« 2016年12月 | トップページ | 2017年2月 »

2017年1月

2017年1月31日 (火)

ドゥテルテ大統領、フィリピンでのアメリカ‘恒久’兵站部建設を酷評、協定を破棄すると威嚇

公開日時: 2017年1月29日 20:38
RT

 


2017年1月30日、フィリピン、マニラの大統領官邸における夜遅い記者会見で、話しながら身振りをするフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領 ©Ezra Acayan / ロイター

フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、アメリカによるフィリピン国内への‘恒久’兵站部建設を非難し、そのような動きは、両国間の安保条約を危うくすると、ドナルド・トランプ大統領に警告した。

恒久的に備蓄することを狙って、トランプ政権が、兵器をフィリピン国内三州に移動していると、ドゥテルテ大統領は主張している。

日曜、熱のこもったテレビ放送記者会見で、ドゥテルテ大統領はこう述べた。"彼らは現在フィリピンに、兵器を降ろしている。アメリカ合州国軍に警告するつもりだ。やめなさい。私は許さない。"とロイターが報じた。

更に読む: 'トランプを投げ捨てろ’: フィリピン人が集まって、アメリカ国旗を燃やし、トランプの写真をゴミ箱に投げ入れた(写真)

ドゥテルテ大統領は更に、ワシントンに、恒久施設はアメリカ-フィリピン安保条約の条件に違反すると警告し、協定を見直すと脅し "大統領令なのだから、最終的には廃止するかも知れない”と述べた。

"訪問米軍(協定)の条項では、恒久施設は設けないことになっている。兵站部は何と呼ぼうと兵站部だ。武器を保管するための恒久施設だ"とドゥテルテ大統領は警告した。

"彼らが現在荷下ろししているものに、核弾頭(ミサイル)があるのかないのかさえ私は知らない"と彼は述べた。

更に読む
‘バイバイ・アメリカ’: 支援が許可されない限りは、フィリピンでアメリカ軍を禁止したがっているドゥテルテ大統領。

はっきり物を言う大統領のこの発言は、今年早々、アメリカ軍隊と装備のための倉庫、兵舎と滑走路のフィリピン軍事基地内での建設開始にペンタゴンが許可を出したと、デルフィン・ロレンサナ国防大臣が発言して三日後のことだ。

2014年の防衛協力強化協定(EDCA)は、フィリピン周辺の基地五個所への、アメリカ艦船、航空機と軍隊の交代配備と、人道目的と海上保安作戦用の補給品備蓄を認めている。

もし南シナ海を巡る中国との戦いで、フィリピンがアメリカを支援していると見なされることになれば、ワシントンの行動は、フィリピンを“極端に危険”にするとドゥテルテ大統領は主張している。

アメリカの海上哨戒に触れて"中国ミサイルはアメリカ遠征隊に向けられている"と彼は述べた。 "兵站部は補給線として機能することになる."

更に読む: トランプ政権、北京による南シナ海領強奪に対し反撃すると威嚇

係争中の島嶼に関する北京の主張の大半を無効とした常設仲裁裁判所の2016年の裁定を守るよう、彼に圧力をかけていると、ドゥテルテ大統領は、アメリカ合州国を激しく非難した。

"あなた方は我々をたきつけている ... 仲裁廷判断を実行するようたきつけている"と、アメリカ合州国について触れて、彼は述べた。

仲裁廷裁定について、適切な時期に、中国と話し合うことを強調する前に、ドゥテルテ大統領は、フィリピン南部の「イスラム国」(IS、旧名ISIS/ISIL)戦士と戦うため、精密誘導ミサイルを提供してくれるよう、中国に向けて“緊急”メッセージを発した。

"私は習近平主席に束をした。私の任期中に、この仲裁廷の裁定について話し合う公式の約束をした。いつかはわからないが、しっかり話し合うつもりだ。"と彼は述べた。

記事原文のurl:https://www.rt.com/news/375545-duterte-philippines-us-depot/
----------
属国大本営広報部大政翼賛会は、茶番区長選を一生懸命もりあげている。
どちらが勝っても自民党。結果はかわらない。自民党支配強化に過ぎない。
都知事選挙もしかり。

フィリピン大統領のこうした自立志向の発言には決して触れない。

アメリカ第一みぞゆうでんでん

二人は、私たちもアメリカ・ファーストでFTAを締結しますと言いにゆく。

大本営広報部の呆導を一年見聞きするより、「街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋」のこの二つの記事を読んだ方が遥かに有意義。

安倍総理日米FTAについて語る 2017年1月28日

安倍・トランプ大統領の会談は日本の悲劇 2017年1月26日

政権も宗主国闇の政府の力強い指示に対して、その名に恥じぬよう精進していきたい

月とすっぽん。

2017年1月30日 (月)

ロシアにとって高いものにつきかねない経済制裁解除

2017年1月27日
Paul Craig Roberts

トランプがオバマ政権がロシアに課した経済制裁を解除しようとしているというソーシャル・メディアのつぶやきがある。演出巧者のトランプは、政権外部の誰かが彼のためにするのでなく、彼本人が発表したがっているはずだ。とはいえ、ソーシャル・メディアのつぶやきは良い読みだ。

トランプとプーチンは明日会談すると報じられている。会話では経済制裁問題は避けられまい。

トランプは就任一週目に彼の方針で素早く動いた。経済制裁解除を遅らせる可能性は低い。しかも経済制裁を解除しても、トランプには何の不利なこともない。アメリカと欧米の実業界は経済制裁を全く支持していない。経済制裁を唯一支持しているのは、トランプ政権にはとりこまれていないネオコンだ。ビクトリア・ヌーランド、スーザン・ライス、サマンサ・パワーは、他の国務省連中とともに去った。だからトランプを邪魔するものは皆無だ。

経済制裁は、ロシアを経済的により自立するようにし、ロシアがアジアとの経済関係を発展させるようにして、ロシアに役立ったというプーチン大統領は正しい。経済制裁解除は、実際、ロシアを欧米に取り込んで、ロシアを傷つけかねない。欧米における唯一の主権国家はアメリカ合州国で、それ以外は全てアメリカの属国だという点に、ロシア政府は留意すべきだ。ロシアは同じ運命から逃れられるのだろうか? 欧米に組み込まれたあらゆる国は、ワシントンの圧力にさらされるのだ。

経済制裁の問題は、それがロシアに対する侮辱だという点だ。経済制裁は、オバマ政権が言ったウソに基づいている。経済制裁の本当の目的は経済的なものではない。無法者国家として、ロシアを困らせ、無法者を孤立させるのが目的だ。トランプは、この侮辱をそのままにしておいては、ロシアとの関係を正常化できない。

だから、トランプが経済制裁を解除しようとしているというソーシャル・メディアのつぶやきは正しい可能性が高い。これはアメリカ-ロシア関係には良いだろうが、ロシア経済とロシアの主権にとっては、おそらくそれほど良くはなかろう。欧米の資本家連中は、ロシアの産業と原料を買い占めるために、よろこんでロシアに大きな負債を負わせるだろう。経済制裁は、外国の影響力に対するロシア経済の部分的防御でもあったので、経済制裁解除は、侮辱されなくなるのと同時に、防御を外すようなものでもある。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/27/lifting-sanctions-costly-russia/
----------

この記事と直接つながる内容の記事をいくつか以前翻訳した。

政治と経済という話題で新書『漱石のこころ ─ その哲学と文学』を思い出した。つくづく漱石は偉いと思う。

高校時代に読んで驚いたのは、『三四郎』で、軍国主義日本の崩壊を予言していたことだった。

この新書では、33ページにある。

 「あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。
 「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
 「滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。

78ページに、滞英中の研究ノートの一部が引用されている。

余云ウ封建ヲ倒シテ立憲政治トセルハ兵力ヲ倒シテ金力ヲ移植セルニ過ギズ。剣戟ヲ廃シテ資本ヲ以テスルニ過ギズ大名ノ権力ガ資本家ニ移リタルニ過ギズ武士道ガ廃レテ拝金道トナレルニ過ギズ何ノ開化カ之アラン

彼は明治維新など評価していなかったのだ。そして『坊ちゃん』でみるように、有力政治家たちを徹底的に批判していた。

98ページに、明治三十五年(1902)三月十五日に書いた手紙の文章がある。

「欧州今日の文明の失敗は明かに貧富の懸隔甚だしきに基因致候」

168ページ、169ページには『私の個人主義』からの引用がある。

今の共謀罪の予言に思えてくる。

個人の自由は先刻お話した個性の発展上極めて必要なものであって、その個性の発展がまたあなたがたの幸福に非常な関係を及ぼすのだから、どうしても他に影響のない限り、僕は左を向く、君は右を向いても差支ないくらいの自由は、自分でも把持し、他人にも附与しなくてはなるまいかと考えられます。それがとりも直さず私のいう個人主義なのです。金力権力の点においてもその通りで、俺の好かないやつだから畳んでしまえとか、気に喰わない者だからやっつけてしまえとか、悪い事もないのに、ただそれらを濫用したらどうでしょう。人間の個性はそれで全く破壊されると同時に、人間の不幸もそこから起らなければなりません。たとえば私が何も不都合を働らかないのに、単に政府に気に入らないからと云って、警視総監が巡査に私の家を取り巻かせたらどんなものでしょう。警視総監にそれだけの権力はあるかも知れないが、徳義はそういう権力の使用を彼に許さないのであります。または三井とか岩崎とかいう豪商が、私を嫌うというだけの意味で、私の家の召使を買収して事ごとに私に反抗させたなら、これまたどんなものでしょう。もし彼らの金力の背後に人格というものが多少でもあるならば、彼らはけっしてそんな無法を働らく気にはなれないのであります。
 こうした弊害はみな道義上の個人主義を理解し得ないから起るので、自分だけを、権力なり金力なりで、一般に推し広めようとするわがままにほかならんのであります。だから個人主義、私のここに述べる個人主義というものは、けっして俗人の考えているように国家に危険を及ぼすものでも何でもないので、他の存在を尊敬すると同時に自分の存在を尊敬するというのが私の解釈なのですから、立派な主義だろうと私は考えているのです。
 もっと解りやすく云えば、党派心がなくって理非がある主義なのです。朋党を結び団隊を作って、権力や金力のために盲動しないという事なのです。

195ページには、大逆事件に関する森鴎外の関与について、こういう文章がある。

鴎外の暗躍は二重スパイも同然で、にわかに信じられないほど卑劣きわまりない。

高校生時代以来ずっと抱いていた鴎外への言い難い嫌悪感、この文章で納得した。この新書、改めて読み返している。

本日の日刊IWJガイド、大本営広報部全員が懸命にもりあげている噴飯もの茶番を鋭く批判している。茶番を指摘する「マスコミ」他にあるのだろうか?

【3】東京・千代田区長選が告示――ワイドショーは「小池知事VSドン内田」の構図で盛り上がるが・・・

 昨日1月29日、東京都の千代田区長選が告示されました。5選を目指す現職の石川雅己氏に加え、新顔の五十嵐朝青氏と、与謝野馨元財務相のおいである与謝野信氏の3人が立候補。投開票は2月5日に行われます。

 東京都の小池百合子知事と政治団体「都民ファーストの会」が石川氏を支援する一方、自民党東京都連は与謝野氏を支援。千代田区は「都議会のドン」と言われる内田茂都議の地元であるだけに、テレビのワイドショーなどでは「改革派の小池知事VS守旧派のドン内田」という構図で大きく報じられています。

 しかし忘れてはならないのは、小池知事はいまだに自民党を離党していないという厳然たる事実です。小池知事は、自民党東京都連の守旧派と対峙する改革派のポーズを取りつつも、結局は自民党と安倍政権の補完勢力なのではないか――。小池知事に関しては、こうした視点を忘れるべきではないのではないでしょうか。

 IWJでは、築地市場の豊洲への移転問題を中心に、「小池劇場」をしっかりとウォッチし、取材・中継を重ねています。その成果は、特集ページに一挙集約していますので、ぜひ、下記URLよりご覧ください。

※【特集】「小池劇場」はいつまで続くのか!? マスコミを熱狂させる小池百合子都知事の素顔に迫る!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/feature/related_article-koike_yuriko

■<本日の岩上さんによるインタビュー>「未必の故意による黙示的共謀」って何!?共謀罪成立前にしてこの法の濫用!共謀罪後はどうなる!?~元法務大臣・平岡秀夫弁護士、斎藤まさし氏インタビュー

 おはようございます、IWJ記者の城石エマと申します。

 「あの上司、腹立つから今度一発食らわせてやろうぜ」「そうだね」

 たったそれだけで処罰の対象となってしまうかもしれない「共謀罪」が、今国会に提出されようとしています。実際に殴ったわけでも、殴るための鈍器を購入したりしたわけでもなく、話し合い、同意しただけで「共謀した」ことにされ、逮捕されるかもしれない共謀罪の危険性について、IWJはこれまでに特集ページを組んで繰り返しお伝えしてきました。

※【特集】マジありえない共謀罪・盗聴法・マイナンバー~超監視社会が到来する!?
http://iwj.co.jp/wj/open/%E5%85%B1%E8%AC%80%E7%BD%AA

 人は心の中で、常に善行だけを思い浮かべる存在ではありません。理性とは別に、よからぬ妄想や欲望や悪感情だって自然に湧いてくるものです。しかし、仮に誰かを殴ってやりたいという感情にとらわれても、実際に行為におよばない限り、処罰されることはありません。これは近代法の「内面の自由」の原則です。

 しかし、犯罪の実行行為がなくても、心の中で考えたことをうっかり話し、同意を得ただけで、実行の準備行為(凶器の購入など)に着手しなくても、その共謀事態が罪だとされて、処罰の対象にされてしまう――それが共謀罪です。
「内面の自由」に踏み込むだけでなく、親しい人との会話の内実にも踏み入るのです。「通信の秘密」という憲法上の大原則も、侵害される恐れがあります。

 人々のコミュニケーションの自由を侵害する許しがたい法案ですが、なんと、「共謀罪」を待たずして、すでに法が濫用され、「頭の中で考えたこと」「親しい人と話し合ったこと」が処罰の対象にされるどころか、故意に法を犯そうとしたかどうかも曖昧で、互いにはっきりと話し合ってはいない(明示的な共謀がない)にもかかわらず、「未必の故意による黙示的共謀」が有罪とされる裁判結果が出てしまったというのです。

 ちょっと信じがたい事実を岩上さんに教えてくださったのは、民主党政権時代に法務大臣を務めた、平岡秀夫弁護士です。信じがたい判決は、平岡弁護士が担当している事件で下されたものだといいます。

 事件は、2015年4月に行われた静岡市長選挙で、落選した高田都子(ともこ)氏陣営が、告示前に広告業者に投票を呼び掛けるビラ配りを依頼し、見返りに現金約540万円を支払う約束をしたなどとして、公職選挙法違反(利害誘導・事前運動など)の疑いが浮上したもの。この件に関係した、「市民の党」代表の斎藤まさし氏らが逮捕されました。

 「違法なビラ配りの指示などしていない」という斎藤氏側の言い分にも関わらず、昨年6月3日、静岡地裁は「未必の故意による黙示的な共謀が認められる」として、斎藤氏に懲役2年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。

 故意ではないものを薄々わかっていたであろうととみなし(未必の故意)、共謀しあっていないのに、以心伝心で心が通じ合っていたなどと推量して、(黙示的共謀)、斎藤氏らが公職選挙法違反をはたらいたと判断してしまったという、前代未聞の判決だったのです。

 こんなめちゃくちゃが通ってしまうなら、共謀罪が成立してしまった後はいったいどうなってしまうのでしょうか!? 岩上さんは、共謀罪が「自首による減刑・免除」を規定していることから、「スターリン時代のソ連並みの密告社会が訪れる」と危惧しています。

 本日14時30分より、岩上さんは平岡弁護士と斎藤氏にインタビューをして、あまりマスコミが報道していないこの問題について詳しくお聞きします。ぜひ、ご視聴ください!

★「未必の故意による黙示的共謀」って何!? 共謀罪成立前にしてこの法の濫用! 共謀罪後はどうなる!? ~元法務大臣・平岡秀夫弁護士、斎藤まさし氏インタビュー
[日時] 2017年1月30日(月)14:30~
[YouTube Live]
https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
[CAS] http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi

 IWJは平岡弁護士の講演も取材しています。ぜひ、予習・復習にご視聴ください。

※「内面を言葉にしただけで取り締まられるとすれば想像するだけで息苦しい」――櫻井よしこ氏が共謀罪を的確に批判していた過去!なぜ「表現の自由」を抑圧する自民党改憲案を支持!? 2016.12.6
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/349873

※「共謀罪は治安維持法よりも恐い」――拡大解釈の余地が大きい共謀罪を元法相・平岡秀夫氏、海渡雄一弁護士らが徹底批判 通常国会召集日に300人以上の市民らが院内集会に参加 2017.1.20
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/357872

 また、岩上さんは共謀罪について、1月24日、元東京地検検事の落合洋司弁護士にもインタビューをしています。こちらもあわせてご視聴ください。

※「市民運動、労働組合…いくらでも対象は広がる」~元東京地検公安部の落合洋司弁護士が岩上安身のインタビューで「共謀罪」に警鐘!「組織犯罪には現行法で対処可能」と断言! 2017.1.24
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/358757

2017年1月29日 (日)

今や政治的敵対勢力と化したマスコミ

2017年1月27日
Paul Craig Roberts

スティーブン・バノンは100%正しい-マスコミは、今や政治的敵対勢力と化した

アメリカのマスコミ、実際には、欧米の印刷・TVメディア丸ごと、支配層エリートのためのプロパガンダ装置に過ぎないというバノンは正しい。売女マスコミには、品位も、道徳的良心も、真実の尊重も皆無だ。https://www.rt.com/usa/375271-bannon-trump-media-cnn/ 阿呆連中が、報道の自由を、大衆にウソをつく自由と定義している書き込みをお読み願いたい。

アフガニスタン、イラク、リビア、パキスタン、イエメン、シリア、ソマリア、パレスチナとウクライナのロシア語地域、9カ国で何百万人もの人々に対し、クリントン、ブッシュとオバマ政権が行った膨大な戦争犯罪を正当化しているのは卑劣な欧米マスコミ以外にあるだろうか?

“対テロ戦争”の名目で、欧米世界に作られた警察国家を正当化しているのは卑劣な欧米マスコミ以外にあるだろうか?

クリントン、ブッシュやオバマ政権などの戦犯連中と並んで欧米マスコミも、人類に対する膨大な犯罪に共謀したかどで裁判されるべきなのだ。

欧米とロシアとの間に高度な緊張を維持しようという欧米マスコミの取り組みは、全ての人類にとって危険であり、地球上の生命に対する直接の脅威だ。ゴルバチョフの警告は正しかった。http://time.com/4645442/gorbachev-putin-trump/?xid=time_socialflow_facebook もしトランプが経済制裁を解除すれば、トランプがロシアの手先である証明だと売女マスコミはのたまうだろう。民主党やリベラル-進歩派-左翼が、トランプの反戦政策に反対するために反戦運動を動員しているという矛盾!

婉曲的に“偽ニュース”と呼ばれるウソを認め、謝罪するのを拒否し、欧米マスコミは、他の様々な形でも人類に害を与えている。例えば、大量虐殺と慈悲の関係のように、ほとんど公正には無関係なアメリカ“司法”制度において、無罪の被告(『黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う』に書かれたウォルター・マクミリアンのような)を有罪にするために、偽証をそそのかすことを、意図的にウソをついて、マスコミは合法化した。マスコミは世界の出来事にウソをつけるが、警官と検事は犯罪についてウソをつけるのだ。

トランプに対する政治的敵対勢力の役割を演じることで、マスコミは、環境や警察が用い抑圧的手法を許容するなど、トランプが批判されるべき話題に対する真面目な批判者としての信用を失ってしまった。売女マスコミは、報道と批判でトランプの業績を向上されるあらゆる機会を失ったのだ。

トランプは、環境、警察と対テロ戦争には節度が必要だ。“イスラムの脅威”なるものは、ネオコンと軍安保複合体が売女マスコミという共犯を得て、覇権という狙いと、CIAやペンタゴンや軍需産業の予算と権限に役立つよう作り上げたでっちあげであることをトランプは理解する必要がある。もしアメリカが、イスラム教徒への爆撃や大量殺りくや、シリア、イラクやリビアなどのいいなりにならないイスラム政府を打倒するため、反政府勢力を訓練し、装備を与えるのをやめれば“イスラムの脅威”は消え去るのだ。

トランプは、政治目標に、アメリカ・マスコミの90%を所有している六つの巨大メディア企業をバラバラにして、そのそれぞれを別々の、支配層エリートとは無縁の自立したオーナーに売ることを追加するかも知れない。そうすれば、政府のために、あるいは政府に反対するためにウソをつくのではなく、政府を真実で制約することができるマスコミがアメリカに、再び出現する。

King World Newsで報じられている私関係の記事には、連中の唯一の仕事は、金持のためにウソをつくことだという、過去のジャーナリストたちの面白い言葉がある。
http://kingworldnews.com/paul-craig-roberts-an-ominous-warning-for-what-promises-to-be-a-very-dangerous-year/

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/27/media-now-political-opposition/
----------
スティーブン・バノンなる人物の他の言行については、何も触れていないのが気になる。

この列島では、様子は全く違う。

売国政治的支配勢力と完全一体化したマスコミ あるいは
今や庶民に対する政治的敵対勢力と化したマスコミ

原発に抗う』を読んで、連載記事『プロメテウスの罠』を書いた記者の経歴を知って、連載を書けた理由がやっとわかった。現在、南相馬支局長。

2017年1月28日 (土)

トランプの180度転換にロシアは御用心

Finian Cunningham
2017年1月22日
Sputnik

ロシアは、アメリカのドナルド・トランプ大統領を慎重に歓迎しているが、モスクワは、新たなホワイト・ハウス住人と、外交関係の改善のために協力できるかどうかについて、賢明にも依然様子見の姿勢を保っている。

トランプが、ロシアとのより友好的な関係を回復したい意向を再三述べたり、先週、ドイツのアンゲラ・メルケル首相を信じるのと同じ程度、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンを信じていると発言したりしているのは、より健全なアメリカの政策に向かう明らかな前進として歓迎すべきことだ。

とはいえ、トランプが最後までやり抜くかどうかについての信頼性には大きな疑問が残っている。

ロシアとの関係正常化に対するトランプの明らかな熱意は、彼の前任者、バラク・オバマや、ジョージ・W・ブッシュの下では、ワシントン政策の中心だった攻撃的なロシア嫌いよりは確かにずっと有望だ。しかし、元実業の大物は実行できるのだろうか?

億万長者不動産業の大立て者から政治家に転じた人物が、様々なことを言った後で、あっさり矛盾したことを言う性格は、漠然と感じられるどころではない。この特徴は、故意の策略なのか、それとも、さほど悪意はなく、軽率で注意力が散漫なためなのかはっきりしない。いずれにせよ、結局、疑問の余地がある品位の性格ということになる。

週末、トランプが第45代アメリカ大統領に就任した後、揺れ動く彼のブランドの更なる雰囲気を経験させられている。

土曜日、大統領としての初日丸々、トランプの最初の公式業務は、ワシントンDCにあるホワイト・ハウスの住まいのポトマック川対岸、バージニア州ラングレーにある中央情報局(CIA)本部訪問だった。

彼はそこで“1,000 パーセント”諜報業務を支持していると言って、CIAを称賛と感謝でほめそやしたのだ。トランプは、彼がCIAと確執しているというマスコミ報道も一蹴した。“私ほど皆さんを支持している人はいません”と喝采するCIA職員に向かってトランプは言った。

ちょっとお待ち願いたい。トランプは実際、11月の選挙の前も後も、CIAや他のアメリカの諜報機関と実に公に戦いを繰り広げてきたのだ。彼は当初、ロシアが選挙をハッキングしたという彼らの主張を“ばかばかしい”と非難した。後に彼はロシアに対する彼らの主張に同意して、ある種撤回した。

就任のわずか数週間前、トランプはCIAが、ロシアの恫喝について十分証拠のないことをブリーフィングしたとマスコミに言い、漏洩を巡る“ナチス”のような行為だとCIAを酷評した。

CIAに対する、トランプのこの角々しい態度は、得体の知れない選挙で選ばれたわけではないアメリカ権力の中枢 - いわゆる陰の政府からの大胆な自立を示すものだと、満足げに語る評論家もいた。

ところが逆に週末に我々が目にしたのは、陰の政府の裏で用心棒として活動している秘密工作員連中を甘やかすのを、トランプ大統領が優先事項としたことだ。この言葉を想起されたい。“私は1,000パーセント皆さんを支持しています。”ジョン・F・ケネディの“CIAを粉々にする”という誓約とは大違いだ。

CIAは世界史上、最も犯罪的で残忍な秘密機関の一つで、本質的に、アメリカ権力を投射するための機関として存在してきた。外国指導者たちの暗殺から、残虐な政権に変えるための民主的政府の打倒やら、代理テロリスト連中に、秘密裏に武器を与えることに至るまで、あらゆることに関与している。

トランプが、就任初日にすべき最優先の仕事として、ラングレーに駆け付け、非公式ながらも、より正確に“殺人会社”として知られている機関を称賛するというのは、彼にとって一体何が優先事項なのかについて、気がかりな兆候だ。

下記の例は、他のランプの180度転換の包括的リストというわけではなく、こうしたもののから、彼の性格に関する重大な懸念がもたらされるというものだ。

金曜日、連邦議会での就任宣誓直後、トランプは議会昼食会に招かれた。正餐後の乾杯で、彼はヒラリー・クリントンと夫のビル元大統領を“素晴らしい人々”だと名指しで褒め、何百人もの客からの喝采を受けるべく、二人に起立するよう頼んだのだ。

えーっ? 民主党のライバル、ヒラリー・クリントンに対する選挙運動中、トランプは彼女に、ウオール街のいかがわしいコネのある“悪徳商法ヒラリー”というすさまじいレッテルを貼っていた。トランプは、クリントンに対する犯罪捜査を開始するとも誓い、集会で、支持者たちに“彼女を投獄しろ! 彼女を投獄しろ!”と唱えるよう奨励していた。

トランプの選挙中のもう一つの公約は、ワシントンの大企業権益やロビイストや政治的に任命された連中の“沼地を清掃する”というものだった。しかしこれまでの所、彼は閣僚を、ワシントン沼地の権化である億万長者被指名者で揃え、政府の財政と経済を監督する地位に、ウオール街の金融業者連中を任命している。

いささか調子は軽いが、同様に参考になるのが、ハリウッド女優メリル・ストリープに対する、トランプのツィッターによる激怒だ。ゴールデン・グローブ賞の今月初めの式典で攻撃された後、映画スターを“過剰評価されている”と表現して反撃した。わずか数年前、トランプは、メリル・ストリープを好きな俳優の一人にあげていたにもかかわらず。

より深刻な話題に戻ると、先週ドナルド・トランプはイギリスとドイツ・マスコミとの広範なインタビューで、ロシアのシリアへの軍事介入をさらし者にし、モスクワを“人道的危機”を引き起こしたと非難した。

これは、トランプがこれまで言ってきた、シリアにおけるロシアの行動に対する見方、ダーイシュ(ISIS/ISIL/ISとしても知られている)や他のテロ集団の根絶に対するロシア称賛からの大きな変化だ。

週末のCIAべた褒めで、トランプは、彼が閣僚に選んだ連中が、過去二週間の議会指名承認公聴会において痛ましく平伏かたのを後追いしたのだ。国防長官に選んだジェームズ“狂犬”マティス元大将や、新CIA長官に選んだマイク・ポンペオを含む閣僚被指名者が次から次に、ロシアはアメリカの国家安全保障に対する極度の脅威だという既存支配体制の方針をいくじなく受け入れた。

他にもまだあるが、こうしたこと全てが疑問を提起する。トランプは信頼に値するのだろうか?

アメリカが率いるNATO軍事同盟は“陳腐化”しているとトランプが言った際、本当は一体何を意味していたのだろう? この28カ国による戦争機構は廃止すべきということだろうか? それともトランプの不可解な思考の中では、“陳腐化”というのは、この戦争機構は、刷新し、再活性化する必要があるという意味なのだろうか?

トランプ当選は、ヒラリー・クリントンよりはましだったという点には、ほとんど疑問はなさそうだ。ロシアに対する彼女のあからさまな敵意や軍事的対立への意欲で、悲惨なことになっていたろう。

対照的に、トランプがロシアと前向きに付き合う意欲を述べていたのは、ワシントンに存在している喧嘩腰の政策からの好ましい離脱だ。

とは言え、トランプは物事を力強く言ったかと思うと、後で全く矛盾する発言をする型破りなほら吹きに過ぎないことを示す、かなり多くの兆候がある。

おそらくトランプは、個人的には、ロシアとの関係を本当に回復したがっている。おそらく、彼は更に進み、間もなく、ウラジーミル・プーチンと直接会うだろう。

これまでの所、モスクワは、トランプ大統領を慎重に歓迎している。しかし、ロシア指導部は、アメリカの喧嘩腰の体系的原因は、一人の人間が闘えるものより遥かに根深いことを知っている。

しかも、トランプの一貫性のない考え方からすれば、深遠なアメリカ権力体制 - 陰の政府 - が彼を操り、連中の方針を採用させるのに成功するのではといぶかる理由がある。ロシアや他の世界的ライバルと見なす国に対する連中の方針は、協力ではなく、敵意と対立だ。アメリカ資本主義勢力は、そういうふうに動いている。

その場合、ロシアはトランプ政権を用心深く警戒することになる。最善の結果を望むが、トランプは、いつ何どき百八十度転換しかねないことを予想しておこう。

記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201701221049888229-russia-trump-u-turn/
----------
Information Clearinghouseに掲載されている彼の記事には、異論コメントがいくつも書かれている。素人には、異論の意味がわからない。

大本営広報部でさえ一応とりあげざるえない教育委員会問題。カジノ招請に熱心な市の組織ならではか。

「賠償金あるだろ」という脅し文句――被害生徒が最も訴えたかった言葉を教育委員会が「墨塗り」に! 150万円もの「恐喝」をいじめ認定すらしない横浜市と教育委員会に怒りの声!! 2017.1.26

この組織、実態は「教育破壊委員会」。

大本営広報部、下記の件を本気でとりあげているだろうか?

※【国会ハイライト】自由党・山本太郎共同代表の国会発言が「取り消し」になる可能性!?参議院広報「最後に取り消されたのは24年前」~参議院本会議での山本太郎代表質問全文文字起こし

 IWJは国会内での取材が許可されていないので、本会議や委員会での審議の模様を中継することはできません。しかし、このような「ハイライト記事」を作成することで、記者クラブメディアの寡占状態に爪を立て、引っかき傷くらいは残すべく、事実を報じています。

山本太郎議員の発言が取り消される前に、その発言すべてを報じ、記録を残していかなくてはなりません。

2017年1月27日 (金)

ロシアとアメリカ合州国との闘いに備えるグローバル主義者/ネオコン

Wayne MADSEN
2017年1月24日
Strategic Culture Foundation

ネオコンと連中のグローバル主義者イデオローグは実に不屈だ。“トランプ絶対反対”運動に署名したネオコン共和党連中が、彼の政権のいかなる地位につくことも阻止するというドナルド・トランプ移行チームの決定により、グローバル主義者とネオコン連中は、活動のために、他の場所を探すこととなった。

ロシアと、アメリカ大統領ドナルド・トランプの両方と戦うべく、ネオコンとグローバル主義者は体勢を立て直した。国務省の座から、頭目ネオコンのビクトリア・ヌーランドが、アメリカ国連大使の座から、サマンサ・パワーが、そして国家安全保障会議の座から、スーザン・ライスが去った後、汎大西洋主義見解を共有するネオコンとグローバル主義支配層は、連中の猿芝居とプロパガンダ戦争を仕掛けるのに理想的な場所として、カナダに落ち着いた。

カナダのジャスティン・トルドー首相は、ヌーランド、パワーと、ライスのイデオロギー的分身を世界舞台に登場させるべく、ステファン・ディオン外務大臣を首にし、クリスティア・フリーランドを国際貿易大臣にした。今後の対トランプ政権作戦のために、寄せ集めることが可能な、あらゆる反トランプ不安定化活動を、オタワが受け入れようとする中、ロシアと関わろうとしたディオンの政策が、究極的に職を失わせることとなった。

ウクライナ系のフリーランドは、昨年、欧州連合との自由貿易協定を成立させた後、グローバル主義者のお気に入りとなった。業を煮やしたフリーランドは、ベルギーのワロン地域政府による協定への抵抗に対し、強く圧力をかけた。ワロン政府が、カナダEU包括的経済貿易協定(CETA)に対する危惧を止めたと発表し、ブリュッセルによる最終的受け入れ前に、欧州裁判所による協定の見直しを必要としていたワロン住民との協定を、ベルギー中央政府が反故にした後だったのに。

フリーランドは、キエフのネオ-ファシスト政府とのカナダ-ウクライナ自由貿易協定調印も監督した。カナダ自由党の政策である、大企業支配とグローバル化に深く染まったフリーランドは、ワロンであれ、クリミアであれ、ケベックであれ、地域政府に自決の権利は無いという考え方だ。この習性が、大企業支配グローバル主義イデオロギーの根底にあるのだ。フリーランドのお仲間であるケベックのカナダ自由党が、ケベック主権運動を骨抜きにした。とは言え、もしフランス国民戦線大統領候補マリーヌ・ルペンが今年の選挙で勝てば、フランスは、シャルル・ド・ゴール大統領が、1967年にモントリオールで、有名な“自由ケベック万歳!”演説でしたように、ケベック独立運動に新たな活気を与えることが可能だ。

フリーランドを外務大臣に、ソマリア生まれのアハメッド・フッセンを、移民・難民・市民権大臣に任命して、トルドーは、グローバル化と移民への国境開放という双子の問題で、トランプに対し、越えてはならない一線を引いたのだ。オタワは間もなく反トランプ作戦の巣となり、それに億万長者の世界的トラブルメーカー、ジョージ・ソロスが関与するのはほぼ確実だ。

パワーと同様、フリーランドは、グローバル新世界秩序の宣伝担当となるために、ジャーナリストとしての資格を売り渡した元ジャーナリストだ。彼女は、ローズ奨学生で、ハーバード卒業生で、ブルッキングス研究所出身で、ワシントン、ニューヨークとモスクワで、フィナンシャル・タイムズ特派員を務めた。

ウクライナとクリミアを巡る対ロシア経済制裁支持を含むフリーランドの反ロシア姿勢のおかげで、彼女はロシア政府からビザ給付を禁じられた。FTモスクワ特派員としての末期には、フリーランドは、プーチン大統領新政権に対する主要批判者となり、ロシアに独裁制を産み出したと批判した。フリーランドのロシア嫌いは、FTのモスクワ支局で働く前、キエフで記者をしていた間に磨きをかけられた。実際、ロシアに対するフリーランドの偏見が、常に彼女の報道にみられた。フリーランドの親友はカナダ政党の壁を越えており、カナダ自由党のシオニスト監督者、アーウィン・コットラー、ウクライナ系カナダ人評議会議長のポール・グロッド、保守党の外交問題広報官ピーター・ケントがいる。

外務大臣として最初の発言の一つで、フリーランドは、カナダの対ロシア経済制裁は解除しないと誓った。2017年1月10日、フリーランドは、カナダは、登場しつつある世界的な“保護貿易主義と外国人嫌い”に対して闘う先兵になると誓った。ワシントンのトランプ、マリーヌ・ルペン、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相と、イギリス独立党政治家ナイジェル・ファラージに対する明らかな警告だった。2016年12月、カナダは、国際連合難民高等弁務官事務所と、中東、北アフリカと南アジアからの難民の、欧米先進国への移動を拡大しようとしているソロスのオープン・ソサエティー財団との会談を主催した。ロシア嫌いのフリーランドとソロスが、ロシアとトランプの両方に対する、いくつかの戦線で協力していることに疑いの余地はない。

トルドー政府が、ロシア嫌いを、カナダの外交担当者にしたので、ヨーロッパで文句ばかり言って何の対案も出せない小国諸国は恍惚状態だ。フリーランドは、ロシアに関する方針を変えるようトランプ政権に影響を与えるという彼女の狙いを公言している。ワシントンには“お仲間の広範なネットワーク”を持っていると大言壮語し、連邦議会、国務省やホワイト・ハウスという“権力の回廊”で働いた経験があると彼女は主張している。駐オタワ・ウクライナ大使アンドリー・シェフチェンコは、フリーランドが、ロシアに対する政治的、経済的圧力を継続するようトランプ政権を“教育する”ことを願っている。駐オタワ・ラトビア大使Karlis Eihenbaumsは、オタワは、より親密なアメリカ-ロシア関係を頓挫させるための、ワシントンにおけるNATO“影響作戦”キャンペーンの事実上の打ち上げ拠点だと見ている。

フリーランドは、最近のスイスにおけるダボス経済サミットで、ガーンジーに本拠を置く彼の会社ヘリテージ・ファイナンシャル・マネージメントが関与した、ロシアでの壮大な詐欺計画の中心人物、アメリカ人金融業者ウィリアム・ブラウダーと会って、トランプとプーチンに対する彼女の意図を示した。かつてアメリカ共産党書記長だったアール・ブラウダーの孫ブラウダーは、お仲間の詐欺師ミハイル・ホドルコフスキー同様、ロシア政府とプーチン大統領に対する激烈な批判者だ。

北米自由貿易協定(NAFTA)を破棄しようというトランプのいかなる取り組みに対する、ネオコンとグローバル主義者の非難を、オタワで、フリーランドが先導するのだ。カナダが参加していて、トランプが破棄すると誓約した環太平洋連携協定(TPP)を、彼女が救済しようとするのはほぼ確実だ。フリーランドは、ノルウェー、デンマークやドイツのような反ロシアNATO加盟国や、NATO寄りのスウェーデンやフィンランドに向けて、カナダの北極海を軍事駐留に開放する可能性が高い。カナダ北極海における、アメリカ軍隊無しでのNATOプレゼンスの強化は、地域に軍隊を配備させることになるのみならず、気候変動のおかげで益々航行可能になりつつある出現しつつある北極海航路を巡るカナダによる支配について、ロシアに対して警告を送ることでもある。

オタワが反トランプと反ロシア活動の中心となるにつれ、カナダとアメリカ合州国の関係が冷え込む世界となる可能性がある。もしトランプが、カナダを反トランプ作戦の源と見なし始めれば、メキシコ国境だけが北アメリカ政治の火種でなくなるかも知れない。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/01/24/globalists-neocons-prepare-battle-russia-and-united-states.html
----------
この名前、昔どこかで聞いたことがあるように思ったが、いくらネット・検索してもわからない。ふと思いついて、英語氏名で、検索して、やっとわかった。大昔に購入したまま行方不明になっている大部の本『世紀の売却―第二のロシア革命の内幕』の著者だった。
よく見ると、著者名、クライスティア・フリーランド。
巨大ネット書店では、クリスティア・フリーランドで検索しても『グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代』しか出てこない。この記事を読んで、行方不明の本を捜すのはやめることにした。

書店を覗いたところ『TPPの真実』が置いてあったのに驚いた。国会で話題になったあの本。投資家対国家の紛争解決、ISDS条項についての見出しを探してみたが、例をあげて、わずか数行。必要だと理解したというような記述しかなかったので購入はやめにした。

TPP妄想のタワゴトで無駄な時間を使うのはやめて、今日の日刊IWJガイドにある講演を拝聴しようと思う。大本営広報部が決して報じない重要な事実。

トランプ政権はさらなる規制緩和を日本に要求してくる!安倍政権によるTPP強行採決は「さらなる国益を差し出す」服従の意思表明!? ~鈴木宣弘東大大学院教授がトランプの正体を見抜く!

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

2017年1月26日 (木)

就任三日目に、トランプは既に一つの公約を守った

2017年1月24日
Paul Craig Roberts

大統領就任三日目に、トランプは既成支配体制に一歩先んじた。これは続くのだろうか?

私はトランプの熱狂的支持者ではない。私はスコア記録係だ。

大統領の地位について三日目に、ドナルド・トランプは、アメリカ合州国が環太平洋連携協定(TPP)から離脱する大統領令に署名した。これから類推して、彼は環大西洋貿易投資連携協定も廃棄すると想定すべきだ。

トランプと彼の顧問たちは、環太平洋連携協定と環大西洋貿易投資連携協定を、アメリカ人を犠牲にして、アメリカの雇用をメキシコに送り出したNAFTA北米自由貿易協定のような貿易協定と見なしているのだ。

しかしながら、これらの協定の最も戦略的な部分は、もし連中が事業を行う国の法律が、グローバル企業の利益に悪影響を与えた場合、この協定が、そうした法律から、グローバル企業が免れるのを可能にすることだ。

誰がこの問題を裁定するのだろう? 国々の裁判所でも、世界的な裁判所でもない。
問題は、大企業だけが要員を送り込む大企業法廷によって判断される。

言い換えれば、フランスのGMO禁止法のような主権国家の主権法は、大企業法廷が判断する損害賠償訴訟の対象になり、国々の法的主権の終焉を意味するのだ。

いわゆる貿易連携協定は、アメリカ経済帝国主義の武器だ。

トランプと彼の顧問たちが、気づいていようと、いまいと、トランプは就任三日目に、アメリカのグローバル企業が渇望していた権力に対する致命的打撃を加えたのだ。

この恐るべき勢力は、トランプによって加えられたこの打撃に一体どう反撃するのだろう?

エリートの権益に対する、トランプが約束した打撃が続くかどうかはまだ分からない。

会社を設立した国においても、事業を行っている外国においても、グローバル企業は第五列だ。グローバル企業は、いかなる国にも忠誠心は皆無で、決算の利益だけに忠誠だ。そうした利益を増やすものなら何であれ、連中は合法と見なす。そうした利益を減らすものは何であれ、連中は違法なものと見なすのだ。

現代資本主義は、利益第一の世界で、資本家には、アダム・スミスや、デヴィッド・リカードが、連中にはそれがある想定したような本国に対する忠誠心など皆無だ。アメリカの雇用をアジアに移転することで、アメリカのグローバル企業は、アメリカに対する不忠を実証している。アップル、ナイキ、リーバイや、その他諸々の企業をお考え頂きたい。雇用の海外移転は、消費者を、消費する商品の製造に伴う収入から切り離してしまい、彼らの困窮を招くのだ。

グローバル企業の海外移転に対する報酬は、労賃や規制に対する経費削減による大きな利益であり、その結果、幹部の“業績連動賞与”や、株主のキャピタル・ゲインや、幹部にとってのストック・オプションや、何か同様の収入増大の仕組みが実現した。

アメリカを“機会の社会”にしていた出世の梯子を、費用が解体してきたのだ。高い生産性の高付加価値製造業や、ソフトウエア・エンジニアリングのような専門職雇用は海外に移転され、またソフトウエア業務の場合には、H1B就労ビザを持った外人にも与えられる。結果は、州や地方や連邦の税基盤の崩壊で、そのおかげで、社会保障やメディケアや、国家や地方の年金が攻撃されることになる。

アメリカのように、GNPを外国に渡している国は、先進国から第三世界への変身に組み込まれている。トランプは、まさにこれを転換するつもりだと言ったのだ。

彼は一体どうやって実現できるだろう? 法人税率を削減し、輸入、あるいは国境税を課すことで実現できるものなのだろうか?

アメリカは、関税、つまり“国境税を禁じる”世界貿易機関の加盟国だ、もし、これが正しいなら、トランプは、まずアメリカをWTOから脱退させなければならないが、これは容易なことではあるまい。

だがトランプは、アメリカ市場向け製造の海外移転による安い労賃で、企業が得られる利益増という利点を、企業が課税される方法を変えることで相殺することができるのだ。

もしアメリカの大企業が、製品に、アメリカで付加価値をつければ、つまり、もし彼らが、アメリカで、アメリカ人に販売する商品を、アメリカ人の労働によって製造すれば、その商品を、外国で外国人の労働によって製造する場合より低い税金を課されることにする。税率の差異は、外国のより安い労賃や、規制対応経費という利点を、相殺する、あるいは相殺する以上に、計算することができる。これは国内課税の問題で、外国で製造された商品に対する関税の問題ではないので、WTO規則の対象にはならない。

グローバル主義者によるプロパガンダのおかげで、アメリカ人は、アメリカ経済の強みは、国内市場が基盤だというのを忘れている。アメリカ経済の発展は、決して外国貿易に依存してはいなかった。生産性上昇で得たものの多くをアメリカ人労働者が受け取ることによる消費者購買力の増大に、しっかり依存していたのだ。

雇用の海外移転がしたことは、生産性上昇による所得収入を、低賃金のアジア労働力による大企業利益に変えたことだ。

中国、インド、インドネシアや、他の国々における労働力の膨大な過剰供給のおかげで、アジアの労働力に対して、利益に対する労働の貢献より少なく支払うのは容易なことだった。労働力が豊富で、雇用が希少であれば、労働力は安くないと買い手がつかない。

現在でさえも、中国やインドの労働人口は不完全雇用だ。アメリカの労働力が競合できる唯一の方法は、アメリカの生活水準以下の賃金を受け入れることだ。

ロス・ペローやパット・ブキャナンが理解していたと同様、トランプはこれを理解している。

ロス・ペローは億万長者だった。それなのに、彼は普通の勤労アメリカ人のために立ち上がった。ところが、左翼は、あらゆる億万長者は悪だという。

パット・ブキャナンは共和党既存支配体制中の特権階級だ。それなのに、彼は連中を見捨てて、普通の勤労アメリカ人のために立ち上がったのだ。それなのに、左翼は彼を“ニクソン-レーガン・ファシスト”と呼ぶ。

アメリカ左翼の哀れな残滓は、労働者階級を抑圧し、戦争を醸成する連中よりも、労働者階級のために立ち上がる人々のことを憎悪しているのは明らかだ。一体なぜ女性たちは、アフガニスタン、イラク、ソマリア、パキスタン、イエメン、リビアや、シリアで、殺害し、四肢を損ない、孤児や、寡婦を産み出し、何百万人もの人々を難民にしたかどで、クリントン、ブッシュ/チェイニーやオバマ政権に反対して行進せずに、トランプに反対して早速行進するのだろう?

左翼が、トランプ反対で、支配層エリートと組んでいるのを我々が目にしているのは、左翼が労働者階級を見捨てた証拠だ。

アメリカで、どれほど切実に革命が必要なのかをクリス・ヘッジズは分かっていない。もし革命が起きるとすれば、左翼ではなく、ドナルド・トランプがひきいる可能性の方がずっと高い。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/24/three-days-trump-already-kept-one-pledge/
-----------
最後の文章を読んで、目が点。ご本人のサイトにはコメント欄はないが、InformationClearinghouseにはコメント欄があるので、賛否両論コメントが読める。

ISDS条項、大企業裁判の実態、属国大本営広報部は一言も触れない売国組織。しかたがないので下記で、大企業裁判のひどさをかいた記事のごく一部を翻訳しておいた。

不当な行為で金儲け Profiting from Injustice 2016年10月 4日

TPPについては、他にも多数の記事を翻訳してある。下記がそのリスト。

TPP関連主要記事リスト

トランプ大統領、TPPから離脱すると言ったが、米韓FTAを見直すとは言っていない。二国間交渉を進めると言っているのだから、米韓FTAよりもっと過酷な米日FTAを締結させられるだろう。ISDS条項入り、為替操作に対する懲罰入りで。

TPPの不当さを訴えてこられた団体が集会を開催する。

(転送・転載大歓迎)
=======================

                     緊急報告会のご案内

 日頃の活動に格別の御理解、御協力を賜り心より御礼申し上げます。
 さて、6年かけてTPPの脅威は一応押し戻しましたが、今年はトランプ政権の
誕生で新たな、そしてもっと巨大なリスクが日本を襲おうとしています。また、
世界では、TPPの後継あるいは補完と考えられる巨大な貿易協定の協議が加速しています。そのような1年の年頭において、今年我々が直面する貿易・投資問題について分析し、意見交換したいと思います。
 大変お忙しい中恐縮ですが、ご出席頂きますようご案内申し上げます。

 記

1.日 時  1月26日(木)15:00~
2.会 場  衆議院第一議員会館「第6会議室(地下1階)」
3.内 容 

(1)ポストTPP トランプ政権の貿易構想を占う
 1月20日の大統領就任後、トランプ大統領が現実にどのような政策を打ち出してくるか、今後はまったく不透明ですが、就任直後に大統領命令を出すという「TPP脱退」も含め、現時点での分析をします。

(2)日本EU間FTA交渉
 TPPを成長の最後の柱として推進してきた政府は現在、日本・EU間FTAやRCEPの早期合意形成をやみくもに進めています。しかもその内容はTPP以上に秘密保持され、国民はおろか国会議員にも一切伝えられていません。
 これまでも懸案であったワイン、酪農製品など農産品などに加え、日本の先端ビジネスを直撃する知財、データ管理など、ある意味でTPP以上に直接に日本に影響の出る可能性のある協定が議論されています。その一例としてアニマル・ウエルフェア問題を取り上げます。

(3)RCEP神戸会議 (2月27日―3月3日)
 前回、インドネシア会合に続き、今回は日本で会合(第17回)が開催されます
(TPPでは一度も日本で開催されなかった)。RCEPには中国・インドという貿易
大国が参加するため、アジア太平洋地域のみならず、ヨーロッパ・アメリカから
の関心も高く、TPPとも関係する医薬品問題などで激しい議論が予想されますが、これもまた政府は完全秘密主義で一体何が議論されているかもわかりません。政府のHPや財界の対応などから、RCEP協議の実態把握を行います。

★主催:TPP阻止国民会議

でんでん氏とみぞゆう氏は、朝貢誓約をするため、宗主国を訪問する。(彼は民進党に対する答弁で、「云々」を、「でんでん」と読んだそうだ。さすが。)

小林よしのりオフィシャルwebサイト 訂正でんでん 2017.01.25

この瞬間から、アメリカ第一となります。貿易、税、移民、外交問題に関するすべての決断は、アメリカ大企業を利するために下されます。日本が、アメリカの製品を作り、アメリカの企業を奪い取り、アメリカの雇用を破壊するという略奪から、アメリカの国境を守らなければなりません。保護主義こそが偉大な繁栄と強さにつながるのです。わたしは全力で皆さんのために戦います。何があっても皆さんを失望させません。アメリカは再び勝ち始めるでしょう、かつて無いほど勝つでしょう。アメリカは雇用を取り戻します。アメリカは国境を取り戻します。私たちは富を差し出します。そして、私たちの夢を放棄します。

トランブ大統領就任演説の一部を、属国の実情にあわせ、修正した。

2017年1月25日 (水)

アジア再編成の中心となったフィリピン

Andre Vltchek
2017年1月23日
New Eastern Outlook

何十年も、弱々しく、貧しく、無数の病に苦しんできたフィリピンが、今や突然、アジア太平洋全体の組み替えの先頭となって、欧米の帝国主義者連中を追い出しつつある。

アメリカが何の反対も受けずに動き回っていたマニラに、今やロシア戦艦が親善訪問をしている。

2017年1月6日、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、ロシアの対潜水艦駆逐艦アドミラル・トリブツに乗船し、将校たちと会話してから、はっきりと大きな声で言った。“友よ、万歳! これは心からの言葉です。みなさんがより頻繁に戻ってこられるのを願っています。”

明らかに、ロシア人は喜んで戻ってくるだろう!

1月6日、AP通信はこう報じた。

“ドゥテルテ大統領の乗船に同行したデルフィン・ロレンザナ国防長官は、木曜夜に、ロシア海軍幹部と会った際、両国国防組織の“協力関係の始まり”ついて楽観的にみていることを明らかにした。

“地域と世界の平和と安全に対する我々共通の熱意で、全員にとって穏やかで安全な海に向けた協力と調整の良きパートナーに我々はなれるだろう”と、アドミラル・トリブツ船上で、ロレンザナは述べた。

12月始めのロシア訪問時に、ロシアの国防省幹部と合同軍事演習を含む、将来の軍事協力の基礎となる覚え書きをまとめるのに合意したので、ドゥテルテ大統領が予定しているロシア訪問時に、署名が可能だと彼は述べた。

ドゥテルテ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に公然と敬服している。彼は、4月にモスクワ訪問を予定しており、ロシアがフィリピンの‘同盟国兼保護者’となってくれること期待していることを既に表明している。

フィリピンは中国とも急速に接近している。二国間関係は大いに進展している。南シナ海の紛争した地域を巡る緊張は、次第に和らぎつつあり、マニラは、北京のことを、決して敵ではなく、ますます新たな強力な同盟国、投資国、バートナーとして見なすようになっている。

アメリカやEUや国連(元アメリカ大統領バラク・オバマを“売女のせがれ”と呼び、彼に“地獄に落ちろ!”と言った)を痛烈に非難する一方で、ドゥテルテ大統領は、中国を“最も親切な国”と呼んでいる。

この種の言辞、まして政策など、欧米は決して見過ごさず、許すまい。

一流フィリピン人学者夫妻、エドゥアルドとテレサ・タデムが、フィリピン外交政策の新たな方向をこう説明してくれた。

“傾向は明らかです。欧米離れと、中国とロシアへの接近です。彼[ドゥテルテ]は間もなく、中国と領土問題で合意すると思います。現在、習近平主席は非常に多くの好意を示しています。物事は静かに進められていますが、いくつか大きな譲歩が既に明らかです。わが国の漁民は係争中の地域に入ることが認められています。中国は、支援と投資を約束しており、我が国の鉄道を再度動かすという約束もしています。”

とは言え、一流のフィリピン人歴史学者レイナルド・イレト博士は、彼が地域再編で余りに急に進めた場合のドゥテルテの生命を懸念している。

“彼はアメリカ合州国から余り急に離れられません… 彼は殺されてしまうでしょう。”

マニラで、我々はしばらく良くあるパターンについて議論した。欧米が‘反抗的な’国々や、その政権を扱うやり方だ。ウクライナ、ブラジルや、元フィリピン大統領グロリア・アロヨ。

“アロヨは中国に接近しました”とイレト博士は説明した。“連中は、彼女を賄賂のかどで起訴しました。ドゥテルテだけが彼女を釈放できました。”

中国に敵対し、中国を軍事衝突に挑発さえするのが、少なくともオバマ政権の後半では、アジアにおけるアメリカ外交政策の大黒柱だ。この危険な傾向は継続する可能性が極めて高く、ドナルド・トランプが大統領の座についたので、加速さえしよ。

中国と平和的な合意を実現するというドゥテルテ大統領の断固たる決意ゆえに、彼はまさに欧米帝国の暗殺対象者リストに載る可能性が高い。

フィリピン大学社会科学部のロランド・シンブラン教授は、イレト博士の上記発言を支持している。

“もしドゥテルテが余りに早く動けば、彼は軍によって打倒されるでしょう。彼は部外者です。警察と軍は彼に恨みを抱いています。フィリピン軍の幹部司令官の多くは、アメリカによって訓練されており、アメリカに買収までされていることも多いのです。ドゥテルテの反米、反帝国主義政策は言葉だけのものではありません。それは本物です。彼は対立的で、フィリピンと世界に対するアメリカの外交政策”に反対です。

*

ところがドゥテルテ大統領は自称社会主義者であるのみならず、現実主義者でもある。

彼にとって、現在は、来るドナルド・トランプ政権で引き起こされる混乱と、頻繁な反アジアの噴出に乗じる好機なのだ。

日本の安倍晋三首相は、アジア太平洋、そしてそれを超えた地域での新たな同盟国を求めている。トランプと彼の政策に震え上がって、日本は混迷している。

中国とロシアは、ドゥテルテ大統領にとって、二つの新たな心の友かもれないしが、東京の豊富な資金も完全に無視することはできない。

二日間のフィリピン訪問時、安倍首相は、1兆円(87億ドル)の資金提供と投資を約束した。彼は劣化したインフラへの支援と、フィリピンに海上警備船舶や飛行機を提供するとも約束した。日本は、フィリピンにとって、最大の対外支援国で、送金の重要な源だ。

日本の支援が利他的なものであるはずはない。アメリカ-日本陣営に戻り、フィリピン、中国、ロシアと、おそらくはベトナムとの間で、現在構築されつつある新たな同盟を放棄するようドゥテルテ大統領をまるめこむため、安倍首相が、微妙な外交手腕と、財政的報奨を利用しているのを専門家たちはしっかり理解している。

これは最終的には、戦争、世界的紛争にさえ至る可能性がある複雑で危険なゲームだ。日本が一体どちら側に立っているのかは、全く疑いようがない。

日本もフィリピンも、中国との領土紛争があるが、フィリピンが最近、妥協して、平和的解決を選んでいるのに対し、日本はより対立的な方向を選んでいる。

今年末、フィリピンがASEAN会議を主催し、それゆえ共同宣言の焦点と表現を支配する立場にあることを安倍晋三首相は十分承知している。それが一体なぜ彼がダバオにあるドゥテルテの質素な自宅で、喜んで素朴なケーキを食べ(少なくとも隠喩的に)甘く魅惑的な歌を歌ったのかという理由なのだ。

ドゥテルテ大統領が、数隻の中古沿岸巡視船や更なる対外援助を手に入れるために、北京との協力を縮小する可能性は極めて低い。とは言え、フィリピンが、何十年もしてきたように、東京との密接な関係を維持する可能性は高い。これを強調すべく、安倍晋三首相との会談時に、彼はこう宣言した。

“東京で、フィリピンの様々な友人の中でも、日本はふさわしい立場に値すると申しあげました… 今晩、日本は兄弟よりも身近な友だと繰り返させて頂きます。つまり日本はかけがいのない友人です。”

たぶん、あるいは、そうではないかも。

*

今は、アジアにとって極めて重要な時期だ。中国とロシアが地位を高めつつあり、日本や韓国や台湾を含む、かつて同盟していた欧米諸国は、衰退しつつあるか、苦境にある。フィリピンとベトナムは次の動きを計算している。タイ、マレーシアやインドネシアまでもが、これまでの堅固な親欧米姿勢が突然はっきりしなくなった。

帝国主義‘アジア基軸’の父、バラク・オバマ大統領は退任した。攻撃的で、反アジアの指導者ドナルド・トランプが大統領の座についた。帝国と、そのアジアへの関与と言う点では、事態は「まずい」から「最悪」に変わりつつある。

欧米が、中国大陸においてさえ、北京指導部を容認するつもりがないのは明らかだ。

今やワシントンは完全支配に対する更にもう一つの障害に対処せざるを得なくなっている。かつては完璧に従順で、服従的で、貧しい元アメリカ植民地フィリピンが、突如咆哮し、実力行使し、得られる限り最良の取り引きを独自に交渉し、自らの運命を探し求めている。わずか一年前こうした全てのことは思いも寄らなかったが、今それが起きているのだ。

アジア大陸全体が見つめており、欧米のあらゆる政治、軍、諜報機関もそうしている可能性が非常に高い。

過程は極めて素早く(危険なほど素早いと、マニラでは多くの人々が言っている)、ワシントンは到底変化においつけずにいる。ドゥテルテ大統領は、複雑な国を、わずか六ヶ月しか統治していないが、既に多くの根本的進展がおきている。

ロシア戦艦がマニラを訪れ、将来の共同演習が議論され、計画までされている。中国とフィリピンは、平和、友好、協力や鉄道についてまで話をしている。ベトナムとフィリピンもより緊密化に動いている。突然日本が経済的いじめっ子としてではなく、謙虚な友としてやってきた。

フィリピンにとって、2017年は決定的に重要だ。フィリピンが、アジアにおける変化の主要な契機の一つとしての立場を確立するか、あるいは、外部から、あるいは外部からの相当な‘支援’を得て、内部から崩壊するか、破壊されるか。

アンドレ・ヴルチェクは、哲学者、小説家、映画製作者で、調査ジャーナリスト。「Vltchek’s World in Word and Images」の制作者で、革命的小説『オーロラ』や、他の何冊かの本の作家。彼は特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/01/21/the-philippines-in-the-center-of-asian-realignment-2/

----------

国会の映像を見るたびに、このドゥテルテ大統領とは『月とスッポン』と思う。

破壊された原発や、それによる放射能を制御するかわりに、呆導機関を制御して、無理やり目くらましとしてのオリンピックを引き寄せ、とうとう開催のためには、現代版治安維持法が必要だと言い出した。治安維持法導入が必要なオリンピックを辞めれば良い。それを支持する国民がいるというのが、そもそも謎。幼なじみ数人のほかに、今の政治を支持している人、会った記憶がない。次ぎの飲み会であいましょうとソーシャル・メディアで書いてきたが、自民党の集いのようなものには決して参加しない予定だ。

売国条約TPPを、宗主国大統領が発効不可能にした。それを何とか説得するという。とんでもない不平等な条約をなんとか推進してくださいという阿呆。大本営広報部は発効が不可能になったことを惜しむかのような呆導。TPPの本質には絶対に触れない。次は、米韓FTAも遥かに越える苛烈な米日FTA締結になる。いずれにせよ完全属国化は決定済み。

夜の呆導番組の一つをながめていたら、売り出し中の政治学者登場。すぐに音声を消したので何を言ったのか全くわからない。悪いものをみてしまった。書店でもこの人の本を見るとその棚から急いで逃げているのに。

別の番組、台湾の脱原発を報道した。無責任体制日本との違いに驚く。数回、観光で台北にでかけたことがある。食事の美味しさ、気候の良さ、人々のやさしさに感心した。ああいう国に移民したいものと思う。膨大な赤字をだしている原発大企業幹部は白痴なのだろうかと不思議に思う。いまさら原発企業を買収しても、何の利益にもならないことがわからなのだろうか。宗主国や属国支配層に、無理やり買収をしいられたのではないだろうかと思いたくなる。企業も国も、トップは軽くてパーが良い?

シリア、アレッポの戦争の傷跡も報道してくれた。シリア情報省担当者と同行し、許された場面だけを映したというが、ないよりまし。アサド大統領インタビューには驚いた。

2017年1月24日 (火)

ありそうなトランプ大統領追放シナリオ

Eric ZUESSE
2017年 1月10日

ドナルド・トランプが、1月20日に、アメリカ大統領に就任することに対する圧倒的な反対からして、アメリカ支配体制丸ごとが反対しており- 支配者連中や政府やマスコミやシンクタンク内部のその工作員は - トランプを、民主党の体制派大統領指名候補ヒラリー・クリントンや、誰か他の支配体制派で置き換えるあらゆる機会を、支配体制は大歓迎するだろう。第一に、クリントンに対するトランプ当選が僅差だった三つの州で、票の数え直しをさせようという企てがあった。次に、十分な人数の選挙人団の選挙人を、彼女が‘勝てる’よう投票を変えさせるというキャンペーンが画策された。更に、トランプ当選が、モスクワにより画策されたものであり、それゆえ違法だとして描き出そうとする企てがあった。しかし今や、実際、成功の可能性が一番高い戦術が行われる可能性があり、それは、トランプを、彼自身の体制派共和党副大統領マイク・ペンスで置き換えかねるものだ。それは、こういう具合に機能する。

アメリカ憲法修正第25条の第4節にはこうある。

副大統領および行政各部の長官の過半数または連邦議会が法律で定める他の機関の長の過半数が、上院の臨時議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限と義務を遂行することができないという文書による申し立てを送付する時には、副大統領は直ちに大統領代理として、大統領職の権限と義務を遂行するものとする。

その後、大統領が上院の臨時議長および下院議長に対し、不能が存在しないという文書による申し立てを送付する時には、大統領はその職務上の権限と義務を再び遂行する。ただし副大統領および行政各部の長官の過半数、または連邦議会が法律で定める他の機関の長の過半数が、上院の臨時議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限と義務の遂行ができないという文書による申し立てを4日以内に送付する時は、この限りでない。この場合、連邦議会は、開会中でない時には、48時間以内にその目的のために会議を招集し、問題を決定する。

トランプは、行政府の主要閣僚過半数を越える、つまり15人の閣僚の大半に、対ロシア冷戦継続を好む既成支配体制派の共和党員を指名した。アメリカにおけるこの敵意の継続は既存支配体制派の共和党アメリカ大統領ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュが、1990年2月24日に、彼の閣僚のみならず、アメリカのヨーロッパ同盟諸国の元首たちにも、ソ連体制終焉は、1991年におきたのだが、たとえソ連と共産主義やワルシャワ条約軍事同盟が終わろうとも、NATOと、NATOのロシアに対する敵意は継続させるよう、密かに指示して始まった。オバマの下で、いにしえのアメリカ“冷戦”(現在では、ウクライナとシリアの状況とされるものを根拠にしての対ロシア)は、少なくとも1962年のキューバ・ミサイル危機以来のものより、益々熱いものとなったが、トランプ候補はそれを止めると約束していた。

トランプが、ロシアとの和解を進めるという彼の多くの公的発言を翻すか、あるいはアメリカ支配体制 - ほとんど全ての現行議員と元議員、議会、そして事実上、全てのシンクタンクとマスコミ、更にトランプ本人が任命した支配体制派のペンスも含む; and、also、トランプが閣僚に任命した大半が既存支配体制派の共和党員連中は、彼を大統領の座から追放し、大統領の座を、憲法上、決められた代理、アメリカ副大統領のマイク・ペンスに移す可能性が高い。

いずれにせよ、アメリカの対ロシア戦争は、オバマ大統領の下でと同様、復活する可能性が高く、おそらく、民主党の競争相手ヒラリー・クリントンがエスカレートさせると約束していたものと同じくらいひどいだろう(つまりは第三次世界大戦だ)。

民主党の政治評論家、キース・オルバーマンは、早くも2017年1月5日に、こういう結果を宣伝している。だが彼は、実際、ペンスが大統領として好ましいと思うとは言っていない。彼として、ペンスを大統領にしたいことを表している。彼はそういうことが起きると促してそれを示したのだ。

注: オルバーマンは、ビデオの7:14で、アメリカ憲法について、打倒は“修正第25条を利用した、副大統領と下院議長による”ものだろうと述べているのは間違いだ。修正第25条は、それを実際に是認しているわけではない。そうではなく、“副大統領と長官の過半数”が、選挙で選ばれた大統領を追放するのを認めているが、そこでは“下院議長”については全く触れていない。過去、2016年11月23日には、オルバーマンは正しかった。おそらく、オルバーマンは老いつつあり、記憶を失って(一カ月ほど前の、11月23日に知っていたことを忘れ)、益々そう言い立て(重要な事実を再確認するかわりに)るというのが、彼が今、そのようなクーデターが“副大統領と下院議長”だけで - つまり(二人の支配体制派人物)マイク・ペンスとポール・ライアンによって遂行可能だと考えている理由かも知れない。幸いなことに、それは事実ではない。もし、それほどことが容易であれば、トランプは大統領として一カ月ももたないかも知れない。連中が支配体制の一部であるにせよ、大多数の閣僚を陰謀に参加させるのは、それより遥かに困難だろう。既成支配体制派の(それゆえ、独裁制志向の)一部にも、良心はあるかも知れない。

しかし、ここで重要なのは、修正第25条のこの条項が、支配体制派の共和党副大統領ペンスと、トランプが(不幸にして)選んだ“大多数の”既成支配体制派共和党閣僚がトランプを追い出し、反動的なペンスを、彼の代わりにアメリカ大統領にするのを可能にしていることだ。トランプは、既存支配体制派副大統領と、既存支配体制閣僚を選んだことで、早々に、彼が既成支配体制に屈伏し、大統領選挙運動中に発言したあらゆる進歩的な約束を反故にしない限り、事実上既成支配体制によるクーデターを招いているのだ。

ここで、とりわけ注目すべきなのは“進歩派民主党員”と見なされているオルバーマンが、修正第25条が認め、トランプ本人が、閣僚と副大統領に、愚かにも、余りに多くの保守派共和党員を選んでしまったことで、それを可能にしてしまった、このファシストによるアメリカ政府乗っ取りを、実際提案していることだ。

不幸なことに、トランプは、このアメリカ憲法の特性を知るほど聡明ではないようで、反既成支配体制の人々を、副大統領や閣僚に選ぶ必要性を、悲劇的にも気がつかなかった可能性がある。だから、もしトランプ本人が、既成支配体制派の大統領(最大二カ月内に明らかになるはずだ)として政治をしなければ、彼を打倒するクーデターは、実際かなり容易となり、重要な疑問は、クーデターのタイミングだろう。おそらく支配層は、トランプが、NATOが、ロシアを世界大戦に追いやるなどの、連中の基本政策のいくつかをくつがえすというのが本気であることが明らかになるまで、引き延ばすだろう。驚くべきは、これは修正第25条の愚劣な文章につけこんだ、全くの憲法上のクーデターだということだ。

愚かさが猖獗をきわめていても、(GHWブッシュの1990年2月24日の計画支持で団結している)アメリカ支配階級は、連中が使える限りのあらゆる機会を活用するのだが、これは中でも重要な機会だ。その結果、今後四年間、保守派によるアメリカと世界の略奪(GHWブッシュの計画を完成させるというヒラリー・クリントンの計画に沿うものだが、代わりに、ペンスと共和党による監督の下で)となる可能性が極めて高い。

少なくとも現時点までは、GHWブッシュが始め、オバマが最高潮に盛り上げているロシアに対する戦争を継続するというアメリカ支配層の最優先事項を拒絶する勇気を、トランプは依然示している。もしトランプが、この拒絶を堅持し、(なんとかして)大統領として生き抜けることができれば、まさにそこから - この問題だけでも - 1990年2月24日以来の、おぞましいアメリカ史(継続し、完結させることに、アメリカ支配体制が夢中な)を彼は覆し、最終的には、世界を平和と繁栄(つまり‘国防’産業以外にとっての繁栄)への最も重要な道に載せ、アメリカ合州国国内でも、世界中でも、本当の進歩を、国内の問題とすることになる。

個人的注記:私は最悪を予想しているが、今後の展開で、私が間違っていることが証明されるよう願っている。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/01/10/likely-way-that-trump-would-be-forced-out-office.html

----------

トランプ大統領の貿易政策についての記事はあっても、TPP、あるいは米韓FTAに関するまともな記事・報道、大本営広報部大政翼賛会は絶対に扱わない。それで、「呆導」と勝手に呼ばせていただいている。

植草一秀の『知られざる真実』2017年1月22日
日本国民も政治を永田町から取り戻すべきだ

日本の政治は、71年間、トランプ大統領と同じ方針で行わされている。
「アメリカ・ファースト」

そして未来永劫続く。大本営広報部大政翼賛会の圧倒的支援を受けて。大本営広報部大政翼賛会のTPPに関する垂れ流し虚報を一年読んだり、聞いたりするよりも、下記の記事を拝読する方が、頭のために良いだろう。

街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋 2017年1月22日
ウェルカム“保護主義”  エマニュエル・トッド先生に聞く

カジノ幻想 (ベスト新書)を読み終えた。カジノ法案に賛成した阿呆連中、この本を読んだのだろうか? 小生のとぼしい英語を遥かに越える知人もギャンブル依存症だった。そこで今日の日刊IWJガイドの一部をコピーさせていただこう。

■わとはぷ~What happened today?――今日は美濃部亮吉都知事が「公営ギャンブル全廃」を発表した日

 おはようございます。IWJ記者のぎぎまきです。

 48年前の今日1月24日、当時の美濃部亮吉東京都知事が「公営ギャンブル全廃」を発表しました。

 美濃部知事は、日本社会党と日本共産党を支持基盤にした「革新知事」として1967年に誕生した人物。この画期的な「革新統一」と呼ばれた知事はその後、3期12年を務め、「リベラル知事」として名を残した方です。そうです、ご存知の方も多いと思いますが、美濃部知事は「天皇機関説」を主張したことで知られる憲法学者、美濃部達吉氏のご長男。知らなかった私には、新鮮な驚きでした!

 美濃部氏が打ち出した政策には「歩行者天国の実施」「老人医療費無料化」「無認可保育所への助成」「児童手当の創設」などまさに福祉に重点を置いたものが多く、公約に掲げた「公営ギャンブルの全廃」を、1969年の今日、発表したんですね。

 当時、都が主催する公営ギャンブルによって得ていた収益は約百億円以上。しかし、美濃部氏はこの公約を断行し、東京都が運営していた、競輪、競馬や競艇、オートレースを追放しました。廃止の理由として挙げたのは、地方自治体の財政負担をギャンブル収入で賄うことを良しとせず、都が率先して舵を切ることで、税配分の是正を全国の自治体に喚起したいという目的もあったと言われています。

 しかし、あれから約50年。今はやりの言い方でいえば「都民ファースト」の都政を断行した時代から、どんどん逆コースをたどり、福祉が次から次へと切りつめられ、ギャンブルにいたっては先の臨時国会で、通称「カジノ法案」が成立してしまいました。政府あげてのギャンブル事業へと大転換が図られようとしています。何度も廃案になり、見送られてきたこの法案の問題点に立ち返ることもなく、安倍政権は審議時間わずか5時間33分の「スピード審議」で強行採決に持ち込みました。

 カジノを成長戦略の一つと位置づけている安倍総理は、「IRは外国人観光客を呼び込む成長戦略の目玉」と強調しています。しかし、実態は逆で、日本人の金融資産がターゲットにされています。外資が経営することになるカジノによって、日本の国富が流出すると専門家は指摘しているのです。これについては、フリージャーナリストの横田一氏が独自取材でまとめたこちらの特別寄稿が大変参考になりますので、ぜひご一読いただきたいと思います!

※【IWJブログ・特別寄稿】日本人の金融資産を海外カジノ業者に差し出す“安倍売国奴政権”――国富流出や地域破壊を招く“カジノミクス(IR)法案”ゴリ押しで外資の巨大投資を先導(ジャーナリスト・横田一)
2016.12.13
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/352076

 また、ギャンブル依存症の問題については、2014年1月、サラ金などによる多重債務問題に取り組んできた新里宏二弁護士が岩上さんのインタビューに応じ、当時、国家戦略特区として話題になっていたカジノ構想を通して、問題を指摘されていますので、併せてこちらの記事もご覧ください!

※【IWJブログ・東京都知事選】「国家戦略特区」とカジノ構想で悪化する東京都の格差と貧困~岩上安身による新里宏二弁護士インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/123603

 美濃部亮吉知事に興味を抱いた私ですが、早速、ご本人が1979年に書かれた『都知事12年』という著書を次の読書本として購入してみたいと思います!

では、皆さま、本日もIWJをよろしくお願いいたします。

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト 【 http://iwj.co.jp/ 】

2017年1月23日 (月)

トランプの宣戦布告

2017年1月20日、
Paul Craig Roberts

トランプ大統領の短い就任演説は、アメリカ支配体制丸ごとに対する宣戦布告だった。支配体制全部に。

トランプは、アメリカ人の敵がまさに国内にいることを実にはっきりとさせた。アメリカの意思を世界に押しつけ、果てしのない金のかかる戦争に我々を引き込むのに慣れきったグローバル主義者、ネオリベラル・エコノミスト、ネオコンや他の単独行動主義者、実際、アメリカ国民でなく既存支配層のために仕える政治家、アメリカを疲弊させながら、その過程で金を儲けた既得権益集団全体だ。

トランプ大統領は ロシアや中国に対して宣戦を布告するよりも、彼自身にとって遥かに危険な宣戦を布告しいうのが、本当のところだ。

トランプによって、敵として指摘された既得権益集団は、しっかり立場を確保しており、物事を取り仕切るのに慣れている。連中の強力なネットワークは依然、機能している。下院と上院では、共和党が多数派だが、議員連中の大半は、アメリカ国民や大統領ではなく、彼らの選挙運動資金を出してくれている支配既得権益集団に対して責任を負っている。軍安保複合体、活動を海外移転している大企業、ウオール街や銀行が、トランプ支持に変わることはない。その権力に対してトランプが挑戦している既得権益集団が所有する売女マスコミとて、そうだ。

トランプは全てのアメリカ人、黒人、黄色人種、白人のために戦うことを明らかにした。彼の共生の宣言が、私がこれを書いている間も、時給50ドル貰っている抗議行動参加者たちがしているのと同様に、彼のことを人種差別主義者と呼び続けている左翼のトランプ憎悪者によって無視されるだろうことは疑うべくもない。

実際、例えば、黒人指導者たちは、そこから脱出することが困難な、被害者役に適応しきっている。白人は人種差別主義者で、自分たちは人種差別主義者の犠牲者だと終生教え込まれてきた人々を一体どうやってまとめるのだろう?

実現可能だろうか? 私は、Press TVで、トランプ就任演説を論評することになっている番組に短時間出演したばかりだ。もう一人のコメンテーターは、ワシントンD.C.在住の黒人だった。トランプの共生を呼びかける演説に、彼は全く感銘せず、番組ホストはアメリカの評判を傷つける方法として、雇われた抗議行動参加者連中を映すことにしか興味がなかった。非常に多くの人々が、犠牲者に対し、国民の一体化で、彼らが失業し、目標を失ったと話すことに、経済的利益があるのだ。

グローバル主義者、CIA、活動を海外移転している大企業、兵器産業、ヨーロッパのNATO支配層や、ワシントンの干渉主義外交政策を支持することでたんまり貰うのに慣れている外国人政治家とともに、トランプは、差別されている人々、黒人、ラテンアメリカ系人、フェミニスト、違法入国者、同性愛者や性転換者の指導者たちに、こぞって彼に反対させることになった。この長大なリストには、もちろん、アメリカ中間部地域は、白人人種差別主義者、女性蔑視、同性愛蔑視者や、銃マニアの生息地だと確信している白人リベラル派も含まれる。連中にとっては、アメリカこの84%の部分は、孤立化させるか、埋めるべきなのだ。

言い換えれば、大統領が、16%のアメリカを憎悪する人と、84%のアメリカ愛する人を団結するのに十分な善が、国民の中に残っているかどうかだ。http://brilliantmaps.com/2016-county-election-map/

トランプに反対する勢力をお考え願いたい。

迫害によって、彼らが権力と収入が得られるので、黒人とラテンアメリカ系人指導者たちは迫害が必要だ。彼らは、トランプの共生を偏見の目で見るだろう。共生は、黒人やラテンアメリカ系人にとっては良いことだが、指導者たちにとっては、そうではないのだ。

多国籍企業の企業幹部や株主は、トランプがアメリカに取り戻すと言っている雇用の海外移転によって儲けてきた。もし、雇用が国内に戻れば、大企業の利益、幹部の業績連動賞与や、株主キャピタルゲインはなくなるだろう。しかし、アメリカ国民の経済的安定は復活する。

軍安保複合体は、トランプが関係正常化するつもりだと言っている“ロシアの脅威”頼みの1兆ドルもの年間予算を享受している。トランプ暗殺の可能性は排除できない。

多くのヨーロッパ人が、その威信、権力と収入を、トランプが疑問を投げ掛けたNATOに依存している。

金融部門の利益は、ほぼ完全に、アメリカ国民を借金の束縛においやり、国民の私的、公的年金を略奪することで得られている。手先に連邦準備金制度理事会がいる金融部門は、トランプを金融危機で圧倒することができる。ニューヨーク連邦準備金制度銀行には完璧なトレーディング・ディスクがある。あらゆる市場を大混乱に追いやることができる。米ドルを作り出す能力に制限がないので、どのような市場でも支援することができる。

アメリカの政治組織丸ごと、国民の意思や願望やニーズから隔離されている。今、トランプは、政治家国民に対して責任を負うべきだと言っている。これは、もちろん、政治家の議席確保や、収入や富の大変な落ち込みを意味する。

我々には一体誰に財政支援されているのか分からない多数の団体がある。例えば、RootsActionは、今日のトランプの、全ての国民のために、既存支配体制と対決するという力強い誓約に“議会に対して、下院司法委員会に、弾劾調査を開始することを命じるよう”要求し、トランプ弾劾のために寄付をするということで対応した。

もう一つの憎悪集団、人権ファーストは、トランプの国境防衛を“迫害を逃れようという難民の希望”を閉ざすものだと攻撃している。ちょっと考えて頂きたい。リベラル進歩派左翼と、人種利益団体によれば、アメリカは人種差別主義の社会で、トランプ大統領は人種差別主義者だ。ところが、アメリカの人種差別主義の対象になるはずの人々が、迫害から逃れ、人種的に迫害されるアメリカにやってくるのだろうか? これは辻褄があわない。違法移民の人々は、働くためにアメリカにやってくる。建設会社に聞いて頂きたい。鶏や家畜の屠殺業者に質に聞いて頂きたい。リゾート地の洗濯業者に聞いて頂きたい。

更に追加できるものがまだあるとは言え、トランプが宣戦を布告した相手のリストは十分に長い。

繁盛する事業を経営し、美しい妻や賢い子供たちがいる70歳の億万長者が、一体なぜ、人生の晩年を、極端にストレスの多い大統領になって 政府をアメリカ国民の手に取り戻すという精神的に疲れる目標に進んで捧げるのか、我々は自問すべきなのだ。トランプが自らを暗殺の標的にしたのは確実だ。CIAは諦めることはせず、消え失せることはない。残る年月を、たっぷり楽しんで過ごすことができるのに、アメリカの偉大な復活を宣言したトランプに、文句をいう理由などあるだろうか?

理由が何であれ、我々はこれを有り難く思うべきで、もし彼が本気なら、我々は彼を支持すべきなのだ。もし、彼が暗殺されたら、我々は武器を取り、ラングレーを丸焼けにして、彼ら全員を殺害することになる。

もし彼が成功すれば、彼はトランプ大王と呼ぶに値しよう!

CIAの攻撃対象リストに上がっているロシア、中国、イラン、ベネズエラ、エクアドル、ボリビアや他のあらゆる国々は、トランプが大統領になっても、十分な保護にならないことを理解すべきだ。CIAは世界的組織だ。CIAの儲かる事業が、アメリカ国家予算から自立できる収入をもたらしている。この組織は、大統領、あるいはCIA長官自身から独立して、作戦を遂行することが可能だ。

CIAは、70年かけて自らを強固にしてきた。CIAは消え去ってはいない。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/20/trumps-declaration-war/

----------

初場所結びの一番、結果は、予想を知人に話していた通りだったが、ともあれ相撲ファン長年の夢実現。夢といえば、高校生の頃からの、「ドゥテルテ大統領のような人物出現」、あと百年は無理らしい。完全属国では、永遠に実現しないかも知れない。

RTにも、同じ見出しの記事がある。クリス・へッジズ氏が発言している。Trump’s speech ‘declaration of war against political establishment’

TPPが実現しないことを怒る売国奴連中にあきれるばかり。書店で、まともなTPP賛成論、見たことがない。巨大企業支配国家クーデターですと、書けるわけがない。

九州や北海道に、ごくまれにでかけることがあるが、話題の狂信宿泊施設、幸い一度も泊まったことがない。選択肢に入れたことがない。先日訳した記事、「ハラール認証によるテロ活動へのクラウドファンデイング」を思い出した。宿泊による売国行為へのクラウドファンデイング。そういう勢力を擁護するバラエティー番組司会者までいるから驚き。番組のお里が知れる。大本営広報部大政翼賛会。

2017年1月22日 (日)

トランプは、ヘンリー・A・キッシンジャー & Coのための裏口男?

2017年1月9日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

「Back Door Man 裏口男」という言葉には、いくつか意味がある。ウィリー・ディクスンが書いた大本のブルースの歌詞では、人妻と不倫をしている男が、夫が帰宅する前に裏口を使って消えるという意味だった。ジェラルド・フォード大統領時代、フォード・ホワイト・ハウスで大統領首席補佐官をつとめ、不透明な手法で、自分が望んでいることを実現するディック・チェイニーの“手管”に「裏口男」という表現が使われた。閣僚指名が明らかになればなるほど、トランプ大統領プロジェクト丸ごとが、チェイニーを指して使われた意味で、ヘンリー・A・キッシンジャーの“裏口男”として出現しているように見えてくる。

「Drain the Swamp 汚れを押し流す」というトランプ選挙運動の言辞がすっかり忘れられている。選挙運動中の10月、トランプ候補は、こういう報道発表をした。“何十年もの既得権益の取り引きは、終わらせる必要がある。我々は腐敗の循環を打ち破らねばならない…ワシントンD.C.の汚れを押し流する頃合いだ…それが、私が、わが政府を再び誠実なものにするために倫理改革政策を提案している理由だ。”

これまでに、次期大統領は、史上どの大統領より多くの億万長者を、閣僚や他のトップの職位に指名した。AmWayの大富豪、ベッツィ・デヴォスが教育長官、ウィルバー・ロスが商務長官、リンダ・マクマホンが中小企業庁長官で、ヴィンセント・ビオラが陸軍長官だ。これも、億万長者と噂されるトランプ自身は含まずにだ。

ウオール街の既得特権ということで言えば、ゴールドマン・サックスは、新政権内で大変な権力を持っている。ゴールドマン・サックス・パートナーのスティーヴン・マヌーチンが、トランプの財務長官被指名者だ。ゴールドマン・サックス社長ゲイリー・コーンは、ホワイト・ハウス首席経済顧問となる。大統領移行チーム実行委員会メンバーのアンソニー・スカラムッチは、トランプの首席戦略官兼上級顧問スティーブン・バノン同様、元ゴールドマン・サックス銀行家だった。

この顔ぶれに、世界史上最も腐敗した軍産複合体を代表するアメリカ軍の将官四人が加わる。退役以来、大手軍需企業ゼネラル・ダイナミクスの取締役をしているジェームズ“狂犬”マティス元大将が国防長官だ。彼自身のコンサルティング会社を持つマイケル・フリン退役中将を国家安全保障顧問とし、ジョン・F・ケリー元大将は、国土安全保障省長官だ。

このコレクションに加え、アメリカ合州国最大の多国籍石油企業エクソン・モービルCEOのレックス・ティラーソンを国務長官に指名した。アメリカ最大の石油産出州、テキサス州元知事リック・ペリーをエネルギー長官に、シェールエネルギー支持派のオクラホマ州司法長官、スコット・プルイットを環境保護庁長官にしたので、前の不運な大統領と比較して、何らかの劇的な経済政策の急展開が現れ始めるだろう。

キッシンジャー地政学用の裏口

出現したものは快いものではなく、残念ながら、トランプの欺瞞に関する私が先に書いた記事の裏付を越える。

だが、一つ極めて重要な要素、つまり非公式ながら、トランプ政権の主要外交政策顧問として出現している、ヘンリー・A・キッシンジャー元国務長官の得体の知れない役割が全く漏れているように見える。ここ数カ月のキッシンジャーの足跡を追うと、一連の極めて興味深い会談をしていることがわかる。

2016年12月26日、ドイツ日刊紙ビルト・ツァィトゥンクは、同紙によれば、大統領として、トランプが、オバマの対決と経済制裁という政策とは劇的対比の、クレムリンとの“建設的協力”を追求するつもりであることを明らかにするトランプ移行チーム・メンバーによる分析の写しを掲載した。新聞は更に、非公式にせよ、トランプの首席外交政策顧問としての 93歳の元国務長官ヘンリー・A・キッシンジャーの役割を論じている。対策の一つとして、クリミアをロシアの一部だと、アメリカが公式に認め、2014年のクリミア併合への報復として、オバマが課したアメリカによる経済制裁を解除することも含め、プーチンのロシアと、トランプのアメリカ政府をより“調和した”関係にする計画をキッシンジャー起草していると記事は報じている。

一見、合理的に見える、このアメリカ政策変更にある落とし穴は、故テキサス大統領リンドン・ベインズ・ジョンソンだったら、“プーチンを(NATO)陣営に取り戻す”と上品に言ったかも知れない、キッシンジャーの狡猾な地政学的狙いだ。

キッシンジャーの狙いは何だろう? 彼が主張する、国家主権を尊重するような、いかなる“多極世界”の類でもないのは確実だ。キッシンジャーの狙いは、アメリカ世界覇権を脅かす、中国・ロシア間の深化しつつある二国枢軸を陰険に弱体化することだ。

2014年始めの、ウクライナにおける、オバマによる失敗したクーデター以来、過去数年間の傾向が、キッシンジャー一生のプロジェクト、別名“1991年、ソ連崩壊時、彼お好みの集団に語ったロックフェラーの言葉を使えば、過去何世紀も行われてきた国家自決より、確実に好ましい、知的エリートと世界的銀行家の超国家主権”を危うくしている。デイヴィッド・ロックフェラーの“世界政府に向かう行進”を危うくするのだ。ビルト・ツァィトゥンクのトランプ-キッシンジャー・メモには、ロシアと仲良くするというアイデアは、中国の軍事増強を相殺することを狙ったものだとある。言い換えれば、オバマとは違うゲームながらも、結局は、パワー・ゲームだ。

本当の「力の均衡」

キッシンジャーは、歴史的なイギリスの「力の均衡」地政学のごく少数の生き残っている実践者の一人だ。1386年のイギリスとポルトガル間のウィンザー条約以来、イギリスの軍と外交の歴史で行われて来た本当のイギリスの「力の均衡」というのは、二つのライバル国家のうち、より強い国を打ち破るため、イギリスが常に弱い方と連合し、後には、その過程で、疲弊した弱い方の国も略奪するものだ。これが、第二次世界大戦まで、イギリス帝国構築の上で、素晴らしく成功していた。

イギリスの「力の均衡」というのは常に、大国、この場合は、キッシンジャーが舵取りをしているアメリカ合州国が“均衡をとるのに”何をするかというものだ。1814年、ウィーン和平会議におけるナポレオン・フランスの敗北後、イギリス外相カスルリー子爵が、ヨーロッパ大陸のどの列強も、他の国々を支配できないようにする協定を起草し、この戦略は、1914年、第一次世界大戦まで続いた。多くの政治史家が無視しているのは、一世紀の間、主導的海軍大国として、世界を支配したイギリス帝国を産み出す上で、ヨーロッパ大陸の力の均衡は欠くことができないものだった。

1950年のハーバード大学博士学位論文として、キッシンジャーは、後に『回復された世界平和: メッテルニヒ、カスルリー、および平和の諸問題、1812年-1822年』と題する本になったものを書いた。このイギリスの「力の均衡」研究は、1960年代にロックフェラー家の仕事を最初に引き受けて以来、キッシンジャーのマキアベリ風策謀の中核だ。『回復された世界平和』の中で、キッシンジャーはこう述べている。“外交は勢力や大国の現実から離れることはできない。しかし外交は、他国の内政に対する道徳的で、おせっかいな配慮からは決別すべきだ。”更に彼はこう述べている。“政治家にとっての究極的な試験は、諸勢力の本当の関係を認識し、この知識を自分の目的に役立つように利用する能力だ。”

1950年代に、ネルソン・ロックフェラーや、ロックフェラー兄弟-ローランス、デイヴィッド、ウィンスロップとの関係が始まって以来、ヘンリー・キッシンジャーは、ロックフェラー家のグローバル化、つまり、デイヴィッドが、1991年に表現した国民国家を超越する世界政府の中核的な戦略家であり続けている。その中に、ビルダーバーグ会議や、デイヴィッドの三極委員会での、そして現在に至るまでの、キッシンジャーの役割がある。1971年に、ニクソンによる対欧米“中国開放”を促進してほしいと、良き友人デイヴィッド・ロックフェラーに頼んだのはキッシンジャー国務長官だった。当時のキッシンジャーによるリバランスの地政学的狙いは、当時、アメリカ政府の二大敵国のうちの弱い方中国を、少なくとも軍事的・地政学的な意味で当時はより強力な敵国だったソ連に対する、欧米同盟に引き込むことだった。

2017年が始まっている現在、敵国の役割は代わり、明らかに、中国が、三十年以上のunbridled産業・経済拡大の後、デイヴィッド・ロックフェラーのいわゆる世界政府に対する、より強力な挑戦者として登場した。1991年後、エリツィン時代の経済的蛮行と、産業空洞化の後のロシアは、キッシンジャーの考えでは、彼にとっての二敵国のうち、より弱体なのは明らかだ。習近平とプーチン指揮下の中国もロシアも、イランとともに、最も手ごわい国家主権の擁護者で、デイヴィッド・ロックフェラーの(私は彼を、ひな型として利用している)世界(ファシスト)政府の前にはだかる主要障害物なのだ。

キッシンジャーの奇妙な外交

キッシンジャーの最近の行動を、欧米が支配するワン・ワールド・オーダーに対し、出現しつつあるユーラシアの脅威を、いかにして潰すかという視点から見ると、おおいに辻褄があうように見える。彼は最近、政治初心者であるカジノの大物、トランプを、衝撃的なほどべたぼめに称賛している。12月始めのCBS TVインタビューで、トランプは“歴史上、極めて重要な大統領として残る可能性がある”とキッシンジャーは述べた。オバマが外国に対するアメリカの影響力を弱体化させたという見方からして、トランプ政権で“何か著しい、新たなものが出現することが期待できそうだ”とも彼は述べた。“これは並外れた機会だと申しあげる。”

初心者トランプの主要な外交政策の選択を、より子細に調べると、ヘンリー・A・キッシンジャーの足跡が見えてくる。国防長官として、ジェームズ“狂犬”マティス大将を選んだことは、キッシンジャーとつながる。風変わりで、大いに論議の的となっているカリフォルニア州の医療テクノロジーの公開会社でない株式会社Theranosで(最近まで)、ジョージ・シュルツ元国務長官、ウィリアム・ペリー元国防長官、ゲイリー・ラフヘッド元海軍大将、リチャード・ コヴァセヴィチ元ウェルズ・ファーゴ銀行会長らと共に、マティスも、キッシンジャーも、2016年初めまで取締役をつとめていた。

トランプがパットン将軍になぞらえたマティスは、2016年8月、オバマ、ブッシュと、ビル・クリントンという、過去の三政権を政権の海外軍事政策を、ロシアや中国や世界中のテロ集団による脅威を無視するという国家安全保障構想の欠如と認識されている点で、激しく非難して攻撃する報告書を書いた。

狡猾なキッシンジャーの足跡は、エクソン・モービルの会長、レックス・ティラーソンの国務長官という驚きの指名にも見える。エクソン・モービルは、もちろんロックフェラー家資産の根源だ。ティラーソンが、ロシアのプーチン大統領とロシア国営石油会社ロスネフチと深い個人的関係にあるからといって、ティラーソンを不適格とする理由にはならないと述べて、キッシンジャーは、決定的に、強くティラーソンを推奨した。“彼が余りにもロシアと親しすぎるという議論への関心は皆無だ。エクソンのトップとして、ロシアとうまくやるのが彼の仕事だ。ロシアと良い仕事上の関係が無ければ、エクソンのトップとして彼は役に立つまい”。キッシンジャーはマティス同様、キッシンジャーも、ティラーソンとともに評議員会のメンバーだ。ティラーソンもキッシンジャーも、ズビグニュー・ブレジンスキーや、元国防長官レオン・パネッタらとともに、極めて影響力のあるワシントンの戦略国際問題研究所 (CSIS)の評議員だ。

キッシンジャー持ち前の秘密外交スタイルで、1973年10月、ヨム・キプル中東戦争を引き起こす上で、実に巧みに役割を演じたキッシンジャーは“世界に通用する政治家”として、ウラジーミル・プーチンの尊敬を勝ち取ったもののようだ。2016年2月、キッシンジャーはモスクワを訪問し、プーチンと非公式に会談した。クレムリンのドミトリー・ペスコフ広報官は、この会談を“長年の関係で結ばれているプーチン大統領とヘンリー・キッシンジャーの友好的対話”の継続と表現した。

また12月2日、キッシンジャーは中国にとってのトランプ大統領の見通しを北京で会って話し合うため、習近平中国主席に個人的に招待された。キッシンジャーは、1971年以来、アメリカ政策の意図の仲介役として見なされ、中国でもかけがいのない信頼を受けている。

今やキッシンジャーは、次期大統領トランプと陰の外交政策顧問として特別な関係を持ち、キッシンジャー同盟者のティラーソンが国務長官、マティスが国防長官となり、キッシンジャーの強権で、欧米ワン・ワールド妄想の拮抗力となりうる可能性を破壊するため、中国とイランを標的にして、中国とロシアとイランの間に不信と不和を醸成することで、プーチンとロシアを利用しようという彼独自の「イギリスの勢力均衡」政治操作が姿を現し始めているのだ。

実際には、そもそもの始めから、ドナルド・トランプは、世界的地政学を、世界に対する支配的国家としてのアメリカの主導的役割へと引き戻すために、ヘンリー・A・キッシンジャーの「裏口男」となるべく企画されていたと考えずにいるには、世界的平和の政治家、キッシンジャーの最近の登場ぶりには、余りにも偶然の一致が多過ぎる。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/01/09/is-trump-the-back-door-man-for-henry-a-kissinger-co/

----------

大本営広報部大政翼賛会、芸能ニュースや、事故や、都議選挙茶番ばかり。
TPPの本質、日米FTAの展望や共謀罪や、沖縄基地の話は報じない。
外国の学者が、これほど詳細に分析してくださっているのに。

The Japanese State versus the People of Okinawa: Rolling Arrests and Prolonged and Punitive Detention
Gavan McCormack and Sandi Aritza
January 15, 2017

2017年1月21日 (土)

世界丸ごと“偽ニュース”

2017年1月6日
Andre Vltchek

帝国主義扇動政治家や熱狂的宗教信者は、彼ら自身の奇怪な現実の中で生きていることが知られている。連中は壮大な砂の城を建設し、マスコットを発明し、自己宣伝の言葉でひっきりなしに大衆を責め続ける。

言説を聞いたり、信じたりするのを拒否する人々や、あえて疑ったり、抵抗したりする人々はかやの外におかれ、餓死させられたり、屈辱を与えられたり、抹殺されたりする。

欧米の宗教、そしてヨーロッパ/北アメリカの残虐な植民地主義の慣行は、文化的に絡み合っている。双方相まって、連中は、何世紀も、全ての大陸で、そして公海でさえ、我々の地球を、隅から隅まで破壊しつつある。

あらゆる征服、あらゆる大虐殺、あらゆる略奪は、永遠に合理化され、念入りに正当化される。壮大な偽物の慈善、‘利他主義’という概念が打ち立てられた。隷属させられた国は、何か高貴な原則の名のもとに、彼ら自身を、彼ら自身から救うために、必ず滅亡させられる。何世紀もの間、欧米は自らを、いけにえの小羊、何らかの神の力で厳選され、絶えず利他的に世界を解放している偉大な文明として描いてきた。

欧米では、支配者や、兵士や一番市民までもが行うあらゆる残虐行為を和らげるべく、三文文士や‘学者’が雇われてきた。

事実と情報による正式教育というカルトが打ち立てられた。公式に認められた無数の組織に身を隠して、学者や認定された扇動政治家、研究者やマスコミ人連中は、お互いに‘研究し’、再利用、引用して、何百万冊もの書籍を、本質的に同じ言説で満たしている。

‘新しい’‘革命的な’学術的発見は大半、いつものお馴染みの結論に至り、to stale知的、道徳的な受け身、臆病さや、軟弱さ。

無数の図書館が、最初は印刷物で、後に電子形式で、無用な本で満たされる。何千万人もの若者や、さほど若くない男女たちは帝国と勝ち誇る文明の為に尽くすにふさわしいことを証明する太鼓判が押された色鮮やかな紙切れ学位を求め人生を浪費するのに多忙だ。

ある時点で、あらゆる主要な哲学や、実存的な話題は、公式学界や、主流マスコミ、映画館、図書館やベストセラーで語られるのを止めた。

誰も注意を払っていない。世界はただ‘前進する’。

‘問題’が消滅したわけではない。大虐殺は‘人として扱われない人々’の世界を略奪するため、欧米によって依然、行われている。

欧米植民地主義は決して本当に止まっても、打ち破られてもいない。

ヒューマニズムに基づく偉大なイデオロギーは、まんまと汚され、人々の潜在意識からさえ消し去られた。無気力な大衆、とりわけ勇気のない知識人は‘態度を示さず’、‘古いレッテル’をまとわず‘いにしえの旗’の下に集まらないのが最善と確信するようになっている。受け身は極端な身勝手さと組み合わさって、最終的に、政権との協力に変質させられた。

環境は着実かつ不可逆的に破壊されつつある。

報道、マスコミは、何も言わないこと、何に対しても取り組まないこと、世界の略奪や、新しい本当に革命的な発想の抑圧に関しては何も批判しないことに熟達している。

教師、弁護士、科学者や官僚の巨大な大群は根本的阿呆に変えられたが、免許、司法試験、特許、契約や他の‘満足感を与えてくれる’美しい紙切れで武装している。

何千万人もの弁護士たちは、テロの帝国に対し、公正のために戦う単一の強力な国際組織さえ立ち上げそこねている。

この見せかけの世界が、今や「現実」を追放し、何十億の男性、女性と子供の心と頭の中でそれ自身が‘現実’となるのに成功している。

本当の現実は、地下に潜った。本当の現実は逃亡者とならざるを得ない。身分証明書のない、無視され、どこにも所属しない難民だ。

本当の現実は、散在している仲間、まだ完全には洗脳されていない、あるいは完全に身売りしていないごく少数の人々を探して地球上をさまよっている。

どこであれ捕まれば、本当の現実は打擲され、真っ裸にされ、辱めを受ける。‘ウソ’と書かれた紙切れが、その首にぶら下げられる。

偉大な思想を擁護し、‘古くからの建前’に忠実に、依然堂々と立っている人々は嘲られる。その下で、何百万人もの人々が、往々にして勝ち誇って前進したいにしえの旗は、今やよごされ、汚物をかけられている。

何であれ、帝国に反するものは、次第に、偽ニュースというレッテルが貼られるのだ。

欧米では誰も気がついていないように見える。法律や規則が変えられ、憲法丸まる侵害されているのに、大規模デモも、警官隊との衝突もない。

圧倒的大多数が、実際には政権に協力しているためだ。

既存の枠組みにとらわれずに物事を考えるのが、突如として、恐ろしいこと、あるいは少なくとも実行不能になってしまったためだ。

この世界には、極めてわずかな知的勇気しか残っていないためだ。

偽ニュース、偽歴史、偽の感情や、偽の理想… 公式言辞を支持しないあらゆるものが、ゆっくりとではあるが、不可逆的に、外観上‘偽’となる。

我々人類が前進でき、生存し続けられる唯一の方法は、少なくとも一つの、極めて聡明な人々の集団が、帝国によって世界に押しつけられた拘束衣から完全に離脱し、公式概念や‘知識’を拒否し、帝国と植民地内の協力者の主要‘知的’大黒としていまだに機能しているあらゆる主要分析手段や、キリスト教と、欧米が至高だというイデオロギーから完全に脱却することだ。

人の思想が独創的で革命的であるためには、帝国の公式プロパガンダ、つまり映画や音楽、あらゆるレベルの学校、本職の手で、巧みにあやつられている言説からほぼ完全に浄化され、隔離されている必要がある。

洗脳機関が発行する卒業証書や免許は、極めて重症の知的食中毒に対するトイレット・ペーパーとして利用して、いわゆる‘事実’と‘ニュース’なる、あらゆる有毒なたわごとと一緒に、すぐさま洗い流されるべきなのだ。

*

‘本当のニュース’報道が、帝国プロパガンダ装置によって、世界中で流布される中、何億人もの‘人間扱いされていない人々’が毎年漫然と亡くなり続けている。

多くの人々は、実際、放送局や新聞によって吹き込まれる一語一句を完全に信じ込んだまま消えている。彼らが真実(欧米では今や‘偽ニュース’として知られている)を教えられるようなことがあれば、彼らは死ぬのを拒み、生存のために戦うことを選ぶ可能性が高い。

誰に対する戦いだろう。帝国に対してだろうか? それは容認することはできない。それゆえ、代替情報源は、即座に抑圧しなければならない。それがノーベル平和賞受賞者オバマ大統領が、大統領の座を退任する前の年末数カ月間、まさに狙ってきたものだ。

代替する考え方や概念という形の抵抗が、今や世界の様々な場所で、特に、英語の(フランスやドイツも)標準化された言論がまだ蔓延していない場所で起きているため、帝国はパニックに陥っている。そうした抵抗は、中国社会科学院や、いくつかのロシアの組織や、多くのフィクション、ノンフィクション作家や、中南米の無数の新しい、あるいは、そう新しくないメディアなどで起きている。

今や、帝国が“真理省”のような何らかのファシスト組織を間もなく導入するだろうと想像するのも容易だ。そうした組織で働く連中は、直ぐに、どのエッセイも書籍も‘事実’を主張する‘しっかり調査されたもの’であることを要求し始める。

著述や哲学は、現代の学界の水準にまで、劣化させられかねない。再利用された考え方だけが受け入れられるのだ。「先週、週に四回雨が降った」というだけでは不十分なのだ。適切な代案は、こうだ。“シグムンド・ブラウン教授によれば先週は週に四回雨が降った。”あるいは、もっと良いのはこうだ。“ブラウン教授もグリーン教授も先週、雨が四回降ったことに同意した”だ。そして他の情報とともに、脚注もつけねばならない。

そうでなければ、偽ニュースと決めつけられかねないのだ。

偽ニュース条項は、例えば、もし誰かがこういうことを書けば、発動されかねない。“現代史で、本当の最も残虐なテロリストは、欧米だ。” あるいは“過去数世紀に、ヨーロッパ帝国により、そしてアメリカ帝国により、数億人の人々が虐殺された。このホロコーストは、アフリカ、アジア、現在は中南米として知られている場所、中東やオセアニア、基本的に至るところで起きた。ソ連や中国を含む、どの他の体制も、欧米が行った蛮行には到底及ばない。”

そのような不敬、そのような冒涜を広める人は誰であれ、逮捕され、告訴され、裁判され、処罰され‘無力化され’かねない。

誰かがこのようなことを書いたとご想像願いたい。“欧米プロパガンダが根拠にしているあらゆる基本的言説は、偽か、少なくとも大幅に歪曲され操作されている。これには、ソ連、中国、植民地主義や反植民地主義闘争、カンボジア、キューバやルワンダに関する全ての言説が含まれる。リストは長大だ。欧米諸国民の無知は、ほぼ完璧だ。”

これが‘偽ニュース’と判定されないはずなどあるだろうか? そのような判断を語るブルー教授はおらず、それに同意するピンク教授もいない。公共図書館にある何百万冊の本に鼻を突っ込み時間を費やした所で、ごくわずかの本しか、それに触れてはいるまい。

だから、それは似非で全てでっちあげなのだ。そういうものは存在せず、禁止され、検閲されるべきなのだ。

もちろん、こうしたこと全て、ハバナ、カラカス、北京、モスクワやヨハネスブルグでは聞くことができる。北京にある普通の巨大国営書店の方が、マンハッタン全島より遥かに多様な政治意見がある。欧米でない場所では、多くの一般市民でさえ物事を良く知り、自由に発言する。しかし‘承認されていない’人を信じることなどできないではないか? 特にそのような厄介な話題に関する場合! 奇妙な言葉を話す外人など信じられない。

実際、何事も、誰も信じることはできない!

偽ニュースは至るところにあり、あらゆる隅から、我々に忍び寄り、待ち伏せしている。もし帝国が、警戒を怠れば、欧米の覇権は、いつの日か崩壊しかねない。それは神の御意思に反する… いや、申し訳ない。これは言い間違いだ! 正しい言い方はこうだ。それは、あらゆる道理、あらゆる論理、あらゆる事実に反する。

オバマ大統領は配慮しており、彼は理解している。

だが今や我々は実に偉大な恩恵によって守られることになる。ドナルド・トランプ登場だ!

アンドレ・ヴルチェクは、哲学者、小説家、映画製作者で、調査ジャーナリスト。「Vltchek’s World in Word and Images」の制作者で、革命的小説『オーロラ』や、他に何冊かの本の作家。彼はオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/01/06/the-entire-world-is-fake-news/

----------

悪としての世界史』という本を読んでいる。本当に目からうろこ。「世界史のなかのイスラム世界」の208-207ページの興味深い記述を引用させていただこう。

 これにくらべると、西欧文明、とくにアルプス以北のそれは、個人が基本の「市民社会」という建て前はあっても、実際には、汎西欧のごく少数の上層と、その他おおぜいの土民という、ことばや文化までちがうきびしい身分階級構造は、いまにいたるまで健全であるし、異質とみなされるものはとかく「ユダヤ人」などとして切り捨てられるか、敵扱いされる。何百年も、勝手にイスラム文明を敵とすることで自己を形づくってきた後遺症か、西欧文明のそのまたフロンティア文明ともいうべきアメリカ合州国やソ連をふくめて、いつでも敵を設定しておかないとたぶん気が休まらないメンタリティーは、いまだになおらない。

 柔構造のマルチ・カルチャー文明のイスラム文明に対して、西欧文明は剛構造のモノ・カルチャー文明といえようか。

「アメリカ合州国」という表現は著者のもので、小生が勝手に変換したわけではない。

214ページにはこうある。

 何年か前、モロッコの首都ラバートからマラケシュへのバスのなかで、若い学生がきれいなアラビア語であきず語り続けた話は、忘れられない。それは、政治的植民地主義と闘うことはまだやさしい。これからの闘いの中心は経済と、それよりもっと文化的植民地だが、これはぼくたちの心のなかまで入りこんでいるので、これとのたたかいは至難のことだ。しかし、かならずやりぬく、といった趣旨のものであった。

2017年1月20日 (金)

アメリカは、どうやって、ISISによるデリゾール占領を可能にしたのか

Moon Of Alabama
2017年1月17日

東シリアの都市デリゾール (デリゾール)は、イラクとシリアのイスラム国(ISIS)のタクフィール主義者の手に落ちる瀬戸際にある。100,000人以上のデリゾール住民と彼らを守っている数千人の兵士は、残虐なISIS部隊によって殺害される差し迫った危険に直面している。現在の状況は、アメリカ軍のSAAに対する行動と、ISISに対する行動が欠如している直接の結果だ。

デリゾールは、ISISによって、2015年9月以来、包囲されている。しかし、この都市は、シリア・アラブ軍(SAA)守備隊によってしっかり守られ、ISISによるあらゆる全面攻撃は撃退されてきた。都市への補給は、デリゾール空港経由、空輸で運ばれるか、シリアとロシア空軍による空からの投下によっている。デリゾールは、パルミラの西にある最寄りのSAA陣地から100キロ以上離れており、間にある砂漠は、ISIS支配下にあるので、地上軍による救援と地上補給は不可能だ。


グーグル地図 - 拡大

四日前、ISISによるデリゾールに対する新たな攻撃が仕掛けられ、今も継続中だ。ロシアとシリア空軍による空からの阻止にもかかわらず、ISISの強化と補給は何ヶ月も続いている。昨日、ISISは、現地SAA司令部と主要補給品が置かれている空港を、都市から切り離すことに成功した。ISISは、現在、全力であらゆる方面から攻撃をしている。悪天候のせいで、外部からの航空支援は、散発的な、困難なものとなっている。何か予想外のことが起きない限り、空港と都市がISISの手に落ちるのは時間の問題にすぎない。


Peto Lucemによる地図 - 拡大

アメリカは、(少なくとも)三つの手段で、ISISによる差し迫ったデリゾール奪取を、許している、および/あるいは、積極的に支援している。

    • 2016年9月の、アメリカによる対SAA部隊大規模空爆が、ISISが支配的な場所を奪うことと、SAA補給の遮断することを可能にした。
    • 1月のアメリカによる発電所攻撃が都市への最後の電力供給を止めた。
    • アメリカの不介入が、モスルと、西イラクから、東シリアのデリゾールへのISIS増強を可能にした

2016年9月16日の、空港の南、サーダ丘にあるSAA陣地に対する一時間ものアメリカが率いる空爆が、100人以上のSAA兵士を殺害し、SAAの補給用大型ダンプカーや、いくつかのSAA戦車と大砲を破壊した。アメリカ攻撃直後、ISISが丘を占拠し、それ以来、確保したままだ。この陣地が、デリゾール空港に対する射撃統制を可能にしている。

アメリカ軍は、攻撃は間違いだったと主張しているが、"間違い"の調査報告を徹底的に読み込むと、ISISと戦うアメリカ-ロシア協力協定の発表への政治的反対を印象づけるべく、アメリカ軍は意図的にSAAを標的に攻撃していたことがわかる。(デンマーク空軍F-16戦闘機と無人機が、アメリカの指揮の下、攻撃に参加していた。報告が発表された後、デンマーク政府は、全ての航空部隊を、対ISIS同盟参加から撤退した。)

9月のアメリカ攻撃以来、空からの本格的な補給は、デリゾールに届いていない。ヘリコプターの空港着陸さえ、夜しかできず、それも大きなリスクをおかしてだ。都市住民と、防衛部隊は、完全に遮断されている。

1月始めのアメリカ空軍攻撃が、デリゾール近くのオマール油田の発電所を破壊した
発電所は、デリゾールに電力を供給する最後のものだった。それ以来、わずかな軍用発電機と、減りつつある燃料は、医療と通信機器用にとりおかれている。

10月に、ISISが占領していたモスル奪還をイラク軍が策定し、開始した際、アメリカは、モスルからデリゾール方向に逃れようとするISIS部隊のため、西回廊を通れるようにしておくよう主張した。何千人ではないにせよ、何百人ものISIS戦士がこの回廊を利用した。アメリカが支配する北イラク内のクルド部隊は、ISISが、イラクからシリアに向かうのを許した。ISISが、デリゾールに向かって、モスルを脱出するのは、デリゾール陥落を意味することになるのを(正しくも)恐れ、ロシアとイランは、イラク政府とともに介入した。アメリカの要望に反して、イラクのアバーディ首相は、イラクの人民動員隊(PMU)に、西の脱出路を遮断するよう命じた。

モスル西部の脱出経路を封鎖するよう要求していた国はイランだけではない。もう一つのアサドの強力な同盟国ロシアも、戦士たちのシリア移動の可能性を阻止したがっていたと、ハシェミは述べた。ロシア国防省は、ロイターのコメント要求に対し、即答しなかった。

アサド最大の敵の一つ、フランスも、パリとブリュッセルでのテロ攻撃につながる数百人の戦士が脱出するのを懸念した。フランスは、モスル作戦で、地上支援と、航空支援で貢献している.

...しかし、ハイダル・アル=アバーディ首相が、10月末に人民動員隊の民兵を派遣することに同意するまで、戦闘計画はモスル西の道路封鎖まで予期していなかった。

脱出経路を遮断するためタッル・アファルに向かうPMUの南からの素早い進撃にもかかわらず、西イラクの多くのISIS戦士が、装備をそのままに国境を越え、デリゾールに向かって脱出することができた。彼らは、ISIS部隊を補強し、現在デリゾールを攻撃している。西イラクと東シリア上空で、圧倒的制空権を持っているアメリカは、一度たりとも大規模移動に干渉しようとしなかった。

もしISISがデリゾールを占領すれば(他の場合に、そうしたように)捕らえたSAA軍兵士全員と、彼らと協力したと連中が考える人々を殺害する可能性が高い。兵士はこれを知っている。彼らは最後の一発を撃ち尽くすまで戦うだろう。しかし、いかなる強化も補給も無しでは、見込みはほとんどない。

シリア政府が東アレッポでアルカイダ部隊を包囲した際には、"欧米" マスコミや様々な"シリア反政府派" プロパガンダ・マスコミが、包囲されたイスラム原理主義者を支持する全面キャンペーンを展開した。デリゾールの一般市民や兵士を支持する、そうしたキャンペーンは皆無だ。差し迫るデリゾール陥落に関するわずかな報道で "欧米"マスコミは、全くのウソまで駆使している。デイリー・テレグラフはこう主張している

アメリカが率いる連合とロシアは、デリゾールの聖戦士を、過去18カ月爆撃してきたが、連中を追い出せずにいる。

デリゾール周辺のISIS軍に対するアメリカの本格的空爆飛行は行われたことがない。地域でのアメリカによる攻撃飛行は、シリア政府軍か彼らのインフラに対するものだ。

戦場で見られる事実は、ISISとの戦いに関するアメリカ公式説明を裏付けていない。 アメリカ軍はISISを黙認しているだけでなく、都市に残る全員にとっての極端に高いリスクにもかかわらず、連中がデリゾール支配権を得るのを支援していると結論せざるをえない。

This likely to furtherより大きな長期的計画、いつでも都合の良い時に、シリアとイラク政府に対して発動できるアメリカ軍を、"ISISと戦う"ために地域に留めることが正当化できる、 "サラフィー主義国家"を西イラクと東シリアにしつらえる。アメリカのオバマ大統領とケリー国務長官の二人とも、まさにそうした政治目的のため、イラクとシリアにおいて、当初、ISISが拡大するのを許したことを認めている

記事原文のurl:http://www.moonofalabama.org/2017/01/how-the-us-enabled-isis-to-take-deir-ezzor.html#more

----------

世界中のマスコミなるものの偏向、筆者がされている通りひどいものだ。

藤永茂氏は、ブログ『私の闇の奥』で、シリアやウクライナに関し「ジャーナリストとコラムニストの責任は重大」という記事を書いておられる。小生、幸いにして、実名ををあげられている人々の発言、信じておらず、著作もほとんど読んでいない。

TPP違憲訴訟裁判の茶番状態を、植草氏が書いておられる。突然の審理打ち切り。大本営広報部大政翼賛会、一言でも、この裁判に触れたことがあるだろうか。

政治権力と一体化する司法権力の横暴 2017年1月17日

大本営広報部の紙媒体や電気紙芝居でニュースを見聞きする習慣、完全になくなった。洗脳されるのに時間やお金を使うのは止めたので。

今は日刊IWJガイドが頼り。 今朝のガイドの一部を引用させていただこう。

 一昨日18日、岩上さんが直撃質問した映画『スノーデン』のオリバー・ストーン監督。米国から発せられる情報には疑いを持って見てほしい、と呼びかけていました。その理由は、世界はすでに「サイバー戦争」の時代へと突入しており、その先頭に立つのは米国である、というのです。ロシアが米大統領選に介入し、サイバー攻撃をしかけたという、米国情報機関による報告も、何の証拠もないのだと強調しました。この点については、ウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジが以下のように語っているということです。

・アサンジ氏によると、ロシアの諜報機関が米民主党のサーバーに侵入したという証拠は、報告書に一切含まれていない。
https://jp.sputniknews.com/politics/201701093221227/

 岩上さんとストーン監督の熱いやりとりの様子は現在、どなたでもご視聴いただけるように、1月末まで特別にフルオープンで公開しています!岩上さんの「ツイ録」も併せてご覧ください!

※【岩上安身のツイ録】「ここに目覚めた人がいる!」―― 映画「スノーデン」の監督オリバー・ストーンが岩上安身の質問にビビッドな反応!!スノーデンが明かした米国による無差別的大量盗聴の問題に迫る!! 2017.1.18
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/357309

※米国の同盟国をやめた瞬間に、CIAのマルウェアが日本中のインフラを崩壊させる!?スノーデン証言の真偽は!?――映画『スノーデン』のオリバー・ストーン監督に岩上安身が直撃質問! 2017.1.18
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/357253

※オリバー・ストーン氏「アメリカの大手のスタジオには全部断られた」―映画「スノーデン」ジャパンプレミアで制作裏話を披露!! 2017.1.18
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/357257

 こうした情報戦の真っただ中に置かれたまま、アメリカ国民は今、激しく「親トランプvs反トランプ」で二分されています。トランプ氏が繰り返し行ってきたヘイト発言に見られる白人至上主義は偽りない事実であり、また、大統領就任前から大手企業(日本のトヨタも含む)を名指しで批判し、経営方針を変えさせる強引なやり方に懸念を示す人々が、トランプ氏を「自由と民主主義」を重んじる国(たとえそれが建前であり、いまだ実現半ばの理念や理想であったとしても)のリーダーとしてふさわしくないと主張するのも、よく分かります。

 本日20日の就任式には約50人の民主党議員が就任式を欠席する見通しだといい、就任式前後には約100団体がデモを予定。反トランプの風は当分やみそうにありません。

・トランプ氏の就任式、50人欠席へ 民主議員、ボイコット加速(毎日新聞、2017年1月19日)
http://mainichi.jp/articles/20170119/ddm/002/030/071000c

半トランプ世論の高揚は、該当行動に参加する人々の増大を招き、それに対してトランプ政権が強権的な弾圧を加えれば、大きな混乱が生じるのではないかと、何歩も先を睨んだような発言をしている人物もいます。

 だれあろう、ロシアのプーチン大統領です。プーチン氏は、ウクライナの首都キエフで起きたマイダン―騒動のようなことが米国内で再現されるのではないかと、コメントしています。

※岩上安身ツイログより(1月10日 04:20:46)
http://twilog.org/iwakamiyasumi/10

2017年1月19日 (木)

偽ニュース: 情報空間における最新兵器

2017年1月16日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook

世界経済や地政学を変える技術と革新の力は、過小評価されていることが多く、振り返ってみると、かやの外に置かれさえしている。

しかし、イギリス帝国に制海権を与えてから、産業革命に至るまで、技術的進歩は、帝国が入念に作り上げた重商主義世界体制を、結局は破壊し、解体させた。技術の進展は、文字通り、世界権力の中心と、それを巡って構築される帝国の興亡を支配するのだ。

破壊的な情報技術

情報技術(IT)の出現により、国民の多くに情報を広めるため、かつては莫大な資本と、相当な人数の作業部隊が必要だったものが、今や、事実上、何の経費もかけずに、たった一人でできる。

今や、伝えたいことの効果と、それが社会に与える影響を決定するのは、もはや自分で自由に使える資金の額ではなく、発想と言葉の力だ。

ITが競争条件を公平にしたのだ。アメリカ合州国とヨーロッパは、様々な形のあらゆるメディアによる情報の流れを何十年も独占してきた。第二次世界大戦中、連合諸国は、枢軸諸国連中の、洗練度の劣る、へたなプロパガンダ活動を易々と出し抜いた。第二次世界大戦から冷戦の期間、アメリカとイギリスの支配層は、自国民に対し競争相手のない影響力を持っていたのみならず、ボイス・オブアメリカとBBCを通して、影響力を外国にも投影することができた。

ラジオ放送局、テレビ・スタジオ開局、あるいは新聞制作用の印刷機の費用は、マスコミを立ち上げる資力を持った連中が作り上げた“合意”に同意しないような圧倒的大多数の人々にとって、巨大過ぎて手がでなかった。

ところが現代では、ITによって、かつては欧米プロパガンダの標的だった国々が、自国内で、政治的、経済的安定性をしっかり守ることにを可能にしたのみならず、そうした国々が欧米の視聴者に対し、彼ら側の言説を送りだせるようになった。

しかも独立した活動家、ジャーナリストや専門家たちは、今や、政治・経済支配層が世界中に広めている“主流”言説に反対して、何百万人もの聴衆に向かって書き、話すことができる。

この効果は至る所で明らかだ。

既に“代替メディア”は、巨大農業企業や巨大医薬品企業の様々な権益から、ウクライナから、シリアに至る、あらゆる場所での地政学的紛争を巡る狙いに至るまで、でっちあげられた“合意”を相当程度、粉砕した。

再一元化と、支配の回復

自立したニュースや、批評や活動家のネットワークが、主にブログ、ウェブやビデオ・チャンネルという形で、インターネットで繁栄している。ところが特権階級はメディア・プラットフォームを再一元化することで、言説や情報に対する支配を回復するのに大規模投資をした。

これは、特にソーシャル・メディア、特にフェィスブックで行われている。フェィスブックは約18億人のユーザーを誇っている。事実上、携帯機器を使って道行く人々全員、フェィスブックを利用して、友人と連絡したり、ニュースや情報を読んだりしている。フェィスブックの人気は、オンライン・ユーザーの行動の大半を一元管理していることにあり、情報を巡る支配の回復は、ここから始まるのだ。

フェィスブックは、この支配方式を展開するため、様々な口実を駆使している。2014年には、ユーザー・ニュース・フィードで、下記の理由で投稿を表示する方法を変更すると主張した。

人々に、あらゆるコンテンツを表示するのではなく、ニュース・フィードは、各人に対し、各人にとって最も関係の深いフェィスブック・コンテンツを表示するよう設計されています。フェィスブックにログ・オンした際に、人々が見るかも知れない1,500+の記事のうち、ニュース・フィードは、約300を表示します。どの記事を表示させるかを選ぶため、各人に関する何千もの要素を見て、ニュース・フィードが、見る可能性のある記事に順位をつけます(より重要なものから、さほど重要でないものへと)。

ところが、一体何に最も関心があるかを決めるのは、ユーザーではなく、フェィスブックが作ったアルゴリズムなのだ。実際、変更というのは、フェィスブックを通して、多数の人々に情報を広めている人々が、突然、送れる範囲が極端に狭まったことに気がつくということなのだ。特定ユーザーをフォローすると意識的に決めた人々に情報を送り届けるには、投稿を“広める”ため、フェィスブックに金を払うことが必要になる。

要するに、大衆への流布に必要な資本という、IT出現によって解体された障害が、ソーシャル・メディアに対するフェィスブック独占によって再導入されたというわけだ。

2016年、フェィスブックは更にねじをきつく閉めるはずだ。今回は“偽ニュース”と戦うという口実で。“偽ニュース”というのは、拡大しつつあり、益々高度化する代替メディアを前に、徐々に弱体化しつつある独占企業連中自身が作り出した用語なのだ。

“偽ニュース”を“ロシア・プロパガンダ”や“白人民族主義者”と結びつけ、ヒステリーがあおられているが、実際は“事実確認”のための措置が導入されつつあり、やがて、“偽ニュース”とされる情報の検閲が、アメリカとヨーロッパの既得権益が推進する言辞、つまり、戦争推進から、巨大企業を推進拡張するあらゆるものに反対するもの全てを標的にすることになる。

次の破壊的技術の時期

どのような戦いにおいても、適応が必要だ。フェィスブックや、ツイッターや、他のソーシャル・メディア・プラットフォームが、いわゆる対“偽ニュース”戦争に加わる中、代替メディアの興隆と、情報空間における力の均衡の維持を狙っている人々は、彼らを弱体化し、克服するための様々な手段同様、既得権益がこの狙いを推進しているのを認識すべきなのだ。

例えば、ロシアには、フェィスブックと競合するVKontakte (VK)があり、ロシアでは非常に人気がある。これは、フェィスブックによるソーシャル・メディアに対する独占を押さえ、ロシアが国内のソーシャル・メディアを支配するのを可能にしている。VKは企業として儲かっている。

同様に、中国にも国内、国民の間で、メディアを支配するのを可能にしている自国の巨大ハイテク企業がある。

これは、情報空間内の国々間で、情報における力の均衡を産み出す。国々の間で、情報の力の均衡を産み出すには、他の代案もある。

仮想通貨が、伝統的な金融機関と、彼らが世界の貨幣制度に対して行使している支配力を破壊しつつあるのと同様、ピアツーピア(P2P)ソーシャル・メディア・プラットフォームは、我々が情報を受け取ったり、受け取れなかったりするよう支配しているフェィスブックなどの独占問題を解決する助けになりうる。

FreeNetなどの代替ツールは、一元管理されていない。ユーザーが無料ソフトを各自のコンピュータにダウンロードすると、そのソフトが、世界中で、FreeNetを利用して、他の人々と接続してくれる。一元的な管理者は存在しない。フェィスブックのように、全ユーザーが接続する単一のハブではなく、P2Pネットワークは、全員がノードとして機能する網のようなものなのだ。

ユーザーは、希望すれば匿名で良く、内容は支配されたり、検閲されたりせず、フェィスブックのニュース・フィード・アルゴリズムのように、情報へのアクセスが抑制されたりすることもない。

情報空間における力の均衡を確立することに献身している進取の気性に富んだ国や個人は、彼ら自身のP2Pソーシャル・メディア・プラットフォームを作り、推進することが可能だ。フェィスブック、VKや中国の一元管理する代替システムのように支配することはできなくとも、そういうものは、外国による支配を弱体化する助けになり、長期的には、何があろうと必然的に進展する技術的な機能分散に、国々が対応するのを支援する。

ソーシャル・メディアに対する支配で、フェィスブック創設者が儲けたような形で金儲けはできまいが、そういうプラットフォームを立ち上げた個人や国家にとって、違った形の利益が得られる。

地政学的に、成功した、広く利用される、破壊的なP2Pソーシャル・ネットワーキング・プラットフォームは、フェィスブックによるソーシャル・メディア支配を弱めたり、完全に打破したりし、参加条件を公平にして、欧米巨大ハイテク企業が、支配するフェィスブック、ツイッターや他の一元管理のプラットフォーム上で、“偽ニュース”と戦うことを狙う“事実確認係”と同等の条件で、個人や国家が、自分たちの言説を大衆に届けるのを可能にする。

P2Pによって、制作者が何十億ドルも儲かることはないが、戦争を回避したり、外国による独占が、国家経済を弱体化させたり、破壊したりするのを防いだり、あるいは、情報空間の支配を回復し、政治的、経済的な競合相手を根絶するという欧米の企みにより妨げられるはずの、社会経済的代案が、根付き、栄えるのを可能にするのに役立つ。

ソーシャル・メディアのようなものを考える際、我々は、地政学や、経済や、国民国家や世界あちこちの地域の興亡に対する甚大な影響とは結びつけないことが多い。だが、2011年、アメリカが画策した“アラブの春”でのフェィスブックの役割が、何らかの実例、あるいは警告として役立つとすれば、情報空間に対する無競争の支配は、国家丸ごとのみならず、地球丸ごとを文字通り破壊できるということだ。

国家や個人の安全保障にとって、あらゆる伝統的な兵器システムと同様、フェィスブックに対する代替物を作り出すことは極めて重要だ。そのような代替物無しに、現代に立ち向かうのは、素手で、無防備で、全く何の準備もなしに戦場に向かうようなものだ。

Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/01/16/fake-news-the-latest-weapon-in-information-space/
----------
今日の日刊IWJガイドの冒頭、このFacebookや、Washington Post, Amazonのオーナー連中についての話題。

こういう人々が、庶民の役にたつシステムを構築するはずがない。役にたつかのように見えて、結局、利用、支配される。

以下は、日刊IWJガイドからの引用。

■<はじめに>下位36億人の資産額と上位8人の資産額が同じ!上位の億万長者「サイバー・リバタリアン」の正体!

 おはようございます。IWJでテキスト関係の業務に従事している原佑介と申します。

 昨日もお伝えしましたが、貧困撲滅に取り組む国際NGO「オックスファム」が今週16日、世界人口のうち所得の低い半分に相当する36億人の資産額と、世界で最も裕福な富豪8人の資産額が同じだとする報告書を発表。そうした格差が「社会を分断する脅威」にまでなっていると警鐘を鳴らしました。

※世界人口の半分36億人分の総資産と同額の富、8人の富豪に集中(AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3114180?act=all

 ドナルド・トランプ氏が米国大統領に選出されたことや、欧州を始めとする極右勢力の台頭など、こうした極端な事象の背景には、過度なグローバリズムがもたらした異常な格差社会への反動があるのではないでしょうか。

 米経済誌フォーブスの2016年版世界長者番付で上位6人にランキングされたのは、米マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏、スペインのアパレル大手インディテックス創業者アマンシオ・オルテガ氏、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏、メキシコの通信王カルロス・スリム氏、米アマゾン・ドットコム創業者ジェフ・ベゾス氏、フェイスブック共同創業者マーク・ザッカーバーグ氏です。

 ここで名前が上がっている億万長者の皆さんは、京都大学名誉教授・本山美彦さんが「サイバー・リバタリアン」と呼ぶ面々とまさに重なり合っています。

 「リバタリアニズム」とは、「機会の自由」を重視し「再分配」の重要性を否定する「自由至上主義者」のことで、この場合の自由とは、「果てしない富の追求の自由」を指します。

 本山さんによれば、世界中で極端な格差が拡大してゆくのは、「際限なく金を稼ぎ、富を所有したいという欲望」を全面肯定する自由主義の原理と、その追求のための「ワシントン・コンセンサス」が存在し、そういう構造の中で、彼らIT長者たちが「サイバー・リバタリアン」としてのし上がっているということです。

 本山さんは岩上さんのインタビューの中で、世界の金融の流れを支配する「金融権力」と「サイバー・リバタリアン」が結びつく「Fintech(フィンテック=ファイナンスとテクノロジーの2つを併せた造語)」が支配的な体制になると予測しましたが、この予言はまさに現実のものとなろうとしているようです。

※2016/02/08 「日本を丸々と太らせ、美味しくなった頃に食べるのがアメリカ」~『金融権力 グローバル経済とリスク・ビジネス』著者、本山美彦・京都大学名誉教授インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/286495

※2016/03/14 岩上安身が京都大学名誉教授・本山美彦氏に直撃インタビュー第2弾! 世界経済を牛耳る「金融権力」と「サイバー・リバタリアン」の正体とは~「トランプつぶし」で米大統領選への介入開始か!?
http://iwj.co.jp/wj/fellow/archives/10640

 近日中に本山美彦さんインタビューを再配信しますので、ぜひご覧いただきたく思いますが、サポート会員であれば、IWJの独自コンテンツをいつでも好きなタイミングでご利用いただけますので、ぜひこの機会にサポート会員にご登録お願いします!

※会員登録はこちらから!
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

2017年1月18日 (水)

オリバー・ストーンの『スノーデン』: NSAは“対世界捜査網を運営している”

Joanne LaurierとDavid Walsh
2016年9月20日
wsws.org

オリバー・ストーン監督; ストーンとキーラン・フィッツジェラルドの共同脚本

1980年代中期以来、映画を監督してきたベテランのアメリカ人映画監督オリバー・ストーンが、国家安全保障局 (NSA) の内部告発者エドワード・スノーデンに関する映画を制作した。『スノーデン』は“愛国者”でイラク戦争の断固たる支持者だった、2004年のアメリカ陸軍予備役への特殊部隊候補者志願から、2013年に、世界監視というNSAの違法な取り組みを暴露するという決断に至るまでの題名となった主人公の変化を追っている。


『スノーデン』のジョゼフ・ゴードン=レヴィット

ストーンの映画は真面目な取り組みで、done with品位。『スノーデン』は北アメリカでは、9月16日に公開され、今週末までに、約20カ国で公開される。アメリカ政府とマスコミによって“国賊”と糾弾されている人物スノーデンの、概して好意的な描写をしている作品を、何百万人もの人々が見るというのは、相当な意味がある。これは、公式世論と、広範な国民の感情と意見の間の巨大な(しかも大きくなりつつある)溝を物語っている。特に、若者の間では、スノーデンは大いに尊敬される人物だ。

映画は、2013年6月、現在、身を隠しているスノーデン(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)と、ドキュメンタリー映画制作者のローラ・ポイトラス (メリッサ・レオ)と本物のジャーナリスト グレン・グリーンウォルド(ザカリー・クイント)とが出会う香港から始まる。彼らに、間もなく、余り気が進まないながらも、スノーデンが隠し持った秘密NSA文書の一部を公表することを計画しているガーディアン紙のイーウェン・マカスキル(トム・ウィルキンソン)が加わる。ポイトラスは、後にドキュメンタリー映画『シチズンフォー』(2014年)となるもののために、ビデオを撮影している。

豪華なミラ・ホテル内の雰囲気は、非常に緊張している。スノーデンは、ドアに枕を押しつけ、NSAやCIAが会合場所を特定するのを防ぐため、携帯電話は電子レンジの中に保管されている。スノーデンは、ジャーナリストや映画制作者たちに、NSAスパイ活動普及の度合いについての教育を始める。ポイトラスのドキュメンタリーが物語っているように、スノーデンから彼女が受け取った最初の電子メールの中で、“あなたが越える全ての国境、あなたがする全ての買い物、あなたがかける全ての電話、あなたがそばを通り過ぎる携帯電話電波塔、あなたの友人たち、見るサイト、あなたが入力するメール題名は、システムが及ぶ範囲が無限で、それへの抵抗策はないシステムの手中にあるのです”と彼は彼女に伝えていた。

香港の場面の後、ストーンの映画は、スノーデンのジョージア州、フォートベニングでの陸軍予備役時代へと戻る。彼はまだ、ブッシュ政権の“対テロ戦争”プロパガンダの影響下にある。負傷した後、除隊になり、CIAに職を見つける。彼はこの機関の教師で、最終的には、恩師となったコービン・オブライアン(リス・エヴァンス)に教育を受ける。オブライアンは、最初の講義で、もし“次の9/11がおきれば、それは君たちの責任だ。”と新兵に語る。


リス・エヴァンス

『スノーデン』の中核は、様々な政府のスパイ機関と、その事業の本質的性格に関する、主人公と、我々の最終的な悟りだ。例えば、オブライアンは、中東の状況に関して、スノーデンの誤った考えを捨てさせる。このCIA職員は素っ気なく言う。20年間“イラクは誰も気にしない地獄のような場所のままだろう。”彼は言う。紛争の中心は中国、ロシアとイランだ。

ジュネーブや東京やハワイなど様々な場所に転任し、その間、スノーデンは、CIA、NSA、あるいは、個人の契約業者として働きながら、諜報機関が壮大な規模で、憲法上の権利を侵害しているひどさに益々気づくようになる。

ジュネーブでは、例えば、皮肉で物知りの同僚、ガブリエル・ソル(ベン・シュネッツァー)が、スノーデンに、NSAの秘密計画の一つ、XKeyscoreが一体何ができるかをデモする。XKeyscoreは、基本的に、あらゆるプライバシー対策を回避できる極めて強力な検索エンジンだ。理論的には、政府の外国のスパイに対する監視令状要請を監督しているはずのFISA裁判所[アメリカ合州国外国情報活動監視裁判所]について問われると、裁判所のことを“もったいぶって安易に承認する組織”だとガブリエルは切って捨てた

最も背筋が寒くなるような場面の一つは“トンネル”として知られている、中国に対するスパイが業務のハワイの巨大な地下のNSAコンプレックスで起きる。大勢の技術者や工作員が、極めて先進的な装置を使って、アメリカの経済上、軍事上のライバル諸国を監視するため、四六時中働いている。アメリカの軍-諜報機関世界戦争に向けて準備する中、これこそがreal face国際テロ。オブライアンがあるところで言っている通り、“現代の戦場”は“あらゆる場所だ”。この時点までに、スノーデンは、“全世界に対して捜査網を敷いているとは教えてくれませんでした。”と言えるようになっている。

ガールフレンドのリンゼイ・ミルズ(シャイリーン・ウッドリー)と暮らしていたハワイ州で、スノーデンは、NSAの秘密を全世界に暴露する計画をたて始める。

『スノーデン』制作に着手したオリバー・ストーンの功績は認めるべきだ。彼はこのために、あえて危険を冒したのだ。「バラエティー」誌に“良い脚本、良い配役と、妥当な予算なのに、我々はあらゆる主要スタジオで拒否されました。スタジオの所長は‘ああ、これは良い。話して見ましょう。問題はありません。’と言うのです。話が上にあがり、数日後、何も返事はないのです。”と監督は語っている。


スノーデン

デッドライン・ハリウッドのインタビューで、ストーンは言う。現在“アメリカに批判的な”映画を制作するのは困難です。そうではなく、ビン・ラディン映画[つまり、ゼロ・ダーク・サーティ]があるのです。世の中はそうなっていると思います。軍についてのあらゆること、CIAについてのあらゆること。テレビドラマ『Homeland』をご覧願いたい。『24』をご覧願いたい。トム・クランシーの様々な作品をご覧願いたい。 … この映画を制作するのがどれほど困難だったか申しあげたいのです。”

ストーンは、ロシアに出かけて、スノーデンに九回会ったと言われている。ゴードン=レヴィット(彼の祖父、映画監督のマイケル・ゴードンは、1950年代、ブラックリストに載せられた)も、モスクワを訪問し、スノーデンと数時話をした。『スノーデン』では、実際この俳優は、外面の模倣を越えている。ゴードン=レヴィットは主人公スノーデンと彼の深みと信念に関する重要な本質を把握している。更に、エヴァンズは特に邪悪で、ウッドリー、シュネッツァー、ティモシー・オリファント(CIA工作員役)やスコット・イーストウッド(NSAの中級将校役)も素晴らしい。

映画の強みは、まやかしの“不偏不党”を避け、物語をスノーデンの立場から語っていることだ。全く適切にも、彼の視点を前提としており、高まる戦慄は、何百万人ものアメリカ人や世界中の他の人々にも、共有されている。

スノーデンは、アメリカ国家と取り巻き連中による集団的な殺意ある敵意に直面し続けている。映画は彼のための発言になっている。その意味で、スノーデンが「ナショナル・レビュー」(“国産の煽動”)や「スレート」(“漏れがちなスノーデン神話 ”)など恥ずべき愚劣な攻撃を受けたと示唆しているのは絶賛に値する。先週、WSWSが述べた通り、彼は“国家安全保障に対し、大変な損害をもたらした”と主張し、スノーデンを恩赦しないよう強く要求する9月15日付けバラク・オバマ大統領宛て書簡に、下院情報問題常設特別調査委員会メンバー全員が署名した。ヒラリー・クリントンも同じ主張をしている。

オバマに関しては、映画は、2008年選挙が、NSAのスパイ怪物に対して、何の影響も無かったことを明らかにしている。スノーデンは、ある場面でこう発言する。“[オバマ]で物事は良くなるだろうと私は思っていた.” ルーク・ハーディングは、『スノーデン・ファイル: 地球上で最も追われている男の真実』(この映画が依拠している、二冊の本のうちの一冊)の中で、スノーデンの発言を引用している“権力の座について間もなく、彼[オバマ]は、体系的な法律違反捜査への扉を閉じ、いくつかの虐待的事業を深化、拡大し、人々が罪状も無しに監禁されている、グアンタナモに見られるような人権侵害の類を終わらせるために政治的資本を費やすことを拒んだ。”

「デッドライン・ハリウッド」に“連中が何を言おうと、オバマは多数の一般市民や多数の無辜の人々を殺害したのです。しかも連中は彼が妥当だと考えています。彼はブッシュより、多くの無人機を飛ばせました。彼は最高殺人者となったのです”とストーンが語っているのは立派だ。映画監督はこう続けた。“反戦政党が存在しないことを私は懸念しています。反戦の声は存在しません。民主党も共和党も、戦争を支持しています。”

ストーンは、極悪非道なNSA事業のタコのような特徴と活動範囲を、視覚的手段や、他の手法で、分かり易くしようとして、大いに苦心もしている。

とはいえ、『スノーデン』には重大な限界があるのも驚くべきことではない。映画は決して本気で答えようとしていない、そうした疑問の一つ、しかもそれは大きなものはこれだ。連中は一体なぜ、こういうことをしているのだろう? 一体なぜ、NSA、CIAやアメリカ政府全体が(そして世界中の他の諜報機関が)全面監視事業を行っているのだろう? 一体なぜ連中は、地球上のあらゆる男性、女性や子供の意見や習慣を知りたがるのか?


シァイリーン・ウッドリーとゴードン=レヴィット

このほぼ無限のスパイ行為は、2001年9月11日の出来事(オブライアンの上記発言を参照)に対する過剰反応に過ぎないという説得力の無い示唆は、真面目に検討するに値しない。そもそも大規模監視は何十年も前に始まっていたのだ。実際、9/11攻撃は事前にしっかり準備されていた計画を実施する好機となったに過ぎない(ある種の技術の発展にも依存していた)。スパイ行為の普遍性そのものが、深刻な経済的、社会的危機の時期に、あらゆるエリート支配者が自国民に対して感じる組織的なもの、強い恐怖感を物語っている。

関係する他の問題もある。スノーデン-ミルズのロマンスは、おおげさで、『スノーデン』で強調されすぎている。ストーンが、主人公を、大衆の目に対する人間味を与え、諜報世界と敵対すると決めた際、スノーデンがどれほどの犠牲を覚悟していたかを示したかっただろうことは確実だ。将来、内部告発者となると決めた決定的瞬間について、監督はこう語っている。“あの時点で、彼は彼女もあきらめたのです。彼はこの女性にほれ、彼女は10年間、生活の中にいたのです。… 二人は子供を持とうとしていたのです。彼はこの決断をし、それを彼女に言うことさえできなかったのです。” 監督の意図が何であれ、こういう関係は、より興味をそそる、重大な物事の邪魔になることが実に多い。

それはさておき、ストーンと共同脚本家キーラン・フィッツジェラルドと俳優たちが、配慮と献身によって、スノーデンの物語の重要な要素を映画にしてくれたのだ。このドラマには、現代における重大な問題のいくつかが含まれている。何よりも、独裁制と、戦争の危険だ。

スノーデン本人については、ストーンはインタビュアーに、こううまく語っている。“29歳の青年がこれだけのことをしたというのは、実に驚くべきことです。私にはあれは到底できなかった。あなただって、あの年で、ああいうことはできなかったでしょう。”

記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2016/09/20/snow-s20.html

----------

「オリバー・ストーン監督の日本への警告 20170118 NEWS23」 は衝撃的。事実だろう。

これに先行するドキュメンタリーについては、下記記事を翻訳してある。

スノーデンのドキュメンタリー映画『CitizenFour』アカデミー賞を獲得 2015年2月23日

映画と言えば、ハヤカワ文庫で、ジョージ・オーウェルの『動物農場』とオルダス・ハクスリーの『素晴らしき新世界』が、劇場アニメ『虐殺器官』公開記念 ディストピア小説フェアの連動新刊として刊行されている。

『虐殺器官』は、購入したまま、積ん読状態。

IWJの配信予定、この映画に関連する部分をコピーさせていただこう。

◆中継番組表◆

**2017.1.18 Wed.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【録画配信・Ch4】時間未定「オリバー・ストーン監督最新作 映画『スノーデン』記者会見 ―登壇者:オリバー・ストーン監督」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※同日収録の「オリバー・ストーン監督最新作 映画『スノーデン』記者会見」を録画配信します。配信時間は確定次第、岩上安身とIWJスタッフアカウントのツイッターでご案内いたします。
◆『スノーデン』1月27日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー◆
配給:ショウゲート (C)2016 SACHA, INC. ALL RIGHTS

【Ch4】18:30~「オリバー・ストーン監督最新作 映画『スノーデン』ジャパンプレミア ―登壇者:オリバー・ストーン監督、登坂絵莉(女子レスリング・リオ五輪メダリスト)」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※オリバー・ストーン監督最新作 映画『スノーデン』のジャパンプレミアを中継します。
◆『スノーデン』1月27日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー◆
配給:ショウゲート (C)2016 SACHA, INC. ALL RIGHTS

【再配信・IWJ_YouTube Live】19:00~「スノーデン氏が暴く!米国による巨大監視システムの実態とは――岩上安身による小笠原みどり氏(元朝日新聞記者、カナダ・クイーンズ大学大学院博士課程在籍)インタビュー (前編)」
YouTube視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
ツイキャス視聴URL: http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi
※2016年12月26日収録。米国の違法な諜報活動を世界中に暴露して追われる身となった元NSA職員・エドワード・スノーデン氏に単独インタビューをおこなったジャーナリスト・小笠原みどり氏への岩上安身によるインタビューを再配信します。なお、岩上安身によるインタビュー中継及び、再・録画配信は、YouTubeのライブストリーミングを使用して配信いたします(詳しくはこちらをご参照ください→ http://iwj.co.jp/wj/open/archives/355478 )。
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/354108

IWJ、先日のTPP交渉差止・違憲訴訟 第7回口頭弁論期日 ―口頭弁論後の報告集会も報道しておられる。

日本はまだTPPを批准できていなかった!?裁判は終結したが、おどろくべき事実が明るみに!!~TPP交渉差止・違憲訴訟 第7回口頭弁論期日 ―口頭弁論後の報告集会
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/356835

2017年1月17日 (火)

ヨーロッパの勇敢なジャーナリスト逝く

Paul Craig Roberts
2017年1月14日

1月13日、ウド・ウルフコッテが、報道によれば、心臓麻痺で亡くなった。

ウルフコッテは、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァィトゥング紙編集者だった。彼は、CIAがヨーロッパのあらゆる主要ジャーナリストを掌握しており、それにより、アメリカ政府によるヨーロッパ世論支配が可能になり、ヨーロッパ各国元首に対する、アメリカ政府による支配に関する知識や、それへの反対を弱体化させていると書いた勇敢な書籍を刊行した。基本的にアメリカ政府から自立したヨーロッパの政府は存在しない。

かつてヨーロッパに満ちあふれていた勇気は、現在は見出すのが困難だ。シャルル・ド・ゴールが、アメリカ政府からの独立を維持した主要ヨーロッパ国家最後の元首だった。現在、マリーヌ・ルペンと、おそらく、ハンガリー大統領が自立している。しかし大半の西欧と東欧の国家元首は、アメリカ政府の戦争に献身するアメリカ政府の配下だ。

これには、もちろん、ドイツ首相、フランス大統領やイギリス首相が含まれる。その権勢が、ローマの没落から、第二次世界大戦に至るまで、大半の欧米の歴史を形作った、これらのかつては強力だったヨーロッパ諸国は、現在、アメリカの傀儡諸国だ。

エリツィンの下で、ロシア自身も、アメリカ大君主に屈したが、ウラジーミル・プーチンの下で、ロシアは独立を取り戻し、現在では、シリアやクリミアなど、世界の一部において、アメリカの一国支配主義を抑制できるようになっている。

極東では、アメリカ政府の傀儡日本が、ロシア同様、欧米のどこにも見出せない第一級の指導部がある国、中国の勃興により、今や制約されている。

欧米世界は、本物の政治指導者を産み出すことができないことを証明している。この失敗は、何世紀もの欧米支配で、欧米の政治過程が実に酷く腐敗し、あらゆる収入と富をごく少数の手に集中することに成功したするひと握りの権力集団に、欧米丸ごと隷属している結果だ。CIAによる、次期大統領に対する、あからさまな、はなはだしい攻撃で見られるように、この極少数の連中が膨大な権力を握っている。

欧米による支配の歴史に基づき、アメリカ政府が、その世界支配が続いて当たり前と思い込んでいることが、地球上の生命が直面する危機だ。しかしながら、ロシアと中国は同意していない。どちらの国もアメリカに対抗する十分な力があり、両国がまとまれば、アメリカの軍事能力を上回る。

ワシントンに居すわる世界の最高君主志望者連中は、その尊大さゆえに、ロシアと中国が、イラクとリビアではないことに気がついていないのだ。

ワシントンで支配している低能どもが我々をこの二大国との戦争に引きずり込めば、アメリカ合州国は、世界の他の国々ともども歴史から消え去ることになる。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/14/europes-courageous-journalism-voice-has-passed-away-paul-craig-roberts/

----------
ウド・ウルフコッテ氏については、下記記事を訳してある。国名を換えればそのまま。

残念ながら、せっかくの著書、ドイツ語では読むことができない。

“ドイツ政治家はアメリカ傀儡”ドイツ人ジャーナリストはアメリカ支持記事を書くよう強いられている 2014年11月10日

“大手マスコミの主立った連中は皆CIAの手の者”2014年10月24日

2017年1月16日 (月)

トランプは、もはや終わったのか?

Paul Craig Roberts
2017年1月13日

オバマ大統領にチェンジが期待できないことを理解するまでに、さほど長くはかからなかった。しかし、少なくとも彼は、チェンジの大統領支持を示して議事堂前ナショナル・モールに、未曾有の数のアメリカ国民が集まる中で就任した。希望は満ちあふれていた。

だがトランプの場合、就任前なのに、もはや我々は、彼自身にではないにせよ、少なくとも彼が閣僚として選んだ連中を信頼できなくなっている。

トランプが選んだ国務長官は、ロシアは、アメリカ合州国と全てのヨーロッパにとって、脅威であると宣言したのがネオコンそっくりなだけでなく、南シナ海はアメリカ支配地域だと宣言するに至っては、まるでヒラリー・クリントンだ。人は、エクソン会長は白痴ではないと考えたがるが、私はもう確信がない。指名承認公聴会で、レックス・ティラーソンは、中国が中国自身の南シナ海に入ることは“許されない”と述べたのだ。

ティラーソンの発言はこうだ。“米国は中国に対し、まずは人工島建設を中止すべきであり、次に人工島へのアクセスは認められないとする明確なシグナルを送る必要がある。”

ティラーソンは、本当に世界を吹き飛ばそうとしているのだ。中国の反応は、実に辛辣なものだった。

ティラーソンは“北京が脅威を恐れるなどと勘違いすべきではない。もしトランプの外交チームが、今しているような形で、将来の中国・アメリカ関係を構築するのであれば、両国は軍事衝突に備えたほうが良い。もし彼が核大国に自らの領土から撤退を強いたいのであれば、ティラーソンは核大国戦略を勉強したほうが身のためだ ”

トランプは就任もしておらず、彼の愚かな国務長官被指名者は既に、欧米全てを、完全かつ、永久に破壊することが可能な二つの核大国の敵対的関係を作り出した。しかも、これで、アメリカ上院は、ティラーソンに満足したのだ。低能連中は、連中に正気があるとすればだが、びっくりして正気を失うべきなのだ。

ロシアがシリアを、アメリカ政府による打倒から救った理由の一つは、アメリカ政府の次の標的はイランで、破壊されたイランから、テロがロシア連邦に輸出されるだろうことをロシアが理解していたからだ。アメリカが支援するテロによって脅かされている国々、シリア、イラン、ロシア、中国枢軸が存在している。

トランプは、ロシアとの関係を正常化し、紛争ではなく、事業の機会を切り開きたいと言っている。しかし、ロシアとの関係を正常化するには、イランと中国との関係の正常化も必要だ。

彼らの公式発言かは判断して、トランプが発表した閣僚は、イランを不安定化の標的にしている。トランプの国家安全保障顧問、国防長官と、CIA長官の被指名者全員が、イランを打ち倒すべきテロ国家だと誤って見なしている。

だが、ロシアは、アメリカ政府が安定したイラン政府を打倒するのを許すわけには行かず、許すこともあるまい。中国によるイラン石油への投資ゆえに、中国もアメリカ政府がイランを打倒するのを許すまい。中国は既に、オバマ政権がリビア政府を打倒した結果、リビアでの石油投資への投資喪失を経験している。

現実的に言って、アメリカ、イギリスとヨーロッパで、CIAと、自らの地位を、ナショナル・インクワイアラ以下におとしめてしまったニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNやBBなどの売女マスコミが送り出したばかげた、全く信じがたいプロパガンダ宣伝とは独自に、トランプ大統領は、彼自身が選んだ被指名者によって、既に打ち負かされてしまっているように見える。

私が今日早くに書いたように(http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/13/the-establishment-is-trying-to-steal-the-presidency-from-trump-paul-craig-roberts/)日本語訳はこちら)、トランプの被指名人たちによるこうした発言は、承認されるために必要なものに過ぎず、いかなる意味でも、運用上のものではない可能性もある。とは言え、指名承認公聴会で、阿呆連中に抵抗することは可能なのだ。私は自分の指名承認公聴会で抵抗し、当惑した民主党は、公聴会の内容を丸ごと記録から削除するよう申し入れた。

もし、エクソン会長と、中将が、能無しの議会に抵抗できなかったのであれば、二人は職責に適さない。彼らが抵抗しなかったことは、彼が上からの改革を実現しようとしているつもりなのであれば、トランプが必要としている力に欠けていることを示しているのだから。

もしトランプが、アメリカ外交政策を変えることができなければ、熱核戦争と地球の破壊は不可避だ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/13/is-trump-already-finished-paul-craig-roberts/

----------

大統領就任次第、TPPを辞めるといっている。そのTPP違憲訴訟裁判が今日あるのを、植草氏のブログで知った。

TPP浮遊霊を除霊するため1.16東京高裁に集結

裁判傍聴に当選しなかった人は、別の場所で、映画『ウォーター・ウォー』を見ることができる。壊憲はナチスに学べの超富裕政治家、水の民営化を主張している。

以前、この必見の映画に関する記事を掲載した。

ザ・ウォーター・ウォー(水戦争)と複雑なことに取り組む必要性

2017年1月15日 (日)

トランプから大統領の座を盗み取ろうとしている支配体制

Paul Craig Roberts
2017年1月13日

戦車をともなった2,700人のアメリカ軍兵士が、ポーランドを横切り、ロシア国境に向かっているとロイターが報じた。第3機甲旅団戦闘部隊司令官クリストファー・ノリー大佐は“我々の任務の主目的は、脅威の抑止と予防だ。”と宣言した。どうやら大佐は、彼が率いている部隊が、脅威を防ぐどころか、脅威になるのを理解するほどの頭もないようだ。しかも、それも、誰あろうロシアの軍事力に対して。

このちっぽけな軍隊に何の意味があるだろう? 100倍大きくとも、おそらくは千倍大きくとも、ロシアに対する脅威にはなるまい。ヒトラーは、準備のできていないスターリンに対し、人類史上最大の軍事作戦で、最大最高の軍隊でロシアに侵略したことを想起願いたい。ドイツ侵略軍は、3,800,000人の兵士、600,000台のオートバイ、3,350輌の戦車、7,200門の大砲と、2,770機の航空機で編成されていた。スターリンにより、将校団が粛清されていたにもかかわらず、赤軍はこの壮大な軍勢を潰し、対ドイツ戦争に勝利した。

スターリンのロシアと比較すると、プーチンのロシアは準備ができている。NATOは、ロシアを侵略するのに十分大きな軍隊を編成することはできない。2,700人のアメリカ軍兵士が、ポーランドを横切り、ロシアに向かっていることに一体何の意味があるのだろう?

その答えは、ロシアは脅威だという欧米プロパガンダを生かし続けることと、トランプにとって、ロシアとの関係を正常化するのを極力困難にするためだ。アメリカ軍が、次期大統領の政策と矛盾する、この挑発的演習を行っているのは異常なことだ。アメリカ軍、CIAと、連中のアメリカ売女マスコミは、次期大統領の政策とは独自に、連中自身の計画を、非民主的に遂行しているのだ。イスラエルの新聞ハアレツによれば、アメリカ諜報機関幹部は、イスラエル政府に、プーチンには、トランプに対して“圧力をかける手段があり” 、トランプは、情報をロシアとイランに漏洩するので、諜報情報をトランプ政権とは共有しないよう警告までした。http://www.haaretz.com/israel-news/1.764711

軍安保複合体によるトランプ政策妨害がどのように機能するのかを、我々はみることができる。絶えざる非難によって、ロシアや、他のだれもしてもいない、決しておきなかったハッキングに、ロシアが関与した可能性があると、トランプに発言するよう強いることができたのだ。トランプの国務長官被指名者ティラーソンは、指名承認公聴会で、承認されるために、ロシアは脅威だと宣言しなければならなかった。トランプの国防長官被指名者マティスは、指名承認公聴会で、アメリカはロシアとの軍事的対決に備えておく必要があると言わざるを得ず、更に、NATOを潰そうとしていると彼が言ったロシアと、協力できるいくつかの分野があるとも述べた。

トランプが認めたのは、CIAに口実を与え、連中の言い分が立証されたと感じられるようして、彼への干渉を止めさせるためだと片づけることができようし、ティラーソンとマティスの発言も、承認されるために、言わざるを得ないものだったと片づけることは可能だ。それでも、トランプの最高閣僚としての被任命者のこうした発言が、トランプを除く全員、トランプ自身の閣僚さえもが、ロシアが脅威であると認識していると確認したものとして利用されている。オバマ政権が必死で働きかけたロシア・プロパガンダの構図は、今や、トランプの国務長官と国防長官被指名者によって受け入れられたという後光をもたらした。ティラーソンとマティスに、そういうつもりであるか否かにかかわらず、軍安保複合体の選挙運動献金に支配されているアメリカ議会は、明らかに、ロシアが脅威と見なされるよう、断固決意しているのだ。

こうした物事を見つめているロシアは、あっと言う間に、関係正常化への希望を無くすだろう。アメリカ支配体制が、ロシア政府内で、希望を消し、疑念を増大させ、トランプの、より良い関係という政策に対するロシア国内における障壁を高めている。

権力と利益に固執するため、進んでロシアとの紛争のリスクをおかすというアメリカ支配体制の野放図な悪以上に、はっきりと語るものはない。

リベラル左翼の良心は、一体どこにいったのだろう? 軍安保複合体が、トランプの権威を失墜させ、彼を封じ込め、彼の計画を就任と同時に潰れさせ、熱核戦争を残された選択肢にするのを、リベラル左翼は、一体なぜ支援するのだろう?

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/13/the-establishment-is-trying-to-steal-the-presidency-from-trump-paul-craig-roberts/

----------

植草一秀の『知られざる真実』
安倍首相会見よりは格段に健全なトランプ会見 2017年1月14日

次期大統領とマスコミの記者が激しくやりあう光景、確かに格段に健全。
哀れな属国民は、中身が全部決まった茶番会見しか見られない。

小生、彼氏の顔が現れた瞬間、音を消すか、チャンネルを切り替えるか、電源を切るかしている。そのためマウスの横に、常にリモコンをおいてある。翻訳作業のためにパソコン画面を見ているのであって、電気洗脳装置、横において聞き流しているに過ぎない。

昨日も、知人が「世の中を知るために、しっかり見ようと思います」とおっしゃるので、「世の中を知るためには、極力見ないほうが良いと思います。」「時間と電気代の節約にもなります。」と申しあげておいた。

「英EU離脱と米トランプ氏当選は『新自由主義は間違いだ』と国民投票で証明した! 『ポピュリズム』など非常に失礼だ!」――「山田正彦の炉端政治塾」経済アナリスト・菊池英博氏講演 2016.12.17

トランプ政権がどうなるにせよ、Brexit同様、『新自由主義は間違いだ』という国民投票だったことは確実。

女性と子供の戦犯殺りく者、オバマ

2017年1月11日
Paul Craig Roberts

アメリカ大統領バラク・オバマは、軍隊や諜報機関の幹部や、大半の下院と上院議員と同様に、戦犯であることは疑問の余地がない。

オバマは、8年間、政権の期間まるごと、アメリカを戦争させ続けた最初の大統領だ。2016年だけでも、アメリカは、7カ国で、結婚式、葬式、子供のサッカー試合、病院、学校、自宅や、道を歩いている人々、畑に灌水する農民に、26,171発の爆弾を投下した。イラク、シリア、アフガニスタン、リビア、イエメン、ソマリアとパキスタンだ。http://blogs.cfr.org/zenko/2017/01/05/bombs-dropped-in-2016/

どの国として、アメリカに対する危険ではなかったし、どれもアメリカは宣戦布告をしていない7カ国への8年間の違法な軍事介入で、政権は一体何の成果を上げたのだろう? テロはアメリカ侵略によって生み出されたものであり、勝った戦争など皆無で、中東は混乱と破壊で消耗してしまった。世界中のアメリカ合州国憎悪は、史上最高となった。アメリカは地球上で、最も嫌悪されている国だ。

これら犯罪の唯一の目的は、兵器産業を富ませ、アメリカの世界覇権という狂ったネオコン・イデオロギーを推進することだ。ごく少数の卑劣な連中が、アメリカ合州国の評判を破壊し、何百万人もの人々を殺害し、アメリカやヨーロッパに、大量の戦争難民を送り出すことに成功したのだ。

我々はこうしたものを“戦争”と呼ぶが、そうではない。大半は空からの、アフガニスタンとイラクでは地上軍による侵略だ。空と地上による侵略は、全てあくどい、あからさまなウソに基づいていた。侵略のための“理由”は何十回も変わった。

問題はこうだ。もしトランプが大統領になったら、人類に対するアメリカ政府の壮大な犯罪は続くのだろうか? もしそうであれば、アメリカ以外の世界は、アメリカ政府の途方もない悪に絶え続けるのだろうか?

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/11/obama-the-war-criminal-butcherer-of-women-and-children/
----------
猟奇的事件か、オリンピックか、都知事選しか報じない大本営広報部。オバマ大統領退任演説にふれたものもただのヨイショだった。自国の大統領に対する、この筆者のようなまっとうな論議をした大本営広報部・大政翼賛会皆無だったはずだ。

筆者は文章にある通り、レーガン政権で、元経済政策担当の財務次官補だった人物だ。

我々の生活に直結する重要事件でも、宗主国・傀儡与党に不都合であれば、決して触れない。典型が、沖縄の反基地運動。

故品川正治氏が指摘する沖縄マスコミと本土マスコミの違い、頭から離れない。
目覚めさせる沖縄マスコミと、眠らせる本土マスコミ。

激突の時代』の連続講座・第4回 第11章 日本のマスコミ から、ごく一部を引用させていただこう。225ページから、226ページ。太字は小生が加工したもの。

 国民に怒りを持たせない

 マスコミの現在の姿勢を言で言ってしまえば、とにかく国民に怒りを持たせない、あるいは怒りの的を外してゆこうというものです。そういう役割をご本人たちが意識しておられるかどうかは別として、私はその点を非常に問題視しています。
 私は沖縄で発行されている「琉球新報」と「沖縄タイムス」の二紙をとっていますが、この二紙は、国民の不満を「怒りにまではしない」という報道姿勢は持っていません。そこが日本のマスコミ全体と大きく違うところです。
 もちろん沖縄の問題では、事実関係を報じるものとしては、大手全国紙でもしばしば一面をにぎわせています。非常に大きな紙面形成になってもいます。けれども、沖縄の二紙と本土のマスコミとでは、どこが違うかというと、「怒りを起こさせない」という本土と、「そうではない。本当の事実を知らせないといかんという沖縄この違いが大きいでしょう
 沖縄の新聞を読み始めた頃、本土とどこか違うと感じたのですが、そのことはすぐに分かりました。それ以来、この点を非常に強く意識しています。

   占領支配と日本マスコミ

 それではなぜ、日本のマスコミは全体として「怒りを起こさせない」となってしまったのか。その本を正せば、第二次大戦での日本の敗戦と、その後の米軍を中心とする連合国の占領支配に遡ります。

以下略

54-55ページにでは、大略下記のような発言をしておられる。

政府の理不尽な行動に反対の声をあげる官邸前の原発再稼働反対や、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会があっても、マスコミは触れたがらない。取り上げるにしても、むしろニュースとして、なにか珍奇なものを見るような形でしか報道しない。

今日の日刊IWJガイド日曜版冒頭をコピーさせていただこう。

 巻頭、岩上安身のツイ録をアップしましたので、全文ご紹介します。

======================

【岩上安身のツイ録】拷問解禁の底意にじむ自民党改憲草案の先取り!?長期勾留続く山城博治氏らの釈放を求め岩上安身も署名にサイン!「山城氏の釈放と手当、自民党改憲草案の白紙撤回のぞむ」

 遅ればせながら、沖縄で、病身の身でありながら不当勾留され、適切な手当も受けられずにいる山城博治さんの釈放を求める署名にサインしました。署名の募集サイトは以下の通りです。

※「山城博治さんらの釈放を!」署名はこちらから
https://www.change.org/p/%E5%B1%B1%E5%9F%8E%E5%8D%9A%E6%B2%BB%E3%81%95%E3%82%93%E3%82%89%E3%82%92%E6%95%91%E3%81%88

 署名の際に、コメント欄に以下のようにコメントしました。ここに再掲しておきます。ご一読いただき、拡散していただければ幸いです。誰にとっても「明日は我が身」です。 「山城さんの身に起きていることは、事実上の拷問です。

 憲法36条の「公務員による拷問および残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」という条項に違反する不当な勾留です。自民党のおぞましい改憲草案では、この36条の「絶対に」という文言が削除されています。

 必ずしも、拷問しないとは限らない、時にはやるぞ、という底意が感じられます。今回の山城さんの不当勾留は、この自民党改憲草案の先取りに他なりません。権力犯罪を見逃してはならない。

 山城さんの人権を守ることは、私たち、すべての日本国民の、明日の人権を守ることに直結します。私は、病身の山城さんが直ちに釈放され、適切な手当てが受けられるようにとりはかられることを日本政府に強く求めるとともに、危険な自民党改憲草案が白紙撤回されることも併せて強く望みます」

※【岩上安身のツイ録】拷問解禁の底意にじむ自民党改憲草案の先取り!?長期勾留続く山城博治氏らの釈放を求め岩上安身も署名にサイン!「山城氏の釈放と手当、自民党改憲草案の白紙撤回のぞむ」 2017.1.14
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/356608

2017年1月14日 (土)

偽ニュース創出に関する事例研究

Paul Craig Roberts
2017年1月6日

ここ何週間も、ドナルド・トランプ当選に対する、CIAや議会やマスコミ内の連中の手先による並外れた攻撃を我々は目にしている。ロシアによる選挙介入の産物だとして、トランプ当選の合法性を失わせようとする未曾有の取り組みで、CIA、マスコミ、上院議員や下院議員連中は、何の証拠もなしに、狂気じみた非難を続けている。トランプに対するCIAのメッセージははっきりしている。我々の計画に従え、さもなくば、我々はお前を目茶苦茶にするぞ。

CIAが、トランプに対して戦っているのは明らかだ。ところがマスコミ内のCIAの手先は、事実を、連中の頭のなかでひっくり返し、トランプがCIAを否定的に見ていると非難している。

“次期大統領ドナルド・トランプ、アメリカ諜報機関に対する厳しい批判者 . . .”で始まるダミアン・パレッタと、ジュリアン・E・バーンズによる1月4日のウオール・ストリート・ジャーナル記事を見てみよう。二人の売女マスコミ人は、立場を逆転して、偽ニュース記事を組み立てている。トランプは、CIAの過酷な非難の犠牲者ではなくて、CIAに対する過酷な批判者だというのだ。そういう論理で、記事はこう続く。

“トランプ氏の諜報機関幹部との対立に、ホワイト・ハウス幹部は、益々いらだっている。‘実におぞましい”と幹部は述べた。“これまでCIAを攻撃して無事で済んだ大統領はいない。’”

今や話は、CIAがトランプを攻撃しているのではなく、トランプがCIAを攻撃しているのであり、トランプを非難する主張が可能になる。

ホワイト・ハウスとの馴れ合いに染まった評論家連中はプーチンが彼を当選させたというCIA評価に対するトランプの不信に“不快感をもっている”。トランプは非難に対し、こう言って対応するよう期待されているのだ。私は正統ではありません。大統領を返上します。

ウィキリークスのアサンジは、ハッキングは無かったとはっきり発言している。情報は漏洩として、ウィキリークスが入手したもので、民主党全国委員会内からのものであることを示唆している。トランプがこのように考えているというのは、ある匿名幹部によれば“彼が、諜報機関ではなく、アサンジを支持しているのを見て、私はとてもゾッとしている”トランプは、彼を破滅させようとしているCIAを支持するよう期待されているのだ。

CIAは自ら墓穴を掘ったのだろうか? 大統領が、機関を信じていない場合、機関は一体どうやって、大統領に提供する情報を操作して、政策を支配できるだろう?

そう、言論を支配し、大統領を封じ込むのに利用できるマスコミがあるのだ。出版されたばかりの著書『組織犯罪としてのCIA』で、1950年代初期、CIAのモッキンバード作戦成功により、CIAは、ニューヨーク・タイムズ、ニューズウイーク、CBSや他の通信社の、著名メンバーや特約記者、総計、400人から、600人のマスコミ内の手先を手にいれたと、ダグラス・ヴァレンチンは書いている。しかも、それだけでは終わらない。

“CIAは、雑誌や出版社や、学生団体や文化団体の戦略的諜報ネットワークを立ち上げ、アメリカ国民に対する政治作戦や心理戦争作戦を含む秘密作戦用の偽装組織として利用した。諸外国では、この計画は、アメリカで言えば、容易に影響されやすいリベラルや、似非インテリ出世主義者にあたる、コード・メイヤーがCompatible Left(互換左翼?)と呼んだ連中を狙っていた。

“1960年代末に暴露されたとは言え、こうしたものはすべて継続中だ。インターネットを含め様々な技術が進歩し、世界中にネットワークを広げたが、多くの人々が、自分がその一環であることに気がつかず、彼らはCIA言説を推進している。‘アサド’は虐殺者’やら、‘プーチンはジャーナリストを殺害している’やら‘中国は弾圧的だ’と連中は言う。連中は自分が一体何を言っているか分かっていないが、このプロパガンダをまくしたてるのだ。”

フランクフルター・アルゲマイネ・ツァィトゥングの編集者としての経験から、CIAは、ヨーロッパのあらゆる重要ジャーナリストを掌握しているという本を書いたウド・ウルフコッテがいる。

真実を擁護する人々の中には、CIAが支配する印刷、TVメディアの影響力の縮小で、言説を支配する陰の政府の能力が弱まると期待する向きもあろう。ところが、CIAや国務省や、明らかにペンタゴンも、既にソーシャル・メディアで活動しており、連中は、真実を語る人々の信用を落とすために、書き込み欄で荒らし屋を活用している。

ハッキングのいかなる証拠も全く無しに、ロシアによるハッキングに関するあらゆる馬鹿げた主張を支持し、アメリカ諜報機関の根拠の無い主張を信じないかどでトランプを非難して、ニューヨーク・タイムズ編集者たちは、彼らが、CIAの全くの手先であることを暴露している。ジョン・ブレナンとジェームズ・クラッパーの取り組みを前にして、ドナルド・トランプ大統領の合法性をそこなうため、NYタイムズはこう問うている。“アメリカ諜報機関と、ロシアが大統領選挙に介入したという彼らの所見に不審を抱かせようと、ドナルド・トランプが一生懸命なもっともらしい理由は一体何なのだろう?” http://www.nytimes.com/2017/01/05/opinion/donald-trump-casts-intelligence-aside.html?_r=0

この疑問は、その逆の質問を引き出すことになる。“狂気じみた根拠のない主張を根拠に、ドナルド・トランプ大統領に不審を抱かせようと、NYタイムズが一生懸命な、もっともらしい理由は一体何なのだろう?”

偽ニュースが増殖中だ。今日(1月6日) ロイターは、こう報じている。“木曜日に(匿名の)アメリカ政府幹部が語った新たなアメリカ諜報報告によれば、CIAは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の指示で、民主党全国委員会や、党指導部からハッキングした資料を、第三者経由で、ウィキリークスに渡したロシア政府職員を特定した” http://www.reuters.com/article/us-usa-russia-cyber-celebrate-idUSKBN14P2NI

ロイターが言わんとしているが、明言していないのは、おそらくこういうことだろう。“匿名を条件に話した幹部は、CIAは、ハッキングした電子メールを、ウィキリークスに渡したロシア政府職員を特定していると主張しているが、その幹部は、ロシア政府職員が一体誰で、一体どうやって連中を特定したのか、ロイターには言わなかった。”

言い換えれば、ロイター記事は、CIAが吹き込んだもう一つのお話に過ぎない。マスコミ内の手先からのご好意だ。ウド・ウルフコッテが語ってくれている通り、物事はこうして動くのだ。

次にロイターは、報告は「極秘」だと言っている。もちろん、これはつまり、CIAの主張を裏付ける証拠を見ることは決してないということだ。CIAは情報を持っているが、我々に話すわけにはいかないということを信じろということなのだ。ロイター記事には何ら目新しいことはない。手先からのご好意だ。

ロイターのご好意まみれのニュース記事は、ロイターアサンジには資料の出所がわからず、国家機関から渡されたものではなかったと彼が言えるように、ハッキングされた資料は、ロシア軍の諜報機関から“まどろっこしい経路”を辿って、ウィキリークスの手に入ったと言っているのだ。

一体何が起きているのだろう? いくつか思い当たることがある。おそらく、それがウィキリークスを駆除する確実な方法なので、アサンジに、情報源を明らかにさせようと強いる取り組みがあるのだ(街頭で、不思議にも銃撃された民主党全国委員会スタッフがそうなのかも知れない)。ウィキリークスは、これまで情報源を明かしたことがない。一度出所を明かしてしまえば、今後いかなる漏洩も、ウィキリークスに入らなくなる。

もう一つの可能性は、トランプはプーチンのおかげで当選したという、狂気じみた根拠の無い非難をしつこく続けることで、CIAは、トランプに、連中が本気であることを明らかにしているのだ。トランプは強力な人物だが、もし彼がCIAブリーフィングを受けた後、CIAへの服従に代わるものが、死であると認識させられて、連中の言い分を受け入れたとしても驚いてはならない。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/06/a-case-study-in-the-creation-of-false-news-paul-craig-roberts/
----------
この結論部分が当たっているのだろうかと思いながら、目まぐるしい展開、トランプ記者会見の報道や、閣僚候補元軍人の発言を見ている。彼はこう発言した。

プーチン大統領は北大西洋条約機構(NATO)を破壊しようとしている
国際秩序は第2次世界大戦後、最大の攻撃にさらされている。攻撃はロシアやテロ組織、中国の南シナ海進出によってもたらされている
ロシアと協調して取り組める分野は減り、対抗する必要がある分野が増えている

冒頭でも、「様々な面で、ロシアは重大な懸念となっている。」と言っている。
He said in his opening statement that Russia posed “grave concerns” on a number of fronts.

クリントンでも、トランプでも、宗主国の戦争ファースト政策は変わらないもののようだ。

「トランプ政権 アメリカの略奪と搾取の系譜」という月刊誌『世界』二月号の宮前ゆかり氏の記事を再読中。

2017年1月13日 (金)

ハラール認証によるテロ活動に対するクラウド・ファンディング

Wayne MADSEN
2017年1月8日

サウジアラビア、カタール、クウェート、アラブ首長国連邦とバーレーンのワッハーブ派政府、王家や大手企業が、シリア、イラクや世界中の国々の聖戦テロリストに、直接資金提供していることは良く知られているが、多くの消費者が、自分が、イスラム教“ハラール”(イマームが認証した)食品を購入した費用の一部が、最終的には、聖戦組織の手に入ることを知らずにいる。ハラールというのは、敬虔なイスラム教徒が食べて良いあらゆる食品のことだ。ハラール以外のあらゆるものは“ハラム”で、イスラム教徒には禁じられている。ハラムには、豚肉、血、あるいは、認められた動物の肉であっても、窒息させられたり、 なまくらな刃物で屠殺されたりしたものが含まれる。

食品や飲料メーカーが、イスラム・ハラール認証機関に、自社製品がハラールであることを認証してもらう費用を支払っている。オーストラリアのワン・ネーション党党首のポーリン・ハンソンらによれば、一部のイスラム・ハラール認証機関は、認証料による利益を、世界中でテロ攻撃に資金提供するのに使っている。2015年、クイーンズランドでの選挙運動中に、ハンソンは記者団にこう語った。“ASIO [オーストラリア保安情報機構]が、この金が、シリアや、シリアのテロに資金供給するために、ある組織経由で供給されていることを把握した”。ASIOは、この主張をすぐさま否定した。

食品をハラールだと認証するイマームの、たとえわずかな率が、利益をテロ組織に渡しているにせよ、それは可能性としては膨大な金額になりうる。マレーシアの研究では、全世界のハラール食品産業は、6000億ドルから、2.1兆ドルだと評価している。ハラール認証は、通常食品会社によって、決められた年間費用として支払われる。イマーム・ハラール認証機関に支払う世界中のあらゆる企業を考えると、これは何億ドルもの金額となる。ハラール認証機関の中には、ハラール認証制度制度によって、極めて裕福になった。ハラール認証機関は、一部では資金はイスラム教のマドラサ(学校)やモスクにしか行かないことを認めながらも、誰が寄付を受けているのかについて非常に秘密主義的だ。ところが、これらマドラサやモスクの多くが、ワッハーブ派につながっているのだ。

イスラム教徒の中には、ハラール認証は、金儲けのための詐欺に過ぎず、ハラール認証の最も滑稽な点は、犬の餌だと考えているむきもある。犬を“不潔な”動物だと宣言するまさにその同じイマームが、“不潔な”動物用の食品がハラールと認証することで、ペット食品製造業者に、喜んで、料金を請求しているのは皮肉なことだ。他のイスラム教徒には、ハラール認証制度が、ユダヤ教のコーシャ食品認定制度の一部と同様、財政的に腐敗していることを認めている。南アフリカのイスラム教当局は、コーランが、イマームが食品をハラールとして認証するのに課金するのを禁じていることを指摘して、ハラール認証業界を当惑させた。ところが、食品へのハラール“スタンプ”に対して課金するこの慣行は継続しており、場合によっては、膨大な額の現金で、間接的に、様々な聖戦集団を支援している。

歴史的に穏健派が多数のイスラム国家だったが、急激な“ワッハーブ化”を遂げているインドネシアは、ハラール認証の最終権限を、インドネシア・ウラマー評議会(MUI)にゆだねた。これに応じ、MUIは、他の23カ国のハラール認証機関を承認した。急速に国内、国外の過激ワッハーブ派聖職者の影響下に入りつつあるインドネシア政府は、インドネシア国内で販売される全ての食品をハラールとするよう要求する意向だ。この動きは、MUIにとって更にハラール認証の利益を増すこととなり、当然、インドネシアや他の国々の過激イマームもそういうことになる。

サウジアラビア政府に資金提供され、メッカに本拠を置くワッハーブ派が推進するイスラム世界連盟(MWL)が、サウジアラビアに輸出される全ての食品をハラールと認証する。MWLは、ハラール認証が、原産地国内で事前に認定されたイマームによって行われることを要求しており、これはつまり、サウジアラビアに輸出する企業は、ワッハーブ派に承認されたイマームの金庫に支払うことになる。

ハラール製品を販売するために認証料を支払うよう圧力をかけられているファーストフード・チェーンから、膨大な額のハラール認証収入が入る。2010年、フランスで二番目に大きいファーストフード・チェーン、Quickは、フランス国内の同社レストラン、22店で、ハラール食品だけの提供を開始した。この決断は、フランス全土で騒動を招いた。フランスの左翼も右翼も、ハラール食品しか提供しないQuickレストランは、あっと言う間に、聖戦士を含むイスラム教徒一味のたまり場だろうと主張して批判した。Quickが、ハラール食品を販売するために、膨大な認証料も支払っていることに気がついているフランス人は極めて少ない。2015年、アメリカのチェーン企業バーガー・キングが、Quickを買収し、Quickのハラール政策を継続するのみならず フランス、ベルギーとルクセンブルク全域の509軒のレストランで、全ての豚肉とベーコン製品を廃止すると発表した。

マクドナルド・マレーシアは、西マレーシア半島の全てのマクドナルド店舗で、ハラール・バースデー・ケーキだけを認めるよう要求している。この動きは、フランスでのQuickやバーガー・キングの場合と同様、お客に、ハラール・メニューのみを提供するというマクドナルドの政策と一致している。

住民の大多数がイスラム教徒ではない東マレーシアのサラワク州政府は、マクドナルド店舗によるこの動きを、サラワク州のテントに鼻を突っ込む“ハラール・ラクダ”と見ている。アデナン・サテム州政府首相は、半島での動きを“サラワク州の多文化、多宗教社会”を侮辱するものだと批判した。首相広報官マイケル・ティアンは“もし、マクドナルド・マレーシアが、同じ政策を、サラワク州内のファーストフード店舗に適用するようなことがあれば、イスラム教徒でない消費者は、このファーストフード・チェーンをボイコットすることになるかも知れないと思う”とボルネオ・ポスト紙に語った。2016年6月、マクドナルド・マレーシアは、“チーズ入りクォーター・パンウダー”メニューの提供を中止して、イスラム教ハラール過激派の圧力に屈したと非難された。

州のイスラム教徒でない住民、特に学齢のこどもを、ワッハーブ派が改宗させようとしているのを十分承知しているティアン広報官は、マレーシア政府や、ワッハーブ主義者や、マクドナルドに対し、“このような調和を維持するため、過激派、宗教上の偏見に固まった連中や、人種差別主義者に対し、州政府は全く容赦せず、彼らが州に入るのを禁じている”と警告した。サラワク州政府と大衆の激怒に対し、マクドナルドは、マレーシア半島内の店舗でのハラール認証ケーキに対する要求は、クアラルンプールを本拠とする、ハラール認証を行う、ワッハーブ派とつながっている組織、イスラム開発局(JAKIM)によるものであることを明らかにした。JAKIMは、ワッハーブ派イスラム教を東マレーシアのサラワク州とサバ州中に広めることを狙った計画の中心だ。

JAKIMは、イスラムの敵と見なされるものに対する聖戦で戦うため「イラクとレバントのイスラム国(ISIL)に参加したマレーシア人に対する共感を持っていると公式に述べている。JAKIMは、マレーシア人イスラム教徒は、世界中の他のイスラム教徒たちの苦難を目にした後、“礼儀”と“共感”からISILに変わったのだと述べた。

欧米商業マスコミは、過激派聖戦士の私腹を肥やす、ハラール認証機関と連中の詐欺産業に対して、全く共感している。オーストラリアのハンソンがオーストラリア政府やマスコミによって徹底的に非難されたのみならず、反ハラール活動同僚の一人、ニュー・サウス・ウェールズのキラリー・スミスは、オーストラリアの主要ハラール認証機関により、名誉毀損のかどで訴えられた。サウジアラビアと、首長国に支援されたハラール業界は、批判者に対しては冷酷だ。南オーストラリアのフルリオ・ミルク社が、1000ドルのハラール認証費支払いを止めると決定した際、エミレーツ航空は、オーストラリア発の同社便に対し、同社がヨーグルトを提供する年間50,000ドルの契約を停止した。事業上の損失は、その費用がテロ支援に利用されるかも知れないと大衆に思われるより良いと同社は述べた。

ハラール認証機関とワッハーブ派聖戦士間のつながりが、世界中で広く知られるようになるにつれ、自分が金持ちになるのみならず、その過程で、聖戦士の私腹もこやす方法を発見したイスラム教詐欺師をなだめることに、大衆は飽き飽きし始めている。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/01/08/crowdfunding-terrorism-through-halal-certifications.html
----------

「マレーシア Halal 制度の概要 - 食品産業海外事業活動支援センター」という文書をちらりとみた。

JAKIMと、過激派で検索してみたが、筆者のいう擁護はみあたらない。探し方が悪いのだろうか。逆に、非難をする記事は見つかる。

そこで連想、あるいは妄想。

百円ショップでの購入、某組織に対するクラウド・ファンディングではと購入しながら思う。

神社でのお賽銭、ファシズム政治団体に対するクラウド・ファンディングではと思うようになり、最近やめている。

極致は、視聴料なるものでは? 洗脳組織に対するクラウド・ファンディング?

平成の眠りを覚ますツイッターたった4行で夜も眠れず

属国は、永遠にむしりとられ続ける。自動車、基地経費。基地経費、そもそも日本が払いすぎ。やがて、TPPを越える米日FTAが締結されて、属国経済も文化も完全壊滅する。

「惨劇の虚人」殺人事件詳細をいくら知っても、庶民の生活を良くする糧にはならない。
大本営広報部こぞって、愚劣な覗き趣味に走るわけもない。
共謀罪を成立させるための目くらまし。そもそも去年の8月の事件。
めくらましに使う隠し玉を用意しておき、タイミングを見て上演する茶番。大本営広報部は、決して、地位協定や、TPPを越える米日FTAや、共謀罪の本質を本気で報道することはない。それを隠蔽することがお仕事。

韓国からの大使召還も、狭隘民族主義をあおるだけ。本来無理な不可逆的合意の押しつけ。分かっていて火に油を注ぐ確信犯。再度、宗主国がしゃしゃりでてきたところで、円満に決着する可能性皆無。

2017年1月12日 (木)

ドイツ政府はアメリカ政府に支配されているとドイツ唯一の独立新聞

Eric ZUESSE
2017年1月4日
Strategic Culture Foundation

アメリカCIA(今ドイツ‘ニュース’メディアに対する支配を強化しつつある)と果敢に戦い、また、かつてCIAに服従したことを公式に告白、非難し、そのようなことを報じたかどで、今やドイツ’ニュース’メディアから、のけものにされている、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンク元編集者の著書の販売促進を支援しているメディアDeutsche Wirtschafts Nachrichten (DWN)、翻訳すれば、ドイツ経済ニュース、つまりオンラインのドイツ人向け日刊ニュース・サービスが、独立を維持するため、とうとう有料購読化する。有料化に踏み切った理由は、支配体制側 ’ニュース’メディアによる財政的圧力によるもので、さもなくば、サービスを完全に停止せざるを得ないとDWN新聞は主張している。

アメリカ帝国の前哨地としてのドイツでは、帝国の中心、アメリカでそうしているのと同様、ドイツの‘ニュース’メディアが‘偽ニュース’を粉砕しようとしている。

以下は、ドイツ経済ニュースの声明を私が翻訳したものだ。

弊社を代表して

ドイツ・ラジオが、DWNを誹謗している。我々をご支援願いたい!

ドイツ経済ニュース|  発表日時:2016年12月29日 01:08

Deutschlandradioが、巧妙な偽造で、DWNを誹謗しようとしている。購読により、DWNの独立をご支援願いたい。

読者の皆様

今後は、ドイツ経済ニュースの記事三本のみ購読無料で、他の記事は、月7.99ユーロ[現時点では約8ドル][あるいは年間80ドル]の購読をして頂いた後でのみ、お読みいただけることになる。読者は何の義務を負うこともなく、いつでも購読は解約可能だ。

有料購読化の出だしの成功から、読者の皆様が我々を支援しようとされているのは明らかだ。我々は即座に最初のスポンサーを獲得した。多数の読者が明らかに購読価格を越える寄付までしてくださっている。皆様に大いにお礼申し上げる!

有料化が必要になったのは、ドイツ・メディア市場が公共放送局の強大な影響力によってゆがめられているためだ。納税者による税金の予算から、公共放送局は年間予算80億ユーロを得ている。最近、DWNは、視聴料が[ドイツ・ラジオの]番組[サービス]に使われているだけでなく、他のメディアを非難するのにも使われているという事実に留意せざるを得なくなった。ドイツ・ラジオが無批判に報じた、Scholz & Friends社員による、無数のウェブサイト・ポイコットの呼びかけ記事で、ドイツ・ラジオは、DWNを非難した。はなはだしく、ぎごちないやり方ではあるが。ドイツ・ラジオは、DWNを誹謗するため、引用を極めて大胆に改竄した。これに応え、我々は、ドイツ・ラジオに対する法的措置をとり、彼らが捏造を広めるのを禁じるべく、ベルリン地方裁判所による250,000.00ユーロまでの罰金がかかる仮差し止め請求をした。

状況は奇怪だ。放送料金が引用を偽造するために利用されているのだ。DWNの広告業界に関する報道に対する、公共放送局のこの種の行動は、極めて脅迫的なものとなりうる。

フェイスブックが、批評を載せる自立メディアの経済基盤を急速に破壊しているので、状況は。フェイスブックやグーグルなどのアメリカのネット基盤は、古典的な広告モデルを大幅に覆してしまった。これにはいくつかの理由がある。

アメリカ企業は、オンライン広告の成長を既に最大限に活用している。フェイスブックとグーグルは、広告と記事とを区別しない。連中の不可解な“アルゴリズム”システムのおかげで、彼らは好き放題に読者をあやつり、自らを、多くの商業的、政治的に関心を持つ当事者に、“広告プラットフォーム”として提供することが可能だ。これは多くの企業にとって恩恵がある。彼らは一見怪しくは見えない書き込みの中に広告メッセージを隠すことができるし、グーグル検索結果をあやつることもできる。公共放送局は、これも大いに利用している。事実上、これはつまり、公共メディア[ドイツ政府メディア]が、検索結果で、独立メディア[結果的に大いに被害を受ける]よりも上位に表示されるようにするため、ドイツの視聴料が、アメリカ企業に流れるということだ。

もう一つの傾向は、広告で買われているメディアが、純粋な報道メディアと直接競合することだ。広告代理店のWPPは、アメリカの雑誌Viceに登録している。その結果、WPPは、広告主を、彼ら自身の“商品”に向け直すことが可能になる。一方、WPPは、最近、従業員の一人が、Henryk Broderや、Roland Tichyなどの評論ウェブサイトを非難して、評判を下げた広告代理店Scholz & Friendsの親会社だ。Broderは、かなりの売り上げを失ったと言われている。

多くの[こうした]代替メディアのビジネス・モデルは、DWNにとっては問題外だ。彼らは記事を、書籍、雑誌、イベントや政治活動の販促手段として売ることで、資金を調達しているのだ。多くの[‘非営利’] NGOも、彼らの中核事業、つまり政治キャンペーン[プロパガンダ]を推進するために、報道的な記事を載せているようだ。

ツィッターやフェイスブックやグーグルは、偽情報や巧みな情報操作のためのあらゆる類の可能性を提供している。諜報機関、ロビイスト、政党、大企業、協会、国や、投機家連中が、一見有益情報風ながら、その実、むきだしの操作として機能するアカウントを運営している。企業が、一見“報道”風チャンネルによって、商業利益を得る場を造るのが今は容易なので、このモデルは、古典的広告モデルをも破壊する。

この進展により、あらゆる批評報道商品全体で、オンライン広告が劇的に減少している。広告主にとって、非公然チャンネル経由で聴衆に呼びかける方が、より安く効率的なのだ。

主要な疑問をめぐるこうした全ての状況は、メディアによってもたらされており、DWNだけの問題ではない。我々の申し出に需要はあるのか? 我々は、この問題を率直に皆様に問いかける。読者の皆様: 読者の皆様こそ、具体的に、きわめて重要な、かつ完全に自立して報じるメディアとしてのDWNの今後の成功に本当に関心をお持ちの唯一の市民だ。上記のPRや、情報操作専門家や偽情報の影響力の背景から、批判的で、自立した報道は一層複雑になっている。金融分野のあらゆる重要な文書は英語だ。大半のEU新聞は、EU-英語だ。アラビア語とトルコ語の原典が読めて初めて、シリア戦争について報じることが可能になるのです。根拠の確かなヨーロッパ報道をするには、27カ国語を修得せねばならず -しかもそれだけではない。そうした言語的メッセージが本当は一体を意味しているかを正しく識別するには、こうした国々の政治的、文化的文脈に詳しいチームも必要なのだ。

こうした経費は、通常、広告も政治的支援もないような分野で発生する。地政学、中央銀行、天然資源、戦争、賄賂、ごまかしや、巧妙な操作に関する調査や記事に一体誰が進んで費用を払うだろう? DWNの中核事業は事業と政治の接点にある、まさにこうした問題なのだ。我々は問題のない[安全で論争対象にならないような]話題は扱わない。

我々は現時点で、大いに率直でありたいと思う。DWNの将来を保障できるのは、皆様だけ、読者だけだ。これは、我々がその結果に従う、一種の読者投票なのだ。DWNは、月7.99ユーロ支払うに値するかを読者の皆様に問う。結果は隠し立てしない。これは市場経済という性格のもので、投票の結果を受け入れるか否かを我々が勝手に決められるわけではない。もし十分な数の購読者がおられなければ、DWNのための市場もない。とは言え、もし十分な数の読者が、ドイツにおける重要な声として、DWNを支持してくだされば、我々は、皆様の購読によって、力強くこの声をあげる立場にたてる。民主主義には、自由で買収できないメディアが必要だ。他の代案は存在しない。

皆様の支持を心からお願いする。

編集部

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/01/04/germany-only-independent-newspaper-germany-govt-controlled-us-govt.html
----------
自立したメディアの困難さ、日本も、ドイツも似ているもののようだ。

記事冒頭にある、CIAにあわせて記事を書いたと告白したフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンクの編集者に関する記事としては、例えば下記を訳してある。

“ドイツ政治家はアメリカ傀儡”ドイツ人ジャーナリストはアメリカ支持記事を書くよう強いられている 2014年11月10日

“大手マスコミの主立った連中は皆CIAの手の者”2014年10月24日

ロバート・マクチェズニー『資本主義がインターネットを民主主義の敵にする』について語る 2013年7月12日 の中で、マクチェズニー教授はこうおっしゃっている。

この国は途方もない人数の有能な人があふれています。この国は有能な人に満ちています。ここで不足しているのは、彼らを支える資金です。素晴らしいメディアの仕事をしている沢山の人々がいる事実は嬉しいことですが、彼らがきちんと食べられるようになって欲しいと思います。家族を持てるようになって欲しいものです。彼らの頭上には屋根があって欲しいですし、昼間の別の仕事や家事の残り時間で、ジャナーリズム活動をするというようなことを無くしたいものです。子供達を寝かせ着けた後、家を掃除し、会社での仕事に行くべく目覚めるよう床につく前、夜11:00に作業する人々が、報道や文化を担っていては、自由な社会は築けません。資金の保障がなければいけません。我々に必要な良いもの、文化、ジャーナリズムを生み出すことが出来る人々が、まともな報酬を得られるようにすべきです。

昨日の退任演説報道で、大本営広報部、官報であれ、民報であさ、太鼓持ちの面目躍如。絶賛呆導。見ているこちらが恥ずかしい。

一方で、2009年1月24日に、大本営広報ヨイショと全く違う下記記事を書いていたジャーナリストもおられる。

おめでたすぎる

オバマ大統領への支持率89.7%――期待したいことは?

ブッシュと比較して、平和主義者であるかのように持ち上げられているが、それは虚像。持ち上げられすぎ。 
しょせんは、世界一の好戦国アメリカの大統領。イラクからは兵をひいても、アフガンには兵を増やす。

圧倒的な戦力でパレスチナの一般民衆を虐殺したイスラエルをたしなめることもなく、逆にハマスを激しく非難、イスラエルの一方的な支持を、就任早々、国務省で明言。 

黒人初の大統領だからっといって、本質はなーんにも変わってない。アメリカの暴力的な体質、異常なまでのイスラエルびいきの姿勢に、何の変化もありはしない。 

オバマが、就任演説で繰り返し、宗教的な使命のように語った自由とは何か、いったい誰の自由なのか。 

ユダヤ人の自由、資本家の自由、米軍が民間人まで殺戮する自由……それから???? 

少なくとも、パレスチナ人の自由ではない。 

オバマのカリスマ性も、魅力も認める。だが、しょせんはアメリカの大統領。甘い幻想を抱くべきではないだろう。 

いずれ、化けの皮ははがれる。 

必ず、だ。

岩上安身オフタイムブログ ポタリング日和(2009年1月24日)

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

2017年1月11日 (水)

『アイ・イン・ザ・スカイ』: リベラル対テロ戦争

Joanne Laurier
2016年3月31日

ギャヴィン・フッド監督; ガイ・ヒバート脚本

『アイ・イン・ザ・スカイ』は、イギリスとアメリカの高官連中がケニヤ、ナイロビでの無人機攻撃の結果を比較考量する政治・軍事スリラーだ。南アフリカ生まれの映画制作者ギャヴィン・フッド(『ツォツィ』、2005年、『レンディション』、2007年)が監督した、残念ながら、甚だしく、でっちあげられた、ありそうもない一連の環境に基づくテンポの速い映画だ。

映画の主人公は、いずれもソマリアの聖戦士集団アル・シャバーブの主要メンバーである過激派イギリス人女性と、その夫を追跡するイギリス軍の厳格な諜報将校キャサリン・パウエル大佐(ヘレン・ミレン)だ。南イングランドの軍事基地で、パウエルは、アメリカ無人機のカメラ映像を通して、この二人のイスラム主義の人物がナイロビに到着し、武装反政府派がパトロールしている貧しい人口の多い地域にある家に移送される途中であるのを把握する。


『アイ・イン・ザ・スカイ』のヘレン・ミレン

ケニア諜報機関が操縦するサイボーグ昆虫-小型監視装置が、自爆攻撃任務に備えるテロリストの画像を送ってくると、パウエルは、命令を“捕獲”から“殺害”に格上げしたいと思うようになる。

ミサイル攻撃を是非とも要求したいとは思うものの、ロンドンで、様々な政府閣僚や法律顧問と一緒の部屋で観察している上司のフランク・ベンソン中将(アラン・リックマン最後の映画出演)の承認を得なければならない。イギリス外務大臣(イアン・グレン)は、シンガポールで開催されている武器見本市に参加している。

一方、ネヴァダ州のアメリカ空軍基地では、攻撃による巻き添え被害を懸念する二人の若いアメリカ人の無人機パイロットが、パウエルの決断を恐る恐る待っている。北京で中国高官と卓球をしているアメリカ国務長官も、アメリカ政府法律顧問も、アメリカ国民一人とイギリス国民二人がいるにもかかわらず、(少なくとも)“標的”破壊を受け入れるのに協力的だ。

主な障害は、標的の家の近くで、パンを売っている可愛いケニアの少女アリア(アイシャ・タコウ)だ。シンガポールで、外務大臣は、自爆犯が多数の人々を殺害するのを放置されれば、イギリスにとって、広報活動上有利になるが、もし軍が、住宅を殲滅して、子供を負傷させたり、殺害したりし、特に、もし作戦映像が、ウイキリークスの類のメディアで公表されるようなことになれば-広報活動上の大惨事になると考える。

それにもかかわらず、より冷酷な発想がまさる …

『アイ・イン・ザ・スカイ』では、才能ある俳優たち(やコリン・ファースなどのプロデューサーたち)が説得力を与えており、その条件を基盤にしたそれなりに良く構成された映画だ。とはいえ、問題は、まさにこの“条件”つまり、何よりも“対テロ戦争”の正当性だ。そこで、そのような演技力も、ほとんどデマ宣伝の見かけを良くするの役立っているだけだ。


アラン・リックマン

現実の偽りの表現には、重要な筋書きの仕掛けが必要になる。映画制作者たちは、自爆犯を逮捕する可能性を早々に排除している。一体なぜだろう? 連中の人数はごくわずかで、彼らはビデオ制作や、ベストに爆発物を付けるのに時間をかけている。これがケニア警察の問題以上のものになるべき理由はないのだ。

ところが、過去15年間ほど“対テロ戦争”の提唱者が活用してきた脅し作戦シナリオに沿って、ヒステリーの雰囲気がでっちあげられる。2005年に、例えば、極右コラムニストのチャールズ・クラウトハマーが、ウイークリー・スタンダードに、拷問を正当化するため、以下の状況を設定して書いている。“あるテロリストが、ニューヨーク市に核爆弾を仕掛けた。それは一時間で、爆発する。百万人が死ぬことになる。あなたは、テロリストを逮捕する。彼は核爆弾をしかけた場所を知っている。彼は口を割ろうとしない。 … この男の親指を縛って、つり下げれば、百万人を救う情報が得られるという考えが少しでもあった場合、そうすることは許されるだろうか? … この悪漢の親指を縛ってつり下げるのは許されるだけではない。それは道徳上の義務なのだ。”

これは全て空想だ。そのような状況には決してなったことはないし、そうなることもない。これは、政敵連中を最も残虐な手段で処分するための独裁的支配と権限が欲しくてうずうずしている連中の主張だ。

『アイ・イン・ザ・スカイ』は、もちろん、そのように見なしているわけではない。とは言え、主題はほとんどイカサマに近い。このように強調された劇的状況は、思考を停止させ、パブロフの条件反射にそって、神経系を活動させる。しかも、可愛い無辜のケニア少女が時折登場して、緊張を高める。あらゆる点について、情報操作の匂いがする。(アンドリュー・ニコルの『ドローン・オブ・ウォー』のほうが、欠点はあるにせよ、無人機戦争に関しては、遙かに批判的な映画だ。)

映画制作者たちが決して切り出したり、たぶん考えたりしたこともない重要な問題がある。こうしたテロリスト連中は一体何者で、一体どこから来たのか? ケニヤや、東アフリカ全体の社会状態は一体どうなっているのか? 地域の歴史は一体どうなのだ? イギリスとアメリカの軍や諜報機関はそこで一体何をしているのか? 『アイ・イン・ザ・スカイ』には、歴史もなければ説明もない。

そもそも、これまでのあらゆる大規模テロ攻撃において、聖戦主義分子連中は、何らかの時点で、欧米列強や、その治安部隊とつながっていたり、あるいは、そうした治安部隊によって、あやつられていたり、極めて厳重に監視されていたりすることが明らかになっていることに留意すべきなのだ。

アル・シャバーブは、2006年に、ソマリアで出現し、2012年以来、アルカイダと正式に提携している。この組織の兵卒は、困窮した若者で満ちており、アメリカが支援するアラブ諸国政権とつながった工作員連中に率いられている。

しかも、ケニヤ政府は、アフリカの角支配を維持するというアメリカ政府の動因にとって、忠実なパートナーなあることは証明済みだ。この地域は、アフリカの新たな植民地化争奪戦の中心で、犯罪人連中が犯行現場に戻りつつあるのだ。しかも、東アフリカにおける19世紀末からの、かつての植民地宗主国の中で、最も残虐だったのはイギリス支配階級で、彼らによる、1950年代のマウマウ団の乱弾圧は、ベトナムやアルジェリアにおける残酷な戦争と同等の、帝国主義者による暴動鎮圧活動の最も悪名高いモデルの一つだ。

キャロライン・エルキンズの『イギリス強制収容所: ケニヤにおける帝国の残虐な終焉』によれば、イギリス植民地政府は、膨大な人数の人々を、収容所に拘留したり、鉄条網で包囲した村々に閉じ込めたりした。“1952年から、1960年の終戦までに、十万人あるいは、それ以上の拘留者が、疲労、病気、飢餓や、組織的な、肉体への残虐行為などの組み合わさった効果で亡くなった。”

南アフリカ出身の監督が一体どうして、まさに元植民地だった国における重大な政治的危機を、この最近の歴史にふれずに、本気で扱うことが可能なのだろう? 一体なぜ、フッドは、多数のイギリス高官が、ケニア国民に対して、実に繊細な、公平な態度で振る舞っているように、さりげない顔で描き出すことが可能なのだろう?


『アイ・イン・ザ・スカイ』

ほぼ必然的に、この知的屈伏度合いからして、映画制作者たちは、権力者、アメリカとイギリスの政治支配層、グローバル・テロの主要源の視点を採用する結果になっている。

映画制作者たちは、一定の反対の姿勢を示してはいる。それは偽善的な意思表示ではないかも知れないが、弱々しい。『アイ・イン・ザ・スカイ』には、アリアを殺害したり、四肢を損なったりする善悪についての長い議論場面がある。(これは、中東、中央アジアやアフリカにおいて、欧米列強が行っている破壊の程度からして、空想的なものに見える。) 更に、アメリカやイギリスの様々な政府高官も、魅力的には描かれていないが、新米無人機パイロットたちは良心があるように描かれている。(本当らかく思えるのは、意志決定者が、連中の戦争犯罪が暴露される可能性について感じることへの理解だが、フッドは、どちらかと言えば、人道主義へと転換している。) 最後の映像は、、パウエル大佐の冷酷さ同様、たぶん心をかき乱すことを狙っているのだろう。だが、これは、さほどのものではない。

あるインタビューで、監督はこう主張している。“ガイ[ガイ・ヒバート]の脚本が巧みに取り上げた疑問は事実に裏付けられており、彼は政策立案者、弁護士、軍、人権団体の中で行われている議論は追っていません。 … この映画が、謎めいた主題に見えるものを一般人に伝え、それを解明するよう願っています。”

これは全く真実ではない。問題は、映画制作者たちが、グローバル・ブルジョア連中のリベラル世論に余りに一体化しており、『アイ・イン・ザ・スカイ』を最初から最後まで、形成し、暖かく包み込む一連の悪質な想定を、彼らの出発点として受け入れていることなのだ。

記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2016/03/31/eyei-m31.html
----------

小生、この映画見ていない。見る予定もない。見たいと思っているのは『この世界の片隅に』。

無人機に関連する記事をいくつか訳したことがある。下記はその一例。

こうした映画、決まって大きな構図、背景を無視する。他の映画の例はたとえば下記。

人ごとではない。千里の道も一歩から。

沖縄の基地問題をとりあげたがゆえに、官僚に騙され、ひきずりおろされた元首相の最新インタビュー。

2017年1月10日 (火)

真実に対するクーデター

Paul Craig Roberts
2017年1月5日

ジョン・ラポポートによるアメリカ売女マスコミに対するからかいは鮮やかだ。

“ウラジーミル・プーチンは秘密のアメリカ大統領だ。

“そう。その通り。アメリカは今やソ連だ。もう全ておしまいだ。トランプはプーチンから命令を受ける共産主義者だ。トランプは赤だ。もともとそういう企みだったのだ。彼は億万長者の共産主義者だ。”

からかいは効果的だが、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズやCNNや本物ジャーナリストのふりをしている他のあらゆる売女マスコミ以上に、からかいにふさわしい対象はない。とは言え私が強調している通り、またグレン・グリーンウォルドなどの他の本物のジャーナリストも(例えばhttps://theintercept.com/2017/01/04/washpost-is-richly-rewarded-for-false-news-about-russia-threat-while-public-is-deceived/https://theintercept.com/2016/11/26/washington-post-disgracefully-promotes-a-mccarthyite-blacklist-from-a-new-hidden-and-very-shady-group/ を参照)で、売女マスコミが無責任におし広める偽ニュースが熱核戦争という脅威をもたらすことを示唆している。

ここ数年間、ロシアとロシア大統領は限りのない悪魔扱いを経験している。ロシア人は、ジョージアの南オセチア侵略(プーチンが北京オリンピックに出かけている間に行われた)はアメリカ政府が挑発したことを知っている。ロシア人は、アメリカ政府によるウクライナでのクーデター(プーチンがソチ・オリンピックに出かけている間に行われた)は、クリミアのロシアの黒海海軍基地を押さえ、ロシアを地中海から切り離すことを狙った挑発だったことを知っている。ロシア人は、ロシアがヒラリーの電子メールと、アメリカ大統領選挙をハッキングしたという主張がウソであるとアメリカ政府が分かっているのを知っている。ロシア人は“ロシアの脅威”なるものが、ポーランドとバルト三国への差し迫ったロシア侵略などのあらゆる組み合わせとともに、アメリカ政府が作り出したウソなのを知っている。ロシア人は、ロシア国境と黒海でのNATO軍事演習同様、ロシア国境上のアメリカABM基地が挑発なのを知っている。このリストに読者ご自身のリストを追加することが可能だ。

ウソは至る所にあり、一層ばかばかしいものとなり、今やアメリカ政府のCIA、行政機関や、多くのアメリカ上院議員や下院議員の間で制度化されてしまっている。欧米中で、これらのウソが、果てしないマスコミの繰り返しにより正当化されているのは、欧米諸国民が対ロシア軍事攻撃に備えさせられつつある兆候だと、ロシアから見なされている。プーチンは欧米プロパガンダが危険なほど不安定化を引き起こすと公式に何度も警告している。ところが、彼が言っている通り、誰も彼の警告には耳を傾けない。

アメリカ政府は、反ロシア・プロパガンダにひどく熱中しているので、議会は、偽ニュースを広める連中に対抗する積極的な施策を許可する条項、第5章が入った諜報法案を成立させ、オバマそれに署名したs。広める連中というのは、当サイトのように公式なウソに異議を申し立てる代替メディア・ウェブサイトだ。誠実な代替メディアが、ロシアの影響下にあると非難されるのだ。昨年夏、秘密に覆われたウェブサイトが作られ、それが最近、直接あるいは間接的にロシアの影響下にあるとされる200のウェブサイトのリストを掲載した。ワシントン・ポストは、200のウェブサイトがロシア政府のために働いているという偽ニュースを支持する長い記事を無責任にも載せた。

言い換えれば、真実の抑圧は、腐敗したアメリカ支配体制最後のとりでだ。過去24年間の三つのアメリカ政権は、9カ国あるいはそれ以上の国々で、何百万人の人々と、アメリカの市民的自由を圧殺した。こうした途方もない前代未聞の犯罪を隠蔽するため、売女マスコミはウソをつき、中傷し、謗るのだ。

それを、アメリカの犯罪政権は、世界に対し、民主主義、人権、真実と正義の必要欠くべからざる保護者だと自らを持ち上げている。最近、ロシア外務省広報官が述べた通り、アメリカを例外的にしているのは、悪を助けるための武力行使なのだ。

アメリカ政府は、ロシアの悪魔化で、十分国民を怯えさせているのだから、アメリカ人 は真実を語る人々に背を向けるだろうと期待して、反対者のみならず、真実を語るあらゆる人々に“ロシアの手先”とレッテルを貼っている。

CIA長官が、公式にドナルド・トランプ当選を、ロシアによる干渉のせいにしながら、実際、全く逆の決定的証拠を前に、一片の証拠も提出できないような、危ない橋を渡るまでになっているのは、支配体制が、いかなる代償を払ってでも、権力に固執するとかたく決めているからだということは、無頓着な連中にとってさえ明らかなように思える。

次期大統領に対する、CIAによる、あからさまで、はなはだしい空前のプロパガンダ攻撃のせいで、トランプは、CIA長官ジョン・ブレナンに挑戦することとなった。トランプは、この諜報機関を、改革し、再編するつもりだといううわさがある。これを言った最後の大統領ジョン・F・ケネディは、連中を攻撃する前に、CIAによって殺害された。ケネディは、再選されるまでは、CIAと戦えないと思い込んでいた。この遅れが、CIAに彼の暗殺を準備する時間を与えたのだ。

トランプは、身の危険を理解しているように見える。彼は、シークレット・サービス護衛(彼らはJFKに反逆した)に、私的警備員を追加するつもりだと発言している。

大変なことではあるまいか? ロシア大統領は公式に、アメリカ政府は世界を熱核戦争に追いやりつつあると語ったのに、彼の警告は無視されている。アメリカ合州国次期大統領は、CIAにより全面攻撃されており、公式護衛部隊を信じることができないのを知っている。これらの並外れた話題こそ、議論されるているべきのものだと思うむきもあろう。ところが、そのような論議は、PropOrNotとワシントン・ポストによって“ロシアの影響を受けている”とレッテルを貼られた当ウェブのように、ごく少数の代替メディア・ウェブサイトでしか行われていないのだ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/05/the-coup-against-truth-paul-craig-roberts/

----------

都知事と民進党、連携に前向き。ゆ党連合。いや代替与党連合。世も末。

電車の中吊り広告で「都議会自民党への宣戦布告」というのを見た。
小泉劇場茶番の二番煎じ。それで何度も騙される無頓着な民。

伊丹万作「戦争責任者の問題」を思い出す。

「だまされていた」という一語の持つ便利な効果におぼれて、一切の責任から解放された気でいる多くの人々の安易きわまる態度を見るとき、私は日本国民の将来に対して暗澹たる不安を感ぜざるを得ない。

「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによつてだまされ始めているにちがいないのである。

『日本会議の研究』が出版差し止めになった不当判決を批判した「大手マスコミ」あるのだろうか。印刷媒体なり、電気洗脳局なり。

ところが、そのような論議は、PropOrNotとワシントン・ポストによって“ロシアの影響を受けている”とレッテルを貼られた当ウェブのように、ごく少数の代替メディア・ウェブサイトでしか行われていないのだ。

これも、真実に対するクーデター。司法なる組織が、一体どういう機能を果たしているのか、はっきりと教えてくれる実例。

大本営広報部呆導はみず、大相撲、歌番組と、酒場めぐりをながめている。

2017年1月 9日 (月)

ジョージ・ソロスの世界が崩壊しつつある中、自分以外のあらゆる人々のせいにする彼

Bryan MacDonald
RT
公開日時: 2017年1月7日 16:30

ジョージ・ソロスの作り出した世界は崩壊しつつあある中、彼は自分以外のあらゆる人々のせいにしている。


ヘッジ・ファンド・マネージャー、ジョージ・ソロス ©  Jonathan Ernst / ロイター

ヨーロッパと北アメリカ全域で、何十年も政治をかき回してきたハンガリー生まれの億万長者ジョージ・ソロスは怒っている。彼がそのために活動してきた世界が崩壊しつつあり、彼は今、非難すべき指導者たちを捜すのにおおわらわだ。

ソロスによれば、欧米世界至る所で、リベラルな民主主義は駄目になりつつある。どうやら、これは、彼が“開かれた社会”と呼ぶものが危機に瀕しているためのようだ。彼のこの見方は正しいのかも知れないが、その責任をアンゲラ・メルケルに負わせるのは、いささか突飛に思える。特に彼女がうっかりして、ウラジーミル・プーチンと組んでいると描き出すのは。ところが、それにもかかわらず、有権者が現在の民主主義に幻滅するようさせたことで、最も罪が重いと彼が見なしているのは、ドイツ首相だ。

広く掲載される新年論説の文章で、ソロスは、現在のヨーロッパ危機を、2008年の金融崩壊にまでさかのぼっている。“ヨーロッパにおいて、ドイツは覇権国家として台頭したのに、成功した覇権国が果たさねばならない義務、つまり自分たちの狭い私利だけでなく、 彼らに頼っている人々の利益までも思い描くという期待に応えそこねている”ことを彼は慨嘆している。

彼はさらに、1940年代を回顧している。“第二次世界大戦後のアメリカの振る舞いと、2008年金融崩壊後のドイツの振る舞いとを比較願いたい”と彼は言う。“アメリカは、マーシャル・プランを立ち上げ、それがEUの発展をもたらした。ドイツは、狭隘な私利に役立つ緊縮政策を課した。”

これはベルリンにとって、余りに不公平だ。マーシャル・プランは、人類が経験したものの中で最も破壊的な戦争の後のことで、アメリカは純粋な慈善を実行していたわけではないという違いがある。アメリカは、ヨーロッパ丸ごと共産主義になるのを恐れて、むきだしの私利のために行動していたのだ。マルクス主義のモスクワが、戦争勝利のために協力してはいたが、ソ連とアメリカが、当時の新世界秩序における、世界覇権のために競合することになるだろうことは十分はっきりしていた。だから、アメリカは、ソ連に対する緩衝地帯を作り出し、自らの保身に必要になるだろう同盟諸国を強化し、自らが推進する資本主義体制の維持のために動いていたのだ。

2008年のドイツの状況は、いささか異なっていた。ベルリンは世界的超大国となることを目指してはおらず、国民もそれを求めてはいなかった。また、ここには、国々は分相応に生きるべきだという信念以外、なんのイデオロギーもからんでいなかった。しかも、ドイツは、金のかかる再統一を最近なし遂げたばかりで、経済は、十年間の不景気の後、ようやく成長回復を始めるところだった。2008年、平均的なドイツ人は、ヨーロッパの覇権大国になろうなどとは、心にも思っていなかった。

ソロスの対ドイツ攻撃は、おそらく、メルケルに、更なるヨーロッパ統合を推進するという強い意思が欠けていることを巡る個人的ないらだちから出ているのだ。しかしながら、この政策は、単にドイツ有権者が望んでいることの反映に過ぎない。吝嗇なドイツ人は、浪費家の南ヨーロッパ人に対する財政的支援に賛成できなかった。その結果、メルケルの前任者、ヘルムート・コールが、基本的に、フランスによって無理やり引き込まれたユーロ通貨プロジェクトの長期的な未来は、常に疑わしいものとなってしまった。

彼にとって一体どんな利点があるのか?

ソロスの経歴(多くの人が疑問に思っている)を信じるなら、彼はリベラルな民主主義を、全く妥当な理由で推している。“人生における人格形成期の経験は、1944年のヒトラー・ドイツによるハンガリー占領だ”と彼は書いている。もちろん後に、この政権は、1947年に、彼がブダペストから逃れる前に、全体主義的な共産主義体制によって置き換えられる。

論説で、ソロスは、イギリスとアメリカ合州国での彼の経験から“オープンな社会”が国民の安全を保障する唯一のものであることを学んだと言っている。実際、このハンガリー人が、言っていることは正しいのかも知れない。しかしながら、彼がずっと理解し損ねているのは、一体なぜ一部の国々は、彼が奉じる類の自由主義を受け入れる状態にないのかということが。

彼が何百ドルも、ウクライナの親欧米運動に注ぎこんだのを思い出そう。隣国ハンガリーで生まれ育った人物なら、ウクライナがいかに分裂しているか、そして自分の行動が混乱を招きかねないことを十分知っているべきだった。特に、ハンガリー語が話し言葉であることが多いウクライナ南西部に、彼の祖国も関係があることを考えれば。ところが、彼はそのまま進め、彼の行動は、ウクライナ破壊を推進することとなった。

億万長者は今こう言っている。“(有権者が、グローバリゼーション/新自由主義を拒否したことへの)私が思いつく唯一の説明は、選ばれた指導者たちが、有権者の正当な期待や切望に沿い損ね、この失敗のおかげで、有権者が、支配的な形の民主主義と資本主義に幻滅したということが。簡単に言えば、多くの人々が、エリートが、彼らの民主主義を盗み取ったと感じたのだ。”

そう、これは本当にジョージ・ソロスが書いたものだ。毎年ダボスに出席しているあのジョージ・ソロスだ。もし読者が、エリートと庶民とが最も分離する場所の象徴を探しておられるなら、それは、おそらく、スイス山中の共同体での年次世界経済フォーラムなのだから。世界支配者たちが、ヨーロッパで一番標高の高い街(1,560メートル)から我々ただの人々を見下ろすのだ。

苦悩するアンゲラ

ところが、ソロスはそこで、責任の大部分を、決してダボス応援団などではなかった人物に負わせることに決めている。メルケルだ。しかも彼は、EUそのものの終焉まで予言している。

“経済成長が停滞し、難民危機が手に負えなくなって、EUは崩壊の瀬戸際にあり、ソ連1990年始めのものと良く似た経験をすることになっている。”

EUに差し迫っている運命の理由は、明らかに、ドイツ、オランダ、イタリアとフランスにおける競争が鍵となる2017年という選挙周期だ。ソロスによれば、フランスの“二人の主要候補[マリーヌ・ルペンとフランソワ・フィヨン]はプーチンに近く、彼と宥和したがっている”。

そこで、とうとうプーチンだ。もしルペンかフィヨンが勝てば“プーチンによるヨーロッパ支配は既成事実になる”と、ソロスは感じている。

彼はこう書いている。“開かれた社会のそれとは相いれない政府の概念を持ったロシアのウラジーミル・プーチン大統領の影響下に入る危機にあるEUの運命がとりわけ心配だ。”

それは“プーチンは最近の進展の受動的な受益者ではない。彼はこういうことを実現すべく猛烈に働いたのだ”からだ。

簡単に言えば、プーチンがどうにか、フランス選挙をフィヨンとルペンとの争いとなるよう(これは、まだ決まってはいない)画策しようとしたという考え方は荒唐無稽だ。だがここは、ソロスが現在暮らすトラウマに満ちた世界なのだ。更に彼は、もう一つのばかばかしい発言までしている。

“妙手で、彼[プーチン]は、ソーシャル・メディア企業のビジネス・モデルを駆使して、偽情報と偽ニュースを広め、有権者を混乱させ、民主主義を不安定化した。このようにして、彼はトランプが当選するのを支援したのだ。”

言い換えれば、ソロスは、アメリカ選挙で、トランプを当選させるよう、プーチンが、フェイスブックと、ツィッターをあやつったと考えているのだ。

この主張はばかげており、ソロスを愚かに見せてしまう。彼とは反対の民主的決定がいくつかなされてしまったがゆえに、彼が大騒ぎをしても注目されずにいることも示している。そこで、自分に降りかかるあらゆる非難をさせるため、彼としては、メルケルをけなし、プーチンを怪物役として利用する必要があったわけだ。

しかし、ここで現実を見てみよう。ソロスはジョージ・W・ブッシュ大統領に強烈に反対した。彼は‘ムーブ・オン’プロジェクトに資金提供し、何百万ドル何百万ドルもの金を民主党に投入した。彼によるこの干渉は、民主党議員たちが労働者階級基盤から離れるのを促進し、民主党をグローバル主義者の政党へと変身させ、今や沿岸大都市地域でしか勝てないようにしてしまった。これまでのような大量の資金集め活動の必要性がなくなり、左翼はソロスの資金を‘アイデンティティ政治'に注力するのに使い、それで白人労働者階級を遠ざけてしまった。そして、まさにこのブルーカラー集団が、今秋圧倒的に、トランプに投票したのだ。

皮肉にも、ソロスは、ダボスで、トランプが大統領に選出される可能性は皆無だと予言していた。だから彼は間違っていたのだ。現在、彼は現実と折り合いがつけらないように見える。たぶん、自分の一生の仕事が駄目になりつつあると彼は感じているためだ。

ブライアン・マクドナルドは、ロシアを本拠とする、アイルランド人ジャーナリスト。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/372921-soros-eu-democracy-putin-merkel/
----------
ご本人が、来日し、「要人」に会っていたと知ってびっくり。この人に関する記事、いくつも翻訳していたので、項目をたてた。まとめてお読みいただければ、ひととなりや、支配構造の仕組み理解のご参考になるかも知れない。

会っていた「要人」の顔ぶれをみて、やはりと納得。庶民に甘言をかたり、利用する皆様?

大本営広報部が、彼の来日に関して、何か報じたのかどうか、全く知らない。

小生、ソーシャル・メディアで、この原文を参照して、彼の訪日を揶揄する評論家の方のコメントを拝読して知った。

今日の日刊IWJガイドでは、さすがにしっかり触れておられるので、引用させていただこう。

 さらに、日本側には、元朝日新聞主筆で、財団法人日本再建イニシアティブ(RJIF)の理事長を務める船橋洋一氏が同席したといいます。

 船橋氏は、主筆時代の2009年に、ソロス氏が住宅バブルとそれを生み出した米国の超緩和金融政策の危険に警告を発していたとして賞賛していました。

・[第3回] ダボス会議からの報告 ここは世界のアジェンダ設定の「闘技場」だ。ソフトパワーとは物語の力である(Meets Japan、2009年2月2日)
http://globe.asahi.com/meetsjapan/090202/01_01.html

 船橋氏については、12月26日に岩上さんがインタビューをした、元朝日新聞記者の小笠原みどり氏が痛烈に批判をしています。ぜひ、下記の動画をご視聴ください!

---------------
※スノーデン氏が暴く! 米国による巨大監視システムの実態! 岩上安身による小笠原みどり氏(元朝日新聞記者、カナダ・クイーンズ大学大学院博士課程在籍)インタビュー 2016.12.26
http://iwj.co.jp/wj/member/archives/66619
---------------

 一方、今回ソロス氏と一緒に来た元英金融サービス機構(FSA)長官のアデア・ターナー氏は、「ヘリコプターマネー」の推進論者として知られています。「ヘリコプターマネー」とは、中央銀行が発行したお金で、政府が発行した国債を直接、日銀が買い取る政策です。

 このときに発行する国債は、償還期限のない永久債なので、事実上、返済に追われることがありません。こうして政府は、返済しなくてもよい自由に使えるお金を手にして、バラマキ政策を行うことができ、デフレから脱却できる、というわけです。しかしその反面、財政や通貨の信認を揺るがすリスクが高く、ハイパーインフレを招く危険性があり、これまで「禁じ手」とされています。

・究極の経済政策? 「ヘリコプターマネー」とは (日経新聞、2016年7月15日)
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO04886200V10C16A7000000/

 異次元金融緩和、マイナス金利の導入とあらゆる金融政策を動員してなお、脱デフレに失敗してきた安倍政権。万策尽きて、とうとう手を出そうとしているのが、この「禁じ手」だというのです。

 安倍総理が以前から、この「ヘリコプターマネー」の導入を検討しているのではないかと目されていましたが、その疑いは今回のソロス氏との会談でより強まったのではないか、と思われます。ハイパーインフレに見舞われた社会、暮らし。物価は何十倍、何百倍にもなるが、賃金や年金の上昇は追いつかないという地獄の予想図。岩上さんは、ソ連崩壊後のロシアで直にハイパーインフレの猛威を自分の目で見、肌で実感してきたといいますが、皆さまは、想像がつきますか?

2017年1月 8日 (日)

シリア停戦を妨害するため、またしても歪曲報道する欧米

Finian CUNNINGHAM
2017年1月5日

アレッポを目指す戦略的な戦いに関する組織的なウソを全く恥じなかった欧米主要マスコミが、またもや同じことをしている。今回は、シリアの首都ダマスカス付近での戦闘再開に関してだ。

特に、ヨーロッパのニュース・マスコミが、ダマスカス北西の反政府戦士の拠点を奪還するため、シリア政府軍が、今や“彼らがアレッポでしたのと同様、包囲戦術”を使っていると主張している。

何カ月もかかったアレッポ奪還の戦いを巡る、先の欧米マスコミによる虚偽報道と同様、最近の報道も、現実を逆にするものだ。

シリア政府軍がダマスカス北東で作戦を行っているのは、地域が欧米が曖昧に“反政府派”と表現しているヌスラ戦線が支配する過激集団に占領されているためだ。

しかも、バラダ渓谷周辺の地域を奪還する作戦を緊急なものにしているのは、過激派が約30キロ離れた首都の主要飲料水源を汚染していることだ。ダマスカス市内の400万人の人々が、バラダ渓谷内と周辺の聖戦士連中が、ディーゼル油や他の汚染物質で、極めて重要な地下水源を汚染したとされることで、上水供給を遮断されているのだ。

だから、欧米マスコミによる歪曲と対照的に、ダマスカス全住民への飲料水を遮断するという大規模テロ行為によって、首都を包囲しようとしているのは反政府武装反抗勢力だ。

ところがヨーロッパのマスコミを何気なく読んでいる人々は、この重要な背景には気がつかない可能性が高い。実際、ニュースを見聞きする人々は、違反をして、和平への努力を損なっているのは、シリア政府軍、その延長として同盟のロシア軍だと結論しがちだ。

例えば、フランス24のあるニュース・キャスターは、今週こう述べた。“政府軍が首都近くでの攻撃を強化する中、シリア停戦は危機に瀕している”。

同様な紛らわしい見出しや歪曲がイギリスBBC、ガーディアンやデイリー・テレグラフ、フランスを本拠とするユーロニュースで使われている。(これらについての詳細は下記)

最近の全国規模の停戦は、ロシアとトルコが仲介し、先週末の国連安全保障理事会で満場一致で承認された。この進展は、シリア・アラブ軍と、ロシア、イランとレバノンという同盟者による12月末の北部の都市アレッポ解放に続くものだ。

東アレッポは、欧米が支援する過激派によって、約四年間封鎖されていた。欧米マスコミは、シリア政府軍と、ロシア空軍を、都市を“反政府派”から奪還するために無差別暴力を用いていると決まって非難していた。ところがアレッポが最終的に、政府支配下となった際、シリア軍とロシア軍のおかげでの“解放”を祝う解放された一般市民の様子から、事実は明らかだ。

後に東アレッポの集団墓地が発見され、ヌスラ戦線や他のアルカイダとつながるテロ集団に属する聖戦過激派に支配されている過激派が一般市民に押しつけていた“テロによる支配”を証明している。

かくして、“穏健反政府派”と一般市民が“残虐な”攻勢シリア軍と同盟者によって行われたとされるもので包囲されていたという欧米諸国政府やマスコミの言辞は、紛れもない欺瞞とウソであることが劇的なまでに暴露された。「アレッポは解放された。以上終わり」なのだ。いわゆる“穏健反政府派”などどこにもいなかった。テロにより東アレッポに押しつけられていた支配は、シリアにおける政権転覆という連中の犯罪的な狙いを遂行するため、欧米諸国が密かに過激派を支援することが産み出したものなのだ。

アレッポにおける戦略的勝利で、モスクワとイランに、様々な反政府戦士派閥主要スポンサーであるトルコとともに、全国規模の停戦を仲介するはずみがついた。この停戦は、今月末、カザフスタンの首都アスタナでの、バッシャール・アル・アサド大統領の政府と反政府集団との間の政治交渉を促進することを目指している。

欧米列強は先週の国連安全保障理事会で賛成はしたものの、ワシントン、ロンドンとパリは、これらの交渉から外されているという点は重要だ。

もちろん、これまでのシリア停戦同様、国際的に禁じられているテロ集団は停戦の対象ではない。そうしたテロ集団には、「イスラム国」 (IS、あるいはダーイシュ) および、ヌスラ戦線(シリア征服戦線としても知られている)がある。シリア政府軍は、ロシアとトルコが仲介した最近の停戦に調印しつつも、同時に、テロ集団を打ち破るための作戦を継続する権利を保有している。

最近の欧米マスコミ見出しの一例で、シリアに対するd歪んだ地政学的狙いが明らかになる。

イギリスのガーディアンはこう報じている。“アサド軍がバラダ渓谷の反政府派を爆撃する中、何百人もが脱出”。更にこう書いている。“全国的停戦にもかかわらず、ダマスカスに近い山岳地帯は、何日間も空爆と砲撃の標的にされている。”

ガーディアンは、ダマスカス付近の紛争で、標的にされている“反政府派”が、停戦当事者ではないヌスラ戦線テロ集団に支配されていることをぼやかしているのが目立つ。ガーディアンは、誠意のない行動をしているのは“政権”であることを示唆している。最後の一段落で、飲料水問題が報じられてはいるが、一体なぜ政府軍が制圧すると決断したのかとは無関係な些細な問題であるかのごとく遠回しなものに過ぎない。“バラダ渓谷は首都とその周辺地域の主要水源だ。政府による攻撃は、12月22日以来のダマスカスにおける深刻な水不足と同時期のものだ。反政府派が[原文通り]水源を、ディーゼル油で汚染し、首都の供給停止を強いていると政府は主張している。”

同様に、BBCはこう報じている。“反政府派[原文通り]、アスタナ交渉をボイコットすると威嚇”。更にこう続けている。“y多数の集団が署名した声明は、シリア政府による停戦への‘多くの大規模な違反’は背信だとしている”。言うまでもなく、 BBCは、これらの“反政府派”が、テロリストのヌスラ戦線とカメレオンの様な関係があることや、これら“反政府派”が首都への給水汚染に関与していることは明らかにしていない。

アレッポに関する偽の言辞の繰り返しで、イギリスのデイリー・テレグラフはこういう見出しを載せた。“一般市民が‘反政府派が占拠している[原文通り]ダマスカス近くの地域に対する樽爆弾攻撃で殺されている”。

そして、おそらく最悪の記事は、フランスを本拠とするユーロニュースによるこう報じている下記のものだ。“‘停戦が完全に実施されるまで’シリア反政府派[原文通り]和平交渉を凍結”。信じられないのだが、このマスコミは、政府軍が緊急に地域を奪還しようとしている理由である“反政府派”が首都への飲料水供給を遮断した事実に一言も触れていない。“報道”の謎めいた段落にはこうある。“主な違反は、政府軍と、イランが支援するレバノンのヒズボラが、現在続行中の作戦で、進撃しようととしている反政府派が占拠しているダマスカス北西のバラダ渓谷の地域におけるものだと言われている”。

皮肉にも、ユーロニュース社が、同社企業ウェブサイトで、以下の社是を宣言していることに留意すべきだ。“読者の皆様が、世界に関するご自分の意見をまとめられるよう、適切な量の情報を提供することが我々の義務である。”

これを一体どう理解すれば良いのだろう?

イギリスとフランス政府、そして当然両国の主要ニュース・メディアが、アサド政権打倒のための、シリアにおける政権転覆プロジェクトの主要仕出し元だ。アメリカ政府が政権転覆プロジェクトの主要立案者なのは確かだ。しかし奇妙にも、今週、アメリカ・マスコミは、シリア国内の紛争に関しては、比較的控えめだ。イギリスとフランスが歪曲を先導しているように見える。

連中は一緒になって、“残虐な政権”とその同盟国ロシアに対して戦っている“穏健反政府派”という偽りの言辞を組織的に産み出して、ヌスラ戦線のようなテロ集団で構成される違法に武装した反抗勢力のための政治的、道徳的隠れ蓑を提供しているのだ。

シリア軍と同盟国ロシアによるアレッポ解放が、欧米プロパガンダのウソを完全に暴露した。

ロシアが、全国規模の停戦を促進し、本当の和平調停を目指す政治交渉の可能性へと進んでいるので、欧米はこの動きを潰すため最善の努力をつくしているのだ。アレッポと連中の政権転覆プロジェクトの敗北巡る恨みからであることは確実だ。先週末、国連安全保障理事会で、欧米がアスタナ交渉を支持したのは、単なる空虚な広報活動演習に過ぎなかった。(自らがテロのスポンサーであるのを暴露せずに済ませるのに、賛成以外の方法があっただろうか?)

最近の停戦に関係していなかったテロ集団が、首都と400万人の住民を、飲料水から遮断しようとしているのだ。ところが、シリア政府軍がバラダ渓谷水源地域の犯人を追求すると、欧米マスコミは、またしても、アサドの軍隊が停戦に違反したと主張して、テロ集団のために話を歪曲している。

そもそも基本的に欧米がけしかけた戦争を解決する上で、ロシアが前進することに、政権転覆代理軍の欧米スポンサーが耐えられないのは明らかだ。

そこで、犯罪的な各国政府と、連中の代理テロリストを隠蔽するための歪曲とウソをついて、恥知らずの欧米マスコミがまたしても活動しているというわけだ。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/01/05/west-spins-again-sabotage-syria-ceasefire.html

----------

水源汚染のニュースを訳していたところに、アザズで自動車爆弾テロで60人?の死者。何とも悪辣な連中。

アザズ自動車爆弾テロについては、いささか違う結論なのかも知れない。

そもそも基本的に欧米がけしかけた戦争を解決する上で、トルコが前進することに、政権転覆代理軍の欧米スポンサーが耐えられないのは明らかだ。

今日は、下記番組が楽しみ。

【撮り下ろし初配信!・Ch1】18:00~「つくられた『神道』戦後最大のドグマを解体する! 岩上安身による島根大学・大阪工業大学名誉教授 井上寛司氏インタビュー 2日目 中世・近世編(前編)」
UST視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
ツイキャス視聴URL: http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi
※2016年11月23日収録。戦前・戦中の「国家神道」や、安倍政権を支える右派組織「日本会議」の実態に迫ってきた岩上安身による井上寛司氏インタビューシリーズから、中世・近世編の前編を撮り下ろし初配信します。

2017年1月 7日 (土)

ウソを維持するため無辜の人間を殺害

Paul Craig Roberts
2017年1月5日

読者はご存じの通り、ボストン・マラソン爆破とされる事件に関して、私は事実に基づいて、書いてきた。ロシア連邦在住の弁護士であるロシア人の叔母に代わり、兄がFBIに殺害され、冤罪をこうむっているツァルナーエフ兄弟の弟ジョハールのため訴訟に加わった無料奉仕弁護士、ジョン・レミントン・グラハムに、入念にインタビューした。グラハム弁護士はFBI自身の証拠から、ジョハール・ツァルナーエフが潔白であることを、疑う余地なく証明したが、それはつまり、兄もそうだったということだ。

ボストン・マラソンでは、本当の爆発やテロ事件とされるものは起きておらず、うつけもののアメリカ人を、本当に“イスラムの脅威”にさらされていると思い込ませるよう、クライシス・アクターを使って画策されたのだということに全く疑いの余地はない。21世紀、アメリカ合州国のあらゆる外交政策は、でっち上げられた“イスラムの脅威”に基づいている。

でっち上げの脅威は、でっち上げられた事件の悪漢として選ばれた若者を殺害する狙いで、犯人追跡をすべく、アメリカ最大の都市の一つを閉鎖する演習を行うのにも利用された。アメリカ国民は、銃をつきつけられて、自宅から追い立てられ、ヒトラー時代のナチスを思わせる名称の国家安全保障省が、このでっち上げの出来事のために、都市生活と空港のサービスまるごと混乱させ、アメリカの市民的自由にとどめをさした。 演習丸ごとが、ウソに基づいており、決しておきてなどいない、サダム・フセインの大量破壊兵器、アサドの化学兵器使用、ロシアによるウクライナ侵略などなどと同様に。“例外的な人々”のための、もう一つのウソに過ぎない。

多数のウェブサイトが、ツァルナーエフ兄弟に対する偽りの訴訟の誤りを証明している。ジョン・レミントン・グラハム弁護士が、司法当局に訴えたが、アメリカ司法省は、公正への関心は皆無だ。

そこに、メリー・マクスウェル弁護士が、本を書いて登場した。本はオンラインで無料で読める。始めの8章を読んだが、テロリストによるボストン・マラソン爆破など無かったという、私独自の結論を確認するのに十分だった。

皆様に、メリー・マクスウェルの説をお勧めする。ただし、彼女は余りに皮肉を多用し過ぎていて、時にその皮肉が、事実説明の邪魔になるように思えると申しあげておこう。これを承知の上で、彼女の説明を読み通して頂きたい。

彼女は、皮肉をスタイルとして選んだのだが、残忍なアメリカ支配体制に対して立ち上がり、アメリカ警察国家と、アメリカ政府による対世界戦争の創設神話の一つに異議を申し立てる覚悟を持った人物は、尊敬しなければならない。

彼女の本をここで読む:https://daliamaelachlan.files.wordpress.com/2017/01/boston-ail-book-jan-5-9.pdf

ボストン・マラソン爆破に関するでっち上げの主張を信じるアメリカ国民は、アメリカの市民的自由や、地球上の何百万人もの生命にとって危険で、直接の脅威だ。

もし、アメリカ人が、浴びせられ続けている、こうしたでっち上げに覚醒しなければ、彼らは自由を喪失することになる。彼らは熱核戦争による地球の破壊を防げまい。

ロシアと中国は、それぞれが、そして両国協力すれば、アメリカ政府より強力で、両国は、無頓着なアメリカ人が満足しているウソに我慢するするつもりはない。

もしアメリカ人が、政治力を有する利己的なひと握りの集団から、国を取り戻せなければ、アメリカ人は絶望的だ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/01/05/murdering-the-innocent-in-order-to-support-the-lie-paul-craig-roberts/
----------
最後の文章、国名を入れ替えれば、そのまま。

筆者、2013年4月19日に下記の文章を書いておられる。

ボストン・マラソン爆破事件 

次期大統領による自動車メーカー叩き開始。宗主国の自動車メーカーは、攻撃に屈して、メキシコ工場計画を撤回したという。

基地、もっと金を払えと言ってくるだろう。TPPがなくなっても、悲惨なFTAで奴隷化させられるだろう。

貿易戦争のためのトランプのホワイト・ハウス新組織

オスプレイ給油再開を認める属国傀儡の言葉の空虚さが、絶望的な未来を示している。

そういう時に、チリ人の行方を知ったところで、一体何の意味があるだろう。

大本営広報部のあらゆる放送局が同じことを報じる時は、常に何か重要な陰険な法案を成立させたり、選挙で与党を勝たせたりするための煙幕だと思っている。その時の話題は決まって、庶民の生活に何の影響もない主題。おきまりのめくらまし作戦。

共謀罪の煙幕だろうか。それとも家庭教育支援法?衆議院選?あるいは都議選挙?
都議選新党、案の定、7人の侍が手駒らしい。自民・新党対立を装う自民党強化策茶番。

2017年1月 6日 (金)

トルコはなぜISISを止められないのか

2017年1月4日
Patrick Cockburn
CounterPunch

このような殺りくが数週間ごとに起きているトルコにおける最新の「イスラム国」(ISIS)殺し屋により、イスタンブールのナイトクラブで、一般市民39人が虐殺された。実行犯は違っていても、こうした残虐行為の累積的な効果は、トルコ人に、彼らは、益々恐ろしく不安定な国に暮らしていると思い込ませることだ。トルコ政府が、攻撃を止めるために何をすれば良いのか、分かっていないのは明らかだ。

ISISは、殲滅するには余りに巨大で、資金力も豊富で、トルコ政府が何をしようと、こうした容赦のない蛮行は続く可能性が高い。連中はトルコに深く根付いており、現地の過激派を利用したり、レイナ・ナイトクラブや、今年早々、イスタンブール、アタチュルク空港に対する攻撃で起きたように、殺し屋を外国から連れ込んだりすることができる。

フランスやベルギーやドイツと同様、一般市民が標的にされ、殺し屋が死を覚悟している場合、攻撃を止めるのは不可能だ。連中が成功すると“治安体制の不備”のせいにされることが多いが、実際には、どのような治安対策でも、完全な安全は実現不可能だ。

トルコにおける“テロ”が、ヨーロッパや中東におけるものと違っているのは、死者の人数ではない。バグダッドでは、毎月より多くの人々がISISにより殺害されている。テロを実行する連中の多様性だ。三週間前のイスタンブールのサッカー・スタジアム外での、44人殺害 - 犠牲者の大半が警察官 - は、クルド労働者党 (PKK)の戦闘部隊とされるクルド自由の鷹(TAK)が実行したと宣言した。12月19日のアンカラにおける駐トルコ・ロシア大使暗殺は、7月15日の軍事クーデター未遂の責任が問われている第三の集団、フェトフッラー・ギュレン信奉者のせいだとレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は非難している。

こうしたもの全て、強力な集団で、トルコ内外に何千人もの献身的メンバーを擁し、こうした集団のどれ一つ、すぐさま消え去ることはない。アンカラ政府はお決まりのように、これら様々な集団を“連中の隠れ家”まで追跡すると騒ぎたてている。しかし言うはやすし行うは難しだ。ISISもPKKも、シリアやイラクに強力な事実上の国家を作り上げているが、これは2011年以来の、エルドアンによる、まずい発想のシリア内戦介入なくしては、起こり得なかったものだ。

かつて、トルコを中継基地、聖域として活用していたISISは、今やトルコを敵と罵倒し、最大の分裂効果を産み出すよう攻撃を画策している。過去二年間、攻撃に対するトルコの反応の顕著な特徴は、国民団結にはいたらず、逆に、テロが繁茂する状況を産み出したことを、エルドアン支持派と反対派勢力が互い非難し合う状況を引き起こしている点だ。

ナイトクラブで浮かれ騒いでいる連中に対する攻撃には、もう一つ不穏な点がある。禁欲的なイスラム主義者に対する共感、あるいは支持を得ることを明白に狙っているのだ。サラフィー主義の信条は、トルコ国内に広がっており、過去数年間に仕込まれたISIS細胞にとって、肥沃な土壌となっている。

エルドアンは、北シリアへと更に進撃し、ISISとシリア・クルド人を粉砕すると脅している。トルコ軍は、アレッポ北東のISIS拠点、アル=バーブに接近しているが、頑強な抵抗に会い、相当な死傷者を出している。エルドアンのあらゆる強気な発言をもってしても、トルコ軍と、その現地同盟者が、真の友はごくわずかで、多くの危険な敵がいる北シリアで、一体何を実現しようと狙っているのか全くはっきりしない。彼らは圧勝が望めない戦いに巻き込まれつつあるのだ。

Patrick Cockburnは、『「イスラム国」の勃興: ISISと新スンナ派革命』の著者。

記事原文のurl:http://www.counterpunch.org/2017/01/04/why-turkey-cant-stop-isis/

----------

大本営広報部電気白痴製造機、行方不明の女性留学生の元?交際相手、マグロのセリ価格、人気グループの放牧宣言。大企業幹部の今年の予想。見ればみるほど馬鹿になれる。

とはいえ、伊能忠敬の測量にかんする番組は面白かった。時々まともなものを混ぜるのだろうか。

オスプレイは給油演習再開。属国傀儡は、宗主国の命令を受けて、属国民に、それを押しつけるのが役目。安保条約、地位協定、戦争法案、秘密法案、TPP、カジノ法案。壊憲も、共謀罪もそうなのではと勘繰りたくなる。

TPPを絶賛した売国大本営広報部は、共謀罪も大賛成するだろう。政党と違って、選挙で大本営広報部を落選させることはできない。庶民ができる抵抗として、紙媒体購読を止めただけ。

徳川慶喜についての大本営広報番組、わずかな時間、眺めただけで、止めた。

赤松小三郎ともう一つの明治維新――テロに葬られた立憲主義の夢とは全く逆の論議だったので。

お年玉がわりに、知人に読み終えた赤松小三郎ともう一つの明治維新――テロに葬られた立憲主義の夢をさしあげた。大好評だった。

スノーデン・インタビューをした日本人女性ジャーナリストがおられる。新聞社論説委員の方向に違和感を覚えた頃、留学が決まり、そこで退社し、勉学をつづけた結果、スノーデン・インタビューが実現したのだと知って納得。あの論説委員以降、読むに絶えなくなったのは、読者の小生だけではなかった。

監視システムの狙いは、テロリストではなく、庶民。

米国NSAの全世界的情報傍受システムが監視するのはテロリストではなく市民! スノーデン氏にインタビューしたジャーナリストの小笠原みどり氏が監視社会の恐ろしさを伝える! 2016.8.27

2017年1月 5日 (木)

シリア戦争は始まりに過ぎない

2017年1月2日
Tony Cartalucci

北シリアの都市アレッポ解放で、ダマスカスのシリア政権は、約六年も続いた極めて破壊的な紛争を終わらせる途上にあるように見える。

しかし、シリア紛争が今にも解決しようとしていると決めてかかるのは、シリア紛争が地域、更には、世界的狙いと切り離された地政学的真空の中で戦われていると見なすも同然だ。

実際、欧米がシリアに仕掛ける代理戦争は、開始前から長年検討されており、計画・準備段階では、対イラン戦争や、ロシアの再登場と中国勃興を阻止するための、より大規模なグローバル紛争の前提条件に過ぎなかった。

勃興する超大国の抹殺を狙うアメリカ覇権

冷戦終了時、アメリカは世界唯一の超大国としての立場を確立し維持することを狙っていた。

ウェズリー・クラーク陸軍大将は、2007年“主導すべき時”と題するフローラTVのトーク番組で、1991年という早い時点での、当時アメリカ国防副長官ポール・ウォルフォウィッツとの会話に触れ、冷戦後の狙いをこう述べて明らかにした(強調は筆者による)

国防副長官に、デザート・ストームにおける軍隊の実績にはかなりご満足でしょうと言った。すると彼は言った。「そう」。しかし彼は本当には満足していないと言った。サダム・フセインを倒しておくべきだったのだが、そうしなかったからだと。しかも、我々が引き起こした91年3月のシーア派蜂起直後なのに、わが軍を傍観させたままにして、干渉しなかった。そして彼は言った。一つ学んだことがある。中東地域で、我々は軍隊を使用することが可能で、ソ連は我々を止めないことを学んだ。彼は言った。次の巨大超大国が我々に挑戦する前に、ソ連傀儡政権の全ての国々、シリア、イラン、イラクを一掃するのに、我々には五年から十年、猶予がある。

クラーク大将発言で暴露されていることは明白だ。デザート・ストーム、バルカン半島での紛争、アメリカによるアフガニスタン侵略と占領や、アメリカによるイラク侵略と占領、更に、2001年9月11日、ニューヨークと、ワシントンDCでの攻撃後のアメリカ軍“対テロ戦争”戦力展開の全体的な拡張から、冷戦後に始まった特異な計画は明らかだということだ。

アメリカの“政権転覆”騒ぎは、上記の戦争だけでなく、東ヨーロッパ中の一連のいわゆる“カラー革命”も含んでいる。これには、1998年から2004年までの、セルビアにおけるオトポール!の活動、2003年のジョージア“バラ革命”や、2004年-2005年のウクライナ“オレンジ革命”も含まれる。

アメリカが支援したこうした政権転覆作戦に関わったのは、アメリカ国内の国務省とアメリカ民間企業(商業マスコミや、フェイスブックやグーグルなどの巨大IT企業)や、2011年のアメリカが画策した“アラブの春”に先駆けた、2008年に始まったアラブ世界の反政府派指導者訓練で育てられた、各国の“活動家”たちだ。

アメリカ国務省自身、2008年のプレス・リリースで、“青年運動同盟サミット”を組織したことを認めてこう書いている。

既に、世界中の青年運動オンライン、携帯、デジタル・メディアを活用して、最良のやり方を、お互いに話し合っているという点で、この青年運動同盟の始まりは、組織的なものだ。国務省は、フェイスブック、ハウキャスト、グーグル、MTVやコロンビア・ロー・スクールなどの組織と結びつけ、この動きの立ち上げを支援するまとめ役として機能した。

プレス・リリースに述べられている内容は、エジプトやリビアから、シリアやイエメンに至るまでの必然的に暴力的な政権転覆作戦の隠れ蓑役を果たすのに使われた戦術そのものだ。アメリカ国務省の“青年運動同盟サミット”参加者を見れば、エジプトの4月6日青年運動を含み、中東に帰国するやいなや抗議行動の先頭に立った多くの集団がいる。

最終的に、“アメリカの各種集団がアラブ蜂起の養成を支援”と題する記事で、ニューヨーク・タイムズはこう認めている。

ここ数週間のインタビューやウィキリークスが入手したアメリカ外交電報によれば、地域で広がる反乱や改革には、国際共和研究所、全米民主国際研究所やフリーダム・ハウスなどの、ワシントンを本拠とする非営利人権団体などからの訓練と資金援助を受けた、エジプトの4月6日青年運動、バーレーン人権センターや、イエメンの青年指導者エンツァール・カディなどの草の根活動家を含む多数のグループや個人が直接関与している。

直接的な軍事介入とアメリカが画策する“カラー革命”双方の狙いは、クラーク大将が、冷戦終焉以来、アメリカ政策立案者たちが追い求めていると主張するもの、究極的にアメリカ世界覇権のライバルとなり得る独自に動いている国々の根絶を実現することだ。

途上の通過点に過ぎないシリア

イラク破壊、2006年 イスラエルの南レバノンのヒズボラに対する戦争、テヘラン政権を孤立化し、打倒する絶えざる取り組みは、全てこの並外れた計画の一環だ。長年にわたり、あらゆるアメリカ政策論文の中で、究極的なイラン打倒の重要な鍵はレバノンのヒズボラ破壊と、イラン同盟国としてのシリア絶滅であることが認められている。

2007年、ピューリッツァー賞受賞ジャーナリスト、シーモア・ハーシュは記事“リディレクション(方向転換): 政権の新政策は対テロ戦争における我々の敵に恩恵を与えるのか?”でこう書いていた。(強調は筆者による):

シーア派が多数のイランを弱体化させるため、ブッシュ政権は、事実上、中東における優先事項再編を決定した。レバノンでは、政権は、イランが支援するシーア派組織ヒズボラを弱体化することを狙った秘密作戦で、スンナ派のサウジアラビア政府に協力した。アメリカは、イランと同盟国シリアを狙う秘密作戦にも参加した。こうした活動の副産物が、イスラム主義の戦闘的構想を奉じ、アメリカに対して敵対的で、アルカイダに共鳴するスンナ派過激派集団の強化だ。

2009年、アメリカの大企業-金融業界が資金提供する地政学的政策シンクタンク、ブルッキングス研究所が“ペルシャへの道はいずれか?: 対イラン・アメリカ新戦略のための選択肢” (PDF)と題する170ページの報告書を発表したが、そこで、アメリカ政府のために、イスラエルにイランを攻撃させることを含む、いくつかの選択肢を提案している。報告書にはこうある(強調は筆者による):

…イスラエルは、様々なことで、アメリカの支援を要請する可能性がある。イスラエルは、アメリカ合州国以上に、イランの報復と国際的非難を受けるリスクを負う覚悟がある可能性があるが、不死身というわげではなく、攻撃をする用意が調う前に、アメリカ合州国によるある種の確約を要求する可能性がある。たとえば、ヒズボラによる、また可能性として、ハマースの反撃をも緩和するのに役立つ、シリアとの和平協定が実現するまで(エルサレムが、それが実現可能だと考えているとして)イスラエルが先送りをしたがる可能性がある。その結果、彼らはアメリカ政府に、エルサレムと、ダマスカスの仲介を強く推進するよう希望する可能性がある。

いかなる“和平協定”も結ばれず、そのかわりに、国の大規模破壊が画策されていることは明らかだ。ブルッキングス報告書に書かれている、紛争を引き起こすことと、イラン政権転覆に関する提案の多くは代わりに、シリアに対して使われたのだ。

2011年、アメリカが率いたアルカイダとつながる戦士を活用したリビア破壊で、東リビアの都市ベンガジを、トルコ・シリア国境への兵站上の足場へと変え、シリアの都市部で、既に衝突が継続する最中、シリア代理侵略が始まった。

2012年、戦士たちがトルコ-シリア国境から殺到し、都市アレッポを侵略した。それに続く破壊的戦争が国を荒廃させ、シリアの同盟者、ヒズボラとイラン、更にはロシアまで引き込み、東方のイラン、更には、南ロシアにまで紛争を拡大する前に、連合を十分弱体化させている可能性がある。

イランとの戦争に備えて、だれが閣僚に入ったかを見よう

次期大統領ドナルド・トランプは、デイヴィッド・フリードマンのような親イスラエル派強硬派のみならず、ブライトバート・ニュースのスティーブン・バノンや、退役アメリカ海兵隊員ジェームズ・マティス大将を含む長年、イランとの戦争を主張してきた連中で、周囲を固めた。

似たような顔ぶれの政策立案者連中が、彼女が選挙に勝っていれば、2016年アメリカ大統領候補で、元アメリカ国務長官ヒラリー・クリントンで、入閣していたであろうことは確実だ、彼女はアメリカ国務長官時代、まさにこの紛争の前提条件たるリビアとシリアの破壊に夢中だった。

要するに、アメリカ政府は、シリアにおける代理戦争が、まさに全過程を済ませたように見える中、イランとのより広範な紛争のための姿勢を確立しつつあり、2016年アメリカ大統領選挙に誰が勝とうと、この来る戦争のため姿勢をとり始めていたに違いないのだ。

おそらく、アメリカの政策立案者たちは、シリアを、もっと早く、経費も少なく、陥落できると踏んでいただろう。ロシアがシリアに大規模軍事駐留し、シリア軍が、極めて効果的な、経験を積んだ戦闘部隊へと進化し、イランとヒズボラ部隊が地域紛争で戦って経験を積んでいるので、紛争を、イラン国内に進めるのは容易な課題ではなない。

おそらく、このせいで、次期大統領トランプは、ロシアと“同盟”の可能性があるかのごとく演出され、ロシアによるアメリカ選挙“ハッキング”という非難は“偽ニュース”と戦うという装いのもと、代替メディアを萎縮させるために利用されているのだ。代替メディアを黙らせなければ、ブルッキングスの“ペルシャへの道はいずれか?”報告書が勧めているように - シリア紛争をイラン領にまで拡大し、そこにアメリカが関与するのを正当化するため、アメリカ政策立案者が、またもや大規模挑発を画策するのは困難なはずだ。

シリア紛争の間 - レバノンとシリア全体で、イスラエルは、ヒズボラ・インフラストラクチャーを組織的に攻撃してきたことにも留意すべきだ。イスラエルの政策立案者 連中と、アメリカが支援するイスラエルによる対イラン攻撃の後で、報復するだろう連中との間に緩衝地帯を維持する狙いである可能性が高い - ブルッキングスが、2009年に提案した通り。

選挙がアメリカ覇権を潰すことはなく、それを潰せるのは多極的な勢力均衡のみ

アメリカの既得権益集団は、冷戦終焉以来、彼らが世界覇権と考えるものに対するあらゆる脅威と対決し、抹殺することに夢中になってきた。ウェズリー・クラーク退役アメリカ陸軍大将が長年警告している通り、アメリカは、1990年年代以来、誰がホワイト・ハウスの主であろうと、どのような言辞が使われようと無関係に、世界覇権を徐々に実現し維持するために必要な無数の戦争や“カラー革命”を売り込む特異な計画を推進しているのだ。

ロシアと中国が、世界的な勢力の均衡をもたらし、アメリカによる侵略をはばみ、世界の舞台で、アメリカ覇権を、より釣り合った、多極的役割で押し返す中、アメリカは、モスクワと北京の両方への直接対決や、益々暴力化する代理戦争作戦や、世界中での政権転覆作戦で対処するようなりつつある。

大統領選挙が、この特異な長年の計画を頓挫させることができるという幻想は危険だ。現実には、アメリカ既得権益集団と世界覇権実現に対する唯一の障害は、競合する中核権力なのだ。そうしたものには、ロシアや中国のような国民国家や、代替メディアのような草の根運動や、このような運動が実現する権力と影響力の上に構築される代替の現行のものを阻止する経済モデルや政治運動がある。そのような代替物が、政治状勢を支配しているアメリカや大企業-金融業者独占体が現在享受している不当な権力や影響力を弱体化させることができるだろう。

Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/01/02/syrias-war-was-only-ever-the-beginning/

----------

NGOを活用したこうした計画については、以前、他に下記のようないくつかの記事を翻訳している。Otporという固有名詞も出てくる。日にちは翻訳記事の掲載日。原文はみな2011。

「非暴力革命のすすめ ~ジーン・シャープの提言~」: またはジーン・シャープの妄想
2016年3月23日

ウオール街占拠運動と"アメリカの秋":これは"カラー革命だろうか"?第一部
2011年12月31日

ウォール街占拠と“アラブの春”: 誰が抗議運動に資金提供しているのか? 誰が背後にいるのか? 2014年2月22日

 

2017年1月 4日 (水)

トランプ時代、我々はお互い助け合うしかない

Chris Hedges
2016年12月26日
"Truth Dig"

今年のクリスマス、ドナルド・トランプの政治支配をもたらした、アメリカ民主主義の長く緩慢な死を私は悼んだ。彼が掻き立てた暴力と頑迷さに対する原始的熱望を人々が奉じる高揚感を私は恐れている。こうした排外主義勢力は、アメリカ史上終始、有色人種の人々や、本質的に意見を異にする人々に対して向けられてきた、白人自警団による一連の暴力の一環が、またもや、大衆を脅し、恐怖させる手段として仕立てあげられているのだ。新自由主義に毒され、大企業国家にとらわれている我が国の文化的、政治的機構は、我々を守る意志も能力も持ち合わせていないのを私は知っている。我々は自力で行くしかないのだ。これは楽しいことではない。

一週間前、ニューヨークで、マッカーシズムに関してアメリカ最高の歴史家で“多くは犯罪だ: アメリカにおけるマッカーシズム”、“象牙の塔ではない: マッカーシズムと大学”や“高等教育の失われた魂: 民営化、学問の自由に対する攻撃とアメリカ大学の終焉”の著者であるエレン・シュレッカーと話をした

“私は一体何を目にしているのでしょう?”アメリカの政治的、文化的状況について彼女は質問した。“マッカーシー時代の再演を目にしているのでしょうか? かなりの程度、いくつかの類似には驚くべきものがあります。遙かに広範な弾圧的運動を象徴していた[ジョセフ]マッカーシー上院議員のような人物を検討することが可能です。トランプは、現在、実際には、アメリカ政府を乗っ取った右翼反動運動のために、同じ役割を演じているのだと言えるでしょう。”

“様々な、かなり表面的な比較が可能です”シュレッカーは続けた。“マッカーシーもトランプも、いささか忌まわしい人物で、たぶん、社会病質も多少からんでいると思います。マッカーシーはマスコミ対応の天才でした。彼はどうすれば一面に載れるかを知っていました。彼は個々の記者たちの締め切り時間を知っていました。彼は、記者たちに、どうやって話題を提供すれば良いかを知っていました。類似は実に明らかだと思います。トランプは、マスコミ対応の天才です。”

ウィスコンシン州上院議員はそうだったが、今のトランプも、非常に楽観的だと彼女は言った。共和党員になる前は、民主党員だったマッカーシーは、1950年に飛びついた彼は、赤の恐怖を利用する上で、“いささか出遅れ気味”だったとシュレッカーは言う。“その頃には、非米活動委員会が、ハリウッドしつこく追いかけていました。”

トランプと、彼のキリスト教ファシスト下役連中は、我々の多くが予想するよりも早く、自由な表現に残されたわずかな余地を潰そうとするだろう。異議申し立ては困難な、時には危険なことになる。非登録労働者、イスラム教徒、アフリカ系アメリカ人や異議を唱える人々を含む一連の国内の敵に対して向けられる公然の差別や、ヘイト・クライム活動が行われることになるだろう。キリスト教右派は、女性の権利を後退させ、学校のカリキュラムに、連中の呪術思考を押し込み、イスラム教徒やGBLT集団をテロで弾圧する免許を与えられるだろう。トランプ政権は、わが国のキリスト教聖戦士連中に、キリスト教信仰の象徴と言辞を、アメリカ資本主義、帝国主義と白人優越主義と融合させた、ひどい宗教的排外主義を主張する演壇を与えるだろう。

弾圧措置は素早く実施されるだろうと私は予想している。速度のせいで、魂を抜かれた国民には、起きている事態を見えないままになるだろう。弱々しい司法制度、二大政党やマスコミを含む民主的伝統や機構は、攻撃によって崩壊するだろう。トランプは、専制主義国家を可能にする、おなじみの手段を活用するだろう。大量投獄、軍隊化した警察、司法制度の衰退化、現実的、および想像上の敵の悪魔化や、プライバシーと市民的自由の破壊、こうした全てが、政治エリート連中によって、大企業権力のために、愚かにも推進される。

シュレッカーは、トランプの興隆は、四十年かけて作り上げられたものだと言う。1960年代に作り上げられた文化的、社会的、政治的空間、とりわけ、大学、マスコミ、労働運動や芸術を閉鎖すべく、大企業が諸々の組織に資金投入し、設立したのだ。これら大企業の勢力が、政府を破壊力へと変えた。アメリカは、利益のために、略奪され、共食いされた。今や産業が空洞化した荒れ地に、我々は暮らしている。この焦土作戦攻撃が、扇動政治家にとって、肥沃な土壌を産み出した。

1971年に、アメリカ商工会議所の弁護士で、後に最高裁判事になった故ルイス・バウエルが、文書題名“アメリカの自由企業体制に対する攻撃”と称するものに反撃するための運動概略をまとめた8ページのメモを書いた。このメモのおかげで、企業円卓会議が設置され、それが政府政策を決定し、世論を形成する、膨大な資金と政治的影響力を生み出した。パウエル・メモは大企業が“大学のキャンバス、説教壇、マスコミ、知識人や文芸雑誌”にいる大企業権益に敵対的な連中を沈黙させるのに使える手法を列記していた。

バウエルは、ふんだんに資金提供されたシンクタンクや保守派組織の設立を呼びかけた。政府による規制や環境保護に対するイデオロギー攻撃を、一般大衆に向けるよう、彼は提案した。大企業に好意的な学者やネオリベラル・エコノミストを大学に配置し、自由奔放な大企業権力に異議を申し立てる人々-特にラルフ・ネーダーを個人名をあげ、公的場面から追放することを彼は主張した。マスコミが、大企業権益の増大に有利なように物事を報じるよう監視し、圧力をかける諸機関を設立する必要があった。企業寄りの裁判官が裁判官席につけられた。

学者は右翼の監視リストによる圧力で支配され、大学経営者や裕福な寄贈者は取り込まれた。長期間にわたる攻撃で、マスコミ同様、大学はついに従順、凡庸、単色化した。

“学問的知識に対する代替物の必要性を彼は明確にしたのです”とシュレッカーは、パウエルについて述べた。“彼は、学界が左翼によって浸食されていると考えていました。彼は、これに取って代わる専門知識の情報源を設立することを望んでいました。それで1970年代に実現したのが、アメリカン・エンタープライズ研究所[1938年から存在している]や、ヘリテージ財団などの、マスコミの人々が専門知識を得られる一連の右翼シンクタンクの発展です。しかし、それには政治的動機があったのです。”

“信じられないことですが、これは成功しました”と、このキャンペーンについて、彼女は言った。“非常にまずいことです。我々が現在目にしているのは、知識に対する攻撃です。これで実現したのが、脱構築主義者なる一連の型にはまった教授連中、男性を憎悪する怒れるフェミニスト、異性の服装をする人々、もっと酷い現実離れしている連中を産み出した、1980年代末と1990年代の文化戦争です。”

イデオロギー攻撃には、公立学校や大学、公共放送や芸術への出資をやめるという大企業キャンペーンが並行した。人文科学は骨抜きにされた。大学における金融や経済学研究の拡大を含む職業訓練が、学生が自身の殻から抜け出して、他者への共感を抱き、表現するのを可能にする文化的、歴史的読解力を学生に会得させていた学科に置き換わった。学生は、もはや、どのように考えるべきか教えられず、何を考えるべきかを教えられる。市民教育は死滅した。トランプが典型である異様な無学が慶賀される。膨大な富だけが成功の目安だ。大企業支配の精髄である個人主義カルトこそが最高のものと化した。

マッカーシー時代、大半の赤狩り、ブラックリスト作成や検閲は、政府、特にJ. エドガー・フーバーの連邦捜査局FBIが行っていたとシュレッカーは言う。フーバーとマッカーシー、リチャード・ニクソンやロイ・コーンらは、連中の卑劣な審問の結果、人生と評判の破滅を残した。彼らは、事実上、言論の自由と思想の自由を破壊したのだ。ジュリアス・ローゼンバーグとエセル・ローゼンバーグ夫妻を電気椅子に送ったスパイ事件の検事だったコーンは、後にトランプの弁護士となり、13年間、親しい友人だった。コーンは、死の直前、1986年に、裁判所が、道義に反する、職業倫理に反する“特に不届きな”行為と呼ぶもののかどで、法曹資格を剥奪された。

現在の反民主的キャンペーンに関与している“遥かに多くの私的団体があります”とシュレッカーは言った。“色々なものが含まれます。だから非常に危険なのです。トランプだけではないのです。トランプが極めて強力になるのは明らかです。しかも、こうした勢力、地球温暖化否定論者、石油業界の連中がいます。今のこの時点で、彼ら全員が一致協力しているのです。”

我々は再度始めなければならない。市民社会復元の希望は、小規模な地方集団や共同体組織にある。それは、チャーター・スクール拡張を阻止し、環境規制を実施し、農家市場を構築し、最低賃金のために戦い、不法就労者を庇護し、憎悪犯罪に抗議し、国家の行き過ぎを軽減しようとする人々を地方の役所に選出するなどの日常的な課題から始まるのだ。

“我々は市民社会を再構成しなければなりません”シュレッカーは言う。“学界やマスコミのような仲介組織は空洞化しています。確かに、ジャーナリズムは生命維持装置につながれています。萎縮した組織を復活させなければなりません。”

“アメリカ人の心が攻撃されているのです”と彼女は言う。“トランプと共に我々が目にしている多くのものは、40年間にわたる知的水準低下の産物です。”

国家を封じ込めるため、独裁主義的、全体主義政権は、伝統的に危機を利用してきた。経済メルトダウン、大規模な国内テロ攻撃、気候変動による広範な荒廃や、おそらくイランか中国という他国に対する巧妙に仕組まれた敵意で、トランプと彼のならず者将官、億万長者や陰謀論者が、アメリカ合州国を暗黒郷に陥れることになるだろう。

戦争は、国内の弾圧を正当化し、確固たる権力をふるうため、扇動政治家連中が利用するおなじみの手段だ。もし連邦政府が、新たな敵を生み出すために、アメリカの戦争を拡大すれば、局所的抵抗さえも許されなくなるだろう。異議を唱える人々全員、罪をおわされることになる。怯えた脆弱な組織は、堂々と意見を主張する少数の人々の粛清を実行するだろう。社会の大半は、戦争精神病で萎縮し、標的にされるのを避けるため従順になる。抵抗は自殺に等しいものとなろう。

ダニエル・ベリガン神父は、2008年に、私との会話で、アメリカ帝国は、変更不可能な衰退状態にあると断言した。この崩壊を目の前にして、我々は、同情、質朴、愛と正義という非歴史的価値観を堅持しなければならないと彼は言った。文明の盛衰は、循環的な自然の歴史の一環なのだと彼は言っていた。

“世界中での悲劇は、我々が余りに多くの他者を引きずり下ろしていることです”彼は言った。“我々は潔く倒れることはありません。実に多くの人びとがこのために、自らの命を失っています。”

我々は、抵抗の短期的効果に夢中になってはならない。我々の多くにとって、失敗は不可避だ。過去、暴君連中は、良心の声を沈黙させてきた。彼らは再びそうするだろう。我々の品位を固守し、残骸の真ん中に、共同体を構築し、新たな組織を産み出して、我々は持ちこたえるのだ。お互いに支え合うのだ。おそらく、十分な人数の人々が持ちこたえて、再び始めることができるだろう。

クリス・ヘッジズは、かつて、ほぼ二十年間、中米、中東、アフリカや、バルカンで海外特派員をつとめた。彼は、50ヶ国以上の国々から報道し、15年間、海外特派員として、クリスチャン・サイエンス・モニター、ナショナル・パブリック・ラジオ、ダラス・モーニング・ニューズや、ニューヨーク・タイムズで働いた。

記事原文のurl:http://www.truthdig.com/report/item/in_the_time_of_trump_all_we_have_is_each_other_20161225
----------

賀状のなかに、「松陰神社の近くに暮らしているので、生地を訪問したくなった」というものがあって驚いた。もう十年以上会っていないので、そういう考えかたとは知らなかった。

この記事、人ごととは思われない。下記はそのままではないだろうか?

人文科学は骨抜きにされた。大学における金融や経済学研究の拡大を含む職業訓練が、学生が自身の殻から抜け出して、他者への共感を抱き、表現するのを可能にする文化的、歴史的読解力を学生に会得させていた学科に置き換わった。学生は、もはや、どのように考えるべきか教えられず、何を考えるべきかを教えられる。

『国家神道と日本人』島薗進著を読み始めた。IWJによる著者インタビューがある。

「改憲」の先にあるもの――日本会議と神社本庁は何を目指しているのか!? 安倍政権下で進む右傾化の真実に迫る!岩上安身による上智大学教授・島薗進氏インタビュー 2016.10.3

「第53回 69の忘年会」 2016.12.21

2017年1月 3日 (火)

オバマ政権は一体何をたくらんでいるのか?

Paul Craig Roberts
2016年12月30日

オバマ大統領は、ロシア政府が“悪意あるサイバー活動”で、アメリカ大統領選挙の結果に影響を与えたというCIAによる裏付けのない非難に基づく新たな対ロシア経済制裁を発表した。

アメリカ国土安全保障省(DHS)は、“悪意あるサイバー活動と、いやがらせのかどで、35人のロシア人をペルソナ・ノン・グラータ(好ましからぬ人物)宣言したことに関する”報告書を発表した

報告書は、“今回のアメリカ選挙に関連する様々なアメリカ政府、政治的、私的組織のネットワークやインフラをいじって、不法に活用し、ロシア諜報機関が利用した道具やインフラ”の記述だ。

報告書は、アメリカ大統領選挙結果に影響を与えるために道具やインフラを利用したいかなる証拠も提示していない。報告書は、ロシアの能力とされるものの単なる記述に過ぎない。https://diplopundit.net/2016/12/29/dhsfbi-issues-joint-analysis-report-grizzly-steppe-russian-malicious-cyber-activity-read-report/

しかもこの報告書はこういう但し書きで始まっている。“但し書き: 本報告書は情報提供の目的で‘そのまま’提供するものである。国土安全保障省(DHS)はこれに含まれるいかなる情報に関して、いかなる保障もしない。”https://diplopundit.files.wordpress.com/2016/12/jar_16-20296.pdf

言い換えれば、報告書は、アメリカ大統領選挙に影響を与えるために、ロシアが道具やインフラを利用した証拠を提示していないのみならず、ロシアの能力に関する説明の正しささえ保証しないのだ。

だから、DHS報告書から、ロシアに更なる経済制裁をかする理由となる主張に、オバマ政権には、いかなる証拠もないことが明らかだ。

ここで、一体何が起きているのだろう?

第一に、たとえ証拠があったとしても、経済制裁の合法性の問題がある。私に自信はないが、経済制裁には、国連安全保障理事会のような機関の行動が必要で、合法的に、一方的に、ある国が制裁を課することはできまい。更に、一体なぜ、オバマが、ロシア外交官追放を“経済制裁”と呼んでいるのかはっきりしない。他のどの国も同じようにする必要はない。冷戦中に、外交官がスパイ行為のかどで国外追放された場合、“経済制裁”とは呼ばれなかった。経済制裁というのは、一方的、あるいは双方による外交官の国外以上のことを意味する。

第二に、オバマとCIAとニューヨーク・タイムズが、この主張が偽りであることを十分承知なことは明白だ。もしCIAが実際にこの主張を信じているのであれば 、この諜報機関は全く無能で、どのような話題についても信じることはできないのも明らかだ.

第三に、21日すれば、トランプ大統領が、経済制裁を解除できるのだから、経済制裁はばかげている。

すると、一体なぜ、オバマ大統領、CIAとニューヨーク・タイムズは:一片の証拠も提示せずに、自らウソと新ている非難をしているのだろう? http://www.nytimes.com/2016/12/29/opinion/president-obama-punishes-russia-at-last.html?_r=1

一つの明らかな答えは、ネオコン化したオバマ政権は、トランプが修復できないほどまで、アメリカ-ロシア関係を破壊するのに必死ということだ。ニューヨーク・タイムズが書いているように“オバマ大統領の行動は、明らかにトランプ氏にとって、問題を作り出している”。ニューヨーク・タイムズの言う問題とは、トランプに“連邦議会の民主的な同盟者たちと組むのか、クレムリンの独裁的なお友達と組むのか”と問うことだ。

トランプの外交政策を、偽の主張で支配することが可能だろうか? ニューヨーク・タイムズによれば、ポール・ライアン、ジョン・マケインやリンジー・グラハムなどの共和党議員が、それに対する何の証拠も提示されていない非難を受け入れ、オバマとCIAに歩調を合わせているので、トランプも折れて、ロシアによるハッキングに関して、CIAによるブリーフィングを受けることに同意したという。ところが、証拠無しのブリーフィングは、トランプから見れば、更にCIAの信頼を損なうことになるだろう。

私がこのコラムで強調している通り、アメリカ合州国と、その帝国において、事実にはいかなる役割もない。裁判であれ、取り調べ所、外交、国内政策、あるいは教室であれ、主張だけで十分なのだ。アメリカでは、軍事侵略さえも、偽の主張、“大量破壊兵器”に基づいている。実際、クリントン政権以来、アメリカの全ての外交政策は、もっぱら偽の主張だけに基づいている。

ロシア政府は、今頃十分承知だろうが、あそらくモスクワは、アメリカ政府の決定において、事実は重要なのだと、いまだに考えている。

更なる隠し事が色々推進されているはずだと我々は考えるべきだ。たぶん、民主主義に対するロシアのサイバー脅威に関するプロパガンダは、アメリカ、および/あるいは、ヨーロッパの国民を何か事件に備えさせるために利用されているのただ。CIAは議会、行政府や外国政府の決定を、内密の狙いに沿ったものにさせるため、偽情報やプロパガンダを駆使する“陰の政府”に変身してしまった。スティーブン・キンザーの『ダレス兄弟』や、ダグラス・ヴァレンティンの『CIA As Organized Crime』など多くの本がこうした秘密の狙いのいくつかを説明している。

トランプが、ロシアとの正常な関係を回復するのを阻止するためには、事件は、容赦のない、不可逆的なものでなければならいだろう。アメリカの世界覇権という連中の狙いが敗北したことを受け入れるのではなく、ネオコンは大きなリスクをする覚悟ができているのだ。リスクをいとわないという意欲は、次期大統領の評判を落とそうという、CIA長官による、あからさなま取り組みで明らかだ。

“経済制裁”が表面上は意味のないものに見えるので、最近の挑発に対するプーチンの対応は、予想通り控えめなものだ。(http://www.paulcraigroberts.org/2016/12/30/stephen-lendman-reports-president-putins-response-to-obamas-new-sanctions/)。しかしながら、何が危険なことが水面下に隠されているような場合には、ロシア政府は、ロシア軍に警戒体制をとらせることを考える可能性がある。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/12/30/what-is-the-obama-regime-up-to-paul-craig-roberts/
----------

宗主国の偽主張、属国の大本営広報部の紙媒体や電気洗脳を隅から隅まで一年中見聞きしても素人にはわからないだろう。少なくとも、証拠がない主張、にわかには信じられない。

神々の明治維新 神仏分離と廃仏毀釈』を読んでいる。「はじめに」にこういう文章がある。

なんとなく旧い由来をもつ信仰的習俗に重いやすい有名神社への初詣や神前結婚式は、実際にはそのようなものではない。

ほとんど無自覚のうちにそのなかに住むことを強要してくる習俗的なものが圧倒的に優勢で、そこからはみだすとおちつかなくなり:ついにはほとんど神経症的な不安にさえとりつかれてしまうところに、私たちの社会の過剰同調的な特質があるのであろう。

仏像破壊の記述、まるでタリバンを連想するものがある。誇張ではない。

特に何も考えたわけではないが、初詣、徳川政権関係の場所だった。地元の神社、もう長年参拝していない。

2017年1月 2日 (月)

シリア終盤 アレッポ解放 - トルコにとって問題増大

2016年12月28日
"Moon Of Alabama"

東アレッポ解放は、ロシア軍の計画通り、クリスマス前に完了した。東アレッポでは、もはやタクフィール主義者による斬首はない。その代わりに、東アレッポ旧市街にある損壊した聖エリアス大聖堂で、クリスマス・ミサがとりおこなわれた。

拡大する

東アレッポ避難で、総計約88,000人が地域を去った。赤十字国際委員会によれば約35,000人(13,000人の戦士と肉親)がイドリブ県内のアルカイダが占領する地域へと去った。国連の人道救援組織は、54,000人が政府が確保している西アレッポに入ったと見ている。

現在、地雷工兵チームが地域を捜索しており、隠された爆弾も発見されている。何発かは爆発し、数十人のシリア軍兵士が死亡した。たぶん連中が非難する直前、アルカイダ、アハラール・アル・シャームや他のアメリカに支援されている集団に殺害されたシリア軍兵士と一般市民の集団墓地が発見された。シリア政府は、避難前に、彼らの解放交渉を望んでいた。しかし、交渉中のタクフィール主義者がより長く留まれば、死亡者数は更に多くなると推測され、国際政治が危機の早急な解決を要求していた。

多くの兵器と食糧備蓄と、無傷の診療所が発見された。他の住民たちが苦しむ一方、戦士と家族が十分供給されていたのは明らかだ。発見された兵器と弾薬(一つの隠し場所の映像 - 12)は、大半がブルガリア製で、サウジアラビアが代金を支払い、アメリカにより輸送、配送されたものは、約1億ドルの価値があると推計されている。

トルコ軍と、そのシリア人イスラム主義代理部隊が、アレッポの東にあるアル=バーブを「イスラム国」部隊から奪還しようとしている。彼らの"ユーフラテス川の盾"作戦は深刻な問題に突き当たっている。代理部隊は、ISISと戦うのではなく、逃げ去った。12月22日、自爆犯が約16人のトルコ軍兵士を殺害した。これまでの短期間の作戦で、総計約80-90人のトルコ軍兵士が死亡しており、これは一年以上前にロシアが作戦を開始して以来、シリアで死亡したロシア軍兵士よりも多い。トルコ軍の最新型ドイツ製レオパルト2A4戦車が十台、ISIS部隊により、損傷したり、破壊されたりしている。これはシリア政府と戦っている "穏健反政府派"を支援するためCIAが提供しているアメリカ製の対戦車ミサイル対戦車ミサイルによるものだ。アル=バーブにおけるISISの戦闘被害写真は、イギリス/アメリカが支援している"ホワイト・ヘルメット"による"救助"作業を示している。

トルコ軍は、アル=バーブを確保すべく、更に500人の追加特殊部隊と砲兵隊を派兵した。トルコ戦闘機は、シリア領空の飛行を許されておらず、アメリカはあらゆる航空支援を拒否している。現在、アル=バーブで、ISISと戦っているトルコ軍を航空支援しているのはロシア空軍だ(!)。(少し前まで、ネオコン宣伝屋が、ロシアがISISに空軍を与えていると主張していたことを想起されたい。)

東シリアでは、ISISはまたしても、デリゾールの政府が確保している飛び地を奪還しようとしているが、これまでのところ何の成果もあげていない。いずれもアメリカ指揮下にある、クルドYPG部隊と、(むしろ滑稽な)名前、シリア民主軍と呼ばれる買収されたアラブ部族集団が、ISISが占領している都市ラッカにゆっくりと接近している。

クリスマス直前に、アメリカ大統領は、携帯式防空ミサイルシステムを、シリア国内の "穏健反政府派"に配布することを認める新たな命令に署名した。"穏健反政府派"にCIAが配布した対戦車ミサイル同様、こうした携帯式防空ミサイルシステムの一部は、必然的にISISの手に渡り、シリア国外の民間航空機に対して使用される可能性がある。彼らにとって、唯一空軍を有する潜在的な敵はトルコNATO軍であるにもかかわらず、クルドYPG/SDFもこれらの兵器を欲しがっている。シリア国内のロシアの敵に対する携帯式防空ミサイルシステム配布を、ロシアは"敵対的行為"と理解しており、しかるべく対応するだろう。

シリアにおける損失が累積する中、今やトルコのエルドアン大統領は、おそらくアメリカが引き起こした彼に対するクーデターをかわすまでは、エルドアン自身が支援していた集団、シリア国内のISISや他のテロリスト集団を、アメリカが支援していると非難している。彼の絶えざるイデオロギー上の180度転換(親ISIS/反ISIS; 親ロシア/反ロシア/親ロシアなど)は、彼の信奉者連中に犠牲を強いている。(経済問題も助けにはならない。) 最近のイスラム主義警察官による駐トルコ・ロシア大使暗殺も、こうした混乱の結果と見なすことができる。

シリア国内の様々な関係者、同盟者や権益で混乱しているのはエルドアン信奉者だけではない。現在の"レヴァントにおける地域的、国際的バランス"に関する鋭い年末総括記事をイライジャ・マグニエが書いている。第一部は、シリア戦争におけるトルコの方針転換、第二部は、シリア戦争におけるロシアの役割とイランとの戦術的な違いを論じている。彼はこう結論している。

シリアは更なる戦闘に向かっているが、2017年の水平線上には和平協定が見えている。時として、外交では、関係者に平和を押しつけるためには、武力行使が必要な場合がある。一つ確実なことがある。彼らのイデオロギーの神髄を吹き飛ばしてしまうことになるという単純な理由から、聖戦士連中が易々とは矛を収めないのは確実だ。連中はシリア以外の国に移動することを選ばざるを得まい。

移動するタクフィール主義者にとっての第一希望は、支持基盤があり、彼らのイデオロギー信奉者が多いトルコだろう。対シリア戦争を推進し、過激イスラム主義者を支持したことで、1978年、ムハンマド・ジア=ウル=ハクが、アフガニスタンで、進歩的アフガニスタン政府に対しCIAが送り込んだムジャヒディンを支持した際、パキスタンを置いたのと同じ立場に、エルドアンはトルコを置いたことになる。その結果、それ以来、パキスタンでは、破壊的反乱がじわじわ煮え立ち続けている。元は非宗教的な国家だったトルコが、こうした致命的なガンのようなものを一掃するには、おそらく数十年はかかるだろう。

記事原文のurl:http://www.moonofalabama.org/2016/12/syria-roundup-turkeys-problems-increase.html

----------

属国大本営広報部の紙媒体は読んでおらず、電気洗脳装置も、歌謡番組と格闘技と天気予報しか見ていない。それで、全く不自由はない。

素人の一人や二人、虚報を見なくとも、地獄に向かうインチキ政治は無慈悲に進む。それでも、虚報をいちいち解釈して、虚報だと判断するのに時間と労力を使うよりは、

良い天気のもと、たこあげを楽しんだ。残念ながら、風がないので、走るのをやめると、タコはおちてしまう。新年会、たこあげのおかげで、更新が遅くなった。

2017年1月 1日 (日)

バチカン、ビルダーバーグと‘移民’危機

F. William Engdahl
2016年12月17日

謎めいたビルダーバーグ年次会議が、今年ドイツのドレスデンで、6月9-12日に開催された。議論の話題を発表する公式プレス・リリース中の用語は注目に値する。第三項(必ずしも重要性の順ではない)は、奇妙にも“ヨーロッパ: 移民、増大、改革、構想、団結”という題目だ。トルコがシリア戦争難民の拘留センターと難民キャンプを開放し、彼らをEUへと向かわせて、2015年春に始まったEU難民危機に対する単語“移民”という選択が奇妙なのだ。これについては後ほど更に触れる。本記事では、ほとんど知られていない歴史的なつながり、つまり1954年に創設されたビルダーバーグ会議とバチカン間のつながりと、現在のEU難民不安を煽る上での両者の役割に集中したいと思う。

1954年5月、ドイツ国境に近いオステルベークのオテル・ド・ビルダーバーグで、極めて秘密の会議が開催された。会合の主催者は、オランダ、ユリアナ女王の夫ベルンハルト王配だった。会合は、最初の会合が開かれたホテル名から、単純に“ビルダーバーグ会議”と呼ばれた。三日間の秘密議論の結果、新たなTrans-Atlanticシンクタンクが創設された。それは1954年以後、現在まで、最も効果的な組織の一つ世界の出来事に影響力があり、最も有害で秘密主義的組織の一つとなった。

ドイツ生まれのベルンハルト王配は、毀誉褒貶ある人物で、悪名高い猟色家で、国家社会主義ドイツ労働者党と、SS騎乗部隊メンバーだった。1976年、ベルンハルトは、アメリカの戦闘機メーカー、ロッキードから、オランダ空軍によるジェット機購入に影響を与えるよう百万ドルの賄賂を受け取って、告訴された。スキャンダルのおかげで、ベルンハルトが辞任を強いられた際に、ビルダーバーグ議長として後を継いだのは、当時のドイツ大統領、ヴァルター・シェールで、更に、ヘンリー・キッシンジャーの相談相手で、後にビジネス・パートナーとなったイギリスのキャリントン卿だ。そもそもの発端から、ビルダーバーグが世界政治における少年野球連盟でなかったのは明らかだ。

2014年 ビルダーバーグ・グループの情報の乏しい公式ウェブサイトには、その目的は単に“ヨーロッパと北アメリカ間の対話を醸成する”ことだと述べている。更に、金融、政治、産業、マスコミと学界から選ばれた約120人の参加者が、年に一度会合するとある。その規則で、三分の二は、ヨーロッパから、残りはアメリカとカナダから、総員の三分の一は常に政界と決められている。アメリカからのビルダーバーグ参加者は、常に外交問題評議会(CFR)メンバーだ。

得体のしれない淵源

不可思議で、驚くほど影響力のあるポーランド亡命人の、ビルダーバーグ初代議長ジョセフ・レティンガーによれば、ビルダーバーグ・グループは、1952年に“明らかになりつつある、西ヨーロッパに対するアメリカの不信の増大と、それに対応するアメリカに対する西ヨーロッパの同様な不信”に対応すべく、レティンガーが作り出した構想に由来する。要するに、その狙いは、西ヨーロッパとアメリカ合州国の戦略的政策の方向をしっかり調和させることだった。問われるべき重要な疑問は、どのような、誰の地政学的目標を追求する上での調和なのかだ?

ジョセフ・レティンガー

ジョセフ・レティンガーは、第二次世界大戦後西ヨーロッパの大西洋主義志向の構造を形作った最も影響力のある政治的人物の一人だ。アメリカ政府が支援する、現在、欧州連合と呼ばれている、ヨーロッパ合州国創設計画のためにロビー活動すべく、ストラスブール-を本拠とするヨーロッパ評議会を彼は創設した。彼は、CIAが資金提供するヨーロッパ運動や、CIAが資金提供するヨーロッパ青年キャンペーンも創設した。とは言え、彼の最も影響力が大きいプロジェクトは、ビルダーバーグ・グループを実現させ、彼の希望通り、世間の目からしっかり隠れて、その主要ヨーロッパ人理事、事務局長をつとめたことだ。

ビルダーバーグが形を表し始めた頃、朝鮮戦争もアメリカのマーシャル・プラン対ヨーロッパ支援も終わりつつあった。戦時、ジョセフ・ヒエロニム・レティンガーは、ロンドンで、ヴワディスワフ・シコルスキ将軍が首相をつとめる亡命政府の顧問として暮らしていた。レティンガーは、世界一般には事実上ほとんど無名だが、彼は戦後期、ヨーロッパとアメリカ合州国で、最も影響力のある黒幕の一人だった。彼は教皇ともアメリカ大統領とも好きな時に、個別に会うことができた。ベルンハルト王配をお飾りの主役として働くよう選び、どのアメリカ人や、どのヨーロッパ人をビルダーバーグに招待するか選んだのも他ならぬ彼だった。

最初の1954年ビルダーバーグ会議のアメリカ運営委員会メンバーには、ロックフェラーとつながるカーネギー国際平和基金理事長のアメリカ人議長ジョセフ・E・ジョンソンがいた。他には、第二次世界大戦、ロンドンで、ドイツの都市と一般市民に対する、イギリスとアメリカによる爆撃の効果を分析する戦略爆撃調査局長をつとめていたジョージ・ボールもいた。

アメリカ・ビルダーバーグ運営委員会には、食品企業グループ・オーナーで、ジョン・ケリーの妻の父、H. J. ハインツII、国務省のマーシャル・プラン・コンサルタント、ジョージ・ネボルシン、当時ロックフェラー財団理事長で、後に国務長官になったディーン・ラスクもいた。

しかし、アメリカ側のビルダーバーグ・グループを本当に動かしていた黒幕は、新たに設置された中央情報局(CIA)初代長官、ウォルター・ベデル・スミス大将だった。1950年、スミスはCIA長官になった。CIAは、ビルダーバーグ会議を組織し、形成し、運用するのを支援した。

1952年末、レティンガーはビルダーバーグ構想をアメリカ側の知人に打診するべく、アメリカに行き、アヴェレル・ハリマン、デイヴィッド・ロックフェラーと当時のCIA長官ベデル・スミスと会った。レティンガーが提案を説明した後、スミスは“一体どうして、最初に私の所にこなかったのかね?”と言ったと言われている。CIA長官は、そこでレティンガーに、これからアイゼンハワー大統領の心理戦争特別顧問、アイゼンハワーのペンタゴンとCIA間の連絡係になる所だったC. D. ジャクソンと会うよう勧めたのだ。viii。

1954年の最初のビルダーバーグ会議参加者には、現代では唯一のビルダーバーグ “諮問団”メンバー、デイヴィッド・ロックフェラーもいた。国務省幹部ポール・ニッツェ。また、ガードナー・コウルズ、アメリカ・メディア界の大物、ルック誌創設者、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)を設立したアメリカ・プロパガンダ省、戦争情報局副長官。ロックフェラーの親密な仲間である、J.P.モルガン銀行の頭取ネルソン・D・ジェイもいた。

最初のビルダーバーグ参加者には、当時のアイゼンハワー冷戦の立案者、C.D.ジャクソン、イタリア首相のアルチーデ・デ・ガスペリ、元フランス首相アントワーヌ・ピネーもいた。ピネーはやがて、ビルダーバーグの長期計画を形作る決定的人物となる。

レティンガーは、ビルダーバーグ・グループを、単に“ヨーロッパと北アメリカ間の対話を醸成する”ために設立したと発言している。これは一般向けの上辺だ。実際は、戦後ヨーロッパの最も反動的な組織を引き入れ、それを、最も強力な戦後アメリカのロックフェラーや、ハリマン財閥家族や、連中の勃興しつつある“アメリカの世紀”と結びつける極めて陰険な仕組みを作り上げたのだ。ビルダーバーグ・グループアメリカの世紀が、戦後のバチカン地政学によって大きく影響されるのを担保するものだった。1954年の最初の会合は、ウォルター・ベデル・スミスのCIAにより資金提供され、それ以降の会合は冷戦中のCIAにとって親密な同盟者、フォード財団により資金提供を受けた。

ル・セルクル-バチカン-ロックフェラー同盟

1954年以来の年次ビルダーバーグ会議の途方もない権力と影響力の鍵は、秘密汎ヨーロッパ主義組織の公表されていない役割、当時ル・セルクルとして知られ、時にセルクル・ピネーと呼ばれる、ビルダーバーグを形成する上で、ビルダーバーグ創設者レティンガーの親しい友人、フランス首相アントワーヌ・ピネーのネットワークが演じた極めて重要な役割のおかげだ。

ピネーのル・セルクル(集団というフランス語)は、ドイツBNDとBfV、イギリスのMI-6、フランスのSDECE、オランダのBVD、ベルギーのSurete de l’Etatや、スイス、更には、サウジアラビア諜報機関や、アパルトヘイト南アフリカのシークレット・サービス、BOSSを含む大半のヨーロッパ諜報機関を密かに結びつけるリンクだった。ピネーと、ル・セルクルに関係した著名政治家には、フランツ・ヨーゼフ・シュトラウス、オットー・フォン・ハプスブルク、コンラート・アデナウア、イタリアのジュリオ・アンドレオッティ、後に大統領にまでなった保守主義者、ポルトガルのアントニオ・デ・スピノラ将軍、マーガレット・サッチャーとロナルド・レーガンなどがいる。

アントワーヌ・ピネーの集団ル・セルクルは、ビルダーバーグ計画が始まる二年前の1950年に、ピウス12世教皇により、カトリック教会幹部の最終承認を得ていた、強力かつ極右のローマ・カトリック信徒の組織オプス・デイともつながっていた。この組織は、2003年のダン・ブラウンによる歴史小説『ダビンチ・コード』の主題として、彼らにとっては不快なほど有名になった。

ル・セルクルの後の業績には、反労働党の右翼首相マーガレット・サッチャーをまんまと権力の座につけた1979年のイギリス選挙操作もある。これは、ル・セルクルの主要メンバー、サー・ブライアン・クロージャー、MI-6のトップ、アーサー・フランクス卿と、MI-6部長、ニコラス・エリオットが行った。

亡くなったバイエルン政治の大物、“バイエルンのライオン”フランツ・ヨーゼフ・シュトラウスは、回想録で、二人が1953年に初めて会って以来、ル・セルクルのアントワーヌ・ピネーと友好を保ったと書いている。ドイツ国内のル・セルクル・ネットワークは、失敗はしたが、ドイツ首相へのシュトラウス立候補を推進した。1955年、シュトラウスは、ビルダーバーグ会議正会員にもなった。

ポーランド生まれのローマ・カトリック教徒のビルダーバーグ創設者ヨセフ・レティンガーは、アツィオーネ・カトリカ(カトリック行動団)のトップで、CIA手先のイタリア人、ルイジ・ゲッダ教授の仲介で、ヨーロッパのビルダーバーグ・ネットワークを組織した。ゲッダは、第二次世界大戦前に、エウジェニオ・ジョヴァンニ・パチェッリ枢機卿として、1933年、ヒトラーのナチス党とのライヒスコンコルダート(政教条約)立案者だった極めて強硬な右翼反共教皇ピウス12世教皇の医学顧問でもあった。既に1932年、パチェッリは、バチカン国務長官として、ローマ・カトリック教徒のドイツ首相フランツ・フォン・パーペンを、カトリック中央党を反左翼同盟に向けさせ、ヒトラーの国家社会主義ドイツ労働者党に加わるよう説得する上で主要な役割を果たしていた。

聖職者ファシズムとピウス12世

教皇として、ピウス12世には明らかな政治的偏向があり、それは、フランコのスペインや、スピノーラのポルトガルなどの教会とファシスト、独裁政権の融合、一部の人びとが聖職者ファシズムと呼ぶ、聖職者、あるいは名目だけのローマ・カトリック教徒ファシスト、極端に弾圧的な右翼政権に対する支持だった。

第二次世界大戦中、ピウス12世は、新たに独立を宣言したクロアチア国指導者、ローマ・カトリック教徒アンテ・パヴェリッチの聖職者ファシスト親ヒトラー政権を非難することを拒否した。カトリック信仰を奉じることを拒んだ正教セルビア人虐殺のことを、カトリック聖職者に知らされたピウス12世は、“虐殺に参加した”クロアチア聖職者メンバーのリストを持っていたにもかかわらず、パヴェリッチ政権を非難せず、関与した聖職者の処分もしなかった。それどころか、ウスタシに協力したかどで告訴されたクロアチア人大司教アロイシウス・ステピナチを枢機卿に昇格させた。

実際、レティンガーのヨーロッパ・ビルダーバーグ・ネットワークは、バチカンのピウス12世、オプス・デイ、スペインのフランコ政権、ピノーラ将軍のポルトガルや他の無数のヨーロッパ右翼反共ネットワークを含む極右ヨーロッパ反共ネットワークを、デイヴィッド・ロックフェラーのネットワークと彼本人を経由し、強力なロックフェラー・グループ周辺の勝ち誇るアメリカ・エリートと結びつけたのだ。これは戦後ヨーロッパ社会と政治の進展に大きな影響を与えた政略結婚だった。

フランシスコ教皇と‘移民’私には言葉しかない…

このビルダーバーグの本当の歴史を背景に、今問われるべき疑問は、史上初のイエズス会教皇、フランシスコ教皇が、ピウス12世の重い足音に習うか否かだ。彼は、昨年のシリアや北アフリカからの膨大な戦争難民流入を支持することで、ヨーロッパにおける事態を意図的に掻き立てようとしている。

単語は、人間のコミュニケーションの本質的要素で、それが他者に伝えるエネルギーは極めて複雑だ。単語と文脈次第で、否定的エネルギー、憎悪のエネルギーを伝えることができる。取るに足りない中立的なエネルギーを伝えることもできる。愛や調和、平和のエネルギーを伝えることもできる。もし、単語を非常に正確に操れる地球上に組織があるとすれば、それはフランシスコ・ローマ教皇の母体組織イエズス会だ。過去三年間の中東やアフリカやEUにおける人びとの崩壊に関する彼の無数の公文書を解読する際に、これは重要だ。

現在のEU危機、それは実際危機なのだが、それに関し、曖昧に使われている三つの単語がある。“難民”という単語は、法的に“戦争、迫害、あるいは自然災害から逃れるために自国を去ることを強いられた人”と定義されている。更に関連する単語“亡命希望者”は“政治難民として母国から去り、他の国への亡命を求めている人”と定義されている。三つ目が、フランシスコ・ローマ教皇と、2016年のドレスデンにおけるビルダーバーグ会議の双方が用いた、背後の概念が全く異なる単語、つまり“移民”という単語だ。移民は“仕事やより良い生活条件を探すため、ある場所から他の場所に移動する人”と正確に規定されている。戦争、政治的迫害や生命に危険な災害に関する言及は皆無だ。

明らかにそうではないものを、南部からEUへの移民と呼ぶことで、単語は、この移民の背後にある原因、つまりアメリカ-イギリス-フランスが引き起こした一連の戦争、石油、そして今やガス支配のための戦争、ヒラリー・クリントンが当初アラブの春と呼んだリビア、エジプト、チュニジア、シリアでの戦争を完全に曖昧にしている。過去十五ヶ月に、トルコからEUに流れ込んだ百万人以上の人々は移民ではない。彼らは戦争難民なのだ。

彼らを移民と呼ぶことで、メルケル政府やドイツ連邦移住・難民庁(BAMF)が行う法的手順に疑問を投じる人を、暗黙のうちに、ことごとく人種差別主義者や、頑迷固陋にしてしまうのだ。小生に伝えられた信頼できる調査報告によれば、ドイツ連邦移住・難民庁(BAMF)は、2014年11月以来、公的理由も国民に対する告知も無しに、難民(亡命希望者ではなく)に対する規則や政令を放棄したという。興味深いことだ。

“構造的な現実?”

2016年1月17日の教皇メッセージで、教皇はこう述べた。“現在、移住の流れは世界中で増大し続けています。…移住の流れは、今や構造的な現実です。わたしたちに課せられた第一の課題は、緊急事態を乗り切り、移住の原因とそれに伴う変化、さらには新しい住人が社会や人々に与える影響を考慮した上で計画を立てることです。” 彼は続ける。“聖書における啓示は、異邦人を受け入れるよう促しています。それにより神への扉が開かれ、他の人々の顔にイエス・キリスト自身の姿が現われると伝えています。”その見知らぬ人が、あなたを殺そうとしたり、あなたの娘を強姦したがったりしたらどうだろう?

これらは実際素晴らしいお言葉だ。これは戦争難民のドイツや他のEUへの殺到という実際の破壊的な現実を完全に無視している。フランシスコ教皇は、彼の膨大な影響力を、平和をもたらし、シリア国内の全国内政党の和解、ISIS、アルカイダ/ヌスラ戦線や他の世界最古の文化の一つを破壊しているテロの非難、多宗教世界に注力するのではなく、ヨーロッパ人に、心と、家までも“移民”に対して開くよう説くことを選んだのだ。この文脈で、私が最初に述べたように、今年のドレスデンでのビルダーバーグ会議が、論議で、難民危機ではなく“移民”と呼んだのは極めて重要だ。少なくとも、この点に関しては、教皇もビルダーバーグ計画者連中も、全く同じ楽譜を歌っているように見える。

1月6日、公現祭日のメッセージで、この同じ教皇が、教皇ビデオを公表し、その中で、事実上、ワンワールドの宗教を作り出すよう呼びかけた。“多くの人が様々な考え方をし、様々な感じ方をし、様々なかたちで、神を求めたり、神に会おうとしたりしています。この中で、様々な宗教の中で、一つだけ確実な全員が共有することがあります。我々全員、の子です。”

数日後の2016年1月11日、バチカン外交団への演説で、フランシスコ教皇は、ヨーロッパは、安全や、文化を犠牲にすることなしに移民を受け入れるつもりだと主張した。彼は、“我々が直面している深刻な移民危機”に言及して、迫害から逃れる難民と、貧困から逃れる難民の国際社会による差別を批判した。この移民危機に対する各国独自の解決策を見出そうとする様々なEU諸国の取り組みを彼は非難した。“各国がした判断の結果は、必然的に国際社会全体に影響をもたらすのですから、個々の国家が追求する自立した解決策の余地はありません。実際、移民は、これまで以上に、我々の世界の将来において、極めて重要な役割を演じることになるでしょう。”

フランシスコ教皇とは違い、国家主権や、個人の自主性が重要であるのと同様、国境は大いに重要だと私は断固信じており、実際、我々の存在、我々個人の主権、我々の国家主権の必要かくべからざる要素なのだ。我々人間は、それぞれがかけがいがないのだ。我々は個性の無い不定形の塊ではない。私の考えでは、こうした違いは侵すべからざるものだ。イエズス派教皇の言葉ではそうではない。あらゆる戦争や深刻な騒乱のある我々の世界は、フランシスコ教皇が、我々をそう信じさせようとしているような、平和とキリスト教の慈善があらゆる障害を克服する涅槃の境地ではない。将来はそうなるかも知れないが、既にそうであるふりをするのは、隠された狙いを偽って語るものだと私は思う。

デイヴィッド・ロックフェラーは、彼と彼の同類が全ての人類の頂上に位置する、実にむかつく思想、ワン・ワールド・オーダーのあからさまな支持者だ。そのような単一の経済世界にするため、我々は国境を解消せねばならないのだ。もしEU指導者が、同意するほど、強烈な自殺願望を抱いていればだが、環大西洋貿易投資連携協定主にそのために仕組まれている。更に全世界を支配するためには、つくりものの新宗教が必要だ。強制的な難民危機は、国境や歴史的民族文化、国民文化をぼやかすために仕組まれている。

教皇のあらゆる素晴らしい演説や、ビルダーバーグ談話の背後には、建前で語られている以上のものがある。単語“Jesuitical(形容詞:「イエズス会の」)”の通常の用法が、“巧妙な、あるいは余りに巧妙な論法を用いる人; 狡猾な; 陰険な; 興味深い”を意味しているのも故無いことではない。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:http://www.williamengdahl.com/englishNEO17Dec2016.php
----------
TPPは巨大資本による世界支配の極致。資本を自由に移動させ、関税や、非関税障壁を廃絶して、利益を極大化させる。移民推進も労働力コスト削減対策なのだろうか?

MESSAGE OF HIS HOLINESS POPE FRANCIS
FOR THE WORLD DAY OF MIGRANTS AND REFUGEES 2017 [15 January 2017]
https://w2.vatican.va/content/francesco/en/messages/migration/documents/papa-francesco_20160908_world-migrants-day-2017.html
を読んでみると、本当に、migrantばかり。

カトリック中央協議会の日本語翻訳をみると、題名のみならず、話の中で何度か「難民」という言葉があらわれる。誤訳ではなく改変ではと不思議に思う。

ローマ教皇公文書>世界難民移住移動者の日
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/doc/mgrt/16mgrt.htm

全世界を支配するためには、つくりものの新宗教が必要だ。強制的な難民危機は、国境や歴史的民族文化、国民文化をぼやかすために仕組まれている。というくだりで、日本の新興宗教、国家神道を連想した。

祖父から教えられた「ヤスクニ」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/96143

あの神社は長州神社。

関連するので、IWJ、本日の中継番組表を一部コピーさせていただこう。

**2017.1.1 Sun.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJが選ぶ2016年重大ニュース振り返り再配信10・Ch1】12:00~「【日本会議】岩上安身による『日本会議
戦前回帰への情念』著者・山崎雅弘氏インタビュー」
UST視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
ツイキャス視聴URL: http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi
※年末年始特別配信として『IWJが選ぶ2016年重大ニュース振り返り再配信』をおこないます。

【撮り下ろし初配信!・Ch1】18:30~「つくられた『神道』戦後最大のドグマを解体する! 岩上安身による島根大学・大阪工業大学名誉教授
井上寛司氏インタビュー 1日目 古代編」
UST視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
ツイキャス視聴URL: http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi
※2016年11月22日に収録した岩上安身による井上寛司氏インタビュー 古代編を撮り下ろし初配信します。

明治維新という幻想』と『赤松小三郎ともう一つの明治維新 テロに葬られた立憲主義の夢』を読んでいる。

最近読んだ『漱石のこころ その哲学と文学』で、『坊ちゃん』は単なる田舎活劇ではなく、様々な単語のシンボルを駆使した、明治政権支配者批判だったと知ってびっくり。実に大胆な行動。漱石は、日露戦争にわく時代に、『三四郎』の登場人物に「滅びるね」と言わせている。

『明治維新という幻想』には、非合法出版の当時の錦絵は、様々な図柄や言葉のシンボルから、新政府批判、徳川政権擁護の気分が強かった当時の庶民の見方を反映しているとある。

『明治維新という幻想』、宗主国の巨大通販サイトをみると「陰謀論」とこきおろしている書評がある。良い本だとお墨付きをいただいたと勝手に解釈する。

明治の歴代首相を出身県を並べて書いた表に唖然とした。山口が圧倒的。

『明治維新という幻想』とそのまま内容的につながっていると思える『赤松小三郎ともう一つの明治維新』宗主国の巨大通販サイトをみると、不思議にも、もっともな絶賛。

150年前の赤松が考えた憲法案と比較すると、自民党改憲案は遥かに劣る。

うさんくさい「明治維新」。そこから言葉を借用している政党がうさんくさいのも当然に思えてくる。

林学がご専門の学者が、日本の歴史に関する素晴らしい本をかかれているのは、『私の闇の奥』の藤永茂氏が、物理学者でおられながら『アメリカ・インディアン悲史』や『アメリカン・ドリームという悪夢―建国神話の偽善と二つの原罪』という本を書いておられるのと似ている。専門でないがゆえに、自由な発想で、忌憚ない意見がかけるのではあるまいか。素晴らしいブログを書いておられるという点も共通。

林学がご専門の学者ながら『自由貿易神話解体新書―「関税」こそが雇用と食と環境を守る』という本も書いておられる。これも素晴らしい反TPP論。この「関税」の問題は、『赤松小三郎ともう一つの明治維新』でも触れられている極めて重要な主題だ。

« 2016年12月 | トップページ | 2017年2月 »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ