トルコはなぜISISを止められないのか
2017年1月4日
Patrick Cockburn
CounterPunch
このような殺りくが数週間ごとに起きているトルコにおける最新の「イスラム国」(ISIS)殺し屋により、イスタンブールのナイトクラブで、一般市民39人が虐殺された。実行犯は違っていても、こうした残虐行為の累積的な効果は、トルコ人に、彼らは、益々恐ろしく不安定な国に暮らしていると思い込ませることだ。トルコ政府が、攻撃を止めるために何をすれば良いのか、分かっていないのは明らかだ。
ISISは、殲滅するには余りに巨大で、資金力も豊富で、トルコ政府が何をしようと、こうした容赦のない蛮行は続く可能性が高い。連中はトルコに深く根付いており、現地の過激派を利用したり、レイナ・ナイトクラブや、今年早々、イスタンブール、アタチュルク空港に対する攻撃で起きたように、殺し屋を外国から連れ込んだりすることができる。
フランスやベルギーやドイツと同様、一般市民が標的にされ、殺し屋が死を覚悟している場合、攻撃を止めるのは不可能だ。連中が成功すると“治安体制の不備”のせいにされることが多いが、実際には、どのような治安対策でも、完全な安全は実現不可能だ。
トルコにおける“テロ”が、ヨーロッパや中東におけるものと違っているのは、死者の人数ではない。バグダッドでは、毎月より多くの人々がISISにより殺害されている。テロを実行する連中の多様性だ。三週間前のイスタンブールのサッカー・スタジアム外での、44人殺害 - 犠牲者の大半が警察官 - は、クルド労働者党 (PKK)の戦闘部隊とされるクルド自由の鷹(TAK)が実行したと宣言した。12月19日のアンカラにおける駐トルコ・ロシア大使暗殺は、7月15日の軍事クーデター未遂の責任が問われている第三の集団、フェトフッラー・ギュレン信奉者のせいだとレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は非難している。
こうしたもの全て、強力な集団で、トルコ内外に何千人もの献身的メンバーを擁し、こうした集団のどれ一つ、すぐさま消え去ることはない。アンカラ政府はお決まりのように、これら様々な集団を“連中の隠れ家”まで追跡すると騒ぎたてている。しかし言うはやすし行うは難しだ。ISISもPKKも、シリアやイラクに強力な事実上の国家を作り上げているが、これは2011年以来の、エルドアンによる、まずい発想のシリア内戦介入なくしては、起こり得なかったものだ。
かつて、トルコを中継基地、聖域として活用していたISISは、今やトルコを敵と罵倒し、最大の分裂効果を産み出すよう攻撃を画策している。過去二年間、攻撃に対するトルコの反応の顕著な特徴は、国民団結にはいたらず、逆に、テロが繁茂する状況を産み出したことを、エルドアン支持派と反対派勢力が互い非難し合う状況を引き起こしている点だ。
ナイトクラブで浮かれ騒いでいる連中に対する攻撃には、もう一つ不穏な点がある。禁欲的なイスラム主義者に対する共感、あるいは支持を得ることを明白に狙っているのだ。サラフィー主義の信条は、トルコ国内に広がっており、過去数年間に仕込まれたISIS細胞にとって、肥沃な土壌となっている。
エルドアンは、北シリアへと更に進撃し、ISISとシリア・クルド人を粉砕すると脅している。トルコ軍は、アレッポ北東のISIS拠点、アル=バーブに接近しているが、頑強な抵抗に会い、相当な死傷者を出している。エルドアンのあらゆる強気な発言をもってしても、トルコ軍と、その現地同盟者が、真の友はごくわずかで、多くの危険な敵がいる北シリアで、一体何を実現しようと狙っているのか全くはっきりしない。彼らは圧勝が望めない戦いに巻き込まれつつあるのだ。
Patrick Cockburnは、『「イスラム国」の勃興: ISISと新スンナ派革命』の著者。
記事原文のurl:http://www.counterpunch.org/2017/01/04/why-turkey-cant-stop-isis/
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大本営広報部電気白痴製造機、行方不明の女性留学生の元?交際相手、マグロのセリ価格、人気グループの放牧宣言。大企業幹部の今年の予想。見ればみるほど馬鹿になれる。
とはいえ、伊能忠敬の測量にかんする番組は面白かった。時々まともなものを混ぜるのだろうか。
オスプレイは給油演習再開。属国傀儡は、宗主国の命令を受けて、属国民に、それを押しつけるのが役目。安保条約、地位協定、戦争法案、秘密法案、TPP、カジノ法案。壊憲も、共謀罪もそうなのではと勘繰りたくなる。
TPPを絶賛した売国大本営広報部は、共謀罪も大賛成するだろう。政党と違って、選挙で大本営広報部を落選させることはできない。庶民ができる抵抗として、紙媒体購読を止めただけ。
徳川慶喜についての大本営広報番組、わずかな時間、眺めただけで、止めた。
赤松小三郎ともう一つの明治維新――テロに葬られた立憲主義の夢とは全く逆の論議だったので。
お年玉がわりに、知人に読み終えた赤松小三郎ともう一つの明治維新――テロに葬られた立憲主義の夢をさしあげた。大好評だった。
スノーデン・インタビューをした日本人女性ジャーナリストがおられる。新聞社論説委員の方向に違和感を覚えた頃、留学が決まり、そこで退社し、勉学をつづけた結果、スノーデン・インタビューが実現したのだと知って納得。あの論説委員以降、読むに絶えなくなったのは、読者の小生だけではなかった。
監視システムの狙いは、テロリストではなく、庶民。
米国NSAの全世界的情報傍受システムが監視するのはテロリストではなく市民! スノーデン氏にインタビューしたジャーナリストの小笠原みどり氏が監視社会の恐ろしさを伝える! 2016.8.27
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