ウクライナに押し入るサアカシュヴィリ: 機敏な動きか、大規模な政治策謀の一環か?
Peter KORZUN
2017年9月16日
Strategic Culture Foundation
抗議行進は権力者に圧力をかけたり打倒したりさえするための実証済みの政治的武器だ。元ジョージア大統領で、ウクライナのオデッサ州元知事のミヘイル・サアカシュヴィリは、ウクライナのポロシェンコ大統領がニューヨークで9月20日に国連総会で行う演説の準備をしている9月19日にキエフに到着する計画だ。“キエフを緊急に救わなければならない!”とサアカシュヴィリは言う。ポロシェンコのアメリカ合州国訪問は、あらゆる不利をはねのけて行われる。何も変更できない。国連総会で演説する機会は長いこと期待されていた。ウクライナ大統領はアメリカ滞在中にドナルド・トランプ大統領と会談する予定だ。
彼を受け入れた国ウクライナから国籍を剥奪され、ウクライナ外に数カ月留め置かれていたサアカシュヴィリは、9月10日、パスポートを取り戻し、はなはだしい腐敗に反対する抗議運動を率いて、ウクライナ政界で重要な座を占めるべく強引に国境を越えた。彼は新勢力運動(ルフ・ノーヴィフ・シル)という名の政党の党首だ。キエフは“パニックになっている”とサアカシュヴィリは述べ、自分は“ポロシェンコ大統領を打倒することを望んでいるわけではなく”自分の権利を守ろうとしているだけだと補足した。
2008年、ロシアとの短期戦争を始め敗北したこともあった九年間の大統領在位中の職権乱用とされるもののかどで、サアカシュヴィリは、祖国ジョージアではお尋ね者だ。彼は2013年にジョージアを去った。2015年、ポロシェンコ大統領により、彼は黒海に面する重要なオデッサ州知事に任命された。2017年7月、ウクライナ国籍を彼から剥奪したポロシェンコ大統領と政治的に対立した後、2016年に知事を辞任していた。サアカシュヴィリの国籍申請に“不正確な情報”があったというのが剥奪の口実だ。ウクライナ国籍を回復すれば、国会議員に選ばれたり、大統領選挙に出馬したりすることが可能になる。
サアカシュヴィリを、ウクライナに戻して、政治的脚光を浴びさせる“突破作戦”で、増大する反政府政治運動の指導部に進展することになるかどうかはまだわからない。サアカシュヴィリは、ウクライナの“泥棒と堕落した商人”政権に“徹底的に”挑戦するつもりだと言っている。
彼は、ポロシェンコ率いるウクライナ政府にとっては脅威で、国境を越えるという機敏な動きをしたばかりで、政治的支援が強化する中、西ウクライナ横断の旅をしている。しかもウクライナ大統領に対するこの脅しは、ワシントンが支援しているのだ。サアカシュヴィリは常にアメリカ寄りの政治家だ。ウクライナ国籍を剥奪されたという知らせを聞いたのは、彼がニューヨーク滞在中のことだった。
ウクライナ問題担当のアメリカ特別大使カート・ヴォルカーは、ミヘイル・サアカシュヴィリには、ウクライナ国籍喪失問題を、ウクライナ裁判所で争う権利があると強調した。“人々が政治ドラマで騒ぐのを止めて、法律問題に注目し、ウクライナが、汚職との戦いと経済改革と同様に民主主義機構を実際に強化するよう希望する" とヴォルカーは述べた。このアメリカ高官は、公開された裁判所審理で、暴露された醜聞がマスコミの大見出しになり、ポロシェンコ政権にとっての弔鐘になりかねないことを十分承知しているのだ。
ポロシェンコも欧米寄りの政治家だが、欧米では彼の政権に対する失望が強まっている。キエフは、汚職を抑制し、経済を民営化するようアメリカとEUからの圧力を受けている。年金改革、土地と税金改革や民営化は失敗している。ウクライナは、世界の汚職評価でトップだ。2016年のGlobal Fraud Surveyによれば、88%のウクライナ人従業員が、ウクライナで賄賂と汚職の慣行が蔓延していると考えていた。欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は“汚職が欧州連合の規範に合ったウクライナ再建のあらゆる取り組みを損なっている。” と考えている。"汚職がこの偉大な国が取りかかっているあらゆる努力を損なっているので我々が要求しているのは、反汚職の戦いの強化だ、" とユンケルは述べた。"我々は極めて憂慮している。"
アメリカ高官たちも、かなりの期間、汚職を抑止し、政府の透明性を向上させる改革を進めるようウクライナに圧力をかけている。7月にウクライナを訪問したレックス・ティラーソン国務長官は、ウクライナがかなり前進したことを認めはしたが "それは認めたいとは思う、(が)いまだになすべきことは多い"と彼は述べた。これは全て、ウクライナの未来を確保するためだ。'ウクライナを、ヨーロッパ近隣諸国にとって魅力的で、投資家たちにとって魅力的にする。"
北大西洋理事会のウクライナ・アラート・ブログ編集者で海外政策調査研究所研究員のメリンダ・ヘリングは、“ウクライナの改革が失速し、格好の機会がその窓を閉じ始めている悲しい現実だ”と考えている。経済を良くするため、175億ドルを約束した国際通貨基金が、土地売買を合法化し、問題山積の年金制度を改革し、反汚職裁判所を開設し、1,800のウクライナ国営企業の一部を民営化開始するまで、ウクライナはこれ以上の支援を得ることはできないと語ったことを彼女は指摘している。この途方もない「すべきことリスト」中、2017年7月中頃までに実現する可能性があるのは年金改革と医療改革だけだ。
“ウクライナの'欧米パートナーたちは、ウクライナの改革プロセスが進展しないことに、特にウクライナ大統領としてのペトロ・ポロシェンコの実績に失望している”とキエフを本拠とするInstitute for Euro-Atlantic Cooperationのドイツ人専門家アンドレアス・ウムラントは言う。欧米の指示通りに改革しようというウクライナの試みを、彼は全面的に支持しているが、彼が大統領の座について以来、ウクライナが、一連の新しい問題とともに、多くの同じ問題に直面し続けているため、ポロシェンコ大統領任期最初の二年間に対する評価はほとんど否定的だ。
欧米に忠誠を誓いながらも、ウクライナ政府やエリート政治家は、物事を自分たちのやり方で進めている。ウクライナに対する欧米の忍耐は無限ではない。圧力をかけ、ポロシェンコ政権に、もっと欧米の要求に合ったことをさせるようにする道具として、サアカシュヴィリは利用できる。評価機関Rating Group Ukraineが6月に行った調査によれば、総計76パーセントのウクライナ国民が、ウクライナ大統領としてのペトロ・ポロシェンコの仕事に不満だ。大統領の活動を全面的に支持しているのは、わずか1パーセントだ。
遅かれ早かれ、ポロシェンコは、惨めな失敗として記憶されることになろう。大いに喧伝されている欧米に対する忠誠心は、自分たちの目標を追求しているウクライナ支配層の権益に合致する限りでしか続かない。サアカシュヴィリは、大衆の不満の波に乗る方法を知っている。ポロシェンコが去れば、彼が介入の適役になる。野党指導者として、サアカシュヴィリは、何が起ころうとも、ウクライナを、ワシントンとブリュッセルの指示に合わせて踊り続けさせるのを保証するだろう。もし欧米の支援がなければ、サアカシュヴィリは、国境を越えた後、逮捕されていたはずだ。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/09/16/saakashvili-into-ukraine-dexterous-move-or-part-big-political-intrigue.html
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報じるべきことを放置し、どうでもよいことしか言わない昼の大本営広報洗脳番組、最近見なくなった。個人的に、相撲のおかげもある。
総計76パーセントのウクライナ国民が、ウクライナ大統領としてのペトロ・ポロシェンコの仕事に不満だ。大統領の活動を全面的に支持しているのは、わずか1パーセントだ。
というウクライナの人々、この国と民度が違うのだろうか?
与党指導者として、彼は、何が起ころうとも、この国を、ワシントンの指示に合わせて踊り続けさせるのを保証するだろう。
初登場氏の国連総会演説:
隣国をならずもの国家とののしる人物の国こそ、正真正銘のならずもの国家。
孫崎享氏の今朝のメルマガ・タイトルをコピーさせていただこう。
日本を崩壊に導く安倍氏が大勝するか、止められるかは、野党候補が一本化できるか否か。錯綜する動き。民進党は自身では勝てないことを認識すべきだ。都議会選挙、自民23、公明23、共産19、民進5.これが民進の実力。
そして日刊IWJガイド
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コメント
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「哀れな男、その名はサアカシュヴィリ」
元グルジア(現ジョージア)大統領にして元オデッサ州知事のサアカシャヴィリ氏は欧米の支配者層はプーチン大統領に二度も破れてしまった今、彼にどのような利用価値があるのでしょうか。
ウクライナに蔓延る賄賂と汚職。賄賂と汚職が腐敗の証拠であることは間違いないところですが、それが国家再建の障害だというのはいささか違和感を覚えます。原因と結果をわざと取り違えていると思うのです。本来、手をつけなければならないのは法を遵守しない右翼のファシスト達に、西側から資金援助を受けている煽動勢力に対してではないでしょうか。
暴力がまかり通る社会に法の遵守は意味をなしません。そんな社会では自主救済を目指さざるを得ません。自ら武器を手に取り、脅威に対して常に備えなければなりません。賄賂と汚職。平時なら腐敗の結果なのでしょうが、自主救済の形態の一つと見る事も出来ましょう。
傀儡と言われたアフガニスタンのカルザイ大統領はアフガニスタンからの米軍撤退を米国に要求しましたが、トランプ政権はさらなる増派を行う姿勢を見せました。米国の意思を見たのでしょうか、ポロシェンコ大統領は剥奪していたサアカシャヴィリ氏のバスポートを返却した、と見る事もできそうです。
ポロシェンコ大統領が国民の支持を受けていない所をみると、西側はサアカシャヴィリ氏に政権を取らせようと考えているかもしれません。それは、あたかも自身の政治家生命に危機が訪れた時に難病を患って(それを装ってかどうかは不明ですが)政権を放り投げた安倍首相に(難病で満足に政務を遂行出来るか否かは議論されず)再び権力が与えられたように。
権力を再び与えられようとしているサアカシャヴィリ氏に、安倍氏のような哀れなパペットの姿を見るのは私だけではないと思います。
投稿: 海坊主 | 2017年9月24日 (日) 12時26分