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2017年4月27日 (木)

ルペンに対して防壁を築くフランス支配体制

Finian CUNNINGHAM
2017年4月25日
Strategic Culture Foundation

“中道派”候補のエマニュエル・マクロンが、週末のフランス大統領選挙第一回投票の勝者だと発表されるや否や、既存政治支配体制は、見苦しいあわて方で、ライバルのマリーヌ・ルペンの国民戦線Front Nationalに対し陣営固めを急いだ。

マクロンは、一回目投票で、23.8パーセントを得票して一位になった。ルペンは、21.5パーセントで二位となった。この二人の候補者は、5月7日に行われる二回目投票での対決に進むことになるが、他の9人の候補者は振るい落とされた。

FN党首は、選挙実績を“歴史的”功績と呼ぶ資格を得た。1972年の創設以来、民族主義政党にとって、フランス大統領選挙で最高の結果だった。ところが彼女の支持者たちが画期的勝利lを祝う中、フランス支配体制は、跳ね橋を必死に巻き上げ。ルペンが権力の座につくのを確実に食い止めるべく、投石器や矢や沸騰する油が用意しつつある。

2011年、父親のジャン-マリーから党首の座を引き継いだルペンは、FNを“泡沫的”立場から、フランス共和国大統領の座も勝ち取れる範囲にある主要政治勢力に押し上げた。

だが、マリーヌ・ルペンが女性大統領になる可能性は低い - 少なくとも2017年の選挙では。彼女のライバル、マクロンは既に、かつての二大政党、中道右派共和党と、現与党の社会党からべた褒めの支持を受けている。週末、両党は60年間で初めて 両党いずれも、候補を二回目に進めることができず、手痛い敗北を被った。

得票19.9パーセントを得た共和党候補フランソワ・フィヨンは、即座にマクロンを支持し、支持者に、ルペンは、フランスにとって“大災厄”になると述べた。社会党の競争相手、苦労したあげくわずか6.5 パーセントの得票しか得られず、壊滅的な選挙実績だったブノワ・アモンは、マクロン支持に一層熱心だ。敗戦演説で、アモンは、支持者たちに、ルペンは“国家の敵”なので、マクロンを支持するよう呼びかけた。

フランス左翼党の、いわゆる“極左”候補ジャン=リュック・メランション、19.6パーセントという立派な得票で、四位となり、フィヨンをかなり追い上げていた。メランションが、社会主義綱領に忠実に選挙運動を行っていたことや、彼の党が最近立ち上げられたばかりであることを考えれば、ベテラン左翼にとって、称賛すべき結果だ。彼は、フランスにおける“本物の左翼”という立場を確保したと主張することができ、新たな社会主義政党を構築する強力な基盤を得て前進可能だ。その理由から、メランションは、二回目の投票で、マクロン、ルペンいずれを支持することも拒否した。政治原則を身売りしなかった彼は称賛に値する。

来月の最終の直接対決選挙は、マリーヌの父親ジャン-マリーが、当時、二回目の選挙に進出して政治的衝撃を引き起こした2002年大統領選挙戦の繰り返しの様相を呈しつつある。あの場合も現在同様、既存支配体制、中道右派の国民運動連合UMP(現在の共和党の前身)のジャック・シラクを支援した。2002年、ジャン-マリー ルペンは、シラクの約80パーセントに対し、最終投票のわずか18パーセントという惨敗を喫した。

以前と同様、マリーヌ・ルペンに対して防壁を築く同じ策略が進行中だ。マクロンは、フィヨンの共和党とアモンの社会党の支持者を取り込み、最終集計で、60パーセントで、マリーヌ・ルペンに対して勝利するものと見られている。

得票という点で、ルペンのFNは、フランス政治における、紛れもない中心的政治勢力へと進化した。週末、彼女は約760万票を稼ぎ、100万票以下の票差で、マクロンに続き、他の競争相手を大きく引き離していた。彼女の党の政治実績は、FNが660万票を獲得した、2015年の市政選挙の過去最高を超えた。

それにもかかわらず、ルペンのFNは依然、元々のファシズム、人種差別と反ユダヤ主義とのつながりという汚点がある。主流マスコミが彼女の党に“極右”とレッテルを貼っているのは中傷だとルペンは主張している。FNが“民族主義者”と呼ばれるのを彼女は好んでいる。

48歳の弁護士は、党のイメージをかなりの程度まで“解毒”するのに成功し、党をグロー1バル資本主義と、金融企業に対する欧州連合の卑屈さに反対する人民主義の運動として位置づけた。ルペンは、“社会的保護”という左寄りの経済政策と、イギリスのBrexitと同様のかたちで、フランスをEUから離脱させるという主張で選挙運動をしてきた。彼女はアメリカ率いるNATO軍事同盟も辞めたがっており、ロシアとの友好的な関係をあからさまに呼びかけている。FNは、フランス国境に対する国の支配を回復し、移民人数を大幅削減することを狙っている。フランス文化の“イスラム化”に対する彼女の執拗な非難が、批判を引き起こしている。

とは言え、ルペンとFNに“国家の敵”とレッテルを貼るのは、度の過ぎる戯画に見える。グローバル資本主義、EUとNATOに反対する彼女の党の政策こそが、“人種差別、外国人嫌いで、ファシズム”で “国家の敵”だという空疎な非難によって隠されている、支配体制による憎悪本当の原因ではないかと疑われる。

週末マクロン支持を急いで、EU指導者連中も、フランス支配体制の連中に加わったことは注目に値する。欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長とドイツのアンゲラ・メルケル首相は、一回目の大統領選で一位になったことを早速、慶賀して対応した。二回目で最終の選挙まで、あと二週間の今、EU指導者たちの公的発言はフランス選挙に対する露骨な干渉に見える。とはいえ、そうした発言はフランス国内とヨーロッパ中の、既成政治支配体制がルペンが5月7日にエリゼ宮入りするのを防ぐ緊急性を際立たせている。

マクロンについては、“中道”政治家というブランド戦略には紛れもない権力による巧妙なマーケティング戦略の雰囲気がある。もちろん熱心な親EU、親NATO派で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領冷たいマクロンは、現状維持派の目からは熱望する本命だ。

39歳のマクロンは、政治的に“でも、左でもない”と主張し、主流マスコミは、初々しい “部外者”と褒めちぎって表している。ジョン・F・ケネディ、トニー・ブレアやバラク・オバマになぞらえる感傷な比較もされた。政治の上で将来性のある青年として、マクロンのイメージが熱心に作上げられつつある明らかな感じがするし、全員に“希望と変化”をもたらす人物だと宣されている。

マクロンのことは粗野で、表面な意味でしか、“新しい政治”を作りつつある“部外者”と表現できない。彼が選挙で職に就いたことがないのは事実だ。そして彼は政党、アン・マルシェ(前進)を、わずか年前にたちあげた。

しかしそれ以外のあらゆることでマクロンは、根っからの既成支配体制派、現状維持派だ。エリート教育を受け、四年前、社会党大統領フランソワ・オランドにより経済大臣に任命される前、億万ユーロの収入稼ぐ元ロスチャイルド投資銀行家として働いていた。その職位で、彼は、大規模な大衆抗議行動にもかかわらず、昨年、法令によってオランド政権が、強制的に法制化した、広く憎悪されていた、企業寄り労働法“改正”(hire-and-fire)立案者なのだ。

マクロンは賢明にも、大統領選挙に出馬するのを見越して、経済大臣の座を降り、彼は嫌われた与党社会党から多少距離を置けることになった。ちなみに社会党というのは、実際、実態とかけ離れた名称だ、オランド政権(2012年-2017年)は、グローバル金融企業に仕えて、ネオリベラル資本主義の熱心な支持者として動いて来たのだ。これは、共産主義者が支援するフランス左翼党のジャン=リュック・メランションが、まずまずの支持を得たのに対し、オランドの後継希望者たるブノワ・アモンが、最新の世論調査で、これほど大敗した理由の一つでもある。

だから、マクロンは確実に、決して“部外者”でも、現状に対する初々しい“挑戦者”でもない。そうしたものは全て、ルペンが大統領になるのを、彼が確実に防ぐための、上っ面マーケティング・ブランド戦略に過ぎない。マクロンは、結局、グローバル資本主義、EUとNATOの熱心な召し使いで、労働者階級に対する冷酷なエコノミック・ヒットマンであることが分かるだろう。

週末、一回目投票での戦勝演説で、マクロンは、全員にとって“公正で効率の良い”フランスを作るつもりだと宣言した。“効率の良い”という単語を使っているのは、この支配体制のテクノクラートが、巨大企業、グローバル資本や、アメリカ率いる大西洋横断軍国主義に、大統領として貢献する優先順序の気味悪い前触れだ。

マクロン支持者のリストが多くを物語っている。支持者の中には、社会党現大統領フランソワ・オランドと現首相ベルナール・カズヌーヴ、ジャン=マルク・エロー外務大臣と、ジャン=イヴ・ル・ドリアン国防大臣がいる。中道右派共和党指導部まるごとも。この二党は、週末の第一回大統領選挙で、はっきり拒否されたのだ。それにもかかわらず、彼らは今“部外者”とされるマクロンを応援している。結局、これは破綻したフランス政治家が、破綻したフランス政治家を更に産み出すことになる。わお、いくら見かけが変わっても、本質は変わらないものだ!

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/04/25/french-establishment-mount-the-ramparts-against-le-pen.html
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24歳年上の夫人がいるやら、甘いマスクやら、大本営広報部で、まともな説明を聞いた記憶がない。いつものことながら。
紙媒体は購読をやめているので、何が書いてあるか全く知らない。習慣誌電車中吊り広告見出しでも、この話題みかけた記憶がない。

植草一秀著『「国富」喪失』を拝読すると、いずこも同じ。一億総労働というスローガンのもと、ぎりぎりまで低賃金で働かせ、働けない状態になったら放置する日本全国姨捨山計画が着々進められていることが良くわかる。最近のIWJの岩上氏による関良基氏インタビューのテーマ、水道民営化についても触れられている。

書評】『「国富」喪失』植草一秀(詩想社新書)

大本営広報部洗脳白痴番組で、終日いくら北朝鮮の脅威を吹き込まれても、素人には、宗主国オオコンや、属国傀儡支配層の過酷な搾取政策の方が恐ろしい。

北朝鮮の祝賀で答える皆様の顔、新橋駅頭でインタビューに答える皆様のお顔と重なって見える。体制盲信、あるいは、盲信の振りをしていることで。

復興大臣更迭。派閥会長が、大本営広報部大政翼賛会を批判するのに驚いた。
任命したご本人、任命責任があるとヌケヌケ。

結局、これは破綻した政治家が、破綻した政治家を更に産み出すことになる。わお、いくら見かけが変わっても、本質は変わらないものだ!

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コメント

   マクロン候補のバック、大手メディアの煽り、支配層の動き、タブロイド紙による洗脳、、、、先進諸国はどこも同じだなあ、という感想を持ちました。この記事で私が最も信憑性を感じる部分は「マクロン氏がロスチャイルド系の投資銀行で働いていた」の箇所です。1980年代に広瀬隆氏の「赤い盾」を読んで感動して以来、ロスチャイルド財閥に触れない欧州解説には満足感が得られません。(陰謀論者のレッテルを貼られたくないので、この件についてはこれまでとさせて頂きます)
  「ゼロヘッジ」誌のライターが、「決戦投票の勝者はマクロンで決まり」と書いていました。仏大統領選前の世論調査でルペン候補に25ポイント差をつけたマクロン氏が逃げ切る、決選投票での差は更に広がる、とゴールドマン•サックスのレポートを引用して述べていました。更に世界の株式市場はマクロン勝利を既に織り込んでおり、5月7日までは比較的平穏で、決選投票後にリスク•プレミアム分(2〜3%ほど)だけ上昇するとまで書いていました。当たるかどうかは分かりません。もし当たれば、やはり民主主義は仕組まれているのだなあ、と改めて感心することになるのでしょう。(既に十分絶望している私は、やはりそうなのかと感心する、という意味です。)

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