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2016年12月 4日 (日)

GLEXITの行進 - グローバリゼーションからの離脱

Wayne MADSEN
2016年11月25日

世界は、投票箱を通して、はっきり主張している。イギリスのBREXIT - イギリスの欧州連合脱退“賛成”投票から - 反グローバリゼーションのドナルド・トランプのアメリカ大統領選出に至るまで、世界は世界を均一化し、文化的アイデンティティ、宗教や、政治が重複する政府という不鮮明な超国家にすることへの反対をはっきり主張しているのだ。アメリカ大統領選挙は、選挙というより、グローバリゼーションの悪質な発現の全て、つまり自由貿易、国境開放や、不定形な国際組織への国家主権の従属に対する国民投票だった。

全ての大陸で、欧州連合や国際刑事裁判所から、北大西洋条約機構(NATO)、更には国連に至るまで、国際的な仕組みからの“離脱”に対する国民の支持が増大している。

今年8月、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、フィリピンを国連から脱退させると脅したのが、1965年に、インドネシアのスカルノ大統領が、インドネシアを見事に国連を脱退させて以来始めての、国連加盟国によるそうした脅威だった。

経済的、政治的グローバリゼーション擁護者連中は、アメリカ合州国におけるトランプ選出と、イギリスでのBREXIT投票成功のみならず、南アフリカや他のアフリカ諸国による、ハーグの国際刑事裁判所ICCからの脱退という決断によっても、大打撃を受けた。世界的なヘッジ・ファンドの悪人ジョージ・ソロスによって、強く影響されている国際裁判所は、アフリカによって、主としてアフリカ人指導者を戦争犯罪のかどで起訴することを標的にする、益々“国際白色人種裁判所”と見なされつつある。今年10月、南アフリカが、ICC脱退を脱退すると発表して、ブルンジとガンビアに加わった。皮肉にも、また恥ずかしいことに、ICCの首席検事ファト・ベンスダはガンビア出身だ。

2015年、南アフリカは、以前ICCによって起訴されたスーダン大統領オマル・アル=バシールを、彼の南アフリカ公式訪問中に逮捕しないかどで、ヒューマン・ライツ・ウォッチや、アムネスティー・インターナショナルを含むソロスが資金提供するNGOのいつもの顔ぶれから非難された。南アフリカは内政へのICC介入を拒絶し、裁判所に対するこの反感が結果的に、裁判所から離脱するという最近の決断となった。

一カ月後、ロシアは、ICCを生み出した2000年のローマ協定加盟国を脱退すると発表した。11月、ペルー、リマでのアジア-太平洋経済サミット後、フィリピンのドゥテルテ大統領も、フィリピンは、ロシア、南アフリカや、他の国々に習って、ICCを離脱するつもりだと発表した。ドゥテルテsaid、“あれは - 国際刑事[裁判所]の連中は役に立たない。[ロシア]は脱退する。私も続くかも知れない。なぜか? 我々のような小国だけが虐待されるからだ。”他のアフリカ諸国も、ICCを反故にすることを検討中だ。ウガンダ、ケニヤとナンビアだ。2015年、ナンビア大統領ハーゲ・ガインゴブは、元タンザニア大統領ジャカヤ・キクウェテを訪問し、ナンビアに続いて、ICCから離脱するよう強く促した。南アフリカでのアフリカ同盟サミットで、ガインゴブはこう述べた。“我々がICCを作り出した本人だと言う人々がいる。だが、人が何か資産になるはずのものを作り出したが、後に、それが忌まわしいものと化したら、それが意図した目的に役立つのを止めたのだから、止める権利がある。”

BREXITと、トランプの勝利が、多くの他国々の有権者に、国家主権の権利を阻む企みよう勇気づけた。2016年12月4日は、グローバリストの狙いを拒否する重要な分岐点の日だ。反EU候補であるオーストリア自由党のノルベルト・ホッファーが、緑の党で親EUのアレクサンダー・ヴァン・デル・ベレンをすんでのところで打ち破るところだった、2016年4月24日、オーストリア大統領選挙のやり直しの日だ。典型的なソロスが操作した選挙で、77,900票の不在者投票の計算が間違っていたことが判明した。オーストリア憲法裁判所が新たな選挙を命じたのだ。12月4日の選挙結果は、ヨーロッパ中にしっかり波及している反EU地盤に、オーストリア飲み込まれる中、ホッファーが極めて優勢だと各世論調査は見ている。12月4日は、イタリアの憲法改訂国民投票の日でもある。

イタリアのマッテオ・レンツィ首相は、もし成立すれば、イタリア議会の上院の権限を縮小し、イタリアの各地方の権限を劇的に縮小する国民投票に彼の政治的将来を賭けたのだ、。レンツィは、彼の国民投票で、普通の人々の代表ではない連中、きらびやかなエリート有名人連中、俳優、歌手、著名料理人、プロの運動選手、映画監督や、他の気晴らし稼業の社会的寄生虫といった、お決まりの連中の支援を活用している。ソロスと、CIAが資金提供する宣伝屋が支援するモンテネグロNATO加盟キャンペーンでは、モンテネグロ人俳優、ジャーナリストやプロの運動選手が、テレビ・コマーシャルに登場して、多くの世論調査で、大多数が軍事同盟加盟に反対なのが分かっているのに、モンテネグロのNATO加盟を強く促している。

EUと、グローバル統合支持者のレンツィは、もし彼の国民投票が失敗すれば、辞任すると言っている。世論調査では、“支持しない”有権者の方が大きく先行しているので、これに失敗することが予想されている。12月4日は、それぞれ、BREXITと、トランプ当選の日付である、2016年6月24日と、2016年11月8日とともに、有権者がグローバリゼーションを拒否した記念すべき日として、歴史に残る可能性が高い。レンツィも、間もなく、元イギリス首相トニー・ブレアと、デービッド・キャメロン、元ベルギー首相のヒー・フェルホフスタット、フランスのフランソワ・オランド大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相を含む信用を失った他のグローバル主義者に、国際統合失敗の歴史の脚注として加わることになるだろう。

GLEXITの、もう一つの重要な日付は、11月13日だ。グローバル主義者の世界が、11月8日のトランプ当選で揺れる中、親ロシア派の元MiGパイロットで駆け出しの政治家ルーメン・ラデフがブルガリア大統領選挙に勝利した話が伝わってきた。選挙の結果、親EUブルガリア政権が辞任した。同日、モルドバ有権者は、モルドバ-EU貿易協定を否定し、ロシアが主催するユーラシア経済連合参加を志向するイゴール・ドドンを選んだ。ソロスが、メディアや政治インフラに、親EUや親NATOの取り巻き連中を多数潜入させていた国々での二つの選挙は歴史的なものであり、世界がグローバリゼーションを拒否している、もう一つの兆候だ。

EU、NATOやICCに加えて、他の地域的なグローバル志向の組織も、永久的崩壊の瀬戸際にある。南アジア地域協力連合(SAARC)は、インド派と、パキスタン派で分裂した。パキスタンでの最近のSAARCサミットは、インドが参加を拒否して、中止になった。インドには直ぐにバングラデシュ、ブータンとアフガニスタンという仲間が加わった。組織は、他のSAARC加盟国のモルジブ、スリランカとネパールが、インドに反対し、基本的に、パキスタンと組み、永久的に分裂したように見える。もう一つの破綻した国際組織、アラブ連盟はサウジアラビアと湾岸諸国の金の傀儡だが、2011年に、シリアとリビアがNATOが支援する聖戦革命に直面した後、両国の加盟を停止し、その無益さを示した。アラブ連盟は、サウジアラビア傀儡のイエメン政権も、加盟国として認めている。

アフリカ諸国のICC脱退を反映して、2013年、ベネズエラが、ワシントンD.C.のホワイト・ハウス隣に本拠がある米州機構による考案品、アメリカの影響力が大きい米州人権委員会(IACHR)からの脱退を発表した。ベネズエラ脱退は、コスタリカに本拠を置く米州人権裁判所((CorteIDH)の裁判権も否定した。ドミニカ共和国は、2014年に、裁判所から脱退した。1998年に、IACHRを脱退して、トリニダード・トバゴは、いわゆる“米州体制”つまり、西半球に対するアメリカ覇権の拒否の先陣を見事に切っている。エクアドル、ニカラグア、コロンビアとペルーがIACHR批判をしている。

大英帝国の時代錯誤の遺物である、旧イギリス植民地を、イギリス王室におべっかを使う国々の集団に無理矢理まとめ上げたイギリス連邦では、ガンビア、モルジブとジンバブエが、役立たずの国際組織を静かに離脱した。

アメリカが、環太平洋連携協定(TPP)から撤退するというトランプの発表も、グローバリゼーションの大義には痛打だった。TPPは、アメリカ撤退で死んだ。アメリカによるTPP拒絶で、ニュージーランドや韓国などの他のTPP調印国は、多国間主義より、二国間主義に対する新たな嗜好を示し、中国との貿易協定拡張を検討せざるを得なくなった。ここに“新世界秩序”は存在するが、グローバル主義者が心に描いたものではない。この新世界秩序は、国家主権や、文化的、宗教的な独自性を復活させるものであり、選挙で選ばれてもいない国際官僚による支配の拒否なのだ。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/11/25/march-glexit-globalization-exit.html
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目覚めた国々が、次第に自立の方向に向かう流れを解説する記事を訳しながら、全く逆の永久属国化に邁進する場所に生きている理不尽さを思う。

本日、12月4日、ヨーロッパでは色々選挙がある日。

ある長年の読者から「日刊IWJガイドのコピーに疑問を感じる。自分の意見を書くように」という意見を頂いた。「自分の考えと一致する部分が多いので、勝手に流用させて頂いている。翻訳に時間をかけて、更に自分の意見をまとめるのに時間をかけていては、えらく時間が必要になる。」とお答えした。納得頂けたか否かは、わからない。

大本営広報部の呆導は、ほとんど見ないが、IWJの貴重な報道やインタビューは、時折じっくり拝見している。海外記事のみならず、IWJは、小生にとって、必須の情報源。それが、現在財政的に存亡の危機にあるという。

今日の日刊IWJガイドの一部を、長々、コピーさせて頂こう。

 日米合同委員会のような秘密機関では、宗主国の命令を、属国の超エリート官僚が揃い踏みで御説拝聴。米軍の要求をほぼそのままに、超法規的に実行するために、憲法体系を完全にないがしろにしてしまう密約体系を今なお増殖させています。

※「米軍の占領体制は今も継続されている」――謎の権力機関「日米合同委員会」の知られざる実像とは!? 「戦後最大のタブー」について岩上安身がジャーナリスト・吉田敏浩氏に訊く! 2016.12.2
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/349136

 これまでは隠されていた本音の密教体系が、安倍政権以降、隠そうともせず、表に現れ、国民主権による憲法体系という、いわば顕教体系を凌駕しつつあります。

 そのうえでさらに、憲法を改悪されたら、建前すら残らなくなってしまって、手も足も出なくなります。

 すでに国会は衆参とも、改憲勢力が3分の2を占め、いつでもあのおぞましい自民党改憲案による改憲発議を行える状態にあります。

※シリーズ特集・標的は9条だけじゃない!自民党トンデモ改憲草案の正体!
http://iwj.co.jp/wj/open/%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A%E6%94%B9%E6%86%B2%E8%8D%89%E6%A1%88-%E5%86%8D%E9%85%8D%E4%BF%A1

 いまはTPP、年金カット、カジノなどを数の力で強行採決して、野党にもメディアにも国民にも、抵抗への無力感を思い知らせているところですが、その先には改憲発議が必ず待っています。

 憲法改悪が実現してしまったら、極右ナショナリストの仮面をかぶっている安倍政権は、従米ロボット、あるいは国丸ごと奴隷のように米国の都合で動かされてゆく、完全に主権を失った国となってしまうでしょう。

 主権国家、国民主権、立憲民主主義の建前をかろうじて保持してきた憲法体系は、改悪後には、裏の政府といってもよい日米合同委員会の密約体系を追認してゆくことになります。日米合同委員会は、もう隠れる必要もなくなり、「属国」たる日本は完全に主権を失うこととなります。

 日本は、本当に戦後史上、いや、有史以来と言ってもいいほどの危機に直面しています。ここが本当に正念場です。IWJも岩上安身も、財政難や心臓マヒで、倒産したり死んだりしているヒマはありません!

 我々にはやるべきことがあります。くだらない、どぉーでもいいニュースではなく、国民の皆さんに、我々の死活的利益に関わる情報をお伝えしてゆく使命があります。この未曾有の国難の時に、思いきり働かせて欲しいと皆さまにお願いしたいと存じます。

 IWJは存続が危ぶまれるほどの財政危機に瀕しており、皆さまに11月から緊急のご寄付・カンパのお願いを申し上げております。おかげさまでたくさんの方々から、カンパとともに、励ましのメッセージ、あるいは僕の体調をご心配くださる温かいメッセージなどいただきました。本当に勇気づけられています。

※ご寄付についてのご報告(2016年)
http://iwj.co.jp/info/whatsnew/information/donation/26390

 しかし、IWJが破綻しないでこの第7期の今期(来年の7月末まで)を乗りきるためには、ご寄付の最低目標額6千万(前期の7千万より1千万円下げています。この分は支出カットで何とかまかないます)まで、まだ道半ばの状況です。喜びも半分、不安も半分です。

 残り目標額はあと3千万。大変な金額ですが、この12月月初に当たって、残りの目標数字を明確にして、IWJ存続のための活動資金ご支援のお願いをこれまで以上に切実に呼びかけさせていただきます。

 目標額に満たない場合は、大リストラを敢行しなければならず、IWJの機能が大幅に落ちることは避けられなくなります。そんなことにならないように、皆さまのお力をお貸し願いたいと存じます!本当にどうぞよろしくお願いします。
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 ふたたび原です。

 本日は19時から岩上さんが鹿児島大学教授・木村朗(あきら)氏と琉球新報記者・編集委員の新垣毅(あらかき・つよし)氏にインタビューします。

 テーマは「東アジア共同体と沖縄の未来」。本日、お話をうかがう木村さんと新垣さんは、「米国とヤマト(日本本土)の二重の植民地支配」に置かれ続け、日米両国政府によって翻弄され続けてきた沖縄の独立を含む自己決定権のあり方を多角的視点によって研究することを目的として設立された「東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会」の呼びかけ人でもあります。

 琉球国は日本に組み込まれる以前に米、仏、蘭などと修好条約を結んでいました。このことから当時の琉球国を「独立国」だったとする見解が存在します。

 新垣氏の著書『沖縄の自己決定権』によると、1879年、明治政府が琉球国を強制的に日本に組み込んだ「琉球処分」は当時の国際法にも違反しており、今から沖縄が日本から「独立」することも理論的には不可能ではない――そう指摘する研究者が複数存在します。

 本日のインタビューでは、日本政府がいまだに沖縄を「植民地」のように扱っている現状を確認しながら、いかに沖縄が「捨て石」とされ、都合よく使われてきたかを振り返っていただきたいと思います。そのうえで、沖縄や東アジアに再び戦火を招くようなことが起きないためにも、「東アジア共同体構想」が実現できるか否か、その可能性に迫りたいと思います。ぜひ配信をご覧ください。

【IWJ・Ch1】
http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1

 また木村氏には、IWJでは以前から様々な切り口で、日本の置かれている危うい現状についてお話をしていただいています。こちらもぜひご覧ください!

原爆から原発へ 原発から原爆へ ~岩上安身による木村朗氏インタビュー 2013.9.29
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/104133

※「日本の真実を語る~思考停止に陥らないために」 クロストーク:木村朗×植草一秀×川内博史×岩上安身 2014.6.1
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/144261

※【安保法案反対 特別寄稿 Vol.354】 “壊憲クーデター”を許すな―“開戦直前”のファシズムに抗して 「安全保障関連法案に反対する学者の会」賛同者 鹿児島大学教員(平和学)木村朗さん
http://iwj.co.jp/wj/open/anti-war-msg-00354

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コメント

毎日お疲れ様です。
2016年は勝利の年なんですね。
この記事を読んでふと思いましたが、
世界の真似をしよう!と言い張り、実行もする島国A政権(アホのA)は、反グローバル化も真似してくれますかね....

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