩上安身によるジャーナリスト末浪靖司氏インタビュー 2017.10.7

日刊IWJガイド・番組表「選挙期間中も連日岩上さんは予定がぎっしり!!改憲阻止のため走り続けます!/安倍総理が公判前の森友学園・籠池前理事長を『詐欺を働く人物』と断定!?郷原信郎弁護士は『首相失格の暴言』!/本日岩上安身が鹿児島で講演会!~不可解な突然の政局と解散総選挙、ここが日本の分かれ道!~朝鮮戦争レジーム再起動!原発を抱えたまま核ミサイルを持つ国との戦争へ突っ込んでゆくのか!?」2017.10.13日号~No.1855号~

« 帝国の終焉 | トップページ | エリートには“何の威信も残されていない”ジャーナリスト、クリス・ヘッジズ・インタビュー »

NATO」カテゴリの記事

Tony Cartalucci」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1335849/71956892

この記事へのトラックバック一覧です: カタルーニャ独立: マドリッドの難を逃れ、NATOの大難に陥るか?:

« 帝国の終焉 | トップページ | エリートには“何の威信も残されていない”ジャーナリスト、クリス・ヘッジズ・インタビュー »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ