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2016年12月 7日 (水)

トランプの人事

Paul Craig Roberts
2016年12月2日

人事は一体何を意味しているのだろう?

ご説明をする前に、説明とは一体何かを明らかにしておこう。説明は、正当化ではない。アメリカにおける教育の崩壊はあまりに酷いので、多くのアメリカ人、特に若者は、説明と、擁護のための弁護、正当化、つまり彼らが有罪の人物、あるいは有罪の党派と見なすものに対する弁明との違いが理解できない。もし説明が酷評でなかったり、連中が酷評して欲しい相手を、十分に酷評しなかったりすると、その説明は、連中が軽蔑する対象の弁明と受け取られる。アメリカでは道理と客観的分析は感情の二の次なのだ。

政権を編成するという課題に直面した際、トランプが気づいたように、任用すべき連中はインサイダーしかいないということ以外、閣僚任用が何を意味しているのか我々にはわからない。大筋では正しい。アウトサイダーは、彼らを食い物にするインサイダーには到底かなわないことが多い。ロナルド・レーガンのカリフォルニア州仲間は、ジョージ・H・W・ブッシュのインサイダーには到底かなわなかった。レーガン政権の連中は、レーガンが望む結果をもたらすのに大変な苦労をした。

政権を編成する大統領の能力に対するもう一つの制限は、大統領任用者の上院による承認だ。議会では、共和党が権力を握っているが、議会は、依然、敵対する可能性がある任用者から、自分たちの狙いを守ろうとしている既得権益集団の手中にある。それゆえ、トランプが議会で、党派的反対に直面することはないにせよ、議員の政治活動に資金を提供する既得権益集団の力には直面する。

ホワイト・ハウスが、私の財務次官補任用を発表した際、ボブ・ドール共和党上院議員が、私の任用を保留にした。なぜか? ドールは、大統領になる野望を抱いており、輝ける新人、ジャック・ケンプ共和党上院議員を潜在的な障害物と見なしていた。レーガンの経済政策になったケンプ-ロス法案を私が書いたので、ドールは、財務省内の私をケンプのための要員と見なしたのだ。こういう具合に、あらゆる種類の動機が、政権を編成する大統領の能力を妨害しかねない。

就任前に猛攻撃されているトランプは、承認の戦いを長引かせて、敗北している余裕はない。

トランプがスティーブ・マヌーチンを財務長官に選んだのは、ゴールドマン・サックスが、またしてもアメリカ経済政策を担当することを意味しているのだろうか? その可能性はあるが、我々にはわからない。しばらく様子をみるしかあるまい。マヌーーチンは、ゴールドマン・サックスを14年前に辞めている。彼はハリウッドで映画を制作し、自分の投資会社を起こした。ゴールドマン・サックスや、ニューヨークの銀行で働いていた経験をもっていて、銀行の痛烈な批判者になっている人々は何人もいる。ノミ・プリンスの本を読み、パム・マーテンスのウェブ、「ウオール街・オン・パレード」( http://wallstreetonparade.com )をご覧願いたい。私と何度か一緒に文章を書いているディヴ・クランツラーも、元ウォール・ストリートの人間だ。

評論家たちは、任用される人々の過去のつながりをもとに結論を急いでいる。マヌーチンは早くからのトランプ支持者で、ランプの選挙資金対策本部長だった。彼は、ウオール街と、投資の経験がある。彼は簡単に承認されるはずだ。攻撃されている次期大統領にとって、これは重要だ。

マヌーチンは、中流階級の雇用を、アメリカに取り戻すというトランプの目標を支持するだろうか? トランプ自身本気なのだろうか? 我々にはわからない。

我々が知っているのは、パット・ブキャナンや、ロス・ペローがしたのと同様、トランプが、偽の“自由貿易”協定がアメリカから中流階級の雇用をはぎ取ったと攻撃したことだ。クリントン夫妻が、アメリカ雇用の海外移転で儲けた唯一の連中である、1パーセントの代理人としてその富を築いたことを我々は知っている。トランプの財産は、雇用の海外移転によるものではない。

全ての億万長者が、ひと握りの支配集団メンバーというわけではない。トランプの金融業界との関係は、債務者としてのものだ。トランプと銀行が満足のゆかない関係だったことは疑いようがない。そしてトランプは復讐を楽しむ人間だと言っている。

国家安全保障顧問と、国防長官と発表された、怒りっぽい将官たちはどうだろう? いずれもイランの死のように見え、愚かで、不幸なことだ。しかし、フリン中将が、DIAの助言を拒否し、アサド打倒のためにISISを送り込んだことでオバマ政権を内部告発した人物であることに留意しよう。フリンは、ISISは、オバマ政権の“意図的な決定”によるものであって、予想外の出来事ではないと述べている。

マティス大将は、トランプに、拷問は有効ではないと言った人物であり、それでトランプが拷問支持を取り消したということにも留意しよう。

この二人の将官とも酷い連中かもしれないが、これまでよりは進歩だ。二人とも、ISISと拷問を支持するネオコンからの自立を示している。

インサイダーといっても、二種類いることにも留意願いたい。既得権益の狙いを代表している連中がいる。国事に参加するのを喜んで、流に竿さす連中もいる。時代の流れに竿さおささない人々は、参加者から排除される。

ゴールドマン・サックスは、金持ちになるには良い場所だ。マヌーチンが14年前に退職したのは、彼がゴールドマン・サックスには合わず、会社が彼を好かなかったのか、彼が会社を好かなかったことを意味しているかも知れない。フリンとマティスが、ISISと拷問に、独自の立場を取ったことは、二人が一匹狼であることを示唆している。この三人の任官者全て、強く、確信を持った、その分野を理解している、大統領が何かを達成するつもりであれば必要な人々のように見える。

政権が始まり、実績を出す前に打ちのめすことの問題は、政権があらゆる批判に耳を閉じてしまう結果になりかねないことだ。新大統領に機会を与え、主要な問題で、圧力を強めて従わせる方がずっとましだ。

あらゆる大統領候補の中でトランプだけが、ロシアとの対立醸成は無意味だと言った。トランプだけが、ソ連崩壊後25年たっても、NATOが存在し続けているのを疑問視した。

トランプだけが、中流階級の雇用をアメリカに取り戻すようにつとめると言ったのだ。

トランプは、移民法を施行するつもりだと言った。これは人種差別だろうか、それとも、国籍の擁護なのだろうか? もし、違法外国人と国民の違いがないのなら、アメリカが一体どうして国だろう?

あらゆる党派の解説者たちが、ロシアとの和平、中流階級の雇用復活、国境の尊重で選挙運動した唯一の政権を事前にくさすという過ちをおかしている。こうした約束をとらえて、トランプ政権にそれを守らせるべきなのだ。我々は、トランプに環境悪化の深刻な悪影響に気づかせるという努力もすべきなのだ。

こうした機会を破壊しているのは一体誰だろう? トランプか? マヌーチンか? フリンか? マティスか?

それとも、我々だろうか?

トランプが批判されれば批判されるほど、ネオコンが支援を申し出て、政権にはいりこむのが容易になる。これまでのところ、彼はまだネオコンを任免していないが、イスラエルが、ネオコンを押し込もうと激しくロビー活動しているのは確実だ。ネオコンは、マスコミ、シンクタンクや、大学の外交関連学部や外交政策界で依然君臨している。彼らは絶えず存在する危険なのだ。

トランプの性格からして、彼は大統領の座を自分の個人的財産を殖やすのに利用するよりも、アメリカの衰退を逆転させる大統領であることをより楽しむ可能性が高い。だから、血塗れの街頭革命から始まるものより、トップから起きる変化に、多少希望があるのだ。アメリカ国民の認識が革命段階に近づいた頃には、警察国家は国民にとって、手強すぎる状態になっている可能性が高い。

だからトランプ政権に機会を与えよう。彼が我々を裏切ったら、彼を攻撃することができるのだから。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。

寄付のページはこちら

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/12/02/trumps-appointments-paul-craig-roberts/
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筆者ご本人は、コメント欄のアラシが嫌いで、コメント欄を設けておられない。
(当ブログでも、コメント欄には、アラシ書き込みがある。全て外国勢力。バイアグラ類の通販サイト・リンクを載せた低劣ないやがらせ。幸い、自動的にゴミとして処理されるので、選別削除する手間はかからない。)

InformationClearinghouseにも、この同じ文章が掲載されている。
http://www.informationclearinghouse.info/article45962.htm

InformationClearinghouseには、コメント欄があり、既に多くコメントが書かれている。
大多数は、趣旨に賛成のようだ。
中には、Paul Craig Roberts氏が嫌悪しておられる、「レーガン保守主義」とレッテルを貼った上で、賛成できない、という意見もある。
あるいは、ひいきのひきたおしではという意見もある。

宗主国トップに一喜一憂するより、まず属国の永久売国政策を正すことが先。
TPPを否定するトランプが主張するFTA、TPPを超えた恐ろしいものになりかねない。

TPPの問題点、醍醐聰氏や、西尾正道医師がTPP特別委員会説明してくださっている。

12/2 TPP特別委員会 醍醐聰(東京大学名誉教授)さんの口述を文字に起こしです!
http://ameblo.jp/sumirefuu/entry-12225264393.html

12/2 TPP特別委員会 参考人 西尾正道さんの口述を文字に起こしたものです!是非お使い下さい
http://ameblo.jp/sumirefuu/entry-12225135093.html

大本営広報部、TPPのヨイショ報道、偽ニュースしか流さない。
日米FTAでもそうするのは確実だろう。
評判が酷かったトップを、発言に慎重なトップに変えるだけで、方向自体は変わるまい。

醍醐聰氏も、西尾正道医師も、IWJに登場されている。
大本営広報部で、こうしたインタビューを行った話、聞いたことがない。

【PPVアーカイブ】クロストークカフェ vol.7 郭洋春 × 醍醐聰 × 岩上安身 ~亡国の罠・TPPを語りつくす~(2013年6月14日収録)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/99536

【国会ハイライト】「自民党は息を吐くようにウソをつく」TPPは現代版の“戦争”だ――西尾正道・北海道がんセンター名誉院長が渾身の訴え!「医療が金儲けの道具になれば国民の健康は守れない」 2016.12.2
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/350207

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

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コメント

ヒラリー陣営の猛反撃が凄まじいそうです。
ソロス爺とヒラリーが結託して選挙人に圧力を掛けたり、買収したりと必死の工作を続けているという話です。

トランプ氏に対する人々の感情は様々ではありますが、それでもヒラリーよりは遥かにマシとしか言い様がありません。
ヒラリーだったら、これまでのオリガーキーによる支配体制が続くだけでは済まされない訳で、このグローバリズムの行き着く先は破滅でしかない事は明らかですからね。

ここへきてまたまた仰天発言、なんと、トランプ氏はFRBを解体すると宣言したそうです。
本来ならば、就任するまでは絶対に口に出してはいけない禁句であるにも拘わらず、ヒラリーとの違いを決定的に示すには必要だったのだろうとは思いますが、何とも凄い発言ではあります。

この属国としても、ヒラリーだったら最悪だったと思う私の考えは変っていません。
だからといって、トランプ氏を絶賛できるというのではなく、飽くまでもヒラリーによる破滅よりはマシという事です。

ただ私がトランプ氏でよいと思うのは、これまでの際限の無いグローバリズム、オリガーキーによる支配体制を切り崩す切っ掛けにはなるだろうと見ているからです。
これまでマスコミが垂れ流してきた情報の多くが嘘と捏造に塗れた偏向報道であった事を、全世界の人が知り、真実に目覚めるならば、それが世の中を正していく切っ掛けにはなるだろうと思うからです。

これまでの金融支配による社会の荒廃は余りにも根が深く、これを一足飛びに正すのは容易な事ではありませんから、段階を経て移行する必要がある訳です。
そういう意味で、トランプ氏の革命に近い改革は意味がある事だと思う訳です。

この属国にとっては、トランプ氏の登壇というのは戦々恐々とした部分があるのは確かです。
しかし私は、それでもヒラリーよりはマシだと思っています。
この属国にとっては、一見どちらも災いにしか見えませんが、同じ災いでも中身は大きく違うと感じているからです。
ヒラリーによる災いは致命的で破滅を齎すもので、人類の滅亡に至り兼ねないもの。
トランプ氏による災いは、世界中の人々を目覚めさせる為に必要な痛みの様なもの。

エコノミックアニマルと化し、この上もなく堕落し、白痴化した、この属国の愚民たちは、もはや生半可な刺激では目覚めません。
何れ何がしかの災いが必要なのだと私は気づきました。
それでも破滅的な災いは避けたいと思うのが人情というもの。
ならば災い転じて日本人の覚醒と致すのも一興と、もうここまできたらヤケクソというか、開き直ってみるのも悪くないのかも、と思い始めた今日この頃であります。

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