中国とロシアにとっての経済学授業
2017年9月13日
Paul Craig Roberts
トランプ閣僚に、能なしでない人物が誰かいるのだろうか?
ロシアに対する長年にわたる果てしない軍事的威嚇の後、CIA長官代行マイク・モレルがTV(チャーリー・ローズ・ショー)で、アメリカは、ロシア人殺害を始めて、メッセージを送るべきだと言い、マーク・ミリー陸軍参謀長が“これまで経験したものより激しく攻撃してやる”と脅したのは覚えておられるだろうが、今度はスティーヴン・マヌーチン財務長官が中国を脅した。もし中国がワシントンの新たな対北朝鮮経済制裁を遵守しなければ、アメリカは“彼ら[中国]に更なる経済制裁を課し、アメリカや、国際ドル体制へのアクセスを阻止する。”とマヌーチンが言ったのだ。
https://www.rt.com/usa/403118-usa-china-sanctions-north-korea/
自分の国債を買うために、お札を印刷しなければならない、20兆ドルの公的債務をかかえて破産したアメリカ政府が、世界第二位の経済で、購買力の点ではアメリカ経済より大きい国を威嚇しているのだ。
マヌーチンの中国に対する脅しを少し時間をとって考えて見よう。中国には一体何社、アメリカ企業があるのだろう? アップルとナイキだけではない。対中国経済制裁というのは、アメリカ企業は、中国製商品を、アメリカや、中国国外のどこにも売れないということなのだろうか? アメリカのグローバル企業連中がそんなことを我慢するなど考えられようか?
もし中国が、中国と香港にあるアメリカ企業の工場と、欧米が所有する銀行の全て国営化して反撃したらどうなるだろう?
マヌーチンは能なしのニッキー・ヘイリーと同類だ。彼は一体誰を脅しているか分かっていない。
中国を国際ドル体制から締め出すというマヌーチンの脅しを考えてみよう。これ以上の損害をアメリカに与え、これ以上の利益を中国にもたらすものはないのだ。膨大な金額の経済取り引きがドル体制から出てゆき、ドル体制の規模と重要性が減少してしまうだけだ。最も重要なのは、それで、中国とロシア政府が、ドル体制の一員でいるのが、何の恩恵もない、途方もない不利益であるのに、とうとう気づいてしまうことだ。ロシアと中国は、とうの昔に彼らの自前の制度を作り上げておくべきだったのだ。ワシントン体制の一員であるおかげで、ワシントンが、脅したり、経済制裁を課したりできてしまうのだ。
ロシアと中国がこれに気がつかない理由は、連中が愚かにも経済学を学ぶよう学生をアメリカ留学させたためだ。こうした学生連中は、マイケル・ハドソンの表現では“ジャンク経済学”であるネオリベラル経済学に徹底的に洗脳されて帰国する。このアメリカ経済学が、ロシアと中国の経済学者たちを、事実上、アメリカの傀儡にしているのだ。連中は自国の為ではなく、ワシントンの役にたつ政策を支持するのだ。
もし中国とロシアが、主権国家でありたいのであれば、彼らは愚かなマヌーチンが、両国を食い物にしているドル体制から、両国を切り離すよう祈らねばならない。そうすれば、ロシアと中国は、自分たちの制度を導入し、ワシントンの利益にしか役立たない経済学を装うプロパガンダではなく、本当の経済学を学ばなければならなくなるだろう。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/09/13/economic-lesson-china-russia/
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箒川兵庫助様から、彼の前の記事に、コメントをいただいた。
しかし、ご本人がコメントを受け付けることを拒否しておられるように思えるので、大変申し訳ないが非公開とさせていただく。
別記事へのコメントという形に書き変えてお送りいただければ幸い。
昨日、チェルシー・マニングさんが、ハーバード大学の客員研究員になったので、この文にもある元CIA幹部のマイケル・モレル氏が同大学を抗議で辞職したという記事を読んだ。
ジュリアン・アサンジ氏が、大学にも学生にとっても良いことだと発言していて納得したが、続報では、マニングさん採用はお流れになった。
ハーバード大学、経済学にかぎらずワシントンの利益役立つ「学問」を教えてくれるようだ。
ファシスト集団代表がまた変わった。やはり元秘書。
こういう集団をマスコミという名の大本営広報部大政翼賛会はもちあげる。
日本ファシストは一院制を主張している。
国会冒頭解散は、ファシスト連中の正体がばれないうちに選挙にもちこみ、右翼とファシストで多数をしめようという悪辣な計算に基づいているだろう。
大本営広報部大政翼賛会に出演する提灯持ち連中、それも称賛するだろう。
出演される教員諸氏はハーバード劣化版?
孫崎享氏や植草一秀氏や岩上安身氏、大本営広報部大政翼賛会茶番には呼ばれまい。
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