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2017年2月

2017年2月28日 (火)

国家安全保障顧問マクマスター中将: 戦争複合体住民のオウム

2017年2月22日
Tony Cartalucci

アメリカのドナルド・トランプ大統領が、アメリカ陸軍中将ハーバート・レイモンド・マクマスターを、国家安全保障顧問として選んだことが発表された。

国家安全保障顧問マクマスター中将: 戦争複合体住民のオウム

ニューヨーク・タイムズは“トランプ、H.R. マクマスターを国家安全保障顧問に指名”と題する記事で、こう報じている。

月曜日、トランプ大統領は、従来の考え方に挑戦し、最悪の時代に、イラク戦争を建て直すのを助けたことで知られている広く尊敬されている軍事戦略家を選んで、H. R. マクマスター中将を新国家安全保障顧問に任命した。

実際にトランプがしたことは、彼自身の考をほとんど反映しない人物をその地位に選んだのだ。逆に、彼は大企業-金融企業が資金を提供し、何十年もアメリカ-ヨーロッパ外交政策を考案しており、してきたシンクタンク集団の狙いを反映し、連中の権益に沿った話題を一語一句繰り返した。

マクマスター中将は一体誰の代理か

そのようなシンクタンクの一つで、エクソンモービル、ヘス、シェブロンやボーイングなどの大企業から資金を提供され、トランプ大統領の国務長官を含む、レックス・ティラーソンや、ロッキード・マーチン、レイセオンやベクテルを代表する人物が議長を務める戦略国際問題研究所で行った講演で - CSISのみならず、当然ながら、ブルッキングス研究所、外交問題評議会や他の様々な特権のために動いている政策シンクタンクが考え出した世界観と目標を集合的に反映する講演を、マクマスター中将は、しっかり予行演習して行った。

CSISのYouTubeチャンネル2016年5月で公開された講演は、ロシアを“ウクライナ侵略”で、中国を“アメリカの勢力圏から遥か離れたアメリカ権益に挑戦”で非難する軍服を着たマクマスター中将が主役だ。アメリカ権益に対する中国の“挑戦”を説明する際に、中国と、ワシントンがその維持を正当化できるアメリカ合州国近辺や、論理的、あるいは正当な周辺勢力圏とは決して言えない中国を取り巻く南シナ海の地図を示した。

アメリカの国家安全保障そのものではなく -アメリカとヨーロッパの同盟国が、全世界に対する軍事的、社会政治的、金融的一極覇権を享受できるよう作り上げた秩序、 第二次世界大戦後の国際秩序に挑戦するがゆえに、ロシアと中国は、海外における“アメリカ権益”にとっての脅威だとマクマスター中将は主張している。

どちらの国もアメリカを攻撃しておらず、そうする願望、あるいは能力ももっていないにもかかわらず、彼は案の定、北朝鮮とイランもアメリカにとっての脅威のリストにあげた。イラン人がとうとう、アメリカが据えて支援した残虐なモハンマド・レザ・シャー・パーレビー独裁制を、1979年見事に打倒したのに触れ、“1979年以来、我々に対する代理戦争を戦っている”と、彼は特にイランを非難した。

イランが、アメリカが、地域中に配備した占領軍と、北アフリカから、中東諸国イラク、イエメン、シリアやレバノンの至るところで、アメリカとペルシャ湾のアメリカ同盟諸国によって、武器を与えられ、資金を与えられ、訓練され、命令されている国家が支援するテロ集団によって行ってきたものと五十歩百歩の民兵を支援するのみならず、彼らを最大限に活用するため、中東の政府の支配を越える“民兵構築”をしていると、マクマスター中将は非難した。

2016年の講演で、マクマスター更に、自称“「イスラム国」” (ISIS)へと話を進める。彼はNATO加盟国トルコから直接出て、シリアとイラク奥深く入り込む補給線と、アメリカ同盟国ヨルダンから出るより細い補給線をはっきりと示すISIS領土のスライドを見せた。アメリカ -ヨーロッパのマスコミが大衆に見せるのと同じ漫画的やり方で紛争を説明するだけで、ISIS戦闘能力の源には彼は触れなかった。

マクマスター中将は、聴衆にアメリカ海岸から何千マイルも離れた地球上の地域で、アメリカが力と影響力を維持したり、再確認したり、従来ウオール街とワシントンの影響力から自立している地域に力を投射したりしようとしていることに言及して、“拒否的抑止と、前線における潜在的な敵[にとっての]コストを上げての前線での抑止”に基づく防衛戦略を説明した。

同じ狙いの円滑な継続

トランプ大統領がマクマスター中将を国家安全保障顧問にしたことは、アメリカ外交政策を何十年も編み出し、決定し、支配してきた、大企業-金融企業が資金提供するシンクタンクによって牛耳られつづけることを保障する。マクマスター中将が大企業-金融機関が資金提供するシンクタンクを次々訪れてする話の中で繰り返し引用する政策論文は、まさにこれらシンクタンクの産物だ。

マクマスター中将が、アメリカ領土内や、何らかの論理的な周囲勢力圏内でアメリカに損害を与えるからではなく、単に各国それぞれの周囲勢力圏を、組織的で、あからさまなアメリカによる転覆、影響力や包囲から防ごうとしているがゆえに、ロシア、中国とイランがアメリカ合州国にとって“脅威”だと特定したことは、オバマ、ブッシュ、クリントン、父親ブッシュやレーガンや、カーター大統領までも含む他の無数の大統領の政権で行われてきた世界を股にかける壊滅的戦争の継続を意味している。

アメリカ合州国は、国民の利益によって動く“民主的”国家の振りをしているが、国民が“選んだ”大統領や、こうした大統領たちが実行するだろうと信じている政策をしのぐ特異な狙いというウオール街やワシントンの特権に依拠しているのは明らかだ。彼なら世界中でのアメリカ侵略や政権転覆を縮小してくれるだろうという幻想の下で、トランプ大統領を支持している人々が骨を折る中、あからさまに繰り返しアメリカ世界覇権の追求を支持する人物、マクマスター中将を国家安全保障顧問に据えていることが、国民がまたしても騙され、この特異な狙いが相変わらず推進されることを示している。

Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/02/22/national-security-adviser-general-mcmaster-the-war-complex-resident-parrot/
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宗主国、案の定、国防予算を10%増やすという。

突然ワイドショーでも取り上げるようになったところで、お馴染みの会食。
今日から大本営広報部電気白痴製造装置にもどるのだろうか?

国営放送肝心部分はカットしたり扱わなかったり。トップが交代しても大本営広報部。

【特集】国有地売却問題だけじゃない!教育勅語の暗唱にヘイト文書配布・・・極右学校法人・森友学園の闇に迫る

2017年2月27日 (月)

遺伝学は新たな優生学だ。GMOはいかにして人口を減らすか


Flickr.com/Miran Rijavec (public domain)

F. William Engdahl
Katehon
2017年2月22日

以下は、インタビューの書き起こし。

昨年、世界的なアグリビジネスGMO企業の一連の合併があった。これが、基本的に、三つの企業集団の手中に、企業権力が集中という憂慮すべき状況を産み出した。

一番目は、ドイツのバイエルAGによる、モンサントの友好的買収だ。その理由は、モンサントが、大衆の頭の中で、正しいことなのだが、全くの悪、GMOに関するあらゆる悪いことと同一視されるようになったためだ。これがGMOプロジェクト全体にとって重荷になったのだ。そこで、アスピリンの好ましい、あたりさわりのない、良いイメージの企業バイエルが介入した。同社は実際には、1880年代にヘロインを発明し、第二次世界大戦中、アウシュヴィッツのガス室用のガスを製造していた会社だ。一連の殺人や、蜂群や、生命や自然にとって不可欠な他の多くのものを全滅させた農薬を製造する、世界でも最も汚らわしいアグリビジネス企業の一つだ。

中国国営の巨大科学企業、中国化工集団が何らかの理由で、除草剤を製造しているスイスのシンジェンタを買収した。

すると、ダウ・ケミカルとデュポンが、両社のGMO事業を合併させた。

だから、現在三つの巨大企業集団が、全世界で、人の食物連鎖中の遺伝子組み換え生物を支配しているのだ。GMO作物は危険だが、連中がそれを販売すればするほど、契約上、GMO種子に、これら企業の化学物質を使わなければならないことが明らかになる。ラウンドアップ耐性の大豆やトウモロコシを購入した場合、モンサント(現在はバイエル)のラウンドアップを使わなければならないと要求するのだ。

だから、これは、これまで以上に、GMO産業に大企業権力を与えることになり、これは憂慮すべき傾向だ。連中はブリュッセルの官僚に圧力をかけている。一例をあげよう。欧州委員会によるグリフォセート認可更新に反対する大規模キャンペーンが行われていた。グリフォセートは世界で最も広く利用されている除草剤だ。グリフォセートは、モンサントのラウンドアップの主成分だ。他の成分はモンサントの企業秘密だが、その組み合わせが極めて有害な除草剤の一つだ。

遺伝子に対する危険を評価する責任を負っている世界保健機関の組織が、昨年、グリフォセートは発ガン性物質である可能性が高いという裁定を下した。

認可は昨年、自動更新を迎えていた。15年の認可だ。EUの健康を司る委員会は、認可を15年間自動更新する用意があった。ヨーロッパ市民の健康と安全に責任を負うとされている欧州食品安全機関(EFSA)は、私企業モンサントが行った研究から100%引用しただけのドイツ食品安全庁によるドイツ研究に基づいて認可を勧めたのだ! だから、そもそも最初から連鎖全体が腐敗しており、全ての情報は不正操作されているのだ。実際には、実験で、ヨーロッパやアメリカで推奨されている水準よりも低いごく僅かな濃度で、グリフォセートが、腎臓の病気や、肝臓の病気や、致命的な可能性がある他の病気を引き起こすことが分かっている。

今では、グリフォセートは、尿検査、都市の飲料水、庭、地下水などで見つかっている。そして、それは子供を産む女性の身体、例えば胎芽に入る。これこそが狙いだ!

百万人の請願にもかかわらず - これは記録的な数だ - そして、世界中の主要科学者たちによる、認可を更新しないようにという勧告にもかかわらず、欧州委員会は、業界からの大変な圧力の下で妥協をして、認可を18カ月更新した。一体なぜ、その期間更新したのだろう? なぜならバイエルとモンサントから、18カ月後には、この巨大企業二社の買収が完了し、バイエルは、グリフォセートを、より激烈な毒素の可能性が高いが、グリフォセートほど有名ではない別の製品で置き換えると言われたからだ。だから、連中は時間稼ぎをしたに過ぎない。しかし、これも一例に過ぎない。

GMOの狙いは健康や安全ではない。作物収量を増やすのが狙いではない - これは北アメリカや世界中で繰り返された実験で証明済みのウソだ。GMO作物を使う農民の作物収量は、始めの1-2年はわずかに増えるかも知れないが、3-4年後には最終的に減少する。しかも、それだけではない! モンサントや他の巨大GMO企業から、GMO作物が耐えるこれらの“素晴らしい” 特性のおかげで、化学物質の使用は少なくて済むと約束される。実際には、雑草が耐性を持つようになり、150-180センチまで伸び、他のあらゆるものの息の根を止めてしまうスーパー雑草が生えるようになる。これは災厄だ。そこで、農民はスーパー雑草を枯らせるため、更に多くの除草剤を使わされる羽目になる。狂った自然の遺伝子いじり全体が、そもそもの始めから災厄なのだ。

GMOの本当の狙いは、著書“Seeds of Destruction(翻訳書名 マネーハンドラーロックフェラーの完全支配 アグリスティーカル(食糧・医薬編))”で非常に詳しく書いたが、ロックフェラー財団が出所だ。1920年-1930年の優生学運動が淵源だ。1930年代中から、第二次世界大戦が勃発するまで、ロックフェラー財団は、政治的にも奉じて、ベルリンとミュンヘンにあるカイザー・ウィルヘルム研究所のナチス優生学実験に資金提供した。連中は一体なぜこんなことをしたのだろう? 連中の狙いは、連中が“無駄飯喰らい”と呼ぶ人々の絶滅だった。これは人口削減と呼ばれている。

戦後、ジョン・D. ロックフェラーの親しい友人だったアメリカ優生学協会会長が、アメリカ優生学協会の年次総会でこう述べた。“今日から、優生学の新たな名前は遺伝学だ”。しかも遺伝子工や、ヒトゲノム・プロジェクトの類は、ことごとく科学的詐欺だ。ロシア科学者が、ゲノム・プロジェクトは、まったくのたわごとの2%のために98%の科学的に貴重なデータを無視し、何十億ドルを無駄にしていることを証明している。

それゆえ、連中は、単に大量断種を実施するようなあからさまではない手口で、いかにして人口を削減するかという考えに夢中なのだ。

実際、連中は、世界保健機関と一緒に、中米で、不妊効果を持つようでっちあげたある種のワクチンを注射してこれを実行したことがある。そこで、中米で、出産適齢期の女性が破傷風ワクチン注射を打たれた。男性でなく女性にしか注射をしないため、カトリック教会組織が疑念を抱くようになった。そして彼らは、ワクチンには、女性が妊娠して、子供を産むのを不可能にする不妊効果が埋め込まれていることを発見したのだ。これは秘かな人口削減策だ。

これが自分たちは神で、大変な威厳で王座に座り、人類を支配すると思い込んでいる欧米の長老連中だ。私は連中は阿呆集団と思うが、連中はこの遺伝子操作を狙っている。これは自然に反するし、化学的に不安定だ。だから、勇気と自国民に対する道徳的配慮から、ロシア全土でGMO栽培を禁じた、ロシア連邦を称賛するしかない。これは人類にとっての前進だ。中国農業は正しいロシアの意見を非常に必要としているのだから、ロシアが影響力を駆使して、中国にも同じことをさせるよう願いたい。GMOの無い農業を作るというロシアの一歩は、人類にとって偉大な一歩だ。

記事原文のurl:http://katehon.com/article/genetics-are-new-eugenics-how-gmos-reduce-human-population

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昨日は2/26事件の日。

土地疑惑報道ポチ度のリトマス試験紙。暗殺報道の時間の方が、土地疑惑や、共謀罪より遥かに長く詳しい大本営広報部放送局新聞社が何社もある「北朝鮮を越える」属国。

植草一秀の『知られざる真実』2017年2月26日
徹底検証不可欠アベ友事案2015年9月3-5日動静

2017年2月26日 (日)

トランプの三つの政権

Wayne MADSEN
2017年2月24日
Strategic Culture Foundation

世界中の外務省と国防省やワシントンD.C.の各国大使館は、ドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任して一ヶ月後、アメリカ政府の一体誰が実際に責任を持っているのかを突き止めようと苦闘している。ホワイト・ハウス、国務省とペンタゴンから発信される矛盾する声明を考えれば、これはもっともな質問だ。

本質的にトランプ政権は三つあり、いずれにも異なる権限があると言えば十分だ。

第一の政権で、もっとも明らかに有力なのはトランプ側近だ。現時点で、構成メンバーは、スティーブン・バノン首席戦略官、トランプの娘イヴァンカと夫のジャレッド・クシュナー、ステファン・ミラー政策担当大統領補佐官とジェフ・セッションズ司法長官。バノンは、テッド・クルス上院議員の大統領選挙運動からトランプ側に来たにもかかわらず、この元ブライトバート・ニュース発行人が、外交と国内政策で、トランプに影響を与える事実上の“スヴェンガーリ”となった。

第二の政権は、トランプが共和党大統領指名候補の座を確保した後に支持するようになった共和党主流派だ。この集団に入るのは、元共和党全国委員会委員長のホワイト・ハウス大統領首席補佐官ラインス・プリーバスと、プリーバスの下、共和党全国委員会で同じ仕事をしていたトランプのショーン・スパイサー報道官だ。バノン同様、クルスの選挙運動から移ったトランプ顧問、元大統領選挙部長のケリーアン・コンウェイは、トランプ側近以外といることが多く、共和党主流派のプリーバスやスパイサーと一緒のことが多い。プリーバスとコンウェイと、またスパイサーも、かなりの点で、ミッチ・マコネル上院多数党院内総務や、ポール・ライアン下院議長などの共和党議員のホワイト・ハウスにおける目と耳だ。

第三の政権は、長年の“陰の政府”権益を代表しており、ジョージ・W・ブッシュ/ロナルド・レーガン政権のネオコン活動家や、伝統的に共和党政治とつながっている強力なウオール街やヒューストン/ダラス石油事業の大立て者の連合だ。ネオコンと事業権益とが合意する点はさほど多くないが、両者はトランプ政権の混乱につけこんで、連中自身の権力中枢を確保している。最近、2017年ミュンヘン安全保障会議で、この“第三”政権の幹部連中が影響力と地位を競い合った。

弾劾と有罪決定の結果、あるいは健康問題で、トランプが大統領の座を降りざるを得なくなった場合、第三のトランプ政権が権力を掌握しようとしているのは明らかだ。国際的現状を代表する第三のトランプ政権の典型、マイク・ペンス副大統領とジェームズ・マティス国防長官は、ミュンヘンで、NATO、欧州連合の推進と、対ロシア経済制裁継続に余念がなかった。ペンスとマティスの発言は、それまでトランプが発言して来たことと矛盾していた。レックス・ティラーソン国務長官は、ミュンヘン会議には参加しないことを選び、ミュンヘンでの会議前に、ボンで開催されたG20外務大臣サミットに参加した。トランプ三幅対のこの三本目こそが、グローバル・エリート連中がもっとも居心地良く感じられるものだ。

テキサス州出身で、ブッシュ家や元国務長官ジェイムズ・ベイカーの友人であるティラーソンは、レーガン政権でのイラン-コントラ重罪犯、エリオット・アブラムスを国務次官にあえて推薦し、トランプ政権内で、ネオコンが影響力を持ち続けていることを示した。アブラムスが大統領選挙時にトランプを批判した発言をした結果、大統領はアブラムスを国務次官職につけることに拒否権を行使した。しかし、だからと言って、国務次官としては決して承認されなかった、別の原初ネオコン、元アメリカ国連大使ジョン・ボルトンを、より最近では、トランプの国家安全保障顧問として検討するのを止めたわけではない。

ティラーソンの国連大使、元サウスカロライナ州知事ニッキー・ヘイリーは、トランプがロシアとの関係改善を望んでいることを明らかにしているにもかかわらず、ウクライナの状況を巡って、ロシアを公然と非難した。アブラムスのようなネオコンを進んで雇おうとするティラーソンなどの原始保守派もいて、第三のトランプ政権も似たような矛盾に満ちている。トランプ三幅対の三本目の足内部にいる他の陰の政府当事者には、両国との政治的既得権益に敬意を表すべく、すかさずトルコとサウジアラビアを訪問したマイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官や、国家情報長官指名を受けた、ペンスの長年の友人であるダン・コーツ元インディアナ州選出上院議員がいる。

元国防情報局局長の元中将、国家安全保障顧問だったマイケル・フリンは、決してトランプ側近メンバーではなかった。実際、フリンは、トランプ政権に侵入しつつあるネオコンに近かった。イラン-コントラをアブラムスと共謀した最も危険なネオコンの一人、マイケル・レディーンと、 トランプ・ホワイト・ハウスでの影響力を巡って争っているもう一人のネオコン、フランク・ガフニーと、フリンは“Field of Flight: 過激イスラム教とその同盟とのグローバル戦争に我々はいかにすれば勝てるか”と題する本を共著した。

ミュンヘンで、ペンスとマティスの陰に隠れていたのが、トランプに一層過激な対ロシア経済制裁をさせようとした最タカ派共和党上院議員だ。上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン上院議員と、委員会メンバーのリンジー・グラハムだ。マケインは、ロシアのみならず、トランプをも叩くのにミュンヘンを活用し、お仲間のグラハムは、2017年は“ロシアの尻に蹴りを入れる年”になるだろうと約束した。マケインとグラハムが、ミュンヘンで、トランプの政策と対立するタカ派政策を代表することが許され、ペンスは沈黙したままで、マティスがNATOとEUへのアメリカの肩入れを擁護したという事実が、アメリカ合州国政府が今や違う声で話していることを世界に示している。マケインとグラハムに加わって、アメリカによる防衛と、資金的な誓約を強調したのは、ボブ・コーカー上院外交委員会委員長と、元NATO司令官で、トランプの国家安全保障顧問として提案されている、かつて不倫スキャンダルで地位を失ったデヴィッド・ペトレイアス大将だ。

ミュンヘンは、第三のトランプ政権に、トランプが反対すると選挙運動をした“世界秩序”を強化する土台を提供したのだ。クリントン財団に気前良く寄付し、候補者としてのトランプ嫌悪を公言していた諸国幹部がミュンヘンの会議に出席し、ペンスとマティスを暖かく迎え入れた。出席者の中には、元アメリカ大使だった反イランの手練手管のサウジアラビア外務大臣アーデル・ビン・アフマド・アル・ジュベイルや、サウジアラビアのよりあざとい元総合情報庁長官トゥルキー・アル=ファイサル王子、カタールのムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アール・サーニー外務大臣や、ハリド ビン アリ アル・アッティア国防大臣、バーレーン外務大臣ハーリド・ビン・アハマド・ビン・ムハンマド・アル・ハリーファ、クウェートのサバーフ・ハーリド第一副首相やモロッコ王家の閣僚ユセフ・アムラニや、モロッコ王顧問アンドレ・アゾレイがいた。これらのアラブ有力者連中は間もなくトランプ家のメンバーや企業策略に対して大盤振る舞いするのは確実だ。

ペンスとマティスは、ミュンヘンで、反トランプ派名士の有力なお歴々、U-2ロックバンドのスター、ボノ、元アメリカ国務長官マデレーヌ・オルブライト、元国土安全保障省長官マイケル・チェルトフ、ジョン・ケーシックオハイオ州知事、ウィリアム・コーエン、元国防長官、マイクロソフト創設者のビル・ゲーツ、ウッドロウ・ウィルソン・センター理事長のジェーン・ハーマン、ブルッキングス研究所のロバート・ケーガンと、その妻で、2014年のウクライナ・クーデター主要立案者たるビクトリア・ヌーランド、元上院議員ジョゼフ・リーバーマン、国際救済委員会委員長デイヴィッド・ミリバンド、ネブラスカ州共和党上院議員ベンジャミン・サスや、下院情報問題常設特別調査委員会の有力メンバーである、民主党下院議員アダム・シフや、本当のニュースを装ったCIAプロパガンダCIA“偽ニュース”の大本作者フランク・ウィズナーSr.の息子で、長年アメリカ外交官をつとめた陰の政府とのつながりをもつフランク・ウィズナーJr.らとの社交の場も持った。

そして、もし熱心な反グローバル主義のトランプ支持者たちが、彼らの大統領が最悪の敵連中の“沼地を清掃”してくれると信じているなら、ミュンヘンで、ペンスとマティスが、リン・フォレスター・デ・ロスチャイルド、三極委員会副議長のマイケル・フックスや、世界的政治トラブルメーカーのジョージ・ソロスらと一緒だったことに彼らは仰天するかもしれない。

ペンス、マティスとティラーソンたちの第三のトランプ政権は、世界に、アメリカの“陰の政府”を代表する本当のトランプ政権が、アメリカ政府を動かし続けるというサインを送ったのだ。これこそビルダーバーグ、 ダボス、ボヘミアン・グローヴ、チェルノッビオやAPECやG-7のような場所で、世界のエリートと気脈を通じ続けるトランプ政権の一部だ。トランプは約束通りの“沼地掃除”をしてはいない。彼は単にそこにもともといた爬虫類に加わっただけだ。実際、エリックとドナルド・トランプ Jr.が、最近ドバイに豪華なトランプ・ゴルフ・コースを開設したトランプ・オーガニゼーションを率いている。これがボンでのG20会合で、ティラーソンと、アラブ首長国連邦外務大臣との大いになごやかな会談の基盤だ。フランス語にはトランプ“革命”おあつらえのことわざがある“plus ça change, plus c'est la même chose”つまり“表面は変われど中身は同じ”。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/02/24/three-trump-administrations.html

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トランプのスローガンを「日本」に置き換えた団体が旗揚げするという。

大本営広報部、自分の首をしめる共謀罪の問題を放置して、暗殺問題一辺倒。自分の頭のハエを追えといっても、確信犯には無効。共謀罪に目がむかないように、暗殺問題ばかり扱っているのは確実。オリンピック開催に、共謀罪が不可欠とは、何とも狡猾なインチキを考えたものだ。共謀罪が不可欠なオリンピックなど辞めれば良いだけのこと。

大本営広報部国営放送、教育勅語小学校問題報道は控えめ。民放は意外に健闘?

ああいう教育を日本中に広めようというのが、日本会議の狙いだろう。

日刊IWJガイドウィークエンド版から引用させていただこう。

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※2017/02/19【国会ハイライト】「私や妻が関係していれば総理大臣辞める」!? 民進・福島伸享氏が突きつけた「安倍晋三記念小学校」名義の寄付金用紙を前に安倍総理が断言!「極右学校法人の闇」第5弾
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/364359

※2017/02/22 【国会ハイライト】開校まで残り1ヵ月!いまだに設置許可がおりていない「瑞穂の國記念小學院」~鍵を握る大阪府の私学審議会の議事録をなぜ公開しない!? 松井知事!「極右学校法人の闇」第10弾
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/364791

※2017/02/23 【国会ハイライト】「犬臭い」と園児のリュックを捨てた!? 森友学園が運営する塚本幼稚園での「児童虐待」の実態を民進・玉木雄一郎議員が追及!~「極右学校法人の闇」第13弾
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/365002

※2017/02/23 【国会ハイライト】「私学審議会」等の議事録を入手した共産党・宮本岳志議員が次々と矛盾をつく!約8億円規模の埋設物撤去工事は行われたのか!? ~「極右学校法人の闇」第14弾
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/365013

【3】「国家神道」に規定された戦前の教育現場の実相とは? 島薗進氏インタビューと早川タダノリ氏インタビューのハイライトを掲載!

 園児に教育勅語を暗唱させるなど、森友学園による「極右カルト」とも言える「教育」の実態について、IWJでは今週、過去に岩上さんが行った島薗進氏と早川タダノリ氏へのインタビューを部分的に取り上げる記事を掲載しました。島薗氏には教育勅語の思想的根拠となった戦前の「国家神道」や「国体論」について、早川氏には「最敬礼」の仕方まで規定された戦前の教育現場の実態について、岩上さんが詳しくお聞きしています。

※2017/02/20 「戦前の全体主義に向かってゆく流れを予感」塚本幼稚園で暗唱させられる教育勅語はなぜ危険なのか!? 岩上安身による上智大学教授・島薗進氏インタビューより~「極右学校法人の闇」第7弾
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/364520

※2017/02/22 「最敬礼」に裸で授業・・・これが「愛国教育」の理想のかたち!? 戦前・戦中の教育現場の実態とは? 岩上安身による早川タダノリ氏インタビューより~「極右学校法人の闇」第9弾
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/364769

 なかでも宗教学の第一人者で上智大学教授の島薗氏は、塚本幼稚園の「教育方針」について「これ(教育勅語)を空気のように吸って育つ今後の日本人ということを考えると、本当に危ない」と断言。「戦前の全体主義に向かってゆく流れを予感させる」と強く警鐘を鳴らしています。

 島薗氏、早川氏への岩上さんによるインタビュー動画全編は、IWJのサポート会員にご登録いただければ全編をご視聴いただけます。この機会にぜひ、ご登録ください!

※2016/10/03 「改憲」の先にあるもの――日本会議と神社本庁は何を目指しているのか!? 安倍政権下で進む右傾化の真実に迫る!岩上安身による上智大学教授・島薗進氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/335795

2017年2月25日 (土)

エリートは我々を救わない

Chris Hedges
2017年2月12日
Truth Dig

わが国の民主主義的な制度に対する40年にわたる大企業による攻撃が、民主的な機構を、弱く機能不全なものに変えた。大企業権益に仕えるために、効果と信頼性を放棄したこれらの組織、我々の防火壁であるはずだった。ところが連中は、猛攻下、よろよろしている。

労働組合は過去のものだ。マスコミは大企業に支配され、信頼を失った。大学は、新自由主義を批判し、民主主義的制度や政党の崩壊を非難する反体制派や、自立した学者を粛清した。公共放送や芸術は出資を止められて、生命維持装置につながれた状態だ。裁判所は、司法世界での人生を、大企業権力に仕えることに尽くした裁判官に満ちており、そうした任命傾向は、バラク・オバマの下でも続いた。金が票に置き換わっており、それがベッツィ・デヴォスのような不適格者が閣僚になれる理由だ。しかも民主党は、ウオール街や大企業とのつながりを断ち切ることはせず、トランプの大失敗に付け込もうと、素朴に、じっと待ち構えている。

“トランプにとって最大の資産は、自堕落で、すっかりとまどった、自己愛の、大企業に奉仕する戦争挑発屋の民主党”だと、ワシントンで電話会話をした際、ラルフ・ネーダーが言った。“もし民主党の戦略が、ゴドーを待ちながらであれば、トランプの内部崩壊を待つことであれば、わが国は大変なことになります。民主党について言えるあらゆることが、AFL-CIOにも言えます。連中は列車を制御できていないのです。”

民主主義的な制度への信頼性の喪失が、国を、実存的危機、経済危機へと押しやった。裁判所や大学やマスコミは、連中を、正しくも、大企業エリートの機関と見抜いている何千万人ものアメリカ人に、もはや信頼されていないのだ。これらの機関は、社会が、それによって、権力者のウソを暴き、支配的イデオロギーを批判し、正義を押し進めることができる伝統的機構だった。アメリカ国民が、そうした機関によって酷く裏切られてきたがゆえに、トランプ政権はマスコミを“野党”と攻撃し、大学への資金拠出を止めると脅し、連邦の法律専門家を“いわゆる裁判官”などとあざけり、裁判所命令を“とんでもない”などと非難することができるのだ。

民主主義的制度の崩壊は、独裁政権、ファシスト政権勃興の前提条件だ。この崩壊が、病的なウソつきに信ぴょう性を与えているのだ。エマーソン大学の世論調査によれば、トランプ政権は、49パーセントの登録有権者によって、本当のことを言っていると見なされており、一方、マスコミは、登録有権者のわずか39パーセントしか、本当のことを言っていると見なしていない。アメリカの民主主義的制度が機能しなくなれば、何であれ、ホワイト・ハウスが発するたわごとが現実となる。

民主主義の大半の規則は文書化されていない。こうした規則が、大衆のふるまいを決め、民主的規範、手順や機関の尊重を担保しているのだ。大統領トランプ、彼の支持者にとっては嬉しいことに、この政治的、文化的エチケットを拒否している。

その著書『全体主義の起源』で、民主主義的な制度が崩壊すると“敬虔な陳腐さと化しているいにしえからの真実よりも、明らかにばかげた案を受け入れることが容易となる”とハンナ・アーレントは書いているが、アメリカ民主主義に関するリベラルな支配エリートのおしゃべりは、そのばからしさそのものだ。“尊重されていた基準や受け入れられていた理論を身勝手に放棄する粗野さ”が、政治論議を汚染していると彼女は書いている。この粗野さが“勇気や、新たな生き方と誤解される。”

“彼は行動基準を次から次に破壊しています”とネーダーはトランプを評している。“彼は、これまでのところ、代償を支払わずに済んでいます。彼は行動基準を破壊しているのです。彼の女性に対する発言、ホワイト・ハウスを商売に利用していること、私が法律だ。”

ネーダーは、この大統領が、2018年選挙で得た権力を維持するという共和党の好機を脅かしそうにならない限り、共和党は、トランプに反対したり、弾劾を考えたりはしないと考えている。ネーダーは、トランプに本格的に対決するには民主党は余りに“自堕落で無能”だと言う。彼によれば、希望は、街頭や、議員が公会堂スタンディング・ロックなどの引火点で開催する無数の抗議行動にある。もし膨大な数の人々がトランプの権威主義への協力を拒否すれば、250万人の連邦政府公務員もその一つの可能性がある。

“あらゆる大統領や政権ではなく、アメリカ憲法に忠誠を宣言する公務員が行使する権限を、新大統領は十分周知しています”““Why Civil Resistance Works(なぜ市民による抵抗は効果があるのか)”の共著者マリア・J・ステファンが、ワシントン・ポストに書いている。“大統領として、トランプ最初の行動の一つは、軍、国家安全保障と公共の安全に関係するものを除き、あらゆる新、既存の仕事に影響する連邦政府職員の全面的雇用凍結だ。トランプ就任前ですら、共和党が支配する下院は、連邦職員の給料を引き下げることができるようになるあいまいな1876年の規則も復活させた。これは、個々の政府公務員に、息をひそめて静かにしていろという明白な警告だ。大統領の移民禁止に従うことを拒否したサリー・イエイツ連邦司法長官代行のトランプによる注目を浴びる解任が、官僚全員に衝撃波を送ったのだ。”

続いている全国的な非暴力的妨害や非協力の大衆抗議行動は、共和国を救うために残された唯一の武器だ。エリートは、恐れを感じた時に、反応する。もし我々が彼らに恐れを感じさせることができなければ、我々は負ける。

“民主主義的制度の反発力が、裁判所や抗議行動を勇気づけています”とネーダーは言う。トランプは自らに対するブーメランになっています。国中の人々を、人種、性、階級、地理、ウソ、偽りの発言、自己愛、知識不足、軽率な言行や、非難にツイートで応酬するという病的欲求をもとに彼は個人的に攻撃してます。彼は賢い独裁者ではない。彼は日々、自らを弱体化させている。彼のおかげで、通常そうである以上に、反対派は、効果的になっています”

“最も独裁的な国家元首連中は、父祖の地などの抽象的イデオロギーを扱います。”ネーダーは続ける。“彼はそういうことは余りしません。彼は感覚でも下位レベルの、個人攻撃します。お前はニセものだ。お前は敗者だ。お前はペテン師だ。お前はウソつきだ。特に、性や人種や宗教にもとづいて彼が発言すると、これは人々を覚醒させます。民主的覚醒を進めるのに最善のものは、ドナルド・トランプです。”

ところが、もし我々が新たな悲惨なテロ攻撃に会えば、あるいは金融メルトダウンがおきれば、トランプは、権力基盤を強化できると、ネーダーは言う。市民的自由を完全停止し、争う相手のない支配力を得るのを正当化するために、独裁政権には、本物であれ、でっちあげであれ危機が必要なのだ。

“アメリカに対する無国籍テロ攻撃があれば、彼は、裁判所や議会に対する多くの権限をホワイト・ハウスに集中することができます”とネーダーは警告する。“彼に反対する人々に罪を負わせるでしょう。… これは抗議行に動や反対意見を弱体化するでしょう。”

トランプ ホワイト・ハウスと、裁判所や諜報界や国務省を含む一部の既存支配体制の間の緊張は、支配エリートが、トランプを権力の座から排除しようとしている証拠だと誤解されている。もし支配エリートが連中の利益を最大化し、連中の個人的、階級的権益が守れるよう、トランプ政権との関係を丸く収められさえすれば、彼らは大統領執務室に煽動政治家がいる間の悪さも喜んで我慢するだろう。

大企業支配国家、陰の政府も、民主主義に本気に取り組むつもりは皆無だ。連中の勢力が民主主義的制度を空洞化させ、無力にした。大企業権力と、トランプ政権との違いは、大企業権力は、破綻した民主主義的制度に対する丁重で公的な敬意を含め、民主主義という虚構を維持しようとしていたことだ。トランプはこの敬意を根絶した。彼は政治論議をドブに捨てたのだ。トランプが民主主義的な制度を破壊しているわけではない。そういうものは、彼が政権を握る前に破壊されていたのだ。

最も悪性なファシスト政権すらもが、ファシストのことを無骨で粗野と見なしていた、伝統的な保守派やエリート実業家と不安定な同盟を構築した。

“我々は、イデオロギー的に純粋なファシスト政権を知らない”ロバート・O・パクストンが『ファシズムの解剖学』で書いている。“実際、そういうことはほとんど不可能に思われる。ファシズムを研究するあらゆる世代の学者が、政権は、ファシスト政党と強力な保守派勢力とのある種の協定、あるいは同盟の上に成り立っていたと書いている。1940年代初期、社会民主党亡命者フランツ・ノイマンは、古典『ビヒモス ナチズムの構造と実際』で、党、産業、軍や官僚‘カルテル’が、‘利益、権力、威信、そして特に恐怖’のみによってまとまって、ナチス・ドイツを支配した ”と主張していた。

ファシスト、独裁政権は、お互いに競合し、あからさまに敵対することの多い複数の権力の中心によって支配される。これらの政権は、パクストンが書いている通り“ホッブズ風の万人の万人に対する闘争状態の中に、多数の二流総統や首領を産み出し、社会的、政治的ピラミッドの中で下へと滴り落ちる”よう“指導原理”を複製する。

二流の総統や首領は決まって粗野だ。1930年代、そうしたもったいぶった煽動政治家連中が、リベラルなエリートたちを仰天させた。ドイツ人作家トーマス・マンは、ナチスが権力の座についてから二カ月後の日記に、“基礎となる思想のない、あらゆる高貴で、より良い、まともな思想に反する、自由、真実や正義に反する”革命を目撃したと書いた。“粗野な人間のくず連中”が権力を握ったと彼は嘆いた。“大衆が歓呼する中”ドイツの大企業エリートは、この“人間のくず連中”を好きではなかったのかも知れないが、連中と進んで協力した。アメリカの企業エリートも、今、同じことをするだろう。

億万長者階級の産物たるトランプは、お互い受け入れられる同盟を構築して、これらの大企業権益、戦争機構に便宜をはかるだろう。議会や裁判所にいるお先棒、大企業傀儡連中は、大半従順だろう。そして、もしトランプが弾劾されれば、独裁主義を根付かせようとしている反動勢力は、連邦政府中に、キリスト教右翼連中をおおわらわで押し込んでいるマイク・ペンス副大統領を連中のチャンピォンに選ぶだろう。

“議会を支配している共和党指導部にとって、ペンスは完璧な大統領です”とネーダーは言う。“彼はそのまま主役にできます。彼は役にふさわしく見えます。彼はふりつけられたセリフを話します。かれは役を演じます。彼は役の場数をふんでいます。トランプが不意に辞めようが、辞任を強いられようが連中は全く気にしません。”

我々は、四十年前に始まった波状的な大企業クーデターの最終段階にある。我々がこれに対処する時間はさほど残されていない。我々は支配エリート層を信じることはできない。我々は様々な機関を信じることはできない。反復する息の長い大衆運動を遂行すべく我々は結集しなければならない。支配体制が、トランプを首にして、民主主義を回復してくれるのを待つのは集団自殺に等しい。

クリス・ヘッジズは、中米、中東、アフリカやバルカン半島で、約二十年間、海外特派員として過ごした。彼は50カ国以上から報道し、クリスチャン・サイエンス・モニター、ナショナル・パブリック・ラジオ、ダラス・モーニング・ニューズや、ニューヨーク・タイムズで働き、15年間、海外特派員をつとめた。

記事原文のurl:http://www.truthdig.com/report/item/the_elites_wont_save_us_20170212
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自分たちの首をしめる共謀罪の画策を追求するかわりに、暗殺事件一辺倒の大本営広報分、狂っているか、支配層の共犯者か、その両方。

共謀罪は民主主義を殺す  組織的業務妨害共謀罪の恐怖

そして、新自由主義ファースト。

「公立大学法人 首都大学東京の理事長の人事についてお知らせいたします。これまで勤めてこられました、川淵三郎現理事長、任期が今年の3月をもって満了となっております。 ここで後任といたしまして、慶應義塾大学の名誉教授の島田晴雄先生を任命することといたしました。島田先生は国際派のエコノミストとして幅広く活躍されていて、そしてまた千葉商科大学の学長のご経験もお持ちでいらっしゃいます。 大学の経営についてもすぐれた見識をお持ちであるということから、今回の就任への要請になりました。上野学長と協力をしながら、国際都市東京ととしての強みを生かして、首都大学東京ならではの魅力をさらに高めていくことを期待するところであります。」

このエコノミスト氏、アベノミックスを評価している。

大本営広報部が、連中を首にするような報道をして、民主主義を回復してくれるのを待つのは集団自殺に等しい。

日刊IWJガイド・ウイークエンド版の冒頭を引用させていただこう。

 戦前を彷彿とさせる「皇民化教育」に「ヘイト文書」の配布、さらには児童虐待など、次から次に驚愕の実態が明らかとなっている「学校法人 森友(もりとも)学園」。昨日2月24日(金)、衆議院予算委員会では、民進党から福島伸享(のぶゆき)議員、玉木雄一郎議員、今井雅人議員の3人がこの問題について安倍総理に質問を行いました。

 「瑞穂の國記念小學院」のホームページから「名誉校長」として記載されていた安倍昭恵氏の名前と写真が23日(木)に削除されたことについて安倍総理は、「辞退させていただくと先方に申し入れた」と説明。昭恵氏が名誉校長を辞任したことを明らかにしました。

 また、森友学園側が「安倍晋三記念小学校」名義で寄付金を募っていたことについて安倍総理は、「何回も断っているにもかかわらず、寄付金集めに名前を使われたことは本当に遺憾であり、抗議をした」と語り、理事長の籠池泰典氏についても「個人的に会ったことは一回もない」と関係を否定しました。

 しかし、安倍総理は2月17日に行われた衆議院予算委員会での質疑で籠池氏について「私の考え方に非常に共鳴している方」と述べています。そして昭恵氏も塚本幼稚園で行われた講演で「こちらの教育方針は、主人も素晴らしいと思っていて」と、安倍総理が森友学園の「教育方針」を絶賛していたことを明らかにしています。にもかかわらず、安倍総理のこの手のひらの返し方。森友学園の現実が明らかになるにつれ、形勢不利とみて、森友学園側を切り捨てにかかったとみるべきでしょう。

 さらに、昨日の予算委員会では、「瑞穂の國記念小學院」のホームページから昭恵氏の記述が消されたことについて、民進党・今井議員が「隠蔽するのかと思った」と指摘すると、安倍総理が「隠蔽というのは失礼ですよ!」と強く反発する一幕も。

 一方で昨日の予算委員会では、2016年6月の売買契約をめぐる、売り主の近畿財務局と森友学園側の交渉や面会の記録がすでに「廃棄」されていることも発覚。佐川宣寿理財局長が「売買契約の締結をもって、事案は終了した。記録は速やかに廃棄した」と説明しましたが、これこそまさに隠蔽ではないでしょうか。

 疑惑が深まるばかりの森友学園問題。IWJでは、安倍総理と昭恵氏、そして籠池氏の発言内容を詳細に検証した記事をアップしていますので、ぜひご一読ください。

※2017/2/24 「天然」ではなくやはり「確信犯」!? 総理夫人・安倍昭恵氏と森友学園はどのような関係なのか--深まる謎を徹底検証する~「極右学校法人の闇」第16弾
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/365191

 この森友学園の問題について、IWJでは今週、「極右学校法人の闇」シリーズと銘打って、他のどのメディアよりも深堀し、徹底的に報じました。そして昨日、岩上さんが関西入り!森友学園が運営する塚本幼稚園の内情をよく知る人物に取材し、さらに本日は自由法曹団として「瑞穂の國記念小学院」の建設現場を視察した渡辺輝人弁護士、それから岩佐賢次弁護士に立て続けにインタビューを行います!

 インタビューはいずれも録画で行うため、配信は後日となりますが、国有地取得に関する森友学園の不自然な収支をはじめ、鍵を握る「大阪府私学審議会」の議事録の内容などについて詳しくお聞きする予定ですので、どうぞご注目ください!

 さて、昨日は初めての「プレミアム・フライデー」ということで、官公庁と一部の企業では午後3時に終業となったようです。しかし、仕事を早く切り上げてその分を消費に回す余裕があるのは、霞ヶ関のお役人と大企業の幹部社員ぐらいなものでしょう。アベノミクスによって苦しめられている中小企業の多くにとっては、縁のない話です。

 零細企業であるIWJも「プレミアム・フライデー」とはまったく無縁で、昨日も多くのスタッフが夜遅くまで仕事をこなしました。

 一部の大企業にのみ恩恵があるらしい(見たことも味わったこともないのでよくわからない)アベノミクスのもとで、零細企業であるIWJの財政状況は依然として火の車です。しかし、今回の森友学園問題をはじめ、本当に市民が必要とする情報を既存大手メディアがほとんど報じないなかで、IWJはこれからも精力的に活動を続けてゆきたいと考えています。定額会員にご登録いただくか、ご寄付・カンパによるご支援を、なにとぞよろしくお願いいたします。

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2017年2月24日 (金)

トランプと我々全員にとっての危機

Paul Craig Roberts
2017年2月18日

エセ“対テロ戦争”は、NSAやCIAなどの諜報機関やFBIなどの犯罪捜査機関をゲシュタポ秘密警察機関に変身させるために利用されていることを、我々もそしてトランプ大統領も、理解する必要がある。莫大な軍/安保年間予算を支えるアメリカの世界覇権というネオコンの計略を拒否しているがゆえにトランプは今こうした機関によって脅かされている。

“ロシアとのつながり”から、トランプは圧力に屈していて、アメリカ合州国にとって安全保障上の脅威だという“諜報情報”を売女マスコミ中に埋め込むのに、わが国の秘密警察機関は、おおわらわだ。マスコミで、ニクソン大統領に対して行われたと同様、トランプを大統領の座から追い出す論拠を作るのが狙いなのだ。新たに選出された大統領とあからさまに対決するというのは、並外れたあつかましい行為で、警察国家機関の大変な確信、あるいは自暴自棄を暗示している。

CNNがあからさまにCIAに協力し、あたかも、それが動かし難い事実であるかのように、トランプがロシアの影響を受けているという狂気じみた無責任な憶測をしているのがここで読める。http://www.informationclearinghouse.info/46476.htm
CNNとCIAが提出している“証拠”は、CIAがNYTに埋め込んだことに疑問の余地がほとんどないニューヨーク・タイムズ“報道”だ。

これは実に明白で、CNNとCIAが、アメリカ人を極めて騙されやすく、全くの阿呆同然と見なしていることは明らかだ。

グレン・グリーンウォルドが、エイミー・グッドマンに、ロシアとの危険な緊張を緩和するというトランプが公約している政策が、 主要な敵を必要とする軍安保複合体とは相いれないので、CIAがトランプを狙っているのだと、説明している。

“陰の政府というのは、正確な科学的定義はありませんが、一般的に、永久的権勢派閥であるワシントン内の様々な機関のことを言います。様々な大統領が選挙で選ばれ就任し、離任する中、連中はずっとい続けて、権力を行使します。連中は典型的には、連中の権力を秘密裏に、陰で行使しますから、連中が民主的な説明責任を負うことはほとんどありせん。それはCIA、NSAや他の諜報機関と同様の機関で、基本的に虚報と欺瞞とプロパガンダを流布するように作られていて、そういうことの長い実績のみならず、世界最悪の戦争犯罪、残虐行為や暗殺部隊の実績もあるのです。これが、ビル・クリストルのような連中のみならず、多くの民主党員連中が信頼を置き、更に力を与えようとしていて、実際連中が従属すべきはずの野党幹部から独立して、権力を行使するのを喝采しているのです。

“しかも、これは単にロシアだけの問題ではありません。選挙運動を振り返って見れば、オバマ大統領のもとでCIA副長官だったマイケル・モレルや、ジョージ・W・ブッシュのもとで、CIAとNSAを支配したマイケル・ヘイデンを含む諜報社会の主要メンバー連中は、極めてあけすけなヒラリー・クリントン支持者でした。実際、選挙運動中に、マイケル・モレルは、ニューヨーク・タイムズで、マイケル・ヘイデンは、ワシントン・ポストで、ヒラリー・クリントンを称賛し、ドナルド・トランプは、ロシアに雇われていると言ったのです。そもそもの始めから、CIAと諜報社会は断固クリントンを支援し、断固トランプに反対していた。そしてその理由は、連中がドナルド・トランプの政策よりも、ヒラリー・クリントンの政策を好んでいるためです。CIAにとっての最優先事項の一つは過去五年間は、アサド政権転覆を実現すべく企画されているシリアにおける代理戦争です。ヒラリー・クリントンは、それだけでなく、オバマが更に進めるのを認めないのに批判的で、シリアに飛行禁止空域を設定して、ロシアと対決したがっていました。ドナルド・トランプは全く逆の意見でした。彼は誰がシリアを支配するかを気にするべきではない、ロシアが、シリアで、ISISやアルカイダや他の連中を殺害するのを、認め、支援すべきだと述べていたのです。ですから選挙戦をしてきたトランプの計画は、CIAが望むものとは全くの対極にありました。クリントンこそ、まさにCIAが望んでいた人物なので、連中は彼女を支援していたのです。そこで、連中は選挙中、何カ月間もトランプを傷つけようとしてきました。そして彼が当選してしまった今、連中は、彼を漏洩疑惑で攻撃するだけでなく、彼を積極的に打倒しようとしています。彼は信頼できないので、情報を得るべきでないと連中が考えているという理由で、連中は、彼に対して、情報を提供せずにいるという説があります。連中は政策を実施すべく、自らに権限を与えているのです。

“今、トランプ大統領は極めて危険な状態にあると思います。皆さんがニュースで、あなた方のニュースキャストで多くの理由を挙げられた通りに。連中は環境を壊したがっています。連中はセーフティー・ネットを廃絶したがっています。連中は億万長者をより強力にしたがっています。連中は、イスラム教徒や移民にや他の多くの人々に対する頑迷な政策を施行したがっているのです。そうしたものに抵抗することは重要です。連中に抵抗するには、非常に多くの実に素晴らしい方法があるのです。裁判所に連中を規制するよう訴えることや、市民の活動や、何より重要なのは、民主党が、あらゆるレベルで崩壊した後、一体どうすれば、アメリカ合州国で、より有効な政治勢力になれるか自問するよう民主党に自己批判させることです。この抗議行動が今しているのは、そういうことではありません。彼らがしようとしているのは、そうではなく、ドナルド・トランプよりもっと酷い一派、つまり残虐行為をおかしてきた実績がある陰の政府、CIAを選んで、選挙で選ばれた大統領を攻撃し、彼が政策を実施するのを妨害する、ほとんどソフト・クーデターのようなものに参加すべきだと言っているのです。そうすることは極めて危険だと私は思います。たとえ私がそうであるように、皆様も、片やCIAと陰の政府、そして片や、トランプ大統領、いずれも極端に危険だと考えておられていても、この二つの間には大きな違いがあり、それはトランプは民主的に選ばれており、国民が見ている中、これらの裁判所がまさに実証したとおり、そしてマスコミが示しているように、民主的支配に従うのです。一方で、CIAは誰に選ばれたわけでもないのです。連中は民主的支配に従うことはほとんどありません。ですから、選挙で選ばれた行政府を弱体化させるべく、CIAや諜報社会が権限を強化するように促すなど愚の骨頂です。それは民主主義を救うという名目で、一夜にして破壊する処方箋です。ところが、それを実に多くの人々が、ネオコンだけでなく、民主党内のネオコン同盟者たちが、今これをあおり、喝采しているのです。しかも、それは信じがたいほど歪曲されており、連中がそうしているのを見過ごすのは危険なことです。” http://www.informationclearinghouse.info/46476.htm

アメリカ合州国は現在、リベラル/進歩派/左翼が、民主主義に反対して、陰の政府と手を組むという並外れた状況にある。リベラル/進歩派/左翼は、弾劾すべき罪をおかしていない大統領を弾劾するようロビー活動している。ネオコンは、民主主義より、陰の政府クーデターを好むと発言している。マスコミは、ウソ、あてこすりと虚報の絶え間ない集中砲火をして連中の要望に合わせる。無頓着なアメリカ国民は、親指しゃぶりをしながらボーッと見ている。

トランプに一体何ができるだろう? 彼は諜報機関を一掃し、ブッシュとオバマが与えた、違憲な活動を行うことへの許可を終わらせることが可能だ。彼は反トラスト法を駆使してクリントンが、その形成を許したマスコミ・コングロマリットを解体することが可能だ。もしブッシュやオバマが、その権限で、アメリカ国民を、適正手続き無しに無期限拘留できるなら、もしオバマが、アメリカ国民を正当な法の手続き無しに、容疑者を殺害できたのであれば、トランプは、彼を異口同音に攻撃するだけのマスコミ・コングロマリットを、反トラスト法を駆使して解体することが可能だ。

現時点では、トランプは戦う以外の選択肢はない。彼が秘密警察機関と売女マスコミ・コングロマリットを解体することができるか、それとも連中が彼を倒すかだ。フリン解雇は最悪の行為だった。彼はフリンは在任させ、彼に不利な偽情報を積極的に活用している“秘密漏洩者”を首にすべきだった。NSAは一体誰が秘密漏洩者か知っているはずだ。トランプは、堕落したNSA幹部を一掃し、秘密漏洩者連中を特定する幹部を据えるべきだ。そこでトランプは、法を最大限に適用して秘密漏洩者連中を起訴すべきだ。

大統領を破壊すると決意した秘密警察機関に対して、生き残れる大統領などいない。もしトランプの顧問連中がこれを知らないのであれば、トランプは是が非でも新たな顧問たちが必要だ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/02/18/stakes-trump-us-paul-craig-roberts/
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文中のグレン・グリーンウォルド氏、スノーデンが最初に接触した記者。彼が動かないので、スノーデンは、ローラ・ポイトラスに接触した。そこから大スクープが始まる。その話題をもとにつくられた映画『スノーデン』早々公開が終わったようだ。共謀罪推進に不都合で、圧力があったのではと勘繰りたくなる。以前下記記事を訳した。正しくは「世界盗聴網」。

オリバー・ストーンの『スノーデン』: NSAは“対世界捜査網を運営している”

「家庭内野党」というレッテルはすっかりはげた。
あの小学校の名誉職をつとめるのは「家庭内公明党」どころか「家庭内日本会議」。
挨拶ページを早々削除して誤魔化す姑息さ。

国営放送は、民進党議員の質問に対し、水道民営化論者が「何を調子のいいことを言っているんだ」と発言した部分を削除して報道している。酷会。

こういう国有財産不祥事で、紙媒体なり、昼のお笑いマスコミや「特捜部」などは一体なんのために存在しているのか、はっきりわかるように思う。

2017年2月23日 (木)

フリン辞任は世界平和に役立つのだろうか?

2017年2月21日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

僅か数日間、職務をおこなった後、トランプ大統領の国家安全保障主席顧問マイケル・フリン中将の突然の解任は、より平和な世界に関心をもっている人々にとっては、不幸に見えて、結局は幸福となるものかも知れない。シリア“和平”を巡りフリンの汚い取り引きをまとめるのが、ロシアにとって良いことになるという、あらゆる空想や考えからロシア指導部の目をさまさせる冷や水になった可能性もある。

一体何が本当に起きているのかを感じ取るには、見出しの先を見ることが不可欠だ。そもそもの始めから、再三私が述べてきた通り、トランプ大統領は策略で、オバマの失敗した世界支配“本案”を、ヘンリー・キッシンジャーの“代替案”とでも呼ぶべきもので置き換えるのが狙いだ。

フリンの突然の解任は、どのように世界平和のためになるのだろう? 彼はプーチンのロシアとの関係を正常化する親しい友人ではなかったか? 彼はジョージ・W・ブッシュと、B. オバマの外交政策を支配する戦争挑発ネオコン連中に対する熱烈な反対者ではなかったか? 要するに、そうではない。彼はそうではなかった。

ギリシャ神話のアウゲイアースの家畜小屋掃除のように、ワシントン諜報界の汚れを彼単独できれいにしようとしていたかのようなフリンが問題なのではない。問題は、公表されているトランプ・プロジェクト外交政策の優先順位だ。

選挙運動以来、ある種の主題、はっきり表明されている。イランとの核合意は“まずいもの”で、新たな敵対的経済制裁は良いことなのだ。ビビ・ネタニヤフの右翼リクード政権との関係を、再びワシントンの特別な優先事項にしなければならない。世界最大のテロへの資金提供国、サウジアラビアとの関係も良くしなければならない。就任以来の四週間で、一体何が起きただろう?

フリン後、新たな政策は皆無だ。起きているのは、予定通りの、中東の石油とガスをアメリカが支配するための戦争連合を構築するための戦略的旋回だ。ロシアと協力してのシリアにおける“和平”が狙いではない。決してそういうことはなかったのだ。

ユーラシア開発トライアングルの破壊

そもそも最初から、トランプや、フリンや、ジェームズ“狂犬”マティス国防長官の発言を考えれば、アメリカの長老連中や、ヘンリー・キッシンジャーのような連中のメッセンジャーの狙いは、戦争で疲弊した世界に、戦争ではなく、ドル体制やNATOの支配から、大幅に自立した、ユーラシアの国々を結ぶ、底が深い港や、高速鉄道インフラ・ネットワーク建設による経済成長という新たな希望を与えてくれる、ユーラシア経済トライアングルを破壊することだ。

トランプ就任前に発表した先の記事で私が概略を書いたように、“今やキッシンジャーは、次期大統領トランプと陰の外交政策顧問として特別な関係を持ち、キッシンジャー同盟者のティラーソンが国務長官、マティスが国防長官となり、キッシンジャーの強権で、欧米ワン・ワールド妄想の拮抗力となりうる可能性を破壊するため、中国とイランを標的にして、中国とロシアとイランの間に不信と不和を醸成することで、プーチンとロシアを利用しようという彼独自の「イギリスの勢力均衡」政治操作が姿を現し始めている。”のは当時から明白だった。

キッシンジャーは、最近のオバマ外交政策批判で、オバマが、見返りに、イランがシリアから離れ、レバノンとシリアでのヒズボラ支援を止めることを要求せずに、イランへの経済制裁の一部を解除したと主張している。シリアを巡るロシアとの取り引きでは、合意によるバッシャール・アル・アサド退陣と、ワシントンが、1990年代の戦争で、ユーゴスラビアでしたのと同様な、シリアの小国分割、“区分け”を要求すべきだと彼は主張している。キッシンジャーは“冷戦時代のソ連のように、帝国主義国家として、革命の大義をもって行動しており同様な脅威となっているのだから、イランは封じ込めなければならない”と主張している。

トランプの事実上の外交政策戦略家たるキッシンジャーにとって、彼(とデイヴィッド・ロックフェラー)版の世界秩序にとって最大の脅威は、自分たちの利益を主張し、アメリカが率いる秩序の事実上の属国としては行動しない地域ブロックの出現だ。キッシンジャーは、2014年にこう述べていた。“地域間の戦いは、国家間の戦いがそうであったものよりも破壊的なものになりうる。”

フリンは、ロシアゆえにでなく、イランゆえに首にされた

フリンがこれほど早く解任されたことの公式理由は、トランプが大統領になる何日も前、フリンが就任する前にしたワシントン駐在ロシア大使セルゲイ・キスリャクとの電話会話の全詳細をペンス副大統領や他の連中に説明するのを拒否したことだとされている。

理由として遥かにもっともらしいのは、2月始めのイランを対象にしたフリンの軽はずみな発言だ。あの時フリンは、ホワイト・ハウスで異例の記者会見を行い“本日をもって、我が国はイランに正式に警告する”と発言していた。彼の発言は、イランの弾道ミサイル実験や、テヘランが支援していたとワシントンが主張するイエメン戦士によるサウジアラビア海軍艦船に対する最近の攻撃を対象にしていた。強硬に見えるだろうか、あるいは、地域で再びその力を行使する本物のアメリカ風ランボー風マッチョか。ウワオォー!

フリンのばかげた発言には間違いが多々ある。まず、2012年8月、すんでのところでアメリカが、シリアでの地上戦を始め、中東におけるアメリカの威信の悲惨な喪失となるところだった、シリアでの化学兵器に関するオバマの“越えてはならない一線”発言同様、中身がない。キッシンジャーが言っている通り、オバマの“越えてはならない一線”大失敗は、“この地域からアメリカが戦略的撤退するという印象と現実を産み出した。”

しかも、イランの弾道ミサイル実験に対して、国際的禁止は存在しない。元ホワイト・ハウスの中東専門家フィリップ・ゴードンが指摘している通り、“このように劇的な公式な形で、これほど曖昧な警告を発したことで、彼は自らとアメリカ合州国を、ばつの悪い撤退か、危険な対決を選ばざるを得なくした。”弾道ミサイル実験は、イラン核協定や国連決議の対象ではない。

政権が全閣僚を選び、ましてイラン政策で、連中をきちんと整列させる前に、フリンは一体何とばかなことをしたのかが新米トランプ政権内で理解されるにつれ、フリンは辞任せざるを得ないことが明らかとなった。ロシア大使は好都合な話題逸らしだ。

フリンによるおろかで曖昧な脅しのおかげで、ロシアも中国もイランに対する強固な支持を公式に宣言し、代替案がもたらすはずのものと真逆になったことは注目に値する。フリンが自らの刃で倒れる三日前、クレムリン大統領報道官ドミトリー・ペスコフはこう述べていた。“ロシアは、アメリカのドナルド・トランプ大統領によるイランが‘第一番のテロ国家’だという最近のレッテル貼り発言には同意しない。皆様ご承知の通り、ロシアはイランとの良い関係を享受しており、様々な問題で我々は協力しており、我々はこの経済的な絆を高く評価しており、一層進展するよう願っている。”

反イラン軍事ブロック?

トランプの新構想とは一体何かを子細に検討すると、いくつかの特徴があきらかになる。超反動的なサウジアラビア皇太子の後頭部に口づけをした新CIA長官マイク・ポンペオの胸の悪くなるへつらいの態度を見てみよう。2月12日、CIA長官として最初の外国訪問で、ポンペオは、王位継承者のムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子に、テロとの戦いの取り組みに対し、“ジョージ・テネット勲章”を授与した。ポンペオは、イランは中東における紛争の主要な根源だというトランプ政権の呪文を繰り返した。トランプが宣言したこと、キッシンジャーが原稿を書き、イランを“世界最大のテロ支援国家”と非難して、ジェームズ・マティス国防長官が断言したことのオウム返しだ。

1980年代初期に、CIAの十年も続いた対ソ連赤軍戦争を行うアルカイダとなるものを作り出すためオサマ・ビン・ラディンをパキスタンに派遣したことを含め、狂信的なイスラム教の過激なワッハブ派を助長するため、過去何十年もの間に、サウジアラビアは、推計1000億ドルも費やした。サウジアラビアの資金が、ほぼ六年たっても、現在シリアで戦争が続いており、そしてイエメンでも戦争が続いている主な原因だ。

ワシントンのサウジアラビア君主国との関係修復は、ネタニヤフのイスラエルと、サウジアラビア、クウェート、カタール、ヨルダン、エジプトを含む超反動的なスンナ派湾岸諸国連合とワシントンとの関係再構築というより大規模な戦略の一環だ。オバマのイラン核合意は、ワシントン と、イスラエルや湾岸アラブ諸国との関係をひどく冷却させた。

2月15日、ウオール・ストリート・ジャーナルが、トランプ政権が、地域において増大しつつあるイランの影響力に対抗すべく、アメリカ合州国とイスラエルと諜報情報を共有するのに協力する国々、サウジアラビアや他のスンナ派湾岸諸国とイスラエルで、反テヘラン軍事ブロックの構築を計画していると報じた。ワシントンは、諜報情報がイスラエルと公然と共有される四つのアラブ国家間の“新たな‘NATO’協定の創設を狙っていると記事は報じている。新協定は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦 (UAE)、エジプトとヨルダンに提案されており、増大するイランの地政学的脅威に対する正式な軍事同盟と見なされている。”

トランプと会見すべく、ワシントンを訪れたネタニヤフは、即座に“アラブのNATO”を作るというトランプ提案を受け入れたが、もちろん、イスラエルは、抜け目なく裏で“標的”を提供しいてたのだ。イスラエル首相は、これは“平和にとって素晴らしい好機だ”と宣言した(原文通り)。

より深い地政学

しかしトランプ政権によって、イランに対する新たなスンナ派戦争を作り出すことは大詰めではない。それは遙かに大きな途方もなく戦略的な作戦の一歩なのだ。ロシア、中国とイラン間の増大しつつある協力で、出現しつつあるユーラシア・トライアングルの破壊だ。ワシントンとイスラエルのネタニヤフは、そのためにはイランが最善の方法、弱い輪と見なしている。

2016年にマイケル・フリンと本を共著した人物でもあるワシントンのネオコン尊師マイケル・レディーンによる最近の独創的論文は精読に値する。1980年代のイラン-コントラ・スキャンダルや、2003年に、ブッシュ-チェイニー政権が、イラクに対する狂った戦争を正当化するのに利用したインチキなニジェール・ウラン・イエロケーキ事件の立案者、レディーンは イランを悪魔扱いするトランプの取り組みの中心だ。現在、レディーンは、ネタニヤフとつながるワシントンにある民主主義防衛財団で、いわゆる「自由の学者」をつとめている。

フリンがNSCを辞任する直前、2月13日に、ルパート・マードックのウオール・ストリート・ジャーナルに掲載された論説で、レディーンはこう書いている。“ウラジーミル・プーチンと、中東で取り引きをしたいのだろうか? それなら本物の質問から始めよう。ロシアはイランとバシャール・アサドのシリアを見捨てる用意があるだろうか? もしそうであれば、それをうまくすすめるには一体何が必要なのだろう? ”

レディーンはこう続けている。“プーチン大統領に、アサドと、アヤトラ・アリ・ハメネイとの同盟を止めさせるロシアとのアメリカ取引は、 イランを脅かす。ロシア爆撃機と特殊部隊がなければ、イランはアサドと同様、敗北に直面する。シリアがなければ、テヘラン政権の欠かすことのできない一部であるヒズボラは、少なくともひどく脅かされ、テヘランから地中海に至る軍事パイプラインと共に、もはや機能できなくなる。”

レディーンは、更に、ハメネイのイランを打倒するのに、新たなCIAカラー革命を支援するようトランプに提案している。“アメリカの支援によって、何百万人ものイラン人が、イスラム共和国を打倒し、欧米の政府に似た世俗政府を樹立できよう。イスラム共和国がなくなれば、トランプ政権は、プーチン大統領と取り引きする上で、ずっと強い立場にたてるだろう。モスクワへの道はテヘラン経由なのだ。” xv

マイケル・レディーンは卑劣な人間だ。2002年に、イラク侵略を推進する一環として、彼がこう発言したことが記録に残っている。“騒然たる状況になる可能性が極めて高い地域があるとすれば、今の中東だ。我々が効果的に戦争をしかければ、イラク、イランとシリアのテロ政権を打倒することができ、サウジアラビア王政を打倒するか、若いテロリスト連中を洗脳する世界的組み立て工場を放棄するよう強制できるだろう。それが対テロ戦争における、我々の任務だ。”

身を引くロシア

こうしたあらゆる物事は、フリン辞任と、トランプ政権のモスクワに対する真の動機に関するモスクワの認識とどうつながるのだろう? モスクワとワシントンから出されているあらゆる兆しから、トランプ政権は、シリアを巡りロシア-イラン関係を絶ち、主要な中東関係者としての新たに築かれたロシアの影響力や、他の国々にとって信頼できる同盟国としての信頼を破壊する、とんでもなくひどい取り引きを、モスクワに申し出ることに邁進していた。経済制裁解除の可能性と、ロシアのクリミア政策に対する何らかの“理解”という曖昧な約束が、トランプ株式会社がモスクワの前にぶらさげた、いくつかの“ニンジン”だと報じられている。

2月14日、彼のロシア高官との接触を巡ってのものとされるフリン辞任の翌日、ペンタゴンは、クリミアのロシア黒海艦隊の戦略的基地がある黒海の公海で、誘導ミサイル駆逐艦、アメリカ軍艦ポーターに“余りに接近して”飛行したと、ロシア軍を非難した。ペンタゴンは、ロシア戦闘機がトランスポンダーを切って飛行していると非難している。アメリカ艦船がそれほどロシアに近いところに存在していること自体がオバマの下で始まった、明らかに、トランプが変更していない、ワシントンによる挑発の一環だ。

それより一週間前、アメリカ国連大使ニッキー・ヘイリーは、国連で、“アメリカ合州国は、ロシアのクリミア占領を非難し、即座に止めるよう要求し続ける…クリミアはウクライナの一部だ。ロシアが半島の支配を、ウクライナに返還するまで、クリミアに関連するアメリカ経済制裁は継続する。”トランプ本人がさらにこうツイートした。“オバマ政権時代に、クリミアはロシアに奪われた。オバマはロシアに甘すぎたのだろうか?

選挙運動中、トランプは、関係修復の一環として、クリミアに関連するロシア経済制裁を見直すことを示唆していた。

マイク・フリン解任以降、現時点で、シリアを巡るワシントンとの本格的取り引きから、ロシアは明らかに身を引いている。ロシアは、CIAポンペオ長官による最近のトルコ訪問は、エルドアンを、NATO陣営に戻るよう説得し、シリア内での新たな攻勢に対するトルコの支持を得る狙いであり、シリア国内での和平への共同取り組みに対するトランプ政権の本当の狙いに関する基本的な不誠実さの更なる兆しと見ている。アメリカ軍産複合体と共に、永久戦争経済に深く肩入れしているワシントン諜報界内に埋め込まれたネットワークが、フリン解任の背後にあろうがあるまいが、余波の中、モスクワが戦略的見直しをしているのは明らかだ。

シリアでのロシアの邪悪な取り引きで、イランとロシアの絆を断てば、ユーラシア黄金トライアングルのもう一本の戦略的柱、つまり、現在、世界でもっとも大規模なインフラ・プロジェクトと言われている、港・高速鉄道インフラ・プロジェクト一帯一路への参加を中国がテヘランに呼びかけている、習近平の中国とイランとの戦略的つながりの破壊も促進することになる。ワシントンが、このユーラシア・トライアングルを破壊しなければ、超大国の衰退に直面する。それがキッシンジャーのトランプ・プロジェクトの狙いだ。

シリアを巡り、ロシアとイランの間にくさびを打ち込もうというワシントンの取り組みを、ワシントンが南シナ海を巡って中国を標的にしていることや、来るべき通貨戦争という世界的な文脈に置くと、ヘンリー・キッシンジャーが設計したトランプ・ プロジェクトの本当の狙いがより明らかになる。狙いは、現在、唯一の超大国としてのアメリカ覇権に本当に取って代わる能力がある世界の唯一の地域同盟、つまり金、技術、鉄道網と手強い軍事抑止力を持ったロシア-イラン-中国ユーラシア・トライアングルを破壊することだ。世界にとって幸いなことに、連中は悲惨なスタートをするところだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/02/21/does-flynn-exit-aid-world-peace/

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大本営広報部の白痴製造装置、市場移転問題と、暗殺事件一辺倒。一億総白痴。

【国会ハイライト】『犬臭い』と園児のリュックを捨てた!? 森友学園が運営する塚本幼稚園での「児童虐待」の実態を民進・玉木雄一郎議員が追及!~「極右学校法人の闇」第13弾!

「牧口常三郎・創価学会初代会長が治安維持法による弾圧で獄死させられた経験を思い起こして欲しい」――市民が公明党・山口代表に要請「現代版『治安維持法』=『共謀罪』法案の国会提出をさせないで」 2017.2.22

2017年2月22日 (水)

トランプ-トルドー会談は本当は一体何だったのか

Eric ZUESSE
2017年2月19日

アメリカ大統領ドナルド・トランプは、腐敗の“泥沼を干しあげ”、アメリカ国民による政府支配を取り戻すという公約で、大統領の座についたが、1月20日に、大統領職に就任して以来彼が実行しているのは、まさに逆のことだ。アメリカ政府の支配を、多国籍企業に、しかも実際には、大企業を支配し、至るところで、大衆を強奪するために大企業を駆使している億万長者に引き渡しているのだ(その一部をこの文章でご説明している手口で)。

2月13日、カナダ首相ジャスティン・トルドーと彼の会談をお考え願いたい。

NAFTA条約がアメリカ合州国内の雇用と賃金を減少させたがゆえに、ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュが作り、ビル・クリントンが法律として成立させたカナダとメキシコとのNAFTA条約に反対して、トランプは大統領の座についたのだが、アメリカ国家主権の深刻な縮小、アメリカ主権である規制分野の一部、環境や製品の安全や、労働者の規制を強化するアメリカの主権的能力を、NAFTAによって、そうした新たな規制に反対し、しかもその権利が、NAFTAの下で、いかなる国の単なる国民(納税者などの)権利を超えて保護されている多国籍企業と、そうした多国籍企業の所有者に、アメリカの納税者が支払いを要求する何百万ドル、あるいは何十億ドルもの金額を決定する上訴不可能な裁定をする三人による仲裁委員会とにゆずり渡す、NAFTAの実に有害な譲渡について、彼は一言も触れなかった。

現在、カナダとアメリカ合州国との間の最大の問題は、NAFTAより更に始末に負えないものだ。賃金を押し下げるばかりでなく、環境、製品の安全や、労働者の権利を規制する既存の法律を施行したかどで、アメリカ企業も含め、多国籍企業がカナダとEU両方の納税者を訴えることまで可能にするカナダと欧州連合間の条約CETAだ。

それが一体どのように機能するかという説明はここにある。具体的には、カナダの国際的採掘企業が、ルーマニアの公害防止法を施行したかどで、ルーマニアを訴えている。“プロジェクトの過半数株式保有者、ガブリエル・リソーシズが、世界銀行に本拠を置く国際投資仲裁委員会にルーマニアを訴え、ルーマニアが必要な許可を発行しそこねた不履行とされるものに対し、補償として40億ドルを要求していると報じられている”。“鉱山は、その後に、フットボール競技場420個分の広さのシアン化物に汚染された排水湖を残すことになる”、ので、鉱山はルーマニアの環境法に大幅に違反する; ところが、いずれもCETA同様の(そしてオバマが提案したTPP、TTIP、& TISA条約同様の)にあるはずの仲裁条項がある1995年と、1997年にルーマニアが署名した協定の条件のもとで、ルーマニア政府は今や、プロジェクトを承認するか、あるいは、それを阻止したかどで、ガブリエル・リソーシズの株主たちに 40億ドル支払うかのいずれかを選ばなければならない。

EUで事業を行っているアメリカを本拠とする企業の五社中四社(41,811社)は、カナダ子会社経由で投資を仕組めば、EU、その加盟諸国を攻撃するのにCETAを利用できるのだから、CETAは、アメリカを本拠とする多国籍企業にとって、絶対間違いない儲けだ。アメリカはこの協定の調印国ではないので、CETAは、多国籍企業がアメリカ納税者を訴えることは認めていないが、それでもアメリカ多国籍企業にとっては依然として巨大な新利益センター(基本的に、オバマが提案した消滅寸前のTTIP協定を、裏口から起動するようなもの)だ。そして、もしトランプが、アメリカ国民を代表する以上に、アメリカを本拠とする多国籍企業の所有者を代表しているのであれば、彼は、同様に多国籍企業の所有者を代表し、それゆえCETAを支持しているカナダ首相を支持することになるだろう。

しかも、2012年のガブリエル・リソーシズ社の最初の公開財務報告は、それ以前の二年間、世界銀行のパートナー、IMFがルーマニアに“緊縮政策”を押しつけたと報じている。そして“こうした緊縮政策は、欧州連合内での広範な経済危機にも影響されて、次第に政府の行動に対する国民の支持を損ない、2012年1月、ルーマニアでの大規模抗議行動を引き起こした”と記述している。更に“2012年2月6日、国民による支持の欠如から、ボック首相は全閣僚と共に辞任を発表するに至った。それから間もなく、バセスク大統領が、外国諜報機関のトップで元外務大臣のミハイ・ラズヴァン・ウングレアーヌに、新政権を組閣するよう依頼したが”、“わずか11週間”しかもたなかった。

だから、ルーマニア国民、このプロジェクトを承認するよう追い詰めはれていたのだ。そして現在、反対する大規模抗議行動の後、そして政府がプロジェクトを拒否した後、ルーマニア国民は、認可を拒否したかとで、多国籍企業から訴えられている。経済緊縮策という親指絞めの拷問は機能しそこねたので、今やあらゆる国家の法律や裁判所が、そこから締め出されたし、締め出され、ルーマニア憲法や法律に何と書いてあろうとその裁定が最終である仲裁委員会が、(ルーマニア人はルーマニア法に違反すると主張している採掘事業だが、採掘企業はそんなものは無視すべきと主張している)大企業の株主に‘彼らの儲ける権利を侵害した’かどで、ルーマニア人納税者が一体いくら支払うべきかを決定するのだ。これが‘欧米民主主義’だ。その最初の記述は(我々は彼を打ち破ったことになっている)ムッソリーニが時に“ファシズム”と呼んだもので、時に“大企業支配”と呼ばれる。 (だがこれはより高度な国際版だ。出現しつつあるファシスト世界政府だ)。

仲裁委員会は、オバマが提案したTPP協定に関するこの記事の中で説明されているICSIDと呼ばれる規則を忠実に遵守することになる。

2016年7月27日、ジョージ・モンビオが、イギリスのガーディアンに“主権だと? この政府は、我々を最高入札者に売り飛ばすのだ”という見出しの記事を書き、イギリス人有権者が、腐敗した多国籍企業に支配された政府ゆえに、EU離脱の投票をしたにもかかわらず、イギリス人億万長者連中が、国家が消費者保護、環境保護や、労働者権利保護法案を施行した際には、納税者を訴えることができるこの新たな大儲け事業に一枚加わりたがっているので、イギリス自身の首相の政権が今やCETAを支持していると報じている。

2月13日、別のガーディアン記事はこう報じている。

CETAは最終的に、ヨーロッパの規制を、裏口から、壊滅したと思われているEU-アメリカ自由貿易協定TTIPの嫌われていた部分を導き入れるカナダの採掘企業や、アメリカ多国籍企業のカナダ子会社によるより多くの投資家訴訟にさらすだろう、… カナダの大企業は 既に、トルドー政府に、最も重要な市場での競争力を維持するため、アメリカ大統領の規制緩和の動きに対応するよう圧力をかけている。CETAの規制協力メカニズムは、北アメリカ・ロビイストにとって、EU規制に対し、緩和への圧力を静かにかける道を切り開くことになろう。これは特に、遺伝子組み換え生物や、内分泌かく乱化学物質などの微妙な分野にあてはまる。

国際支配階層は、世界中の大衆をだまし、政府規制は悪いものであり、規制がより少なく、より緩和されているほうが良いのだと信じこませている。ドナルド・トランプ自身もこのウソをまくしたてているが、アメリカ(あるいは他のどの国の)国民に対する彼の忠誠心とされるものと矛盾する。彼がホワイト・ハウス入りして以来の実際の行動は、彼が本気なのは、国家主権の強化ではなく、剥奪であることを示唆している。

もしそれが彼が実際に遂行するものなら、これこそ彼の最悪のペテンだ。彼が他の‘欧米民主主義’国の大半の指導者連中のように腐敗するのを避ける時間はまだある。だが間もなく、彼が本当はどちらの側なのかを我々は知ることになる。

アメリカと、その全ての同盟諸国の支配層は、あらゆる国の国民に害を与えるにもかかわらず、この種の世界政府を望んでいることは疑いようがない。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/02/19/what-trump-trudeau-meeting-was-really-about.html
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植草一秀の『知られざる真実』の2017年2月22日記事、この記事とつながる。
日米FTA・種子法廃止・水道法改定を許さない!

書店で『検証アベノメディア―安倍政権のマスコミ支配』臺宏士著 緑風出版を見かけた昨夜、民放と国営放送の「ニュース番組」を延々見比べた。
民放二局は、しっかり小学校土地疑惑に触れていた。
国営放送、9時の番組でも、その番組のキャスターになる予定の二人による深夜の番組でも、全く小学校土地疑惑に触れていない。トップが変わっても、アベノメディア。

紙媒体はどうなのだろう?

2017年2月21日 (火)

“宮廷クーデター”と呼ぶむきもあろう

トランプの任期は200日も続かない - 歴代二番目の短さ
Ronald L. Feinman
2017年2月18日
"Raw Story"

12月、ロシアの侵略行為に対し、バラク・オバマ大統領が対ロシア経済制裁策を発した後、一民間人として、ロシア大使に話したスキャンダルのため、国家安全保障顧問マイケル・フリンが辞任を強いられたニュースがドナルド・トランプ大統領を揺るがしている。

多くの保守派や共和党員から、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との“男同士の固い友情”を攻撃されていたトランプは、そもそもフリンを採用した結果、伝統的なアメリカ外交政策に対する彼の忠誠が疑われている。批判する連中は、フリンはあてにならず、判断力がまずいと見ていた。元同僚たちは、話をでっちあげたがる彼の嗜好を指して“フリン事実”と厭味な冗談を言っていた。フリンは、プーチンに近過ぎるとも批判されてきた。共和党大会では、ヒラリー・クリントンを指す“彼女を投獄しろ”唱和に彼は加わっていた。

トランプが公共の場で話すたびの不適切な振る舞いや発言、ツイッター発言や、不安定さや無謀さに、外交政策専門家の多くは不同意だった。北朝鮮のミサイル実験を巡り、他の客から見える夕食会という公共の場で、安全保障会議を行ったのは、彼が理非をわきまえた行動ができない証だ。過去百年間における四度の戦争の同盟国、オーストラリアの首相との電話会話を突然打ち切ったのは不安をいだかせる。最初、二つの中国を受け入れる様子を示した後、圧力を受けて、撤回するという、首尾一貫しない彼の対中国発言は心配だ。中東における二国解決案に対する彼の無定見は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相に対する敬意の欠如や、NATOに対する強い支持の欠如と並んで大問題だ。

フリン排除で、マイク・ペンス副大統領が重要な役割を演じた事実は、ペンスが、トランプに対し、既に自己主張している兆しで、ペンスが、外交政策が傷ついたり、アメリカの国家安全保障が危うくなったりするのを座視するはずがないのは明らかに思える。結局、アメリカ国民は、それ以下では満足しないのだ。

マイク・ペンスは、既成体制派共和党議員で、12年間下院議員をつとめ、インディアナ州知事に立候補する前の下院最後の四年間、下院共和党会議議長という主導的な立場にあった。ペンスは堅物の頑固な共和党員で、彼の堅固なキリスト教信仰が、女性問題、同性愛問題に対する彼の姿勢、地球温暖化という考え方の受け入れ拒否を含む彼の政治を形作っている。こうした問題に対する彼の姿勢から、インディアナ州の穏健な共和党員は離反した。ドナルド・トランプが、彼を副大統領に選んだ際、彼の支持率は低かった。ペンスは二期目の知事には当選できないのではと思うむきが多かった。

ペンスは“強硬手段”の使い方を熟知しており、彼の表情やボディー・ゲージで、トランプの気ままで、軽率な振る舞いを不快に思うことが多いのは明らかだ。ポール・ライアン下院議長や、ミッチ・マコネル上院多数党院内総務が推進しているので、フリン問題調査は進展しよう。更に、テキサス州のジョン・コーニン、ミズーリ州のロイ・ブラント、サウスカロライナ州のリンジー・グラハムや、アリゾナ州のジョン・マケインといった上院議員連中が聴聞を要求している。これほどの高いレベルの、これまでのどの大統領在位期間で最短時期のスキャンダル(25日間)の後に普通の手順として行われると予想されるFBIによる更なる問題を捜査につれ、トランプの辞任、あるいは弾劾要求がなされよう。

公共の場でのトランプを擁護するのはペンスにとって困難だろうが、舞台裏で、トランプに、特に外交政策と国家安全保障問題で、彼の言動をしっかり安定させることが予想される。ペンスは、困難な時期、そしてもしトランプの行動が、共和党幹部や既成外交政策支配体制に不安を与え続ければ、今後ドナルド・トランプに反対して議会が行動する可能性を前にして、リチャード・ニクソンの副大統領ジェラルド・フォードと良く似た立場に直面している。

1月22日に、私がHistory News Networkに書いた通り、たとえトランプが激しく反対しようとも、ペンス副大統領は、閣僚の過半数の了承で、大統領の執行不能を宣言できるというアメリカ合衆国憲法修正第25条第4節を発動することが可能で、そこでペンスが“大統領代理”となる。これを“宮廷クーデター”と呼ぶむきもあろうが、ペンスは、トランプを権力の座に置いたままにしておくのは余りに危険だという説得力ある主張をすることが可能だろう。ペンスは大変な負荷に直面することになり、彼自身の国内政策と外交政策の狙いに同意しようと、しまいと、副大統領は、もし状況が更に悪化すれば、彼として、せざるを得ないと考えることを実行するのは明らかに思える。

そのようなシナリオが起きれば、1974年に下院司法委員会が彼の弾劾を認めた後、リチャード・ニクソンがそうしたように、ドナルド・トランプは辞任するのではと想像したくなる。しかしトランプのように不安定な人物の場合、そうした状況で何が起きるか、誰にわかるだろう?
いずれにせよ、ドナルド・トランプは、1841年のウイリアム・ヘンリー・ハリソンの31日間(肺炎で死亡)と、1881年のジェームズ・A・ガーフィールドの199日(暗殺者の銃弾によるひどい苦しみと医療過誤で79日間過ごした後、死亡)の間のどこかの時点で、大統領の座を離れる可能性が高いように見える。最長でも、たとえ長引いたにせよ、トランプは、1850年のザカリー・テイラーのような(消化器系の病気による死亡)16カ月と5日間も持たない可能性が高そうだ。ペンス大統領は不可避に見える。

Ronald L. FeinmanはAssassinations, Threats, and the American Presidency: From Andrew Jackson to Barack Obama『暗殺、脅しとアメリカ大統領: アンドリュー・ジャクソンからバラク・オバマまで』(Rowman Littlefield Publishers、2015年8月刊)の著者。

記事原文のurl:http://www.rawstory.com/2017/02/presidential-historian-predicts-trumps-term-will-last-less-than-200-days-the-second-shortest-ever/
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ありそうなトランプ大統領追放シナリオ というEric ZUESS氏の2017年 1月10日記事と、政治的見解はかなり違っているが、副大統領が継ぐという趣旨は似ている。

話題の記念小学校、将来、日本中の学校をそうするというモデル校に違いない。庶民を恫喝するための共謀罪成立に向け政府が着々手を打っているのに、暗殺事件報道一辺倒の大本営広報部。庶民にとっては、要人暗殺より、政府や大本営広報部のほうが遥かに恐ろしい。

「日本会議の大阪の拠点にするのでは」――破格値の土地購入費に「航空機騒音指定区域」…不自然すぎる立地に豊中・木村真市議が懸念! 〜「極右学校法人の闇」第4弾 2017.2.15

2017年2月20日 (月)

フリン辞任とトランプ危機の背後にあるもの: 帝国主義政策を巡る激烈な闘争

2017年2月15日

月曜日夜の国家安全保障顧問マイケル・フリン辞任後、トランプ政権は、政治危機のエスカレーションに直面している。マスコミや既成政治支配層の一部からの、トランプ就任前のフリンによるロシアとの接触についての議会調査と、その接触についてトランプが何を知っていたのか、彼が承知し、彼の承認のもとでフリンが動いていたのかどうかについてトランプによる説明への要求が激しくなっている.

火曜日午後、FBIが、トランプ就任直後に、2016年12月29日の、彼とロシア駐米大使、セルゲイ・キスリャクとの電話会話に関し、フリンから事情を聴取したと報じられた。電話会話は国家安全保障局によって、密かに盗聴され、録音されていた。

ワシントン・ポストは、司法省当局者が、ホワイト・ハウス数週間前に、フリンがアメリカの対ロシア経済制裁について、大使と話し合っており、彼がその事実を繰り返し否定しているのは、ウソだと知らせたことを暴露した。フリン-キスリャク会話の書き起こしが、ワシントンの最高幹部層で回覧されていると報じられている。

大手商業マスコミでは、中央情報局(CIA)や国家安全保障局が提供する情報のパイプ役として働く一連の評論たちが、弾劾やニクソン風強制辞任の不安をかきたて初めている。

アメリカ支配層エリート内部で勃発した猛烈な闘争が、アメリカの政治世界で表面化した。戦いには、資本主義国家の主要組織-ホワイト・ハウス、CIA、NSA、FBIやペンタゴンや民主党と共和党両党の指導部が関与している。この闘争の中心にあるのは、外交政策を巡る対立と、軍-諜報機関内部における、トランプ政権の姿勢が、ロシアに対して十分に攻撃的なんではないという懸念だ。

反トランプ・キャンペーンは、新政権そのものに劣らず反動的で、軍国主義的だ。これには、ロシアとの政治的、軍事的対立のエスカレーションへと至り、全世界にとって壊滅的な影響を及ぼしかねない明確な論理がある。

このキャンペーンは、民主党の最優先事項だ。2016年大統領選挙最後の数ヶ月間、ヒラリー・クリントンは、自らをより信頼に足りるアメリカ帝国主義の擁護者として描きだしながらトランプを、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の政治的手先だとして再三攻撃した。

この問題は、選挙後の移行期間中に、再びトランプが驚きの当選をしたのは“ロシアによるハッキング”だったという主張で蒸し返された。トランプ就任後、議会民主党と上院共和党議員の一部が、CIAとペンタゴンの政治的先兵として動いて、この話題が再度蒸し返された。

民主党は、フリン辞任を“大統領は、それについて何を知っていて、それを一体いつ知ったのか?”というウォーターゲート時代の疑問を呈する好機として利用している。彼らの主張は、オバマ大統領がロシアに新たな経済制裁課した同じ日12月29日に、フリンがキスリャクに電話をかけた際、そうした経済制裁は、トランプがホワイト・ハウスに入れば、緩和されるか、完全に破棄されるというトランプの保証をフリンが伝えていたというものだ。

もっとも露骨な発言は、下院情報特別委員会メンバーであるカリフォルニア州選出のエリック・スウォルウェル下院議員による、トランプ側近が“ロシアと不適切な関係”をもっており、トランプ本人が関与していたという断言だ。“共和党が議会では多数派で、彼らの候補者がホワイト・ハウスを勝ち取ったかもしれないが、[民主党]は無力ではない”と彼は述べた。“我々にはアメリカ国民がいる。アメリカ国民は、大統領が、我々の仲間なのか、それともロシアの仲間なのかが分かるまで納得しない。”

もし彼が、ロシアとの戦争に備え、膨大な戦略的投資をした強力な国家機関、CIA、NSAとペンタゴンの大半が自分たちについているのだから、民主党は“無力ではない”と発言していれば、スウォルウェルは、より正直だったろう。

トランプの閣僚指名や、彼が反民主的で違憲の大統領令を発することとなると、民主党からは楽観性と消極性がにじみ出る。これは、トランプ政策のこうした要素に対する戦術的批判が何であれ、連中は二大政党が代表している大企業や金融界の支配層の権益を支持しているためだ。ところが、トランプがロシアの手先だと主張するマッカーシー風キャンペーンを展開する機会を与えられるやいなや、口角を泡立てて連中戦闘に飛び込んでゆくのだ。

議会共和党、民主党の一部が、トランプこの問題を巡って、距離をおいていることは重要だ。ジョン・マケインやリンジー・グラハムのような戦争屋だけではないのだ。上院共和党指導部は、ロシアによるアメリカ選挙への介入とされるものを調査し、調査対象に、フリンのロシアとの接触を含めることに同意している。

アメリカ帝国主義は、世界における、その経済的地位の衰退を、その比類のない世界的な軍事支配力を駆使することで相殺しよとしている。アメリカはアメリカの覇権という狙いに対する主要な障害は、拡大しつつある中国の経済的、軍事的な力と、世界で二番目に大きな核兵器備蓄保有国で、石油とガスの最大埋蔵量を持ち、ユーラシア大陸塊の中心という地理的にきわめて重要な場所を占めるロシアを依然、相当な勢力と見なしている。

トランプに反対する支配階級内の連中は、アメリカ外交政策は、プーチン政権の弱体化、あるいは打倒を目指して、ロシアを標的にすべきだと主張している。これは中国による挑戦に取り組むための前提条件と見なされている。

無数のワシントンのシンクタンクが、中東や、ウクライナや、バルト諸国や、サイバースペースにおけるロシア軍との軍事紛争シナリオを開発している。国家安全保障エリートは、ロシアとの直接対決政策の方向から離脱し、まずは中国に注力するため、当面、ロシアとの緊張を緩和したがっている、トランプが提示する路線に方向転換するのを受け入れる用意はできていない。

支配階級と、資本主義国家内での争いが荒れ狂う中でさえ、トランプ政権による民主的権利に対する攻撃が、未曾有の大衆抗議行動の発生を引き起こしている。何百万人もの労働者や若者、アメリカ生まれも、移民も、新政権に対する抗議行動に参加している。しかし、この広範な社会運動には、今のところ、労働者階級の独自の利益を主張する明確な政治綱領も、革命的社会主義指導部もない。

この状況は重大な危機だ。主に民主党を通して活動している諜報機関は、トランプに対する大衆抗議行動をハイジャックし、増大する社会的、経済的苦難の身代わりに、外部の敵とされるものを利用し、ロシア、中国いずれを標的にするにせよ、連中の戦争計画への支持へと方向転換させようと狙っている。

労働者と青年は、支配層エリートのどちらの派も支持してはならない。双方とも、アメリカ大企業の利益を守る為の新たな軍事的大虐殺を準備しているのだ。帝国主義戦争で、殺し殺されるため、アメリカの若者を派兵すべきか否かではなく、戦術と標的の順序を巡って連中は戦っているのだ。

トランプ政権に対する戦いは、巨大企業の双子政党である民主党や共和党からの完全な離別と、社会主義的、国際的綱領に基づく、自立した労働者の大規模な政治運動の構築の必要性を提起している。

Patrick Martin

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2017/02/15/pers-f15.html

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「都民ファースト」なるものの支持率が高いと大本営広報部。自分で持ち上げておいて、数値で示して自画自賛。東京都の人々の大半はワースト都民?悲しいことに幼なじみ数人、固い信者なので、「自分ファースト」に置き換えて聞き流している小生、連中の飲み会に行くのは止めた。

宗主国・属国首脳会談にあわせて、実にタイミング良く、花火をうちあげた彼氏、属国の共謀罪成立にあわせたかのような、暗殺を実行したのだろうか?実行宣言はしていない。暗殺で一番利益を得るのはだれだろう?

小生、偏屈で、我が身にふりかかる可能性がないものには関心がわかない。彼の異母兄ではないので、彼に暗殺される危険性皆無。大本営広報部の連日の暗殺の顛末呆導、まったく興味がおきない。たまたま電気洗脳箱で報じても、聞き流している。

一方、共謀罪、治安維持法、小林多喜二や鶴彬のような悲惨な例があり、殺されなくとも、投獄されたり、職場を追われたりした人々の数は膨大だ。理不尽な侵略戦争に、無理やり属国民を引きずり込むため、宗主国支配者の支持のもと、属国傀儡が推進している法制度であることは自明の理。北の独裁者より、自国の独裁者、官僚、大本営広報部こそ、恐ろしいと本気で思う。

日本人に手伝えと言われたと自供しているという。一番利益を得る連中はだれかを考えると、それも、あながち真っ赤なウソとも言い難いような気がしてくる。

共謀罪論議を、話題から消すのに、実に好都合なタイミング。彼はライバルを殲滅でき、属国支配層は共謀罪を制定して、属国侵略戦争国家を完成できる。ウイン・ウイン関係。

2017年2月19日 (日)

危険な岐路: 新冷戦はモスクワが従うまで続くと、トランプがロシアに宣戦布告

Eric Zuesse
Global Research 2017年2月16日
2017年2月14日

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ロシアにとって(そして圧倒的大多数の国民にとって)屈辱的であるのみならず、倫理にもひどく反する二つの条件に、ロシアが応じるまで、アメリカとロシア間の新冷戦が継続することを、2月14日に明らかにした

この二つの条件のうちの一つは、事実上、不可能であり、たとえそうでないにせよ、倫理に反する。ウラジーミル・プーチンが、このいずれかの条件に同意すれば、彼が再三語っている基本的視点に反するのみならず、まさにこの見解を絶えず主張している彼を尊敬しているのだから、圧倒的多数のロシア人が彼を軽蔑することになるだろう。彼はそれから全くぶれていないのだ。この見解に対するロシア人の支持は、事実上、普遍的だ。(この記事で、この見解を解説したい。)

トランプ要求その1: “クリミア返還”

この二つの問題の一つ目に対するロシアの見方を理解(この件に関するトランプの姿勢が、びっくり仰天するほど愚かなこと理解したいと願っているあらゆるアメリカ人は理解する必要がある)するため、クリミア問題(何百年間もロシアの一部だったが、1954年に、ソ連独裁者によって、突如恣意的にウクライナに引き渡され - 今、アメリカがクリミアに関する彼の命令を回復すべきだと要求している)、以下の二本のビデオはどなたも必見のもので、ここで見られる。

下記の一つ目のビデオ(これは実に重要なので、このビデオを、あるいはその少なくとも最初の12分間をご覧になっていない方は、決してこれ以上お読みにならぬよう)は、2014年2月に、民主的に選ばれたウクライナ大統領を暴力的に打倒したアメリカが画策したクーデターが‘民主革命’という隠れ蓑の下、実際には、そういうものとは程遠く、そうではなく、2011年以前にアメリカ国務省によって立案されたのが起源で、2013年3月1日以前から、キエフのアメリカ大使館内で組織されて始まったのだ。‘民間CIA’企業、ストラトフォーのトップは、正しくも“史上最も露骨なクーデター”と呼んでいる。

 

下記の二つ目のビデオは、2014年2月20日のウクライナ・クーデター中にキエフから逃げたクリミア住民虐殺の映像で、この虐殺は、オバマ政権が雇ったファシストが、逃れた人々を追い込んで、その多くを殺害した町の名から“ケルソンの虐殺”としてすぐさまクリミア内で有名になった。ウクライナでのクーデター中に起きたこの出来事は、アメリカが据えた政権による、彼らに対する強烈な憎悪に対する恐怖をクリミア住民の間で、大いにかき立てた。

クリミア問題については、2014年3月16日(クリミア住民の75%が支持投票していたウクライナ大統領をオバマが打倒してから、わずか数週間後)の住民投票前と後の両方で、クリミア住民に対して行われた欧米が資金を出したあらゆる世論調査は、クリミア住民の90%以上が、クリミアが再びロシアの一部へと戻ることを支持していることを示していた。それについては、クリミア住民の間で50%より遥かに高い支持があることに、誰もが同意する。しかも、バラク・オバマでさえ、スペインのカタロニア人や、イギリスのスコットランド人に関する場合には、住民の自決権という基本的な普遍的原理を受け入れており、彼も他の誰も、そこでも、また一般的にも、それは適用されるが、特にこうした状況の下、クリミアはそうではないという説得力ある主張ができずにいる。

だから、一番目の問題、クリミア住民に、オバマがウクライナに樹立したfクーデター政権に服従するようプーチンが強制するように、というトランプの要求は実現しないだろうし、実現するべきではない。オバマは、プーチンによる“領土征服” (クリミアのこと)と彼が呼ぶものを理由に、ロシアに経済制裁を課したが、ロシア人は、とりわけ、60年前にその一部となった国(ウクライナ)が、三週間前に、クリミア住民が嫌っている外国勢力による残虐なクーデターによって征服された後、歴史的、文化的に、ウクライナではなく、ロシアの一部だったもののために断固立ち上がり、人々の自決の権利を守っている。プーチンはトランプの要求を受け入れないだろう。彼は受け入れるべきでもない。

トランプ要求その2: ウクライナ対ドンバス戦争を終わらせること

クリミアが分離して間もなく、オバマが据えたウクライナ政権から分離したが、(クリミア住民が再度ロシア人となるのを認めたがゆえに、経済制裁などによって、ひどい苦難を味わった)プーチンが、ロシア連邦への参入を認めず、現地の約500万人の住民全員が国境を越え、ロシアへ逃げずにすむよう、彼らを守る軍事的、人道的支援だけ申し出た、旧ドンバス地域に対する、ウクライナ侵略を称して“ウクライナにおける武力行使の段階的縮小”というのが、2月14日の要求の言いぐさだ。

クーデターでオバマが違法に置き換えたウクライナ大統領に、ドンバスでは90%が投票していた

フランソワ・オランド、アンゲラ・メルケルとウラジーミル・プーチンが(オバマが引き起こした)ウクライナとドンバス間の戦争の最悪段階を終わらせるため、ミンスク交渉と協定をアレンジしたのだ。そして、ミンスク-2合意の重要な部分は、ウクライナ内で、新たなウクライナ連邦の一部として、ドンバス住民に、ウクライナは、ある種最小限の自治を認めるというものだったが、ウクライナ・ラーダ、つまり国会はそうすることを拒否し、それを認めるのを拒否し、アメリカ合州国も、その同盟諸国も、彼らの敵による拒否を、ドンバス住民のせいにし、継続中の戦争をドンバス住民のせいにし、トランプ報道官が、2月14日に言及したように、“ウクライナ国内の紛争”で、ドンバスが、オランド、メルケルとプーチンが仲裁し、ウクライナもドンバスも調印した和平協定の基本的条項遵守すら拒否しているウクライナ政権によって絶えず攻撃されているのに、彼はドンバスに戦争を止めるよう要求しているのだ。(注記: オランドとメルケルさえも、ノーベル平和賞受賞者オバマに、和平へのこの取り組みに参加させることさえできなかった。)

被害者に戦うのを止めろという類の要求は実現不能だ。それは、第二次世界大戦中に、アメリカ合州国、ソ連とイギリスを、ドイツ、イタリアと日本に対する彼らの戦いを非難するようなものだ。これはばかげた要求であり、こんなものを真に受けるのは、ばかげただまされやすい信奉者だけだ。

2月14日、記者会見でのトランプ大統領のショーン・スパイサー報道官の言い方はこうだった。

トランプ大統領は、ロシア政府が、ウクライナ国内での武力行使を段階的に縮小し、クリミアを返還するよう期待していることを非常に明確にした。同時に、彼はロシアとうまくやれることを全面的に期待し、そう望んでいる。

一部の人々にとって、この組み合わせは馬鹿らしく聞こえる。いずれにせよ、これは単に非現実的なだけではない。全く不可能なのだ。これはロシアとの和平を求めるものではない。逆に、対ロシア戦争を再主張しているのだ。

スパイサーは明らかに誇らしげにこう述べた。“大統領は信じがたいほどロシアに厳しい。”

記者会見である記者が、この発言に異議を申し立てた。“私には、そして多くのアメリカ人にとっても、この大統領はロシアに対して厳しい態度ではなかったように思えます” スパイサーは、アメリカ新国連大使ニッキー・ヘイリーが行った発言に言及して答えた。2月2日、彼女は国連でこう発言していた。

ロシアの侵略的行動を非難しなければなりません。… アメリカ合州国は、ロシアの占領と軍事介入のもとで、ほぼ三年間苦難を味わっているウクライナ国民の側に立っています。ロシアと、彼らが支持している分離主義者連中が、ウクライナの主権と領土的一体性を尊重するまで、この危機は続きます。… アメリカ合州国は、ロシアのクリミア占領を非難し、即時終了を要求し続けます。クリミアは、ウクライナの一部です。ロシアが半島の支配をウクライナに返還するまで、クリミアに関するわが国の経済制裁は継続します。

そして、スパイサーはこう言った。

ロシアに関しては、ヘイリー大使が国連で行った発言は実に説得力があり、明快で

質問    それはヘイリー大使発言であり、大統領発言ではありません。

スパイサー:  彼女は大統領の代理として発言しています。私は大統領代理として発言しています。我々全員、この政権内の人間です。ですから、この政権内のあらゆる行動と発言は、この大統領のための、大統領の指示によるものです。ですから、大統領の言質についてこれ以上明確にしようがないと思います。

トランプは、アメリカ有権者に、そうした類のことを全く期待させていなかったにもかかわらず、オバマの対ロシア戦争を継続している。一部の有権者(筆者もその一人だ)は、トランプが、彼の敵ヒラリー・クリントンに、この点で大いに反対すると主張していたので彼に投票していた。 彼は有権者に対して、あらゆることの中で最も重要なことについて、公然とウソをついたのだ。彼は勝つために、欺瞞という心理的強制を活用したのだ。だが、彼は実際には、ウクライナにおけるオバマ・クーデターに全く反対ではなかったことがわかったのだ。おそらく、彼は余りに愚かで、彼はあれがクーデターと知らず、‘民主革命’(作り話)だと思い込んでいるのだ。彼はとてつもなく愚かで、オバマのウソを信じているのかも知れない。

少なくともヒラリー・クリントンは、オバマ政策を(もっぱら悪い方向に)継続するつもりであることをはっきりさせる程度には正直だった。しかし彼女は余りに愚かで、ドナルド・トランプを打ち破ることすらできなかった。

ともあれ、こうしたこと全て、今さらどうにもならないことだ。

当初トランプが‘国防’予算増加に関して、アメリカ支配層(何よりも軍産複合体のオーナー連中)を満足させることを狙う唯一の方法は、イランに対する軍事力増強ということになりそうに見えた。しかし今やその戦争は、第二バイオリンと化する可能性がある。

トランプ大統領が針路を転換し、公式に述べ、ウクライナとシリアにおける彼の前任者による背信の明らかな証拠を、アメリカ人と世界に提示しない限り、ロシアとの戦争はエスカレートするばかりだ。彼が本当のことを言って、アメリカとロシア間の問題は、プーチンではなく、オバマが原因だということを認めない限り、第三次世界大戦へとエスカレートし続ける。その理由はこうだ。

ウクライナであれ、シリアであれ、伝統的な熱い戦争にエスカレートした場合、その伝統的な戦争で分の悪い側には、敗北を防ぐ方法は一つしかない。相手に対する、突然の予告無しの核による全面的電撃攻撃だ。核戦争は30分も続かない。相手側の一部の報復ミサイルや爆弾を攻撃してしまっているので、先制攻撃した側の損害はより少ない。もしドナルド・トランプが聡明だったなら、彼はこれを知っているだろうと思えよう。彼はそうではないので、彼は知らないのだ。彼は着実に相互核絶滅へと向かっている。おそらく、ヒラリー・クリントン同様、彼は、アメリカには‘核の優位’があり、それゆえ‘勝利する’と信じているのだ。

これは愚劣でもある。だが、もっとひどいことに、邪悪だ。しかも、私がここで言っているのは、ロシアやプーチンのことではない。本当の問題、核の冬を避けるという究極的な問題の対象は、わが国なのだ。アメリカ合州国だ。これを‘民主主義’と呼ぶのは単なるウソではない。悪い冗談だ。この邪悪で責められるべきは、アメリカ国民ではない。アメリカ支配層が責められるべきだ。一握りの支配集団が狂っているのだ。

トランプは‘泥沼をきれいにする’と約束した。ところが彼はワニに餌をやっている。

歴史研究家Eric Zuesseは作家で、最新刊は、They’re Not Even Close: The Democratic vs. Republican Economic Records、1910-2010、および CHRIST’S VENTRILOQUISTS: The Event that Created Christianity「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出した出来事」。

本記事の元はGlobal Researchである。
著作権Eric Zuesse, Global Research, 2017

記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/dangerous-crossroads-trump-declares-war-on-russia-new-cold-war-will-continue-until-moscow-complies/5575049

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記事中の二本のビデオ、Firefoxでは見えない。Internet Explorer, Opera, Safariでは見え る。「Operaでは見える」というコメントを頂いて、それぞれで確認する必要性を思い出した。

大本営広報部、この記事の話題に触れているのだろうか?そして、この問題に触れているのだろうか?

安倍国会答弁で安倍小学校の事件化は必須 2月19日 植草一秀の『知られざる真実』

「日本人としての誇りをもたせる」――朱色の木造風校舎は建設道半ば 今春の開校に間に合うのか? 自由法曹団による「瑞穂の國記念小學院」‎現地視察~「極右学校法人の闇」第3弾 2017.2.15

子供に教育勅語を読ませるカルトに、

戦争への道は、言論の排斥で作られていった!
蓑田胸喜をめぐる芝居『原理日本』を連想する。

この記事も、大いに同意。

政権交代不可能の「暗い・狡い・曖昧」民進党 2月17日 植草一秀の『知られざる真実』

2017年2月18日 (土)

トランプ大統領: 安らかに眠りたまえ

2017年2月16日
Paul Craig Roberts

ドナルド・トランプは大統領の権力を過信していたのだろうか? 答えはイエスだ。

トランプの主席顧問スティーブン・バノンは政治的に未熟だろうか? 答えはイエスだ。

この二つの質問に対する答えから、トランプは、彼の手には負えない状況にあり、大きな代償を支払うことになるだろうと結論できる。

代償は一体どれほど大きなものなのだろう?

ニューヨーク・タイムズは、アメリカ“諜報機関が、トランプ選挙運動が、選挙に影響を与えるためのハッキングや他の取り組みで、ロシア人と結託していたかどうかを知ろうとしている”と報じている。

元国家安全保障局(NSA)スパイのジョン・シンドラーは、同僚の諜報機関幹部が、陰の政府が、トランプに対する核戦争を宣言したので“彼は牢獄で死ぬことになるだろう。”という電子メールを彼に送ってきたと、ツイッターで書いた。https://sputniknews.com/us/201702151050723578-intelligence-community-war-trump/

そうなる可能性はある。

第二次世界大戦の終わりに、軍安保複合体は、戦争と戦争の脅威に由来する利益の流れと権限は、平和の時代のために手放すには、あまりに巨大すぎると判断した。この複合体は、弱く未熟なトルーマン大統領を操って、ソ連とのいわれのない冷戦へと進ませた。ウソが作り出された。騙されやすいアメリカ国民は、国際共産主義は世界征服を目指していると信じたのだ。スターリンは、レオン・トロツキーや世界革命を信じているあらゆる共産主義者を粛清し、殺害したのだから、このウソは見え透いていた。 スターリンは“一国社会主義”を宣言していたのだ。

どこに行けば、おいしい生活ができるか知っている学識経験者連中は、この欺瞞に協力し、貢献した。1961年には、軍安保複合体の全体的な権力が、第二次世界大戦中ドイツが占領していた西ヨーロッパへのアメリカ進撃の責任者だった五つ星将軍、アイゼンハワー大統領に明らかになった。この軍安保複合体(アイゼンハワーは軍産複合体と呼んだ)が行使する私的権力に、アイゼンハワーは大いに不安に感じ、アメリカ国民に向けた退任演説で、軍産複合体が民主主義を破壊するのを、我々は防がねばならないと語ったのだ。

“最後の世界戦争までアメリカには軍事産業が全くありませんでした。アメリカの鋤製造者は、時間をかければ、また求められれば剣も作ることができました。しかし今、もはや私たちは、国家防衛の緊急事態において即席の対応という危険を冒すことはできません。私たちは巨大な規模の恒常的な軍事産業を創設せざるを得ませんでした。これに加えて、350万人の男女が防衛部門に直接雇用されています。私たちは、アメリカのあらゆる会社の純収入よりも多いお金を毎年軍事に費やします。

“この巨大な軍事機構と、巨大な兵器産業の結合は、アメリカにとって新しい経験です。全ての都市、全ての州議会議事堂、全ての連邦政府部局が、経済的、政治的、更には精神的な、全体的影響を受けています。この発展が是非とも必要であることを私たちは認識しています。しかし、私たちは、このことが持つ深刻な影響について理解し損なってはなりません。私たちの労苦、資源、そして日々の糧、すべてが関わっています。私たちの社会の構造そのものもです。

“政府の委員会等において、意図的なものであれ、そうでないものであれ、軍産複合体が不当な影響力を獲得することを阻止しなければなりません。見当違いな権力が出現して壊滅的になる可能性は存在しており、根強く存在し続けるでしょう。

“我々は、この軍産複合体の影響力が、自由や民主主義的プロセスを危険にさらすことを許してはなりません。我々は何ごとも当然のこととして受け取ってはなりません。警戒心を持ち見識ある市民のみが、安全と自由が共に維持・発展できるよう、巨大な軍産複合体制を、平和的な手段と目的に適合するように強いることができるのです。”

アイゼンハワーの警告は的を射ていた。ところが、これはアメリカには存在しない“用心深く見識ある市民”を前提としていた。アメリカ国民は大部分が無頓着で、左から右にいたるあらゆるイデオロギーの連中は自滅に向かっている。

アメリカを支配している軍安保複合体とウオール街エリートの宣伝屋として機能している印刷メディアも、TVメディアも、アメリカ国民が、でっちあげられた情報以外何も知らずにいるよう尽力している。TVをつけて、新聞を読むあらゆる家庭や個人は、既成支配体制を構成するごく一握りのために役立つ、でっち上げられたウソの現実の中で暮らすよう洗脳されている。

トランプは、この既成支配体制は一介のアメリカ大統領より強力だという自覚無しに、それに挑戦したのだ。

今起きているのはこういうことだ。オバマ大統領二期目に、売女マスコミを駆使した軍安保複合体とネオコンによってロシアとロシア大統領が悪魔に仕立てられている。ロシアとの接触や、アメリカ・ロシア間のでっちあげられた緊張に疑問を投じる記事を、可能性として反逆罪のような、疑わしい行動にまで結びつけることができる、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNN、MSNBCや、その他諸々の管理された売女マスコミの実力によって、こうした悪魔扱いは促進されている。トランプと彼の顧問連中はあまりに不慣れで、フリン解任の結果、トランプ大統領とロシア諜報機関とのつながりというこのでっち上げを認めてしまうことになるのに考えが及ばなかった。

ニクソン大統領をそしり、辞任を強いるのに使った質問を、今や売女マスコミと売女政治家連中がしている。“大統領は何を知っていたのか、そしていつ知ったのか?”トランプは、フリン中将がロシア大使に話したのを、トランプが知ったと言っているより何週間も前に知っていたのか? トランプが彼にそうするように言ったので、フリンは、ロシア人に、口には出せないようなことを言ったのだろうか?

偽ニュース提供業者-ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNN、MSNBCやその他諸々の卑劣なウソつきどもは、トランプ大統領を反逆罪のクモの巣にからめとるために、無責任なあてこすりを駆使しているのだろうか。ニューヨーク・タイムズの見出しはこうだ。“トランプ選挙運動側近は、ロシア諜報機関と再三接触していた。”我々が目にしているのは陰の政府による、トランプを弾劾にはめるため、連中の売女マスコミを駆使したキャンペーンだ。

2016年大統領選挙結果を覆すべく作業している連中は、その成功を確信していて、公式に、民主主義よりクーデターを好むと宣言している。シオニスト・ネオコン戦争屋ビル・クリストルは、民主的に選ばれたトランプ大統領よりも、陰の政府クーデターを選ぶと発言している。http://www.breitbart.com/big-government/2017/02/15/bill-kristol-backs-deep-state-president-trump-republican-government/

リベラル/進歩派/左翼は、“人種差別主義者、女性蔑視、同性愛蔑視の”労働者階級“哀れなトランプ支持者”-トランプに投票した人々に反対して、1パーセントと組んでいる。無知な音楽家モービーでさえ、陰の政府クーデターの無知なたわごとをフェースブックに投稿せざるを得ない気持ちになっている。
“1-トランプに関するロシア・ファイルは本物だ。100%本物だ。彼はロシア人売春婦に尿をかけられたことだけでなく、遥かに極悪なことで、ロシア政府に恐喝されている。
2-トランプ政権はロシア政府と結託している、初日からそうなのだ。” https://www.facebook.com/mobymusic/photos/a.126687636107.103603.6028461107/10155085110276108/?type=3&theater

今やトランプは“ロシア諜報機関との連携”なるものに汚染しているとされ、愚かな共和党は、両者の広範な接触に関する新たな報道が明らかになるにつれ、党内での政治危機の感覚が高まっていることを示して、ブルームバーグによれば“水曜日 [2月15日]、ドナルド・トランプ大統領のチームと、ロシア諜報機関工作員との接触をより詳細に調べるという民主党による要求に加わった。” https://www.bloomberg.com/politics/articles/2017-02-14/flynn-s-ouster-sparks-new-gop-calls-for-wider-russia-probe?cmpid=BBD021517_BIZ

もちろん、そのような接触の証拠は皆無だが、トランプを追い落としキャンペーンに、事実は無関係なのだ。

トランプがフリンを首にしたことは、アメリカ大統領は、ロシア諜報機関に屈服させられているという、連中のインチキな非難を証明するものとして、彼の敵によって利用されている。失敗に気がついて、ホワイト・ハウスは、大失敗を相殺しようとして、フリンは、何か違法なことをしたため、あるいはロシア諜報機関とつながりをもっていたためではなく、トランプが彼に対する信頼感を失ったために、首にされたと主張している。トランプの敵は誰一人耳をかそうとしていない。そしてCIAは、売女マスコミに、偽ニュースを供給し続けている。

そもそもの始めに、トランプは、彼を支持し、彼の計画のために働く閣僚を選ぶ経験と知識に欠けていると私は警告した。トランプは、彼が頼れるはずだった一人を首にしたのだ。もっとも明白な結論は、トランプはもうおしまいということだ。

トランプを通して、政府を自らの支配下に取り戻そうというアメリカ国民の取り組みは、陰の政府によって潰された。

革命が、アメリカ国民がアメリカを取り戻すことができる唯一の方法だというクリス・ヘッジズの主張は、信憑性を増しつつある。

軍隊を集める前に、彼が宣戦布告をした際、トランプの破滅を決定した発言はこういうものだ。

“国民を犠牲にして、連中の威信と権力を保持するために、既存支配体制はあらゆる手をつくし、あらゆるウソをつく。ワシントンの既成支配体制や、それに資金を供給している金融大企業や、マスコミ大企業は、たった一つの理由のために存在している。自らを守り、肥え太るためだ。これは、我々国民が、わが国政府の支配を取り戻せるか否かを決めるアメリカ文明史上の岐路だ。我々を阻止すべく、あらゆることを試みている既成支配勢力は、この国を骨の髄までしゃぶった、アメリカの酷い貿易協定や、膨大な違法移民や、経済・外交政策の責任を負っている、まさに同じ集団なのだ。

“既成支配勢力が、メキシコや中国や世界中の他の国々に逃げ、わが国の工場や雇用の破壊をもたらしたのだ。労働者階級を収奪し、アメリカの富をはぎ取り、その金をごくわずかな大企業や政治組織の懐に入れるという経済的判断をした責任があるのはグローバルな権力構造だ。”

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/02/16/trump-presidency-rip/
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大本営広報部、「森友学園」国有地払い下げ問題はほとんどあつかわず、もっぱら暗殺事件を熱心に報じている。

属国を支配している軍安保複合体とウオール街エリートの宣伝屋として機能している印刷メディアも、TVメディアも、属国国民が、でっちあげられた情報以外何も知らずにいるよう尽力している。TVをつけて、新聞を読むあらゆる家庭や個人は、既成支配体制を構成するごく一握りのために役立つ、でっち上げられたウソの現実の中で暮らすよう洗脳されている。

そういう尽力の結果が、共謀罪強行採決を支持する不思議な国民を産み出している。Paul Craig Roberts氏によるアメリカ国民の実態記述を読むたびに、いやいや、それを上回る人々がいますよ、といいたくなる。『母 小林多喜二の母の物語』の時代、再来。

アイゼンハワーの警告は的を射ていた。ところが、これは日本には存在しない“用心深く見識ある市民”を前提としていた。日本国民は大部分が無頓着で、左から右にいたるあらゆるイデオロギーの連中は自滅に向かっている。

今日の日刊IWJガイドの一部を引用させていただこう。

 昨日、政府は共謀罪の対象犯罪を676から277にまで絞り込む方針を固めたと報じられました。政府はこれまで長期4年以上の懲役を定める罪をすべて共謀罪の対象とする勢いでしたが、慎重な姿勢を示す公明党への配慮で対象を絞ったかたちです。公明党は「見事にブレーキ役を果たしました!」とドヤ顔できますし、政府としても「これで国民の懸念は払拭できた」とアピールできるということでしょう。とんだ茶番です。

※対象犯罪277に絞り込みへ 「共謀罪」法案、政府方針(朝日新聞)
http://digital.asahi.com/articles/ASK2K33DLK2KUTIL00F.html

 時事通信の2月の世論調査では、共謀罪法案を今国会に提出する政府方針について賛成が66.8%、反対はわずか15.6%だったそうです。安倍総理らが、「今回提出を予定してるのは『テロ等準備罪』だもん!共謀罪じゃないもん!」と連呼し続けていることも功を奏したのでしょう。

※退位、57%が恒久制度化=「共謀罪」に賛成6割超-時事世論調査(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017021700907&g=soc

 なぜ政府は共謀罪の成立を急ぐのでしょうか。

 共謀罪の導入で市民の「表現の自由」は大きく侵害されるおそれがあります。元外務省国際情報局長の孫崎享さんは、米軍の「下請け」として日本が戦争に参画するため、安倍政権は自由・民主主義体制の破壊を行おうとしているとの見方を示しています。昨日、孫崎さんが登壇した超党派の勉強会の模様を記事化しましたので、ぜひご覧ください。

※2017/02/16 「戦争を実施する国では自由と民主主義体制は維持できない」~安倍政権が「共謀罪」で民主主義を壊す「理由」を元外務省国際情報局長の孫崎享氏が解説!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/363648

 「外では戦争し、内では反対運動を取り締まる国になる可能性がある」

 そう危機感を示すのは落合洋司弁護士です。岩上さんのインタビューにこたえた落合弁護士は、共謀罪が拡大解釈され、市民運動への弾圧に濫用される危険性を指摘しています。

※2017/01/24 「市民運動、労働組合…いくらでも対象は広がる」~元東京地検公安部の落合洋司弁護士が岩上安身のインタビューで「共謀罪」に警鐘!「組織犯罪には現行法で対処可能」と断言! 2017.1.24
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/358757

 では実際に市民がどのように弾圧されるのか、という話ですが、それは「市民派選挙の神様」と呼ばれる斎藤まさしさんが現在置かれている窮状をご覧いただくのが一番わかりやすいかもしれません。2015年4月の静岡市長選に関して「未必の故意による黙示的共謀」が認定され、一審で懲役2年、執行猶予5年の判決が言い渡された斎藤さんが受けた想像を絶する不当な捜査・裁判の実態とは…?

 前回のインタビューをおさらいしていただいたうえで、ぜひ本日15:30から行われる、岩上安身による平岡秀夫弁護士(元法務大臣)、斎藤まさし氏(市民の党代表)インタビュー 後編をご覧ください!海渡雄一弁護士もビデオで登場します!!

 また、以下は前編です。ぜひ、この機会にあわせて御覧下さい!

※2017/01/30「未必の故意による黙示的共謀」って何?? 共謀罪成立前にしてこの法の濫用! 共謀罪後はどうなる?? 岩上安身による 平岡秀夫・元法務大臣 市民の党・斎藤まさし代表 インタビュー!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/360211

2017年2月17日 (金)

フリンの首が飛んだ。次はトランプの番?


Finian CUNNINGHAM
2017年2月15日
Strategic Culture Foundation

トランプが大統領に就任してわずか三週間で、トランプの国家安全保障顧問マイケル・フリンの辞任を強いて、ワシントン既成支配体制のトランプの政敵は大成功を収めた。国家諜報機関や、彼らと足並みを揃える大手商業マスコミを含む既成支配体制は、昨年11月の彼の衝撃的当選以来、ずっとトランプを追っていたのだ。

これはトランプ・ホワイト・ハウス中枢に対する途方もない大打撃だ。今週のアメリカ・マスコミのフリン辞任報道には、紛れもない勝利に酔いしれる雰囲気がある。水槽中のサメのように、連中は血の匂いを嗅ぎつけるのだ。

トランプ政権への移行期間中に、ロシアのセルゲイ・キスリャク大使と彼がした電話会話に関して、彼は真実を話していなかったという、ワシントン・ポストや他紙の報道の後、フリンは辞任せざるを得なかった。フリンは、12月末に電話したことは否定しなかったが、アメリカの対ロシア経済制裁という話題は話し合わなかったと主張していた。

アメリカ・マスコミが、フリンに対するしつこい非難を決してあきらめなかったことは、この件に関する彼らの確信が諜報機関筋に裏書きされていたのを示している。言い方を変えれば、これは個人情報の違法な開示に基づく、諜報機関が率いた魔女狩りだ。

経済制裁については話し合わず、ロシア人外交官との会話は、季節の挨拶と、トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との間で予定されていた電話会談、最終的に1月28日に行われた電話会談の準備に関するものだけだったとフリンはマイク・ペンス副大統領に報告していた。

電話会話にはなんら厄介なことはなかったとマスコミに語り、ペンスは当初フリンを擁護していた。

法律的に、民間のアメリカ国民として - フリンは、トランプが1月10日に大統領に就任するまでの当時の段階では - 仮定の公式的立場で、外国と政府政策に関して話すことは許されていない。

FBI捜査と、ワシントン・ポストが引用したアメリカ高官たちによれば、どうやらフリンとキスリャク大使の間で、経済制裁の件が話し合われていたらしいことが判明した。ロシアは電話会話の内容についてコメントすることを拒否した。

フリンは一体何を考えていたのだろう? オバマ政権の一時期、彼は16のアメリカ・スパイ組織の一つ国防情報局の局長を務めたことかあるのだ。アメリカの国家監視の実態に関する彼の専門知識からして、フリンが、ワシントン駐在のロシア人外交幹部と、彼の当時の権限を越える国家安全保障問題に関する電話会話をするほど無謀だったとは信じがたいことだ。

特に、ロシアとのつながりとされるものを巡って、既にマスコミによる厳重な監視下にあったドナルド・トランプ新大統領の国家安全保障顧問の職に、フリンが間もなく就任することを考えれば。

フリンは、電話会話をしたのみならず、オバマが課したアメリカによる経済制裁が、トランプ政権下でいかにして解除されるかという話題を切り出した可能性も高い。フリンが、アメリカ諜報機関に一言一句録音されていることを理解していなかったのは、彼にしては信じがたい判断の誤りだ。

問題の電話会話は、ロシア人ハッカー大統領選挙に干渉したとされることを巡り、オバマが、何人かのロシア人外交官を国外追放した時期に起きていた。ロシアが国家としてハッキングを支援したというこの主張は決して証明されていない。

ワシントン・ポストの報道の仕方は、ロシア ウラジーミル・プーチン大統領が、12月29日に発表されたオバマの経済制裁には応酬せずに、アメリカ人の楽しいクリスマスを祈ると答えることを選んだことに、アメリカ諜報機関当局者は驚愕したというものだ。

ボスト紙によれば、アメリカ諜報機関は、プーチンが予想外の対応をしたことの理由を調べ始め、彼らの推定上の答えを、フリンのロシア大使への電話で発見したのだ。フリンは、ロシア外交官に、退任するオバマ政権が課した新経済制裁は、トランプによって、しかるべく解除されることを示唆したとされている。

しかし、アメリカ諜報機関工作員たちは、遡及的なスパイの無作為探索などをするわけはなく、連中はフリンにずっと狙いを定めていて、ロシア大使とのこの電話会話を盗聴したという方が、ずっとありそうな筋だ。

今週、ワシントン・ポストが当てつけがましく書いている通り、オバマの経済制裁に対して報復的行動をとらないことで、トランプはすぐさまプーチンを称賛した。

ここで推論されているのは、トランプの指示の下で、フリンはロシア人との仲介者として行動していたということだ。

“現役幹部も元幹部も、ペンス[副大統領]は欺かれていたと考えてはいるが、フリンとロシア大使とのやりとり内容に関しては、移行チームの他の連中がそれを知っている中で、フリンが動いていた可能性も排除できない”とワシントン・ポストは報じている。

トランプ政権は、既に、国務省、外交政策シンクタンク、諜報-軍事機構や、彼らと足並みを揃える商業マスコミなどのワシントン既成支配体制の間で深刻な困惑を引き起こしてきた。11月8日の当選前と後における、ロシアとの関係を正常化するというトランプの公然の意図は、モスクワに対する敵意を醸成するというワシントン長年の地政学的-戦略的な狙いと対立していた。

トランプ・ホワイト・ハウスにおける、ロシアとの関係正常化の有力な唱導者だったマイケル・フリンが辞任に追い込まれたことは、トランプに対して、ロシアを巡って、アメリカの陰の政府工作員が与えた、大いに期待されていた打撃と見なすことが可能だ。

フリンが、おとり捜査にはめられたことにほとんど疑いの余地はない。唯一不思議なのは、彼がまんまとわなにはまったように見えることだ。

フリンの頭皮を剥いだトランプの政敵は、それでは止めない可能性が極めて高い。めざす本山はトランプ本人、敵国と共謀したかどでの弾劾で彼を大統領の座から追放することだ。

アメリカ・マスコミのフリンを巡る大宣伝は違法にロシア人と、接触する許可を彼に与えた人物としてトランプを糾弾する運動の始まりにすぎない。

特に彼の“友好的”ロシア政策が、モスクワへの敵意で夢中になっている権力者たちと食い違っていることを巡り、トランプに対するアメリカ陰の政府によるソフトなクーデターは、だいぶ前から憶測されていた。トランプ政権内部の無能さが、彼をホワイト・ハウスから追い出すという狙いのまさに思うつぼになっているように見える。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/02/15/flynn-head-rolls-trump-next.html
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大本営広報部が熱心報道することがらと中身と、小生の個人的関心、一致することはほとんどない。
最近では、その一つは「瑞穂の國記念小學院」と「塚本幼稚園」。大本営広報部、真面目に報じているのだろうか?
もう一つは、福島原発事故後の、母子避難問題。来月いっぱいで住宅の無償提供は打ち切られる。横浜イジメ問題は多少報じるが、そのもとになっている避難問題を、本格的に報じている大本営広報部、皆無なのでは?

そこで今朝の日刊IWJガイドの一部を引用させていただこう。

さて皆さん、昨日配信した岩上さんによる『ルポ母子避難――消されゆく原発事故被害者』(岩波新書)著者・吉田千亜さんインタビューはご覧いただけたでしょうか?日中の午後2時からという時間帯だったため、見逃した方もいらっしゃるかもしれません。動画は早速アップしたので、後ほどURLをご紹介します。

 初めてお会いした吉田さんは、すらりと長身で口調がとても穏やかな、とても素敵なお方でした。福島第一原発事故以降、避難を続ける方々から相談を受けることもあるそうですが、確かにずっと話をしていたくなるような、包み込むような雰囲気をお持ちの方でした。

 「うちの管轄じゃない」「そっちでやれ」と、国や県、自治体同士が責任を押しつけ合ってきた原発事故被害者支援。国も行政も自分たち避難者を親身になって助けてくれようとはしない、この6年の間、「自主避難者」の方たちはどれだけその冷たさを痛感してきたでしょうか。

 健康被害から守るために避難させた子供が、避難先でいじめを受けたという話もあちこちで聞きます。横浜では150万円という多額の恐喝事件も発生しました。原発事故がなければ起きなかったいじめ、差別、離婚、生活困窮や病気。理不尽な我慢を強いられ、それでも、なんとか奮闘してきた避難者の実態と本音を、記者として、また時には支援者として丁寧に聞き取り取材をしてきた吉田さん。昨日のインタビューでは、避難者の皆さんが置かれた厳しい現状を丁寧にお話してくださいました。

※2017.1.26「賠償金あるだろ」という脅し文句――被害生徒が最も訴えたかった言葉を教育委員会が「墨塗り」に! 150万円もの「恐喝」をいじめ認定すらしない横浜市と教育委員会に怒りの声!!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/359083

 来月いっぱいで打ち切られる住宅の無償提供。政府の狙いは、自己決定権の理念を掲げる子ども被災者支援法の法理念を歪め、福島への帰還を半ば強制的に促すことにあります。しかし、福島へ帰っても居場所のない人もいます。

 期限まであと残り1ヶ月半を切ったというのに、次の住まいが決まっていない避難者もいて、なかには路上生活も覚悟しているという方もいるそうです。これは、国内における「難民」なのではないか。日本には「原発難民」という難民問題が存在しているのだ、という現実を、ぜひ、一人でも沢山の方にご覧いただきたいと思います。見逃してしまった方はこちらの動画記事でご視聴ください。

※自主避難者の「住宅無償提供」が2017年3月で打ち切りに!~路上生活も覚悟!? 『ルポ 母子避難』の著者・吉田千亜氏が岩上安身のインタビューで消されゆく原発事故被害者の実態を語る
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/363650

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2017年2月16日 (木)

ロシアを混乱させることを狙う欧米権益

Paul Craig ROBERTS
2017年2月14日

“石油とエネルギー・ニュースのNo. 1情報源”と自ら謳うoilprice.comのロバート・バーク記事は、既得権益集団が、いかにして政策選択肢を自ら形成し、物事の成り行きを支配しているかをまざまざと示している。

ロシア、イランと中国の同盟を崩壊させ、石油民営化により、アメリカ政府と密接に連携して動く私営石油会社のおかげで、各国で石油を支配する主権を失わせ、アメリカが、覇権を維持し、拡大しようとしているかをバークの記事は明らかにしている。

ヘンリー・キッシンジャーがトランプ大統領に、ロシアのプーチン大統領をイランと中国との同盟から引き離すのに、ロシア経済制裁解除を利用するたくらみを売り込んだと、バークは報じている。万一プーチンがそのような策略にはまることがあれば、そこからロシアが回復できない致命的な戦略上の大失敗となろう。だがプーチンは、この大失敗をするよう圧力をかけられるだろう。

プーチンに対する圧力の一つは、欧米とのつながりに物質的利益をもっていて、ロシアを欧米世界に統合されたがっている大西洋主義統合主義者によるものだ。もう一つの圧力は、経済制裁というロシアにとって公然たる侮辱だ。ロシアに対する経済制裁は、実害になっていないとは言え、ロシア人にとって、この侮辱を取り除くことは大切なのだ。

経済制裁は、ロシアを、自給自足と、中国とアジアとの関係を発展させる方向に進めたのだから、実際にはロシアのためになっているというプーチン大統領に我々は同意する。しかも、覇権という動機をもった欧米は、 経済関係を、相手を支配する目的で利用する。中国やアジアとの貿易の場合は、ロシアの独立に対し、同じ脅威とはならない。

プーチンに提案されている取り引きの一部は“全てロシアが大いに必要としている、巨大なヨーロッパ・エネルギー市場へのアクセス増大、欧米の財政的信用回復し、欧米技術の入手、世界的意思決定の場への参加”だとバークは言う。魅力を高めるおとりは“クリミアはロシアの一部”だという公式認定だ。

ロシアは全部を欲しいのかも知れないが、ロシアがそのどれかを必要としているというのはたわごとだ。

かつて300年間そうだったように、クリミアはロシアの一部で、これについては誰も何もできない。もしメキシコが、テキサス州とカリフォルニア州が、アメリカの一部だと認めなかったら、一体どんな意味があるだろう? 皆無だ。

ヨーロッパにとって、ロシア・エネルギーに置き換わるものはほとんどない。

ロシアは欧米技術を必要としていない。実際ロシアの軍事技術は欧米のものより優れている。

しかもロシアは、欧米融資など必要としていない。実際、そんなものを受けるのは狂気の沙汰だ。

ロシアが外債を必要としているというのは虫のいい欧米神話だ。この神話は、ネオリベラル経済学で崇められている、欧米が他国を搾取し支配する道具だ。ロシアにとって最も危険な脅威はロシアのネオリベラル・エコノミスト連中だ。

ロシア中央銀行は、中央銀行債権発行によって、ロシアの開発プロジェクトに資金供給するとインフレを誘発するだろうといって、ロシア政府を説得している。しかし、中央銀行債権が、開発プロジェクトへの資金供給に使われれば、ルーブルの供給は増すが、プロジェクトからの産出も増大する。だから、商品とサービスは、ルーブルの供給と共に増加する。ロシアが外国から外国通貨を借りれば、マネー・サプライも増加するが、外債も増えるのだ。ロシアは、外国通貨をプロジェクトに使わず、それをロシアの外貨準備金に繰り入れている。外債がない場合には、中央銀行は、プロジェクト経費を支払うために同じ金額のルーブルを発行する。外債がすることと言えば、ロシアに外国債権者への利払いを負わせるだけだ。

ロシアや中国のような国々にとって、外資は重要ではない。両国とも自らの開発への資金供給が完全に可能だ。実際、中国は世界最大の債権国だ。発展のための内部資源がなく、輸出では、そういうものを取り込むのに不十分な事業ノウハウ、技術や、資源を外国から、外国通貨で購入しなければならない国々にとってのみ、外債が重要なのだ。

これは膨大な天然資源と、貿易黒字があるロシアにはあてはまらない。中国の発展は、労賃と規制対応の経費の差額を稼ぐため、アメリカ市場向けの製造を海外移転したアメリカ企業によって後押しされた。

ネオリベラル連中は、ロシアが財政赤字を穴埋めするには民営化が必要だと主張している。ロシアの政府債務は、ロシアGDPのわずか17パーセントだ。公式基準によれば、アメリカ連邦債務はGDPの104パーセントで、ロシアの6.1倍大きい。もしアメリカ連邦債務が、実質的に補正されたもので評価されれば、アメリカ連邦債務は、アメリカGDPの185パーセントだ。もしアメリカ政府の膨大な債務が問題でなければ、ロシアのわずかな債務は明らかに問題ではないのだ。

バーク記事は、ロシアの繁栄は、欧米との不利な取り引きにかかっているとロシア政府を説得して、ロシアを騙す取り組みの一環だ。ロシアのネオリベラル・エコノミスト連中はこれを信じているので、騙しが成功する可能性がある。

ロシア政府に影響を与えているもう一つの妄想は、民営化は資本を呼び込むという考え方だ。この妄想が、ロシア政府に、石油会社の20パーセントを、外国所有にさせてしまった。この戦略的大失敗でロシアが得た唯一のものと言えば、石油で得る利益の20パーセントを外国の手に引き渡したことだった。一回の支払いのために、ロシアは、石油で得る利益の20パーセントを永久に手放したのだ。

何度も繰り返すが、ロシアが直面している最大の脅威は経済制裁ではなく、アメリカ権益に仕えるよう徹底的に洗脳されているロシア・ネオリベラル・エコノミストの無能力だ。
本記事はマイケル・ハドソンとの共著。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/02/14/western-interests-aim-to-flummox-russia.html

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大本営広報部、暗殺事件一辺倒だが、個人的には、「プロダクション社長守護霊インタビュー」やら、とんでもな幼稚園だか保育園の土地問題や、幼児時代から旗、歌で洗脳する北朝鮮化の方が気になる。もちろん守護霊インタビューなど決してみないけれど。

フリン強制辞任で、アメリカ・ロシアのより友好的関係回復という公約実現可能性、ほぼ消滅だろう。この記事の方向で、益々こじれるのでは?

この記事、内容的に下記のものと直接つながっている。

日本では、これから水道も民営化すると約束した人物が幹部。

2017年2月15日 (水)

トランプはユーロを破壊するだろうか?

2017年2月9日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

大統領就任後、わずか数日で‘ドナルド’は実に多くの大統領令や、攻撃的なツイートを発したおかげで、世界はくらくらしている。移民禁止の取り組みや、XLキーストン・パイプライン承認や好戦的なイラン威嚇の煙の中から、はっきりと出現しつつある政策は、大統領上級顧問、首席戦略官スティーブン・バノンが主張する、トランプ・チームの経済的狙い“愛国的経済”だ。これまでのところ、主要標的は、アメリカ合州国との最大貿易黒字二カ国、中国とドイツだ。とはいえ子細に見ると、時折資本市場について、アメリカ諜報社会に助言しているジェームズ・リカーズが“通貨戦争”と呼んでいるものを、ワシントンが開始する準備をしていることが伺える。中国という明らかな標的は別として、二番目で、おそらくより重要な標的は、ユーロとヨーロッパ通貨体制の破壊だ。そこでは、ドイツが中核で、おそらく、トランプの名前がでる度に、メルケル首相が酷い胃痛に襲われるらしい理由の一つだ。

1月31日、アメリカ通商の新権力者ピーター・ナヴァロは、アメリカや、他のドイツのEU貿易相手を“搾取するのに、多いに過小評価されたユーロ”を利用していると、ドイツを非難した。ナヴァロは更に、ドイツを、ユーロ圏経済の核、事実上の“通貨操作国”呼ばわりした。今後頻繁にこの単語に出会うはずなので、単語に慣れて頂きたい。ただし、ナヴァロが言っている「操作」とは、1999年-2002年のユーロ単一通貨創設なのだ。ドイツを最大の加盟国とするユーロは“暗黙のドイツ・マルク”のように機能している。ナヴァロは、アメリカ・ドルに対するユーロ安値のおかげで、ドイツは主要貿易相手国に対して大いに恩恵を受けていると非難した。

ドイツが精力的に反論しているのも驚くべきことではない。アンゲラ・メルケルは即座に欧州中央銀行の通貨政策は、条約上、ユーロ圏全体のインフレをコントロールするよう負託されていると断言し、更に、ECBは、条約上“独立している”ので、ドイツがたとえそうしようと思っても、ユーロを操作できないと主張した。これは事実の一部に過ぎす、現時点で、欧州連合の28加盟国中、19カ国がユーロ圏で、日常的業務でではなく、1990年代に極めて出来損ないのユーロ構造を作り上げる上で、ユーロ圏の経済的巨人ドイツは、不釣り合いな影響力を行使したのだ。ほとんど知られていないこういう話がある。

‘次の世紀に、ドイツの立場を確保’

これは、通貨操作に関する干からびた経済学のように聞こえるかも知れないが、貿易上の優位云々は、事実上の究極的な中期的目標としてのユーロ圏破壊を呼びかけるワシントンの狙いを隠蔽しているのだ。

皮肉なのは、フランス、イタリアとイギリスの元首連中が、1991年12月に、1999年末までに完全な通貨同盟を約束する欧州連合条約に調印したオランダのマーストリヒトでのヨーロッパ経済共同体加盟国元首サミットで、唖然とするコールにぶつけた際、ユーロ圏に、当時のドイツ首相ヘルムート・コールは大反対したことだ。そこで、コールは、ブリュッセルでは“民主主義の欠如”と優雅に呼ばれる、民主的に選ばれたヨーロッパの政治国家の一つとしてない、単一ヨーロッパ通貨、現在のユーロを確立する条約という彼らの提案に直面した。

統一ドイツと呼ばれる経済大国の新たな力を恐れた懐疑的なフランス、イギリスとイタリアは、強力なドイツ・マルクと、当時世界で最も尊敬されていた中央銀行、ドイツ連邦銀行の権限を、後に欧州中央銀行として知られるようになる新たな自立した超国家的構造にゆだねるよう要求した。何ヶ月もの厳しい抜け目のない駆け引きの後、新たなユーロ圏加盟国は、公的債務の制限をGDPの60%とし、年間公的債務を制限GDPのl3%に制限するという、ハンス・ティートマイヤーのドイツ連邦銀行が決めた恣意的な厳しい条件、厳格ないわゆるマーストリヒト基準に従うという条件で、最終的に、ドイツは同意した。

経済ジャーナリストとして、当時こうした進展を追うのに私は積極的に関わっていた。1990年早々、デンマーク人の欧州委員会委員ヘニング・クリストファーセンの厳格ないわゆるマーストリヒト基準に関する個人的な考えを知る思いがけない機会を得た。最近亡くなったクリストファーセンは、ジャック・ドロール欧州委員会委員長の下、EEC (EUの前身)で、当時のマーストリヒト条約交渉で、経済と通貨関係の担当だった。彼は実質的に、いくつもの点をとりまとめて、ユーロとなるものにする責任を負っていた主要委員で、ユーロ誕生時、加盟諸国間の非公開論議や戦いを非常に良く知っていると言うべき人物となった。

1994年に、クリストファーセンは、ロンドン金融会議の際に、私が良く知っているデンマーク人エコノミストに、ドイツと、特にコール首相の単一通貨ユーロ導入に対する態度は“1991年から180度転換した”と語っていた。彼は三年の間に、フランスとイタリアの巨大銀行は深刻な危機に苦しみ、生存しようとあえぐようになっており(興味深いことに、連中は今もそういう状態で、更にひどくなっている-筆者)、イギリスの銀行は深刻な不動産債務危機にあり、ヨーロッパの金融・資本市場を支配する上で、堅固なドイツ銀行には到底かなわなかったと語ったのだ。“ドイツ銀行や他の大手ドイツ銀行は、上手にやれば、ユーロは、ヨーロッパのトップとしてのドイツの役割を、次の世紀、あるいはそれ以降も保証する可能性がある”とコールを説得した。

それから少し後のフランクフルトでの銀行業会議で、私自身、コール首相の見解の変化を、まざまざと見た。once-foot-dragging ユーロに懐疑的だったコールが、集まった銀行家たちに、ユーロは“将来、もう戦争が不可能になるようヨーロッパを結びつける鍵”だと述べた。彼は総立ちになっての拍手喝さいを受けた。彼はそうと決心すれば、巧みな雄弁家だった。要するに、現在のユーロ圏はドイツが作り出したものなのだ。

ユーロに対するナヴァロの狙い

大統領として、ドナルド・トランプは、最近ドイツ自動車のアメリカ輸入を攻撃し、アメリカ国外で製造されたドイツBMWに対する懲罰的な35%輸入関税で威嚇した。ドイツの対応は、そうしたいちかばちかの外交ゲームでは、むしろ愚かで、“アメリカ製”自動車の品質を攻撃した。ドイツにもっと多くのシボレーなどのアメリカ自動車を買わせるために、アメリカができることは何かと聞かれて、ドイツ経済相のシグマール・ガブリエルは“もっと良い自動車を作りなさい”とぶしつけに言い返した。シグマール経済相の対応は巧妙な手とは言えない。

しかしながら、ナヴァロ対ドイツ戦略の本当の狙いは、ドイツ内で、品質的に劣るアメリカ製シボレーの売り上げを伸ばすことではない。アメリカ車が劣っていることは、私が個人的に証言できる。最終的に wreck世界準備通貨としてのアメリカ・ドルの役割に対する潜在的ライバルで、大いに欠点があり、大いに脆弱なユーロ体制を。1944年以来andブレトン・ウッズ、アメリカの世界覇権は二つの大黒柱に依拠している。アメリカにはいかなるライバルもない確固たる軍隊と、要するに、ワシントンの赤字に諸外国が際限なく資金提供することを意味する確固たる世界準備通貨たるアメリカ・ドルだ。

ナヴァロ-ロス戦略論文

トランプ大統領選挙戦の支援部隊の一員として、カリフォルニア大学経済学教授で、当時の選挙戦経済顧問ピーター・ナヴァロと、未公開株式投資アドヴァイザーで、億万長者投資家のウィルバー・ロスが、トランプ候補のための経済戦略論文作成に協力した。トランプが、環太平洋連携協定、環大西洋貿易・投資連携協定を破棄し、NAFTA再交渉を要求している背後には、この論文があるのだ。これは、ドイツを“通貨操作国”として、トランプ大統領が攻撃している背後にもある。

現在、もちろん、ピーター・ナヴァロは、通商の権力者で、ホワイトハウスに新たに作られた国家通商会議のトップだ。ロスは新商務長官だ。二人は同じ脚本を演じて、固定されたユーロで、ドイツは不相応に恩恵を受けており、アメリカ合州国やイタリア、ポルトガル、ギリシャなどのユーロ圏の周辺的な国々や、フランスさえ、大損をしているという主張で、暗黙のうちに、ユーロ圏破壊を呼びかけているのだ。

ドナルド・トランプが、大統領に就任する四日前、ロンドン・タイムズで、長いインタビューをした。その中で彼はこう断言した“…欧州連合をご覧なさい、あれはドイツです。基本的にドイツのための道具です。”更に、シリア、アフガニスタン、リビアや他の圧倒的にイスラム教徒が多い国々からの百万人以上の戦争難民を無審査で受け入れたドイツや他のEU諸国の問題について、トランプはこう断言した。“もし彼らが、それに伴うあらゆる問題がある、これほど多数の難民全員の受け入れを強いられていなければ、Brexitはなかっただろうと私は思う。たぶん丸く収まっていただろう。だがこれはラクダの背中を折る最後の一本の藁だった。人々は、自分たちの独自性を望んだのだと私は思う。だから皆さんが私に辞めろと言われるなら辞めるべき他の連中だと思う。(強調は筆者による)

トランプの発言は立腹してのものではなく、むしろ朝のコーヒーの残り香だ。この源はピーター・ナヴァロによる2016年9月29日の白書だ。ナヴァロは、アメリカ財務省債券を購入することで、主要輸出相手国アメリカに対して、元を安定させていることで、中国を非難した後、次にドイツとユーロを攻撃した。

“経済通貨同盟のおかげで、同様な問題が存在している。ユーロは国際通貨市場で自由に変動するが、この制度は、もしドイツ・マルクが依然存在していたならば、そうであるはずのもの以上にドイツ通貨を安くしている。”

ナヴァロはこう続けている。

“事実上、経済通貨同盟中の南ヨーロッパ経済の弱さが、ユーロを、ドイツ・マルクが自立した通貨だったならそうであったはずの為替レートより安く保っている。これこそが、アメリカが、ドイツとの商品貿易で、2015年で、750億ドルという大きな赤字になっている主な理由なのだ-ドイツの賃金が比較的高いのに…より大きな構造問題は、はびこる通貨操作で悩まされている国際通貨制度だ。”

ナヴァロは、挑戦的な調子で、こう結論づけた。

“ドナルド・トランプは、アメリカ国民に、財務省は、自国通貨を操作するあらゆる国を“通貨操作国”とレッテルを貼ると約束した。これで、もし通貨操作が止まらなければ、アメリカが防衛的、相殺関税を課することが可能になる。”

昨年、あるいは他の年にも、ドルに対し、元を強化すべく、実際活発に介入したが、アメリカ財務省の範疇によれば現状ではアメリカ財務省の規則では通貨操作国ではない中国の事実を無視し、ドイツを公式に“通貨操作国”と宣言して、様々な経済制裁を課するには、一年間の誠実な交渉が必要だ。だから準備は整ったのだ。

統一反ユーロ戦線

アメリカEU新大使に指名されたテッド・マロックは、2月5日に、ブルームバーグとインタビューし、そこで彼は、ユーロ崩壊に賭けるし、“ユーロを空売り”したいと述べた。同じインタビューで、彼はギリシャのユーロ圏からの離脱Grexitには“強い動機”があると断言した。先にマロックは、欧州連合は“飼い慣らす”必要があると述べて、EUを消滅したソ連になぞらえた。

別のインタビューで、マロックはユーロは今後18カ月で崩壊しかねないと言い切った。彼はBBCで“通貨は終焉に向かっているのみならず、実際に問題があり、来年、一年半後には崩壊しかねないと思う。…2017年に私がするだろうことの一つは、ユーロの空売りだ”と述べた。マロックは、EU政治の素人ではないことに留意が必要だ。彼は、現在、イギリスのレディング大学ビジネス・スクールで教授として教えている。マロックは、グローバル化推進派のスイス、ダボス世界経済フォーラム理事もつとめており、シンクタンク、アスペン研究所の首席研究員でもあった。ユーロとEUそのものの将来に関する彼の発言は、計算しつくされたものだ

しかも、財務長官として、中国に通貨操作国というレッテルを貼るのに何の抵抗もないと述べた人物、ゴールドマン・サックス・バートナーとして17年勤めたスティーヴン・マヌーチンがおり、ユーロ破壊を目指す、全面的なアメリカ通貨戦争の準備は整ったように見える。

誤解なきよう。1990年中頃に、国民国家を超えるEUの超国家通貨としてのユーロが現実になることが明らかになって以来、当時考えられていたユーロという考えは、ヨーロッパと世界にとって災厄の卵だと、私が言い続けてきたことは記録にある。ジャック・ドロール、ジスカール・デスタンなどの周辺のヨーロッパ長老連中による、世界準備通貨として、ドルに対する巨大なEUライバルを作り出そうという構造物だった。

2002年から、ギリシャ政府が、ギリシャの赤字が、ユーロ圏で規定されている3%ではなく、12%以上になっている事実を隠蔽するのを可能にしたあやしげなデリバティブ通貨スワップ操作工作をしたのが、マヌーチンのゴールドマン・サックスだったことは注目に値する。好都合にも、ギリシャ債務危機は、まさにアメリカ財政赤字が、年間何兆以上の規模で爆発しつつあり、なによりも中国がアメリカ財務省ボイコットで脅していた2010年に公表された。当時、ドルに対して、ユーロを押し下げるために、ゴールドマンとアメリカ財務省が意図的にギリシャ危機を爆発させたのだと疑う十分な根拠があった。

今やトランプ新政権内のゴールドマン・サックスの金融天才連中と、トランプ経済チームが、Brexitのおかげで、ユーロ圏とEUが、かつてないほど脆弱になったので、ユーロ脅威の可能性に決定的に止めを刺し、捨て去ると決めた可能性が高い。そのような崩壊は、確実に、EUを1930年代のものより酷い大混乱、破壊、金融危機に陥れる。トランプや、ナヴァロやウィルバー・ロスにとっては、こうした社会的、人的問題は、連中の狂った計画に対する単なる“外部事項”に過ぎない。ユーロは、EU同様、早急な改革が必要な実にひどい構築物なのだ。

一体なぜユーロを破壊するのだろうか? イギリス人経済史家ハロルド・ジェームズがその理由を示唆している。“ユーロ崩壊の結果は一体何だろう? 競争相手として、ヨーロッパを弱体化させるのみならず、かつての国家間ライバル関係が再び解き放たれることで、一層不安定化させるのだ。”ドイツ首相やベルリンの他の連中が、トランプが連中に一体何をもたらすかについて、極端に神経過敏になるのも不思議ではない。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/02/09/will-trump-destroy-the-euro/

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秘密朝貢外交で丸裸にされる我々にとって人ごとではない。

属国傀儡独裁政権の虚言を大本営広報部は忠実に拡声するだけなので、ほとんど呆導番組は見ない。今日のIWJガイドを拝読すれば、その途方もなさがわかる。9時番組の男女が変わるというが、オバマのチェンジと同じ、顔が変わるだけ。虚報は継続する。

■<はじめに>合意内容がまったく明らかにされない日米首脳会談「日本国民に語れないような売国密約がなされたのではないか?」そもそも安倍総理は「日本の公的年金を土産にするようなことはしない」と明確に約束していない

 おはようございます。IWJ記者の福田玲子です。

 皆さま、2月13日放送のNHK「ニュースウォッチ9」はご覧になられましたか?

 安倍総理が生出演し、このたびの訪米の成果を自らPRし、NHKの岩田明子記者ほか出演者一丸で成果を強調するという、事実上の国営放送の報道番組として、ありえない内容でした。

 「成果」として強調されたのは、いかにトランプ大統領に安倍総理が気に入られ、親密な間柄になったかということだけ。安倍総理がトランプ大統領にひたすらへつらい、こびることが世界中のメディアで話題になっていますが、その安倍総理にこびへつらっているのが日本のマスメディアで、その筆頭がNHKです。およそ先進国のジャーナリズムの姿ではありません。岩上さんの言葉を借りれば、「犬の犬」です。

 会談の中身や合意事項については、まったく明らかにされてきません。日本側からアメリカ側に対して、よほど、極秘にしてもらいたいという要望があったものと思われます。

 なぜそれほどまでに極秘にしたいのか。岩上さんも指摘していますが、「国民には語れないような、売国密約」がなされたのでしょう。

 売国密約の筆頭は、恐らく日本の公的年金に関することかと思われます。

 この件については、2月3日の衆議院予算委員会でも、民進党の大串博志衆議院議員が質疑していました。

 大串議員はまず、安倍政権になってから、GPIF(独立行政法人「年金積立金管理運用」)が、リスクを取る運用を始め、インフラや不動産にも投資する「オルタナティブ投資」(※1)ができるようになったことを批判しました。

(※1)オルタナティブ投資(直訳「代替投資」):株や債権などの伝統的な投資ではなく、プライベートエクイティー、不動産、インフラ、天然資源などに投資をすること。大串議員は質疑で、このオルタナティブ投資について、ニッセイ基礎研究所の専門家による「(オルタナティブ投資は)ハイリスクハイリターンであり、その仕組は非常に複雑であるため、ファンドの選択には高度な専門知識と経験が必要とされる…(中略)…大損を被るリスクがある」という解説を引用し、こんなリスクの高いものに公的年金を投じることに強い懸念を表明した。

 そして日経新聞で報道された「公的年金、米インフラ投資」の記事、及び読売新聞の『70万人雇用創出、米に提案へ…経済協力原案」の70万人の雇用創出のため4500億ドル(51兆円)の市場をつくるという日米経済協力の記事に触れ、この51兆円規模の市場は日本の公的年金から拠出するつもりなのか真偽を尋ねました。

・公的年金、米インフラに投資 首脳会談で提案へ 政府、雇用創出へ包括策(日経新聞、2017.2.2)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS01H5E_R00C17A2MM8000/

・70万人雇用創出、米に提案へ…経済協力原案(読売新聞、2017.2.2)(記事はすでにHPから削除)

 これに対する安倍総理の答えは、「政府として、今、おっしゃったようなことを検討しているわけではない」「GPIFについては私は…(中略)指図できない」といったものでした。また、大串議員の「年金のお金を使ってトランプさんにお土産を持っていくことはしない、これを約束していただけますか」との問いには、「(会談の内容は)まだ何も決まっていない」と述べるにとどまり、明確に「しない」とは約束しませんでした。

 もともとGPIFは安定運用が原則で、株式運用比率も2割5分でした。それを5割に引き上げさせたのが安倍政権です。「私は指図できない」といいつつ、GPIFに働きかけ、オルタナティブ投資まで可能にしたのは安倍政権です。

 なお質疑には、GPIFの高橋則広理事長が参考人として出席し、「現在、公的年金資産140兆円のうち5%である7兆円をオルタナティブ投資できる仕組みである」こと、また「用意されているガイドラインでは、投資対象は欧米の先進国が中心なので、(その7兆円が)アメリカのインフラ投資に向かうことはあり得る」と述べていました。

 安倍総理が、GPIFにはたらきかけ、仕組みを変えさせてきたことを思えば、果たして7兆円ですむのでしょうか。

 中身がまったく明らかにされない。こんな異常な日米首脳会談があるでしょうか。「国民に語れないほどの売国密約」などなかったと思いたいですが、気色の悪い蜜月ぶりばかりを強調する、芸能ショーのような演出や、目くらましのような北朝鮮のミサイル報道を見るに及び、悪夢が現実になろうとしているような気がしてなりません。

 なお上記、大串議員と安倍総理の質疑については、下記でご覧になれます。

・衆議院インターネット予算中継(2017.2.3)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=46356&media_type=fp

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2017年2月14日 (火)

テロとの戦いの功績で、サウジアラビア皇太子にCIAが褒賞を与えたのは悪い冗談

公開日時: 2017年2月12日 16:18


FILE PHOTO サウジアラビアのムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子  ©Ahmed Jadallah / ロイター

サウジアラビアのムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子に、テロとの戦いに対して、CIAがメダルを授与したのは、サウジアラビアに対するアメリカの外交上の動きか、イランに対するメッセージか、悪い冗談だと、元CIA諜報専門家ロン・アレドは述べた。

CIAは、サウジアラビア皇太子に、彼のテロに対する戦いで、メダルを授与した。サウジアラビアは、反対する人々からは、実際には、アメリカ自身とともに、テロを支援していると広く非難されている。

    サウジアラビア皇太子にテロとの戦いの功績でメダルを授与するのは、肥満との戦いの功績で、マクドナルドにメダルを授与するのと一緒  https://t.co/lrJC9UFkp5
    - Ali (@LoyaltyIsFirst) 、2017年2月10日

RT:  サウジアラビアは、テロ問題に関して、明らかに大いに論議の的ですが、このCIAの動きには何か理由があるのでしょうか?

ロン・アレド: サウジアラビアが、少なくとも王国内でテロを支配しているのは事実です。サウジアラビアが他の形でテロを推進しているというのも事実です。例えば、シリアで。大半のスンナ派聖戦士連中はサウジアラビアに支援されています。アメリカが、テロとの戦いに対して、彼らにメダルを授与するというのは全くある種の悪い冗談です。

一体なぜこのメダルを、このサウジアラビア皇太子に与えたのか、我々にはわかりません。我々には理由はわかりません。推測できるだけです。おそらく、これはシリア国内のテロリストを、我々が支配するのを、彼らが手助けしてくれるようにするためのサウジアラビアに対する外交上の申し出か、ある種のおべんちゃら作戦です。

トランプがこれを知っており、マイク・ポンペオ[CIA長官]がこれを知っており、マイケル・フリン中将がこれを知っていることを我々ははっきり知っています。マイケル・フリンはオバマに、国防情報局局長を首にされたのです。マイケル・フリンは、オバマに、まさに‘大統領、シリアには穏健派などいません。シリア国内の穏健派は神話です。そんなものはいません’と進言したがゆえに、オバマにDIAから追い出されたというのは、ワシントンD.C. では公然の秘密です。しかも、現在、トランプ大統領がマイケル・フリンを国家安全保障顧問に採用しました。

更に読む
CIA、サウジアラビア皇太子に、対テロ取り組みの功績でメダルを授与

RT: トランプ大統領はISISとの戦いが彼の主な地政学的狙いだと言っています。今後、アメリカとサウジアラビアとの関係はどのように変わるとお考えですか?

RA: おそらく、これは外交上の申し出、友好的しぐさです。たぶん彼らは、見返りに、サウジアラビアが、アルカイダへの資金提供を止めるのを期待しているのです。この王国の多くの個人がアルカイダや関連する集団に資金提供しています。おそらく彼らはシリア国内の聖戦士に対する資金供給を止めようとしているのです。おそらく彼らは、イランにメッセージを送ろうとしているのです。‘我々はイランと核協定を再交渉するつもりだ。我々に協力しなければ、スンナ派を支援するかも知れないぞ。’中東では、イスラム戦争、ワッハブ派サウジアラビアが率いるスンナ派と、イランが率いるシーア派との間で内戦が起きていることを想起しましょう。ですから、これはたぶんイランにメッセージを送っているのです。ですから、色々な可能性があります。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/377124-bad-joke-cia-awarded-saudi/
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これは、元「ロシア・トゥデー」現在、RTというサイトの記事だ。

マイケル・フリン国家安全保障顧問に関するタブロイド紙記事で、『ロシア政府が出資する宣伝放送「ロシア・トゥデー」で講演を行い、報酬をもらったこともある。』という記述をみた。それをいうなら、この属国の場合は、一局は「政府が出資する宣伝放送」で、他は皆、「政府が出資をしていない宣伝放送」ということになるだろう。

若手女優出家騒ぎを一斉に報じている。それを見ている無頓着な国民丸ごと、属国教に洗脳されているという、もっと恐ろしい事実は報じられない。
最寄り書店を覗くと、「ロシアの本音 プーチン大統領守護霊」という本が他のシリーズものと一緒に並んでいた。立ち読みしたことはない。購入する人をみかけたこともない。
30年ほど前だろうか、某駅前書店で見た光景を思い出した。平積みになっている新刊教祖本を数人の男女が一斉に購入して去っていった。ベストセラーになる理由がわかった。

大本営広報部洗脳からの離脱目的で拝読しているブログ、サイト、記事は、当然、逆のことを報じておられる。

植草一秀の『知られざる真実』に書かれている「意味なし安保適用範囲で国益総献上安倍外交」に過ぎないものが、不思議に絶賛を浴びているようだ。大本営広報部によれば。

大本営広報部の有名女性記者が登場する番組、音を消して眺めていたので、何をどうもちあげたのかわからない。深夜のヨイショ番組はちらり眺めた。劣等列島「一億ストックホルム症候群」。

安倍首相に自ら進んで騙されることを選択する日本国民。戦争前の日本人と同じだ。この時期だからこそ、伊丹万作氏の「戦争責任者の問題」を読んでみよう。「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう」
と、孫崎享氏はメルマガで書いておられる。

今朝の日刊IWJガイドの冒頭を引用させていただこう。

■<はじめに>メキシコ全土で大規模な「反トランプ」デモ!フロリダで計27ホールもまわってゴルフ三昧の安倍総理とは大違い!?

 おはようございます。IWJの平山茂樹です。

 米国のトランプ大統領が国境沿いに「壁」を建設すると明言しているメキシコ。そのメキシコ全土で2月12日、大規模な「反トランプ」デモが行われました。首都メキシコシティーでは約2万人の市民が参加し、「トランプの壁にノー」「メキシコに敬意を」などと声をあげました。

・メキシコ各地で反トランプデモ 過去最大規模か(AFP、2017年2月13日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3117612?cx_part=topstory

 トランプ氏は選挙期間中より、「壁」の建設以外にも「メキシコの不法移民は麻薬や犯罪を持ち込んでいる」「メキシコ人は強姦魔だ」などといった暴言を連発。大統領就任後も「壁の費用はメキシコに払わせる」と述べたことから、怒ったペニャニエト・メキシコ大統領との首脳会談が中止となる事態となっていました。

 トランプ大統領の「大暴走」に対し、大統領と国民がともに気骨をもって「怒り」を表明したメキシコ。他方、我らが日本の安倍総理は、「在日米軍基地負担増を」と求めていたトランプ大統領に対し、その要求をはねのけるどころか大統領に就任する前に、金のゴルフクラブを進呈すべく送りつけ、就任後の今度は、日本の国富51兆円(その中には私たちの年金資産が含まれています)を手土産に、同大統領に厚遇されたと大はしゃぎ。日米首脳会談後にトランプ大統領となんと計27ホールを回るゴルフ三昧。米国内外のメディアからも批判されたこのへつらいぶり、尋常ではありません。

 そして退去して金魚のフンのように随行した報道陣からは、この異様な光景を批判する声はろくろくあがらず、「ゴルフ交え信頼構築の2日間」(時事通信)などとその「成果」を大げさに持ち上げて報じる始末ですから、本当に目も当てられません。

 トランプ大統領をヨイショする太鼓持ち・安倍総理、その安倍総理のやることなすことヨイショする太鼓持ちの記者クラブメディアらの、気色の悪いお追従とへつらいとおべっかぶり。報道に接していて胸が悪くなった人は少なくないと思われます。

・安倍首相、トランプ氏と27ホール=ゴルフ交え信頼構築の2日間(NHK、2017年2月11日)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017021200013&g=pol

 日米交渉の次なる焦点は、ペンス副大統領の来日です。日米首脳会談で安倍総理とトランプ大統領は、麻生副総理とペンス副大統領による「日米経済対話」を開始すると発表。この「日米経済対話」で、TPPに代わる日米FTAやGPIF資金の米インフラ投資などが具体的に話し合われる可能性があります。

 麻生副総理といえば、かつて日本の水道を民営化し外資に売り渡すことまで言及した人物です。甘利明氏が主導したTPP交渉以上に、日本の国富・国益を米国に売り渡してしまうことが危惧されます。

※2013/08/12 「日本のすべての水道を民営化します」 ~マスコミが一切報じない我が愛すべき「麻生さん」の超弩級問題発言
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/95944

 こうした日米二国間の枠組みについては、日米首脳会談が行われる以前から、長くTPP反対運動を展開してきた山田正彦元農水相らがその危険性を指摘し、声をあげています。TPPはほぼ消滅したものの、IWJは引き続き行き過ぎた自由貿易の危険性について取材し、報じてゆきますので、どうぞご注目ください!

※2017/01/13 TPPを懸念する政府宛の意見書を採択させた若手女性市議・笹岡ゆうこ武蔵野市議会議員に岩上安身が訊く!――TPPや日米FTAなどの「自由貿易協定」が地域経済・地方自治を破壊!負の影響とは?
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/356158

※2017/02/09 「安倍総理だけがトランプ大統領の言いなりになっている」! 日米首脳会談を前に山田正彦元農水相らが首相官邸前で抗議! 民進、共産の国会議員も多数参加!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/362165

 共同通信による世論調査によると、今回の日米首脳会談を「よかった」と評価する人はなんと70.2%に達し、内閣支持率も1月の前回調査から2.1ポイント増えて61.7%となったということです。これも、安倍政権と一体化した既存大手メディアの「プロパガンダ」が功を奏した結果であると言えるでしょう。

 各論の政策では支持していないのに、政権を支持すると答える人が多いというのは、「他に代わる政治家や政党がいない」と、繰り返し刷り込みをおこなってきた洗脳のたまものに他なりません。まさに我が国の国民は、米帝国の属国であり、宗主国の傀儡政権下にあり、洗脳のプロパガンダメディアのコントロール下にあるといえるでしょう。

・日米首脳会談70%評価 入国制限75%理解できず(共同通信、2017年2月13日)
http://www.47news.jp/news/2017/02/post_20170213190109.html

 しかしIWJは、「プロパガンダ」機関に堕した大手既存メディアが報じない真実を伝え続けます。後段で原佑介記者が改めてお知らせしますが、本日17時より岩上さんは、「ニュース女子」によるヘイトデマの標的となった辛淑玉氏と、同番組を制作した「DHCシアター」の親会社である株式会社DHCの経営者・吉田嘉明会長からのスラップ訴訟に対して勝訴した澤藤統一郎弁護士にインタビューを行います。

 澤藤弁護士は自らの経験にもとづき、「ニュース女子」問題で最も大きな責任があるのは、DHCの経営者、吉田嘉明氏だと断定しています。このようなインタビューは、DHCをスポンサーのひとつとするテレビ局などでは絶対に取り上げられないものです。

 貧困、排外主義の蔓延、そして軍事国家化への邁進と、現在の日本は「昨日」までの明るさ、豊かさを打ち捨てて、必要のない「暗く貧しく恐ろしい時代」に向かっていこうとしつつあります。そして、そうした「暗い時代」の主たる原因となっている政権が6割以上もの国民に支持されている今こそ、IWJはそのことの異常さを指摘し続けてゆきたいと考えています。

 IWJのスポンサーは、市民の皆様ひとりひとりです。DHCのような企業から金を受けとり、デマ・ヘイト番組を作るマスコミとは、対極に位置しています。IWJの財政状況は、依然として厳しい状態が続いていますが、「まともな社会を取り戻したい」と願う皆さまからのご支援がある限り、まっとうなジャーナリズムの本道を歩み続けたいと存じます。定額会員にご登録いただき、ご寄付・カンパでのご支援をなにとぞよろしくお願いいたします。

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2017年2月13日 (月)

トランプは一体なぜイランを標的にするのか

Finian CUNNINGHAM
2017年2月11日

反イラン亡命者集団とトランプ政権高官とのコネが、一体なぜアメリカ大統領が“テロ支援国家ナンバー・ワン”と呼び、テヘランに対して新たな経済制裁を課し、イスラム共和国に対するこれほどの敵対的姿勢をとっているのかという説明になるかも知れない。

先週トランプの国家安全保障顧問マイケル・フリンは最近の弾道ミサイル実験を巡り、軍事行動を含む将来の不特定行動の対象になると“イランに警告した”と挑発的に主張する公式声明を発表した。トランプ自身も加わり、中東を不安定化させるとイランを非難した。

イスラエルとサウジアラビアの国家諜報機関とのつながりが疑われているイラン人反政府集団は、政策を策定する上で、大統領に話を聞いてもらえているようだ。

トランプの新運輸長官として承認されたイレーン・チャオと、少なくとも大統領主要顧問の一人、元ニューヨーク市長ルドルフ・ジュリアーニは、いずれもイラン反政府集団ムジャヒディン・ハルク(MEK)が主催する集会で招待講演者として登場している

MEKとつながっているトランプ政権中枢に近い幹部政治家には共和党の大物ニュート・ギングリッチ、元CIA長官ジェームズ・ウルジーや元アメリカ国連大使ジョン・ボルトンがいる。

MEKは、1960年代、アメリカが支援したシャー独裁制に反対する武装反政府集団として出現した。後に、イランを1979年以来支配しているイスラム教聖職者政権と対立するようになった。イラン当局はMEKを外国が支援するテロ集団に指定している。彼らは、イスラム共和国を不安定化する企みで、17,000人のイラン国民殺害を行ったと推測されている。アメリカとイスラエルの諜報機関が画策した近年のイラン人核科学者暗殺も、MEK工作員と結びつけられている。トランプの外交政策顧問、共和党の長老政治家ニュート・ギングリッチは、更なるそうした暗殺を呼びかけたことで有名だ。

ワシントンの幹部連中とこの集団のコネを考えると、奇妙なことに、アメリカが支援したシャーに反対していた時期には、MEKは、1970年代、少なくとも6人のアメリカ軍兵士や契約業者の殺害の責任も負っていた。2001年に、MEKは、武器を使った暴力行為を放棄したと公式に宣言し、それ以前のアメリカ国民殺害を分派のせいにしている。2012年、彼らはアメリカの外国テロ集団ブラック・リストから外されたが、ワシントンに本拠を置くシンクタンク、ブルッキングス研究所が“イランにおける政権転覆の代理”として、MEKは有用だとして、早くも2009年に勧告していたものに沿った動きだ。

今週のAP通信報道によれば、トランプの運輸長官イレーン・チャオは、2015年 フランスの首都パリで開催されたMEKの政治組織が主催した集会での5分間演説で50,000受け取った。同じ集会にはルドルフ・ジュリアーニも参加しており、イランでの政権転覆を呼びかける強烈な演説をした。

共和党上院多数党院内総務ミッチ・マコネルの妻チャオは、2016年3月、イランMEKとつながる反体制集団が主催して、アメリカで開催された別の集会で行った演説に対して、更に、17,500ドル受け取っている。

ジュリアーニは、トランプによって、外交部門の長官職が最終的に、元エクソン・モービル会長レックス・ティラーソンに決まる前、国務長官の対象として考慮されていた。先月、ジュリアーニや他の元アメリカ高官連中が、トランプ新政権に、MEKの政治部門との“対話を確立する”よう呼びかける書簡を書いたと、APは報じている

このロビー活動の背景は、一体なぜトランプ政権が、イランに対する敵対的な姿勢を突然とったかの説明になるかも知れない。

トランプ政権の動機の一つは、ロシア、中国とイランの事実上の同盟を分断しようとすることだというアメリカ・マスコミ報道もある。これまでのところ、この策略は弾みがついているようには見えない。ロシアも中国も、イランに課された新たなアメリカ経済制裁は、国際関係にとって逆効果だと非難した

モスクワは、イランはテロ支援国家だというワシントンの主張も否定している。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、イランは、その逆で、シリアとイラク内のイスラム主義テロ集団を打倒する上での主要パートナーだと述べた。

しかも、ロシアは今週、防衛的軍事技術を開発するイランの主権を擁護し、イランの弾道ミサイル実験先月末は、2015年 P5+1 核合意に違反していないと述べた。問題となっているミサイルは通常のもので、核弾頭を搭載するよう設計されていないので、イランは国連安全保障理事会の経済制裁にも違反していないとモスクワは主張している。それゆえ一見したところでは、テヘランに対するトランプの敵対的態度の口実は意味をなさない。

トランプ戦略には、両国ともイランが、この地域に悪影響を及ぼすと過激な主張をするイスラエルとサウジアラビアからの情報が関係している。トランプは今月末ワシントンを訪問するイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフと会談する予定だ。二人は既に電話会談をしており、そこで二人は“イラン封じ込め”の必要性を話しあったと報じられている。

先週、イランに“世界最大のテロ支援国家”というレッテルを貼ったトランプの国防長官ジェームズ・マティスも、“イラン封じ込めの必要性”を含め、地域安全保障問題に関し、サウジアラビア国防大臣ムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子との緊密な連絡を共有していると報じられている。ワッハーブ派サウド家は、シーア派イランや、より民主的に進められたイスラム革命を、自分たちの王朝やペルシャ湾の他の同盟スンナ派君主国による支配にとって、実存的脅威だと見なしている。

アメリカ経済の全てがそれにかかっているオイルダラー覇権を維持するため、ワシントンの既成支配体制は、このサウジアラビア-イスラエル枢軸と、それによるイラン封じ込めにもっぱら依存している。サウジアラビアとイスラエル独裁制とのアメリカ関係の象徴的本質は、誰がホワイト・ハウスにいようとも無関係に、体系的で不変なのだ。

サウド家の重要人物、元サウジアラビア情報局長官で、現在の国防大臣ムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子の伯父であるトゥルキ・アル-ファイサル王子も、イラン反体制集団MEKのパトロンだ。APによれば、彼は政権転覆を呼びかける集会で、演説をしている。サウド家がMEKの主要資金提供者である可能性は極めて高く、そうでなければ、亡命者集団が、一体どうやって、ヨーロッパやアメリカに事務所を構え、そうした大物の政治関係者をゲストにできるのか説明するのは困難だ。

イスラエル軍諜報機関との連携も一貫している。イラン当局は、MEK工作員が実行した暗殺は、イスラエルのモサドのおかげで可能になったと主張している。

イスラエル、サウジアラビアとMEK反イラン亡命者集団が、トランプの対イラン政策の主要推進者であるように見える。

確かに、トランプ政権のけんか腰の激化は、不当な影響力の存在を強く示唆している。

個人的事情も大きな役割を果たしている。トランプは、外政問題に関しては、いささか素人で無知という本性を見せている。彼は本を読まず、情報をケーブルTVニュースで得ており、“政策”策定の上で、顧問や漠然とした細部に依存しているように見える。トランプが“テロ支援国家”というイランに対する非難をおうむ返しにしているのは、この大統領が、悪い影響を受けやすいことを示唆している。

イラン問題については、膨大な悪影響がトランプの頭脳に吹き込まれているのだ。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/02/11/why-trump-targeting-iran.html
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2017.2.11 02:00更新産経ニュース「安倍晋三首相「私は朝日新聞に勝った」 トランプ大統領「俺も勝った!」 ゴルフ会談で日米同盟はより強固になるか?」

今朝、孫崎享氏のメルマガで、この見出しを読んだときには意味がわからなかったが、解説を拝読して納得。個人的に、紙媒体購読を止めるにいたった理由が、判明したような気がする。本気で攻撃し、屈伏させたということのようだ。とんでもない話。ひどい属国に生きている!と悲しくなるばかり。

しかし、安保条約からみのタイミングで、必ず大役を演じる北朝鮮、宗主国との八百長でないとは、素人にはどうしても思えない。まるで歌舞伎。いやプロレスか。

2017年2月12日 (日)

新世界秩序から、はっきりしない世界混乱へ

Wayne MADSEN
2017年2月10日
Strategic Culture Foundation

ドナルド・トランプ政権と、Brexitによるイギリスと欧州連合との関係切断により、わずか半年程度で、世界は、アメリカの優位に基づく冷戦後“新世界秩序”から、多極的地政学チェス盤上における代替諸同盟という世界的“混乱”へと変化した。多くの点で、新たな世界的混乱は、NATO、米州機構 (米州機構)や、オーストラリア-ニュージーランド-アメリカ合州国の太平洋安全保障条約(ANZUS)同盟を含む様々な第二次世界大戦後の仕組みを危険にさらすことにもなった。

新たな世界的混乱の到来で、あらゆる国際関係教科書や戦略教本は投げ捨てられることになるかも知れない。トランプは首尾一貫しない政策を導入して、外交政策を開始した。一方で、トランプは“過激イスラム・テロ”との戦いで、ロシアと協力したいと主張している。ところが、トランプは、ニッキー・ヘイリー国連大使とジェームズ・マティス国防長官を通して、彼はNATOに肩入れし、ロシアにはクリミアから撤退して欲しいことを示している。毎年、ナショナル・フットボール・リーグのスーパーボウルでは、ペンタゴンと協力して、愛国的な軍関係のイベントを行うことが良く知られている。近年は、アフガニスタンやイラクのような場所に駐留しているアメリカ軍兵士が、ゲーム中やゲーム後、スタジアムのジャンボトロン・テレビ画面に映しだされていた。

2017年、ヒューストンでのスーパーボウルは違っていた。今年は、ポーランドのザガン基地からのアメリカ軍第3機甲旅団コンバットチーム、第4歩兵師団の実況番組だった。ペンタゴンの心理作戦専門家は、トランプの下、アメリカの新たな前線は、もはやイスラム過激派武装反抗勢力に対する戦争でのアフガニスタンやイラクではなく、新たな“敵”ロシアと対するポーランドだというメッセージを送りたかったのだ。画面は、ロシアとのより緊密な関係を求めたいというトランプの発言と一致しない。

トランプは、90,000人の兵士、陸軍の戦車増強、一隻120億ドルの新航空母艦を含む350隻の海軍艦船、23から36への海兵隊大隊増強と、空軍用の最新戦闘機100機を実現するために、アメリカ“国防”予算を増やしたい意志を表明している。これは、十年間で、軍事予算5000億ドルから、1兆ドルへの増加に等しい。

基本的に、トランプの国家安全保障チームは、ロシアと中国の両方と戦えて、戦場では、あらゆるロシアや中国の戦闘機、戦車や、艦船に匹敵する軍にしたいのだ。

トランプや国家安全保障顧問マイケル・フリン、マティスや他の国家安全保障チームのタカ派連中は、イランとの軍事的対立の下準備もしている。チーム・トランプは、3億ドルの精密誘導ミサイルや、何十億ドルもの先進的なF-16戦闘機をサウジアラビアの属国バーレーン用にサウジアラビアに輸出するのを承認し、イランとの緊張が高まるのを手助けした。これらは、イエメンとバーレーンのシーア派多数派に対する残虐な弾圧というサウジアラビアの戦争犯罪のかどで、オバマ政権が保留していた商談だ。トランプは、イエメン内戦でのサウジアラビアによる大量虐殺侵略継続も許可している。サウジアラビアとバーレンは、今やトランプにより、イランに対する軍事的優位を得る立場に置かれているのだ。有効なアメリカ・ビザや難民証明書や、元々、恒久アメリカ在住許可“グリーン・カード”を持ったイラク人の入国を禁止するトランプの大統領令は、イランの同盟国であるイラク政府をいらだたせ、アメリカ請負業者やジャーナリストに対するイラク・ビザ発給を制限すると誓約するまでになっている。これでは、イラクでアメリカ軍と戦っている「イスラム国」やアルカイダ不正規兵士連中を励ますことにしかならない。何であれ、バグダッド政府を脅かすものであれば、サウジアラビア政権にとっては良い知らせなのだ。

トランプは、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領との電話会談で、緊密なアメリカ-トルコ関係を強調した。2016年7月、エルドアンに対するクーデター未遂の後、トランプはニューヨーク・タイムズのインタビューで、エルドアンの反乱対応を賞賛した。クーデター未遂以来、エルドアンは、トルコから亡命した指導者で、元エルドアンの同盟者フェトフッラー・ギュレンと関連する人々を指す軽蔑的表現の、いわゆる“フェトフッラー・テロ組織(FETO)”を支持しているとされることを理由に、何百人ものジャーナリスト、軍や警察幹部、大学教授、公務員、政治家や実業家の逮捕と投獄を命じた。

ギュレンは、現在ペンシルヴェニア州に亡命中で、中央情報局(CIA)の庇護下にある。ところが、フリンや他のトランプの安全保安機構関係者連中は、政治亡命者のギュレンを、トルコに裁判と、まず確実に投獄、拷問と、おそらくは処刑に会わせるべく、引き渡しを支持している。

トランプのエルドアンとの同盟は、シリア内の「イスラム国」に対して、アメリカ合州国と提携しているクルド部隊と、イラク、アルビルにあるクルド地域政府の安全をも脅かすことになる。トルコは、シリアとイラクのクルド人は、クルド労働者党(PKK)の支持者だと見なしており、もしトランプsが、対クルディスタンで、エルドアン側につけば、周囲を囲まれた、この公認されていない国に対する、ワシントンによる再度の裏切りということになる。1970年、イラク軍事政権のために、クルド人の利益を犠牲にして、アメリカ国務長官ヘンリー・キッシンジャーは、クルド人を見捨てたのだ。

トランプの首席戦略官スティーブン・バノンは、フランシスコ教皇によるローマのマルタ騎士団(SMOM)の事実上の乗っ取りとなっているバチカンの“内戦”に関与していると考えられている。バノンは彼が教皇の“社会主義的なやり方”と見なしているものに反対なのだ。バチカンは大軍を保有しないミニ国家かも知れないが、バチカン-ワシントン関係の破断は、EUやNATOや他の伝統的な同盟に悪影響を与えることにしかならない。

トランプが環太平洋連携協定(TPP)貿易協定を拒絶したことで、アジア-太平洋地域は“管理された混乱”に落ち込んだ。国防長官としてのマティス最初の海外歴訪は、韓国と日本に、アメリカの軍事的誓約を再確認することだった。しかし、最大の推進者であったアメリカ合州国がTPPを放棄したことが、代替の中国の貿易圏、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)にはずみをつけた。TPP支持国で、アメリカ長年の同盟オーストラリアは今やRCEP参加に躍起になっている。オーストラリアのマルコム・ターンブル首相とトランプの難民交換を巡るけんか腰の電話会談で、オーストラリアは、トランプに立腹した。スポーツと国家威信を巡ってはオーストラリアにとって、友好的な競争相手ながら、ニュージーランドは、トランプとのけんかでは、オーストラリアの擁護に回った。結論は、ANZUS同盟は今や大きく損なわれたということなのだが、ともあれ、この同盟はとうの昔に有用性を失っていたのだ。

トランプとドイツのアンゲラ・メルケル首相や、フランスのフランソワ・オランド大統領とのつっけんどんな電話会談も、ヨーロッパ-大西洋とワシントンとのつながりを揺るがした。トランプは、オランドに、フランスや他のNATO加盟国は、アメリカに、NATOへの支出の借りを返すべきだと一喝した。欧州理事会議長ドナルド・トゥスクは、トランプを欧州連合にとっての“脅威”と呼んだ。

ホワイト・ハウスで、ヨルダンのアブドゥッラー国王と会談した後、トランプは、イスラエルはヨルダン川西岸の新たな入植地を発表するのを止めるべきだと発言して、イスラエル政府を驚かせた。トランプの言辞は、これまでホワイト・ハウスに住んだ大統領の中で最も親イスラエル的なあることを示唆しているが、イスラエルに対する彼の移り気な態度に、一部の中東観測筋は、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移動するというトランプの公約が、この地域での異なるアメリカ政策の単なる見せかけかどうか疑っている。

ワシントンに本部を置く、由緒はあるが、比較的地味で、役に立たない米州機構は、アメリカ-メキシコ国境に壁を建設するというトランプの公約や、米州機構やアメリカ大陸内の政治体制に復帰したキューバに対する恫喝のように生き残る可能性は少ない。中南米カリブ海諸国には、いずれもアメリカの加盟も影響力もない、米州ボリバル同盟、南米共同市(メルコスール)や、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)など、米州機構に対する、より価値ある代替組織がある。

これは新たな世界的混乱だが、多極世界への回帰と“唯一の超大国アメリカ”という地位の終焉というこの混乱は、長期的には恩恵なのかも知れない。しかしながら、短期的には、この混乱は、あらゆる大陸のあらゆる国の外務省や国際機関官僚を困惑させることになろう。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/02/10/from-new-world-order-hazy-global-disorder.html
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参勤交代についての夕方の大本営広報部特集、たまたま音を消してながめていた。有名女性記者が何を話していたのか、読唇術ができないのでわからない。知りたいとも思わない。

拝見したいのは、現代版治安維持法が作られようとしている中、2月25日から公開される『母 小林多喜二の母の物語』。

街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋
共謀罪は市民運動を殺す 昨日の中日新聞から 2017年2月8日

そして、こうしたインタビューや記事。

【再配信・IWJ_YouTube Live】18:00~「『リメンバー・パール・ハーバー』から『アメリカ・ファースト』へ――トランプ大統領と『戦後秩序』のゆくえ~岩上安身による神子島健氏(成城大学ほか非常勤講師)インタビュー 前編」
YouTube視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
ツイキャス視聴URL: http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi
※2月1日(水)に収録した、岩上安身による神子島健氏(成城大学ほか非常勤講師)インタビューの前編を再配信します。

「稲田はやめろ!」「言葉を壊すな!」稲田防衛相に辞任を求め国会前で約500人が声をあげる~安保法制廃止・南スーダン派遣中止を安倍政権に求める国会前抗議行動
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/362499「線量の高いところでは、半導体系のものは機能を失う」予想範囲内の大変さ?!~累積1000シーベルト耐性の堆積物除去ロボットのカメラが2時間で寿命が尽きた2号機PCV内作業の今後の見通しは?! 原子力安全改革プラン進捗報告
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/362496移転不可能はもはや自明! 6000億円をドブに捨てた石原氏と猪瀬氏の責任を問え! 築地市場移転ストップの立役者・宇都宮健児弁護士×水谷和子氏×中澤誠氏に岩上安身がインタビュー!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/362497

2017年2月11日 (土)

トランプは間違っている - イランではなく、サウジアラビアが世界一のテロ国家


© Fahad Shadeed / ロイター

John Wight
公開日時: 2017年2月9日 14:47
編集日時: 2017年2月9日 16:48
RT

ドナルド・トランプは、不都合な真実と並んで、あからさまな欺瞞をも解き放つ傾向がある大統領であることを証明しつつある。そうした欺瞞の中でも最も下卑たものの一つは、イランが“第一番のテロリスト国家”だという最近の主張だ。

2016年の大統領選挙運動中、そして1月に大統領に就任して以来、トランプはイランを彼の憤激の対象にしており、それは、極めて可能性がある、アメリカとの軍事的対立、それも、すぐにもありうるものに、イラン人が備えるのを正当化するほどになっている。

トランプ政権がイランを一貫して、継続的に悪者扱いしているのは、イランが、アメリカ人にとって脅威となっているまさに同じサラフィー主義-聖戦テロに対し、シリア、ロシア、クルド人やイランが支援するレバノン人レジスタンス運動ヒズボラとともに大黒柱となって戦っているという現実と真っ向から矛盾する。これはイランが近年資源と血を費やしている戦いで、そうした正義の行為は、アメリカ合州国を含む世界が、テヘランに感謝の言葉を述べてしかるべきものだ。

    ロシアは不同意#トランプのレッテル貼り#イランが世界第一のテロ国家 https://t.co/U4AjllcCsZpic.twitter.com/ObE6aWzvvM
    - RT アメリカ (@RT_America) 2017年2月6日。

実際は、大半の人々が良く承知している通り、現在、本当の世界第一のテロリスト国家は、イランではなく、サウジアラビア、アメリカの友人で同盟国。しかも、ワシントンはずっと前からこの事実は十分承知しているのだ。ジョン・ポデスタからヒラリー・クリントン宛ての2014年9月の電子メール(ウィキリークスが公表した、ヒラリー・クリントンの大統領選挙運動本部長ジョン・ポデスタとクリントンとの間の膨大な電子メールのやりとりのうちの一通)で、ポデスタはこう書いていた。“この軍事/準軍事作戦は進んでいるが、ISILやこの地域の他の過激スンナ派集団に、秘かな財政的、および兵站上の支援を提供しているカタールやサウジアラビア政府に圧力をかけるために、わが国の外交上および、より伝統的な諜報上の手先を利用する必要がある。

テロを、積極的に、物質的に支援しているサウジアラビアや他の湾岸諸国の役割に関する更なる証拠は、2015年の、サウジアラビア王家のメンバーがアルカイダを支援したと主張する、いわゆる20人目の9/11ハイジャッカー、ザカリアス・ムサウイの宣誓証言だ。9/11犠牲者家族かサウジアラビアを告訴した民事裁判の一環で、ムサウイは、9/11に至る過程で、テロ集団に金を寄付したサウジアラビア王家の 特定メンバーの名前まであげた。

    @政府高官に助言された後も保守派はサウジアラビア向け武器商談中止を拒否。https://t.co/eMQpmhvzRi
    - RT イギリス (@RTUKnews) 2017年2月9日

だが、たとえサウジアラビアと様々なサラフィー主義-聖戦テロ集団との間の、直接的なつながりの証拠がなくとも、国教として、サウジアラビアが奉じるスンナ派イスラム教の過激なワッハーブ派の解釈は、ISISやヌスラ戦線や、他のテロ組織のイデオロギーとほとんど区別がつかない。実際、世界中で、この過激で邪悪なイスラム教解釈が説教される場所であるモスクやイスラム・センターに、サウジアラビアが資金提供していることが、近年、大きな懸念の源になっている。

    ‘感情が理性に優先してはならない: #チュルキンが疑問視 #トランプの#イラン & #中国 (独占)との緊張を https://t.co/GONoQuoCqmpic.twitter.com/jRpLMHM4wB
    - RT (@RT_com) 2017年2月8日。

2015年 イギリスのインデペンデント紙が、サウジアラビアや他の湾岸君主国 - カタールとクウェートが - ドイツ国内の過激イスラム教集団を積極的に支援しているというドイツの国内諜報機関BfVが作成したとする漏洩諜報情報なる記事を掲載した。これはドナルド・トランプが、2015年8月、NBCの‘Meet The Press’でのインタビューで言った主張と一致する。インタビューで、NBC記者のチャック・トッドは、トランプに、2011年に、サウジアラビアに関して彼がした発言“あれは[サウジアラビアは]世界最大のテロへの資金提供者だ。サウジアラビアは、わが国のオイル・ダラー、わが国の金で、わが国の国民を破壊しようとしているテロリストに資金提供しながら、サウジアラビアは国防で我々に頼っている"を見せた。

更に読む
アメリカはサウジアラビア戦艦への攻撃後、誘導ミサイル駆逐艦をイエメン沖に配備

サウジアラビア残虐さと虚言癖は疑いようもない。国内で自国民を威嚇し、虐殺していない時には、それにアメリカとイギリスが共謀している、イエメンでの卑劣な戦争犯罪に余念がない。

テロを支援し 過激派を醸成する、サウジアラビアの役割に関するあらゆる証拠や得られた知識にもかかわらず、アメリカは一体なぜ、リヤドをイスラエルに継いで、地域で最も親密かつ重要な同盟国と見なし続けるのだろう? 単純な答えは貿易だ。

サウジアラビアはアメリカ国防産業の最大顧客、ドナルド・トランプが、イエメンにおける人権侵害をめぐり、オバマが課したサウジアラビア王国に対する更なる兵器輸出禁止を解除するという最近の決定で、維持しようとしている衣鉢だ。

イランが、トランプ政権の旅行禁止リストに載せられた大多数がイスラム教徒の国七カ国の一つであるのに対して、サウジアラビアも、他のどの湾岸諸国もそこにはないことも極めて重要だ。これだけでも、大統領が、彼がそう見せかけようとしているほど、テロとの戦いに本気でないことを証明するのに十分だ。

繰り返すが、イランがテロを後援し、資金提供し、醸成している国家なのではなく、サウジアラビアがそうなのだ。こういうことを大統領に指摘しなければならないという事実が、既に、ひっくり返ったままになっている大統領執務室の世界観を暗示している。

John Wightは、インデペンデント、モーニング・スター、ハフィントン・ポスト、カウンターパンチ、ロンドン・プログレッシブ・ジャーナルや、フォーリン・ポリシー・ジャーナルを含む世界中の新聞やウェブサイトに寄稿している。彼はRTやBBCラジオで、常連の解説者でもある。ジョンは、アラブの春における欧米の役割を探る本を書いている。@JohnWight1で、彼をツイッターで、フォローできる。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/376831-trump-saudi-arabia-iran/
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同盟強化という真っ赤なウソを大本営広報部はたれ流す(と思う。紙は購読しておらず、電気洗脳箱でも、彼らにまつわるものは極力見ないことにしているので、確証はない)。

宗主国による植民地支配強化にすぎない。タタールのくびきというのは歴史でならったが、「アメリカのくびき」は禁句。

2017年2月10日 (金)

アメリカ国家安全保障の主要人物として出現したスティーブン・バノン: 次は何が?

Matthew JAMISON
2017年2月7日
Strategic Culture Foundation

ドナルド・J・トランプ大統領が、閣僚やホワイト・ハウス政権の職務に任命した全員の中で、極右のブライトバート「ニュース」ウェブサイト元会長スティーブン・バノンが今やトランプ大統領首席戦略官に出世したのは、実に心配で不安だ。

バノンは労働者階級のアイルランド人カトリック教徒移民、民主党員でバージニア州に住む一家に生れた。極右オルタナ右翼思想の持ち主にしては、ジョージタウン大学と、ハーバード大学という驚くほど立派な学歴を彼はもっている。アメリカ最高の大学で過ごしたことは、知的な目覚めや、思想の洗練には、明らかに貢献しなかったようだ。

アメリカ海軍で軍務についた後、バノンは、婉曲的にゴールドマン・サックスとして知られている犯罪的職業、トランプ大統領が、選挙運動中に激しく非難し、金を貰って、そこで講演したと、ヒラリー・クリントンを攻撃したのとまさに同じゴールドマン・サックスにつとめた。「悪魔の寺院」の一つで財産を築いた後、「投資銀行」から、ハリウッドでの映画制作と「ドキュメンタリー」制作の道に進み、製作責任者として、シェークスピアの最も暗い劇の一つ『タイタス・アンドロニカス』の大画面版翻案 『In The Face of Evil』と題するロナルド・レーガンに関する政治的に保守的なドキュメンタリー制作や『Fire from the Heartland, Awakening of the Conservative Woman』など他のけばけばしい題名のプロジェクトや『The Undefeated』なる究極的なまでにばかげたサラ・ペイリン賛歌を手がけた。

ハリウッドの後、「オルタナ右翼」のよりどころとされるブライトバート・ニュース立ち上げに熱意をもって献身した。タイム誌は、ブライトバート・ニュースを、「人種差別主義、性差別主義、外国人嫌いや、反ユダヤ主義文書」を発行する代弁機関だと表現している。アメリカの伝統的な主流派保守運動を、ヨーロッパのネオナチ極右に良く似たものへと変容させる上で、バノンとブライトバートは大いに貢献した。バノンは、マリーヌ・ルペンを「新たな人気急上昇中の人物」と賞賛した。トランプのホワイト・ハウス首席戦略官に任命されて間もなく行われた奇怪なインタビューで、 バノンは、はっきりサタンを引き合いに出し、「暗黒は善だ。ディック・チェイニー。ダース・ヴェーダー。サタン。あれは権力だ。連中が誤解しているのは、我々にとって有利だ。我々が一体何者で、一体何をしているのか、連中が気がつかないうちは」と発言し、マスコミが、悪魔と比較する手間を省いた。これを読み返せば、政治的に合理的な人なら誰でも(しかも、そういう人々は現在実に不足しているのだが)バノンは長期療養を必要としていると結論するだろう 。ところが、この人物はトランプの大統領選挙運動本部長になっただけでなく、今やホワイト・ハウスの影響力と方針決定中枢内で、強大な権限まで得たのだ。

極めてまれな穏やかならぬ動きで、トランプ大統領は、バノンをアメリカ合州国国家安全保障会議常任メンバーに任命したのみならず、主要委員会メンバーにも任命し、一方、二つの極めて高位の国家安全保障の職位である、国家情報長官と統合参謀本部議長のメンバー資格を格下げし、彼らがブリーフィングした話題が、この会議で議論するのが適切と判断された場合のみ、出席を許されるものにした。国家情報長官と統合参謀本部議長の重要な戦略的役割を考えれば、彼らのブリーフィングに関係する問題がでないと考えるほうが無理だ。これは彼らが同席できなくする口実として、実に珍妙だ。これはアメリカ国家安全保障に関する未曾有の展開だ。政治顧問が、国家安全保障会議の正式メンバーになったことは,これまでなかった。オバマ大統領時代、ディヴィッド・アクセルロッドのように、大統領の要請で、特定の会議への出席を認められた人々はいるが、大統領首席戦略官が、NSCメンバーという地位を認められたことは決してなかった まして最上位の主要委員会にまで昇進したことは。国家安全保障会議は、国家安全保障や外交政策問題について、アメリカ大統領が検討するための主要な議論の場、意志決定機関として存在しているのだ。メンバーには、国務長官、国防長官や国家安全保障顧問が入っている。

バノンを国家安全保障会議メンバーに任命したことで、NSCが、党派心のない、特定のイデオロギーに偏らない国益や、国際的関心によってではなく、特定のイデオロギーに沿って、アメリカの外交政策や防衛政策を形成することに関心を持った、政治色の極めて濃い機関になってしまうのではという大きな懸念がある。

実際、バノンは、トランプ大統領の娘イヴァンカと、義理の父親により大統領首席顧問に任命された彼女の夫ジャレッド・クシュナーとともに、トランプ政権内で最も強力な当事者として、着実に頭角を表しつつあるように見える。おぞましいイスラム教徒入国禁止「大統領令」の至る所に、彼の影響力が見てとれる。国内政策や政治に対する、狂った、始末におえない彼の極右見解からして、我々は、かたずをのんで、彼の歪んだ心が、アメリカ合州国の国家安全保障政策を余りに汚染しないよう願うしかない。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/02/07/steve-bannon-emerges-key-us-national-security-figure-what-next.html
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彼が羽織っているジャケット、Barbourのように見える。娘のイヴァンカの手がける衣料、タグにMade in Chinaとあったと、昨日の「テレビ番組」でみた。彼の紹介も見た。

ネットで検索すると「私はレーニン主義者だ。レーニンは国家の破壊を目指していたが、それは私の目指だ。」という発言もあるようだ。

Ringside With Steve Bannon at Trump Tower as the President-Elect's Strategist Plots "An Entirely New Political Movement" (Exclusive) という記事の筆者は、

「連中が誤解しているのは、我々にとって有利だ。我々が一体何者で、一体何をしているのか、連中が気がつかないうちは」の「連中」とは、「彼の追放を呼びかけているリベラルとマスコミ」のことを意味すると思う、と書いている。

異常なパイロットが急降下し、乗客乗務員全員が死亡した事故を、思い出している。
いや、それよりも何度も書いている、子供時代に乗るのが楽しみだった上野動物園のお猿の電車。猿が本当に運転していると思っていた。
実社会、みぞゆうとでんでんではなく、バノンのような個人ではなく、属国民の税金で暮らす官僚たちの体制が、宗主国ため、属国をまるごと売るシナリオをせっせと推進する植民地地獄行きお猿の電車。

朝貢すれば、するほどむしり取られる永久植民地。

2017年2月 9日 (木)

トランプか、プーチンか? 最大の脅威という筋書きが破綻したEU

2017年2月4日 18:14
Finian Cunningham

欧州連合の機能不全を示すものがあるとすれば、それは今週、マルタ島の古代の要塞で撮影された28人の加盟諸国指導者の集合写真だ。

"要塞心理"ということで言えば、 ヨーロッパの大統領や首相たちは、EUの安定にとっての脅威としての北アフリカからの移民に対処することになっている。

ところが、連中のサミットでは、主題はアメリカのドナルド・トランプ大統領問題で、ホワイト・ハウスの新たな主が、EUにとって緊急課題となっているという感覚の共有だ。

"マルタ・サミットに集まった首相や大統領連中は、トランプの行動への酷評に加わり、敬意が欠如している非難した" とガーディアンは報じた

フランス大統領フランソワ・オランドは、もしEUが、トランプのポピュリスト愛国主義への反対で団結しなければ、EUは崩壊する運命となるとまで述べた。

ヨーロッパ指導者たちが、アメリカ新大統領を実存的脅威とする皮肉はお笑い種だ。何カ月もの間、全く同じヨーロッパ政治家連中は、欧米国家プロパガンダの言うがままに、EUの安定性にとって、最大の脅威は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領だと主張していたのだ。

ヨーロッパのマスコミは、アメリカのマスコミと同様、クレムリンは、EUの民主主義を打倒し、"ヨーロッパの価値観"を損ない、欧州統合に懐疑的な政党を助成して、EUを粉砕しようとしているという人騒がせな主張を押し出していた。

ドイツ首相アンゲラ・メルケルは、わずか数週間前、ロシア公務員ハッカー連中とおぼしきものが、アメリカで、ドナルド・トランプを当選させるためにしたとされるのと同様今度は連中の力をオランダ、フランスやドイツでの来る選挙に注ぐだろうと警告した

反ロシア恐怖を利用すしてきたこの背景を考えると、今週、EU指導者は、マルタで"ロシアの脅威"について、一言も触れないのは驚くべきことだ。

ヨーロッパ指導者とされる連中の全ての苦悩は、ドナルド・トランプが、連中の体制存続を弱体化していることに集中している。

これで、EU政治家の信ぴょう性がわかるだろう。連中は、ロシアに対するヒステリックな非難から切り替え、怖がる子供のように群れ、アメリカ新大統領が、いかに連中の終焉を招くか思い悩んでいる。

これは現職EU指導者集団が、現実から全くかけ離れている究極的な証拠だ。連中が来る選挙にびくびくしているのも不思議ではない。政府の舵取りをしている連中の無能さにうんざりしている怒れる有権者たちによって報いを受けるときがくるのを恐れているのだろうから。

EU徒党が自らの殻にこもっていることのもう一つの仰天する例は、今週ウクライナにおけるすさまじい攻撃だ。優柔不断な政治家連中は、ドナルド・トランプについて思い悩みながらも、ヨーロッパで荒れ狂っている戦争には、どうやら無関心だ。

2014年に、EUがアメリカと一緒に、クーデターで据えたキエフ政権が、今週、分離し自ら共和国を宣言したドネツクとルガンスクに対する徹底的な攻勢をしかけた。

2015年2月に、ミンスク和平合意が調印されて以来、最悪の攻撃として、ドネツク市と郊外の住宅地域に何千発ものロケット、迫撃砲や戦車砲の砲弾が雨あられと降り注いだ。

反政府派が占領している地域で、連中の軍隊が"前進している"ことをキエフ当局者はあからさまに認めた。ミンスク停戦の一方的違反は、欧州安全保障協力機構OSCEに所属する無力な監視員たちも確認しており、BBC映像は、アウディーイウカ町の集合住宅地域に潜む戦車を示している。

キエフ政権軍の砲火による何人かの一般市民の死亡が報じられており、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、非戦闘員を標的にすることを禁じる国際法"ジュネーブ協定の野蛮な違反だ"と非難した

ところが、これら戦争犯罪が、東ウクライナの人々に対して行われている中、キエフ政権のペトロ・ポロシェンコ大統領がベルリンを訪れていた。ロシア人に対する皆殺しポグロムを実行するのに、ウクライナ人代理部隊を利用したベルリンの卑劣な歴史を考えれば、これはむしろお似合いだ。

ヨーロッパにおけるこの犯罪的戦争の何一つ、マルタでEUに対する将来の脅威を議論すべく集まったとされるサミットを開催しているEU指導者の議題にはならないのだ。

信じがたいことに、ドイツ最高の報道機関ドイチェ・ヴェレは、世界の出来事の週刊ダイジェストで、キエフ政権と、そのネオナチ旅団による犯罪的略奪に触れる記事は一本もなかった。

イギリス国営放送BBCは、ロシアが "ウクライナに対する侵略"に油を注いでいると根拠のない主張をし、キエフの戦車が停戦に違反している自らのビデオ証拠を無視している。

アメリカとEUが支援しているキエフ政権による侵略の、のっぴきならぬ証拠とは別に、ここでのもう一つの重要な要素はタイミングだ。攻撃再開エスカレーションが起きたのが、アメリカのトランプ大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談をした翌日だということだ。先週土曜日の電話会談は、暖かいもので、ウクライナにおける紛争を終わらせようという両大統領の本気度を明確に示していたという

逆のことを示すあらゆる証拠にもかかわらず、攻撃開始を、あつかましくも、モスクワのせいにし、アメリカによる軍事支援をせがむ企みで、キエフ政権が翌日攻勢を開始した理由がそれであることは疑いようがない。トランプは、実際にプーチンと取り引きし、ウクライナを、堕落と破綻の中、悶々として暮らす羽目にさせかねないと、キエフ政権は茫然自失しているのだ。

もちろん、アメリカ上院議員ジョン・マケインなどの頼もしい欧米の代弁人は、マスコミに拡声器になってもらい、プーチンはトランプの決意を試しているのだ"と主張して、キエフ政権の策略を隠蔽してくれる。

恥ずかしいことに、トランプの新国連大使ニッキー・ヘイリーは、ウクライナへの"ロシア侵略"という途方もないたわごとを売り込んで醜態をさらけ出した。

例により、欧米の政治家やマスコミは、ウクライナの紛争を巡って、ウソと夢想で対応している。残酷なキエフ政権が、ワシントンとEUによる後援のもと、暴力で、選挙で選ばれた政府を打倒し、据えつけられた事実を、連中は正視できないのだ。さらになお悪いことに、東ウクライナの人々が押しつけられている苦難に対して、怠慢や意図的な歪曲をすることで、継続中の戦争犯罪に、欧米は加担しているのだ。

EUの終焉を、ドナルド・トランプやウラジーミル・プーチンのせいにするのは、無能な指導者連中による究極的な形の責任転嫁だ。連中は余りに無能で、連中の存在に対する脅威なるもの一体何なのかさえ決めることができないのだ。

犯罪的な戦争がヨーロッパで猛威を振るい、一般市民がドネツクの団地で粉々にされつつあるのに、その同じ時期に、いわゆるEU指導者連中は、今週マルタでのサミット中に、それについて語るのが適切だと思っていないのだ。

この調子では、我々が知っている欧州連合の命運は尽きている。支配者と普通市民の現実との間の乖離は余りに大きく、爆縮は不可避に思える。無責任さの究極は、ウクライナにおけるひどい危機を産み出しながら、現地住民の明らかな苦悩を議論することさえしないEUのやり口だ。

それどころではない。EU "指導者"は、トランプやプーチンによる、誇張された、あるいは想像上の脅威の論議に忙殺されているのだ。国内状況をきちんとし、国民の民主的な要求に対し、責任を負って、対応することは議題に無いのだ。

最後になるが、第二次世界大戦以来、最も不人気なフランス指導者フランソワ・オランドが、欧州理事会次期議長に出馬しようとしている。もう沢山だ。

本記事の見解はもっぱら著者のものであり、必ずしもスプートニクの公式的な立場を反映するものではない。

記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201702041050349426-trump-or-putin-eu-loses-plot-on-biggest-threat/
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大本営広報部各社幹部と食事を満喫した結果?TPP絶賛の大政翼賛報道を読まされた。
宗主国トップと、食事をともにし、ゴルフを楽しんだ結果、米日FTAで、それを更に上回る国益への被害を与えることになると考えるのは論理的だろう。

昨夜深夜の大本営広報部呆導、「TPPは一定の成果だったのに対して、FTAでは更に厳しい要求をつきつけられる」というご託宣。語るに落ちる。

この調子では、我々が知っている米日同盟の命運は尽きている。支配者と普通の市民の現実との間の乖離は余りに大きく、爆縮は不可避に思える。

植草一秀の『知られざる真実』
国民の利益を守るため2月9日正午官邸前集結

2017年2月 8日 (水)

トランプ政権はもはや終わったか?

Paul Craig ROBERTS
2017年2月6日

トランプ政権の見込みは明るく輝いてはいない。トランプの国防長官、マティス大将、“狂犬”というあだ名の通りであることが明らかになった。彼はイランは“世界最大のテロ支援国家”だと宣言したばかりだ。この暗愚な言いがかりの証拠が一体どこにある? そんなものは皆無だ。

真実を言えば、テロ国家は世界に二つしかない。イスラエルとアメリカだ。イスラエルはパレスチナ人を脅しており、 約70年間、脅しつづけてきた。アメリカは、世界のあらゆる国々を脅している。

全ての既知のイスラム・テロリストは、アメリカ政府が作り出したものだ。アルカイダは、ソ連のアフガニスタン占領に、聖戦主義で対決すべく、カーター政権によって作られた。ISISは、リビアのカダフィを打ち倒すべく、オバマ/ヒラリー政権によって作られ、更に、オバマ/ヒラリー政権によ、アサドを打ち倒すべく、シリアに送られたことを、元国防情報局長官で、トランプの国家安全保障顧問フリン中将が、TVで暴露した。ウクライナ・ネオナチのドネツクとルガンスク共和国攻撃も、民主的に選ばれたウクライナ政府をオバマ/ヒラリーが打倒したことで、解き放たれたのだ。全てのテロはワシントンとイスラエルにつながっている。

ワシントンがウクライナ政府を打倒した事実には議論の余地はない。ところが洗脳されたアメリカ人の大多数は、イランがテロ国家だという偽ニュースを信じているのと同様に、ロシアがウクライナを侵略したと思い込んでいる。

イランが、最後に侵略戦争を始めたのは、18世紀末の十年間で、イランはカフカスとジョージアを奪回したが、イランは、間もなくそれもロシアに奪われた。

現代のイランは、服従して、ワシントンの属国になるのを拒否している以外、何の犯罪もおかしていない。

更に、ロシアに救われたイランとシリアだけが、イスラム世界において、アメリカ属国、つまり、自らは何者でもなく、自立した外交政策も、自立した経済政策も無いただの属国ではない国だ。イランとシリアだけが、独自の政策をもっている。
イランは膨大な天然資源に恵まれた大国だ。イランには、大昔に遡る、長い独立と武勇、の歴史がある。現在、イランは、アメリカが作り出し、ネオコンがロシア連邦のイスラム地域に輸出を計画している聖戦主義の緩衝としてロシアにとって必要不可欠だ。結果的に、ロシアとの正常な、威嚇的でない関係を回復したいと望むなら、トランプにとって、イランは標的として最も不適当だ。ところが、彼の狂犬ペンタゴン長官は、イランが“テロ国家”だという無責任な脅迫的発言をしている。

私は間違っていた。マティス大将は、拷問の効果を否定し、トランプによれば、トランプを“拷問は効果がない”と説得したので、妥当な選択だと思っていた。どうやらマティスは、この認識を超えた、より高度な認識には到達できないようだ。トランプはマティスを首にする必要がある。

イランに対する威嚇に、イスラエルの影響が働いているのが見えるだろうか? 中東でアメリカ属国でない国はイランとシリアだけだ。シリア軍は戦闘で鍛えられており、それこそが、アメリカが支援するイスラエルと対決するのに必要なものだ。シリアもイランも、ナイル川からユーフラテス川までという、イスラエルの大イスラエル政策の邪魔になっている。シオニストにとって、パレスチナと南レバノンなど、始まりに過ぎない。

イスラエルは、神が彼らを追い出した土地に自らを再構築するのに、腐敗したイギリスを、そして現在は、腐敗したアメリカをまんまと利用した。これはイギリスとアメリカ政府の倫理と知性の良い証拠にはならない。しかし他に何か良い証拠などあるだろうか?

中国の勢力圏に介入するというマティスとティラーソンの威嚇も我々は耳にしている。トランプの被任命者たちは、もしトランプ政権が、イランと中国に照準を定めれば、ロシアとの関係を良くすることは不可能であることを理解することができないように見える。

トランプ政権が地政学的認識を進化できる可能性はあるのだろうか? 強気発言をするトランプ政権は、アメリカの外交政策や、アメリカ議会の投票に対して、イスラエルが行使している力を打倒できるほど十分頑強なのだろうか?

もしそうでなければ、更なる戦争は不可避だ。

24年間-犯罪人クリントン政権の八年間、犯罪人ブッシュ政権の八年間、犯罪人オバマ政権の八年間にわたり、ワシントンによる威嚇が、何百万人もの人々や国々丸ごとの死や破壊を招いたのを世界は目撃している。違うワシントンを、トランプ政権は世界に示す必要がある。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/02/06/trump-administration-already-paul-craig-roberts/

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大本営広報部大政翼賛会の虚報を見聞きすると洗脳される。時間をかけて、頭を破壊するのはいやなので、大本営広報部ではない、めがさめる記事、番組を選択して拝見している。大本営広報部の洗脳虚報を見る場合は、「ウソ」を言っていることの確認が主目的。

植草一秀の『知られざる真実』の下記記事、大本営広報部は決して書かないだろう。
極めて巧妙に上演されている小池都知事劇場

トランプ政権については、今朝の日刊IWJガイドの冒頭を引用させていただこう。

■<はじめに>「ウソ」を「オルタナティブ・ファクト(代替的真実)」と言い変えるトランプ大統領側近に「ゲド戦記」作者・ル=グウィンも怒り

 おはようございます。IWJ記者の福田玲子です。

 今、アメリカでは「オルタナティブ・ファクト」という言葉が注目を集めているそうです。

 ことの発端は、先月20日のトランプ大統領就任式の観客数が少なかった、というメディア報道を受けて、ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官が、根拠もなく「観客は過去最多だった」と反論したことです。その後、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問が、スパイサー報道官の発言を「ウソではなく、オルタナティブ・ファクト(代替的真実)です」と語ったことから、注目を集めました。

・トランプ氏、就任式の人数めぐり報道を「嘘」と攻撃 比較写真を否定(BBCニュースジャパン)
http://www.bbc.com/japanese/38709628

・米大統領報道官示した就任式聴衆規模は「代替的事実」-コンウェイ氏(ブルームバーグ)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK7RQ36K50XU01

 要するに単なる「ウソ」なのですが、「ウソ」を「代替的真実」などと違う言葉で置き換えると、まるでウソではなく、解釈の相違であるかのような印象ができあがります。

 これに対し、「ゲド戦記」などで知られる作家のアーシュラ・K・ル=グウィンは、ニュースサイトのOregonLive.comで、2月1日、「オルタナティブ・ファクト」とはつまりフィクションのことであり、ウソはウソでしかないと明解に発言しました。ル=グウィンは「太陽は東からのぼる。フィクションの世界では西からのぼることもあるけれど、それは事実ではない」と述べ、ウソをウソでないように見せる印象操作を批判しました。

・Ursula Le Guin on fiction vs. 'alternative facts': Letter to the editor(OregonLive.com)
http://www.oregonlive.com/opinion/index.ssf/2017/02/ursula_leguin_on_fiction_vs_al.html

 ウソをウソでないように見せる――。

 IWJでも特集を組んで報道している、TOKYO MXの報道バラエティ番組「ニュース女子」も、根は一緒ではないでしょうか。一昨日アップした記事の中でも指摘していますが、東京・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏は、「『ニュース女子』と東京新聞の論評が違うことを理由に、私に対して処分するというのは『言論の自由』の侵害だ」と言い切りました。当然のことですが、「デマ」「虚偽」を流すことは、報道の自由でも言論の自由でもありません。

※【全文掲載】「言論の自由」の侵害!? 東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が「ニュース女子」問題でトンデモ論を展開!公共の電波で「デマを流す自由」などない!(第11弾) 2017.2.7
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/361786

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2017年2月 7日 (火)

トランプのオルタナ右翼運動、ロシア叩きでソロスに合流

Wayne MADSEN
2017年2月5日
Strategic Culture Foundation

1941年に、ナチス・ドイツがソ連との不可侵条約を破り、ロシア領土への奇襲攻撃を開始して以来の極右による最もあからさまな裏切りの一つとして、ドナルド・トランプ大統領のいわゆる“オルタナ右翼”幹部が、ロシアがアメリカ大統領選挙に干渉したという非難の列に加わった。2016年の大統領選挙戦中は、トランプ当選を可能にするため、ロシアが民主党コンピューターに侵入して、票を“不正工作した”と、ジョージ・ソロスの非政府組織ネットワークから資金供給されている民主党が、非難するのがはやりだった。

選挙戦中、トランプと彼のチームは、より良いアメリカ・ロシア関係を主張し、彼らは正当に、ロシアに課した欧米による経済制裁を批判した。民主党候補者ヒラリー・クリントン選対本部長の電子メールを入手するため、チーム・トランプが、ロシア人コンピューター・ハッカーと一体になって動いていたという非難について、トランプ運動員は、やはり正当にも、反則だと宣言した。民主党のばかげた非難を否定した主要なトランプ運動員は、オルタナ右翼の最も重要な刊行物ブライトバート・ニュース元編集者のトランプ選挙運動本部長スティーブン・バノンだった。

これまでは伝統的に、統合参謀本部議長がなっていたアメリカ国家安全保障会議のメンバーに、バノンがなって間もなく、オルタナ右翼メディアのトランプ忠臣連中は、2016年選挙戦中のトランプの選挙集会登場で起きた抗議集会や、2017年1月20日の就任式典中に起きた抗議は、モスクワに本拠を置く“反グローバル主義”書記局とされるものを通して、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によって“秘かに”資金提供されていたという常軌を逸した話を打ち出しはじめた。気違いじみた陰謀論のオルタナ右翼仕出し屋が作り出したこの話は、ロシアは、現金を“マルクス-レーニン主義集団”に秘かに注ぎ込んで、反トランプ抗議行動に資金提供していることを暗示している。皮肉にも、選挙戦中、この全く同一の極右陰謀論者連中は、それは反トランプ抗議行動の黒幕であるソロスに支援された“進歩派”左翼集団のしわざだと結論づけていた。

同時に、トランプのオルタナ右翼ウェブ行列の連中は、反トランプ運動の背後にあるロシアの策略を押し出し、トランプの国家安全保障顧問、マイケル・フリン元陸軍中将はイランに対して示威行動を開始し、バノンは、オルタナ右翼運動の友人たちに、数年内に、アメリカ合州国は、中国と戦争をするという予言を漏らした。もちろんロシアは、上海協力機構(SCO)や他の同盟組織により、イランと中国の戦略的パートナーだ。一方、元海兵隊大将の国防長官ジェームズ“狂犬”マティスは、日本と韓国に飛んで、両国に、トランプは安保条約を遵守しつづけると請け合った。マティスは、彼の上院指名承認公聴会において、中国とロシアに対する強硬路線を示していた。

新たな危険な冷戦の恐怖という点で、ヒラリー・クリントン大統領になれば、ロシアと中国に対して、軍事的、政治的緊張を高めることになるだろうという恐怖が、多数の有権者に“二つの悪のうちのよりまし”として、トランプを選ばせたのだ。ところが実は壮大な規模の“おとり商法”作戦で、オルタナ右翼や連中のホワイト・ハウスの中心人物バノンが声援をおくる中、ロシア、中国、イランや他の国々との危険な瀬戸際政策を進めているのはトランプ本人に他ならないようだ。驚くべきことに、ジョージ・W・ブッシュとバラク・オバマ政権を苦しめた無用な戦争の類を避けるだろう候補者としてトランプを持ち上げたのはオルタナ右翼だった。ニューヨークを本拠とする不動産屋詐欺師と、彼のオルタナ右翼世界の“役に立つ馬鹿”集団に、アメリカ人はすっかり振り回されている。

冷戦時代の悪名高い“赤狩り”ウィスコンシン州選出のジョセフ・マッカーシー上院議員の酔ってぼけた精神にも等しい陰謀論で、トランプのオルタナ右翼チームは今や、アメリカ合州国内の二つの左翼団体“ワーカーズ・オブ・ザ・ワールド”と“フリーダム・ロード・ソーシャリスト”は、トランプに関係する活動を混乱させるために、反ソロス、反欧州連合で、反”カラー革命”である、モスクワに本部がある反グロバリゼーション運動(AGM)から秘かに金をもらっていると主張している。この陰謀論は、AGM理事長であるロシア人実業家のアレクサンドル・イオノフを巻き込み、陰謀論者連中は、彼がプーチン大統領から命令を受けていると主張している。オルタナ右翼は“ワーカーズ・オブ・ザ・ワールド”と“フリーダム・ロード・ソーシャリスト”の指導部が、秘密裏にモスクワに飛び、反トランプ抗議行動戦術の訓練を受けたと主張している。オルタナ右翼の陰謀論は、ロシア人ハッカーがウィキリークスやトランプのお仲間と協力してアメリカ大統領選挙に“侵入した”という左翼陰謀論と同様、信ぴょう性がない。

さらにばかばかしいのが、AGMは、環太平洋連携協定(TPP)や他の貿易協定に反対するため、ソロスの影響を受けた左翼団体や、トランプのオルタナ右翼超妄想騒音の枠組み外にいる右翼集団と秘かに協力しているというオルタナ右翼の主張だ。狂気の理論によれば、この左翼・右翼連合勢力は、モスクワが支援する他の集団“ソーシャリスト・オルタナティブ”の狙いを推進している。さらに、アメリカ“第五列”のリストに、別の反トランプ団体“DisruptJ20”という名の社会主義団体が追加された。右翼は何十年も“リスト”に夢中なのだ。

そうしたたわごとを発表しているオルタナ右翼組織が、トランプ・ホワイト・ハウスと太いつながりがあるという事実さえなければ、この“壮大な陰謀”は、真面目に相手にする価値のない信ぴょう性のないたわごとの山として片付けられよう。オルタナ右翼運動や、バノンやスティーブン・ミラーなどのトランプ顧問や、トランプ“移民禁止”大統領令の立案者連中が、白人至上主義者やネオナチと太いつながりがあるのも気がかりだ。

ロシアを反トランプ抗議行動に結びつけようという企てをしているロシア嫌いの一人に、私を含め、彼と意見が違う人々のことを“左翼歪曲商人”やら“赤いおむつの幼児”だといって非難する極右のニュージーランド人、トレバー・ラウダンがいる。ラウダンは、ジョー・マッカーシーの亡霊を呼び起こし、アメリカ合州国で反トランプ運動をしている連中は、ほぼ全員プーチン大統領とつながる“共産主義者と社会主義者”だと主張している。オルタナ右翼不条理劇場の更なる不条理だ。こうしたトランプ支持者連中は、ロシア衛星放送局のRTを、本格的にアメリカ国家安全保障捜査することも主張している。

ロシアにまつわるあきれた陰謀論は、オルタナ右翼が発するばかばかしい大ぼらだけではない。選挙戦中、クリントン選挙本部長ジョン・ポデスタの電子メールが公表された際、この同じ重い精神障害連中集団は、ワシントンD.C.にある二軒のピザ屋が、クリントン、ポデスタ、ハイチ人児童支援団体や他の多数の人々が関与している、性的児童虐待の国際的徒党の中心だという、とっぴで実に誹謗中傷的な話をでっちあげた。このとるに足らない夢想は、陰謀論神話信者の一人が、ノースカロライナからワシントンD.C.までドライブし、一軒のピザ店内で半自動ライフルを数発発砲し、すんでのところで惨劇になるところだった。

トランプ大統領は今やアメリカとロシアや中国、イラン、キューバ、イエメンや他の国々との関係を酷く損なおうとしている錯乱したオルタナ右翼陰謀論者連中というサイバースペース内の“パンドラの箱”を開けたのだ。インターネットで可能になった技術のおかげで、誰でもオンライン誌発行人、インターネット・ラジオ司会者、あるいは、YouTubeテレビ評論家にさえなれる。とは言え、今やこうしたトランプに近い連中につながる狂った陰謀論の性格からして、適切な配慮として、必ずしも全員に無制限のウェブ・アクセス享受を認め、無茶で有害な狂気のたわごとを延々わめき散らさせてはなるまい。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/02/05/trump-alt-right-movement-joins-soros-russia-bashing.html
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大本営広報部が「辺野古工事再開」を一斉に報じているのは、もうあきらめろ!属国民!という意思を伝える狙いなのだろうか?

たっぷりみかじめ料を払っている日本は、世界へのお手本だ。といわれて何が嬉しいのだろう。ここ数日、世界最大の情けない属国の恥部を立て続けに見せられ続けている。

今日の日刊IWJガイドの一部をコピーさせていただこう。大本営広報部を隅から隅まで読み、見聞きしても、こういう視点からのものを捜すのは困難だろう。

 昨日6日は、早朝から反対派の市民がキャンプ・シュワブのゲート前に集まり、工事開始に抗議する集会を開催。名護市長の稲嶺進氏も急遽駆け付け、「日本政府は沖縄県民を日本国民として扱っていない」と憤りの声をあげました。

・名護市長ら抗議「また負担を押し付け」 辺野古工事再開(朝日新聞、2017年2月6日)
http://digital.asahi.com/articles/ASK2635RKK26TIPE005.html

 一方、2月10日に日米首脳会談を控えた安倍総理は昨日、首相官邸で行われた政府与党連絡会議で、「日米同盟は揺るがないという明確なメッセージを世界に向けて発信したい」と述べました。

・首相 日米首脳会談で“同盟は揺るがないと世界に発信”(NHK、2017年2月6日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170206/k10010866401000.html

 このタイミングで辺野古での工事が再開されたのも、先日のマティス国防長官による来日、そして2月10日にトランプ大統領との日米首脳会談を控えていることが影響していると考えられます。安倍政権にとって「沖縄」は、米国の歓心を買うための手土産なのでしょうか。

 オバマ氏からトランプ氏に政権が変わり、いわゆる既存の「ジャパン・ハンドラー」(リチャード・アーミテージ氏やマイケル・グリーン氏など)による影響力が低下したとはいえ、米国による日本への要求は依然として継続しているようです。いやむしろ、日本の側から異常なまでの「対米従属」を望み、国家主権を積極的に放棄しようとしていると言ったほうが正確かもしれません。

 辺野古での新基地建設だけでなく、米国内での雇用を70万人規模で創出するために、「日米成長雇用イニシアチブ」などと称し、国民の貴重な年金を「献上」するのだという安倍総理。「保守」などとはとても呼べないその「売国」ぶりについて、IWJではこれまで、改憲や「英語」化、天皇陛下の「生前退位(譲位)」の問題など、様々な角度から焦点を当てて報じつづけてきました。

 ぜひ、下記URLよりアーカイブ動画をご視聴ください!オリバー・ストーン監督が映画『スノーデン』で明らかにし、記者会見でも岩上さんの質問に応じて明示した「米国の情報機関によって、日本のインフラに仕掛けられたマルウェア」の話も見逃せません。

※2016/01/26 「英語化」の裏にあるビジネス利権!米国の属国だった日本はこれから植民地になっていく!? ~『英語化は愚民化』著者・施光恒氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/284349

※2016/02/17 憲法学の「神様」がIWJに降臨!前代未聞!樋口陽一・東京大学名誉教授が岩上安身のインタビューで自民党改憲草案の狙いを丸裸に!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/287549

※2016/12/02 「米軍の占領体制は今も継続されている」――謎の権力機関「日米合同委員会」の知られざる実像とは!? 「戦後最大のタブー」について岩上安身がジャーナリスト・吉田敏浩氏に訊く!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/349136

※2016/11/29 安倍総理はなぜ日本国憲法を忌み嫌うのか――『日本会議 戦前回帰への情念』著者、戦史研究家・山崎雅弘氏に岩上安身が訊く!「自民党改憲草案は『国家神道』の封印を一つ一つ解くものだ」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/348288

※2017.1.29【岩上安身のツイ録】米国の同盟国をやめた瞬間にCIAのマルウェアが日本中のインフラを崩壊させる!?――映画『スノーデン』オリバー・ストーン監督への岩上安身の質問文字起こしを掲載!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/360188

※IWJのサポート会員にご登録いただければ、すべての動画アーカイブをご視聴いただくことができます。
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

2017年2月 6日 (月)

自由の女神をフランスに送り返そう

Eric ZUESSE
2017年2月4日
Strategic Culture Foundation

現在のアメリカは自らを嘲笑の的にしている。今、自由の女神は泣いている。だから女神を、やって来た元の国に返そうではないか。ヨーロッパ人は女神の象徴的意味を好むかも知れない。結局、ヨーロッパから、移民を受け入れたのと同様に、女神もヨーロッパから受け入れたのだ。

ドナルド・トランプは、アメリカがメキシコ人の入国を阻止するために構築する壁の費用をメキシコ人に支払わせることはできないかも知れないが、ヨーロッパ人は、贈るに値していたが、今やそうではないアメリカに、フランスが贈った、この象徴的な像を取り戻すのに代金を払うだろうか?

思いやりを支持し、偏狭さに反対するこの建造物は、今や比喩的に場違いなものに過ぎなくなっているが、フランス人は女神を喜んで受け取るかも知れず、おそらく何百万人ものヨーロッパ人は、皮肉にも、1886年10月28日に、フランスがアメリカに自由の女神像を寄贈する前、ほぼ全てのアメリカ移民が、そこからやって来ていた国々であるヨーロッパへの帰還を歓迎するため、女神を見て、触れ、足元に立つため、誇りをもってお金を支払うだろう。

アメリカ国土安全保障省は、最新の2015年データで、アメリカは、69,920人の人々を難民認定したと報じている。2012年以来、法的に、アメリカに入国する難民の年間最大人数は、70,000人とされている。

同年、ヨーロッパでは、1,322,825人の庇護申請者がおり、そのうち69%が認められた。

EC統計局の難民統計は、発表の通り、ヨーロッパの圧倒的に小さな国々の圧倒的多数がアメリカよりも圧倒的に多い人数を受け入れていることを以下のように述べている。

2015年、第一次審査では、EU-28カ国での全ての肯定的な決定の約75%が、難民認定だったが、一方、最終決定の比率は若干低く、69%だ。…

2015年、第一次審査での難民受け入れ決定比率が一番高かったのは、ブルガリア(91%)で、それに、マルタ、デンマークとオランダが続く。逆に、ラトビア、ハンガリーとポーランドでは、第一次審査での棄却率は、80%を超えている。…

最終審査での棄却率が一番高いのは、エストニア、リトアニアとポルトガルで、全ての最終審査結果は、棄却だった…

ドイツでの第一次庇護申請者人数は、2014年の173,000人から、2015年の442,000人へと増えた … ハンガリー、スウェーデンとオーストリアも、2014年から2015年までの間に、極めて大きく増加した(第一次庇護申請者が、全て50,000人以上増えた)。比較して、第一次申請者人数が最大の増加となったのは、フィンランド (9倍以上)、ハンガリー (4倍以上)と、オーストリア (3倍以上)、一方、ベルギー、スペイン、ドイツ、ルクセンブルク、アイルランドとスウェーデンでは、第一次庇護申請者の人数は倍以上になった。対照的に、ルーマニア、クロアチア、リトアニア、スロベニアとラトビアは、2015年の第一次庇護申請者人数は、2014年より少ない。

EU-28総計中のドイツの比率は、2014年の31%から、2015年の35%に増加したが、一方EU-28総計の中で比率が大きく増えた他のEU加盟国は、ハンガリー(6.6パーセント増加して、13.9%)、オーストリア(2.2パーセント増加して、6.8%)と、フィンランド(1.9パーセント増加して、2.6%)だ。逆に、EU-28総計中のフランスとイタリアの比率は、2014年から、2015年までの間に、約5パーセントから、それぞれ5.6%と、6.6%に減った。 …

シリアは、ドイツでの159,000人の申請者(2015年、EU加盟国の一国に対する、特定一カ国からの最大申請者数)を含め、28のEU加盟諸国中12カ国で最大申請者数を占め、ハンガリーで、64,000人、スウェーデンで、51000人が申請した。ハンガリーでは、約46,000人のアフガニスタン人が申請した、スウェーデンでは、41,000人が、ドイツでは、31,000人が申請した。更にドイツでは、54,000人のアルバニア人、33,000人のコソボ人と、30,000人のイラク人も庇護申請をした。2015年に、一つの国から、30,000人以上の庇護申請者を受け入れた他のEU加盟国は無い。…

2015年、全てのEU加盟諸国で、593,000人が第一次審査を受けた。最大の人数の受け入れ決定をしたのはドイツで、… 2015年、EU-28での第一次審査の40%以上を占めていた。更に、最終審査では、183,000人で、ドイツが、またもや遥かに大きな比率(51%)を占める。

遥かに大きな国アメリカ合州国は、ドナルド・トランプ新大統領の下で、年間受け入れ難民数を、現在のわずか70,000人から、さらに大幅に減らすと約束している。

国民一人あたりで計算すると、ヨーロッパは、アメリカが受け入れている難民の七倍を受け入れている。アメリカもヨーロッパも、難民受け入れを増やすのではなく、大幅に減らすことが予想されている。

すると自由の女神は、今でもアメリカを代表しているのだろうか それとも、そうではなく、かつてそうだったが、もはやそうではないアメリカを代表するにすぎないのだろうか?

この問題を考える際、難民が難民になった原因が一体何かも考えることになる。シリアは、2015年のヨーロッパに入った難民の最大の源だった。彼らは一体何から逃れているのだろう? 欧米が資金をだしたシリア全国の世論調査によれば、彼らは主に、アルカイダが支援するシリアを乗っ取ろうとしている聖戦士集団を支援しているアメリカの爆弾と爆撃機から逃れている。もちろん欧米マスコミは、彼らは主にシリア政府に対する‘穏健反政府派’を殺そうとしているシリア政府とその同盟国による爆撃や爆撃機から逃れていると報じてきた。

これは、アメリカがシリアを(そこで、アメリカは実際は侵略者だった)一年間爆撃し、ロシア(侵略者ではなく、アメリカ-サウジアラビア同盟による政権打倒を防ぐために、シリア政府から要請された)が2015年9月30日に爆撃を開始した、2015年の数字なのだ。シリア人は、主にシリアを乗っ取ろうとしている聖戦士と、サウジアラビアが資金供給する聖戦士連中を支援しているアメリカによる爆撃から逃れている。(しかも、圧倒的大多数の住民は、‘反政府派支配地域’とオバマが遠回しに呼んでいる地域から、依然シリア政府の支配下にある地域へと逃れている。)

同年、ヨーロッパに流入した二番目と三番目の難民源は、イラクとアフガニスタン、2001年、アメリカ内でのサウジアラビア王家の9/11攻撃への報復として、アメリカが爆撃を開始した二国だ。新トランプ政権は、9/11や、それと同様、この七カ国のどこかの人々が行ったわけではない他の聖戦主義者による攻撃を理由に、シリア、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダンとイエメンという七カ国からの難民に対して報復しているのだ。実際、アメリカが、これら七カ国からの入国拒否を発表した、まさにその瞬間、サウド王家は、シリアのアルカイダとISIS両方を支援しているのみならず、アメリカ製爆弾をイエメンのシーア派に投下していた。しかも、トランプは、シリアとイエメン両国からの難民受け入れを停止し、サウド王家とアメリカ支配層が征服したがっている二国に対するアメリカ侵略の犠牲者がアメリカに逃避するのを完全に断ち切った。ヨーロッパがこれら難民を受け入れるのだろうか?

アメリカによる侵略に、今や鎖国政策の強化まで加わったが、いずれの現実も、欧米の神話には合わない。だから自由の女神は欧米のウソにも泣いているかも知れない。女神は、難民で、世界にとっての見本にもなっていることで、はみ出しものとして、この国にふさわしくなくなってしまったのだ。女神は、精神的に、もはやこの国には所属していない。女神も、送り主に返送されつつある居留外国人として、公式にトランプ大統領の入国禁止リストにも含まれるようになるかも知れない。あるいは、もしトランプが、フランスに女神を送り返したら、メキシコ人が入国できなくするための壁の建設で、メキシコ人に費用を支払わせようと彼が計画しているような、像の建立費用(フランスで建立されたのだから)ではないが、フランス指導部に何らかの代償を交渉しようとするだろう。

トランプは、彼の‘政治的に間違った’新形‘アメリカ主義’を一体どこまで押し進めるつもりなのだろう?

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/02/04/ship-statue-liberty-back-france.html

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お台場に、自由の女神があったような記憶がある。これは、決して、日本が贈るにふさわしい国柄だという理由ではなく、単なる「日本におけるフランス年」記念の残滓(一時拝借したものが好評だったので、レプリカを作った)のようだ。そのうちカジノもできるだろう。

想像通りの区長選結果を見て、憂鬱になった。〇〇劇場が、××劇場に変わっただけ。自民党をぶっ潰すという大本営広報部総力をあげた連日の洗脳活動の結果、現在の政治状況になっている。これが一層ひどくなるに過ぎない。都民第一どころか、巨体企業第一、宗主国第一がひどくなるだけ。

大本営広報部を見聞きしておらず、社会情報は基本的にIWJガイドに頼っている。今朝のIWJガイドの一部をコピーさせていただこう。

安倍総理とマティス国防長官が、基地負担の大きさに反対する沖縄の民意を、まったく無視して話を進めていたまさにその日、2月3日に沖縄県うるま市では、在沖米海兵隊員の息子で米国籍の高校生が、総菜品店への住居侵入と強盗の容疑で逮捕されました。

・米海兵隊員の息子を強盗容疑で逮捕(琉球新報、2017年2月4日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-438957.html

 トランプ政権下でも、沖縄に米軍基地負担を押しつける差別的構造には、何の変化もありません。日米両政府に、怒りを禁じえません。

 マティス国防長官の発言で、辺野古での米軍基地建設は、米国が求めている要求であることがはっきりしました。「アメリカ・ファースト」は、米国内だけにとどめておいてもらいたいものですが、米帝国内の属国・属領に対しても、問答無用の「アメリカ・ファースト」を押しつけてくる模様です。それに対して、何のためらいもなく、同じく自らも「アメリカ・ファースト」を唱和してみせる日本政府の奴隷根性には、あ然とさせられます。

 本日のニュース・フラッシュ!では、米国のインフラ開発に、なんと日本国民の年金を積み立てて運用しているGPIFから、巨額の投資をしようとしている件についても触れています。

 ここでも安倍政権は、「アメリカ・ファースト」でブレることはありません!私たちの年金資金を米国のために、5兆円も使うなどという暴挙を、私たちは許していていいのでしょうか!?

 どこまでも対米隷属姿勢を続ける日本政府ですが、トランプ新政権は、イスラム系7カ国出身者の入国を禁止するなど、横暴な大統領令を乱発してきましたが、米国内では「司法の独立」が機能していて、大統領令が無効であるとの判決が下され、イスラム系7カ国からの入国が再開されています。

 トランプ氏は全能の独裁者のようにふるまおうとしていますが、それが貫けるかどうかは未知数であり、日本政府はこれまでのように、米国の時の政権にどこまでも従属していれば、「かわいい子分」として扱ってもらえるだろうと、依存心たっぷりの甘えた態度をとっていますが、トランプ氏がこのまま人気を全うできるかさえ、怪しくなってきました。

 そんなトランプ政権下での日米関係については、先日、岩上さんが元外務省国際情報局長の孫崎享氏にインタビューをしてお聞きしていますので、ぜひ、ご視聴ください。

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※スティーブン・バノン氏とは何者か――トランプ大統領、「大暴走」の背後にネオコンも警戒する「オルタナ右翼」の存在!岩上安身が孫崎享氏に訊く! 2017.2.3
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/361037
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2017年2月 5日 (日)

クリスティア・フリーランド: 在オタワ・キエフ外務大臣

Michael Jabara CARLEY
2017年1月23日
Strategic Culture Foundation

2017年1月10日火曜日、カナダ首相ジャスティン・トルドーは、在任わずか14カ月で内閣を改造した。最も報道に値する変化は、ステファン・ディオン外務大臣の罷免と、これまで国際貿易大臣だったクリスティア・フリーランドを後任にしたことだ。内閣改造は、ディオンに対するひどい扱いと、フリーランドを彼の後継者指名がなければ、さほど話題になっていなかった可能性が高い。元カナダ自由党党首で、1996年以来国会議員のディオンは、罷免に関して何の事前通知もされていなかった。“公務とカナダに大いに貢献した長年の友人で同僚”とトルドーは言い、それは確かに真実だ。だがディオンが今でもトルドーを“友人”だと考えているとは私には思えない。


“公務とカナダに大いに貢献した長年の友人で同僚”。本当だろうか?

1995年の接戦だったケベック住民投票後、元首相のジャン・クレティエンが、ディオンに入閣を依頼した。連邦側は僅か0.5%の勝利だった。1996年、ディオンは政府間問題担当大臣となり、連邦政府が、その下で、地方政府と分離の条件を交渉する条件を規定するクラリティ法立法を監督した。カナダ連邦から分離するという、ケベックによる将来のあらゆる取り組みに対処すべく、この法律が制定されたのだ。ディオンは、ケベック分離主義の頑強な反対者として名を馳せた。

2015年の連邦選挙運動で、自由党は、保守党政府のロシア連邦に対する敵対的政策を翻すことを提案した。非常に結構なことだ、基本的な利害の衝突が全くない国と一体なぜ争う必要があるだろうと一部のカナダ人は考えた。その通りだとディオンは考え、外務大臣に任命されると、カナダ政府はロシアとの、より建設的関係を再建することに取り組むと宣言した。

ディオンはこの政策をさほど進めることはできなかった。閣内で、ほとんど支持がなかったに違いない。2015年の国政選挙戦中でさえ、トルドーは、特にウクライナに関して、ロシアに敵対的な保守党の方針を維持した。プーチンは“弱いものいじめをする悪党だ”とトルドーは言った。ロシアは“侵略”などのかどで有罪なのだ。ウクライナ系だと主張して、2014年2月、選挙で選ばれたウクライナ政府を打倒した、キエフのいわゆるマイダン蜂起参加者を支持する自由党国会議員が何人かいる。こうした議員の中で最も目立ったのが、フリーランドだった。彼女は国際貿易大臣に任命された。それは結構だ、おそらくディオンの対ロシア方針の邪魔はするまいと思うむきもあった。彼女がそうしたのか否か、我々にはわからない。


2014年、フリーランドは親マイダン国会議員として最も目立っていた。

おそらく大半の人々が当時知らなかったのは、フリーランドが、歯に衣着せぬウクライナ“民族主義者”だということだ。彼女は政界に入る前はジャーナリストで、ロシア政府と、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対する心からの敵意を再三明らかにしていた。フリーランドは、1990年代、しばらくモスクワで過ごし、ロシア語を話し、ロシア文学を愛すると主張している。それ以外は、彼女はロシア嫌いで、プーチンと、彼が代表するロシアを猛烈に憎んでいる。明らかに、ディオンを罷免し、代わりに、フリーランドを後継者にするというトルドーの決定から引き出せる論理的な結論は、首相がモスクワとのより建設的な関係という自由党の約束を破棄したということだ。


「この父にして、この子あり」というのは父親のピエール・エリオット・トルドーとはほとんど似つかないトルドー・ジュニアには、あてはまらない。

誰も驚くことはない。これは欧米の選挙でよくある結果だ。A党に投票したのに、B党が権力をとる、あるいは、B党に投票したのに、A党が権力をとる。我々が好もうと、好むまいと、我が国を支配している“1パーセント”の強力なエリート、“陰の政府”を打ち負かすことができないのだから、投票は無意味なのだ。「この父にして、この子あり」は、できる限りカナダの独立のために立ち上がる覚悟のある、勇敢で、いささか変わり者の独立心のある首相だった、父親のピエール・エリオット・トルドーとは似ても似つかないトルドー・ジュニアには当てはまらない。

2015年選挙の後、トルドー・ジュニアは、ネオリベラルのバラク・オバマと会うべく、ワシントンに駆けつけた。彼の覇権者に対する忠誠の誓いの儀式というのが、トルドーとワシントンのオバマとのやりとりの大げさな画像を解釈する唯一の方法だ。

だから、アメリカ大統領選挙で、事実上全員にとって驚くべきことに、オバマが選んだ後継者ヒラリー・クリントンが、ドナルド・トランプに敗北した際、首相は驚き、不安になったに違いない。トランプは選挙運動中、ロシア連邦とうまくやりたいと明言していた。その方が、為になるように思えると、彼は言っていた。それはそうだろうが、彼のこの姿勢は、オバマ・ネオリベラル連中のみならず、彼自身の共和党内のネオコンを怒らせた。トルドー・ジュニアは、アメリカの陰の政府が、トランプがアメリカ-ロシア関係を良くするのを許さないだろうと計算したのだろうか? さほどうまくない賭事師でさえ、そういう賭けならできるだろう。だから、フリーランドの任命は、さして影響はなく、ロシアに対するアメリカの敵意の継続と、最終的に一致するだろう。もしトランプがアメリカの政策を変えれば、アメリカの臣下として、トルドーもそれに習うだろう。フリーランドが、そうできるかどうかは疑問だが。


2015年選挙の後、トルドー・ジュニアは、ネオリベラルのバラク・オバマと会うべく、ワシントンに駆けつけた。

キエフでのクーデター後、フリーランドは、いわゆるマイダン蜂起参加者、“民主主義の擁護のためなら、戦い、拷問され、死さえ辞さない”という大絶賛を突如始めた。カナダが、アメリカ政府の命令で経済制裁を課した際、モスクワは、フリーランドを、ペルソナ・ノン・グラータだと宣言して反撃した。カナダの新外務大臣はロシア連邦に足を踏み入れることができないのだ。ロシア人は現実主義者で、彼らに話かけるほとんど誰に対しても答える。ところが、フリーランドは、いささか行き過ぎかも知れないが、不思議ではない。彼女は、ロシアとプーチン大統領に関する憎悪に満ちた偽りの記事の数々を残している。2014年11月のそうした記事の一つで、彼女は「イスラム国」と同じ文章に、プーチンを置いた。これは連座で、決して、デリカシーがあるとは言えないが、フリーランドは、ロシアの話となると、デリカシーなど全く気にしないのだ。“プーチンのクレムリンは、ロシア人がピノチェト風独裁的政治支配と呼ぶものと、市場改革とを結びつけたものを目指しているように見えた… ところが今やロシアは、独裁的で、一層専制的な収奪政治で、しかも戦争しか頭にないものへと退化した[強調は筆者による]”。フリーランドの記事題名は“プーチンの脆弱な鉄のカーテン”だ。彼女のイメージは、1945年冷戦後のものだ。彼女が言いたいことは、プーチンの“鉄のカーテン”は崩壊しようとしているということだ。“もし疑われるのであれば、プーチンはそうではないことに留意願いたい。彼の攻勢は、彼の政権の脆弱さへの認識から出ている… [それが理由だ]彼が新たな鉄のカーテンを構築しようとしている…”。プーチンがするあらゆることは、彼の個人的権力を維持するためのものだ。それは、彼がロシア国家の国益と思うものには決して役立たない。

フリーランドによれば、プーチンは金銭ずくと自暴自棄から、民主主義や出版の自由を追放するに至った。実際は、選挙は正当なもので、ロシアの印刷媒体も、放送局も、欧米のMSM、つまり主流マスコミより遙かに大きな意見の多様性を認めている。私のロシア人同僚、ドミトリー・バビッチの言葉を引用すれば“プーチン政権は[いわゆる]リベラルなメディアが、その全くの愚劣さと偏見をさらすのを邪魔していない”。

フリーランドの悪意ある誇張は、ウェブ中に転移している。彼女は自らを“ウクライナ民主主義者”と見なしている。カナダで、そもそもカナダ人ではない外務大臣で、我々は一体何をしようとしているのだろう? ウクライナ“民主主義者”フリーランドは、一体どのような権益、一体どのような目的に仕えようとしているのだろう? トルドー・ジュニアは、一体、彼の閣僚の扇動的な記事をどれか読んだことがあるのだろうか?

他にもいくつか例がある。これは2011年のものだ。ロシア連邦が新オスマン帝国で、“ヨーロッパの病人”であるがごとく、プーチンは“ロシア’のサルタン”だ。この比喩的表現のほとばしりは、ドミトリー・メドベージェフが、プーチンが第三期目に出馬できるよう、大統領の座を降りるつもりだと発表した後に起きた。ロシアは、その意味が何であれ“サルタン風、つまりネオ世襲政権”に変身した。“ロシアのサルタン支配への移行は、世界の他の国々… 世界の列強諸国-ロシアが何としてもそこに所属したがっている集団と歩調が合っていない-クレムリンの支配者は‘朕は国家なり’と言いさえすれば良い。中国は確かに独裁主義だが、それはまさにプーチンが構築しそこねた一党国家なのだ。”

一体何という疑似科学的たわごと! キエフで、アメリカと、EUが支援したクーデターが成功した後、フリーランドはあらゆる節度を放棄したのだ。フリーランドによれば、民主的に選ばれた大統領ヴィクトル・ヤヌコーヴィチを打倒することで、ウクライナは彼らの民主的権利を行使したのだ。数カ月後に予定されていた選挙を、連中は待ちきれなかったのだろうと私は思う。当時の我慢できなかった民主主義者は、いささか興奮し、敵対する人々を殺害し、偽旗作戦によるキエフ街頭の人々への銃撃を仕組み、それをヤヌコーヴィチのせいにした。政府打倒作戦は、長期にわたり、50億ドルの資金で支援されたと、当時のアメリカ国務次官補ビクトリア・ヌーランドは自慢した。ヌーランドは、キエフで、暴徒連中、あるいは、あえてこう言うべきだろうか、フリーランドの“民主主義者”に、サンドイッチとビスケットを配った人物の一人だったのを覚えておられるかもしれない。


マイダン支持者の一部は、連中は、彼らに反対するあらゆる人々を脅迫するため、1930年代のナチス・ドイツのものを思わせる松明行進を演じた。

暴徒連中が、ファシストのように見え、それらしく行動したことに気がついている人々もいる。“過激民族主義者”というのが、彼らを意味する欧米警察用語だ。こうした集団の中には、武装集団の右派セクターやネオ-ファシストのスヴォボダ党がある。彼らはファシストではないと、フリーランドは主張する。しかし連中は服装や、民兵制服、入れ墨に、ナチスのかぎ十字やSS記章をつけている。連中は、彼らに反対するあらゆる人々を脅迫するため、1930年代のナチス・ドイツのものを思わせる松明行進を演じた。連中は、オデッサ、マリウポリ、ドネツク地域や他の場所で、あえて彼らに立ち上がった人々を大虐殺した。Apply duck rule: もしファシストのような歩き方をし、ファシストのように語り、ファシストのように振る舞えば、それはおそらくファシストだ。“ごくわずかの腐ったリンゴ”に過ぎないと、ワシントンではいわれている。ナチス協力者で、いわゆるウクライナ民族主義者組織やウクライナ蜂起軍(OUN/UPA)、第二次世界大戦中、ドイツ国防軍やSSとともに戦ったステパーン・バンデーラが国民のアイドルに変身させられた。


現在のウクライナでは、ナチス協力者が国民のアイドルに変身している。

フリーランドの反ロシア論議については、いくらでも続けることが可能だ。クリミアと東ウクライナのロシア語話者住民が、キエフのファシスト民兵に対して、自らを守るために武器をとって立ち上がると、フリーランドは、それをロシア“侵略”と呼んだ。ウクライナ国内の、キエフにおけるクーデターに抵抗するあらゆる行動は、過去も、今も違法だ。クリミア住民の大多数がロシアへの再編入に投票したにもかかわらず、クリミアでの住民投票は違法だ。ウクライナ内戦を解決することを狙ったミンスク合意にフリーランドは気がつかなかったようだ。キエフ軍事政権が、それを一日たりとも尊重しなかったためなのは確実だ。ドンバスの一般住民はキエフの武装暴漢による容赦のない日々の爆撃の標的にされている。

フリーランドのロシア嫌いの反プーチン暴言は、彼女が誇らしげに認めている通り“往々にして、クレムリンを不快にさせた長い紙の軌跡”を残している。彼女は母側の祖父母はスターリン主義者による迫害の犠牲者だと言っている。実際は、彼らは信念の固いナチス協力者だったようだ。フリーランドは、首尾一貫でないにせよ、取るにたらない人物だ。彼女は、祖父母というネオナチの精神的子孫を支持している。彼女は自らを、何よりも“ウクライナ系カナダ人活動家”と称している。彼女は、キエフ軍事政権の狙いを、オタワで追求するつもりなのだろうか? どうもそのようだ。彼女自身の言葉を信じれば、彼女は、ロシア連邦とその大統領と戦うつもりのだ。“ほぼ十五年間、ジグザグした後、プーチンのロシアは進路を選んだ。現在ロシアは、拡張主義の野望を持った、自らは国際条約と規範によって拘束されないと考えている独裁国家だ。国内で権力を確保すべく、プーチンは、限界を外国で試すことに決めたのだ。ウクライナ国内であれ、他の場所であれ、いつの日か、我々は彼を止めなければならない”。フリーランドは、プーチンを一体どのように“止めるよう”提案するのだろう? その仕事をすることになるこの“我々”とは一体誰なのだろう?

“ナンセンス・イン; ナンセンス・アウト”(馬鹿げた入力をすれば、馬鹿げた出力になる)という古いコンピュータの格言を想起願いたい。ロシアとプーチンに対する見方は、ウクライナの超“民族主義”プリズムで歪められている。ロシアとプーチンに関するフリーランドの偽りの歪曲と勘違いに基づくことになれば、カナダ-ロシア関係は歴史的最悪に向かうことになる。カナダのためでない狙いを持った、この種の外国系カナダ人にカナダ外交政策を運営して欲しいと我々は望んでいるのだろうか?“いつの日か、我々は彼を止めなければならない”とフリーランドはプーチンについて書いている。これは一体何を意味しているのだろう? これは脅威で… 大げさで、危険なたわごとのように聞こえる。この類の煽動的な言辞を、我々はカナダ人として、わが国の外務大臣に望んでいるのだろうか? 前回選挙で自由党に投票したカナダ人として、私はあえて、そうでないことを望む。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/01/23/chrystia-freeland-kiev-minister-foreign-affairs-ottawa.html

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彼女の先祖は、ウクライナ・ファシストという記事がある。

Chrystia Freeland’s Family Record for Nazi War Profiteering, and Murder of the Cracow Jews January 19th, 2017

ファシストの末裔、宗主国の手先にふさわしいもののようだ。アジアの先兵、北米の先兵。

2017年2月 4日 (土)

普通のアメリカ人に対する戦争

Paul Craig Roberts
2017年2月1日

Sakerは冷静な人物だ。彼が少数独裁支配者と“リベラル/進歩派/左翼”と自称する連中の異様な同盟による、トランプ大統領に対する脅威を、彼が詳説しているのを私は重く受け止めている。“憂慮すべきトランプ派”と呼んで嫌悪して“ リベラル/進歩派/左翼”が、平和ではなく、戦争を進める連中、労働者階級に対立する1パーセントと組んでいるのは驚くべきことだ。

Sakerは、トランプが深刻な打倒の脅威に晒されており、即反撃しなければ負けると考えている。http://www.unz.com/tsaker/a-color-revolution-is-under-way-in-the-united-states/

読者の皆様は非常に賢明でおられるので、読者の一部の方々がSakerと同じ結論に至っても私は決して驚かない。読者の一人は、こう書いておられる。

かつては道理をわきまえていた左翼-リベラル・ウェブサイトですらもが狂っていることに、私はすっかりあきれ返っています。Alternetは巨大なヒステリー工場と化しました。Counterpunchは、マイク・ホィットニーや、あなた(こちらのウェブの記事を拝読しているので、そう思うのですが)やダイアナ・ジョンストンや、他のごく僅かな人々の良い記事を掲載していましたが、こうしたサイトまで流れに乗っているのが信じられません。90年代に、ニュースレターが始まって以来、私はCPを読んできました。今年まで、彼らは(あなたのサイトの次に)コンピュータをつけると見にゆくお気に入りサイトの一つでした。彼らの“レジスタンスを越えて - 急速に進展するトランプ独裁制を打倒する”と題する新たな記事は信じられません。そして、もう一本: “追放された民主主義と、全体主義の呪い”。更にもう一本。“イスラム教徒入国禁止、現代の白人至上主義とファシズム”。パトリック・コーバーンは“トランプのイスラム教徒入国禁止は更なるテロ攻撃を引き起こすだけ”という記事を書きました。ワールド・ソーシャリストのウェブサイトWSウェブサイトまで気が変になってしまいました。

ドイツ左翼主要サイトのほぼ全てが狂ってしまいました。一方、結局は、ほぼ全ての抗議団体はソロスの金が資金源のようです。一方で、国民の40%は、洗脳手法であるMKウルトラ計画の対象にされたに違いないと思われます。他に一体どうすれば、こうした集団ヒステリーを作り出せるでしょう?

トランプ大統領反対抗議行動参加者との議論の水準はこういうものだ。http://ijr.com/2017/01/790842-protester-calls-on-crowd-to-start-killing-people-wait-till-you-find-out-what-she-does-for-a-living/?utm_source=email&utm_campaign=morning-newsletter&utm_medium=owned

十五年間にわたる七カ国のイスラム教徒殺害より、イスラム移民禁止のほうが遥かに酷いと考える愚かな人々が多数いるのに驚く私に、読者の皆様も共感されよう。ブッシュとオバマの二人は、大統領を務めた四期中、イスラム教徒の大虐殺を行ったのに、抗議行動参加者は誰も、全くの戦争犯罪、人類に対する犯罪のかどで、連中の弾劾を要求していない。ところがトランプの完全に合法的な対移民行動は弾劾の理由になるとされるのだ!

抗議行動参加者は全く馬鹿げているので、仕立てあげられているものに違いない。街頭に出ている抗議行動参加者全員ではないにせよ、抗議行動派のウェブは、9/11の公式説明と、公式説明が正当化しているでっちあげの“対テロ戦争”を受け入れているのだから、論理的には、イスラム教徒は、既に本質的に(ネオコンとイスラエルに聞いて頂きたい)ワシントンによる死や破壊を逃れて、アメリカ人に害を与えようと秘かに考えているかも知れない“テロリスト”のはずなのだ。支配的な公式説明からすれば、連中を入国させるのは無責任だろう。

だが、抗議行動参加者にとってはそうではない。イスラム教徒をテロリストに追いやりかねないものは、彼らの家族に対する殺人ではなかったし、彼らの家や国の破壊ではなかった。彼らをテロリストに変えるのは、難民としての入国を禁止することなのだ!

21世紀に入ってからのアメリカとヨーロッパ政治指導部の非常識さをご想像願いたい。欧米諸政府は、実に大変な死と破壊を加えることで、復讐心を抱いているかも知れない人々を移民として受け入れる何百万人ものイスラム難民を産み出したのだ。

アメリカとヨーロッパには、リベラル/進歩派/左翼なるものは存在せず、キエフのマイダン抗議行動や、現在のマケドニアやハンガリーで画策されているようなソロスが提供する資金で雇われた抗議行動参加者しかいないと結論しなければならないのだろうか?

正しかろうと、間違っていようと、これが多くの人々の結論だ。

不当な抗議行動は、あらゆる抗議行動の信用を傷つける。一握りの支配者連中が、連中による支配を回復しようと動きながら、正当な抗議行動の威信を事前に損なうため、反対運動を手駒として利用するのを我々は目撃しているのだろうか?

ある鋭いハンガリー国民は、反トランプ抗議行動と、ハンガリー政府に対して、ソロスが画策している抗議行動との類似を見抜いている。

ロバート博士

 オルバーン・ヴィクトルが三分の二という多数の支持で勝った2010年、そして再度彼が勝利した2014年以来、我々が耐えることを強いられたのとそっくりなアメリカの状況を見聞きするにつれ、ソロスが資金提供するNGOが猛烈に蔓延していて、あからさまな反ソロスな政府の国、ハンガリー国民として、心がとても痛みます。
 現在、我々ハンガリー人にとって、アメリカ人と共有すべき、一つの極めて重要な経験があると思うのです。それはこういうことです。
 ソロスや彼のNGOや、権力を目指すあらゆる党派のお仲間連中にとっては、尊重すべき大切なことなど皆無なのです。こうした考え方は、我々多くのハンガリー人にとって受け入れることは極めて困難です。権力を得たり、取り戻したりするためなら、連中は国を犠牲にし、連中は未来、国民、あらゆるものを犠牲にするのをいといません。
 私はアメリカからのニュースを読み、憎悪に満ちているらしい群衆の写真を目にしています。連中は、国民に選ばれて権力の座についた政府を、連中が“ファシスト、ナチス、反民主的、反ユダヤ”などと呼んだのとは対照的に、“民主主義者”と自称したがっていたハンガリーの野党が率いて国中で行進した(幸いなことにすっかり消え去った)群衆にそっくりです。こうした群衆は偽善の権化です。“愛”というスローガンを唱えながら、連中は権力のため、憎悪心から行動しており、情理を尽くして話し合うことを拒否しています。彼らは事実を考えるのを拒否しています。連中は自らをリベラルと称していますが、全く不寛容な行動で、自由に反する行動をしています。トランプ大統領に投票した人々は、愛国的だったのだと思います。
 もし私の想定が正しければ、連中が確固たる支配をしようとしている国や帝国を、ソロスや彼のNGOやお仲間が、ちゅうちょなく踏みにじるという現実が浸透するまでには、かなり時間がかかることも意味しています。彼らは人々のためには支配していないのです。連中の利益のために、国民や帝国を搾取できる立場にい続けるべく、連中には権力が必要なのです。これは、愛国者にとっては受け入れがたい考え方です。アメリカ人有権者たちが、これに気がつくのが早ければ早いほど、プロパガンダ・キャンペーンや、主流マスコミが嬉しげに掲載する非常に目立つ抗議行動に対しての抵抗力がより強くなります。トランプ大統領をあやつる余地は、それぞれの時点で、連中が享受する、大衆による支持に正比例することに留意するのが重要です。
 あらゆる人々のため、世界をより良く、より安全な場所にするために費やされているロバーツ博士の貴重なお仕事全てにお礼申し上げます。

敬具

アニタ

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/02/01/war-ordinary-americans-paul-craig-roberts/
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「GPIF米インフラに投資」という話題で、下記文章を思い出した。

富国と強兵』543ページ

戦後日本の「強兵」なき「富国」など、しょせんは冷戦という特異な国際環境に咲いた徒花に過ぎない。冷戦後の「失われた二十年」とは、「強兵」を放棄して国民には「富国」など望むべくもないという教訓である。

ロバーツ氏の意見はともあれ、宗主国・属国間で略奪的FTA締結を命じられることは確実だろう。

尖閣は安保の対象という電気洗脳箱の呆導に強烈な違和感を抱いていた。紙媒体は購読していないので、どのような提灯記事なのか読んでいない。(最近、勧誘員が来たので、「とっていません」とお断りした。)

今朝の日刊IWJガイドウイークエンド版には、違和感が明記されている。一部を引用させていただこう。

■<はじめに>強烈な違和感と既視感!マティス米国防長官来日、尖閣に日米安保適用発言でマスコミが大はしゃぎ!(原佑介)

 「米マティス国防長官 日米安保条約5条 沖縄・尖閣諸島に適用と明言 政府高官」――。

 これは昨日、NHKがわざわざテレビの速報テロップで流した文言です。「米国の新国防長官様が尖閣を守ってくれるとおっしゃってくれたぞ!さぁ全国民、喜べー!」…みたいなニュアンスを感じて気持ち悪くてしかたがないのは、僕の性格が歪んでいるからでしょうか?

 昨日、「マッド・ドッグ」の異名をもつ米国のマティス国防長官が来日し、安倍総理と官邸で会談しました。日経新聞によると、マティス国防長官は冒頭、尖閣諸島などを念頭に、米国の対日防衛義務を定めた日米全保条約第5条が「本当に重要なものであると明確にしたい」と発言し、「5年先、10年先も変わることはない」と述べたということです。

※米国防長官「尖閣に日米安保適用」 首相と会談 政府高官が明らかに(日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H3O_T00C17A2MM8000/?dg=1&nf=1

 おそらく、会談は頭撮りだけだったのでしょうね。各社とも、「会談に同席した政府高官」の話として、マティス国防長官が会談の中で、米国の日本に対する防衛義務を定めた日米安保条約第5条が「沖縄県の尖閣諸島に適用される」と明言したことを伝えています。

 オバマ前大統領が2014年4月、日米首脳会談後の会見で「日本の施政下にある領土は、尖閣諸島を含め、日米安保条約第5条の適用対象になる」と明言したときも、マスコミは「安倍総理の大手柄!」と言わんばかりに大騒ぎでした。また、昨年1月には米太平洋軍司令官のハリー・ハリス氏が、「中国に攻撃されれば尖閣を守る」と発言した際も、メディアは「踏み込んだ発言!」「異例!」と大はしゃぎしました。

※「中国から攻撃あれば尖閣を守る」 米軍司令官が言及(朝日新聞)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ1X3166J1XUHBI00D.html

 岩上さんは2010年5月11日、当時の岡田克也外務大臣の定例会見で、2005年に日米両国が発表した「日米同盟変革と再編」の中で「島嶼部の防衛は第一義的に自衛隊がやるもの」という旨が明記されていることを指摘。岡田外相より、外務省の公式見解として「一義的に日本を守るのは当然日本人です。自衛隊です」という見解を引き出しています。

※2010/05/11 尖閣諸島への侵略想定で「一義的に日本を守るのは当然日本人、自衛隊」と岡田大臣が明言 ~岡田外務大臣会見
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/15918

 『仮面の日米同盟』の著者で国際ジャーナリストの春名幹男氏も、尖閣に関する米側の発言は、「中国への警告と日本への『リップサービス』」であると分析します。

 春名さんは岩上さんが昨年行ったインタビューの中で、「1997年の日米ガイドライン改定で、米軍は日本防衛から撤退し始めている。それを認めたくない外務省が、意図的な翻訳によってガイドラインの内容をごまかしている。だから有事の際、米軍が日本を守るとは限らない」と指摘し、外務省が「日米新ガイドライン」の中身を作為的に誤訳することで、日米同盟が実際の取り決め以上に強固にみえるよう操作されている現実を紹介しました。

※「米軍は日本を守らない!」という事実が米公文書によって明らかに! 政府が日米新ガイドラインに施した翻訳上の姑息な仕掛けとは!? ~『仮面の日米同盟』著者・春名幹男氏に岩上安身が直撃インタビュー第1弾 2016.1.28
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/284665

 昨日岩上さんがインタビューした孫崎さんもこれについてさっそくインタビュー内でコメントしてくれていますので、後ほどご報告します。

 しかし、政府だけでなく、メディアぐるみで属国根性が染みついているのだと考えると暗い気持ちになりますね。昨日の会談で安倍総理は「マティス長官、そしてトランプ政権との間で、日米同盟が揺るぎないと内外に示していくことができると確信している」と強調。さらに、集団的自衛権を行使する「安保法制」について説明し、日本が安全保障分野において積極的な役割を果たしていく考えを伝えたということです。

 マティス氏は本日、稲田朋美防衛相と会談し、安全保障に関して話し合うということですが、どんな結果が待っているのでしょうか。

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ペンタゴンに妨害されているトランプ

Paul Craig Roberts
2017年2月1日

トランプ大統領は、アメリカをロシアと良い関係にし、イスラム諸国を攻撃する軍事協力を止めたいと言っている。だが彼はペンタゴンによる卑劣な攻撃をうけつつある。

ヨーロッパ駐留アメリカ軍司令官ベン・ホッジス中将がポーランドのロシア国境に戦車を並べ、一斉射撃し、ホッジス中将は、軍事演習ではなく、ロシアへのメッセージだと言った。http://russia-insider.com/en/us-tanks-fire-salvos-poland-warning-against-russia/ri18767

ヨーロッパにいるアメリカ軍司令官がロシアを言動で威嚇する中、トランプは、一体どうやってロシアとの関係を正常化するつもりだろう?

ペンタゴン広報担当ジョン・ドリアン大佐によれば、ペンタゴンはシリアの“穏健反政府派”に装甲車両を送っている。ロシアとシリアが対ISIS戦争で勝利するのを防げないので、ペンタゴンは和平交渉を頓挫させようと励んでいる。

軍安保複合体は、イランとの紛争を再開させ、中国に対する威嚇を継続するため、下院と上院のあやつり人形連中を駆使している。

彼の課題でも、最重要の事柄、熱核保有大国との和平と他国の内政への干渉停止を、トランプが掌握できていないのは明らかだ。

トランプは、ロシアと和解しながら、同時にイランと中国と戦争することはできない。ロシア政府は馬鹿ではない。ロシアは欧米と取り引きするために、中国とイランを裏切ることはしない。イランは、ロシア連邦内のイスラム国民に対する聖戦主義の波及を防ぐ緩衝だ。ロシアにとって、中国は、トランプがアメリカ/ロシア間の緊張を和らげるのに成功したとして、トランプの後継者が、アメリカがロシアへの敵意を再開するのに対する、最も重要な軍事上、経済上の戦略的同盟国だ。アメリカの世界覇権という狙いをもって、軍安保複合体と連合しているネオコンは、トランプ政権より長く生き続けるのだ。

しかも、中国は興隆しつつあり、堕落し、人間性を失った欧米は衰えつつある。欧米との取り引きなど何の価値もない。欧米と取り引きする国々は、財政的、政治的搾取にさらされる。そうした国々は属国になる。例外は無い。

欧米の仲間になりたいというロシアの願望は厄介だ。ロシアは中国とアジアと連携して、安全保障体制を構築し、この成功に参加したがる欧米が、ロシアにやってきて、取り引きをせがむようにさせるべきなのだ。

決定者になれる時に、一体なぜ懇願者になる必要があるだろう?

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/02/01/trump-sabotaged-pentagon-paul-craig-roberts/

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マッカーサーは厚木海軍飛行場にやってきた。今回の人物は横田アメリカ軍基地に到着し、そこから、ヘリコプターで、赤坂に移動した。「宗主国に占領されたままの属国」という構図そのもの、皆様、何の不思議も感じないのだろうか。

宗主国が武力介入、侵略したイスラム諸国の人々の入国禁止、この属国の人々や、大本営広報部の反応はどうなのだろう?

「価値観を同じくする」こと、宗主国の支配的考え方を是認することは、中近東での侵略戦争、ウクライナや他の東欧での内政干渉を是認することに等しい。難民発生の本当の原因である侵略戦争に反対しないで、難民受け入れ拒否だけに反対するのは、ロバーツ氏が指摘する通り正気ではない。

ところで、Information Clearinghouseに転載される彼の記事に、最近は、彼を支持しないコメントが増えている。

2017年2月 3日 (金)

レックス・ティラーソンと、来るべき神話とウソと石油戦争

F. William Engdahl
New Easter Outlook
2017年1月29日

巨大企業エクソン・モービル石油の元CEOレックス・ティラーソンは、外交経験ゆえに国務長官に指名されたわけではない。彼がその地位についたのは、明らかに、トランプの背後にいるウォーレン・バフェットや、デイヴィッド・ロックフェラーや、ヘンリー・キッシンジャーや他の長老連中のトランプ・プロジェクトが、今後四年間、アメリカ外交政策を導くのに、巨大石油企業の人物を欲しがっていたからに他ならない。

大統領として、トランプは、アメリカの石油ではなく、高価なカナダのタール・サンド・スラッジを輸送する、物議をかもしているキーストンXLパイプラインに既に許可を与えた。彼の経済連携協定は、シェール石油生産の環境に対する危険については、好意的な姿勢をとっている。だが最も重要なのは、“石油を支配すれば、国民丸ごと、あるいはいくつもの国家集団を支配できる”という良く引用されるキッシンジャー発言を思いおこさせる、石油を巡る支配の本格的再編を、ティラーソン国務長官によって、アメリカが計画しているということだ。

近未来に、エクソン・モービル、シェブロン、シェルとBPという、四大英米石油巨大企業のオイル・ゲームが、本当は一体何かを正確に理解するため、益々重要になるだろうと考えるので、ここで、炭化水素生成に関する私自身の考え方の変化について個人的説明をさしあげたいと思う。神話とウソのでっちあげと、究極的には、そうした神話とウソに基づく石油戦争に関するお話だ。

2002年末頃、ブッシュ-チェイニーアメリカ政権が、イラクを破壊し、サダム・フセインを追い出すと固く決めているのがあきらかになった。あの時点で、アメリカ政府は一体なぜ、イラクによる、何らかの現実的あるいは想像上の脅威排除のために、ヨーロッパや他の主要同盟国と決裂する可能性というリスクをおかすのかということを私は大いに不思議に思った。もっと深い理由があるに違いないと私は自分に言い聞かせた。

その後、友人が、故マイケル・ルパートが設立した今はもう更新停止しているウェブサイト「From The Wilderness」のある記事を送ってくれた。記事は、地中の石油の量は有限で、急速になくなりつつあるという主張を詳しく説明するものだった。史上最大の油田、サウジアラビアのガワールは非常に枯渇したがゆえに、益々減少しつつある原油を得るため、毎日、何百万バレルもの水の注入が必要なのだとあった。ロシアは石油生産の“ピーク”を過ぎたとも主張していた。有名なガウスの釣り鐘曲線グラフで、その考え方を図示していた。世界は、一世紀以上の炭化水素時代の後、余りに多くの石油を消費したので、我々は“絶対ピーク”に近づいている。そう主張していた。

絶対ピークとは?

深く調べるうちに、ピーク・オイルという主題に関する他の記事を発見した。狂ったイラク戦争の説明になるように思われたのだ。結局、推計によれば、イラクには、サウジアラビアに続いて、世界で二番目に大きな未開発石油埋蔵量があるのだ。もし石油がそれほど供給不足なのであれば、これが理由説明になるだろう。

世界の石油の将来と、戦争と平和、世界の繁栄か、飢餓かという重要な問題に対するその影響という極めて重大な疑問を研究しなければならないと私は決意した。

2004年5月、ベルリンで開催されたピーク・オイル研究協会(ASPO)なるものの年次会議に私はでかけた。そこで私は、ピーク・オイルの権威者たちに出会った。油井の産出量に関する彼の研究が、ピーク・オイル運動に、一見科学的な根拠を与えていた元テクサコの地質学者コリン・キャンベル、テキサス州の石油銀行家で、ガワール油田は完全に盛りを過ぎたと主張する、Twilight in the Desert(砂漠のたそがれ)と題する本を書いたマット・シモンズ。マイク・ルパートも、ピーク・オイルの著者リチャード・ハインバーグもいた。

ところが、ピーク・オイルの背後にある地球物理学の高水準な科学的実証をしてもらえるどころか、パリにある国際エネルギー機関のエネルギー専門家などのピーク・オイル批判者たちと、パリからの演者に対し、本格的な科学説明をするのではなく、単なる人身攻撃で反撃する様々なピーク・オイル唱導者との間の激烈でとげとげしい口論を目の当たりにして、私は大いに失望した。

数週間後、スウェーデンのウプサラ大学で、ピーク・オイルに関して、より深い科学的論議をするつもりで、当時のASPOインターナショナル理事長、スゥエーデン人原子物理学者、キエル・アレクレットと会談することにした。そこでアレクレットは、私に最新のスライド・ショーを見せてくれた。我々知っての通り、石油は化石燃料で、プレート・テクトニクスの研究によって、全ての主要石油埋蔵場所がどこにあるかわかると彼は主張した。そこで、北海、ガワール、テキサス州や他のいくつかの地点における産出減をあげ、アレクレットは“ほら! この件は証明されました。”と主張した。私にとっては到底証明といえる代物ではなかった。

違う考え方

アレクレットに、証明されていない主張満載のスライド・ショーとしか言いようのない代物を見せられた時点で、それまでのピーク・オイルに関する確信を、私は疑い始めた。数カ月前に、友人のドイツ人研究者が、ロシア地球物理学者の集団による炭化水素の“無機由来”と彼らが呼ぶものに関する論文を送ってくれていた。将来読むために、私はそれをファイルしておいた。それを開いて読んでみた。控えめに言っても、私は感銘した。

ロシアの無機化学論文の更なる翻訳を探しながら、私はより深く調べた。冷戦の始まり、1950年に開始されたソ連時代の極秘研究のことを私は知った。スターリンが、ソ連の主要地球科学者たちに指令を与えていたのだ。要するに、ソ連が石油とガスでは完全に自給自足にであることを保証するためだ。ソ連は、ドイツが二度の大戦で敗北する原因となった致命的な間違い、石油自給自足の欠如を繰り返してはならなかったのだ。

本物の科学者だった彼らは、何事も当然のこととはみなさなかった。彼らは作業を、まず一般的に認められている化石燃料理論の、炭化水素の由来を厳密に証明する世界の科学文献の徹底的な調査から始めた。彼らが衝撃を受けたのは、全ての文献の中に、本格的な科学的証明を一本も見つけられないことだった。

更に私は、主要無機化学者の一人で、キエフにあるウクライナ科学アカデミー、地質科学研究所石油探査部長、V.A. クラユシキン教授などの学者による学際的研究を読んだ。

クラユシキンは、冷戦終焉の後、1994年、サンタフェ、ニュー・メキシコ州でのDOSECC (大陸地殻掘削・観測・サンプリング)会議に論文を提出した。そこでクラユシキンは、ウクライナのドニェプル-ドネツ地域に関する研究を説明した。伝統的な主流地質学なら、この地域には、石油やガスは無いだろうと主張するであろう場所だ。欧米の地質学理論によれば、たぶん石油が発見され得る場所だけにあり、そこから炭化水素が生成される、あるいは生成され得る特別の岩石、それゆえに“根源”という言葉が使われている、特殊な地質学的形成である、いかなる“根源岩”も全く無いので、そこで石油やガスを求めて掘削するのは無意味だと、伝統的な教育を受けた地質学者なら主張するだろう。

クラユシキンが、アメリカ地質学者や地球科学者たちという不審げな聴衆に説明したことは、彼らの石油生成に関する教育丸々と真っ向から対立するものだった。ウクライナ盆地での石油とガス発見は、欧米の地質学理論では、石油とガス(彼らが‘化石燃料’と呼んでいる)を見つけることは不可能だと主張している、地質学者が‘結晶質基盤’と呼ぶ深部の岩でだとクラユシキンは主張したのだ。恐竜の化石も木の化石も、それほど深く埋もれることはあり得ないと欧米理論は言う。

ところがロシア人がそこで石油とガスを発見したのは、まるでガリレオ・ガリレイが異端審問で、地球ではなく太陽こそが世界の中心だと述べたのと同等だ。ある参加者によれば、聴衆は、ロシアの地球物理学が意味するものを全く面白がってはいなかったという。

キエフからの講演者は、更に、ニュー・メキシコ州サンタフェの科学者たちに、これまでの理論では石油が発見されることなどあり得ないと主張した場所で石油を捜すというウクライナ・チームの取り組みが、実際、商用油田とガス田の大当たりをもたらしたと語ったのだ。

石油とガスは、通常の化石燃料理論が想定しているように、表面近くで生成されるのではなく、地球のずっと奥深く、約200キロの深さで生成されるという彼らの理論を評価するため発見された石油で、彼らが行った科学実験の詳細を彼は説明した。実験で、石油とガスは、実際に大変な深部から生成されることが確認された。

演者は、欧米の地質学者が朝から晩まで教えられているものとは違う石油とガスの由来に関するロシアとウクライナの科学者たちの理解を明快に説明した。

聴衆にとってより衝撃的だったのは、1990年代初期、ドニェプル-ドネツ盆地北部での五年間の探査中に総計61本の油井が掘削され、そのうち37本が商業生産可能で、60%以上の成功率だというクラユシキン報告だった。30%の成功率が典型的な石油産業にとって、60%は素晴らしい結果だ。油井ごとに、深さ、石油産出や他の詳細を彼は説明した。

油井のいくつかは深度4キロ以上、地中約13,000フィートで、2011年の石油価格で、一日に約300万ドルの価値の、一日約2600バレルもの原油を産出した。

そうしたものを読んだ後、当時スウェーデン王立工科大学、スゥエーデンのETH、あるいはMITにあたるものの教授だった主要なロシア人無機化学者の一人ウラジーミル・クチェロフと直接連絡をとった。我々は数回会い、あらゆる炭化水素が、地球深部由来であるのが確証されていることを彼が個人教授してくれた。死んだ恐竜の死骸や生物の遺骸からではない。そうではなく、石油は、地球の奥深い中心部、我々が「核」と呼んでいる巨大な原子力のオーブンから、絶えず生成されているのだ。途方もない温度と圧力の下で、元のメタン・ガスは、地球のマントル層中の彼らが移動経路と呼ぶものを通って、上昇することを強いられているのだ。実際、クチェロフは、既存の“枯渇した”油井に、数年間蓋をかぶせていたものが、より深部からの新たな石油で“補充”されることを実証した。メタンが上昇移動する際の元素次第で、ガスのままでいたり、原油、タール、あるいは石炭になったりするのだ。

炭化水素の地球深部由来論の重みは実に大きく、私がそれまで受け入れていた信念を変えることを強いられた。私は更に1960年代にプレート・テクトニクスと名付けられたものの本当の発見者、素晴らしいドイツ人科学者アルフレッド・ウェゲナーの魅力的な地球物理学理論を読んだ。我々の世界が、オランダ人石油エコノミスト、Peter O’dellが言った有名な言葉“石油が枯渇しかけているのではなく、石油にぶち当たりつつある”のに私は気がついた。ブラジル沖、ロシア、中国、中東至るところで。2007年に、私の一番良く読まれているオンライン記事の一つとなった“元ピーク・オイル信者の告白”を書いた。

実際、欧米の石油地質学の基盤丸ごとが一種の宗教であるのに私は気がついた。「神の誕生」を信じる代わりに、ピーク・オイル“教徒”は「神の化石由来説」を受け入れているのだ。 証拠は不要、信じるだけで良い。今日に至るまで、炭化水素の化石由来を証明する本格的科学論文は一本たりとも存在しない。1760年代に、実地には立証されていない仮説として、ロシア人科学者ミハイル・ロモノーソフによって推測されたものなのだ。アメリカ石油産業、特にロックフェラー家が、石油の稀少性神話に基づいて、膨大な富を築き上げるのに寄与している

現在、トランプ大統領の下のアメリカ新政権は、エクソン・モービルのレックス・ティラーソン国務長官を据え、オバマと、代替諸戦略が8年間続いた後、巨大石油会社の時代に回帰しつつあるのは明らかだ。世界が、豊富な石油を巡る、更なる大虐殺や不要な戦争を避けたいのであれば、我が石油の時代に関する本当の歴史を研究することは重要だろう。この作業に基づき、2012年に私は『神話、ウソと石油戦争』と題する本を刊行した。関心をおもちの方々には有用な考え方であることをご理解いただけるものと確信している。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/01/29/rex-tillerson-and-the-myths-lies-and-oil-wars-to-come/

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石油が主題の同じ筆者の記事では、下記を訳している。

石油に一体何が本当におきているのだろう?

何とも不思議なことに、『ロックフェラーの完全支配 ジオポリティックス(石油・戦争)編』 を含む筆者の著書四冊、いずれも絶版?巨大書店でしか、古書を買えないのだろうか?
あそこからは本を買わない方針の小生としては、何とも残念。

街の大型書店で、代わりに『石油の帝国 エクソンモービルとアメリカのスーパーパワー』が目についた。

ガワールについては、十年以上前に翻訳した記事がある。
サウジの巨大油田、ガワールは死んだ!2007年9月27日

2017年2月 2日 (木)

トランプは公約を守れるだろうか?

Paul Craig Roberts
2017年1月31日

トランプに対する私の立場は条件付きで、証拠を待つというものだ。1パーセントがトランプに反対していることで、私は勇気づけられているが、我々は史上最大の策略を味わったばかりなのだ。既成支配体制はヒラリーを連中の候補者に立てていたのだから、実際、無意味な策略だ。

トランプの大統領命令は、彼が1パーセントのために動いているという主張の裏付けにはならない。グローバル企業が愛してやまないTPPをトランプは拒絶した。彼は大企業が国内賃金を抑制するのに利用している大量移民を封鎖しようとしている。ネオコンと軍安保複合体にとって大いに不快なことに、彼はロシアとの関係を正常化すると公約している。

マヌーチンに関しては、彼はノミ・プリンスがゴールドマン・サックスを退職したのと同じ年、2002年に、ゴールドマン・サックスを退職している。14年前のことだ。元社長のノミがゴールドマン・サックスの工作員ではないという事実を我々は知っているので、彼はゴールドマン・サックスの手先だと言い張る前に、マヌーチンが一体何をするのか成り行きを見守るというのが私の立場だ。違う見方については、当ウェブのゲスト・コラムのノミ・プリンス記事をお読み願いたい。

こんな風に考えよう。もしトランプが本気なら、そして既存支配体制が、彼は無法者の巣窟の掃除に本気のようだと見ているなら、無法者による支援ではなく、一体どのような良い支援を彼は得られるのだろう?

上からの変化には固い決意の人物が必要だ。そうでない人物は圧倒されることになる。

証拠を待つというのが私の立場だ。長年、読者の皆様が、何らかの希望が必要だといってられる。トランプによる既存支配体制に対する攻撃は、皆様にとって希望となるだろう。一体どうして、この希望を早計に捨て去ろうとするのだろう?

そもそもはなから私の懸念は、トランプには経済と外交政策論議の経験が皆無なことだった。彼はこうした問題も、関係者も知らない。だが彼は、二つの大事なことを知っている。中産階級と労働者階級が傷ついていることと、ロシアとの紛争は熱核戦争になりかねないことだ。 あらゆる問題中で一番重要なこの二つで彼を支持するというのが私の見解だ。

私の懸念は、トランプが、ロシアとの良好な関係という点で、既に針路から逸れているのではないかということだ。トランプには、就任第一週に、ロシアのプーチン大統領と話すという思慮分別がある。一時間の会話はうまくいったと報じられている。しかしながら、トランプ政権の報告では、経済制裁には触れられなかったし、トランプは、経済制裁解除を核兵器削減と結びつけて考えているという。

トランプには、今の連中より機敏な顧問が必要なのは明らかだ。28のNATO加盟諸国と対決して、これらの国々や兵器の集団と比較すればわずかな国民しかいないロシアは、潜在的脅威に対処すべく、核兵器に頼っているのだ。オバマ政権時代、ロシアにとっての脅威は、極めて現実的なものに見えていたはずで、丸ごと明白なウソを基礎にした、ロシアと、その大統領の悪者扱いは、戦争に至ることはなかったが、史上稀にみる高みの挑発となっていた。

もし私がトランプの顧問だったら、トランプがまずプーチンに語るべきことは“経済制裁は過去のことで、前任者によるでっち上げのウソに基づく侮辱を私はお詫びする”だと言い張っていたはずだ。

それが必要だったのだ。信頼さえ回復できれば、二枚舌のアメリカ人が、攻撃しやすいようにロシアをはめにようとしていると、ロシア政府懸念させることなく、核兵器削減問題を持ち出すことも可能だろう。

もしあなたがロシア人だったら、ロシア政府の一員だったなら、ロシア大統領だったなら、300年間、ロシアの一部だったウクライナで、選挙で選ばれた政府を打倒したアメリカ・クーデターを経験したなら、長年ロシアの一部だった南オセチアのロシア人住民やロシア平和維持軍に対する、アメリカがそそのかし、それで、ロシア国軍が介入せざるを得なくなった攻撃を経験したなら、しかもこの介入を、アメリカ政府は“ロシアによる侵略”と非難しているのだが、アメリカ合州国を読者は、信じるのだろうか? 皆様がまったくのうつけものでない限りそうではあるまい。

トランプには、彼が肩入れしている状況を良くするよう彼に説明できるだけ十分精通している顧問が必要なのだ。

この顧問連中は一体何者だろう?

“イスラム教徒入国禁止”を考えてみよう。イスラム難民は、アメリカとそのNATO属国が、もっぱらウソに基づき、多数のイスラム教諸国を爆撃したがゆえに、アメリカとヨーロッパにとっての問題となったのだ。あらゆる戦争経験からして、欧米諸国は戦争が難民を産み出すことを知っていたに違いないはずだと思いたくなる。ところがどうやらそうではなかったのだ。

イスラム難民問題に対処する最も容易で確実な方法は難民を産み出す爆撃を止めることだ。

どうやら、この解決策は、トランプ政権の理解を超えているようだ。ニュース報道によれば-報道機関の売女化状況を考えれば、容易には知りがたいのだが-トランプ新政権は、1月29日、多数の女性や子供とともに、8歳の少女を殺害したイエメンにおけるSEALチームによる攻撃を許可していた。私が確認した限りでは、でっちあげの“対テロ戦争”という名目によるブッシュ/オバマ政権によるイスラム教徒殺害政策のトランプ政権による継続に反対する抗議デモをしている女性はいない。

トランプの弁慶の泣きどころは、ネオコンがでっちあげた“イスラムの脅威”という巧妙に仕組まれた脅威を信じていることだ。もしトランプがISISを打ち破りたいのであれば、アメリカ政府とCIAがISISに資金提供するのを止めさえすれば良いのだ。ISISはワシントンが産み出したもので、リビア政権打倒に利用し、ロシアが介入するまで、アサド打倒のため、シリアに送りこまれていたのだ。

ロシアとの関係を修復しながら、同時にイランとの紛争を復活させ、中国を威嚇することはできないのだと、トランプに説明するには十分な地政学の知識が必要だ。

私が恐れていた通り、トランプは、彼の狙いを実現するために誰を任命すべきか、まるで分かっていない。

次にトランプ批判者たちを見てみよう。属性で集団を分断するアイデンティティー政治、は、欧米の歴史を、異性愛の白人男性による、他の全員に対する不当な迫害だと説明する。トランプに対する攻撃は正当性が欠如しており、被害者政治にどっぷり漬かっている連中を除いた人々はそれが分かっている。トランプ反対のデモ行進をし、彼のイスラム教徒入国禁止を非難する人々は、イスラム難民や移民を産み出した戦争反対のデモ行進はしていない。トランプに反対する人々は、“対テロ戦争”と、それが依拠している9/11言説を支持しながら、“イスラム・テロリスト”のアメリカ入国禁止に反対するという不合理な立場にある。 もしイスラム教徒が、ブッシュ/オバマの言辞が主張する通り、テロリストなのであれば、ワシントンによる彼らの国々に対する攻撃で被害を受けて、復讐を考えたかも知れないイスラム教徒のアメリカ入国を認めるのは全く無責任だ。

リベラル/進歩派/左翼は、とうの昔に労働者階級を見捨てていた。連中の正当ではない不平は、結果的には、異議を唱えるあらゆる人々を、正当性無しという連中の範疇に十把一絡げにすることになる。そこで、真実を語る人々は、虚構を語る連中と一緒にshut down。大衆はトランプに対する仕組まれた攻撃と、真実を語っている人々とを区別することができなくなるだろう。

異議を唱える人々の信用を傷つけるをアイデンティティ政治の愚劣さは、最悪の右翼分子を力づけることになるというのが私の結論だ。ノミ・プリンスが考えているように、もしゴールドマン・サックスも、我々に反する活動をしているのてあれは、アメリカは過去のものだ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/31/can-trump-deliver-paul-craig-roberts/
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とうとう占領軍総帥がおいでになる。
「中国とロシアから守ってほしければ身ぐるみ永久にさしだせ」とおっしゃるのだろう。宗主国そのものからこそ身を守らなければ、一億総ミイラになってしまうのだが。
属国丸ごと、ストックホルム症候群。

ドゥテルテ大統領にこそ、首相になっていただきたいもの。
書店で『アメリカに喧嘩を売る国 フィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテの政治手腕』という本を拝見した。そのうち是非拝読したいもの。

今日の日刊IWJガイドの一部をコピーさせていただこう。イエメンへのちょっかい、トップが変わっても継続中。宗主国の本質は全く変わらない。属国支配は強化される。

 1月28日、中東のイエメンで米軍が過激派の「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」を攻撃していた作戦の最中に、米海兵隊のオスプレイ1機が墜落し、3人の負傷者が出ました。

 ロイター通信によると、同作戦中には米兵1名とアルカイダの戦闘員14人、約30人の現地市民が死亡。死亡した米兵は、トランプ政権下での初の犠牲者となったといいます。米兵のご冥福をお祈りします。

・イエメンで米兵4人死傷、トランプ政権初の軍事作戦で(ロイター通信、2017年1月30日)
http://jp.reuters.com/article/usa-yemen-qaeda-idJPKBN15E0L4

 オスプレイと言えば、昨年12月13日に沖縄県沖で墜落事故を起こしたばかり。今回の事故機も、沖縄での事故機と同じ、MV-22だったといいます。

 さらにイエメンでの事故から数日後の1月30日、沖縄の那覇空港では航空自衛隊那覇基地所属のF-15戦闘機1機の前輪タイヤが外れ、滑走路で立ち往生し、2時間近く滑走路が閉鎖される事態に陥りました。那覇空港は軍民共用空港のため、滑走路の閉鎖により民間の航空機も足止めを余儀なくされたといいます。

 昨年から日本国内だけでも、米軍機の事故が相次いでいます。9月にはAV-8Bハリアーが沖縄県沖で墜落、12月には沖縄県沖でオスプレイが墜落、同日、普天間飛行場に別のオスプレイの機体が胴体着陸しました。

 一方で、日本政府は2018年度にも、新たにMV-22オスプレイ17機を佐賀県・佐賀空港に配備する予定であり、本来は1機あたり約80億円のところ、1機あたり200億円を支払うとされています。また、F-15戦闘機については、導入から30年以上も経った古い機体に、防衛省が何十億円と改修費を計上し続けています。

 こうした高額な戦闘機への出費の積み重ねで、日本の防衛予算はどんどん膨張。2016年度の防衛予算は、過去最大の5兆2358億円にのぼる見込みです。

・防衛予算、補正で膨張 過去最大5兆2358億円に(東京新聞、2017年1月18日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201701/CK2017011802000122.html?ref=rank

 日本はいつまで米軍の「欠陥機」に大金を払い続けるのでしょうか?この問題について、以下の記事にまとめましたので、ぜひ、ご一読ください。

※アルカイダ攻撃作戦中に米軍のオスプレイが墜落!沖縄での墜落機と同じMV-22~導入から30年超えのF-15戦闘機が那覇空港で立ち往生も!日本政府はいつまで米軍戦闘機に大金を払い続けるのか!?
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/360731

2017年2月 1日 (水)

トランプ大統領の‘アメリカ・ファースト’を試す世界の発火点


Finian CUNNINGHAM
2017年1月27日

今週、南シナ海で海上封鎖を実施しようとするワシントンによるいかなる動きも、武力紛争を引き起こすだろうという北京の警告で、中国とアメリカ間の言葉の戦争が再び燃え上がった。

だが、こうした中国との緊張は、ドナルド・トランプ大統領が宣言したアメリカ・ファースト政策を試しているいくつかの世界的発火点の一つに過ぎない。

アメリカ・ファーストというのは、賞賛に値する大志のように聞こえる。だが、アメリカが簡単に内向きに方向を変えて、世界的な良き隣人のように振る舞えるようになると考えるのは浅はかだろう。アメリカの経済権益は諸外国支配に依存しており、これは、つまり他の国々との紛争と戦争を意味している。どのような大統領がホワイト・ハウスの主になろうとも、これがアメリカが率いる資本主義の厳しい現実なのだ。

トランプは、アメリカ軍の海外介入を減らすという綱領で、選挙活動した。1月20日の就任演説で、大統領として、民族主義者主導型のアメリカ経済と社会の構築に注力するとして、彼は再度、アメリカ・ファーストの誓約を強調した。アメリカ国内での利益を最優先にするため、彼の前任者たち、バラク・オバマと、ジョージ・W・ブッシュや、彼ら以前の連中による海外での軍事的冒険主義は放棄するというのだ。

トランプは、連邦議会での就任宣誓で、アメリカは“世界の国々との間に友情、そして友好を求め”自分たちの生き方をほかの誰にも押し付けようとはせず、皆が見習うお手本として輝くようする”と宣言した。アメリカのインフラを“荒廃し衰退”させないため海外での軍国主義の時代は終わったと彼は述べたのだ。

ところが、こうした壮大な発言をしてから数日で、海外での紛争に進んで巻き込まれ続けようとしている点で、トランプ政権はこれまでのあらゆる政権と実に似て見える。

中国との緊張を、今週、ある際立つ見出し記事がまとめた。“トランプは南シナ海での戦争の用意はできているのか?”とワシントン・ポストは問うた。この記事の後、紛争中の戦略的海域にある埋め立てた島嶼への中国によるアクセスを阻止する用意ができているというホワイト・ハウスの声明が出された。アメリカによるそのような海上封鎖は、戦争行為にあたるはずだ。紛争中の領土を巡って中国に反撃する際にオバマ政権が賭をしたものを、これは遥かに超えている。

トランプ政権による南シナ海を巡る挑発的瀬戸際政策は、気味の悪いことながら、一連の北京に対する侮辱の最新のものに過ぎない。トランプは中国に対して、不当な貿易慣行という非難を繰り返し、中国の輸出に懲罰的関税を課すと威嚇し、ワシントンが長い間奉じてきた一つの中国政策をあざ笑い、北京の歴史的主張台湾を巡って中傷した。

アメリカ-中国にらみ合いの重大さは、中国の大陸間弾道ミサイルが、アメリカ本土を狙うことができる中国の北東地域に新たに配備されたニュース報道によって強調された。この動きは、当然、トランプ政権の好戦的な言辞に対する北京による対応と見なされる。

これだけではさほど困惑するものでないとしても、中国はトランプ大統領が火遊びをしているように見えるいくつかの他の世界的発火点の一つに過ぎない。北朝鮮、イラン、ベネズエラと、ロシア西部国境で進行中のNATO軍隊エスカレーションが他の主なリスクだ。

今月早々、北朝鮮指導者金正恩は、最終的にアメリカを攻撃する能力を得られるまで、北朝鮮はICBM技術開発を継続すると誓約した。(何百発ものアメリカ核ミサイルが、既に北朝鮮攻撃が可能だが、この非対称は、なぜか容認されている。) 典型的な曖昧な言葉で、トランプは、金正恩に“そんなことにはならない!”というツイッター発言で反撃した。この素っ気ないメッセージは、既に孤立し、酷く制裁されている北朝鮮に対するアメリカの先制攻撃を意味するものと受け止められかねない。そのような遠回しのアメリカの脅しは、更なる軍国主義を引き起こすに過ぎない。

もしトランプがアメリカ国内の事業や社会の面倒を見るのを本気で優先事項にしているのであれば、彼は朝鮮戦争が1953年に終わって以来、六十年間、朝鮮半島に配備されている何万人ものアメリカ軍兵士の削減を交渉しているはずだ。軍隊のみならず、アメリカの戦闘機、戦艦、ミサイルや懲罰的経済制裁も。トランプは外交関係正常化のプロセスを確立するため、平壌との多国間地域交渉を復活させているはずだ。逆にトランプは、平壌に対する軍国主義という、失敗してカチカチ時を刻んでいる時限爆弾政策を継続している。

イランに対しては、トランプは平和的な外交を推進するのではなく、混乱状態にまたしても油を注いだ。“これまでで最悪の協定”だと呼んで、国際核合意を破棄すると彼は威嚇した。今週、アメリカは、テヘランと、ロシア、中国や欧州連合を含む他の六者の間で昨年まとまった包括的共同作業計画(JCPOA)を実施し損ねているとイランは語った。アメリカによる協定実施妨害で、貿易の機会が失われ、イランは何十億ドルもの損害を被ることを考えれば、イランのいらだちはもっともだ。

トランプがジェームズ‘狂犬’マティス元大将を、国防長官に任命したことはbodes for イランに対する遥かに敵対的な姿勢。イラクで海兵隊司令官をつとめていた時期、マティスは、イランがイラク武装反抗勢力を支援しているとされることを巡って、イランに対するタカ派的見解で知られていた。新たなペンタゴン長官は、ペルシャ湾でイランとアメリカ海軍の艦船の間で継続している緊張を巡り、武力反撃もしたがっている。激変的な出来事がいつ何どきおこるかも知れず、トランプの短気な閣僚たちは、エスカレートしたくて、むずむずしているのだ。

イランとの間のこうした緊張に更に油を注いでいるのが、地域において“イラン脅威をいかに封じ込めるか”について、トランプが、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフと会談しているという報道だ。もしトランプが、イランとの核協定を破棄して、対策を進めれば、イランは核開発計画を再開し、ICBM実験を強化することが予想される。かくして、イランを攻撃するというトランプのタカ派徒党の願望を満たすことになる。

もう一つの潜在的発火点はベネズエラだ。トランプが国務長官に指名したレックス・ティラーソンは、先週、この南米の国の“無能で、機能不全の政府”に対する政権転覆を狙う意図を表明した。まだ承認されていないトランプ被任命者に対する議会での質問に答えて、ティラーソンはこう述べた。“もし承認されたら、半球の我々の友人たち、特にベネズエラの隣国ブラジルとコロンビアや、米州機構のような多国籍機関と緊密に協力して、交渉によるベネズエラの民主的統治への移行を目指すことを進めたい。”

“交渉による民主的統治”というのは、政権転覆の婉曲表現だ。トランプの外交最高幹部予定者によるこのような見解は、オバマ政権下でのものと比較して、ニコラス・マドゥロ政権に対する敵意の過激な強化を示すものだ。オバマ政権は、確かにカラカスに経済制裁を課し、ベネズエラ国内で、社会主義政府に対する政治的反対勢力を醸成した。だが、ティラーソンは、“民主的統治への移行”に対する一方的要求をして、今やあからさまに、ベネズエラ政府の正当性を疑問視しているのだ。

ベネズエラは、エクソン・モービル最高責任者ティラーソンが、アメリカ巨大企業の権益と、個人的復讐に巻き込まれている場所だ。トランプが彼を国務長官に指名したわずか数週間前まで、ティラーソンが率いていたエクソン・モービルは、アメリカの主要巨大石油企業だ。2007年に、マドゥロの前任者ウゴ・チャベスのベネズエラ政府が、同社を国有化した際、この会社は、不動産や他の資産160億ドルを失った。2014年に、国際仲裁裁判所は、ベネズエラに、石油会社に、16億ドル補償するよう裁定した。これは、エクソン・モービルが告訴した金額のわずか約10パーセントだ。業界内の一部はティラーソンは“煮え湯を飲ませた”ベネズエラを決して許さないと語っている。

もし、しかもそれはありそうに見えるのだが、来週、アメリカ上院が、国務長官としてのティラーソン承認を決定すれば、注目すべき主要問題は、ワシントンがベネズエラ政府に対して、前のオバマ政権によって既に課されているもの以上に、更なる経済制裁をするかどうかということになる。ワシントンは南米の供給国からの石油輸入を削減し、既に脆弱なベネズエラ経済に、更なる経済的圧力を加える可能性がある。またティラーソンが議会聴聞会で答えた通り、更なる挑発的な動きで、ワシントンが、ベネズエラにおける“民主的統治”への政治的移行を求めて、あからさまに動き始めることになろう。

ロシアに関しては、ドナルド・トランプが頻繁に、モスクワ、特にロシアのウラジーミル・プーチン大統領との正常な関係を回復すると呼びかけていることからすれば、これはありそうもない不安定な国際関係シナリオに見えるかも知れない。だが、より友好的な関係という個人的提案を除いては、全体的な地政学的状況は悪化し続けている。

今週、アメリカが率いるNATO軍事同盟のドイツとベルギーの軍隊が、ロシア領に隣接するリトアニアにを敷いた。これは今月始め、アメリカ軍兵士と、何百台もの戦車と装甲兵員輸送車か、アメリカから新たに送られた、ポーランドとバルト諸国において継続中のNATO増強の一環だ。このNATO軍のロシア国境における容赦ない増強は、モスクワにより“侵略”だと非難されている。ところが、NATOのエスカレーションは“ロシア侵略からヨーロッパを守る”ことを目指しているという空虚な公式正当化で継続している。

ジェームズ・マティス国防長官や、マイク・ポンペオ新CIA長官や、国務長官被任命者レックス・ティラーソンを含めトランプ閣僚全員が、東ヨーロッパへのNATOの拡張に対する度をこす支持を表明した。同じ閣僚メンバーが、クリミア併合とウクライナ内への侵入とされるものによる緊張を、偏向的にロシアのせいにしている。実際、ティラーソンは、南シナ海での中国の領土主張を“ロシアによるクリミア奪取”になぞらえた。

少なくとも、世界の五つの地域は、トランプ大統領の自称アメリカ・ファースト政策を試す燃え上がりやすい緊張をはらんでいる。こうした分野の全てで、トランプ政権が、懸念を更に掻き立てている責任を負っている。もし新大統領が、海外でのアメリカ軍国主義を縮小し、実業上での彼の洞察力とされるものを、アメリカ国内経済と社会の復活に捧げるという約束を本当に守っているなら、我々は国際的対立を和らげる断固とした取り組みを目にしているはずだ。中国、北朝鮮、イラン、ベネズエラとロシアに関しては、逆のことが進行中のように見える。

トランプ大統領に関する多くの好意的論評が、彼のアメリカ・ファースト政策は、アメリカの“グローバル主義者”や“ネオコン”や“ネオリベラル”からの歓迎すべき離脱だと主張している。その前提は、愛国主義的政治とされるトランプ・ブランドは戦争挑発というアメリカ政策からの新たな離脱だというものだ。

これはアメリカ政治に対する無邪気な見方、偽りの区別のように見える。言葉がどうであれ、アメリカ大企業資本主義は、帝国主義覇権、紛争と戦争が基礎なのだ。たとえトランプが、経済的生産をアメリカに戻すように変えても、アメリカには、天然資源を搾取し、商品を輸出するためには、依然、海外市場を支配する必要があるのだ。これはつまり、何十年もアメリカの特徴であり続けてきた、軍事力によって支えられた同じ外交政策を遂行することを意味する。

現代資本主義国家としてのアメリカ合州国の、生得的な攻撃的性格に留意されたい。いくつかの歴史に関する記述によれば、1776年の建国以来、241年間の存在期間のうち、そのほぼ90パーセント、アメリカは戦争をしてきた。アメリカは、何らかの戦争、クーデター、対クーデターや代理紛争に関与せずに十年と過ごしたことがないのだ。戦争はアメリカ資本主義の基本的な機能だ。

だから、ドナルド・トランプが当選し、言辞が変わったとて、この客観的事実が変わることはない。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/01/27/global-flashpoints-test-trump-america-first-presidency.html
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戦争こそ、あの国の歴史であることについては、下記記事を訳してある。
アメリカは、その歴史のうち93% - 1776年以来の239年中、222年間が戦争

大本営広報部には飽きたので、たまたま放送されていた映画『あん』を見た。数年前、今もある施設のひとつで、「重監房」遺構を見学したことがある。あの時聞こえたピアノ、どなたが弾いておられたのだろう。たしか「ゆうやけこやけ」だった。

孫崎享の今日のメルマガ、末尾の一部を引用させていただこう。

何もコメントできないというのは安倍首相が対米関係ではスネ夫以上の何物でもないことを示している。国際社会は安倍首相がどのような発信をしているかに無関心ではない。
ジャパン・タイムズは次を報じた。「トランプの移民禁止が世界的非難を引き起こしている中、東京は沈黙」

ビフのモデルはトランプ氏、「バック・トゥ・ザ…」脚本家明かす という記事を読んだことがある。

いじめっ子のビフだ。いわばスネ夫のような主人公の父親、ジョージ・マクフライが、好きな彼女、つまり母親と結婚できなければ、主人公のマーティが生れることはない。そこで写真中のマーティの姿は次第に消えかかる。マーティがギターを引く手にも力が入らない。幸い、弱虫な父親、ジョージ・マクフライが勇気を振り絞って、めでたしとなる。

実際の宗主国・属国関係では「あなたのアメリカ・ファーストはわかります。私もアメリカ・ファーストです。」と答え、一方的な条件丸飲みのFTAを締結することなり、我々の係累の影はうすくなるという、映画とは正反対の結果。

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