ヒラリーとビル・クリントン: アメリカ政治の“ボニーとクライド”
Wayne MADSEN
2016年11月3日
Strategic Culture Foundation
情報が、ハッキングされた電子メールやコンピューター・ファイル、あるいは情報公開法要求で得られたもの、いずれによるにせよ、ヒラリーとビル・クリントンと二人の取り巻き連中の政治・事業活動に関する暴露は、違う時代、1930年大恐慌時に次々と犯罪を重ねた、もう一つのたちの悪いカップル、銀行強盗のならず者ボニーとクライドを思い起こさせる。
ヒラリー・クリントンが、個人電子メール・サーバーと、お仲間・追従者の電子メール連鎖を利用して、大いに儲かる“帳簿外の”外交政策を運営していたことはさておき“汚職”という単語を金切り声で叫んでいるのは、彼女と夫共同のクリントン財団と、テネオ・キャピタルの事業だ。サーバーは、シカゴの犯罪ボス、アル・カポネが羨んだであろう、クリントンが現代のボニーとクライドとして、連中自身の違法行為で儲ける“参加するなら金を支払え ペイ・トゥー・プレイ”事業を運営する為の仕組みだったにすぎない。
ヘッジ・ファンド事業と元中央情報局(CIA)職員を大量に雇った“民間諜報”サービスを運営しているテネオは、クリントンの“女友達”で側近のフーマ・アベディンが国務省に雇用されて働いていたと同時期につとめていた会社だ。アベディンの元夫で、不祥事を起こした元ニューヨーク民主党下院議員アンソニー・ウィーナーのラップトップ・コンピューターで見つかった650,000電子メールを、連邦捜査局FBIが捜査しているのは、ことわざの氷山の一角だ。FBI職員が、ラップトップの中で発見されたアベディンの電子メールを熟読し、側近たちが破壊しなかったか、あるいは決して説明されなかった、クリントンの電子メールを調べてはいるが、本当の話は、クリントン財団とテネオに対するFBI捜査なのだ。
5つのFB出張所が、財団の違法行為による儲けと、テネオの外国とのつながりを捜査している。この出張所は、ニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントンD.C.、アーカンサス州リトル・ロックと、マイアミだ。リトル・ロックは、クリントン財団の本拠地で、ニューヨークは、テネオの本拠地だ。マイアミ出張所を、クリントン捜査に加えたのは重要だ。テネオ諜報サービスが有する多数の海外事務所の一つは、コロンビアのボゴタにある。秘密主義のコロンビアの未公開投資ファンド“フォンド・アクセソ”は、メキシコ人の超億万長者カルロス・スリムと、カナダ人の採掘業の大物フランク・ジウストラに資金を提供されて、クリントン財団のボゴタ事務所で運用されている。クリントン財団に流れ込む資金を追跡すれば、コロンビアや、他の近隣諸国での違法な麻薬密売による儲けがあるかも知れない。ボゴタでのクリントン財団の活動“フォンド・アクセソ”は、皮肉にも“アクセス・ファンド”を意味し、テネオは、コロンビアの首都のチコ・ビジネス・パークに注力しているように見える。それゆえ、クリントン財団の資金調達捜査で、スリムとジウストラからの大口寄付に関するマイアミ出張所の関与は大いに意味がある。
テネオは、クリントンのホワイト・ハウス弁護士事務所で働き、後にクリントン財団と、クリントン・グローバル・イニシアチブで、クリントンの首席補佐をしているビル・クリントンの長年の友人ダグ・バンドと共同設立された。バンドの兄弟は元大統領の海外旅行に同行するビル・クリントンの医師だ。ダグ・バンドは、2008年、就任するバラク・オバマ政権に、ヒラリー・クリントンを国務長官に任命するようロビー活動をした人物だ。
クリントンの国務長官在任中は、国務省、クリントン財団とグローバル・イニシアティブとテネオの垣根はほとんど無い状態だった。アベディンは、2012年11月以降、大統領選挙を始めるべく、国務長官を辞任した際、クリントンの“移行チーム”リーダーをつとめた。その時以来、クリントン、アベディン、ダグ・バンド、クリントン選対本部長ジョン・ポデスタや他の連中は 1)個人サーバー中のファイルを、必ず消し去るか、秘密にするべき情報を取り除くため。2) 公式に、彼らと、クリントン財団とテネオとの全てのつながりを断ち切るため。更に、3) 公には、アメリカ外交政策トップとしてのクリントン任期中の全てが問題なく、合法だという形を描き出すため、電子メール騒ぎに加わっていた。不幸にして、2009年クリントンが国務長官就任宣誓し、2013年に、大統領選挙戦を開始して以来の電子メールが公表され、クリントン・チーム丸ごと暴露されてしまったのだ。
電子メールによって描き出された光景は、現代のギャングが、公職とされるものから、できる限りのあらゆるものを搾り取って儲けている姿だ。
FBIのニューヨーク出張所も、クリントンの他のお仲間とテネオの取り引きを捜査している可能性が高い。クリントン支持者、元ニュージャージー州民主党知事ジョン・コーザインによる重大な詐欺のかどで告訴される中、コーザインのMFグローバル・インベストメント社が崩壊しつつあった際に助言したのは、テネオだった。クリントンは、オバマ大統領と、彼女の個人サーバー経由で通信しており、オバマが偽名を使っていたことも知られている。クリントンのサーバーの存在を、マスコミ報道で初めて知ったと言った際、オバマは、アメリカ人にウソをついたのだ。オバマが、ウィーナーのラップトップ中の更なるやりとり発見に基づくクリントン電子メール捜査再開で、ジェームズ・コミーFBI長官を非難するのを拒否したのも、全く不思議ではない。“彼らが知っていたこと、そして、いつそれを知ったか”に関するウソ・スキャンダルの深みにはまった大統領は、リチャード・ニクソン政権を潰し、ロナルド・レーガンと、ビル・クリントンもすんでのところで大統領の座を失うところだった. オバマが、今やクリントンに対する津波のように高まりつつあるFBIの多数の刑事事件に干渉しないのは賢明だ。
多くのクリントン スキャンダルは、アメリカ法に違反して、アメリカ製や、外国製の兵器を、リビアとシリア国内の聖戦反政府派に対して違法に輸出したことにもからんでいる。クリントンとアベディンが、両国内の聖戦反乱を監督していた間、アメリカは、両方の内戦戦域に向けた国連武器禁輸を課することになっていた。2016年10月5日の、国務省が承認した、アリゾナ州のトゥリ・ディフェンス・グループと、そのオーナー、マーク・トゥリが、アメリカ法に違反して、無登録の兵器をリビア反政府派に輸出し、その一部が、ベンガジのCIA支局によって、シリアの反政府派に送られたことに対する全ての告訴を取り下げるという司法省による突然の決定は、ロレッタ・リンチ司法長官が、トゥリ事件を11月8日の選挙前に、消したがっていたことを示唆している。
トゥリと彼の会社に対する連邦裁判は、11月8日に開始予定だった。トゥリの起訴は、アリゾナ州都フェニックスの合衆国地方裁判所で行われた。フェニックスのスカイハーバー国際空港は、2016年6月27日、ビル・クリントンとリンチ司法長官とのf緊急の極めていかがわしい滑走路上での打ち合わせの現場だ。トゥリは、リビアへ、更にそこからシリアへの秘密の兵器輸出は、クリントンによって個人的に承認され、CIAの許可も得ていたと主張している。クリントンが、聖戦テロリストに対する違法な兵器輸出を承認したという何か新たな電子メールや他の証拠があれば、FBIは、ヒラリーとビル・クリントンと、リンチにも捜査を広げることが必要になっていたろう。ヒラリーは、リビアとシリアの好戦的な連中への兵器輸出を承認して、連邦法に違反している可能性がある。夫クリントンは、司法長官に話して、司法妨害をした可能性がある。また、リンチは、アメリカ最高位の法執行官としての彼女の地位を、犯罪的陰謀を助長し、司法妨害をするのに悪用して、就任宣誓に違反している可能性がある。
クリントン・スキャンダルは、多くの点で、ウォーターゲートというよりも、イラン-コントラ事件に良く似ている。ウォーターゲートでは、ニクソンと、彼の取り巻きによる隠蔽は、多くの点で、大本の犯罪より悪質だった。イラン-コントラでは、事件全体の上で、当時の副大統領ジョージ・H. W. ブッシュが果たした犯罪的役割を含め、兵器と麻薬密輸犯罪は、隠蔽と同等だった。アメリカ兵器をテロリストに輸出し、サウジアラビアや、モロッコやカタールの怪しい政権による外国からの資金寄付を受け入れているクリントンの“E-メール・ゲート”は、ヒラリー・クリントンと夫の取り巻き連中による隠蔽同様、全て、酷いものなのは明らかだ。
もし、こうした多くの問題を、FBIと、ワシントン、ニューヨーク、リトルロック、ロサンゼルス、マイアミ、そしておそらくフェニックスの捜査官が、今調べているのであれば、FBI長官には、議会と有権者に知らせるあらゆる権利と、憲法上の責任がある。そして、コミーFBI長官には、彼と職員が連中に、現在、クリントンと彼女の支持者が要求している証拠、一体どういう情報を持っているのかをクリントンと彼女の徒党に内通しないあらゆる権利がある。彼女が11月8日に大統領に選ばれるようなことになれば、この証拠はアメリカ大統領の座からクリントンを追い出す弾劾の材料になるかも知れない。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/11/03/hillary-bill-clinton-bonnie-and-clyde-american-politics.html
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『ボニーとクライド』を描いた映画『俺たちに明日はない』を見た記憶がかすかにある。
無茶苦茶なTPP「強行採決」、中身の問題を指摘するものもの、強行採決という言葉をつかう大本営広報部は皆無のようだ。(読んでおらず、見ていないので推測だ。)
大本営広報部ではないIWJ、TPPの問題性を指摘しつづけてきたジェーン・ケルシー教授のインタビューを敢行している。
TPP強行採決直前に緊急来日!「TPP協定をやる意味がわからない!」オークランド大学のジェーン・ケルシー教授に岩上安身が単独インタビュー!! 2016.10.31
日刊IWJの冒頭を貼り付けさせていただこう。
■■■ 日刊IWJガイド「米大統領選当日の8日、国際情勢解説者の田中宇氏にインタビュー決定!/『「日本スゴイ」のディストピア』著者・早川タダノリ氏に岩上さんが続編のインタビュー!/新着記事☆【国会ハイライト】TPP審議の『前提』が覆る!岩月浩二弁護士が参考人質疑で『政府による重大な誤訳』を指摘!」2016.11.7日号~No.1515号~ ■■■
(2016.11.7 8時00分)
明日にせまる米大統領選をドキドキしながら待っている、IWJ記者の城石エマと申します。
民主党のヒラリー・クリントン氏と、共和党のドナルド・トランプ氏がしのぎを削る大統領選。1年以上前からその動向は世界中の注目を集めていましたが、いよいよ明日が決戦の日です。
「嫌われ者同士の戦い」とも言われるほど、両候補のどちらが勝っても、将来への不安が残ります。
移民排斥を訴え、「メキシコとの国境に壁を作る」などと言ったり、女性蔑視発言をしたりしてきたトランプ氏は、数多くの女性に対するわいせつ行為を訴えられ、中にはレイプ被害で訴訟に発展しているものもあります。
対するクリントン氏は、国務長官時代に機密性の高いメールを自宅のサーバーで受信していたことでFBIが捜査に乗り出したことや、2013年から2015年の間に金融業界から「講演料」という名目で合計22億円以上も受け取ってきたことなどが、有権者の不信をかき立てています。
米大統領選の結果は、日本にとっても大きな影響をもたらします。11月4日に衆院特別委員会で与党と日本維新の会によって「強行採決」されたTPPについて、トランプ候補は「大統領就任初日にTPPからの離脱を発表する」と表明し、クリントン候補は「再交渉する」と明言しています。
この大統領選をにらみ、岩上さんは明日8日、国際情勢解説者の田中宇氏に、そして10日には元外務省国際情報局長の孫崎享氏にインタビューをします!内戦の続くシリア情勢や難民問題、日本やアジアの安全保障問題、国際金融情勢まで、様々な角度から米大統領選挙の結果のもたらす影響を分析していきますので、どうぞお見逃しなく!
★岩上安身による国際情勢解説者・田中宇氏インタビュー
[日時] 2016年11月8日(火)17:30~
UST視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
ツイキャス視聴URL: http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi
★岩上安身による元外務省国際情報局長・孫崎享氏インタビュー
[日時] 2016年11月10日(木)16:00~
UST視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
ツイキャス視聴URL: http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi
上記のお二人には、これまで何度も岩上さんがインタビューをしてきました。毎回、目からウロコの貴重なお話が聞けます(特に田中氏は、めったにメディア出演をしないことで有名です。過去の岩上さんのインタビューも、会員限定配信のみで、フルオープンの中継に登場されるのは今回が初めてです)ので、ぜひ、この機会に過去のインタビューも合わせてご覧ください。
田中氏には、国際情勢の中でも特に金融問題について詳しくお話いただいています。
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※世界は「多極化」に向かうのか? 「従米」をやめられない日本経済の実態を診断する~岩上安身による田中宇氏インタビュー 2015.5.14
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/245513
※プーチンの国連演説と電撃的なシリア空爆で中東情勢が一変!地政学的な変化と表裏をなす覇権国・米国が抱える金融面のアキレス腱(動画) 2015.10.20
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/271166
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孫崎氏には、外務省の官僚システムや歴史的観点から、国際情勢についてお話いただいています。
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※2016/03/21 『小説 外務省II~陰謀渦巻く中東』刊行企画! 岩上安身による元外務省 国際情報局長孫崎享氏インタビュー(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/292847
※『日米開戦の正体』がこのままでは『日中開戦の正体』に!? 元外務省国際情報局長・孫崎享氏が岩上安身のインタビューで、安倍談話に見られる「官僚の狡猾さ」を指摘! 2015.8.18
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/258464
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大統領選が終わったら、焦点はいよいよ衆院解散総選挙に移ると思われます。IWJでは、岩上さんが全国どこへでも行って、注目の候補に単独インタビューを行なったり、スタッフがカメラをもって取材に行ったりなど、全力でお伝えしていきます。こうした活動は、みなさまのお支えなしには決して続けることはできません。どうぞ、みなさまのご寄付・カンパでIWJをお支えください。
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