戦争ではなく、セックスをしよう
Paul Craig Roberts
2016年10月11日
ビル・クリントンのセックス・スキャンダルの際、ヒラリーは連中を“過去に性的関係があったと偽証する女性の続出”と呼んでいたのだが、民主党や、進歩派の言説は、政治の要素から、人の性生活は除外していた。今や、実際のセックスもない更衣室での青臭い性的雑談に過ぎないものが、突然に政治的不適格の決定要因と化したのだ。
11年前のドナルド・トランプとビリー・ブッシュ更衣室会話録音の出所は一体どこだろう? 一体誰が、一体何のために、これを録音して、11年間保存していたのだろう? 一体なぜ、それがトランプとヒラリーの第二回目討論前日に公表されたのだろう? 録音は、プライバシー侵害違反なのだろうか? ビル・クリントンとのセックスをモニカ・ルインスキーが告白したのを録音した女性は一体どうなったのか? 彼女は盗聴か、何か似たような罪で起訴されたのではなかったか? 二人のアメリカ大統領の親戚であるビリー・ブッシュが、トランプとの私的会話ゆえに、彼のTV番組への出演を止められたのは一体なぜだろう?
男性の性的雑談は、男同士釣りの自慢話同様、話半分で聞くべきなのだ。大統領or候補者ビル・クリントン自身も、おおやけに性的雑談をしていた。記憶が正しければ、肉体労働者に対する演説で、ビルは、自分の軽トラックのベッドは人工芝で覆ってあるが“何のためかわかりますね”と言った。報道によれば、クリントンのホワイト・ハウスには、ビルの性的関心を引こうとしている多数の女性研修生がいた。ヒラリーが断固反対するまで、肌をあらわにした若い女性たちが、下着をつけずに仕事に来ていた。シークレット・サービスは、服装規定順守を検査するようち言われていたのではと疑いたくなる。
堅物を装う1パーセントは、共和党候補からトランプを排除したがっている。民主主義において、選挙前に、一体どうして、人々が選んだ大統領候補を排除するのか堅物連中は語らない。当時“オーラル・オフィス”と呼ばれた大統領執務室を、セックスに使ったにもかかわらず、誰もクリントンを大統領の座から排除しようとはしなかった。下院の共和党は、セックスを理由にではなく、そのことでウソをついたかどでクリントンを排除しようとしたが、上院はそれに付き合おうとはしなかった。上院議員は、皆性的関係についてウソをついていたので、ウソは害にならないと考えたのだ。
トランプの性的雑談が大問題にされていることで私が気がかりなのは、ネオコンが、アメリカ政府がシリアで、シリアとロシアの軍を攻撃するよう推進しており、ワシントンの首席宣伝屋、ネオコンのカール・ガーシュマンが、ロシア政権を転覆すべく“意思を結集しよう”とおおやけに呼びかけている危険な状況に我々が直面していることだ。現在、二つの核大国間の緊張が史上最高に達しているのに、この危険な状況は、アメリカ大統領選挙の要素ではないのだ! 私が一体なぜ、アメリカ人のことをのんきだと呼ぶのか不思議に思う連中さえいる。
1パーセントが90%を所有しているアメリカのマスコミは、アメリカ国民 - 99パーセントに対して、オーナーとぐるになっている。トランプが、二回目の大統領候補者“討論”時に、言った通り、ABCのマーサ・ラディッツと、CNNのアンダーソン・クーパーは、彼に反対して、ヒラリーに協力していた。“結構、三対一だ”とトランプは言った。
99パーセントの人々は、反トランプ・ヒステリー現象は、人々を経済的束縛と戦争に閉じ込めておくことを狙って、売女マスコミがあおっているということを理解しているだろうか? https://www.rt.com/usa/362298-media-endorsing-hillary-clinton/
トランプとビリー・ブッシュとの更衣室での雑談を巡るヒステリー現象は、政治的目的で、画策されていることを我々全員が知っている。しかし、この馬鹿馬鹿しさをお考え願いたい。魅力的な異性に対する、トランプの性的関心の私的発言が、売女マスコミによって、“女性に関する極端にみだらな発言”だとされているのだ。http://www.chicagotribune.com/entertainment/ct-billy-bush-today-show-20161009-story.html
異性間性交渉を犯罪行為にするとは一体何事だろう?
ファミニストは、女性は性的対象とみなされることを望んでいないと言うが、一部の女性の挑発的な服装から判断すると、多くの女性は意見が異なる。女性向け衣装市場の目利きであるはずの服飾デザイナーも、違う意見だ。最近のパリ・ファッション・ショーで(10月1日)ヴィヴィアン・ウエストウッドは、女性器を描いたドレスを発表した。https://sputniknews.com/photo/201610071046086772-pictures-week-october-07/
ヴィヴィアン・ウエストウッドは女性イギリス人ファッション・デザイナーだ。彼女はイギリスのデザイナー・オブ・ザ・イヤーに二度選ばれた。“ファッションに対する貢献”に対し、イギリス女王は、デイム・コマンダー大英帝国勲章(DBE)という貴族敬称を与えた。
彼女の受章を祝うバッキンガム宮殿での式典で、ウエストウッドは、パンティーは着けずに現れ、宮殿の中庭で、スカートを振り回した。カメラマンたちが撮影し、ヴィヴィアンの言葉では“ 結果は、私が期待した以上に刺激的だった。”
2012年、学者、歴史家やジャーナリストの審査員により、ヴィヴィアンは、イギリスに大きな影響を与え、時代に特徴をもたらした新エリザベス女王時代人の一人に選ばれた。
18世紀のイギリスは、もし歴史学者たちが正しければ、若い女性たちは、魅力を発揮できるよう、身体にぴったり貼り付く濡れたドレスで夜の社交の場に現れた。その結果、彼女たちの中には肺炎で亡くなった人々もいた。異性の関心を引くために、彼女たちは、自発的にそうしていたのだ。
報道によれば、男性と女性用に、本物より優れている、ロボットの性交渉相手が製造されているという。別の報道によれば、若い日本人男性たちは、ガールフレンドではなく、セックス・アプリを持って、休暇に出かけるという。男性の同性愛、女性の同性愛や、性転換者の性行為に対する社会的認知が進むにつれ、異性間性交渉の方が、性的マイノリティーと見なされるようになりつつあるようだ。もしトランプが、男性や性転換者への性的関心を示していたら、それに触れるのは差別的とされていたろう。異性に対する性的衝動だけが、政治標的なのだ。
女性がハイヒールを履き、かろうじて性器を覆うスカートで、ノーブラの乳房を露出して現れ、それに注目する男性はみだらだといわれる状況に至ったのだ。
女性は本当にこういうものを望んでいるのだろうか?
トランプが女性に性的関心があるため、選挙で、ヒラリーが本当に勝つのだろうか?
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/10/11/engage-in-sex-not-war-paul-craig-roberts/
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記事の題名で、昔訳した対談記事『愛し合って、戦争になった: 好戦国家アメリカとの遭遇 ノーマン・ソロモン』を思い出した。英語原題は下記の通り。
Made Love, Got War: Norman Solomon on Close Encounters with America's Warfare State
「些細なことに注目を逸らして、重大な本題を隠す」のは、支配層・その手先、大本営広報部の常用手法。
TPPの深刻な問題は全く報道せず、シンガポール大統領やら、アメリカ高官やらが、TPP批准を要求しています。と夕方の洗脳虚報は報じていた。好きで見たわけではない。誤って見てしまったのだ。
電気洗脳白痴製造装置のバラエティーなどみずに、月刊誌『世界』11月号の対談「豊洲移転はファンタジーになりつつある──築地を再評価すべきとき」を一読されたい。電気洗脳白痴製造装置のタワゴトを見るのがいやになられるだろう。
対談「羽田空港「海から入って海へ出る」を手放すな──新飛行ルート問題を考える」でも、奈須りえ氏は、TPPに触れておられる。
そして、チェルノブイリ・フクシマに関する興味深い記事二編。
永遠の一日 第2回 死者たちの伝言
事故30年 チェルノブイリからの問い 第7回
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