ワシントンが16年間戦争をしているのはなぜか?
2017年6月29日
Paul Craig Roberts
アメリカは、16年間、中東と北アフリカで、戦争をし続けて、何兆ドルも経費がかさみ、計り知れない戦争犯罪をおかし、何百万人もの戦争難民を送り込んで、ヨーロッパに重荷を負わせ、同時に、ワシントンには、社会保障やメディケアの義務を守る余裕がなく、あらゆる文明国にある国民皆保険の資金がないと主張している。
こうした巧妙に仕組まれた戦争の膨大な経費のおかげで実現されない膨大な社会的要求を考えれば、こうした戦争の目的について、アメリカ国民が、疑問を投じていて当然だろうと思いたくなる。このような膨大な経費で、一体何が実現されつつあるのだろう? 軍安保複合体が戦争による利益で肥え太れるようにすべく、国内ニーズは無視されている。
全くウソに基づいていることが証明済みのこうした戦争の目的について、アメリカ国民、マスコミや議会側に全く関心が欠如しているのは、驚くべきことだ。この沈黙の共謀、お金と命の浪費への、この驚くべき無関心は一体どのように説明できるのだろう?
大半のアメリカ国民は、9/11への政府の反撃として、こうした巧妙に仕組まれた戦争を、なんとなく受け入れているように見える。これは、イラク、リビア、シリア、イエメン、アフガニスタンもイランも(イランは威嚇と経済制裁を除けば、まだ実際には攻撃されていない)9/11と無関係だという事実の不思議さを深めるものだ。しかし、これらの国々には、イスラム教徒の国民がおり、ブッシュ政権と売女マスコミは、9/11をイスラム教徒全般と結びつけるのに成功した。
もしアメリカ国民と議会にいるその“代議員”が、戦争が実際は一体何なのかを理解すれば、おそらく、反対して決起するだろう。そこで、シリアに対するワシントンの戦争と、ワシントンが意図しているイランに対する戦争は一体何かをご説明しよう。ご用意は良いだろうか?
ワシントンはアメリカではないのでアメリカの戦争ではなく、シリアに対するワシントンの戦争には理由が三つある。最初の理由は軍安保複合体の利益に関係している。
軍安保複合体とは、多くの国々のGDPを越える年次予算を正当化する脅威を必要とする強力な私益や政府権益の連合だ。戦争は、この私益、国家権益の連合に、その重荷が実質世帯平均所得が何十年も上がっておらず、生活水準を維持するための負債が増えているアメリカ納税者の肩にかかる膨大な予算の正当化をもたらすのだ。
二つ目の理由は、アメリカ世界覇権というネオコン・イデオロギーだ。どう表現しても保守派ではあり得ないのが確実なネオコンによれば、共産主義と社会主義の崩壊は、民主的でも、資本主義でもない“民主的な資本主義”を、世界の社会-経済-政治体制として歴史が選んだことを意味しており、世界中に、アメリカ式を押しつけるのがワシントンの責務なのだ。ロシア、中国、シリアやイランのような、アメリカ覇権を拒否する国々は、アメリカ 単独行動主義の邪魔なので不安定化して破壊しなければならない。
三つ目の理由は、イスラエルが南レバノンの水資源を必要としていることだ。イスラエルは、二度、大げさに称賛されているイスラエル軍を、南レバノンを占領しようと派兵したが、二度とも、大げさに称賛されているイスラエル軍は、シリアとイランが支援している民兵ヒズボラに追い出された。
率直に言えば、イスラエルは、ヒズボラに、軍事的、経済的支援をしているシリアとイランの政府を殲滅するのに、アメリカを利用しているのだ。もしヒズボラを支援している国々をアメリカによって殲滅できれば、イスラエル軍は、パレスチナとシリアの一部盗み取ったように、南レバノンを盗み取ることができるのだ。
事実はこうだ。16年間、無頓着なアメリカ国民が、ワシントンの腐敗した政府が、国内で必要な何兆ドルを浪費して、アメリカ世界覇権というネオコン・イデオロギーと、イスラエルのために、軍安保複合体の利益に振り向けるのを許してきたのだ。
明らかにアメリカ民主主義は欺瞞だ。アメリカ国民以外の連中のために働いている。
アメリカの利益でないものにアメリカ政府が仕えたあげくのありそうな結果は一体なんだろう?
最善の前向きな結果は99パーセントの貧困だ。最悪の結果は核のハルマゲドンだ。
軍安保複合体、ネオコン・イデオロギー、イスラエルに対するワシントンの貢献は、圧倒的な事実を全く無視している。
シリアとイランを打倒しようというイスラエルの関心は、聖戦主義がロシア連邦や中央アジアに輸入されるのを防ごうとするロシアの関心とは全く矛盾する。だから、イスラエルは、アメリカをロシアとの直接軍事紛争に押しやっているのだ。
ロシアをミサイル基地で包囲するアメリカ軍安保複合体の財務上の利益は、ネオコンによるアメリカ世界覇権強調と同様、ロシア主権とは合致しない。
トランプ大統領はワシントンを支配してはいない。ワシントンは、軍安保複合体によって(アメリカ民主主義に対する脅威としての軍安保複合体についてのアイゼンハワー大統領演説をyoutubeでご覧願いたい)イスラエル・ロビーによって、そして、ネオコンによって支配されている。この三つの既得権益団体が、無力で、自分たちの未来に関する決定には関与しないアメリカ国民より優位に立っているのだ。
イスラエルに反対して立ち上がる全てのアメリカ下院・上院議員は、再選挙運動でイスラエルに敗北させられた。これこそが、何であれ、イスラエルが上下両議会を通過させようとすると、満場一致になる理由だ。海軍作戦部長で統合参謀本部議長のトーマス・モーラー海軍大将はこう公言した。“イスラエルに抵抗できるアメリカ大統領はいない。”アメリカにとって、どのような結果になろうとも、イスラエルは望むものを手にいれる。
モーラー大将は正しかった。毎年アメリカは、イスラエルに、アメリカ政府を買収するのに十分な資金を与えている。そして、イスラエルは実際、アメリカ政府を買収している。アメリカ政府は、アメリカより、イスラエルに、遥かに責任を負っている。下院と上院での評決がこれを証明している。
小さなイスラエルにさえ立ち向かえないワシントンが、ロシアと中国を威圧できると思っているのだ。ワシントンが、ロシアと中国挑発を継続するのは狂気の兆しだ。知性があるべき所に見えるのは、阿呆の証したる不遜と傲慢だ。
地球と、そこに棲む生き物が何よりも必要としているのは、聡明で、道徳意識があり、真実を尊重し、連中の権限の限界を理解することができる欧米指導者だ。
だが欧米世界には、そのような人材は皆無だ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/06/29/washington-war-16-years/
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最初の理由、軍安保複合体の利益の巨大化は、動き出せば止まらない。その方向に進む危険性を、『科学者と戦争』『科学者は戦争で何をしたか』そして、あの鋭い官邸質問をされた記者による『武器輸出と日本企業』を読めば感じざるを得ないはずだ。憲法破壊は、もちろん、宗主国による侵略戦争参戦が目的で、共謀罪は反戦運動弾圧法だ。
日本が、宗主国のいう通りに、中国挑発を継続するのは狂気の兆しだ。知性があるべき所に見えるのは、阿呆の証したる不遜と傲慢だ。
地球と、そこに棲む生き物が何よりも必要としているのは、聡明で、道徳意識があり、真実を尊重し、連中の権限の限界を理解することができる指導者だ。
だが日本には、そのような人材を選ぶ人々は極めてまれだ。
今日東京でも証明される。コウモリ・ファーストと与党と大本営広報部の共謀で。
あるいは、人力で票を数えない、コンピューター集計のせいなのだろうか?
必ず拝読しているブログ、「トラックバック」できなくなっている。いずれもlivedoor。反自民・公明、ファーストの団結?を阻止する目的だろうか。まさか、偶然の事故ではあるまい。先程確認したところ、予定の通り、無用な?機能を廃止したということのようだ。
視聴料を強制徴収する大本営広報部大政翼賛会、秋葉原での演説混乱を完全に無視していた。民放は流したが。
日本白痴放送には、香港の人々が中国支配に反対するのを報じる自由がある。
日本白痴放送には、日本人が属国傀儡支配に反対するのを報じない自由がある。
日刊IWJガイド・日曜版から、一部コピーさせていただこう。
※都議選前日ようやく表に姿を現した安倍総理を待っていたのは「やめろ!」「帰れ!」の嵐!怒れる聴衆の中には森友・籠池氏の姿も!安倍総理は有権者を指差し「こんな人たちに負けない」と逆上! 2017.7.1
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/387185秋葉原での安倍総理の街宣の様子を中継したIWJのライブストリーミングは、最大で5500人オーバーの同時視聴者数が集まりました。のべ人数はわかりませんが、何万人にもなると思われます。現場には行けずとも思いを共有したい市民が全国にたくさんいたのでしょう。ちなみにNHKの7時のニュースは、安倍総理への怒りのコールを完全に消して報道。いわゆるカッコつきの「公共放送」は、現場のリアルをまったく報じませんでした。
自民党がここまで露骨な逆風に晒された選挙は、近年では珍しいかと思います。「いつも自民党だけど、今回は自民党には入れないぞ」という方も多いかもしれません。しかし、その結果、小池百合子東京都知事の都民ファーストに票が流れてしまうのは、様々な観点から問題だと考えます。
IWJはこの間の取材で、小池知事がいまだに自民党に籍を置き続けていること、さらに、「古い政治をあたらしく!」というスローガンの都民ファーストの候補者の多くがもともとは自民党所属議員だったことを突き止め、「都民ファーストは第2自民党である」と指摘し続けてきました。まだ投票に行かれていない方は、ぜひこうした視点も踏まえて、貴重な一票を投じてはいかがでしょうか?
※速報! 都民ファーストの小池都知事は、自民党を離党していなかったことを、IWJが自らの取材で確認! 2017.6.29
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/386325※【岩上安身のツイ録】「古い政治をあたらしく!」というスローガンの都民ファースト、一枚めくると元自民党だらけ。小池氏も、側近も極右!日本会議の副幹事長!都民ファーストは第2自民党! 2017.6.30
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/386579さて、本日13時30分からは、岩上さんが「今治加計獣医学部を考える会」共同代表で市民運動を展開する黒川敦彦氏にインタビューをします!
都議会選で自民党の陣頭指揮をとる下村博文・都連会長が、加計学園から200万円の違法献金を受け取っていた疑いが報じられるなど、加計学園問題は、贈収賄事件へ発展する可能性が出てきました。黒川氏は、獣医学部の施設の坪単価が150万円と、通常より大幅に高いことに着眼し、建設費を水増しした「補助金詐欺の疑い」を訴えています。
この問題で安倍総理を追及し続ける野党議員らにも資料提供してきた黒川氏へのインタビュー、ぜひ、お見逃しなく!
★「加計学園」から新たな疑惑浮上! 建設費水増しで補助金詐欺!? 岩上安身による「今治加計獣医学部を考える会」共同代表・黒川敦彦氏インタビュー
[日時] 2017年7月2日(日)13:30~
[YouTube Live]https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?view=2&flow=grid
[ツイキャス]http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi
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