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2016年11月17日 (木)

ロシア・スパイと、アメリカのリァリティーTV選挙

Finian Cunningham
2016年11月14日
"Sputnik"

何カ月にもわたる中傷と辛辣な言葉の応酬後、次期アメリカ大統領ドナルド・トランプは、今週、ホワイト・ハウスの心地よい暖炉脇の席で、つきあいの良いオバマ大統領に迎えられた。

彼のことを“大統領になった、最初のリアリティTV番組スター”と呼んで、驚きのトランプ当選あら探しをしたマスコミもあった。実際、アメリカ政治制度丸ごと、まるでリアリティTV番組のようだ。

11月8日の投票日に至るまでの数週間、民主党候補者ヒラリー・クリントンと、アメリカ・マスコミの大半が、トランプを“ロシアの傀儡”だと非難していた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対し、トランプが好感を持っているとされることが、共和党候補者が“クレムリンの手先”の証明とされた。いささかの証拠もないことを指摘し、愚かしいとクレムリンは非難をはねつけた。しかし、非難は、トランプを中傷するための、単なる選挙運動言辞ではない。国家が支援するコンピューター・ハッキングと、トランプを当選させるため“アメリカ選挙に干渉”したかどでのロシア非難に、オバマ政権は公式に肩入れしていた。ホワイト・ハウスの挑発的主張は、国家情報長官と国土安全保障省がおこなった評価のみに基づいている。言い換えれば、これ以上深刻な方法で、ロシアによる転覆工作に対するアメリカの非難をすることは不可能だったろう。

この論理によれば、彼に有利になるよう投票に影響を与えた、ロシアのスパイ工作とプロパガンダのおかげで、今やトランプがホワイト・ハウスの主になろうとしていることになる。間もなく退任するオバマ大統領が“同志トランプ”との写真撮影の機会を設定して、大統領執務室で、ほほえんで、あたりさわりのない会話を交わしているのは一体何なのだろう? 現行の全軍最高司令官は“もし、そうなれば、アメリカは成功するのだから、トランプ大統領が成功するよう応援している”とまで言った。ちょっと待った。この慈愛に溢れた差し向かいでの“平和的権限委譲”発言わずか数日前まで、オバマ政権と大手マスコミは、トランプに、ロシアの第五列というレッテルを貼っていたのだ。
トランプは、核ボタンにアクセスできる大統領となるには“比類無く不適格だ”といって、オバマは嘲ってもいた。

トランプが選出された翌日、ロシアのスパイ行為と干渉というアメリカ・マスコミの主張が突然止まったのは注目すべきことだ。投票前、ロシア外交官がトランプやクリントン財団の選挙運動側近たちと確かに接触していたというニュースから、何か陰険なものをでっちあげようと、まずい企みをしていたのは事実だ。ニューヨーク・タイムズと、ワシントン・ポストが、景気づかせようとしていたが期待外れだった話題、投票前の“ロシア人ハッカー”騒ぎは、奇妙にも公の場から消え去った。ホワイト・ハウスでの、トランプに対する温かい歓迎、そしてオバマ大統領や、敗北した候補者ヒラリー・クリントンと大手マスコミを含むワシントン支配体制に受け入れられていることを考えると、投票前の反ロシア・バッシング全てが、全くのでっち上げで陰険なものだったという驚くべき証拠だ。

お考え願いたい。ある日、ロシア・スパイによって恩恵を受ける人物として描かれていたトランプが、翌日は、文字通り、オバマが言うように“我々が応援している”“第45代アメリカ大統領”として祝われるなどということがどうしてありえようか?

これは、アメリカ政治世界がどれほど劣化しているかの実証に他ならない。政府、諜報機関と、良質なはずの報道機関の全てが、外国 - ロシアに対し、ウソをでっち上げ、広める用意ができているのだ。一体いかにして、ある日の深刻な懸念が、翌日、いとも容易に投げ捨てられるのだろう?

アメリカの内政をひっくり返そうとして干渉をしてくる敵対的外国勢力として、ロシアを悪魔化するのは、明らかに真っ赤なウソだ。そうでなくて、一体なぜトランプが公式に受け入れられるはずがあるだろうか? そして、一体なぜあらゆるマスコミの重大な主張が消え去ったのだろうか?

しかし、この公式アメリカ・プロパガンダの遥かに深刻な点は、ロシアが、より一般的に“敵国”として、いかに入念に作り上げられているかを実証していることだ。アメリカ諜報機関が、もっぱらロシアが、アメリカの大統領選挙に不法侵入しているという主張を背景に、ロシアのインフラに対し、サイバー攻撃を開始する準備をしていると報じられていたのを想起願いたい。もしロシアの産業や公益事業を機能不全にすべく、アメリカのサイバー攻撃が、何らかの形で実行されていれば、それは戦争行為とみなされていたはずだ。ロシアは反撃せざるを得ず、危険な動き全体が全面戦争へとエスカレートしかねなかったのだ。

アメリカ政府と諜報機関と自立しているはずのマスコミが、これほど陰険であることがわかってしまえば、それは他の物事においても、連中の信頼性を破壊する。連中がヨーロッパの安全保障を脅かしていたり、シリアで戦争犯罪をおかしていたりするとされるロシアについて言っていることを、あなたは信じられるだろうか?

ドナルド・トランプも、アメリカ民主主義芝居で、主役をはった。ホワイト・ハウスでの暖炉脇会談で、億万長者で不動産業界の大物は、オバマを“とても良い人”と呼び、将来助言を求めたいと言った。
これは以前トランプが、“ISIS [ダーイシュ] テロ集団の創設者”だと非難したのとまさに全く同じ“とても良い人”なのだ。トランプは、支持者に、クリントン財団同様、オバマを、中東で違法な戦争をしている反逆罪的罪人と見なすよう呼びかけていたのだ。

そう、これは、激しやすく、大言を吐く、政治家嫌いトランプのめざましい百八十度転換だ。もし彼が、大いに憎んでいた政敵とこれほど素早く迎合し、事実上、あらゆる非難を取り消したのだから、トランプは他にどんな約束を破るのだろうと考えたくもなる。

彼は本当にワシントンのオリガーキー支配体制の“問題を解決”するのだろうか? 彼は彼を選んだ“忘れさられた人々”に投資する“アメリカを再び偉大にする”約束を果たすだろうか? アメリカの海外での軍国主義や、ロシアに対するNATO攻勢を、彼は本当に緩和するのだろうか?

ヒラリー・クリントンが大統領に選ばれなかったのは確かに結構なことだった。元国務長官としての彼女の戦争挑発実績と、あからさまなロシア嫌いが、全てを物語っている。

だが我々は、トランプ大統領が、罪を深く悔いる、協力的な新たなアメリカを代表するものだという幻想を抱くべきではない。アメリカ大統領は、常に権力体制構造の名目上の指導者に過ぎなかった。この体制はアメリカ覇権を世界に投射する軍国主義と戦争に依存している。覇権的な関係と帝国主義的行為がなければ、我々が知っているアメリカ資本主義は崩壊するのだ。しかもトランプは根っからの資本主義者だ。彼の手始めの人選は、ネオリベラルな資本の更なる規制緩和や、周囲を、家族や仕事仲間で固める好みを示している。実利的な実業家らしいトランプは、イデオロギーとは無縁な関係を形成する傾向がある。これは、アメリカが、ロシアや、他の列強との関係を改善するのには、良いことである可能性がある。

とは言え、一個人が政治体制を根本から変革すると期待するのは無邪気にすぎよう。トランプが、ホワイト・ハウスに正式におさまって10週間もすれば、アメリカ資本主義の軍-諜報-大企業機関が、体制がいかにして機能するかを彼に認識させるだろうと想像するのはむずかしいことではない。そして、彼はそれを受け入れるだろう。

今週の、トランプのオバマに対する礼儀正しい敬意、そして、その逆も、オバマが“我々は皆一つのチームだ”と言った際に意味していたものを、意図せざる形で示している。その“チーム”とは、アメリカ・オリガーキーだ。アメリカ国民ではない。権利を剥奪された労働者階級のアメリカ人は、根本的な民主的変革という心からの強い願望に反して、トランプを、その“チーム”に入れただけなのかも知れない。

ロシア人ハッカーという主張の急な消滅や、トランプの反体制大言壮語は、アメリカ“民主主義”が全て一つの巨大なリアリティー・テレビ番組であることを示唆している。

本コラムの見解は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもスプートニクの公式見解を代表するものではない。

記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201611121047370364-russian-spies-us-election
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ストックホルム症候群の人物、何でも言う通りにします、と誓約しに出かける。
米韓FTAにも劣らない米日FTAを喜んで締結しますと約束するのだろうか。

国営洗脳放送が「TPP」に触れるたびに、本気で、そう想像する。

米軍駐留経費は全額負担します。どこにでも、お国の侵略戦争に派兵します、とも?

強制的に料金を徴収されて洗脳されるほど悲しいことはない。

「TPP交渉差止・違憲 訴訟の会」で奮闘しておられる岩月浩二弁護士の「街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋」には、
加速する日米FTA という記事がある。2016年11月11日

山本太郎氏、ISDS訴訟で儲ける弁護士連中の実態に関する報告書翻訳概要を公表
「Profiting from injustice」(不正義によって利益を得ること)概要ページ翻訳

小生も、同じ文書のごく一部を下記で翻訳してある。残念なことに、彼からの翻訳注文は頂けていない。

不当な行為で金儲け Profiting from Injustice

TPP関連主要記事リストにあげた翻訳記事も、是非お読み願いたい。

早々と参勤交代する彼の大言壮語は、日本“民主主義”が全て一つの巨大なリアリティー・テレビ番組であることを示唆している。

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コメント

トランプのような大富豪は、トリクルダウンと規制緩和(ニクソン・レーガンから始まる新自由主義ルール変更)によって税金をほぼ一切払わず(所得税すら払わず)、「優秀な(詐欺)会計士、弁護士」を雇い、破産させる報告とペーパーカンパニーによってタックスヘイブンを利用して資産を貯め込み、(ウォール街のポケットでもあるトランプなどの)大富豪たちはそれらの税負担や破産穴埋めにおいて中下流層国民にそのつけを払わせ、国民の生き血を吸いながら生きてきたような存在です。

トランプは、更に自身や富裕層のために、富裕減税によってアメリカ国内をタックスヘイブンにする計画ですが、格差が大問題となっている今、あまりにえげつない富裕層の連中が起訴すらされていない現実は(ルール変更によって合法化・逮捕されても億万長者にとっては、はした金ですぐ釈放される)おかしいと思いませんか?

「トランプは給料さえもらわない!いい奴じゃん」などとヒーロー化している日本人が多く、その見解に寒気がします。

またトランプヘイトデモについては、巷に出回っているような陰謀なのかもしれません。
デモをするなら大統領選で争点となった「富裕層増税」「大学無償化」「国民皆保険」「格差」「労働組合再建」「地球温暖化」「規制緩和」「租税回避反対」「戦争反対(軍需複合体権力)」「TPP反対」などの問題を挙げるべきです。
その多くの問題において、共和党・トランプ・民主党ヒラリーも曖昧(または反対)です。
ただのトランプヘイトデモでは、民衆はただ利用されるだけです。

トランプは政権移行チームに新自由主義者やウォール街関連者を採用しており、国務長官にミット・ロムニーを要請しています。

ミット・ロムニーは富裕層支持者パーティを開き国民を中傷したり、史上最も裕福な男であり、圧倒的なウォール街支持を得てきました。
ただ、所得税を負担しない家計の存在を批判したり(だが本人も非常に低い税率!更に減税を訴えている!)、国民皆保険には賛成していたこともあったようです(現在は反対)。

思想的にはレーガンなどの新自由主義(リバタリアン)であり、新自由主義ポール・ライアンを添えた経緯がある。
減税、規制緩和を支持し、金融機関の規制と消費者保護を定めたドット・フランク法案(Dodd-Frank Bill)に反対している。次世代の退職年齢を引き上げることで社会保障受給資格年齢をあげることを提案しています。

富裕層や産業界を支持母体とする共和党のリーダーとして30年君臨するミッチ・マコネルは、減税策を継続し、社会福祉より国防費(現在でも税金の6割以上!)を重視する政策を出してきました。今年もトランプと共同して富裕層だけのための政治行う予定であり、富豪コーク兄弟は共和党議員をほぼ買い漁るのに成功しています。

トランプ政権はどのように進んでいくのでしょうか。

「マトリックス」に生きる私たち

映画「マトリックス」で、黒猫が身震いをしながら主人公ネオの目の前を二度通り過ぎるシーンがありました。このデジャヴのような情景はマトリックスの誤作動が生じたものとして解釈されています。二度目の黒猫を見た後、オペレーターが用意した逃げ道は塞がれてしまうのですが、今回のこの記事を拝見して「マトリックス」のデジャヴを見せつけられているのだ、という思いが強くなりました。

大手マスメディアやオバマ大統領を始めとする現政権サイドの要人達にさんざん悪魔化されてきたトランプ氏ですが、勝利するや否やマスメディアは一転して非難を引っ込め、現職の大統領はといえば当のトランプ氏を愛想良くホワイトハウスに迎え入れて次期大統領を応援していると言ったとそう。これが「マトリックス」のデジャヴでないというのなら、一体何なんでしょう?

「マトリックス」のデジャヴとは未来の改ざん。起きたであろう未来が現支配者の意向に沿うよう改ざんされることを指してます。言葉の重みは羽根よりも遥かに軽やかになり、現体制維持の為なら平気で前言は覆られ、その矛盾を指摘されても全く動じる必要はない、そんな悲しき政治ショーを私たちは日々見せつけられているのです。
「マトリックス」でないのなら、「1984年」のオセアニア。真理省記録局で歴史の改ざんを業務とするウィンストンのような現実の大手マスメディアや政治家の働き。現実世界に探せばスターリン時代、粛清されていった同志は最初から居なかったかのように写真が改ざんされましたね。

安倍首相。「TPP絶対反対」を掲げ政権交代を果たすと、この御仁はすっかり主導的立場だった米国を追い抜いてTPP教一の宣教師と化しました。植民地の現地提督は宗主国に忠実な僕であることを証明し続ける毎日。

ならば、トランプ氏の変節も織り込み済みでなければならないでしょう。私たちはほんの僅か猶予をもらっただけかも知れません。国内で暴動化していると見られる米国ではトランプ氏が大統領に就任した後に新たな911が発生し大統領令を発令、FEMAが支配する事態も否定は出来ず。支配者層はその時に備えて敵味方を峻別しているのかも。

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