« テロの罪をなすりつける | トップページ | カタール危機:三つのならず者国家による、イランを弱体化させるための、もう一つの無様なたくらみ »

2017年6月12日 (月)

ワシントンの帝国はほころびつつあるわけではない

Paul Craig ROBERTS
2017年6月4日

軍治安複合体は、70年を費やして、帝国を構築した。複合体は、帝国を脅かしたアメリカ大統領の一人(JFK)を暗殺し、もう一人の大統領(リチャード・ニクソン)を辞任させた。ワシントンの外交、経済政策方針に従わない可能性がある政治家が、ヨーロッパで当選するのを、複合体は容認しない。

欧米マスコミ、更にロシア・マスコミによれば、複合体は、突然、アメリカを支配してはいない一人の男性、トランプと、ドイツを支配してはいない一人の女性、メルケルに、帝国を破壊させようとしている。

売女マスコミによれば、パリ協定(気候変動枠組み条約)から離脱し、アメリカ納税者が過剰負担している同盟予算に、もっと貢献すべきだと、NATO加盟国に語って、トランプは、メルケルに、ヨーロッパは、もはやワシントンには頼れないという結論を出させた。トランプとメルケル間の不和と、ワシントンが指導的立場を放棄したことが、欧米同盟を破壊しEU自体、崩壊の瀬戸際にある。

こうした説は全て途方もなく愚かだ。実際に起きているのはこういうことだ。

ダークスーツを着て、ダークなネクタイをしめ、ブリーフケースを持った連中が、トランプに、ロシアとの関係正常化はワシントンの政策ではないと説明し、パリ協定を離脱するのは、ワシントンの政策ではないと説明した。トランプは、これに類することを言った。なあ君たち、ロシアとの和平構想や、シリアから撤退するという私の意向をあきらめるよう既に要求したではないか。今度は“アメリカ・ファースト”の公約を放棄するよう強いている。もし国民が、私が本当に大統領なのではないと気づいたら、一体誰を使って支配するつもりだ? 妥協してはどうだ?

そこで取り引きがまとまり、トランプは演説で実にはっきりさせたのだ。彼は、パリ協定から、アメリカを一時的に離脱させながら、アメリカにとって負担がより少ない条件で、パリ協定に再加入する交渉を即座に始めている。言い換えれば、“離脱”は、アメリカの経費負担が若干減少する結果をもたらすため、面目を保つべく、故意に演じているジェスチャーなのだ。“トランプが勝利”し、パリ協定も傷つかないことになる。

再選の必要性に直面しているメルケルは、自分が引き入れ、犯罪、強姦や、テロを国内にもたらした百万人のイスラム難民から、ドイツ国民の注目を逸らす後押しが必要なのだ。ヨーロッパは、もはやアメリカには頼れないという彼女の劇的発言は、注目を逸らすための完璧な手法だった。トランプとメルケルが協力して、これをいかに演じるか、同意していても私は驚かない。

記者も評論家も、明らかな真実を報じることはできない。一体なぜだろう? アメリカの指導力を破壊したことで、トランプを非難する好機を、欧米マスコミは、見逃すことができず、気候、環境組織にとって、トランプの気候破壊に反対する資金集めの好機なのだ。アメリカが独自の道を行く結果、NATOとEUが崩壊するという、ロシアにとっての願望をロシア評論家たちは見ている。

このマスコミによる欺瞞には、二つの重要な意味あいがある。一つは、大統領を制約し、大統領が選挙運動で公約したものを、自分たちのものに置き換えることができる権力中枢が存在するという事実を、アメリカ人にも世界にも見えなくすることだ。我々は、オバマでこれを見たが、オバマはそもそも、そういうつもりではなかったと説明された。今回トランプについても、同じ説明がされるだろう。大統領が軍治安複合体と金融部門に制約されているという事実は決して伝わらない。かくして、選挙によって変化をもたらせるという『マトリックス』民主主義神話により、人々を現実が見えないままにし続ける。

二つ目の結果は、EU、NATOいずれの加盟国でもなく、国家主権を維持しながら、欧米の一員になりたいとずっと願っているロシアにとって、アメリカ指導部撤退報道で、ヨーロッパに加わる新たな期待をすることが許されるのだ。もしロシアが、ドイツのメルケルを“西欧最後のリベラルな指導者”と聖別したニューヨーク・タイムズ記事を本気にすれば、軍事的準備とアジアとの経済関係進展を減速することで、ロシアは軍事的、経済的に裸にされかねない。

ニュース報道や論評が、権力側の政治目標や強い願望を反映している限り、人々は実際の出来事を、ほとんど知ることができない。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/06/04/washington-empire-not-unraveling.html

----------

イギリス選挙、結果報道を見ていて、うらやましく思ったのは、投票箱を運ぶ少年たとちと、票を数えるらしき人々、それを見ている人々。ムサシのようなシステムがないことが、イギリス選挙で劇的な結果をもたらしたのでは、と妄想。

それに引き換え、フランス、まるで日本のコピー。新自由主義万歳。肉屋を支持する豚。

東京都議選挙、確実に、イギリス風ではなく、フランス風。

『知られざる真実』で植草一秀氏が主張されている通りだと思う。

小池都知事は堂々と築地再整備方針明示すべき

NHKは1時間枠8党討論を基本編成とすべし

そうなったら、討論も見る気になる。現状のままでは、画面に向かって怒鳴るだけなので、全く見ていない。

ニュース報道や論評が、権力側の政治目標や強い願望を反映している限り、人々は実際の出来事を、ほとんど知ることができない。

 

« テロの罪をなすりつける | トップページ | カタール危機:三つのならず者国家による、イランを弱体化させるための、もう一つの無様なたくらみ »

アメリカ」カテゴリの記事

マスコミ」カテゴリの記事

NATO」カテゴリの記事

ロシア」カテゴリの記事

ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事

トランプ大統領」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ワシントンの帝国はほころびつつあるわけではない:

« テロの罪をなすりつける | トップページ | カタール危機:三つのならず者国家による、イランを弱体化させるための、もう一つの無様なたくらみ »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ