国家安全保障顧問マクマスター中将: 戦争複合体住民のオウム
2017年2月22日
Tony Cartalucci
アメリカのドナルド・トランプ大統領が、アメリカ陸軍中将ハーバート・レイモンド・マクマスターを、国家安全保障顧問として選んだことが発表された。
国家安全保障顧問マクマスター中将: 戦争複合体住民のオウム
ニューヨーク・タイムズは“トランプ、H.R. マクマスターを国家安全保障顧問に指名”と題する記事で、こう報じている。
月曜日、トランプ大統領は、従来の考え方に挑戦し、最悪の時代に、イラク戦争を建て直すのを助けたことで知られている広く尊敬されている軍事戦略家を選んで、H. R. マクマスター中将を新国家安全保障顧問に任命した。
実際にトランプがしたことは、彼自身の考をほとんど反映しない人物をその地位に選んだのだ。逆に、彼は大企業-金融企業が資金を提供し、何十年もアメリカ-ヨーロッパ外交政策を考案しており、してきたシンクタンク集団の狙いを反映し、連中の権益に沿った話題を一語一句繰り返した。
マクマスター中将は一体誰の代理か
そのようなシンクタンクの一つで、エクソンモービル、ヘス、シェブロンやボーイングなどの大企業から資金を提供され、トランプ大統領の国務長官を含む、レックス・ティラーソンや、ロッキード・マーチン、レイセオンやベクテルを代表する人物が議長を務める戦略国際問題研究所で行った講演で - CSISのみならず、当然ながら、ブルッキングス研究所、外交問題評議会や他の様々な特権のために動いている政策シンクタンクが考え出した世界観と目標を集合的に反映する講演を、マクマスター中将は、しっかり予行演習して行った。
CSISのYouTubeチャンネル2016年5月で公開された講演は、ロシアを“ウクライナ侵略”で、中国を“アメリカの勢力圏から遥か離れたアメリカ権益に挑戦”で非難する軍服を着たマクマスター中将が主役だ。アメリカ権益に対する中国の“挑戦”を説明する際に、中国と、ワシントンがその維持を正当化できるアメリカ合州国近辺や、論理的、あるいは正当な周辺勢力圏とは決して言えない中国を取り巻く南シナ海の地図を示した。
アメリカの国家安全保障そのものではなく -アメリカとヨーロッパの同盟国が、全世界に対する軍事的、社会政治的、金融的一極覇権を享受できるよう作り上げた秩序、 第二次世界大戦後の国際秩序に挑戦するがゆえに、ロシアと中国は、海外における“アメリカ権益”にとっての脅威だとマクマスター中将は主張している。
どちらの国もアメリカを攻撃しておらず、そうする願望、あるいは能力ももっていないにもかかわらず、彼は案の定、北朝鮮とイランもアメリカにとっての脅威のリストにあげた。イラン人がとうとう、アメリカが据えて支援した残虐なモハンマド・レザ・シャー・パーレビー独裁制を、1979年見事に打倒したのに触れ、“1979年以来、我々に対する代理戦争を戦っている”と、彼は特にイランを非難した。
イランが、アメリカが、地域中に配備した占領軍と、北アフリカから、中東諸国イラク、イエメン、シリアやレバノンの至るところで、アメリカとペルシャ湾のアメリカ同盟諸国によって、武器を与えられ、資金を与えられ、訓練され、命令されている国家が支援するテロ集団によって行ってきたものと五十歩百歩の民兵を支援するのみならず、彼らを最大限に活用するため、中東の政府の支配を越える“民兵構築”をしていると、マクマスター中将は非難した。
2016年の講演で、マクマスター更に、自称“「イスラム国」” (ISIS)へと話を進める。彼はNATO加盟国トルコから直接出て、シリアとイラク奥深く入り込む補給線と、アメリカ同盟国ヨルダンから出るより細い補給線をはっきりと示すISIS領土のスライドを見せた。アメリカ -ヨーロッパのマスコミが大衆に見せるのと同じ漫画的やり方で紛争を説明するだけで、ISIS戦闘能力の源には彼は触れなかった。
マクマスター中将は、聴衆にアメリカ海岸から何千マイルも離れた地球上の地域で、アメリカが力と影響力を維持したり、再確認したり、従来ウオール街とワシントンの影響力から自立している地域に力を投射したりしようとしていることに言及して、“拒否的抑止と、前線における潜在的な敵[にとっての]コストを上げての前線での抑止”に基づく防衛戦略を説明した。
同じ狙いの円滑な継続
トランプ大統領がマクマスター中将を国家安全保障顧問にしたことは、アメリカ外交政策を何十年も編み出し、決定し、支配してきた、大企業-金融企業が資金提供するシンクタンクによって牛耳られつづけることを保障する。マクマスター中将が大企業-金融機関が資金提供するシンクタンクを次々訪れてする話の中で繰り返し引用する政策論文は、まさにこれらシンクタンクの産物だ。
マクマスター中将が、アメリカ領土内や、何らかの論理的な周囲勢力圏内でアメリカに損害を与えるからではなく、単に各国それぞれの周囲勢力圏を、組織的で、あからさまなアメリカによる転覆、影響力や包囲から防ごうとしているがゆえに、ロシア、中国とイランがアメリカ合州国にとって“脅威”だと特定したことは、オバマ、ブッシュ、クリントン、父親ブッシュやレーガンや、カーター大統領までも含む他の無数の大統領の政権で行われてきた世界を股にかける壊滅的戦争の継続を意味している。
アメリカ合州国は、国民の利益によって動く“民主的”国家の振りをしているが、国民が“選んだ”大統領や、こうした大統領たちが実行するだろうと信じている政策をしのぐ特異な狙いというウオール街やワシントンの特権に依拠しているのは明らかだ。彼なら世界中でのアメリカ侵略や政権転覆を縮小してくれるだろうという幻想の下で、トランプ大統領を支持している人々が骨を折る中、あからさまに繰り返しアメリカ世界覇権の追求を支持する人物、マクマスター中将を国家安全保障顧問に据えていることが、国民がまたしても騙され、この特異な狙いが相変わらず推進されることを示している。
Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。
記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/02/22/national-security-adviser-general-mcmaster-the-war-complex-resident-parrot/
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宗主国、案の定、国防予算を10%増やすという。
突然ワイドショーでも取り上げるようになったところで、お馴染みの会食。
今日から大本営広報部電気白痴製造装置にもどるのだろうか?
国営放送肝心部分はカットしたり扱わなかったり。トップが交代しても大本営広報部。
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富裕層の大喝采、ウハウハですな!
-トランプ政権で上位1%のエリートはお祭りだ- (記事より抜粋)
トランプ米大統領は本来、米国のエリート層に対する反乱を率いているはずだった。実際には、エリートの楽しみのための宴会を用意している。
トランプ氏のホワイトハウスは全面的な規制緩和と減税、次世代の防衛契約を策定中だ。唯一の問題は、どんなスピードで実行するかにある。
対照的に、中間層のためのトランプ氏の経済プランは、そもそも乏しかった内容がすでに後退している。大型インフラ法案が成立する見込みは、急激に薄れている。マーケティングの世界では、これを「ベイト・アンド・スイッチ(おとり商法)」と呼ぶ。トランプ氏の経済政策の効果は、同氏の大統領選出馬のきっかけをつくったさまざまな条件をさらに深刻にすることだ。
最大の勝者は、ウォール街と化石燃料エネルギー産業、そして防衛産業から生まれる。
(※防衛費拡大→キャンペーン中に反対していたくせに大統領となった途端反故にして国民との約束を破り負担させる)
トランプ氏に最も大きな影響を与えるバノン首席戦略官・上級顧問は先週、規制消滅を「行政国家の解体」として描写した。新たな規制が1つ設けられるごとに、既存の規制が2つ廃止されるという。今週、その第1弾が実施される見込みで、二酸化炭素(CO2)排出に上限を設けるオバマ前大統領の「クリーンパワー計画」と、クリーンな水に関する別の計画を取り消す大統領令が発令される。
(※環境規制緩和→環境破壊へ)
-中略-
金融株も大統領選以来、市場全体を上回って推移している。米リーマン・ブラザーズの破綻後にドッド・フランク法(米金融規制改革法)に盛り込まれた保護措置は、その大半とはいわないまでも、多くがトランプ氏の視野に入っている。
(※キャンペー中と全く正反対。金融規制緩和→ウォール街の笑いが止まらない)
保護措置には、銀行が他人のお金で投機するのを制限する「ボルカー・ルール」や、場合によっては、消費者――トランプ氏が「忘れられた米国人」と呼んだ人々――を無謀な売り込みから守るための対策が含まれる。トランプ氏は今月、そうした規則がウォール街の友人たちが融資するのを妨げてきたと語っている。
ほかのところでは、解禁期に入ってもう久しい。バノン氏のいう「解体」はすでに、米連邦政府の活動分野の大半に及んでいる。先週は、刑務所を運営する民間企業の株価が急騰した。連邦法に基づく収監の外部委託に終止符を打ったオバマ氏の規則を、米司法省が廃止したのだ。
(※ヒラリーを批判していたくせに、ヒラリーよりも酷い刑務所営業!)
トランプ氏の減税の規模は、もっと曖昧だ。ムニューシン米財務長官は8月までに減税法案が成立することを望んでいる。法案に、輸入業者に打撃を与えつつ、理屈の上では国内生産に回帰させる動機を製造業者に与える「国境調整税」が含まれるかどうかは定かでない。輸入税は向こう10年間でおよそ1兆ドルの税収をもたらし、それがなかった場合よりずっと大規模な減税を実施する財源になるという。
(※減税で富裕層はウハウハ。輸入税で富裕層しか購入出来ない仕組み)
-中略-
単純な計算では、減税の恩恵が流れる先が上位1%の富裕層に大きく偏ることは確実だ。
続きは記事を御覧になってください。
投稿: トランプの大嘘 | 2017年3月 1日 (水) 11時38分