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2017年9月28日 (木)

シリアにおける極めて危険なエスカレーション

2017年9月25日
The Saker

既に皆様はニュースを聞いておられるだろう。ロシアのヴァレリー・アサポフ中将と、二人の大佐が、極めて正確に狙った迫撃砲攻撃と思われるものにより、亡くなった。最近デリゾール近くで攻撃されたロシア憲兵部隊の場合と同様、アメリカが攻撃の背後にいたと、ロシアは非難している。一層まずいことに、アメリカが積極的にISISと協力していると、今やロシアは公式に非難している

アメリカ特殊作戦部隊は、アメリカが支援するシリア民主軍部隊がISIS陣形を通り抜けて、順調に前進するのを可能にしている。ISIS戦士の抵抗には会わずに、シリア民主軍部隊は、ユーフラテス川左岸沿いに、デリゾールに向かって前進している。9月8-12日に、ISIS拠点上空から撮影された航空写真、アメリカ特殊作戦部隊で使用されている大量のアメリカ・ハマー車輛が写っている。写真は、アメリカ特殊作戦部隊がISISテロリストが設置した拠点にいることをはっきりと示している。ところが、戦士を追い出すための攻撃や戦闘や、アメリカが率いる連合の空爆の証拠は皆無だ。アメリカの拠点がISIS地域内にあるにもかかわらず、ISISを対象にするパトロールは行われていない。これはアメリカ軍部隊がテロリストが支配する地域にいても、安全だと思っていることを示唆している。

ロシア提供の地図と航空写真(より高解像度のものを見るには、ここをクリック)

こうしたこと全てが示唆しているのは、今やペンタゴンが、どうやら、非公式ながらも、ロシア軍を直接に攻撃すると決定したということだ。ペンタゴンの観点からすれば、これは(ほとんど)つじつまが合う。

第一に、現在“良いテロリスト”と“悪いテロリスト”がシリアでの内戦で敗北したことは完全に明らかだ。簡単に言えば、アメリカは打ち負かされ、シリア、ロシア、イランとヒズボラが勝利し、イスラエルは今や怒っているのだ。

第二に、クルド人を、歩兵/砲弾の餌食として利用するというアメリカの計画は失敗した。実に賢明なクルド人は、そのような失敗する案には乗りはしない。

第三に、アメリカの代案である、シリア分割そのものが、シリア軍の成功によって直接脅かされている。

また大事なこととして、シリアにおけるロシアの成功で、今やアメリカは大いに面目を失い、怒っている。


ヴァレリー・アサポフ中将

そこで、どうやら彼らは、直接ロシア軍人を標的にすると決定し、高い偵察能力と、現地のアメリカ特殊部隊を活用し、“良い”テロリストと“悪い”テロリストと協力し、ロシア軍人を標的にし攻撃しているのだ。

ちなみに、これは初めてのことではない。アレッポ近くのロシアの病院が、現地のダーイシュ支部が持ち合わせない手段で標的にされたというかなり確実な証拠がある。ところが、今回は、アメリカは隠れようとさえしていないのだ。ここでのメッセージは、アメリカ人おなじみのセリフ“どうするつもり?“だ。

実際、ロシアにできることは多々ある。“組織的にウソをつく敵に対し、もっともな否定の権利を活用する”という記事で、私はこの件について書いた。もし中東司令部の連中が本気で、連中の将軍たちが全員安全で、危険の圏外にあると考えているのであれば大間違いだ。ロシア人や、イラン人の将軍と違って、アメリカの将軍連中はあらかた危険回避型で、シリアで捕まえるのは難しい。だがロシアがシリア国内で報復しなければならない理由があるだろうか? あるいは、それを言うなら、ロシアが報復にロシア軍を使わなければならない理由があるだろうか。確かに、ロシアには、敵国高官を暗殺するよう訓練されている特殊部隊があるが、だからといって、必ずしも、ロシアがそれを利用すると決めるわけではない。事故はどこでも起こり得るし、中東の道路が危険なことは悪名高い。なぜ私がこんなことを言うのか? 公然と戦争をしなくとも、ロシアには選択肢があることを明らかにするためだ。

もちろん、ロシアは、単純にISIS陣地のどれかをめがけ、矢のようにカリブル巡航ミサイルを放ち、それから“おっと、あなた方は、このアルカイダ連中に要員を配備していたんだったっけ? 本当? それは知らなかった、全く知らなかった”と言うことも可能だ。シリアも、上記写真に写っているかなり立派な戦術弾道ミサイル備蓄を保有している。シリアも、そうしたISIS+アメリカ陣地のどれかを間違って砲撃し、テロリストの只中にアメリカ軍がいたことに困惑を表現することもあり得よう。過去、国境を越えた急襲で、イスラエル兵士を捕獲した実績があるヒズボラもおり、自分たちでアメリカ軍特殊部隊を捕獲すると決める可能性がある。そして、ついにアメリカ軍人に痛い目をみせる、そうした千載一遇の好機に長年恵まれていないイランも忘れてはならない。

シリアにいるアメリカ軍の大きな三つの弱点はこうだ。第一に、シリア内のアメリカ軍は、影響を与えるには少数過ぎるが、軍事的に価値ある標的として十分大きく、第二に、全ての重要な地上軍は皆反米だ(シリア、イラン、トルコ、ヒズボラとロシア)。そして最後に、地域でたった二つのアメリカ同盟国、イスラエルとサウジアラビアは、恐れるあまり、地上軍を投入していないことだ。

結論は、もしアメリカが、ロシアと同盟諸国には選択肢がないと考えているのであれば、大間違いだ。アメリカは、前進陣地で、アメリカ特殊部隊を活動させていることの結果を本気で検討すべきだ。シリアは急速に距離を詰めており、今はロシア軍人狩りをする好機ではないかも知れない。

これまでのところ、ロシアは抗議と嫌悪感の表明だけにとどめている。これは明らかに効果的な戦略だったとは言えない。ロシアは、ほとんどの人々は気にしておらず、苦情を言えば言うほど、彼らの警告の信憑性が弱くなることにどうやら気づいていないようだ。これは持続可能な対応ではなく、ロシアは、アメリカ語表現で言えば“have to do something about it(これに対して何かしなければならない)”ことになるだろう。

事態は急速に、しかも間もなく、極めて危険になりかねない。

The Saker

記事原文のurl:http://thesaker.is/very-dangerous-escalation-in-syria/
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この記事と似た趣旨の記事、いくつも見かける。

モリ・カケと緑のタヌキによる、大政翼賛会政治が完成する画期的選挙。
あの時の選択が、悲惨な永久独裁体制の始まりだったと、陰でこっそり愚痴を言い続ける悲惨な暮しが待っている。

孫崎享氏の今日のメルマガ・タイトル

「民進党、潰すために党首になったのか。前原氏。「金は民進党からもらいます、主義主張は他党にしてください」これは国家レベルの詐欺行為じゃないか。」

そして、日刊IWJガイド

日刊IWJガイド「小池新党・『希望の党』が結党記者会見! 本日の衆議院解散、10月22日の総選挙で『極右二大政党制』が現実に!?/本日配信!自民党改憲草案の緊急事態条項は戦前の国家総動員法の起動スイッチ!? 衆院解散で『ナチスの手口』がいよいよ現実に!? 岩上安身による早稲田大学教授 長谷部恭男氏インタビュー/在特会の桜井誠元会長が敗訴! 東京地裁は桜井氏の発言を『不当な差別的言動に該当する』と認定!」2017.9.28日号~No.1840号~

「モリ・カケ支持か、反モリ・カケか」というつくられた選択肢、真の選択肢ではない。
大政翼賛会大本営広報部の総力をあげた、馬鹿げた「アジェンダ・セッティング」

野党協力、日本版オリーブの樹などと、大政翼賛会大本営広報部キャスター、とんでもないたわごとをいっている。オリーブどころか、トリカブト。

小選挙区制導入の究極の狙い、ようやく実現する。ナチスの手法に習って。

太平洋戦争時代は、天皇制を隠れ蓑にした軍事独裁だった。
選挙後は、宗主国巨大企業の走狗傀儡が代理運用する永久属国。

宗主国との国力を考えれば、敗戦は時間の問題だった。しかし、これからは、宗主国巨大企業の走狗傀儡によって、宗主国の侵略戦争に金も血も流され続ける。宗主国大企業連中が強力であるかぎり終わりがないところが大違い。

二大政党体制の宗主国を見れば、国民の真意を代表しない大企業走狗が二派にわかれ、交互に大企業のための搾取、戦争を継続するに過ぎないことがわかる。
モリ・カケ派と緑のタヌキ派が政権交代しても顔ぶれ後退以外何もない劣化コピー。挙国一致内閣の可能性も高い。

「リセット」、大政翼賛会経由の宗主国大企業永久支配の言い換えに過ぎない。混乱とどさくさの中、最悪の選択を強いるショック・ドクトリン選挙版。

日ごろ拝読している方々のブログさえ、絶望を「よりましかもしれない」と考えておられると読めるのに驚愕。より酷くとも、ましではありえない。箝口令都議団をみればわかる。

最近の強烈な大本営広報部プロパガンダを見るにつけ思い出す文章がある。現代の洗脳広報の基盤を作ったバーネイズなどを巡って、広報活動の危うさを描いた本、スチュアート・ユーウェン著『PR!世論操作の社会史 』の一節。480~481ページ。三行は、ユーウェン氏の文章。その後が、バーネイズの文章。

バーネーズが言うように「コンセンサス」の技術者は『ニュースを作る』べきである」。技師は大衆的事件を演出し、これによって大衆の注目を集め、希望する結果を継続させるための事後承認を獲得するのである。

ニュースは生き物だ。人前での行動からニュースができあがり、そのニュースが逆に、民衆の態度や行動を作り出す。ニュースの良し悪しの決め手は……事件がどれほど普通のパターンから外れているかだ。展開や状況が意外な事件が、コンセンサス作りの要求の基本だ。そうなるように作られた事件ほど、コミュニケーション・システムのせいで、実際にそれに参加したひとびとよりはるかに多くのひとびとに到達し、また伝えようとする思想をいきいきとドラマ化して、事件の目撃者でないひとびとにそれを、伝えるものだ。
豊かな想像によって作られた事件は、ひとびとの注目をあつめる力では、他のどのような事件にも負けない。ニュース化する価値があり、ひとに見せられるような事件が偶然によって起きることは、ほとんどない。そのような事件は、ひとびとの思想と行動に影響をあたえる目的のもとに、熟慮によって作られたものだ。

昔はこの文章、9/11のことを言っている、と読みながら思ったが、再読すると、郵政選挙や、都知事選挙、都議会選挙、北朝鮮ミサイル・核実験、そして今回のハルマゲドン最終選挙もそうだと思いあたる。熟慮によって作られたものだ。出典は『The Engineering of Consent』だとある。

ギュスターヴ・ル・ボンの『群衆心理』も思い出す。

事態は急速に、しかも間もなく、極めて危険になりかねない。

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