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2017年8月13日 (日)

朝鮮問題で、ワシントン側につくのは何故危うい可能性があるのか

Finian CUNNINGHAM
2017年8月10日
Strategic Culture Foundation

国連安全保障理事会で、アメリカが率いる最近の対北朝鮮経済制裁を支持して、中国とロシアは、アジアの半島における危機解決のため根拠の薄い賭けをしたように見える。ワシントンの懲罰的経済制裁に従うことで、アメリカは彼らの包括的交渉提案に折れ、アメリカ同盟国韓国との軍事演習を凍結するだろうと北京とモスクワは計算しているのだ。

中国とロシアは一連の行動を後悔しているかも知れない。先週末、新たな対北朝鮮経済制裁が課されて以来、地域における緊張は、憂慮すべきレベルに高まった。アメリカのトランプ大統領は、北朝鮮に対して“世界がこれまで目にしたことのない力の”“炎と怒り”を放つと威嚇した後、“錯乱した”言葉を使ったと議員たちに非難さえされている 。アメリカ議員の中には、トランプの言辞を北朝鮮の激しやすい指導者金正恩のそれと比較する向きもある。

北朝鮮は、予想通り、トランプの怒りの爆発に、北朝鮮指導部は、太平洋の島グアムにあるアメリカ空軍基地への先制軍事攻撃を考えていると宣言して応えた。

地域は確実に核兵器を使用する戦争の一触即発状態におかれている。北朝鮮は、とうとう既に能力が証明済みの大陸間弾道ミサイル(ICBM)に核弾頭を装着する技術を習得したと、アメリカ側は結論するに至ったと、ワシントン・ポストが今週報じた。つまり、もし軍事的対立が勃発すれば、アメリカは圧倒的な力を行使したくなるだろう。

今週が1945年広島と長崎へのアメリカによる原子爆弾投下72周年であることを考えると、“世界がこれまで目にしたことがないような力”を行使するというトランプの言葉は実に凍てつくようだ。

先週、国連安全保障理事会が開催された際、15票対0票の満場一致で、決議2371を成立させた。中国とロシアの驚くべき転換だった。先月、7月4日の北朝鮮によるICBM実験後、北京もモスクワも、更なる対平壌経済制裁というアメリカの呼びかけを拒否していた。両国は当時、経済制裁政策は機能しないと主張し、長年にわたる朝鮮危機を解決するための全当事者参加の対話を呼びかけていた。中国とロシアは、アメリカと同盟国韓国が、共産主義北朝鮮が、侵略の脅威と感じている頻繁な共同戦争演習を止めるという大いにもっともな呼びかけもしていた。

ここ数週間、アメリカと中国は、朝鮮問題を巡り、本格的な交渉をしていたとされている。トランプは、中国の習近平主席が、同盟国北朝鮮を制御するのに十分なことをしていないと非難していた。アメリカは、貿易と知的財産権という広範な問題で、中国に対し、懲罰的行動をとるとも威嚇していた。週末、国連安全保障理事会での投票前、貿易上の紛争を巡り、中国に対する、アメリカの強硬な行動を説明すると予想されていた演説を、トランプは不可解にも取り消した。これは、ワシントンと北京の間で何らかの取り引きが行われ、その一環として、中国が、更なる対北朝鮮経済制裁に賛成したことを示唆している。

国連安全保障理事会での満場一致投票後、トランプと国連大使ニッキー・ヘイリーは、“ならずもの国家北朝鮮”に対する“団結した対応”を巡る喜びを到底隠すことができなかったと報じられている。

ロシアがこれで一体何を得るのか明らかではない。おそらく、ロシアは対北朝鮮経済制裁に拒否権を行使すれば、世界中の激怒を招くだろうと感じたのだ。しかしワシントンが挑発的に同様な措置をロシア自身に対しても課している同時期に、モスクワが経済制裁に賛成するのは奇妙に見える。

中国とロシアの思惑にあるのは、北朝鮮に対して厳しくするというアメリカの願望のご機嫌をとることで、アメリカが、多国間交渉の呼びかけと、朝鮮半島での軍事活動凍結に同意するのを期待であるように見える。

中国とロシアの国連大使は、いずれも最新の対北朝鮮経済制裁決議と、二つの朝鮮、中国、ロシア、日本とアメリカが参加する六者間交渉の再開を組み合わせていた。これらの交渉は、2009年に、アメリカと北朝鮮が非難合戦で決裂して以来中止されている。

先週、国連投票前に、アメリカ国務長官レックス・ティラーソンが重要な演説を行い、アメリカは平壌の政権転覆を目指しているわけではなく、北朝鮮に対する戦争をする意図も皆無だと述べた。

国連経済制裁の採決後、マニラにおける東南アジア諸国連合サミット出席中のティラーソン発言は融和的だった。サミットには、中国の王毅とロシアとセルゲイ・ラブロフの両外務大臣も出席していた。もし北朝鮮がミサイル実験を止めれば、アメリカは北朝鮮と対話する用意があるとティラーソンは述べた。これは、朝鮮問題解決に向けたアメリカ側からの大幅な譲歩のように見える。

ところが、ここで計算がボロボロになる。中国とロシアが、更なる対北朝鮮経済制裁を支持したことで、アメリカの姿勢は若干軟化したかも知れないか、一体どのような代償を払ったのだろう?

北朝鮮側からすれば、経済制裁強化は戦争行為も同然だ。新たな措置は、石炭や鉱物や海産物を含む北朝鮮の主要輸出収入産品の禁輸を狙っている。新経済制裁は北朝鮮の年間輸出収入を、三分の一削減し、年間20億ドルにすると言われている。予想通り平壌は、経済制裁は主権に対する攻撃だと言って、激しく反撃した

トランプのツイッター外交嗜好を考えれば、今週示されたように、言い合いの悪循環は破滅的な誤解を招きかねない。

振り返ってみると、北京とモスクワが、新経済制裁を巡ってかけをしたのは驚くべきことに見える。起きた損害を元に戻すことはできない。しかし、中国とロシアがすぐさますべきなのは、全ての当事者が多国間協議に入り、軍事力を解くよう主張することだ。地域における軍事力を解除する義務は主にアメリカにある。アメリカは、今月末に再度予定されている同盟者ソウルとの挑発的演習を中止する必要があり、韓国領土内で継続中のTHAADミサイル・システム設置を止める必要がある。

中国とロシアが、アメリカ経済制裁を巡って迎合し、引き替えに、譲歩として、何事かを期待するのは見当違いだ。尊大なアメリカ人には譲歩の意味が分からず、連中は弱みを見抜いて、弱みにつけこもうとするだけのことだ。

更なる対北朝鮮経済制裁というアメリカの要求を甘やかすと、ワシントンの傲慢さと、何のおとがめもなく済むという感覚をつけあがらせる危険がある。アメリカによる外交資産差し押さえや、更なる経済制裁を巡る自らの経験からして、誰よりもロシアこそ、力学を理解しているはずだと思いたくなるのだが。

モスクワと北京が早急にすべきことは対北朝鮮新経済制裁を気にすることではない。両国は、ワシントンに、北朝鮮に対して、1953年の朝鮮戦争休戦以来、ずっと差し迫ってきた脅威軍事的脅威を除去するよう要求すべきなのだ。それから、全ての当事者が、半島の包括的和平調停のための交渉を無条件で開始しなければならない。

がき大将への迎合が良いことだったためしなどないのだ。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/08/10/why-siding-with-washington-korea-may-be-dangerous.html
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日本の対応を指摘してくれる文章。

昨日見損ねたIWJインタビューを、これから拝聴する。日刊IWJガイド・日曜版冒頭を引用させていただこう。

日刊IWJガイド・日曜版をお送りします。

 昨日は新刊『日米開戦へのスパイ――東條英機とゾルゲ事件』を上梓したばかりの元外務省国際情報局長・孫崎享さんに、岩上さんがロングインタビューを行いました。

 「ゾルゲ事件」とは、ロシア系ドイツ人のリヒャルト・ゾルゲを中心とするソ連のスパイ組織が戦前に、日本で諜報活動を行なった罪で死刑などの重罪が科せられた事件です。ゾルゲらの任務は主に日本の対ソ戦略の調査と、対ソ攻撃研究の計画や報告とされ、その成果はソ連を対独戦における勝利に導いたと言われています。「ゾルゲ事件」は、大戦前夜の日本を揺るがせた「20世紀最大のスパイ事件」として語り継がれてきましたし、実際に、冷戦期のソ連で宇宙飛行士に匹敵する「英雄」とされました。

 今では忘れられつつあるこの「大事件」が、実は開戦派の東條英機陸相が開戦反対派の近衛文麿首相を追い落とすための「謀略」に利用するなど、「日米開戦の本筋と大きく関わっていた」と孫崎さんは説明。それだけでなく、「ゾルゲ事件」は、冷戦期の「反共」のプロパガンダとして、米国や日本などで「再利用」されてきたこともご解説してくださいました。

 孫崎さんは、膨大な資料や書籍を分析し、ゾルゲはスパイとしては有能とは到底言えず、世界大戦の戦況を大きく変えるようなスパイ活動など行えていなかったばかりか、むしろ、ソ連側からは酒飲みの使えないスパイくらいに思われていたと指摘します。また、当時、ゾルゲ事件を担当した検察官や特高警察の担当官も、戦後、「ゾルゲに死刑の判決があるとは予想していなかった」などと、ゾルゲの「罪」の小ささをはっきりと認識していたことを明かしています。

 ではなぜ、戦前の日本を震撼させ、戦後は「20世紀最大のスパイ事件」などとして世界で大きく取り沙汰されたのでしょうか。

 昨日のインタビュー冒頭で話題にのぼりましたが、現在、北朝鮮がグアム沖にミサイルを発射すると匂わせたことを受け、小野寺五典防衛相が、グアムに向かうミサイルを自衛隊が迎撃するオプションもあるとの異例の発言をし、物議を醸しています。

 米国のために武力行使すれば日本が北朝鮮から壊滅的な反撃に遭うのは確実で、岩上さんは「そこになぜ日本が首を突っ込むのか。同盟国が喧嘩をおっ始めようと、日本の安全第一に振る舞うのが日本の政治家のはずだ」と批判。そのうえで、小野寺防衛相の発言の背景には、日本は今も「米国占領下の戦争協力体制の継続」という「朝鮮戦争レジーム」の下にあり、米国の「戦争の道具」としての役割を深めている現実があると指摘しています。

 しかしなんと、こうした「朝鮮戦争レジーム」の始まりにも、「ゾルゲ事件」は深く関わっているんですね。

 「ゾルゲ事件」は過ぎ去ったスパイ事件ではなく、戦時中は日本の日米開戦へと向かう大きなキッカケのひとつであり、かつ、戦後の日本の道を決定づけるうえで重要なプロパガンダの役割を果たした、現代を生きる我々にも深く関わる闇の深い事件だったんですね。話はかなり多岐に渡りましたが、すべては一本の糸でつながっています。さっそくアーカイブをアップしましたので、ぜひ、御覧ください!

※日米開戦の隠された真実に迫る!新刊『日米開戦へのスパイ 東條英機とゾルゲ事件』著者・孫崎享氏 に(元外務省国際情報局長)岩上安身が訊く!第一弾
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/395300

 岩上さんによるインタビューアーカイブは、一般会員様であれば1ヶ月、サポート会員様であれば今後、いつでも好きなときにご自由に御覧いただけます。孫崎さんサイン入りの『日米開戦へのスパイ――東條英機とゾルゲ事件』も、会員限定で20冊販売いたしますので、この機会にぜひ会員登録をお願いします!

※IWJ会員登録はこちらからよろしくお願いします!
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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