トランプ-プーチンの決定的瞬間
Finian CUNNINGHAM
2017年7月2日
Strategic Culture Foundation
間近に迫ったG20サミットでのドナルド・トランプとウラジーミル・プーチンとの会談は、今年最も期待されている政治的瞬間に違いない。握手、微笑、ボディーランゲージや言葉の全てが世界二超大国指導者の出会いの意義を解析するために子細に調べられるはずだ。
一部のアメリカ・マスコミが、アメリカ大統領選挙を巧妙に操作して、トランプをホワイト・ハウスに送り込んだのはクレムリンだったという疑惑を確認すべく、“工作員トランプ”と元“KGBスパイ・プーチン”との間の秘密の信号を捜すのは確実だ。このスパイ・スリラー言説は、主要アメリカ・ニュース・メディアで、ひっきりなしに報じられているが、トランプ就任から六カ月後になっても、共謀という主張を裏付ける確かな証拠は一かけらも現れていない。これはスパイ妄想話の一人歩きにすぎず、トランプ-ロシアの話題を一番広めているメディアの一つのCNNでさえ、最近、そんなものは“存在していない”とひそかに漏らすはめになった。
それでもなお、より重要なレベルで、来週末のG20サミットの際のトランプ・プーチン会談は、質的に“決定的瞬間”だ。二人の指導者は過去六カ月に少なくとも二回電話会話しているが、これが初めての出会いだ。
トランプ-プーチンの1対1会談がハンブルク・サミット中に予定されていることを確認して、セルゲイ・ラブロフ外務大臣は、会談でワシントンとモスクワの二国間関係の状態が“明らか”になると述べた。
先週金曜、モスクワでのプリマコフ記念会議講演で“大統領同士のハンブルク会談で、ロシア-アメリカ協力の見通しが明らかになるのを期待している”とラブロフ外務大臣は言った。
モスクワが期待している様子は当然だ。ラブロフ外務大臣が指摘した通り、アメリカとロシアの関係は、様々な差し迫った世界問題に対処する上で極めて重要なのだ。ところが彼が述べた通り、この関係は、“アメリカ国内での政治闘争によって、人質にとらわれていて”“異常な”状態に歪められている。
大統領選挙運動中、トランプはアメリカ-ロシア関係を新たな正常な友好的協力に戻す指導者だとして売り込んだ。これは、ウクライナやシリアのような国際問題を巡って、モスクワに対して強硬な対決姿勢をとると公約していた民主党のライバル、ヒラリー・クリントンと対照的だった。アメリカ有権者が、ロシアとの関係を回復するという彼の方針を好んだのもトランプ勝利の一因だと考えてもよかろう。海外における何十年もの無謀な戦争の後、アメリカ有権者はクリントンの対外強硬姿勢にうんざりしていたのだ。
ところが、トランプがホワイト・ハウスに入って以来、約束されていたアメリカ-ロシア関係正常化は実現していない。実際、ワシントンによる新たな経済制裁と、シリアにおけるアメリカ軍介入強化からして、関係は更に悪化したと言えるだろう。
双方と世界の核大国二国の関係が憂慮すべきレベルに陥っていることを認めている。今年4月、モスクワにおける初めての二国間会合で、レックス・ティラーソン国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、公然と嘆かわしい状況について述べた。
最近、アメリカ映画監督オリバー・ストーンとのインタビューで、トランプが大統領になって以来、アメリカとロシアの二国間関係に目に見える進歩はないと、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は述べている。
ホワイト・ハウスとクレムリンの両方が、より良い関係を願っていると表明している事実にもかかわらず、こうなのだ。
もちろん、大半の対ロシア政策はトランプの自由にはならない。タカ派共和党と民主党が支配する議会は、トランプの個人的な見解とは無関係に、一層敵対的な反ロシア経済制裁を押し通している。最新の経済制裁強化法案は、経済制裁を無効にする職権を行使するトランプの能力を抑えるような形で審議された。
我々が目にしているのは、アメリ民主主義の限界でもある。国民はロシアとの友好的な関係を追求したい大統領に投票したかも知れないが、アメリカの既存政治支配体制と、その強力なマスコミ機関は、そうした民主的表現の受け入れを拒んでいる。アメリカ支配体制と軍-安保機構の大部分は、クリントンと彼女風の冷戦外交政策が選挙に勝利するのを望んでいた。彼女は破れた。だが権力者連中は、ロシアに対する敵意という政策目標を採用するよう新大統領に強要する代案に落ち着いたのだ。
トランプは、アメリカ“陰の政府”と、その手先の、影響力が大きいマスコミ装置の人質になっているのだろうか? そうした要素が機能しているらしきことに疑いようはない。しかし、トランプ自身の意図が一体どうなのかはまだ明らかではない。議会が対ロシアの新たな、より厳しい経済制裁を課したのに加え、トランプの財務長官スティーヴン・マヌーチンも別の懲罰策に署名した。確かに、もしホワイト・ハウスに、クレムリンとの関係を正常化させる意図があれば、トランプは財務省が更なる経済制裁を産み出すのを止められたはずなのだ。
トランプのシリア政策への疑問もある。トランプが見守る中、シリア空爆を強化し、このアメリカ軍事攻撃を、シリア主権と国際法に対する重大な侵害だと正当に見なすロシアとの緊張をエスカレートさせた。ロシアは、将来のアメリカによる空爆は認められないとまで威嚇した。トランプはこの警告を心に留めるだろうか、それとも、シリアの同盟国ロシアとの全面対決挑発に専念しているのだろうか?
ハンブルクにおけるトランプとプーチンとの会談は、大げさに称賛されている決定的瞬間ではないにせよ、確かに注目すべき瞬間だ。もしトランプがタフガイ姿勢をとれば、アメリカ大統領が実際にワシントンの反動的反ロシア集団の人質であることを示す。哀れな形で、アメリカ政府を狂わせている偏執的なロシア嫌いに恐れをなしているのだと見なされることになろう。
あるいは、トランプがプーチンに嬉々として挨拶し、誠心誠意対応する可能性もある。しかし、その場合も、瞬間は多くを物語ることになる。ロシアに対する挑発的な敵意がワシントンで継続しているという文脈では“友好的なトランプ”は、影の薄い大統領だということになる。実際には何の権限もなく、最終的に意味ある政策を行うと信じることができない人物だ。
いずれにせよ、本当の決定的瞬間は、アメリカ民主主義は作り話だということだ。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/07/02/trump-putin-moment-truth.html
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決定的瞬間と訳した部分はmoment of truth。英語題名から二冊の本を思い出す。
『真実の瞬間』と『逆さまのピラミッド』後者は絶版。目からうろこの本だった。
洗脳白痴番組、電気料金と人生の無駄と思いながら、ひどさを見たくて、時折つけてしまう。延々絶叫議員とYouTube暴露タレント話。(耐えられないので、消音状態で。)
小生の人生に影響・関係がある話題は決して扱わない。
今日の日刊IWJを拝読して驚いた。大本営広報部は報じているのだろうか? 該当部分をコピーさせていただこう。
やはり「負担軽減」などまやかしに過ぎなかったのでしょうか。辺野古新基地建設をめぐり、政府がついに馬脚をあらわしました。
共謀罪の強行成立や加計学園文書の再調査結果の公表と重なり、ほとんど注目されませんでしたが、6月15日の参院外交防衛委員会で稲田朋美防衛相が、辺野古新基地建設後も普天間飛行場が返還されない可能性があると認めました。民進党・藤田幸久氏の質問にこたえての答弁です。
2013年に日米が合意した「普天間飛行場の返還条件」には、普天間飛行場のキャンプ・シュワブへの移設の他に、交通渋滞の発生を回避するためのインフラ整備や、KC120空中給油機の岩国飛行場の本拠地化、そして、民間空港の使用を想定した「緊急時の民間施設の使用」などが含まれています。
・沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画(仮訳)平成25年4月(防衛省HP参照)
http://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/saihen/pdf/20130405_okicon_plan_j.pdf民進・藤田議員は、「緊急時の民間施設の使用」について、「現時点で具体的な内容が決まっていないため米国側と調整していくというが、米国側との調整が整わなければ普天間基地は返還されないということで間違いないか」と質問。稲田防衛相は、「(米国との調整ができなければ)返還条件が整わず、返還がなされないということになる」と断じ、米国との調整次第では、辺野古新基地の建設後も普天間飛行場は返還されないと、歴代防衛相として初めて明言しました。
続きは会員登録の上、以下のアーカイブからお読みいただけます!
※「条件が整わなければ返還されない」~辺野古新基地の建設後も普天間は返還されない!? 稲田防衛相が驚きの答弁!「名護が犠牲払う意味なくなった」~現地住民の思いをIWJが現地レポート!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/388345辺野古を抱える名護市三原在住の浦島悦子さんは、「普天間が危険だから移設するという話だったから、名護の住民の中には、『普天間よりマシか』と考える人もいた」と話し、「しかし、名護が犠牲を払って受け入れても、結局、普天間飛行場はなくならないことが今回、明らかになった。辺野古新基地を受け入れようという人たちも、『もう我慢できない』となるのではないか」と語りました。
また、浦島さんは県外に向け、「メディアが沖縄を報道しなくなっている」と指摘し、「ここに実際にこられなくても、IWJのようなネットメディアもある。正確な情報が広まって、これが沖縄の問題ではなく日本の問題だと認識する人が増えてほしい」と訴えました。
IWJは引き続き、沖縄中継市民の皆様のご協力を得ながら、沖縄県外ではほとんど報じられない沖縄の米軍基地問題を現地から発信し続けます。どうかまだ会員登録がすんでいない方はIWJ会員としてIWJの取材活動をご支援ください。
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