北朝鮮“危機”とは一体何なのか
2017年5月3日
Paul Craig Roberts
北朝鮮“危機”はワシントンのでっち上げだ。北朝鮮が最後に戦争をしたのは、1950年-53年だ。北朝鮮はこの64年間、どの国も攻撃、侵略していない。北朝鮮は、アメリカに守られている韓国や日本などを攻撃する軍事力が欠如している。しかも中国は北朝鮮が開戦するのを許すまい。
すると、売女マスコミとトランプ政権による北朝鮮の悪者扱いは一体何だろう?
イランの悪者扱いと同じことだ。“イランの脅威”はアメリカ弾道弾迎撃ミサイル基地をロシア国境に置く隠れ蓑として利用されたでっち上げだ。弾道弾迎撃ミサイル(ABM)は、核搭載ICBM(大陸間弾道弾ミサイル)を迎撃し、破壊し、ミサイルが標的に到達するのを防ぐのが狙いだ。
ABM迎撃基地はロシアに向けられてはおらず、ヨーロッパをイランの核ICBMに対して守るためだとワシントンは主張した。無頓着なアメリカ国民はこれを信じるかも知れないが、イランがICBMも核兵器も保有していないのは確実だから、ロシア人は信じない。ロシアがアメリカ基地が、ワシントンの先制攻撃へのロシアによる報復を防ぐことに向けられているのを理解していることをロシア政府は明らかにしている。
中国政府もばかではない。北朝鮮“危機”の理由は、ワシントンが弾道弾迎撃ミサイル・サイトを中国国境に配備するための口実を作るためなのを中国指導部は理解している。
言い換えれば、ワシントンは、両国に対するアメリカ核攻撃に対する、ロシアと中国両国からの核報復に対する盾を作っているのだ。
ワシントンの取り組みに対する中国の反応は、ロシアの反応より強硬だ。中国は、アメリカによる韓国内ミサイル配備の即時停止を要求している。https://www.rt.com/news/386828-china-thaad-south-korea/
アメリカ国民を混乱させておくため、ワシントンは、今、弾道弾迎撃ミサイルを、THAAD、終末段階高高度地域防衛システムと呼んでいる。北朝鮮は韓国と国境を接しているので、韓国をICBMで攻撃する意味がないのだから、THAADが、北朝鮮とは全く何の関係もないことを、中国は理解している。
韓国内のTHAADは、中国の核報復部隊に向けられているのだ。THAADや対ABMは、ロシアの核巡航ミサイルやロシア空軍に対しては無益なのだから、ヨーロッパは確実に完全破壊されるだろうが、アメリカにとっては、最少の被害で、ロシアと中国の両国を核攻撃するためのワシントンによる準備の一環なのだ。
だが属国諸国の運命を心配した帝国はなく、ワシントンはヨーロッパの運命に興味はない。ワシントンは自分たちの世界覇権にしか興味はない。
疑問はこうだ。ロシアと中国が、ワシントンの一方的行動に対する二つの抑制力を排除するため、ワシントンが、両国に対し先制核攻撃を準備しているのを理解した今、二国は攻撃を座視して待つだろうか?
読者ならどうされるだろう?
4月27日、私はこのサイトに“ワシントンはロシアと中国への核攻撃を計画している”という記事を掲載した。私の記事は、これがロシアと中国自身の結論だという報告だった。私は、ロシア軍参謀本部機動総局第1副局長のヴィクトル・ポズニヒル少将の言葉を引用し、彼が示している懸念へのリンクをを貼っておいた。https://www.rt.com/news/386276-us-missile-shield-russia-strike/
私のウェブサイトの読者は、自らこちらを選ばれた、虚構『マトリックス』世界のことではなく、現実が一体どうなっているか知りたがって、気を使っている知的な方々なので、ワシントンがロシアと中国を核攻撃する計画をしているという私の意見には同意できないと何人かの方々が書いてこられたのには、いささか面食らった。私は明確に書いた。ところが、何人かの読者は、ロシア参謀本部の結論に関する私の記事を、私の意見と誤読しているのだ! こうした読者たちが、彼らや私が考えていることが重要だと考えているのにも驚いた。重要なのは、ロシアと中国の指導部が何を考えているかなのだ。
私の記事を掲載している他のサイトのコメント欄を見てみたが、CIA、モサド、全米民主主義基金、ジョージ・ソロス、NATO、アメリカ国務省に雇われたアラシ連中と、核戦争を促進していると非難している連中ばかりだ。もちろん、核戦争を促進しているのはワシントンで、ロシアと中国に、将来先制核攻撃されると確信させたのはワシントンだ。
傲慢さに満ちたワシントンは、これで、ロシアと中国は震え上がり、両国政府は、ワシントンに従うだろうと考えている。
両国がそうする可能性はあるが、地球上の生命がそうなることなどありえないと思いたい。
アメリカや欧米世界における教育は極めて劣化しているので、ここ数十年に教育を受けた読者たちは、読んでいるものを理解できていない可能性が高い。ロシア参謀本部の結論に関する私の記事の歪曲表現を一体どのように説明できるだろう? 唯一ありうる説明は、コメント欄があるウェブサイトは、真実を語る人々に対する中傷者連中を、支配層エリートが雇う好機を与えるだけだというものだ。
コメント欄があるウェブサイトで、理知的なコメントを見るのは稀だ。大半のコメントは、恥ずかしくて、実名では書けず、本当のメール・アドレスを書くのもいやな人々からのものだ。ほとんど全てのコメントが、偽名と偽メール・アドレスに隠れている自己陶酔的で無知な阿呆と、雇われたアラシ屋連中のものだ。
雇われたアラシ屋連中や無知な自己陶酔的な阿呆に中傷されるために書いているわけではないのだ。一体誰か分からない連中による匿名の非難や中傷で、寄稿者が傷つけられるようにしているウェブサイトは極めて無責任だと私は考える。発言者の実名と本当のアドレスをしっかり確認しないコメント欄はあってはならない。
この要求を満たさないサイトに対しては、以後私の記事転載を認めないことにする。
ロシアと中国政府が理解しているように、ワシントンは地球上の生命を極度の脅威に曝している。これは深刻な問題だ。ワシントンの世界覇権衝動のおかげで、あらゆる生命が直面している極度の脅威を誠実に報じているごく僅かの人々を攻撃するために、無知で自己陶酔的な阿呆や雇われたアラシが、インターネットを利用する場所などあり得ない。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/05/03/n-korean-crisis-really/
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少し前の彼氏のルペン記事翻訳の後に小生が書いた文章に、批判コメントがあった。
「説明を欠いて感情的で偏っている。①北朝鮮の脅威がでっちあげだと考える理由と、②どの外遊が行く必要のない遊びなのか説明せよ」という趣旨。
森鴎外の『最後の一句』の言葉を思い出す。「お上の事には間違いはございますまいから」
「大本営広報部の虚報には、明快な根拠を持って反論しなければならない。」という無理難題コメントとして公開していた。
今回の彼氏の指摘を読んで、非公開にさせていただいた。
彼が納得しないだろうコメントを公開するか、彼の記事掲載を継続するかの選択で、後者を選ぶ。彼に納得いただけるであろうコメントは公開させていただこうと思う。あしからず。
憲法破壊派の集会で、オバサマがわけのわからないことをのたまう映像を見た。どこかのホールでの集会。
人数が一桁は違う護憲派集会の規模を見れば、国民投票で憲法破壊賛成多数を得るのは相当無理がありそうに思える。365日、24時間の大本営広報部の洗脳をもってしても。それでも、宗主国支配層と、属国傀儡は、侵略戦争に日本軍を動員するための憲法破壊は推進するだろう。共謀罪はその一環に他ならない。無茶な法律をごり押ししている理由、宗主国の指示、命令以外に考えられない。
日刊IWJガイドを引用させていただこう。IWJの番組で、何度も拝聴していた護憲と平和運動に取り組んでおられた元自衛官泥憲和氏が亡くなられたという記事に驚いている。
<はじめに>護憲派の憲法集会には5万5000人もの人々が参加! 沖縄平和運動センター議長の山城博治氏や名古屋大学名誉教授の池内了氏に加え、ファッション評論家のピーコ氏も参加! 立憲4党も挨拶!/本日16時から、護憲と平和運動に取り組んだ元自衛官の泥憲和氏を追悼するため、ロックの会「IWJ NIGHT」を特別配信します/本日から3日間かけ、会員限定公開の「岩上安身による軍事ジャーナリスト・福好昌治氏インタビュー」の模様をIWJ実況チャンネルで報告!
元自衛官の立場から、集団的自衛権の行使容認に強く反対してきたのが、泥憲和氏でした。その泥氏は、大変残念ながら、5月3日の憲法記念日にご逝去されました。
泥氏にはIWJに度々ご登場いただきました。
本日16時からは、泥氏を追悼するため、2014年9月9日におこなわれた「ロックの会『IWJ NIGHT』」の泥氏登壇部分を特別配信いたします。集団的自衛権に反対を唱えた泥氏は、これまでに世界で集団的自衛権が発動された中で「本当に自国を守るために発動された事例はない」と断言。ぜひ、ご視聴ください。
★平和を訴え続けた元自衛官・泥憲和氏が集団的自衛権、ヘイトスピーチをテーマに語る ~「第35回ロックの会・IWJ NIGHT」
[日時]5月5日16時~
YouTube視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
ツイキャス視聴URL: http://twitcasting.tv/iwakamiyasumiロックの会はIWJ代表の岩上さんの他、女優の松田美由紀氏、映画監督の岩井俊二氏、ミュージシャンの小林武史氏が発起人となり、震災から3ヶ月後の2011年6月9日に設立され、2016年7月17日まで、主に毎月9日に開催されてきたトークイベントです。イベントで扱うテーマは震災の支援活動報告や原発問題、シリア難民、TPPや改憲問題など、多岐にわたっていました。
ロックの会の模様は会員限定記事として公開していますが、今回の追悼特別配信では、会員以外の方もご視聴いただけます。
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» 北朝鮮のメッセージはどのように伝えられるのか? [時事解説「ディストピア」]
5月2日、北朝鮮のメディア、労働新聞は次のような論評を掲載した。
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【平壌5月2日発朝鮮中央通信】
日本の執権者がシリアに対する米国の先制攻撃の報が伝わると、
待っていたかのように朝鮮半島の危機説を先頭に立って鼓吹している。
閣僚らも彼を真似て連日、朝鮮半島の危機説を流している。
2日付の「労働新聞」は署名入りの論評で、朝鮮半島の危機説をけん伝してい... [続きを読む]
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