“ホワイト・ヘルメット”“アレッポを救え”抗議行動は、俳優を“戦争犠牲者”に変装させるのが、どれだけ容易か証明
Tony Cartalucci
Land Destroyer
2016年10月3日
北シリア内の武装反政府派を支持する連中が主催して、欧米の街頭で演じられたアメリカとヨーロッパ中で行われた最近の抗議行動の光景は、アメリカ-ヨーロッパが資金提供している“ホワイト・ヘルメット”としても知られている““シリア市民防衛団”とも呼ばれるものの写真やビデオに描かれているものと、薄気味悪いほど似ている。

写真: これはシリアのアレッポではなく、最近“アレッポを救え”抗議行動が行われたヨーロッパの街頭だ。偽のホコリと血を身につけて演じる俳優が、誰でも、いつでも、どこでも、いとも簡単に“戦争犠牲者”のふりができることを証明している。
サウジアラビア国営メディア、アル・アラビヤ英語版は、2016年10月1日、“‘アレッポを救う’ための世界的な反アサド・反ロシア抗議行動”と題する記事でこう報じた。
シリアに関する世界大国間の交渉が行き詰まり - ロシアが、空爆作戦を強化する中 - アレッポにおける惨事を終わらせるよう呼びかける世界的な抗議行動が起きた。
トルコ、フランス、オランダ、アメリカやカナダで、アレッポにおけるバッシャール・アル・アサドとロシアの犯罪に反対して、抗議行動参加者は、“アレッポ爆撃をやめろ”や“アレッポを救え”と書いたポスターを掲げて街頭で抗議行動をした。
シリアを巡るアル・アラビヤの皮肉な手書きで、リヤドは、自分の空爆と地上侵攻で、イエメンを荒廃させながら、東アレッポを、“食料も清潔な水もなしに、250,000人以上の一般市民が閉じこめられている”恐ろしい状況として描きだそうとしている。

戦争が東アレッポで行われていることに疑いの余地はないが、圧倒的大多数のアレッポ住民、実際、175万人が政府が支配する大半のアレッポ部分で暮らしていることに留意すべきだ。ところがこの現実にもかかわらず、欧米と、サウジアラビアを含む同盟諸国は、より大規模な欧米介入に役立つ“人道主義の危機”という、もう一つの口実をでっち上げるため、シリアの治安作戦を誇張して、国際世論に対する影響力を利用しようとした。
この世論への訴えかけの核心は、いわゆる“ホワイト・ヘルメット”シリアには既に正式の専門の市民防衛軍があるにもかかわらず“シリア市民防衛団”とも呼ばれるものだ。
中立的な救援部隊を装う“ホワイト・ヘルメット”は、アメリカ国務省、国連や、EUが外国テロ組織に指定したものを含め、武装戦士と、もっぱら支えあって機能している紛れもない補助機関だ。連中の主要機能は、誰かを“救援”することではなく、“人道的”共感を利用した、世界中での、世論や政治的な意見を、特定方向に向けることを狙った広報キャンペーンの推進だ。
これをする連中の主要な手段は、手の込んだ同じデザインの制服を着て、新しい救急車を運転して、シリアとロシア空爆により、彼らの上に崩れ落ちたとされる瓦礫の中から、埃と血にまみれた犠牲者を助け出すメンバーの写真とビデオを発表することだ。

連中の写真、ビデオや多くの主張の真実性は、決して独自に検証されてはおらず、多くの場合、証拠は、彼らの広範で、資金潤沢なソーシャル・メディア活動で、彼らが一般に提示するものの多くは、でっちあげであることを示唆している。
ヨーロッパ や北アメリカ中で行われた最近の“アレッポを救え”抗議行動は、“ホワイト・ヘルメット”の活動が実際は、どれほど見え透いた、でっちあげの架空のものであるのかを、おそらく暴露したのだ。ある抗議行動の際、公式“ホワイト・ヘルメット”ツイッター・アカウントで、リツイートされた写真は、“ホワイト・ヘルメット”が、シリアで常々“救助”している“犠牲者”とされるものと、ほとんど識別不能に見える、偽のほこりと血にまみれた“戦争犠牲者”に変装した俳優を示している。
シリア紛争から遙か離れたヨーロッパの街頭で行われた抗議行動には、同様に偽の埃と血にまみれ、大人の腕に抱えられ、元気のない表情をした子供までいた。また、演じられた場面の一環として“ホワイト・ヘルメット”そのもののように装った俳優もいた。

写真: 最近の“アレッポを救え”抗議行動の際に、ヨーロッパの街頭で演じられた場面と、欧米が作りだし、資金提供している、シリアにいる“ホワイト・ヘルメット”芝居一座が、日々報じるものとの唯一の違いは、シリアでは、戦争による荒廃が、俳優が演技をするのに遙かに説得力のある“セット”となっていることだ。
この抗議行動を組織した芝居一座は、彼らの大義に対する、世界的な同情を引き起こすため、巧みに“紛争をヨーロッパの街頭にもたらす”ことができると考えたのかも知れないが、彼らが実際に示したのは、“ホワイト・ヘルメット”にとって、いつでも、どこでも“戦争犠牲者”を作り出すのが、いかに容易かということだった。
長年のアメリカが支援する暴力で、シリアの多くの部分が荒廃しているシリアでは、戦争による荒廃を背景として演じられる、やらせ場面は一層説得力をもったものになる。“ホワイト・ヘルメット”ビデオは、大衆が目にする前に大幅に編集されており、彼らは、いつでも、どこでも - シリアとロシア戦闘機が活動している場所から何千マイルも離れたヨーロッパの街頭でさえ、戦争の悲劇的な場面を作り出すことができる。
彼らと、彼らに何千万ドルも資金を提供している権益集団の主な狙いは、欧米が支援する武装戦士を支持するよう、世界中の人々の心を操作することであって、“命を救ったり”シリアに平和をもたらしたりすることではない。
記事原文のurl:http://landdestroyer.blogspot.jp/2016/10/white-helmet-save-aleppo-protest-proves.html
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偶然の一致だが、藤永茂氏のブログ『私の闇の奥』10/5更新記事が、まさにこのホワイト・ヘルメット。
藤永茂氏の著書、『アメリカン・ドリームという悪夢 建国神話の偽善と二つの原罪』未読の方がおられたら、ご一読をお勧めする。
昨日の日刊IWJガイドには、この記事と直接つながる部分がある。
【1】泥沼のシリア内戦、米ロが停戦協議を打ち切り、批判の応酬に~はたしてシリアに平和は訪れるのか?
アメリカは10月3日、シリア停戦をめぐるロシアとの二国間協議を停止すると発表しました。ホワイトハウスのアーネスト報道官は同日の記者会見で「ロシアに対する全員の忍耐が尽きた」と語り、ロシア側を強く非難しました。
※米 シリアめぐるロシアとの停戦協議打ち切り(NHK、2016年10月4日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161004/k10010717021000.html
泥沼の内戦が続くシリアをめぐっては、ロシアが支援するアサド政権とアメリカが支援する反政府勢力が先月、米ロ両国の仲介でいったん停戦に入りましたが、1週間あまりで戦闘が再燃。両国はその後も停戦の実現を目指し、外相レベルの電話会談を重ね協議を続けてきましたが、物別れに終わる結果となってしまいました。
アメリカによるロシア批判に対しては、ロシア側も反論。ロシア外務省のザハロワ報道官は「アメリカは合意を実行できなかったことを誰かの責任にしようとしている」と述べ、責任はアメリカ側にあると主張しました。
停戦の崩壊と米ロ両国の停戦協議打ち切りにより、シリア内戦の平和的解決はさらに遠のいたことになります。アサド政権、反政府勢力、さらにはIS(イスラム国)による三つ巴の戦いが続くシリアに、はたして平和は訪れるのか――。岩上さんはこれまで、シリア情勢に詳しい東京外国語大学教授の青山弘之氏や元シリア大使の国枝昌樹氏らにインタビューを行っています。ぜひ、下記URLよりアーカイブ動画をご視聴ください!
※2013/08/28 英米仏によるシリア軍事介入「合理性ない」 一般市民に多数の死者が出る可能性指摘~岩上安身による青山弘之氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/98635
※2013/09/06 アルジャジーラの”偏向” 元シリア大使が重要証言 ~岩上安身による国枝昌樹氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/100353
※2014/10/11 「イスラム国」はなぜ中東を席巻したのか “報道されない中東の真実”について、元シリア大使・国枝昌樹氏に岩上安身が聞く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/181134
※2014/11/06 シリア・イラク情勢とウクライナ危機を結ぶ線 中東の要衝・シリアをめぐり展開されるエネルギー地政学 ~岩上安身による元シリア大使・国枝昌樹氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/203941
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