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2017年6月 8日 (木)

イギリスのメイ首相はテロ・カードを切ったが、実はジョーカーかも知れない

Finian CUNNINGHAM
2017年6月6日
Strategic Culture Foundation

追い詰められたイギリス保守党首相テリーザ・メイは、“強い指導者”姿勢を強化するため、今週の総選挙のわずか数日前、臆面もなく“テロ・カード”の切り札を使った。

一時的に選挙運動を中止するというライバル諸政党との非公式合意を破り、メイは性急に首相官邸前で演説し、“新たなテロの脅威”に対し“厳格な”法と秩序を呼びかけた。

土曜日夜、ロンドンでの、近くにいた七人が殺害された致命的テロ攻撃後、翌朝、メイは全国向け演説をした。これ見よがしの演説では、主要ライバル、労働党のジェレミー・コービンは“テロに甘い”という中傷も試みた。

保守党を国家安全保障の強力な擁護者として、外の政党を“内部の敵”として描くのは、すっかり使い古した保守党の策略だ。これはメイにとって、過去、効果的に機能してきたに。しかし、現在の状況では、頼りになるはずのかつてのテロ・カードも、ウソや重大な矛盾のおかげで、擦り切れている。

土曜日深夜、三人のイギリス生まれの聖戦士が、ロンドン橋付近で歩行者にしかけた、ワンボックスカーとナイフによる攻撃の後、週末、全てのイギリス政党が、24時間選挙運動を控えることに合意した。ところが、死に物狂いの現れで、テリーザ・メイは結束を乱し、日曜日朝早々現れて、対テロを訴えた。

最近の出来事が起きたのは、イギリスの突然の総選挙に先立つ極めて重要な時期だ。保守党政権が、突然選挙の前倒しを呼びかけて以来、テリーザ・メイは、ライバル・ジェレミー・コービンの労働党に対する、20プラス・ポイントの優勢から、わずか数ポイントのハラハラする僅差へと、支持率が崩壊するのを目にしていた。

コービンの指導の下、労働党は、ここ数十年で最も左翼的と言われる綱領で選挙運動を展開している。広範な社会主義政策を訴える彼の演説は、予想外に、イギリス国民の支持を得ている。この支持急増が、伝統的に、大企業寄りで、ネオリベラル緊縮政策を主張する保守党を警戒させた。

概して保守党支持のイギリス・マスコミは過去数週間、コービンに対し“テロに甘い”と、否定的な主張を積み重ねてきた。これらの主張は、パレスチナのハマース、イランが支援するレバノンのヒズボラや、1980年代のアイルランド共和党などの集団に対する彼の過去の口頭による支持に言及している。こうした集団に対する彼の過去の支持は、様々な当事者が参加する和平交渉を促進することを目指していたと、コービンは主張している。

ところが保守党は、労働党指導者を“テロリスト同調者”として、また“反NATO”で“ロシアに甘い”と情け容赦なく中傷している。後者の悪口は、もし首相だったら、核兵器使用を命じるのを渋ると、コービンが述べたことに由来している。

ロンドンでの最近のテロ攻撃 - イギリスでは、三カ月間で三度目の聖戦戦士が関わる攻撃で、テリーザ・メイと、窮地に陥った保守党は、コービンを追求するためのより多くの弾薬を得られた、あるいは、彼らはそう考えたいのだ。

それが彼女の政権を強化するだろうことに賭けた、総選挙の前倒しというギャンブル同様、テロ・カードという切り札を使う策謀も、裏目にでる可能性がある。

手始めに、労働党や他の野党は、指摘しているイギリスを見舞っている一連のテロ攻撃は、保守党が数年に渡って行った大規模支出削減によって可能になった。コービンは、メイの最近の“強い指導部”姿勢に反撃して、彼女の政権が警察官人数を、約20,000人削減したことを有権者に想起させた。この削減が、必然的に国家治安を損ない、聖戦士希望者が画策するのを可能にしたと彼は主張している。

実際、マスコミは、4月にロンドンのウェストミンスター橋で四人を殺害した聖戦戦士も、先月マンチェスターのコンサートで、22人を殺害した自爆攻撃犯も、最近のロンドン橋テロ攻撃の三人の容疑者も、全員、治安機関が把握していたと報じている。

一体なぜ、こうした容疑者たちが事前につかまらなかったのかが、警察が手を広げ過ぎで、人手不足であることを示唆している。したがって、経費削減した保守党政権に、治安の悪化に責任があるのはほぼ間違いない。そして怒れる国民はそれを知っている。

評論家の中には、大衆の反応は、労働党のコービンにとって、政治的に打撃がより大きいという極悪非道な計算に基づいて、イギリス支配層内の秘密勢力が、これらのテロ攻撃が推進されるのを許したとまで言う向きさえある。故意にせよ、故意でないにせよ、これで保守党が、注目をコービンは“テロリスト同調者”だという主張に向けることが可能になる。

とは言え、上述の通り、策略は、保守党にとって、裏目にでかねない。Brexit国民投票を巡って昨年辞任したデービッド・キャメロンから首相の座を引き継ぐ前、テリーザ・メイは五年間、内務大臣をつとめていた。彼女の監督の下で、警察は大規模な人員削減を行い、それは必然的に治安対策を弱体化させた。強い指導者を装い、“厳格な”法と秩序を呼びかける彼女の最近の作戦は、たとえ卑劣に聞こえなくとも、空虚に響く危うさがある。

ベテラン・ジャーナリストのジョン・ピルジャーも、イギリスの諜報機関MI5とMI6と、リビアとシリアにおける政権転覆のためのイギリスが支援する戦争で戦うための地元出身聖戦士を養成する上で、彼らの秘密の関与とのつながりを示す多くの証拠があると、最近報じている。聖戦士との共謀というイギリス国家によるこの秘密政策は、メイが内務大臣として務めていた時期に、行われていた。だから、メイが善意を装って、イギリスが直面している新たなテロの脅威について語っても、この脅威を、汚い戦争に対するイギリスの関与のブローバックだと結びつけて解釈するのは、国民にとって困難なことではない。

メイと政権は、イギリス内のテロ攻撃を“悪のイデオロギー”の“孤立した”現れとして扱いたがっているが、イギリス内の都市を襲っている暴力行為は、政権転覆のための戦争を支援し、代理テロ集団と協力しているイギリスの犯罪的外交政策と密接につながっているという国民の理解が増えている。

メイが“テロに対して寛容に過ぎる”と主張して、コービンを当てこすった後、イギリスは、組織的に、過激聖戦主義とつながっているサウジアラビアや他のペルシャ湾岸王政諸国との関係を批判的に見なければならないと述べて、労働党指導部は反撃した。

“我々は、過激イデオロギーに資金提供し、あおっているサウジアラビアや他の湾岸諸国と、困難な対話を始めることが必要だ”とコービンは言っている。

特に、メイ政権は、これらの政権が、国内でも、国外でも、悪名高い人権侵害実績があると益々見られつつある中、サウジアラビアや他の湾岸諸国への兵器輸出増加を狙っている。特に、イギリスが支援するサウジアラビアが、イエメンで虐殺をしていることは、イギリス国民に嫌悪感を引き起こしている。

メイ首相が、官邸前に立って“テロはテロを生む”と語った際、彼女は、うっかり、自らの政権のすさまじい実績に対し、自らを非難する発言をしたのだ。彼女の政権が、テロリストを支援しているワッハブ派産油王国と協力していることは、中東で大惨事を引き起こしているだけではない。そのような無謀な犯罪的政策は、イギリス中の町で跳ね返っている。しかも、政府やマスコミが責任をそらせようとしても、イギリス国民にはそれが見えるのだ。

イギリス国民の間で、テロへのイギリスの共謀に関する認識が高まるにつれ、かつては頼りになったテロ・カードも、使っても、頼りにならないカードと化している。コービンに、エースと思って、テリーザ・メイが出したカードは、そうではなかった。逆に、それはひどいジョーカーになりかねない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/06/06/britain-may-plays-terror-card-but-it-could-be-joker.html
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対テロ取り締まりを厳しく行っているはずの国で、何度も起きる不思議。カタールと他の湾岸諸国不和があきらかになった直後に、イランでテロが起きる不思議。

現代版治安維持法・共謀罪報道以外なら、何でも呆導する大本営。
家族三人無理心中から、他殺事件に変わった呆導。あるいは将棋、卓球ばかり。

知りたい事実は、大本営広報部からは決して得られない。

初代会長が、治安維持法で逮捕され、獄中で死亡した創価学会が、現代版治安維持法・共謀罪の片棒を担ぐのを、あきれて見ている。もはやカルト集団と化しているのでは?

そこで今日の日刊IWJガイドの一部をコピーさせていただく。

18日の会期末を控え、会期内の共謀罪成立を目論む与党による強権的な国会運営が続いています。

 参議院の法務委員会は公明党の秋野公造参議院議員が委員長を務めています。自民党とは異なり、公明党は強行採決というかたちに抵抗するのではないかと、わずかな期待を持っていましたが、残念ながら期待外れのようです。

 秋野委員長は答弁能力のない金田法務大臣の代わりを務めさせるため、法務委員会への林真琴刑事局長の「常時出席」を強行採決。さらに、野党4党が反対する中、職権で6日の審議を強行する姿勢を示したため、民進党は秋野委員長の解任決議案を提出しました。しかし、昨日の参議院本会議で、解任決議案は自民・公明・維新の反対多数で否決されました。今日にも共謀罪についての審議が再開されます。公明党は自民党とともに、「現代の治安維持法」復活に向けて全力疾走しています。

・自民・公明 テロ等準備罪の新設法案など会期内成立へ全力(NHK、2017年6月7日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170607/k10011009061000.html

 こうした公明党の対応を強く批判しているのが、日蓮宗僧侶の小野文こう*氏です。小野氏は5月16日に日比谷野音で開かれた集会で、「公明党はいま、初代会長を虐殺された治安維持法の復活にも進んで協力する、愚かな行動をとっている。公明党よ、血迷うな!」と批判しました。

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*小野文こう氏の「こう」は本来「王偏に光」ですが、機種依存文字にあたり、日刊IWJガイドをメールで送信できなくなりますため、本ガイドでは「こう」と表記させていただいております。なにとぞご了承下さい。
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※「公明党よ、血迷うな!」~「創価学会初代・牧口会長を獄死させた治安維持法復活に学会・公明党が協力するのは自らの存在意義を放棄する愚行」日蓮宗・小野僧侶が学会員と共に訴え 2017.5.16
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/378529

 IWJは5月23日、小野氏に直接お話をうかがいました。本日は、小野氏にお話をうかがった際の動画と共に、テキストを掲載した記事をアップしましたので、ご紹介いたします。

※共謀罪が成立してしまえば、一般市民が監視・処罰の対象になることは、歴史の証明するところではないか――日蓮宗僧侶・小野文こう氏が共謀罪に対する危機感を宗教者の立場から語る
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/379692

 「今回安倍政権が考えている共謀罪は、『テロ等準備罪』と言いながら、『等』の方が多くて、結局『テロ等』の『等』を、捜査機関や政府がいくらでも解釈できる。拡大解釈をしていけば、必ず一般市民が監視対象・処罰の対象になるだろう。その恐れは、誰が考えても、今までの歴史を振り返ってみますと、そのようなことは歴史の証明するところじゃないかと思います」

 小野氏はこのように語り、共謀罪法案に対する危機感を語りました。そして小野氏は、日蓮宗が戦前、危険思想として特高警察から厳しい監視を受けており、教義が「不敬である」として弾圧を受けたほか、右翼が「日蓮宗抹殺建白書」を出したということを紹介しました。

 また小野氏には、仏教者として、どのように社会と関わり、声を上げていくのかについてもお聞きしました。すると小野氏は、法華経に出てくる「常不軽菩薩(じょうふきょうぼさつ)」のエピソードをお話ししてくださいました。

 そして小野氏は、日蓮の教えは、右から左まで、幅広い信徒の層をもっていますが、その中でも特徴的なのは、「社会に出て行って、社会をよくしよう」という、社会改革の想いが強いことがあげられますと述べ、「その情熱が、右と左の方に走ってしまうという部分もあると思います」と語りました。「八紘一宇」という言葉を生んだ田中智学や、『銀河鉄道の夜』『雨ニモマケズ』などで知られる宮沢賢治も、日蓮の教えの影響を受けています。

 宮沢賢治は『農民芸術概論綱要』のなかで、「世界全体が幸福にならなければ、個人の幸福はありえない」と書いており、小野氏はこのエピソードを挙げ「(宮沢賢治は)東北から世界全体の幸福を願っていた。それはやっぱり、法華経の菩薩の一つのあり方だったんじゃないでしょうか」と語りました。

 さらに、創価学会が受けた弾圧についてもお話をうかがいました。創価学会の創始者、牧口常三郎氏は戦時中、国家神道を拒否したため、治安維持法違反と不敬罪で逮捕され、獄中で亡くなりました。小野氏は、次のように語りました。

「牧口氏は、自分の信条、思想、信仰を貫き通して、殉死してしまった」「当時の権力者に批判を投じて殉死をした牧口常三郎さんのあの信仰、生き方というものを、(創価学会・公明党は)もう一度振り返って、自分たちの在り方を考えなくてはいけないんじゃないかと、私は主張をしているんです」

 このように小野氏には、共謀罪に対する懸念に加えて、仏教についても、色々お話をうかがいました。

 ぜひご一読ください。

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