もし家分れ爭はば、其の家立つこと能はざるべし
2017年8月17日
Paul Craig Roberts
リベラル/進歩派/左翼は、非難の馬鹿騒ぎを楽しんでいる。これほど酷いものは見たことがない。これは、16年間、ワシントンが七つの国を丸ごと、あるいは部分的に破壊するのを座視していた連中だ。これ程の戦争挑発と人類に対する犯罪では満足できずに、ワシントンは、ロシアとの対立状況を画策した。アメリカ人がこの危険な対立を緩和するつもりだと言った大統領を選ぶと、リベラル/進歩派/左翼が彼に喰ってかかっている。対照的に、シャーロッツビルで嫌悪された抗議行動の終了後、一人が殺害されると、アメリカ大統領に対する果てしない、ばかばかしい怒りが起きている。
昨日、ニューヨーク・タイムズの三人のマスコミ売女が、“自らが招いた人種的危機で、益々孤立化している”と言って、危機をトランプのせいにした。双方の抗議行動集団が暴力行為をしたと非難したがゆえに、トランプに責任があるようだ。
だが実際そうだったのではないだろうか? 双方の側が暴力を振るったのではなかったか? ニュース報道を見るかぎり私はそういう印象を持った。トランプが同じ印象を持ったとしても驚かない。実際多数の読者が双方の暴力という印象を持ったという電子メールを送ってこられた。
つまりトランプは真実を言ったがゆえに、こきおろされているのだ。
トランプや他の多くの人々がニュースから受けた印象が間違っていたとしよう。そうであれば間違った結論に至ったかどで、トランプは、有罪ということになろう。ところが彼はナチスの暴力を煽り、支持したかどで非難されているのだ。一体どうすれば、間違いを悪意に変えられるのだろう? ニュース報道から得た間違った印象は、“白人民族主義者抗議行動参加者の擁護”ということにはならない。ニューヨーク・タイムズが主張したとて、意図の欠如を意図には変えられない。既成支配体制は、連中としては、彼をそこに入れたい白人至上主義者陣営に、トランプを押し込もうとしているのだ。
非難に根拠が無いのは明らかだ。これはウソで、トランプ大統領と彼を選んだ人々を非合法化するために使われている画策なのだ。
疑問はこうだ。この画策の黒幕は誰だろう?
この画策が、人々をトランプから逃げ出させたり、連中が彼を大統領の座から追い出す策謀を推進する口実に利用されたりしている。
パレスチナ人に対するアパルトヘイト政策で、ジミー・カーター大統領がイスラエルを批判した際、カーター・センター役員会メンバーが彼を見捨てたのと同様、スティーブン・A・シュワルツマン率いるトランプの戦略・政策フォーラムも逃げ出した。ニューヨーク・タイムズは、軍幹部が逃げ出していると言う。共和党もまるごと。
驚くべき偽善だ。16年間、軍幹部、ニューヨーク・タイムズや他の売女マスコミ、両政党とリベラル/進歩派/左翼は、人類に対する大規模犯罪に積極的であれ、受動的であれ関わってきたのだ。何百万人もが死に、四肢を失い、家から追い立てられた。ところが、シャーロッツビルで一人が亡くなると遥かに大きな抗議行動が噴出する。
心の底からのものとは思われない。自分たちの政府の手による何百万人もの死に無関心だった人々が一人の人の死を巡って、それほど動揺できるとは信じがたい。トランプには、一人の女性の死に責任があるとしよう。ビル・クリントンや、ジョージ・W・ブッシュや、オバマの両手についた血と比較して、どれほどのものだろう? 悲しみの噴出が、大統領と彼を選んだ人々を非合法化するよう練られた画策なのは十分明らかに思えるだ。ジョン・ワイトがカウンターパンチで書いている通り、オバマ政権がウクライナにしかけたことを、もちろんリベラル/進歩派/左翼の支援を得て、今我々は国内で体験しているのだ。
マイダン抗議行動参加者の大多数が、自分たちが利用されているなどとは全く思っていなかったのと同様に、トランプに対する濡れ衣に抗議をしている人々の大多数にもこれはあてはまる。リベラル/進歩派/左翼の大半にとって、トランプと白人民族主義者への憎悪は、彼らに染み込んでいるアイデンティティ政治の条件反射的結果の表現だ。
状況を客観的に判断すれば、トランプと彼を選んだ“哀れな連中”に向けられた憎悪は、白人民族主義者が表現している憎悪を量的に遥かに超えているという結論になろう。
白人民族主義者のような卑劣な連中は、抗議行動を許されるべきではなく、抗議行動する許可を与えられるべきではないと、リベラル/進歩派/左翼のメンバーたちは主張している。彼らは抗議行動が権利であることを忘れている。
40年前の1977年、ユダヤ人が暮らすシカゴ郊外スコキーにおける過激派抗議行動を阻止するイリノイ州裁判命令を破棄して、アメリカ最高裁判所が問題を解決している。最高裁判所は一部の人々が感情を害する、あるいは偶然暴力的な反応が起きることがあるという事実によって、抗議行動が制限されることはないと裁定したのだ。そうでなければ、どのような党派であれ、権力を掌握している立場にあるものが、他の全員の反対意見を抑圧できてしまうことになる。
国民を分裂させるべく、リベラル/進歩派/左翼は何十年も本格的に力を入れてきた。黒人研究や、女性研究やアメリカ先住民研究は、憎悪を生み出すプロパガンダに容易に変わりかねない。イエスが言う通り“もし家分れ爭はば、其の家立つこと能はざるべし。”
シャーロッツビルは、アメリカが分裂した国であることを証明する非難のどんちゃん騒ぎになっている。これほど分裂した国が、本気でロシアや中国やイランと戦争したがるのだろうか? リベラル/進歩派/左翼が言うように、もしアメリカが、白人至上主義を制度化したものであるなら、一体どうして、アメリカ人は、同時に、外国の人々を爆撃して、石器時代に戻す権利を持った“例外的な、必要欠くべからざる国民”であり得よう?
このシナリオには辻褄が合わないことが多々あるのは明らかだ。
私のウェブサイトの読者は自立した思考ができる方々だ。ある物事の説明が、ある物事の言い訳ではないのを理解されている。私の説明は説明に過ぎない。間違っているかも知れないが、釈明ではない。既にそう思い込んでいることを聞きたがっていて、常に誰か非難する相手を探している読者もいる他の多くのウェブサイトにも私のコラム記事は転載されるので、これを明記しておくことが必要だと思えるわけだ。自立した思考ができる国民の数が極めて限られているというのは、アメリカ合州国にとって大きな制約だ。おそらく、これはあらゆる国にとって問題なのだろうが、アメリカ合州国にとって問題なのは確実だ。
アメリカの知識人階級、いやたぶん準知識人階級と呼ぶべきものに、本当のこと言うのを大いに恐れている臆病者が大量にいるという、もう一つの大きな制約がアメリカ合州国にはある。もちろんアイデンティティ政治が生み出した魔女狩り気質を考えれば、彼らが恐れるのも無理はないが、連中が臆病なおかげで、真実を守る重荷はごく少数の肩にかかることになってしまうのだ。
注: マコーリフ・バージニア州知事は、白人至上主義者には武器貯蔵庫があり、バージニア州警察より、白人至上主義者の方が銃を多く持っているという、売女マスコミによって世界中に広められているウソの主張をした。そのような武器貯蔵庫は発見されていないと発表して、警察は低能な知事に反駁しているとReason.comが報じている。http://reason.com/blog/2017/08/16/virginia-state-police-say-they-didnt-fin
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/08/17/house-divided-cannot-stand/
----------
題名、第一野党とされるものについても言えそう。 相当数、緑のタヌキと合流するだろう。
首席戦略官バノンも辞任。
『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』を読み終わって見るニュース、キオスクの新聞見出し、イージス・アショアを買わされ、宇宙軍でもこきつかわれる。「お説の通り」と思うばかり。 属国大本営広報部のなんとももの悲しいイージス・アショア怪説。お二人が気の毒に思えてきた。棒人形劇。
日本が「基地」も「原発」もやめられないのは「朝鮮戦争」に起源があった!? 岩上安身による『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』著者・矢部宏治氏インタビュー 2017.8.2
バルセロナ、ランブラス通りに近いレストランで豪華海鮮料理を食べたのは30年ほど前。日刊IWJガイド・ウィークエンド版の一部を引用させていただこう。
日本時間18日未明、スペイン・バルセロナ繁華街で、白いバンが歩道に突っ込み、13人が死亡、およそ100人が負傷する痛ましい事件が起こりました。地元警察がテロ事件と断定して捜査を始め、本日事件に関与したと見られる男2人を拘束したと伝えられています。事件後、「イスラム国」(IS)が犯行声明を出しましたが、スペイン当局はこれまでのところ今回の事件の犯行とISのつながりを明らかにしていません。
http://digital.asahi.com/articles/ASK8L05QSK8KUHBI03M.html(バルセロナでテロ、車暴走し13人死亡 ISが犯行声明 8月18日、朝日新聞)
日本政府は今回のテロ事件に対する声明をまだ発表していませんが、今回のテロ事件を利用して、テロ対策のための監視体制の強化を正当化するのではないか、と懸念します。
これまでも、安倍政権は秘密保護法(2013年)や盗聴法拡大(2016年)、共謀罪法(2017年)を制定させ、国民への監視体制を強化していますが、監視体制の強化はテロ対策に役立たないことは明らかです。
昨日のIWJのインタビューで、ジャーナリストの小笠原みどりさんは、「監視でテロが防げたのかと言うと、全然そんなことはない。フランスではシャルリ・エブド事件以来、市民のネット動向を分析するソフトのインストールを義務付け、PCのリアルタイム監視のために警察が家宅捜索することまで合法化。しかしテロは続いている」と監視体制の強化がテロ対策に全く役立たないことを、フランスの現状に照らして述べています。日本でも同様のことがいえるのではないでしょうか。
※共謀罪と監視社会―― スノーデン文書により明かされた日本政府とNSAの関係とは? 岩上安身による元朝日新聞記者・ジャーナリスト 小笠原みどり氏インタビュー
2017.8.17http://iwj.co.jp/wj/open/archives/395679安倍政権が国民への監視体制を強化しようとしていることは、まさに自民党の憲法改正草案にハッキリと表れていると思います。例えば、自民党の憲法改正草案第13条では、「公益及び公の秩序に反しない限り」生命、自由及び幸福追求の権利が保障されると規定されています。「公益及び公の秩序」に反するか否かを決めるのは、もちろん政府や治安権力です。
岩上さんが澤藤統一郎弁護士や梓澤弁護士と共に、自民党の憲法改正草案を現行憲法と比較して逐条で読み解いていく書籍『前夜 増補改訂版』の中で、梓澤弁護士は「私的生活の自由に入り込んでくるのが、今度の自民党改憲草案の第13条です。『いまの政府秩序に反するなんか活動をやろうとしているな、じゃあ、監視のもとに置こうじゃないか』となりかねません。これは公、公の秩序に反するんだから」と述べ、自民党改憲草案の危険性を指摘しています。(『前夜 増補改訂版』 p160)
国家が私的生活の自由に入り込む例として、通信履歴の収集が考えられます。
オリバー・ストーン監督の映画『スノーデン』では、次のようなシーンがありました。NSAがパキスタン人銀行家を協力者にするため、その銀行家や家族の通信履歴を収集すると、娘の恋人が不法滞在者ということが分かり、NSAは「これは使える」と考えました。そこで、娘の恋人を強制退去させると、娘が自殺未遂をしました。そして、NSAは娘の憔悴した様子に落ち込む父親に酒をすすめ、車で帰るところを通報し、飲酒運転で実刑を受けたくなければ協力しろと脅しました。卑劣極まりない手口です。このように国家が個人の通信履歴を自由に閲覧できれば、私たちの家族や友人など親しい人々の関係が壊れ、私たち市民が国家に都合の良いように利用される危険性があります。
そのような危険を招かないためにも、今の安倍政権や自民党が何を目的として自民党憲法改正草案を作成し、どのような国づくりを目指しているのかを正しく知ることが必要です。
書籍『前夜 増補改訂版』では、自民党改憲草案には、国防軍の創設・緊急事態宣言条項の創設など、上記に挙げた第13条以外にもまだまだ存在している危険な条項につき読み解いています。監視体制の強化も含めて、安倍政権や自民党がどのような国づくりを目指しているのかを知りたい方は、ぜひ書籍『前夜 増補改訂版』をご一読ください。
ご購入はぜひ、「IWJ書店」でお願いします。
※【増補改訂版】『前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=169
« キエフ政権に耐えることが、ロシアにとって一体なぜ危険なのか | トップページ | The Camp of the Saints »
「アメリカ」カテゴリの記事
- アメイジング・グレース(素晴らしき神の恩寵)!バイデンの許しの奇跡(2024.12.10)
- アメリカ製ミサイルをウクライナがロシアに発射するのをバイデンが許可した理由(2024.12.08)
- ビビにとって、テヘランへの道はダマスカス経由(2024.12.07)
「ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事
- 腐敗したアメリカ支配層に宣戦布告したかどでトランプは暗殺されるのだろうか?(2023.06.26)
- ポール・クレイグ・ロバーツは大量虐殺が好きなのか?(2022.05.01)
- ロシアの安全保障提案をワシントンが拒絶したのはまずい判断(2022.01.31)
- 欧米で、ジャーナリズムは宣伝省にとって替わられた(2021.11.23)
「トランプ大統領」カテゴリの記事
- ビビにとって、テヘランへの道はダマスカス経由(2024.12.07)
- トランプ大統領の対中国「貿易戦争2.0」は過酷なものになるだろう(2024.12.06)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
- トランプの「嵐」に対抗する反乱鎮圧作戦「開始」(2024.11.28)
- トランプ政権:「戦争タカ派なし」から「全員戦争タカ派」へ(2024.11.20)
« キエフ政権に耐えることが、ロシアにとって一体なぜ危険なのか | トップページ | The Camp of the Saints »
コメント