‘EUとアメリカ間のTTIP交渉は事実上失敗した’ - ドイツ経済相
公開日時: 2016年8月28日 11:57
編集日時: 2016年8月28日 12:42
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FILE PHOTO © Francois Lenoir / ロイター
EUとアメリカの環大西洋貿易投資連携協定、TTIPに関する交渉は本質的に失敗したと、ドイツのシグマール・ガブリエル副首相兼経済・エネルギー相は述べた。
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TTIPは‘EUの利益を尊重していない’: フランスのヴァルス首相、環大西洋貿易投資連携協定に‘ノン’と発言。
“アメリカ合州国との交渉は、誰も実際に認めようとはしていないが、事実上、失敗したというのが私の考えだ”と、経済相はZDFの司会者に語ったが、日曜日放送予定のインタビュー書き起こしによれば下記の通りだ。
“[彼ら]が失敗したのは、ヨーロッパ人は、アメリカの要求に服従したくないためだ。”
14回の交渉で、両者は議論されている協定の一章たりとも、共通の基盤を見いだすことができなかったと彼は述べた。障害の一つには、公共入札を、ヨーロッパ企業に開放するのを、アメリカが反対したことがある。
“私から見れば、これは自由貿易に反します" ガブリエル経済相は以前この問題について、こう発言していた。
アメリカ政府は、自由貿易協定は、2016年末までに署名すべきだと主張しているが、ドイツのみならず、多数のヨーロッパ諸国による強い反対に会っている。
多国籍企業の利益を、多国籍企業が操業する国の国益より優先し、ヨーロッパの労働基準や、環境保護基準を損なうTTIPは危険だと反対する人々は主張している。
ガブリエルは、TTIPを、EUとカナダが交渉している自由貿易協定、包括的経済貿易協定(CETA)と比較し、そちらの方が各当事者にとって、より公平だと彼は述べた。
ヨーロッパの各国民も、TTIP協定の内容が秘密なので不満だ。とは言え、最近の漏洩で、TTIPが、食品安全法規、環境法規、金融規制に悪影響を及ぼし、EUを遺伝子組み替え作物に対して開放することを示唆している. 協定に反対する人々は、多くのヨーロッパの都市で、抗議行動をしている。最近では、先週末、ベルリンで行われ、活動家たちが、9月17日の全国規模デモ行動を呼びかけた。
‘一般庶民の利益に関するものではない’
未曾有のTTIP抗議行動のせいで、貿易交渉の運命について、大西洋両岸の政治家たち“本当に懸念しており”連中に、協定をお蔵入りにする口実をさがすよう強いているのですと、ジャーナリストで、元ベルギー議会副議長のロデ・ヴァンホストはRTに語った。
“この協定に反対する抗議行動は、これまでの他の協定では見られなかったものです。この多国間投資協定のような大型協定が、以前、大衆の抗議行動で阻止された実績があります”とヴァンホストは述べた。
“彼らは交渉丸ごと延期する打開策を探しているのです”と彼は言った。
ヴァンホストによると、ガブリエル経済相のTTIP批判は、ドイツの支配エリート内の権力闘争という可能性がある。しかし彼は、協定そのものが、アメリカと、ヨーロッパの支配エリートとの間の協定であって、一般庶民とは無関係だと言う。
“これは自由貿易の話ではなく、協定でさえありません。これは基本的に、アメリカと欧州連合の経済エリート間の、国民の意思に反する連中の権益を守るための取引です。”
ワシントンがEUとの自由貿易協定を強引に押し進めようとしている、もう一つの理由は、ロシアとEUの経済関係の発展を阻止するためです。“過去数十年間進行してきた変化 – 終始進んできた、ロシアとの経済関係を阻止する”のが狙いです。
“第二次世界大戦が終わって以来、ずっとアメリカが阻止したがってきたものです”と ヴァンホストは述べた。
記事原文のurl:https://www.rt.com/business/357454-ttip-talks-failed-eu/
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大本営広報部は、この種の話題を報道管制しているので、今日の日刊IWJガイドの一部を流用させていただこう。
佐々木隼也記者が、臨時国会の目玉のひとつである「TPP法案」について警鐘を鳴らします!
■迫る臨時国会!安保法と同じ「強行採決」の危険性~米国で「批准不可能」状態のTPPを日本国民は止められるか!?
おはようございます。IWJの佐々木です。
いよいよ臨時国会の招集日が9月26日となりました。この臨時国会では、安倍政権としてはアベノミクスの威信をかけた第2次補正予算案や、過去に3度廃案となった世紀の悪法「共謀罪」のほぼ名前をすげ替えただけの「テロ等組織犯罪準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法改正案、さらに、憲法改正や天皇陛下の生前退位をめぐる皇室典範改正などが議題にのぼると見られており、国民にとって、今後の日本のあり方を大きく占う、重要な局面となります。
そして、この臨時国会でもう一つ、議題にあがると見られているのが、TPPの批准を見越したTPP承認案です。
TPP…。IWJでは菅直人政権において急浮上してきた2010年から、これまで5年以上、この問題を追い続けてきました。IWJは、TPPが「貿易を自由化し、ルールを取り払い、各国が互いに経済発展を遂げる」というスローガンの実態が、「大企業や資本家が利益を追及するうえで『邪魔』となる、国民の命や文化、健康を守るための様々なルールやセーフティネットを排除し、国民生活そのものを『市場』化するものだ」と喝破してきました。
その実態は、一番の推進国である米国内ではすでに見抜かれ、多くの米国人が反対の声をあげています。
米国民の多くの支持を受け、ヒラリー・クリントン氏と米大統領選の民主党候補の座を争ったバーニー・サンダース氏は、当初からTPPに強烈に反対し、民主党候補争いを退いたあとも、TPP反対の新組織を立ち上げることを表明しました。
また、共和党候補のドナルド・トランプ氏も、TPPは「雇用を奪う」として、強硬に反対。そして当初はTPP容認派だったヒラリー氏でさえも、こうしたTPP反対の動き、そして世論の圧力を受け、11日のミシガン州の演説で「選挙後も大統領になっても反対する」と、反対派に転じ始めました。
オバマ大統領は自身の任期中に、なんとかしてTPP批准にこぎつけようと焦っていますが、米国民や米議会の反対の動きを見る限り、少なくとも「年内の批准はないだろう」と多くの識者はみています。
一方の推進国、日本はどうでしょう。
安倍政権は早期のTPP承認案の成立と批准を求めていますが、今回、臨時国会の招集日が26日となったことで、さらに冒頭紹介したように他にも重要議案が目白押しのため、TPPに関する審議は「時間切れ」となる可能性があります。
しかし、この「米国の強い成立圧力」と「審議が時間切れとなり決まらない可能性」というパターン。何かを思い出しますよね。そう、安保法制の時と同じなのです。焦った安倍政権が安保法制を強行採決したように、TPP承認案も、国民無視の強行採決を仕掛けるのではないかと、多くの識者、そしてIWJとしても危機感を募らせています。
安倍政権はTPP批准に先行して(先取りして)、すでに国内で、TPPに合わせた様々な「国内法の改正」や「システム・ルールの変革」を進めています。
こうした米国内の動き、そして臨時国会を控えた国内の動き、そして先行して進める国内法の改正の問題などは、近く、記事として分かりやすくまとめ、多くの人に警鐘を鳴らしたいと考えていますので、今しばらくお待ち下さい!
2010年当初からTPPに反対の声をあげている、元農水大臣の山田正彦氏などは、20日に行われたTPP反対集会で、TPPによって日本の医療や食の安全が根底から脅かされること、そしてその事実がすでにTPP条文案に書き込まれていること、それを日本政府が隠していることなどを説明しました。
この集会の模様は、以下の動画記事よりご覧になることができます。現在、この集会の丁寧なテキスト記事を作成中ですので、こちらもしばしお待ちください!
・「TPPを批准させない!全国共同行動8.20キックオフ集会」(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/326523この山田正彦氏の様々な指摘は、今年の3月と5月、2度にわたり行われた岩上さんによるインタビューで、詳しくお話しいただいています。ご覧になった誰もが、「えー!!??」と驚くほど、とんでもない内容を孕んだTPP.。ぜひ臨時国会の前に、以下のインタビュー記事をご覧になっていただければと思います!!そして、この機会にぜひ、数々のコンテンツが見放題、読み放題になるサポート会員へのお切り替えをぜひ、よろしくお願いします!
・「聖域もいずれ関税撤廃に」?! 日本農業新聞を含むほぼすべての大手メディアが取り上げないTPPの衝撃の真実!
岩上安身による山田正彦・元農水大臣インタビュー(前編)2016.3.7
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/290721・日本の「食の安全」をモンサントが決める!?日本農業新聞を含むほぼすべての大手メディアが取り上げないTPPの衝撃の真実!
岩上安身による山田正彦・元農水大臣インタビュー(後編) 2016.5.7
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/300847
以下のリンクもお読みいただきたい。
植草一秀の『知られざる真実』
TPPの真実知って安倍暴政TPP強行批准を阻止
TPP交渉差止・違憲訴訟の会の山田正彦氏の新刊
ついに完成『アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!』
アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!hontoでも購入可能。
このブログの、TPP関連翻訳記事リストは下記。
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