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2016年9月 8日 (木)

中国に寄り、アメリカから離れるフィリピン

Andrei AKULOV
2016年9月6日

Strategic Culture Foundation

第二次大戦以来、アジア-太平洋における権力構造は、主にアメリカ合州国によって支配されてきた。21世紀になって、世界的な力の均衡の重心が、ヨーロッパからアジア-太平洋に移動した、主として中国の勃興によって生じている。長年にわたる地域におけるアメリカの影響力は、厳しい挑戦に直面している。地域におけるアメリカの影響力が衰退する中、アメリカのアジア太平洋基軸は失敗したように見える。フィリピンは、この傾向を実証する好例だ。

フィリピンは、アメリカ合州国の忠実な同盟国と見なされており、アメリカ外交政策の多くを支持して来た。アメリカとフィリピンは、同盟条約を結んでいるが、先のアキノ政権のもとで、2014年に、ワシントンとマニラは、新たな二国間防衛条約を調印し、フィリピンに対するアメリカの安全保障支援は大幅に高まった。

それが今変わりつつある。アメリカ合州国とは、依然、堅固な関係にあるが、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、6月に権力の座について以来、フィリピン外交政策は変化を遂げつつある。アメリカへの依存を減らし、より自立した外交政策をとることを強調している新政権のもとで、フィリピン外交政策の劇的な変化の可能性が予想される理由は高まっている。選挙戦で勝利して、フィリピン新大統領は“フィリピン独自の、アメリカ合州国に依存しない、新たな路を進むつもりだ”と述べた。

アメリカへの新大統領の対応は、確かにアメリカ政府の懸念を引き起こしている。ドゥテルテは、南シナ海における紛争の際に、フィリピン支援に来るというアメリカの約束を疑っている。彼は、領海論争のさなか、アメリカ軍の支援が十分でないと認識しており不満を示した。

フィリピン大統領は、公然とアメリカ大使を侮辱した。

ドゥテルテ大統領は、フィリピンに配備されているアメリカ軍要員の移動に新たな制限を導入するという問題を持ち出した。

同時に、彼は中国にオリーブの枝をさしのべ、アジアの大国と秘密交渉を進めるため、元大統領フィデル・ラモスを動員している。

両国は、黄岩島(スカボロー礁)における共同漁業協定について、議論をしているが、これは、ハーグ裁定と調和しており、経済協力を推進する突破口になる可能性がある。

中国は、フィリピンのインフラへの大規模投資を申し出ている。

フィリピン大統領は、今年末に、中国を訪問するものと予想されている。ロドリゴ・ドゥテルテが権力を掌握する中、フィリピンは、アメリカと中国との関係の漸進的再調整を行いつつある。

アメリカが問題を抱えている地域大国は、フィリピンだけではない。たとえば、古くからのアメリカの同盟国、タイとの関係は、タイ軍が2014年クーデターで権力を掌握して以来、膠着状態にある。

ワシントンは、これまでの所、ASEAN加盟諸国に影響力を与えて、アメリカの反中国姿勢を支持するようにさせる力に欠けている。

シドニー大学アメリカ合州国研究センターによる最近の調査によれば、アジア-太平洋中の人々は、アメリカの影響力は衰えつつあり、中国が今後十年、地域を支配すると考えている。

別の調査では、日本人の10人中約6人(61%)が、過去10年間で、アメリカの重要性 は低下したと答えている。

オーストラリアでは、アジア-太平洋におけるアメリカの大きな役割に対する期待は低い。

環太平洋連携協定(TPP)を、議会のレームダック会期で批准するというアメリカ政権の計画は困難に遭遇している。

大統領選挙前に、協定を批准する可能性は、ごくわずかだ。民主党、共和党双方の候補者が協定に反対しているので、大統領選挙後は、ほとんど可能性がない。協定を、議会で押し通して成立させるのに失敗すれば、地域におけるアメリカの信頼性を損なう、大きなつまずきになる。最近のワシントン訪問時、“アメリカの友人、パートナーにとって、貿易協定の批准は、各国の威信と、協定の目的に対する本気さのリトマス試験だ”と、シンガポールのリー・シェンロン首相がアジア太平洋調印諸国の代理として演説した。

TPPから排除されている国である中国は、別の協定、TPPに匹敵する、北京が主導する自由貿易協定東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を提案している。RCEPは、アメリカ合州国を含んでいない。しかも中国は、新たなアジア・インフラ投資銀行(AIIB)と、400億ドルのシルク・ロード基金を通した、更に多くの地域融資も約束している。TPPがなければ、地域諸国は外国貿易と、投資を求めて、北京をむくだろう。ロシアが率いるユーラシア経済連合(EAEU)も、アジア太平洋へと拡張しつつある。

モスクワと北京は、ユーラシア経済連合(EAEU)と中国間の貿易経済協定をまとめる作業中だ。

両者は、中国シルク・ロード・プロジェクトへのEAEUの参加について話あっている。共通経済圏の創設が主要目的として規定されている。

アジア太平洋地域は、新たな安全保障協力関係や、地域諸国間の再調整を引き起こす、新たに出現している多極秩序への移行をしつつあるのだ。他の関係諸国の影響力が力を増しつつある中、地域におけるアメリカの影響力は絶望的に衰退しつつある。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/09/06/philippines-towards-china-and-away-from-usa.html

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日本の与党政治家、フィリピン大統領の爪の垢を煎じて服用する必要があるだろう。喧嘩をしろと言うのではない。筋道のたった主張をするべきなのだ。永久にありえないだろうが。

南シナ海で日本が防衛? 憲法にモラルを掲げる必要? 会長なのに政策を知らない!? 〜安倍政権を支える日本最大の右翼団体「日本会議」田久保忠衛会長が外国特派員協会で会見。次々に飛び出す不思議発言 2016.7.13

党首選挙、全く関心がない。大本営広報部、国籍問題を大きく報じているようだ。紙媒体も、電気洗脳装置の呆導をよく見聞きしていないので、様子はよくわからない。

人気の女性政治家が、緊急事態条項賛成派という話をIWJの記事で拝読して驚いた。全員改憲賛成。消費税増税に賛成らしい。

「緊急事態条項」への認識を問う! 憲法を「眠らせ」ようとしているのは誰か 民主党は「ナチスの手口」に屈するのか? 岩上安身が岡田克也代表を単独直撃インタビュー! 2015.12.25

TTP国会が想定されているのだから、TTPに関する議論を、三人がするべきだろうに。議論をしないのは、基本的に、彼らはTTPに賛成であることを意味するだろうと思っている。

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コメント

最近のニュースを見てるとやたらにドゥテルテがバッシングされてるなと思ったらこういうことだったんですね。
そう遠くない未来にフィリピンでクーデタがあるやもしれません。

このフィリピンのドゥトルテ大統領がどういう人なのかは知りませんが、アメリカに依存しない姿勢は評価できますし、この独立志向こそが本来の保守というものでしょう。
安倍晋三と自民党は保守とは真逆の事ばかりやってます、というか単なるグローバリストでネオコン隷属主義ですから、これの支持母体の一つに加わっている日本会議もやはり右翼とは言えないと私は思うのですが、、、うーむ、、。
この新会長さんの会見は、思わず唸ってしまう程ズレていて、脱力するばかりですね。
先ず、私に言わせれば、右だとか左だとかの低劣なイデオロギーに拘っている事自体がナンセンスであり、時代錯誤というか、脳みその回路が古過ぎです。
こうした老害が日本という国を駄目にしてきたのだな、と思える典型例ではないでしょうか。
しかも右翼の定義自体が恐らくは間違っていますね。
世間一般はもとより、左翼を標榜する人も自称保守や日本会議の面々に至るまで、多くの人が右翼の定義を履き違えている様に思います。
私的右翼の定義で言うならば、右翼とは、尊皇と国体護持で、これに日本精神が加わるものである筈と考える訳ですが、日本会議はもとより世間一般での認識も、現代に於ける右翼とは、"靖国参拝で愛国心を示し好戦的である事"になってしまっている様に見受けられます。
(TPPで国体を丸ごとグローバルエリートに差し出す事や天皇の意向を無視する態度は、どう見ても本来の右翼思想からは掛け離れているでしょう)
日本中の多くの人が、この様な認識であるのは、日本会議に加わっている各種右翼系を標榜する団体が、こうした擦り込み活動を永年続けてきた成果であろうと思われますが、特に産経新聞の影響が強く伺えるものです。
そもそも産経新聞はCIAの下請けなのであって、歴史認識という面を通じて多くの日本人に歪んだ右翼思想を擦り込む任務を遂行してきた存在なのですが、多くの自称右翼または保守の人々は自覚が無いまま洗脳されてしまったのだと思います。
それは非常に巧妙なサブリミナル手法によって行われてきた為、未だ自分が洗脳されているとは気づかない人々が居て、それが日本会議の面々であり、特にネトウヨと呼ばれる人たちなのだろうと思います。
因みに日本経済新聞はCSISの日本支部という役割を持っていて、これが又、経団連加盟企業はじめ中小下請け企業にも影響を与えてきた存在であるのは言うまでもありません。
つまり、産経新聞と日本経済新聞は米ネオコン及び軍産複合体の出先機関なのであり、勿論、電通とも深い関りがある訳で、マスコミの中でも特別なプロパガンダ工作組織という位置づけなのだと理解できる訳です。

そして未だ産経新聞の正体を知らずに無邪気に信じている人々は、同じく日本会議の中に入り込んでいるカルト組織などの存在にも気づいていない為、日本会議や産経新聞が垂れ流す一見右翼的な扇動に盲目になってしまっているのだろうと思います。
彼らは愛国心とか、正しい歴史認識とか、靖国の英霊などといった美辞麗句を頻繁に並べ立てる事で読者やメンバーを信じ込ませ、恰もそれが真の右翼思想であり、または保守思想であるかの様に巧みに誘導してきたのです。
それで本当の本来在るべき右翼の姿をすっかり忘れ去り、右翼の定義を間違えたまま、「自分は右系保守だ」という認識を持ち、「右翼思想こそは正しいのであり、これに反する考えは全て左翼で反日思想なのだ」
という認識で、自らを右翼と位置づけ、その(実は間違った)右翼思想で物事を判断する事が正義なのだと勘違いしている訳です。
そうした背景を持つ日本会議から出てきた政治家であれば、カリスマ化していくのは当然の事であり、カリスマ化された政治家は保守政治家という位置づけが成される訳です。
勿論その政治家自身も所謂ネトウヨなのですが、日本会議出身の政治家の殆どは自身が洗脳されている事に気づかないままですから、官僚の言いなりなのは当然でしょう。

その頂点に立つのが安部晋三という存在な訳です。
それで彼らは「安部さんは保守である」という事を軸足に置いて物事を判断してしまう様になってしまい、「保守である安部さんの行動、言動は全て正しい」という思考回路が定着してしまい、「後には引けない」という心理に陥っている為、認識を修正できずにいるのだと思います。
つまりCIAと、その依頼者であるネオコンの右翼扇動工作は見事に成果を上げ、日本人同士が争い、真実から人々の目を遠ざける事に成功したのです。
そして電通の功績や食物その他様々な物に毒物を仕込む事によって白痴化された人々が気づかない内に、日本社会を彼らの都合の良い仕組みに変える事に成功しつつあり、その最終仕上げがTPPという事なのでしょう。

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