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2017年6月19日 (月)

ISISとアメリカ特殊部隊によるフィリピン粉砕で絶体絶命の 'ダーティ・ドゥテルテ'

Robert Bridge
公開日時: 2017年6月17日 12:07
編集日時: 2017年6月18日 02:43
RT

「イスラム国」とつながる過激派がフィリピン南部で包囲を継続し、アメリカ特殊部隊が'技術支援'をすべく到着する中、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は非常に危険な状況にある。一体何がまずかったのだろう?

つい先月、ロドリゴ‘ダーティ’ドゥテルは、驚くべき自信で、地政学な大変な難題に騎虎の勢いで向かうように見えていた。ドナルド・トランプを“友人”と見なしてはいるが、外交政策軌道をロシアと中国寄りに変更するつもりだと、彼はアメリカ合州国に警告を送ったばかりだった。アメリカの誇りに対するこのパンチは、フィリピンに駐留するアメリカ軍部隊に装備をまとめて撤退するよう、一度ならず要求した後のものだった。

言い換えれば、ドゥテルテは、超大国アメリカが本気で勝負するのを理解し損ね、アメリカ-フィリピン関係を、本格的な苦い離婚とは対照的な協議離婚で終わらせようとしていたのだ。

友人であるアメリカのトランプ[大統領]に何の反感も持ってはいない。しかし私の外交政策は変わった。中国とロシアと取り引きしたいと思う。欧米世界は、ちんぷんかんぷんなので”、いわば、ゴム製ナイフを曲げながら、本格的なダーティ・ドゥテルテ・モードに入る前に彼は言った。“あなた方(アメリカ合州国)は、私をいまだにあなた方の植民地であるかのごとく扱っている。冗談ではない! 我が国は独立国家だ。フィリピンには敬意を払って対応して欲しい”と彼は抗議した。

現時点で、皆様は、遠くでアメリカ戦闘機がエンジンをふかしている音が聞こえるだろう。

ドゥテルテの愛国的大言壮語が非常に不安なのは、これまで何度も、他の誇り高い指導者たちが同様な感情を表明し、彼らの多くが、その国々とともに、アメリカ軍のご好意により悲劇的結末に至ったことだ。サダム・フセインやムアマル・カダフィが思い浮かぶ。

この二人の指導者は、まずい時期に、まずい場所に居合わせるという(彼らの主権国家の主権ある指導者)致命的な間違いをしたのだ アメリカ政府は、裁判官、陪審員と死刑執行人を演じて、一方的に、二人と両国民に、愚かな死刑と破壊の判決を下したのだ。話を変えよう。

5月23日、ロドリゴ・ドゥテルテは、狂暴な連中に、まるで、ぬいぐるみのように放り投げられ、隠れようとして走り回らされている。「イスラム国」とつながる過激派が、南部ミンダナオ島の、イスラム教徒が多数派の都市マラウィを包囲攻撃し、ドゥテルテに戒厳令の宣言を強いた。ここで重要な情報は、ミンダナオ島というのは、100人以上のアメリカ海兵隊員と特殊部隊が、長年交代で駐留してきた場所なのだ。

すると、こうしたアメリカ軍連中は、長年、一体何をしていたのだろう? キルトを縫っていたわけではないのは確実だ。アメリカ当局者が、匿名を条件に、アメリカ軍支援の中には“空中からの偵察や、標的設定、電子盗聴、通信支援”を行えるP-3オライオン偵察機も含まれていると述べたとロイターが引用している。立派な見かけのこうしたあらゆる監視技術による事前警告無しに、聖戦戦士連中の寄せ集め部隊が、一体どうして包囲攻撃をすることが出来たのかは検討に値する疑問だ。

更に読む
イスラム主義過激派との戦いでアメリカの支援‘決して頼んでいない’と主張するドゥテルテ大統領(写真、ビデオ)

ところが、非常にややこしいことに、マニラのアメリカ大使館がマラウィでのアメリカ軍兵士の存在を確認した翌日、ドゥテルテはそのような支援を頼んでいないと述べたのだ。フィリピンのニュース・サイト、ラップラーによれば“私はアメリカ人の誰にも‘助けて欲しい’と言いに行っていない”とドゥテルテは記者会見で語った。それとも、ドゥテルテは単に余りに誇り高く、この緊急時にアメリカの支援が必要なことを認められないのだろうか?

一方、聖戦戦士によるマラウィ侵攻で、ドゥテルテは、戒厳令宣言の他、モスクワ訪問と、プーチン大統領との会談を早めに切り上げることを強いられた。偶然理論で、これはどうなのだろう? しかし、こうしたことのどれもが本当に思いも寄らないことだったのだろうか?

性急なフィリピン大統領は、アメリカ宗主権からの独立を慌ただしく発表するに当たって、南シナ海における最近のアメリカ軍の動きを酷く過小評価していたように見える。これは世界的なチェス盤上での些細な「歩」の動きではなく、むしろシンクタンク界で‘アジア基軸’として知られている新概念のアメリカ戦略だった。もしドゥテルテが、中国への戦略的な近さゆえに、フィリピンはどういうわけかゲームには組み込まれないと考えていたのであれば、彼は残念ながら間違っていたのだ。何だか聞き覚えがあるような話ではなかろうか?

'解決されるべき'もう一つのISIS危機

フィリピンにおける状況と、当初いかなる種類の軍事行動もするのを阻止されていたアメリカ軍が、‘「イスラム国」’ [IS、旧ISIS/ISIL]という、ほとんど知られていない超暴力的なテロ集団が登場したおかげで、最終的に許可を得たシリアにおける状況との類似点に気づかない人などいるだろうか。今や、アメリカ合州国は、事実上の主権国家に対する違法侵略を行う一種の道徳的権限があると思い込んでいる。

ところが、それは奇妙さの始まりに過ぎない。多くの人々が、いかなる高度な兵器も、まして空軍を全くもたないISが、テロリスト車列がイラクとシリア間の砂漠を白昼行進する中も、強力なアメリカ軍から一体どうやって、絶えず巧みに逃げられ続けているのか問うている。

ミシェル・チョスドフスキー教授は、Global Research記事で、実に多くの人々が問うている疑問を述べている。“アメリカ空軍は一体なぜ「イスラム国」を殲滅できずにいるのだろう。当初、最新型のトヨタ・トラックはさておき、連中の装備は基本的に通常の小火器だ...シリア-アラビアの砂漠は開かれた場所だ。最新鋭のジェット戦闘機(F15、F22ラプター、F16)をもってすれば、軍事的視点からして朝飯前で、迅速かつ適切な、特定目標のみに向けた作戦で、「イスラム国」車列を、わずか数時間で破壊できていたはずだ。

それどころか、我々が目にしているのは延々六カ月継続している容赦ない空襲と爆撃でも、敵テロリストは依然無傷のままに見える”とチョスドフスキー教授は結論している。

この主張の真実性を疑う人々に対しては、政府監視団体Judicial Watchが入手した機密扱いを解除されたアメリカ文書が、アメリカの政策立案者連中が、実際“シリア政権を孤立化させる”方法として、イスラム過激派集団の成長を奨励していたことを示している。

大幅に削除されたこの文書の様々な不穏な暴露の中に、こういう記述がある。"シーア派拡張(イラクとイラン)の縦深防御と見なされるシリア政権を孤立化させるため、東シリアに(ハサカとデリゾール)に、宣言した、あるいは宣言しないサラフィー主義者の国を樹立する可能性をこそ、まさに反政府勢力を支援している国々は望んでいる。”

    At 103rd Brigade pic.twitter.com/NWgiN8VfJN
    - Franny (@Frannyy) 2017年6月13日

先の文書は“支援している国々”を“欧米、湾岸諸国とトルコ”だと書いている。

偶然”、あるいは意図的、いずれにせよ、親政府シリア軍部隊を攻撃するアメリカ軍の傾向によって倍加されるこれらの極めて気がかりな要素は、アメリカ率いる欧米部隊は、国民に支持されている主権国家の指導者シリア大統領バシャール・アサドとよりも、世界で最も卑劣なテロリスト勢力と協力する賭けにでる可能性が多いことを示唆している。

フィリピンに戻ろう。ドゥテルテは、ISとつながるマウテ集団をマラウィから、6月12日までに排除すると誓い、世界超大国による支援とされるものにもかかわらず、その期日が来て、去った。実際、現地の状況は、まさに身の毛もよだつ状況と化している。

激しい銃撃戦があった地域には多数の遺体が残されていると、ラナオ・デル・スル州のジア・アロント・アディオン知事は述べた。

ロイターによれ“少なくとも100の遺体が、交戦地域中に散らばっている”とアディオン知事は記者団に答えた。戦闘の中で閉じ込められた現地住民は、飢えの余り、"段ボール箱を食べる" 羽目になったと芳しからぬ詳細も述べた。

明らかに、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は - シリアのアサド大統領同様 - 大統領の座に対する究極の挑戦に直面しているのだ。フィリピン外交政策を、ワシントンから離れ、モスクワと北京寄りのものに変えるという彼のこれまでの誓約を考えれば、疑問は明らかだ。フィリピン駐留のアメリカ海兵隊や特殊部隊は、シリア国内でと同様、ドゥテルテ政府を支援するため、招待も無しに登場したのだろうか、それとも、彼らには別の考えがあって、それは、フィリピン大統領にとって余りに遅過ぎる時期になって、ようやく嫌というほど明らかになるのだろうか?

シリアのアサド大統領の場合同様、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領を一体何が待ち受けているかは時間がたてばわかるだろう。私の個人的直感では良いものは皆無だ。

@Robert_Bridge

ロシア、モスクワを本拠とするアメリカ人作家、 ジャーナリスト、ロバート・ブリッジは、2013年に発売された大企業の権力に関する本“アメリカ帝国の真夜中”の著者。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/392669-dirty-duterte-isis-us-special-forces/?utm_source=spotim&utm_medium=spotim_recirculation&spotim_referrer=recirculation
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「アメリカ率いる連合軍、南ラッカでシリア軍飛行機を撃墜」というRT記事を見た。
US-led coalition downs Syrian army plane in southern Raqqa

「これがオリバー・ストーの映画に対するアメリカの対応だ」というコメントがある。

フィリピンでのこの米軍の行動を見れば、首都圏に巨大基地を提供させて頂き、東京上空の制空権も献上している現状を、異様に感じるのは当然と思えてくる。都議選で、話題にならないのだろうか。

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コメント

大変勇気のある、ドゥテルテ大統領、記事になると、いつも気にかかります。
このブログの記事は、客観的な視点で整理された文章だから、読めるけれど、先日書店にて、「シリアからの叫び」を、少し立ち読みしていたら、あまりにも恐ろしくなり、全部読み通す勇気は持てなかった。「これが、現実で、現況なんだ。」と本当にリアルに迫るものがありました。現地の状況は、すでに、何が(どちらが)正義か、ということを問えないような、生存者すべてにとって地獄の様に変わり果てて、平和だった頃のシリアの美しい古都を何度も思い返しました。 どこの国が戦争になっても、同じような残酷な地獄絵図になるのに、それを先導している米と追従する各国の権力者達とは、人間なのでしょうか?(どこの国が、と指定できないほど、世界の権力構造は入り組んでいて、我々からはわかりにくいようになっているのでしょうけれど。)

東京上空の制空権ですが、5年程前、世田谷の住宅地の真上を二等辺三角形の戦闘機が、5連隊で、キーンと金属音をたてて、超低空飛行していたので、驚いたことがあります。近年、いつも上空がうるさくて、腹立たしく、異様に感じています。
ついでに言うと、ケムトレイルと呼ばれるような、あきらかに、全然消えない、まき散らしている感満載の(こっちは、高度が高いので機体がよく見えないけれど)おかしなやつも、ちょくちょく見ます。
世界も日本も異様だと、自分は気付いているけれど、「わぁ、飛行機雲!」って言って喜んでいる親子を見ると、胸が苦しくなります。

日本国内がヤバイ状況な為、世界情勢にまで気が回らずに居ましたけれど、フィリピンも大変な状況に晒されているとは、これは非常に難しい局面ですね。

やはり属国が宗主国を裏切る行動を示すと怖いですね。
ドゥテルテ氏は反骨の気概は良かったけれど、まさかISISを使って消しに来られようとは思いも寄らなかったのでしょうね。
ISISの後ろには米軍が居るという事に気づかなかったのでしょうか。
艦船も航空機も持たないISISがミンダナオ島に出没するには米軍の輸送力が不可欠、となると、北の脅威はこれを隠す為だった?

何れにしても不味いですね。
トランプもドゥテルテ氏には恨みなど無いでしょうけれど、苦しい決断を迫られるでしょうからね。
(知らない読者が居るといけませんので念のため説明しておきますけど、米国自体もオリガーキー連中の傀儡国家であり、米国民自身も99%は奴隷であり、米軍も召使いに過ぎないという事を前提として書いていますので、予めご理解を)

一方、我が属国は完全服従である為、現時点では危険は無いにしても、将来的な安全、安心社会を売り渡してしまいましたから、数年後には地獄を見る事になりそうです。(東京五輪後)

よくよく考えてみれば、宗主国軍に制空権を奪われたままで、日米合同委員会に逆らえる訳がありませんわな。
従って、これを打破するには、全国民の総覚醒しかない訳ですが、今国会の騒動で漸く少しは目を覚まし始めた人もチラホラと出てきたようなれど、まだまだ大半の国民は眠ったままですから当然、制空権の話題では人心を掴むのは無理。
よって都議選も期待は出来ないでしょうね。


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