トランプ大統領に対する陰謀
Paul Craig Roberts
2017年3月20日
今日のコミーFBI長官と、海軍大将マイケル・ロジャース国家安全保障局局長の、下院情報委員会(矛盾した表現だ)での証言放送を聞けば、民主党やコミーやロジャースが、ロシアとの対立を意図していることが明らかだ。
大半の共和党議員は、トランプ共和党を狙った情報漏洩が、一体なぜ、CIA長官とNSA局長とFBI長官しか出席していない会議が出所なのかを知りたがっていた。もちろん、彼らは答えは得られず、議会の監督委員会がいかに無力であるかを示している。コミーは、漏洩報道が事実だったのを確認することになるので委員会には何も話すことはできないと何度も繰り返した。しかし彼はこう言った。一般的に言って、特定の漏洩ではなく、大半の漏洩は“何かを聞いた誰か”が出所で、それがマスコミに伝えられるので、一部の漏洩が不正確になる理由でもある。言い換えれば、我々のせいにしないでくれと言うことだ。
ロシアやプーチンや、全員を、フリン中将が、ロシア大使に、オバマ大統領によるクリスマス時のロシア外交官追放に対して、ロシアが目には目で対応しないよう勧めた際のように、人物が一私人であろうとも、ロシアと話をする特にトランプ派共和党員を悪魔化するのに民主党は、おおわらわだ。民主党は、プーチンに、もう一つの悪魔的肩書きを授けた。“新ヒトラー”“殺し屋”と“マフィアの親分”に加え、今やプーチンは“スパイの蜘蛛の巣の中心にいるタランチュラ”となった。
ロシアが報復しないよう説得して、フリンは、アメリカとロシアとの関係を悪化させようというオバマ政権政策を妨げたというのが民主党の姿勢だ。民主党員の中には、これは反逆罪だ見るむきもある。これはフリンとトランプがプーチンから金を貰っている証拠だと見るもきもあり、更にもっと酷いと見るむきもある。
民主党は、ロビイストについても、共和党員であれば、ティラーソン国務長官を含め、ロシア権益のために働いているのではないかと大いに懸念している。事実としては、どの国もロビイストを雇っているが、イスラエルのロビイストや、もし当時のニュース報道が正しければ、ワシントンでトルコを代理していたネオコンの、リチャード・パールなどのように、ロビイストが必ずしも外国のエージェントとして登録しているとは限らない。http://www.slate.com/articles/news_and_politics/press_box/2003/04/richard_perle_libel_watch_week_4.html
民主党は、ロシア政府から金を貰っていないと言ったことでも、フリン中将を追求した。フリンは、モスクワでのRTの10周年記念祝典に出席し謝礼を受けた。報道機関のRTはロシア政府だろうか? 予算こそロシア政府が出しているが、これは、アメリカ政府が、ナショナル・パブリック・ラジオや、ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティー、ボイス・オブ・アメリカの予算を出しているのと一体どう違うのだろう? つまり、NPRやラジオ・リバティーやVOAで、インタビューに応じる人全員、アメリカ大統領から金を貰っているアメリカの工作員だということだろうか? こうした組織どれかの行事に出席すると、“アメリカ工作員/手先”にされてしまうのだろうか? そうした人々のリストはあるのだろうか?
民主党が現在しようとしているのは、アメリカとロシアとの関係を良くしようとつとめるあらゆる人々を犯罪者扱いすることだ。核大国間の和平に賛成すると、ロシア工作員ということになり、リストに載せられる。民主党は、ロシアが我々をやっつけようと躍起になっていると主張しており、民主党にとって、いずれもオバマが任命したコミーとロジャースに同意させるのはたやすいことだ。
アメリカにとっての主要な脅威であるロシアが、我が国の国益に反対して行動し、我が国に危害を加えようとしていると、コミーとロジャースは述べた。我が国に危害を加えようとしていることの中には、アメリカ覇権と単独行動主義への反対が含まれる。言い換えれば、もしロシア政府がロシアの国益のために行動すれば、ロシア政府はアメリカに危害を加えていることになる。証言から、ワシントンがするあらゆることへの、あらゆる反対は、アメリカの国益に反することが、はっきりと浮かび上がる。
コミーもロジャースも、ロシアがウクライナに侵略し、クリミアを武力で奪い取ったと、偽って発言した。もしコミーとロジャースがこういうことを信じるほど情報にうといのであれば、二人は職務不適任だ。クリミアは、300年間ロシアの一部だった。住民はほとんど全てロシア人だ。ソ連が崩壊し、ワシントンがバラバラにした際に、ウクライナは、史上初めて独立した。フルシチョフによって、1954年に、クリミアが、ロシア・ソビエト社会主義共和国から、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国に引き渡された際には、ロシアへのクリミア海軍基地の長期借用という条件が含まれていた。
ワシントンによるクーデターが、ウクライナの民主的に選ばれた政府を打倒した際、クリミアと、ルハンスクとドネツク新共和国のロシア人住民は、ヒトラーのために、ソ連に対して戦った東ウクライナ内のネオナチ分子に攻撃され威嚇された。この地域の人々の圧倒的多数が元々所属していたシアへの再帰に投票した。投票は公正でオープンだった。クリミアは、ロシア海軍の黒海基地なので、クリミアは元々ロシア軍が占領していたのだ。コミーとロジャースが、これを“侵略”と呼ぶのは、無知か品位の欠如の現れだ。
実際、FBI、NSA、CIAやオバマ政権の品位の欠如は、しっかり継続されている、ウソ、歪曲や、相手を標的にした“ニュース漏洩”のキャンペーン、つまり大統領選挙へのロシアによる干渉に関して、諜報機関が売女マスコミに仕込んだお話で証明される。もっぱら膨大な軍/安保機構予算と権限を守るのが狙いだ。彼の政策は、ロシアとの関係を正常化することだと宣言して、トランプは連中の予算と権限の両方を脅かしたのだ。もし関係が正常化されれば、入念に画策した“ロシアの脅威”は消滅する。諜報機関は、そういう事態にしたくないのだ。アメリカ諜報機関には、予算削減より、核ハルマゲドン危機の方が好ましいのだ。
民主党員は、おそらく、自分たちが核大国間の戦争を煽り立てていること理解するに十分な知性がないのだ。民主党は、選挙敗北の責任をなすりつける相手を誰か捜そうと必死なのだ。しかも責任をトランプとプーチンとの共謀になすりつけて、トランプを大統領の座から排除したがっている。ロシア嫌いのペンスは軍安保複合体には許容可能だが、民主党は、彼も共謀とされるものの結果、選出されたのだからペンスも片づけて、民主党大統領をホワイト・ハウスに据えつけることを望んでいる。
民主党と共和党の政治競争は、1パーセント連中の売女として、どちらの党が金を集めるかを巡るものだということを、アメリカ人は理解する必要がある。伝統的に、ホワイト・ハウスに大統領がいる方の党が大半の金を得るので両党とも大統領を出したがるのだ。
ヒラリー・クリントン支持者で、オバマ大統領最後のCIA長官で、ヒラリーの下でCIA長官になるはずだったマイケル・モレルがこう言っている。“トランプ陣営のロシアとの共謀に関する疑問には、煙はあるが、火は全くない。キャンプ・ファイアーは皆無で、ろうそくも皆無で、火花もない。そこに、多数の人々がそれを探しているのだ。” http://www.nbcnews.com/news/us-news/clinton-ally-says-smoke-no-fire-no-russia-trump-collusion-n734176
不満を持ったバーニー・サンダース支持者による民主党全国委員会内部からの漏洩だったという証拠にもかかわらず、モレルは、ヒラリーが有罪であることを示す電子メールをハッキングしたのはロシア人だったが、トランプと共謀していたわけではないと考えている。
3月5日にオバマの国家情報長官ジェームズ・クラッパーが、Meet the Pressで、1月20日に退任した時点では、プーチン-トランプ共謀の証拠を見たことがないと述べた。
今日のコミーとロジャースを聞くと、二人が反トランプ大統領で動いているのでなければ、一体何が反トランプ行動ということになるのだろう? トランプ支持者たちは、トランプは、一体なぜ、ワシントンとロシアとの間の危険な緊張を緩和するのを阻止しようとしているこの二人の人物を首にしないのかと問うている。民主党やコミーやロジャースやCIAや連中のマスコミ売女連中は余りに愚かで、ロシア大統領が“アメリカ人は、我々の彼らに対する信頼を破壊した”と発言した際、一体どういう意味だったか理解できないのだろうか?
トランプは、コミーとロジャースを首にすることはできない。もし彼らを首にすれば、民主党と売女マスコミは、解雇はトランプがロシアの手先である証拠で、それを調べている人々を排除して、彼の反逆罪を糊塗するものだと説明するだろう。
トランプは彼に対して画策されているマスコミ攻撃に反撃し、彼に投票した支持者である労働者階級に何らかの組織を実現するため、ツィッターを利用しようとしている。ところが、トランプは共和党にさえ頼ることができない。大半の共和党議員も、軍安保複合体の政治献金に依存しており、共和党議員は、諜報機関が自分たちの恥部を全て握っていることを知っている。トランプを支持して戦えば、自分の恥部を曝しだすことになるのだ。
ヨーロッパでもアメリカでも、CIAがマスコミを支配していることは明白だ。2014年にドイツで刊行されたウド・ウルフコッテの著書Gekaufte Journalistenが、CIAによる、ヨーロッパ・ジャーナリスト支配を暴露した。英語版「お雇いジャーナリスト: CIAがいかにしてニュースを買っているか」は5月刊行予定だ。当面はジョエル・ホィットニーの著書『Finks: How the C.I.A. Tricked the World’s Best Writers』でアメリカの大半の著名ジャーナリストが、CIAのクールエイドを飲んで、宣伝屋として働きながら“自由を守っているのだと思い込んでいる”のを確認するには十分だ。http://www.truthdig.com/avbooth/item/joel_whitney_cia_propaganda_cold_war_scheer_intelligence_20170317
聞かされるニュースが、アメリカ軍安保複合体の権益を支えるものであれば、ニュースはCIAが書いたものだということを、欧米の人々は理解する必要がある。CIAは、アメリカ人の利益や平和のためではなく、自分たちの利益のために動いているのだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/03/20/conspiracy-president-trump/
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聞かされるニュースが、アメリカと属国の軍安保複合体の権益を支えるものであれば、ニュースはCIAが書いたものだということを、属国の人々は理解する必要がある。CIAは、アメリカ人や属国民の利益や平和の利益のためではなく、自分たちの利益のために動いているのだ。
日本中が証人喚問にくぎづけになっているだろう日の日刊IWJガイドには興味深い記事がある。もちろん大本営広報部電気洗脳装置は報じない(と思う)。
そして今国会の動きで注目しなければならないのは、実はこの証人喚問だけではありません。同じ23日の農水委員会で、種子法廃止法案を採決しようとしているとの報が入ってきています。水道法とともに「売国」法と懸念され、岩上さんが「TPPの亡霊」と呼ぶこの法案、採決されれば日本の農業は大ダメージを受ける可能性が高いのです。こちらもぜひ注視を!
※水道、種子、そして教育――森友学園事件の裏で「いのち」と「くらし」を破壊するトンデモ法案が今国会でコッソリ審議されている!! 公共財を売り渡す手口は森友問題と同じ!! 山田正彦元農水相が3月15日(水)15時より緊急勉強会を開催 2017.3.15
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/368578
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コメント
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トランプと共和党が指名した最高裁判事にニール・ゴーサッチ判事
大企業/超富裕層から雇用され続けてきた、事実を曲げてモラルを無視する判定で勝ち続けたゴーサッチ。
ゴーサッチの経歴や出自を考えれば、共和党大統領なら、ほぼだれにとっても自然な選択だっただろう。
トランプのキャンペーン中、多少の不満があるなか(選挙期間中に犯した失敗や醸した物議など)、福音派や伝統的な保守主義の有権者はトランプ氏を支持し続けた。
共和党にとってゴーサッチは、我慢したかいがある夢の最高裁判事候補だ。
その代表的な一例として、「凍えるトラック運転手」として知られる判決。
会社側の判事であったゴーサッチたった独りによる独断判決によって他の全ての弁護士やジャッジの意見を否定して反故にして判決を覆した。
トラック運転手は、気温マイナス20度以下の路上でトラックの故障により凍死する危険に見舞われ会社側に整備と凍死の危険を連絡したが、会社側は次の日にも整備をよこさず、しかも運転手の避難を拒否し、運転手はトレーラーを置いてすぐ近くに避難した。しかし運転手はそれを理由に解雇された。訴訟となり、ゴーサッチは会社側に有利となる判決を下した。
そのような判事を共和党は最高裁で迎え入れようとしている。
投稿: 格差は政治によって作られた | 2017年3月27日 (月) 01時39分