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2016年12月22日 (木)

欧米がロシア大使暗殺者を動かした

2016年12月20日
Finian CUNNINGHAM
Strategic Culture Foundation

アンカラにおけるロシア大使アンドレイ・カルロフの残酷な殺害は、世界中に衝撃波を送った。トルコの首都にある写真画廊で講演中のカルロフを背後から銃撃した殺し屋によるテロ行為に対し、アメリカ政府やヨーロッパの国々が非難声明を出した。

ホワイト・ハウスは“憎むべき攻撃”と呼ぶものを非難し、フェデリカ・モゲリーニ欧州連合外務・安全保障政策上級代表は、殺害後、ロシアとの連帯を誓った。

ある見出しはこうだ。‘EU、アメリカ、駐トルコ・ロシア大使殺害に衝撃’。

シリア紛争を巡るアメリカやEUによる何カ月もの執拗ないわれのないロシア中傷からして、大使殺害に関する連中の非難を耳にすると“ワニの涙”という常套句を思い出す。

この惨事と同日、月曜日、わずか数時間後、ドイツの首都ベルリンで起きた、パキスタン人亡命希望者が大型トラックを、大勢で賑わうクリスマス・マーケットに突進させ、少なくとも12人を殺害し、約50人を負傷させて、二つ目のテロ攻撃らしきものが起きた。両方あいまって、二つの出来事が、ヨーロッパ中の安全保障対策を強化させた。ヨーロッパ諸国が暴力の種を蒔いている罪からすれば、またしてもの残酷な皮肉だ。

カルロフ(62歳)氏は40年の経験をもつ熟練外交官で、2013年にトルコ大使となった。シリアの都市アレッポの戦場から一般市民と戦闘員を避難させる手配とりまとめを狙うロシア、イランとトルコの最近の政治対話を推進すべく、彼は舞台裏で巧妙に活躍していた。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領も、カルロフ暗殺は、 シリア紛争の政治的解決を見出すための進行中の機微な交渉を頓挫させる“挑発”だと宣言した。この交渉は、殺害の翌日、火曜日に両国とイランの外務大臣が、モスクワで、予定通り会合して進んでいる。

アメリカと、そのヨーロッパの同盟諸国は、ロシア、イランとトルコ間の交渉から、露骨にはずされている。欧米諸国は、反政府戦闘員の様々な派閥に資金提供し、武器を与えている、シリアにおけるほぼ六年間の戦争の当事者であるにもかかわらず。

クレムリンからのテレビ放映された演説で、プーチン大統領は“殺し屋の背後に一体だれがいたのか”を見つけ出すためのカルロフ大使殺害事件捜査が必要だと述べた。

写真画廊を急襲したトルコ特殊部隊に即座に殺害された銃撃犯は、22歳のアンカラ機動隊の非番隊員、メブリュト・メルト・アルトゥンタシュだ。殺人事件現場に居合わせて生き残った人たちがとったビデオ映像で、カルロフ大使が床に横たわり亡くなっている中、殺人犯はアレッポの人々への支援を宣言し“アラー・アクバル”(“神は偉大なり”)… “これは、アレッポの報復だ”と叫んだ。

後にトルコ当局は、銃撃犯は、先に7月のクーデター未遂を引き起こしたかどで非難されているギュレン運動とつながっていると主張した。この動きは、機動隊員と、シリア国内のイスラム主義テロリストとの間の、ばつの悪いつながりであろうものを隠すはずの、トルコ政府による陽動作戦の可能性がある。

ロシア議員の中には、カルロフ殺害は、アメリカが率いるNATO軍事同盟が画策した可能性があるとまで主張するものもいる。先週の、ロシア、イランとレバノン軍という同盟諸国による支援を得たシリア軍によるアレッポ解放は、シリアにおいて政権転覆のための秘密戦争を推進しているNATO列強の戦略的敗北という結果になった。

週末には、NATO加盟諸国からの数人の特殊部隊要員が、アレッポでシリア軍に捕獲されたという報道まで現れた。おそらくは聖戦テロリストの訓練と指揮のため、アレッポに、NATO要員がこっそり駐留していたことは、シリア国内で戦争を遂行することでの、欧米の犯罪陰謀の確固たる証拠となろう。

カルロフ大使を撃った殺人警官がNATO諜報機関の指示の下で動いていたのかどうかはまだわからない。

とはいえ、たとえ彼が独自に行動したにせよ、欧米諸国政府とマスコミには、“彼の手を導いた”厄介な責任があると言えるだろう。

国連の潘基文事務総長、アメリカ、イギリス、フランスやドイツからほとばしりでる非難の中には、ジョン・ケリー・アメリカ国務長官や、サマンサ・パワー・アメリカ国連大使による発言がある。アンドレイ・カルロフ殺害のわずか数日前、欧米諸国や国連幹部連中は、アレッポを奪還するためのシリアによる攻勢の際、ロシアは戦争犯罪をおかしていると主張する激しいマスコミ・キャンペーンをしかけていた。

ジョン・ケリーは、アレッポにおける彼が“大虐殺”と呼ぶものを非難した。サマンサ・パワーは、国連安全保障理事会で、ロシアは“恥を感じる能力がない”と激しく非難し、アレッポで、女性や子供が処刑されているという無責任で、根拠のない主張まで言いふらし、ほとんどヒステリー状態だった。

欧米諸国政府とマスコミによる、何カ月も続く非難のクレッシェンドは、先週アレッポが最終的に、シリア軍と同盟諸国によってとうとう奪還された際に頂点に達した。包囲されている東アレッポを抑えているテロ集団とつながる怪しげな情報源を引用し、欧米は、一般市民に対する迫害者で、人類に対する犯罪をおかしていると、ロシアを悪魔化した。

アメリカ、イギリスとフランスの外交官は、ロシアと同盟国シリアを、ナチス・ドイツと、スペインのファシスト、フランコによる侵略になぞらえ、歴史的類似をとんでもなく歪曲している。

シリアのロシア領事館が戦闘員のロケットの標的にされた際、欧米諸国が、こうした甚だしい違反を非難するのを拒否したことも想起しよう。イギリスのボリス・ジョンソン外務大臣が、ロンドンのロシア大使館前での大衆抗議行動を促したことも想起しよう。アレッポで、移動病院に対するテロ・ロケット攻撃で、二人のロシア人看護婦が殺害された際、欧米諸国が、非難せずに、沈黙をたもったことも想起しよう。欧米諸国政府やマスコミが、無数の微妙なやり方やら、さほど微妙でないやり方によって、ロシアを、攻撃に値する悪党に仕立て上げたのだ。

非難のクライマックスは、先週、アメリカ政府や、アメリカの欧米同盟諸国と国連 - 全員が、疑うことをしない欧米マスコミが誇張した - 東アレッポにおける一般市民殺りくとされるもので、ロシアを中傷して途方もない高みに達した。アメリカ大使サマンサ・パワーは、とりわけ、シリアとロシアの軍により、子供たちが地下で殺害されているという裏付けのない報道を引用した。

欧米のヒステリーとはうらはらに、アレッポ一般市民の何万人もの平穏な避難が実際に進行中だ。欧米や国連の幹部が叫び続けている、いかなる虐殺や、人類にたいする犯罪の証拠も皆無だ。逆に、多数の一般市民は、欧米が支援する戦闘員が四年間押しつけていた恐怖の支配から、シリアとロシアの軍により解放された安堵と感謝の念を表明している。

事実上、欧米公式情報筋が、アレッポ、そしてシリア戦争全般について語り続けてきた全てが、奇っ怪なウソに見える。

アンドレイ・カルロフの死後、ロシア国会議員で外国問題委員会委員のアレクセイ・プシコフが、アレッポにおける出来事にまつわる欧米のヒステリーとでっち上げが、ロシアに対する異常な憎悪という雰囲気を醸成したのだから、欧米に責任があると語ったのは正しい。

トルコ人暗殺者は、拳銃をカルロフに狙いを定めた時、“アレッポで殺された一般市民”を追悼しての行動だと宣言した。だが一体誰が、彼に、ロシアが“報復”の正しい標的だというイメージを与えたのだろう? 彼の頭を、アレッポにおける一般市民に対する殺りくと恐怖という(偽の)イメージで一杯にしたのは一体だれだろう?

こうした疑問に誠実に答えれば、結論は、欧米諸国政府、外交官やマスコミが、アンドレイ・カルロフ大使殺害の銃を向けさせたということになる。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/12/20/west-directed-killer-hand-assassination-russian-ambassador.html
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この記事の後のドイツ警察発表からすれば、ベルリン・テロ攻撃犯人に関しては、この記事は正しくない。それで、全体の趣旨が正しくないことにはなるまい。

スティーヴン・レンドマン氏は、ベルリン・テロは偽旗作戦の可能性があるという。
Berlin’s Christmas Market Incident a Likely False Flag

Sputnikに下記記事が掲載されている。ヌスラ戦線は、欧米が財政、武器支援しているテロ集団だから、声明が真実であれば、まさに、筆者の指摘通り。

ロシア大使殺害テロ、「ヌスラ戦線」が犯行声明
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/politics/201612213164965/

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