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2017年7月30日 (日)

ロシアとの紛争を推進するべく、脇に追いやられるトランプ

2017年7月26日
Paul Craig Roberts

更なる経済制裁を課し、オバマ大統領が課した経済制裁を取り消すトランプ大統領の権限を剥奪しようという愚かな法案で、議会は一体何をするつもりなのだろう?

議会は二つのことを行っている。一つは議会は、でっち上げの脅威を維持するため、ロシアに対してきつくあたることで、軍安保複合体連中という選挙運動資金献金者のために働いているのだ。そこで、アメリカ国民は、医療用の資金を見出す場所として、膨大な軍/安保予算に目をつけないようにさせられ、医療を拒否される。

もう一つは、トランプ大統領を閉じ込めることだ。もしトランプが、この大統領権限侵害に拒否権を発動すれば、議会と売女マスコミは、拒否権を、トランプが、ロシアの手先で、彼の拒否権で、ロシアを擁護している確証だと言うだろう。もしトランプが、法案に拒否権を発動しなければ、トランプは敗北を認め、ロシアとの危険な緊張を緩和できないことを受け入れることになる。

言い換えれば、法案はトランプにとって利益皆無だ。ところが、共和党は、この法案を支持して、自分たちの大統領を傷つけている。

昨日、でっち上げのヤラセNPR番組“All Things Considered(=「総合的にみると」)” (NPRは、決して総合的にみることはない)での二人の女性のインタビューを見た。トランプが、間違って、司法長官に任命したジェフ・セッションズへの失望を表明したことに焦点を当てるプロパガンダ番組だった。

トランプがセッションズを任命した際、民主党も売女マスコミも怒り狂った。セッションズは“不適格だ”“人種差別主義者だ”云々。ところが今やセッションズは、売女マスコミと民主党のヒーローだ。トランプの“ロシア工作員”容疑を、たまたま、反トランプの既存支配体制のメンバーである特別検察官によって捜査することの正当化についての疑問で、彼はトランプを裏切ったので、連中は彼をひいきにしているのだ。

言い換えれば、かつて既成支配体制によってうちのめされたセッションズは、恐ろしくて仕事ができないのだ。

言い換えれば、トランプは、私が想像した通り、閣僚を選ぶ際、自分が何をしているのか分かっていなかったのだ。

そこで、彼は自らの無知ゆえに、今苦しんでいる。

NPRの二人の女性によるヤラセ・インタビューの要点は一体何だったのだろう? 要点は、セッションズは、トランプと違い、法の支配を尊重するが、トランプは自らの罪を隠蔽するために法を曲げることも辞さないことだ。インタビューは、二人の女性が、そうとは直接言わずに、トランプがセッションに怒っているのは、トランプが何らかの違法な“ロシアとのつながり”のかどで有罪である証明だと言わんとするよう仕組まれていた。

言い換えれば、入念に仕組まれたあてこすりだったのだ。誰があてこすりを組み立てたのだろう? NPRの女性たちは、台本を読んでいたに過ぎない。

私の知るかぎり、トランプ政権内には トランプに忠実な人間や、ロシアを挑発するのを止め、中東でイスラエルの軍事力役であるのを止めるというトランプの取り組みを進んで支持する人物は皆無だ。私の知るかぎり、民主党のみならず、共和党も、正当ではない人々-ヒラリーの表現を使えば“みじめな連中”の投票で選ばれたのだから、トランプの当選は正当ではないという左翼の見解を支持している。

“惨めな連中”とは一体誰だろう?彼らはアメリカ労働者階級の残存者だ。彼らは、より安い労賃による、より多くの利益によって、株主と幹部を富ませるため、その雇用がアメリカ・グローバル企業によって、アジアに海外移転されてしまった人々なのだ。彼らは、何とかやりとりするため、不足する収入の代わりに、借金に頼らざるをえず、借金が余りに多いため、可処分所得がない。非常に多くのアメリカ国民は、個人財産を売らなければ、わずか400ドルさえ手にできない。

言い換えれば、彼らはアメリカの破壊された中産階級からの難民なのだ。

トランプは、彼らを破壊した金持ちに対し、彼らのために立ち上がったのであり、金持ち連中は今や、トランプを破滅させようとしている。

これは良い教訓になる。以後アメリカ合州国では、誰もアメリカ人をあえて応援しようとはしなくなるだろう。もはや、アメリカは、アメリカ人のものではなく、世界は世界の人々のものでない。アメリカと世界は1パーセントのものなのだ。他の誰のものでもない。ロシアと中国とイランは邪魔をしているので、これらの国々はワシントン攻撃対象リスト上にある。

毎回、逆の結果になっているにもかかわらず、ワシントンと合意に至れると、ロシア人が信じ続けているのを見るのは心が痛む。この非現実的な希望はロシアを破壊しよう。ロシア政府は藁を掴もうとし続けて、油断してしまうのだ。

ワシントンとの様々な協定が宙ぶらりん状態になったままという長年の実績の後に、ワシントンとの協定に、何らかの価値があるとロシア政府が信じられるというのは実に驚くべきことだ。

おそらくロシアは、ワシントンで彼らが直面している悪に気がついている。おそらくロシアが外交を強調しているのは、ワシントンが彼らにしかけようとしている戦争の準備が済むまで、時間稼ぎの手段に過ぎまい。

偉大な素晴らしい松明、つまりワシントンの民主主義、“例外的な”国民と“必要欠くべからざる”国の政府としても知られているものは、尊大さと傲慢さの中に消え、地球上の生命を破壊することに疑問の余地はない。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/07/26/trump-moved-aside-conflict-russia-can-proceed/
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横浜市長選挙の日。横浜市教育委員会は、育鵬社の歴史・公民教科書を採択している。同じ流れで、市民は、カジノ導入市長を選ぶのだろうか?

都心湾岸地域の地価がバブル期以上の上昇を見せる裏で、日本全体はアベノミクスの「異次元緩和」で空き家が急増!? 岩上安身による『不動産格差』著者・長嶋修氏インタビュー 2017.7.27

を拝聴した。衝撃的な内容。

たまたまほぼ同じ問題を扱っている『東京劣化』や『老いる家、崩れる街 住宅過剰社会の末路』や『滅亡へのカウントダウン』を読んだばかり。しかし、アベノミクスのいんちきさ、深刻な影響、類書は触れていなかったように思う。『不動産格差』、あわてて読み始めた。

大本営広報部呆導番組は決して報じない重要な話題。

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コメント

アメリカはアメリカ病に冒され、日本は日本病に冒されているという事ですね。

日本病の正体という本に書いてあった日本病の正体とは、日米合同委員会と特別会計の事だったと記憶していますが、私的には、日本病とは、日本国民の政治無関心こそが本当の病だと思ってます。
これは戦後の愚民化政策に端を発し、その後は自ら進んで白雉化していった愚かさの事です。

詳しい説明は省きますけど、本日の横浜市長選挙には愕然としました。
ある意味、予想通りとはいうものの、仙台市長選挙のすぐ後だから、もう少しはマシかと過剰な期待をしてしまった自分が情けない程です。

投票率20%台らしいとの事、何という体たらくぶりでありましょうや。
政治が自分自身の生活や将来の運命にも影響する大事な要素であるという認識が薄い人の比率が全国一とは、いやはや腰を抜かしそうです。

ああ、これでまた安倍政権は勢いを盛り返してしまいそうですね。
これに加え、民進党の凋落で、もう絶望です。

毎回素晴らしい翻訳記事ありがとうございます!

今回もポール氏の気持ちがとてもよく伝わる素晴らしい文でした。
彼がこれほどまでに特に今のアメリカに怒りと絶望を感じながらも、
まだ「アメリカ絶滅キボンぬ」とか言わないところが、
「まだアメリカに希望を持っている」
のですね。
ポール氏など、「アメリカの希望の目」は ま だ 僅かですが残っています。羨ましい限りです。

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