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2017年8月30日 (水)

歴史とジャーナリズムの武器化

Paul Craig ROBERTS
2017年8月28日

“非常に不愉快な事実など不要だ”

アメリカ合州国においては、真実の重要な要素、事実は重要ではない。事実はマスコミ、政治、大学、あるいは裁判所においては重要ではない。ワールド・トレード・センター三棟の倒壊に関する事実ではない説明が、公式説明として出されている。事実は政治化され、感情に訴えるよう表現され、武器化され、無視される。トーマス・ディロレンゾや他の“内戦”歴史学者が実証しており、デイビッド・アービングが自らの苦難で示している通り、英米の第二次世界大戦の歴史は、大半が良い気持ちにさせてくれる歴史なのだ。 もちろん勝者のみを、良い気持ちにさせてくれるのだ。そうした感情的な狙いから、不都合な事実は受け入れ難く、無視される。

真実を書くことは作家として成功する方法ではない。ごく僅かな率の読者しか真実に興味がない。大半の人々は、自分の先入観なり、洗脳されたことが正当化されるのを望んでいる。彼らは既に信じていることを読みたいのだ。そういうものは気分が安らぎ、元気づけられる。連中は無知を指摘されると激怒する。作家として成功する方法は、ある集団を選び、その集団の連中が望んでいるものを提供することだ。恋愛小説や国の神話を支持する歴史の市場は常に存在する。インターネットで成功しているサイトは、特定のイデオロギーや特定の感情や特定の利益集団を狙っている。成功の法則は、対象とする読者層が信じているものに真実を限定することだ。

9月に間もなく私からの四半期毎の当ウェブサイトご支援お願いをお読みになる際は、これにご留意願いたい。こういうサイトは少ない。当サイトは、利益集団やイデオロギーやヘイト集団や民族集団や、真実以外のいかなる大義をも代表するものではない。とは言え、当サイトには間違いがないと申しあげているのではない。真実が狙いだと申しあげているに過ぎない。

カール・マルクスは階級的真実しか存在しないと言った。現在は、様々な真実が存在する。フェミニストにとっての真実、黒人、イスラム教徒、ヒスパニック、同性愛者、性転換者にとっての真実、軍安保複合体のために働く外交政策業界にとっての真実、ネオコンにとっての真実、経済を支配する1パーセントにとっての真実、彼らに仕えるエコノミストにとっての真実、“白人至上主義者”にとっての真実という言葉そのものが、彼らに対抗する人々にとっての真実の言葉だ。読者も追加可能だ。こうした“真実”の中の“真実”はそれを主張している集団にとっての我田引水だ。こうしたものと真実との本当の関係は“真実”を信奉している連中にとっては、どうでも良いことなのだ。

誰か、あるいはどれかの集団の真実に賛成しないと大変な目に会う。著名な映画監督オリバー・ストーンでさえも無事ではいられない。最近、“対ロシア偽旗戦争”でストーンが彼のいらだちを明らかにした。二年間にわたる何時間ものインタビューに基づく彼のドキュメンタリー映画『プーチン』に対し、全く無知なマスコミ評論家連中から嘲笑や非難を受けるストーンのいらだちは不思議ではない。プーチンとロシアを悪者として描き、公式談話を裏付けるかわりに、真実をかいま見せたがゆえに、ストーンはやり玉にあげられているのだ。

Veteran Intelligence Professionals for Sanityという組織が、トランプ/ロシアによるアメリカ大統領選挙乗っ取りというぬれぎぬを完璧に論破した報告書を公表した。この報告についての客観的記事を掲載した「ネーション」が、安保複合体と協力して、トランプに対して画策している主張に不利な情報を掲載したかどで攻撃されている。この雑誌の読者は、雑誌には、真実を語る義務ではなく、トランプを引きずり下ろす義務があると感じたのだ。編集者は、記事を撤回するかどうか検討中だと報じられている。

左寄りのオリバー・ストーンや左翼雑誌「ネーション」が、リベラル/進歩派/左翼と、そのお仲間の軍安保複合体が傾倒している我田引水の“真実”に同調しない情報を提供したことで、攻撃されているのだ。

ある国の国民の中に、各集団固有の真実以外の真実が存在していなければ、その国は酷く分裂していて、完全におしまいだ。“もし家分れ爭はば、其の家立つこと能はざるべし”。対立を生むアイデンティティ政治というものの白人リベラル/進歩派/左翼指導者連中は、彼らが率いていると考えている運動が一体どこに向かっているのか、ほとんど理解できていない。現時点では、憎悪は“白人国粋主義者”であり、“白人至上主義者”である“オルタナ右翼”に向けられている。これら“白人至上主義者”は、南部連合国兵士や将軍たちの像で代表されるようになっている。南部の至る所で、もし地方当局が像を撤去しなければ、憎悪のとりこになった暴力的な狂った暴漢連中が実行する。ニューオーリンズでは、誰か金持ちが、外部から暴漢をバスで送り込み、自分たちの歴史がオーウェル風メモリー・ホールへと捨て去られるのに反対する現地の人々と対決させ、明らかに共産主義者の旗に由来するように見える旗を振らせた。

全ての記念碑が無くなったら一体何がおきるだろう? 憎悪は次は一体何に向かうのだろう? かつては非白人は、白人を憎悪するよう教えられ、自己嫌悪している白人さえも安全ではなかった。そうした教え込まれた憎悪が、一体どうして、良い白人と悪い白人を区別できよう? 出来ないし、するはずがない。本来、アイデンティティ政治では、白人、今なら白人異性愛男性は、加害者で、それ以外の全員、犠牲者なのだ。この概念のばかばかしさは明白だが、この概念はばかばかしさで揺るぐことはない。白人異性愛男性だけには割り当て特権がない。彼らだけ、大学入学や雇用や出世で最後にされ、彼らの発言だけが規制される。彼らだけが“性を特定した単語”を使ったかどで、人種を特定した単語を使ったかどで、うっかり、もはや許容できない言葉を使って、どれかの優先される集団のメンバーを不快にさせたかどで解雇されかねないのだ。彼らだけが、人種差別主義者、女性嫌いから始まって、本の中でありとあらゆる名前で呼ばれるが、誰も侮辱のかどで罰されることはないのだ。

長年評論家たちは、アメリカ合州国における言論の自由の分野が縮小しているのを感じてきた。白人男性以外の誰かを不快にさせるあらゆる発言は、懲罰によって、抑制されてしまうのだ。最近、ラザフォード研究所を主催する憲法弁護士ジョン・ホワイトヘッドが、言論の自由を擁護するだけでも危険だと書いた。米国憲法修正第1項「言論の自由」条項に言及するだけでも、非難や暴力の脅しを引き起こすのに十分だ。“物議を醸す”と悪者化されたウェブサイトはどれも、インターネット企業やPayPalがサービスを停止して、言論の自由を終了してしまい、消滅する運命にあるとロン・ウンスは言っている。

最近、一流大学経営学大学院の教授が、マーケティングの議論で「ガールズ」という単語を使ったと言った。若い女性が不快になった。その結果、彼は学部長に油を搾られた。別の教授が、彼の大学では、要注意単語のリストが大きくなっていると教えてくれた。リストが公式なのか、非公式なのかはっきりしなかったが、教授たちは、アイデンティティ政治に遅れないよう、解雇を招きかねない単語を避けるよう努めている。彼らに言わせれば、権限は、本当の犠牲者階級、白人男性以外の場所にあるのだ。

例えば“内戦”のような話題を教えるのは難しいことに違いない。例えば、北軍による南部連合国侵略の前、何十年にもわたり、奴隷制度ではなく、関税を巡る北部/南部の政治対立があったというような実際の事実は、一体どうすれば説明可能になるのだろう?

旧“インディアン”領土から加わるどの新しい州が、“奴隷制”になり、どの州が“自由州”になるかを巡る争いは、議会における保護貿易論者(北部) 対 自由貿易論者 (南部)の勢力のバランスを、駆け出しの工業化北部が関税を押しつけられないようにすべく、均等にしておくことを巡る戦いだった。リンカーン就任演説の二日前、法外な関税が法律として成立した。同日、南部に関税を受け入れさせ、脱退していた一部の南部州や、脱退していなかった一部の州を、合衆国に残らせ、あるいは復帰させるのを狙って、議会は奴隷制度を憲法上で保護するコーウィン修正条項を成立させた。修正条項は、連邦政府が奴隷制度を廃止することを禁じていた。

二日後、南部を意図したように思える就任演説で、リンカーンはこう述べた。“私には、直接的にも間接的にも、奴隷制度が存在する州においてそれに干渉するつもりはない。私は自分にそうする法的権利がないのを知っているし、そうしようとも思っていない。”

南部に対するリンカーンの不満は、奴隷制度や逃亡奴隷法を巡るものではなかった。リンカーンは、脱退を受け入れず、今や法律になった関税を徴収するつもりでいた。憲法のもとで、奴隷制度は、州次第だったが、憲法は連邦政府に関税を徴収する権限を与えていた。関税徴収を巡って“流血や暴力は無用だ”とリンカーンは言った。“関税や賦課金を徴収するために”政府権限のみを行使し、“いかなる場所でも、人々に対し、侵略も武力行使もしない”とリンカーンは言ったのだ。

“大解放者”リンカーンは、輸入品に関税や賦課金を支払いさえすれば、奴隷制度を維持しても良いと南部に言っていたのだ。一体何人のアイデンティティ政治で洗脳された黒人学生や白人学生が現場に座り込み、そうした話を聞き、白人至上主義を正当化する人種差別主義教授に強く抗議しなかったのだろう?

わけがわからなくなった歴史に起きるのは、先入観に合わせるための改造だ。いわゆる“内戦”は、もちろん唯一の例というわけではない。

脱退文書で、サウスカロライナ州は、憲法第4章の誓約を破った一部の北部州によって憲法上の契約が破られたと主張した。これは本当だ。ところが、南部州には“連邦議会は租税、関税、輸入税および賦課金を賦課し、徴収する権限を有す”とある第I章第8条に従うつもりが無かったのも事実だ。だから、関税を受け入れなかった南部も、憲法上、潔白とは言えなかったのだ。

歴史が政治化される前は、歴史学者は、北部が、南部に、北部の産業・製造業発展の負担を負わせるつもりだったことを理解していた。農業地帯の南部は、価格がより安いイギリス商品を好んでいた。南部は、イギリス商品への関税は、輸入品価格を、高価な北部商品の価格より押し上げ、北部の生活水準を上げるため、南部の生活水準を下げることを理解していた。対立は、もっぱら経済的なもので、北部にも存在していた奴隷制度とは何の関係も無かった。実際、北部州の中には、州への黒人移民を禁じる法律を成立させているものがあった。

もし、奴隷解放が北部にとって重要で、関税を避けるのが南部にとって重要だったのであれば、何らかの妥協も考えられたはずだ。例えば、北部は、南部に工場を建設すると約束できていたはずだ。南部が工業化すると、綿の輸出をしていた農業プランテーションから、新たな富の中心が独力で出現する。労働力は経済に適応し、奴隷制度は自由労働に発展していただろう。

残念なことに、短気な連中が余りに多かった。そして現在もそうだ。

アメリカには憎悪以外何もない。アメリカでは、どこを見回しても憎悪しか見えない。プーチンは憎悪される。ロシアは憎悪される。イスラム教徒は憎悪される。ベネズエラは憎悪される。アサドは憎悪される。イランは憎悪される。ジュリアン・アサンジは憎悪される。エドワード・スノーデンは憎悪される。白人異性愛男性は憎悪される。南部連合国記念碑は憎悪される。真実を語る人は憎悪される。“陰謀論者”は憎悪される。憎悪されることから逃れられる人は誰もいない。

我々はお互い憎悪しあっているのに、シオニスト・ネオコンは我々が“必要欠くべからざる、例外的な国民”だと請け合ってくれる。完全に分断された我々国民には、世界を支配し、我々の支配を受け入れないあらゆる国を爆撃して石器時代にする権利があるのだ。

あらゆる世論調査によれば地球上で最も軽蔑され憎悪されている国アメリカを、お返しに世界が憎悪する。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/08/28/weaponization-history-journalism/
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テレビを夕方まで見なかったので、それまでミサイル騒ぎを全く知らなかった。
無意味な洗脳。あらゆる局・紙が一斉に報じるものは決まってうさんくさい。
支持率が下がると発射されるのが、お決まり。
宗主国とこの国の支配者、軍産複合体の力と収益のための茶番。
どんな施設に逃げ込んでも原発を攻撃されればおしまい。

大本営広報部洗脳を受ける暇があれば『渚にて』を読まれた方が意味があろう。
2017年版『渚にて』戦争の手招き

最後の文で、世界で三番目に軽蔑されているだろう国に暮らしていることを思い出した。

選挙に備え、新第二自民党勢力が蠢動しているのを大本営広報部は丁寧に報じる。
「ファシストが準備体制を固めないうちにと、選挙を早める」というわけ説を再三みるが、第二自民党がいくら増えても、自民党も公明党も何も困ることはないはずだ。それは好ましいことでもあるだろう。そこで、
「ファシストがボロをださないうちにと、選挙を早める」のが真実ではないかと想像している。

「AIだから」という不思議発言、Aあたしの Iいちぞんと解釈するのが正解か。

壊憲による宗主国のための「醜の御楯」体制に着実に近づいているようだ。

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