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2017年6月13日 (火)

カタール危機:三つのならず者国家による、イランを弱体化させるための、もう一つの無様なたくらみ

The Saker
2017年6月9日

まず登場人物をみよう。

トランプとサウジアラビアとイスラエルの間で、一体何が本当に議論されたのか、我々は決して知ることはできまいが、最近のサウジアラビアのカタールに対する動きが、この交渉の直接の結果であることに疑いの余地は無い。私が一体どうして分かるのか? トランプ本人がそういったからだ! 最近のコラムで私が書いた通り、トランプがネオコンと、連中の政策に、壊滅的に屈服したことで、彼は、その権力と、率直に言って、精神健康度も刻々衰えつつある、残り二つのならず者国家、サウジアラビア王国とイスラエルと組むしか手がなくなったのだ。

過去、サウジアラビア王国とカタールとの間には、相違や問題があったとは言え、今回の危機の規模は、過去のどれよりも大きい。以下は、誰が誰を支持しているかという、仮の大まかな概要だ。

サウジアラビア支持派 (ウィキペディアによる) カタール支持派 (小生による)
アラブ首長国連邦、バーレーン、エジプト、モルジブ、イエメン(つまり親サウジアラビア亡命政権)、モーリタニア、コモロ、リビア (トブルク政府)、ヨルダン、チャド、ジブチ、セネガル、アメリカ合州国、ガボン    トルコ、ドイツ、イラン

数の上では、サウジアラビア側が優勢だ。質ではどうだろう。

実に多数の疑問がわく

状況は極めて流動的で、こうしたこと全てもすぐにも変化しかねないが、上記のリストで、何かおかしなことにお気づきだろうか? アメリカが、サウジアラビア王国を支持しているにもかかわらず、トルコとドイツが、カタールを支持しているのだ。NATOの主要加盟国二国が、アメリカに反対する姿勢をとっているのだ。

次に、サウジアラビア支持派をご覧願いたい。アメリカとエジプトを除けば、いずれも全て軍事的に取るに足りない(しかも、いずれにせよ、エジプトは、軍事的に関与するまい)。サウジアラビアに反対する側、とりわけイランとトルコは、そうではない。だから、サウジアラビア側が、資金的に優位だとすれば、カタール側が火力の上で優位だ。

ところで、ガボン? セネガル? この二国は、一体いつからペルシャ湾政治に関与しているのだろう? 一体なぜ、この両国は、遥か遠くの紛争に加わっているのだろう? サウジアラビアが、カタールに満たすよう要求している下記の10条件を瞥見しても、両国が関与している理由は理解できない。

  1. イランとの外交関係の即時断絶
  2. パレスチナ抵抗運動ハマース・メンバー全員の、即時カタール追放,
  3. ハマース・メンバーの全ての銀行口座凍結と、彼らとの取り引き停止,
  4. ムスリム同胞団メンバー全員のカタールからの追放,
  5. 反[P]GCC分子の追放,
  6. ‘テロ組織リスト’に対する支援停止,
  7. エジプト内政に対する干渉停止,
  8. アル・ジャジーラ・ニュース放送の停止,
  9. 全[ペルシャ]湾岸政府へのアル・ジャジーラによる‘暴言’謝罪,
  10. (カタール)が、[P]GCC政策と矛盾するひょっと行動を決してせず、憲章を遵守するという誓約.

サウジアラビアは、禁止対象にしたい人物や組織のリストも手渡した(ここを参照)。

これらの条件を見れば、イランとパレスチナ(特にハマース)が要求リストの重要項目なのは実に明らかだ。しかし一体なぜガボンやらセネガルがそんなことにかまうのだろう?

もっと興味深いのは、イスラエルは一体なぜサウジアラビア王国を支持する国として、リストに載っていないのかだ。

いつも通り、イスラエル自身は、この事態全てにおける彼らの役割についてずっと正直だ。そう、彼らは“我々がやった”とまでは言わないかも知れないが、彼らは“イスラエルが、カタール危機を気にかけるべき五つの理由”という、一体なぜイスラエルが喜んでいる理由をあげる記事を書いている。

  1. それで、ハマースが傷つく
  2. それで、イスラエルは、サウジアラビア、エジプトと湾岸諸国と親密になる
  3. それで、地域における、アメリカの影響力が回復したことを示せる
  4. それで、テロが非合法化される
  5. それで、イスラエルの力、特にイスラエル政府が強化される

たとえそれが、主にイスラエル国民に聞かせるのが目的だったにせよ、この種の正直さは、実にすがすがしい。パレスチナ情報源をちょっと調べてみると - そう、イスラエルは、サウジアラビア王国を支持しているのだ。欧米の商業マスコミが、いくら必死にこれに気づかない振りをしようとも、決して驚くべきことではない。

アメリカはどうなのだろう? アメリカはこの危機で本当に恩恵を得るのだろうか?

アメリカは、カタールに、ひょっとすると世界最大のアメリカ空軍基地、アル・ウデイド空軍基地を擁している。しかも、アメリカ中央軍前線本部もカタールにある。これらがアメリカの極めて重要なインフラだという表現は控えめで、これはアメリカ合州国外、世界中で最も重要なアメリカ軍施設だと言えよう。だから論理的には、アメリカにとって一番いやなことは、そのような重要施設に近いどこかでのあらゆる類の危機や緊張だという結論になるはずだが、カタールに対して、サウジアラビアとアメリカが一致して動いているのは極めて明白だ。これは辻褄が合わない。そう。だが、アメリカが今やシリアでの軍事エスカレーションというi無益な政策に乗り出した以上、地域におけるアメリカの二つの主要同盟国が同じことをしても驚くにはあたらない。

しかも、トランプ政権の中東政策が、これまで何か論理的な意味があったためしなどあっただろうか? 選挙運動中は、まあ、50/50 (ISISに対しては秀逸、イランに対しては愚劣)と言えただろう。ところが、フリンに対する1月のクーデターと、トランプのネオコンへの降伏以来、我々が見ているのは、次から次の妄想じみた愚行の連続にすぎない。

客観的に、カタールを巡る危機は、決してアメリカのためにはならない。しかし、だからといって、頑固なイデオローグどもに乗っ取られた政権が、この客観的現実を進んで受け入れることにはならない。我々が目にしているのは、非常に弱体な政権が、急速に弱体化しつつある国を運営し、まだ威張り散らすことができる力があるのを必死で証明しようとしている姿だ。そして、もしこれが実際、そういう計画ならば、途方もなくお粗末で、確実に失敗する代物で、様々な意図しない結果に終わるだろう。

現実世界に戻ろう

我々が目にしているのは、巧妙なごまかしのひどい例で、実際に起きているのは、またしても、イランを弱体化させようという、三つのならず者国家(アメリカ、サウジアラビア、イスラエル)による、ぎごちないたくらみだ。

もちろん、外にも様々な要素があるが、大事なこと、問題の核心は、私に言わせれば、急速に増大しつつある“イランの引力”と、それに対応して、地域全体が益々イランに近づく“軌道減衰”だ。しかも、事態を更に悪化させているのは、三つのならず者国家が、はっきりと、止めようもなく、地域に対する影響力を失いつつあることだ。アメリカはイラクとシリアで、イスラエルはレバノンで、サウジアラビアはイエメンで - この三国は、これらの国々が強力なのを見せつけるどころか、連中が実際いかに弱体かを示す無残な失敗に終わった軍事作戦に乗り出したのだ。更にまずいのは、サウジアラビアが、いつ終わるとも知れない深刻な経済危機に直面しているのに、主にイランと分け合っている膨大なガス田のおかげで、カタールは世界で最も裕福な国となっているという事実だ。

結局、イランとは違い、カタールは、もう一つのサラフィー主義の国だから、サウジアラビアにとって、それほど大きな脅威ではないようにも見えるが、現実には、これがまさに問題の一部なのだ。過去数十年、カタールは、新たな富のおかげで、カタールの物理的規模とは全く不釣り合いな手段を入手した。彼らは中東で最も影響力の強いメディア帝国アル・ジャジーラを作り出したのみならず、リビア、エジプトとシリアにおける危機では、主要当事者となるような独自の外交政策にまで乗り出した。確かに、カタールは、テロの主要な支援者だが、アメリカ合州国やサウジアラビアやイスラエルもそうだから、これは空疎な口実だ。カタールの本当の‘犯罪’は、純粋に実利的理由から、サウジアラビアとイスラエルが地域に押しつけた大規模反イラン・キャンペーンに参加するのを拒否したことだ。サウジアラビアの立場の支持を声明せざるを得なかった長大なリストの国々とは違い、カタールは、単純に“ノー”と言って、自らの進路を進む手段を持っているのだ。

サウジアラビアが現在望んでいるのは、カタールが脅しに屈伏し、カタールに対する“熱い”戦争無しに、サウジアラビアが率いる連合が勝利することだ。連中がこの結果を達成する可能性がどれほどかは誰にも分からないが、私は個人的には疑わしいと思っている(詳細については後述する)。

こうしたことの中で、ロシアはどうなのだろう?

ロシアとカタールは、特に様々なタクフィール主義テロ集団に対する主要資金提供者として、カタールが極端に悪辣な役割を演じたシリアとリビアを巡り、何度も角を突き合わせてきた。しかも、カタールはロシアにとって多くのLNG (液化天然ガス)市場で一番の競合相手だ。両国間には、ロシアによる、チェチェン人テロリスト指導者ゼリムハン・ヤンダルビエフ暗殺らしきものと、その後、暗殺に関与したかどで告訴された二人のロシア大使館職員の拷問と裁判(二人は終身刑の判決を受け、最終的にロシアに送還された)を含む他の危機もあった。とは言え、ロシア人もカタール人も大いに現実的な人々なので、概ね用心深く、 両国は、共同事業さえするほどの良い関係を保っている。

もちろん、イランが直接攻撃されない限り、ロシアがこの危機に直接介入する可能性は極めて低い。良いニュースは、三つのならず者国家どの国も、実際にイラン(とヒズボラ)に挑戦する気などないのだから、そのような対イラン直接攻撃はありそうもないことだ。ロシアがするだろうことは、“敵を中立国に、中立国を友好国に、友好国を同盟国に変える”というロシア外務省の準公式戦略にしたがって、徐々にカタールをロシア軌道に引き込もうとしての、政治的、経済的ソフト・パワーの駆使だ。特に、この支援で、ロシアが地域における極めて重要な影響力を手にいれられると知っているのだから、トルコとの場合と同様、ロシアは、進んで支援するだろう。

イランこそ、あらゆることの本当の標的

イランは今や、テヘランにおける最近のテロ攻撃はサウジアラビアが命じたものだと公に言っている。厳密に言えば、これはイランが現在戦争状態にあることを意味している。もちろん、現実には、本当の地域超大国として、イランは、落ち着いて、自制して行動している。イランは、この最近のテロ攻撃は、自暴自棄ではないにせよ、弱さの兆候で、ロシアがサンクト・ペテルブルクでの爆発に対処したのと同じように行動すること最善の対応だということを十分理解している。気を抜かず、落ち着いて、断固としていることだ。ロシアと同様、イランは現在、カタールに食料を送ると申し出ているが、サウジアラビアが本当に狂わないかぎり、軍事的介入はありそうにない。しかも、トルコ軍部隊が間もなくカタールに配備されるので、イランには、実際に軍事力を誇示する必要性がない。1988年以来(アメリカ海軍による イラン航空の655便エアバス撃墜以来)アメリカもイスラエルも、イランをあえて直接攻撃しようとはしていない単純な事実が、本当のイラン軍事力に対する最善の証拠だと私は言いたい。

すると、我々は一体どこに向かっているのだろう?

三つのならず者国家の行動は“理性的”と表現するには到底程遠いので、これは実際、予言するのは不可能だ。とは言え、誰も発狂しないと仮定すれば、私の個人的感覚では、カタールが打ち勝ち、今でもどれだけ王国が強力か証明しようというサウジアラビアの最新の取り組みは、それ以前の全ての物と同様(2011年にバーレーンで、2012年にシリアで、あるいは2015年にイエメンで)失敗するだろう。時間も、サウジアラビアには味方していない。カタールは、既に明らかに、降伏するつもりはなく、戦うつもりであることを示している。サウジアラビアは既に、ラマダンという聖なる月に、仲間のイスラム教国家に封鎖を科するというとんでもない決定をした。サウジアラビアは、実際、これから更にエスカレートし、ラマダンという月に、仲間のイスラム教国家に対して、侵略行為をするつもりだろうか? かれらはやりかねないが、連中が、イスラム教徒の世論に対して、そこまで無知だとはとうてい考えがたい。もしそうでなければ、連中の作戦は、かなり勢いを失い、カタールは、政治的、経済的、社会的、軍事的に準備する時間を得られよう。カタールは小国で、人口も決して多くはないが、膨大な資金のおかげで、カタールを喜んで支援する供給業者や契約業者を素早く好きなだけ集めることが可能だ。ここでは有名な“市場原理”がカタールに有利に働くのだ。

土曜日、カタール外務大臣のモスクワ訪問が予定されているが、何に関する会談なのかは非常に明白だ。ロシアが、カタール支援で、あらゆる政治的重みを駆使することはないだろうが、クレムリンは、サウジアラビア王国とカタールとの間の調停者になるのを承諾する可能性がある。もしそうなれば、これは究極的な皮肉だ。サウジアラビア-イスラエル-アメリカ作戦の主な結果が、ロシアを、地域における一層影響力の大きい当事者にしてしまうことなのだ。カタール自身は、この危機の結果、おそらく、ニーチェのセリフに沿って、こう発言するだろう。“私を殺さないものは、私をいっそう強くする。”

結論

三つのならず者国家による、連中が依然、このブロックで、最大、悪の連中だということを証明しようという、もう一つの捨て鉢の企みとしてのこの最新危機は、これまでのものと全く同様、失敗するだろうと私は思う。例えば、カタールが、彼らの最も強力な“兵器”たるアル・ジャジーラを閉鎖するとは決して思えない。両国は巨大な南パース・ガスコンデンセート田でつながっているのだから、イランとの全外交関係を断ち切るとも思わない。カタールには膨大な富があるのだから、彼らは世界中に極めて強力な支持者がいて、私がこの文章を書いている今も、彼等は、おそらく極めて影響力の強い連中に電話をし、カタールを目茶苦茶にするなと、はっきり言っているだろうことを意味している。

むしろ、この危機は、カタールが、ロシアとイランを含めた国々に一層暖かく抱擁されるようになり、サウジアラビアが更に弱体化する効果しかあるまい。

三つのならず者国家はいくつか問題を共有している。威嚇したり、いじめたり、懲罰したりする連中の軍事能力は急速に浸食されつつあり、連中を恐れる国々は益々減りつつある。連中の最大の過ちは、連中の政策を、この新たな現実に適合させるかわりに、毎回失敗するにもかかわらず、決まって、何度も繰り返し、危険な賭けに出ることを選び、連中は一層弱体化して見え、当初の連中の苦境は悪化してしまう。これは極めて危険な急降下であるにもかかわらず、三つのならず者国家は、他のどのような政策も考え出すことが出来ないようだ。

これは、我々がその中で暮らしている新時代を端的に象徴していると思うので、最近プーチン大統領と、トランプがしていることの比較でこのコラム記事を閉めたい。

トランプは、シリアで、何台かの“即製戦闘車両”(機関銃を搭載した4×4トラック)とトラックを爆撃した後、コミーはウソつきで機密漏洩者だとツイートした。

プーチンはパキスタンとインドを正式加盟国として歓迎した上海協力機構(SCO)の最新会合に出席した。今や、SCOは地球上に暮らす全ての人々の半分以上と、世界のGDPの四分の一を占めている。これは“もう一つのG8”あるいは“重要なG8”と見なすことができる。

この簡単な行動の比較が、実際全てを物語っていると思う。

更新その1: 現在、レックス・ティラーソン国務長官は、サウジアラビアに‘落ち着くように’と言っている。サウジアラビア-イスラエル計画は崩壊を始めつつある。

本記事はThe Unz Review向けに書いたものである。

記事原文のurl:http://thesaker.is/the-crisis-in-qatar-yet-another-clumsy-attempt-by-the-three-rogue-states-to-weaken-iran/

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「凶暴政権によるテロ」にも等しい共謀罪法案強行採決が近づいている。パンダ誕生の喜びも半減。まさかパンダが自民・公明・維新に忖度し、お産時期調整などするまいが。

昼間の痴呆番組、全く見る気力がでない。

これからIWJの下記記事を拝読・拝聴予定。

国連特別報告者カナタチ氏が「共謀罪」の問題点を指摘!「非常に特異なやり方が取られている!」――いわゆる共謀罪に関する法案に反対する国際シンポジウム
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/382650

「いかに安倍が日本を無茶苦茶に売ろうとしているか!?」「食料自給率は安全保障!防衛と同じ考え方!!」~山田正彦元農水相が市民連合ちば10区発足集会で記念講演
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/382961


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コメント

非常に綺麗な内容。短期間に纏められたのは、筆者が常に地域状況を良く把握しているからだが、三つのローグ国家の現状から将来への見方の健全性と希望には同意できるが、この立場の見解で有り勝ちなのは、ロシアへの甘さだ。そこにはロシア経済の脆弱性とそれへの体制当局者の対応の限界、特に重要なのはイスラエルへの従属を見過ごしにしていること。これは中国経済戦略の強さと全方位外交の結果としてのイスラエルとの関係とは性質を異にしている。
ロシアの経済と外政の拙さはシリア問題でも将来的に常に不安材料を提供している。また、イランの防衛戦力は確かに強力だが現政権下ではロシアと同様の経済問題の他、常に西側の諜報干渉に曝されている中での政治的隙が生じていること、最高指導部は国内協調を重視する余り、反って革命原則と独立性を支えている原理派の影響力を削ぐ結果となっていることも懸念される。
程度の差こそあれ、両陣営とも将来に不安を抱えており、SCO八カ国揃い踏みの記念撮影ほど鮮やかではないのだ。

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