ダオ医師が残忍な扱いを受けたのは規制撤廃のせい
Paul Craig Roberts
2017年4月17日
数人の読者から、私のコラム“低能連中の政府”で、航空会社のオーバーブッキングの結果、ユナイテッド便の座席からおろされたダオ医師に対する暴力のこともなぜ書かなかったのかとご質問を頂いた。69歳の客が暴漢に殴打されて気を失ったのだ。数日後、ユナイテッド航空は、部分的にだけ満席だった便から結婚式に向かう新郎新婦をおろした。何の説明もなかったが、打擲されるのを恐れた新郎新婦は命令に従った。
明らかにユナイテッドは遠く離れていたい航空会社だ。明らかに客室乗務員連中には分別も判断力もない。明らかに“警備”は逆のことを意味している。
読者のご質問へのお答えは、私は小研究論文や本や長い随筆ではなく、コラムを書いているからだ。言いたいことを言うため延々と例を挙げる必要はない。確かに、ダオ医師に対する扱いは、アメリカの唯一の解決策は暴力だという好例だが、二人の警官が公園で遊んでいた12歳の子供を銃撃したのもそうだ。
ユナイテッド航空によるダオ医師に対する残忍な仕打ちを考え、航空会社の規制撤廃の結果だと私は結論する。飛行機での旅を規制撤廃の時代でしか経験されていない方々には、規制下の経験がどれほど優れていたかお分かり頂けまい。規制撤廃の結果、ありとあらゆるものを収益に集中させた。収益以上重要なものはないのだ。
規制されていた時代には、便がオーバーブッキングされることはなかった。現在、便がオーバーブッキングされるのは、航空会社が満席にしたがっていて、来ない客がいると想定しているためだ。客が全員現れると問題が起きるのだ。
規制されていた時代には、サービスは素晴らしかった。エコノミー・クラスの客でさえ、便が食事の時間にあたれば、温かい食事が出された。
予備部品があり、整備士がいて、予備機まであった。予定の航空会社の飛行機で、目的地に行けない場合には、その切符を任意の航空会社で使用できた。
便に乗れなかった場合は、切符は全額払い戻しできた。
追加費用なしで、飛行機を、より遅い、あるいは早い時刻に変えて予約変更することが可能だった。今では、変更費用が切符購入価格に近くなる。
国際便の場合、追加費用無しで、三カ所で途中下車ができた。
いくらでも例をあげることができる。
航空会社が規制されていればこそ、こうした素晴らしいサービスが可能だったのだ。結果として、航空会社はサービスで競争をしていた。
利益は規制の一部として保証されていたので、経費は現在のような要素ではなかった。整備士や予備部品や予備の飛行機を空港に待機させておいても、ウオール街が乗っ取り用資金を出したり、様々なサービス要素を廃止して、利益を押し上げたりすることを意味してはいなかった。規制されていた時代の航空運賃は、サービス経費に利益を上乗せしたものと考えることができる。民間航空委員会は、55パーセントの座席稼働率の便で、12パーセントの利益を航空会社に保証していた。55パーセントという座席稼働率を実現するため、民間航空委員会が路線を規制して、航空会社の路線を統制していたのだ。
1978年に、この全てが変わった。自由市場主義・規制撤廃論者や有力なリベラル政治家連中が、規制撤廃は、競争を増し、運賃を引き下げ、より多くの人々が目的地に行くのを可能にして、制度を“民主化”すると主張した。ところが、規制撤廃の結果は、集中化だった。現在では、航空会社四社が、市場の85%を支配している。航空会社一社が主要空港を支配することができ、そのハブ空港からの出発便の価格を支配できるのだ。今や野放しの独占価格になっている。今の平均価格は、かつての規制されていた制度の下であったであろう価格より高い。http://www.huffingtonpost.com/david-morris/airline-deregulation-ideology-over-evidence_b_4399150.html
実際、規制緩和でより良い結果になった例を全く知らない。規制されていたAT&Tのもとでは、非常に安価で、電話サービスは素晴らしかった。地域独占が規制撤廃された後の、今の酷いサービスと高価格を比較願いたい。
現在、家庭の電話は、人のプライバシーを侵害する電話セールス業者に主に利用されている。携帯電話では、通話が切れたり、音声が不明瞭になったりするが、私はラジオやインターネット番組向けに電話インタビューすることが多いため電話が必要なのだ。私が受ける電話の85%は電話セールスや政治運動で、自動的にかけ、録音メッセージを流すものが増えているように思う。友人たちによれば、携帯電話も今では電話セールス業者に狙われているそうだ。
“電話セールス拒否”の登録はあるが効果は薄く、今では電話セールス業者は、商品xyzについて、もっと知りたいというご希望にお応えしてお電話しておりますと、強引な売り込みの前置きをする。アメリカ政府が白々しいうそをつけるなら、自分もついてよかろうと電話セールス業者も考えるのだ。
もし電話セールス業者が戸口にやってきて、家に入り込めば、不法侵入で犯罪になる。だが電話経由でなら、我が家に入り込めるのだ。
このような侵入が許されるというのは、私にとって驚くべきことだ。オックスフォード大学のアメリカ人学生として、私は正しいマナーのオリエンテーションを受けた。電話もその一部だった。たとえ割り当てられたアドバイザーにであれ、紹介されたことがない人に電話をかけるのは失礼と見なされると教えられた。まず、その人に手紙を書くのだ。返事を貰えたら、電話をかけることができる。
わずか数十年で、航空会社のサービスとともに、大変な変化だ。
私の世代にとって、今のアメリカでの生活は残酷だ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/04/17/dr-dao-brutalized-deregulation/
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キノコも採れない共謀罪。
副大統領がお出ましになり、経済対話なる亡国売国交渉、実態押しつけ、がTPPの代わりに実現する。趣旨は、宗主国大企業利益第一。大本営広報部大政翼賛会、めでたいことのように報じる。北朝鮮ニュースと変わらない。
新書新刊、宇沢弘文著『人間の経済』を読み終わったところなのに。「富を求めるのは、道を開くため。」という姿勢を終生つらぬいた。郵政破壊、新自由主義、市場原理主義の政治家・エコノミトスのコンビの悪辣さも当然批判しておられる。
この文章の航空業界ともつながる『「成田」とは何か―戦後日本の悲劇 』も拝読したが、『自動車の社会的費用』『社会的共通資本』が印象に残っている。
「セールス」電話よくかかってくる。「お名前をお聞きしていいうます」と音声を出すボタンを押して、ほぼ100%撃退している。そうした電話に変える前は毎回不快な思いをしたものだ。更なる新型、ボタンをおさずとも、登録していない電話番号からの電話には自動的にそうしたメッセージが送られるようだ。買い換えたいものだ。
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昭恵首相夫人は公人か,私人か-規制撤廃-
一般の奥様方は首相に同行できない。その意味で無料で世界に飛び回ることができる首相夫人は公人である。一般にA公人(首相夫人)があって,B私人(選挙応援)があり,その両者の交わるところが「C公人且つ私人」(官邸での,首相不在時の,諸団体接待ー内閣高支持率の理由の一つ)があるといえよう。森友学園名誉学校長就任はBの「私人」に当たる,などと考えていたら,老化した頭が痛くなってきた。慣れないことはしない方がいい。
それでもやはりハッキリさせておかねばならないことは,安倍昭恵氏の旅券(パスポ-ト)は何色だろうか,ということである。小生の持っているのは,赤色。外交官の持っているのは,確か深緑色。閣議決定によれば,昭恵夫人は「私人」であるそうだから,旅券の色は「赤色」である。本当だろうか。ご存知の方はご教示願いたい。
ハワイやフロリダなどの外国に出かけた場合には,日付・付き出国印と入国印が押されるから,捏造の可能性が低いが,真の野党議員はその実物または複製(コピ-)の,国会への提出を要求すべきである。
しかし小生が気になっているのは,その事ではない。怒髪天を貫くほどではないが,出国(獄)のとき不愉快な思いをしたときの係員の対応に対する怒りである。それはP.C.ロバ-ツ氏が指摘するところの「規制撤廃」の結果に対する怒りでもある。
小生の場合は,ダオ医師のように「暴漢に殴打された」わけではないが,手荷物検査のとき,水の少々入ったペットボトルを没収されそうになった。なぜペットボトルを出発棟に持ち込もうとしたか。その理由は2つある。一つは,ネオコン主導の9.11事件が起きた後,テロ防止策として,20ミリリットルの液体の機内持ち込みが禁止されたからである。つまり,各種の液体を調合して造られた物品が9.11を引き起こしたわけではない。諸液体は,あの2機の飛行機突入事件とは無関係であるからである。
二つは,飲み水を手荷物検査場で棄てることに違和感を持ったからである。出国棟待合室で喉が渇いたとき,飲み物が欲しい。売店で飲料水を買えば余計な出費。家から持ってきたお茶が飲みたい。それなのに,「棄てろ」と言われる屈辱感。
小生は自虐史観に囚われていないから,直ぐ反発する。ましてや出獄管理棟で飲み物を買うのは,日銀・アベノミクスの物価目標2%達成に協力することになるから,日本円で出費したくない(カンボジアや香港のような外国で,日本国内での消費は控えて,買い物をしている)。
しかし飲み水の代金などGDP全体から見ればほんの僅か。愚かな抵抗を試みていると批判される向きもあろうが,小生の気持ちに賛同して下さる方が増えればと願っている。話がまた脱線して申し訳ないが,こんな規制は撤廃すべきである。
話を戻すと,毎回出国のとき不愉快になる。なぜなら,私的な傭兵というか,民間企業の警備員になぜわれわれが身体を触られなければならないのか,疑問だからである。セクハラとは言わないが,航空会社の社員でも公務員でもない者に,なぜ荷物の中をのぞかれたり,身体を触られたりしなければならないのか。
手荷物検査員はJSSという民間警備会社の派遣社員だそうだ。日本国政府が「民間会社」に手荷物検査,並びに身体検査を発注したのである。そこで小生は「JSSはセコムの子会社か」と警備員に尋ねたところ否という返事であった。もしかすると人材派遣会社パソナ会長竹中平蔵慶大教授の下請け警備会社かと連想してしまった。
まあ,いずれにしても,民間警備員という一「私人」が小生の手荷物検査をするのは,プライバシ-,基本的人権の尊重侵害であろう。要するに,規制撤廃の波に乗って手荷物検査を公務員(公人)から私人である民間警備員に代えたのである。だとすれば,こんな規制撤廃は止めよ。
ロバ-ツ氏は冷静であり,ダウ医師が暴漢に襲われた原因を指摘したに過ぎないが,小生は怒りやすい。怒りやすいのでいつも損をしてきたが,わが人生に後悔はない。ここに記すことをお許し願うとしても,合計20ミリリットルに達しない水が入った「ペットボトルを捨てて下さい」と言われたので,私人警備員に文句を言った(別の警備員が中に入って小生をなだめた)。
ところで話が大分逸れて申し訳ないので話を戻すと,小生の問題としているのは,水や物価目標2%の話ではなくて,安倍昭恵氏がどの通路を通って飛行機に乗り込んだかである。赤色旅券所持者,われわれ一般人が利用する,私人用の出獄管理棟通路なのか,首相や政治家が利用する特別通路なのか。それが問題である。
追記: 安倍昭恵氏がどの通路を通ったかは映像に記録されているだろう。映像の保存期間は,コンビニ便利屋や銀行等では3ヶ月だそうだが,出入国管理事務所の場合はまだその映像が残っていると,推認する。ただ心配は,その映像が自動的に消滅することである。佐川理財局長殿。
追記: 今国会外で問題になっているのは,「共謀罪」である。安倍首相の答弁はいつもウソなので信頼しないが,大野法相の答弁ではその対象が800近くまで膨らむという。これは戦前の治安維持法およびその運用規則以上に多い。共謀罪を「平成の治安維持法」というのは,一種の悪い冗談に過ぎない。
おそらくこの共謀罪は,安倍・創価学会政権のもとで,成立するだろう。『私の世代にとって、今のアメリカでの生活は残酷だ』は,本当だろう。戦後50年間,平和を享受してきた日本人にとって,「アメリカ」を「日本」と読み替えることは容易であろう(小泉内閣がイラクのサマワへ自衛隊を派遣する前のおよその年数)。
追記2: 大阪府私学審議会長梶田叡一氏も言ったように,「規制緩和の流れに乗って」,共謀罪という法律も規制撤廃すべきである。なぜならトランプ氏のトイレでのひそひそ話も,井戸端会議のヒソヒソ話もできなくなるからである。共謀罪という規制を徹底的に廃すべきであろう。
追記3: 最近知ったのだが,NO銀行支店長会議が小生の住んだことのある,南洋の海辺の町でしばしば開かれる。なぜ日本で開かれないのか。その解明はこの文章の目的をはるかに越えるが,支店長会議という文字を見て思いついたことは,外国でヒソヒソ話あるいは会議をして日本に帰った場合,共謀罪に問われるのであろうか,ということである。
追記4: 戦前婦人に参政権はなかった。それがGHQ日本占領によって男女平等になった。つまり男女の障壁が取り払われた。同様に公人用私人用の旅券の規制も取り払われてもよい。世の中「規制撤廃」の流れが充満している。したがって,日本国民全員が公人・私人の壁を取り払って「一般旅券」を廃部すべきである。
さすれば,あの嫌な思いもすることもなくなる。外交官,政治家専用通用門から出獄(国)したいものだ。
投稿: 箒川 兵庫助 | 2017年4月20日 (木) 12時25分