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2016年8月 2日 (火)

フランスにおけるテロの連鎖は、フランスがならずもの国家であるのを止めた時に終わる

Finian CUNNINGHAM
2016年7月30日
Strategic Culture Foundation

ナイフを振るう二人のイスラム主義テロリストによる高齢神父の殺害で、フランスが衝撃を受けるのも無理からぬことだ。喉を掻き切られた際、85歳のジャック・アメル神父は、ノルマンディー教区の教会で、少数の会衆を前にひざまずかされた。その後、殺人犯たちは、教会の祭壇で、気味悪いアラブの儀式と自称するものを行う様子を撮影した。

殺人事件が起きた今週始め国民の恐怖を表現して、北フランス、ルーアン地区の司教総代理フイリップ・Maheutが“我々は一体どうしてこのような事態に至ったのか自問すべきです”と述べたと報じられている。

チュニジア生まれの男が、ニースの保養地リビエラで、19トン・トラックを、フランス革命記念日花火見物をしていた歩道の群衆に突進させた事件から二週間もたたないうちに起きた残虐な殺人の衝撃は一層深い。フランス当局によれば、84人が殺害された攻撃も、動機はイスラム主義テロだった。

2015年1月以来、フランスは、10回以上のテロ攻撃を受け、250人以上の人命が奪われた。フランスは、9ヶ月にわたり非常事態の状態にあり、少なくとも今年末までは、この状態が続く。おそらく、それ以上先まで続こう。ところが暴力行為が静まる兆しは皆無だ。

国民にとって、さらに苛立たしいのは、最近のルーアン近郊での攻撃で、後に警官に銃撃され死亡した加害者二人のうち一人はテロとつながっているのをフランス当局が掌握していたことだ。フランス在住のアラブ人アデル・カミーシュ(19歳)、2015年に現地で戦っているイスラム主義過激派に加わろうと二度シリア渡航を試みたことに対するフランス裁判所による判決の一環で、監視用ブレスレットを取り付けられ、自宅監視下にあった。

この事実が暴露されて、フランソワ・オランド大統領政権に対する大衆の騒々しい不満は更に高まった。その後、現地ニースの警察は、トラックによる虐殺時に、十分な国家安全保障支援を受けられなかったと主張した。

オランドの社会主義政権は、治安の点で“甘すぎる”と右翼から攻撃されている。

共和党総裁のニコラ・サルコジは、今週の司祭殺人の余波に“容赦ない”対応を要求した。

来年の選挙で、二度目の大統領の座を狙うと予想されているサルコジは、右翼マリーヌ・ルペンの反移民派、国民戦線の影を薄くすることを狙っているように見える。

サルコジが要求している緊急措置には、イスラム主義テロとのつながりを疑われた人物、誰でも裁判なしで拘留することや、警察のより強力な監視権限や、テロで有罪という判決を受けた場合、フランス国民の出身国への国外退去などが含まれる。これは戒厳令状態に似た、特定の民族的-宗教的集団丸ごとの大量強制収容へと向かう、危険な先行きにつながりかねない。

オランド政権に対する、共和党と国民戦線からの、選挙にむけた圧力が増す中、治安問題でのこれまでのお粗末な実績を考えると、フランスが、既に過酷な緊急権限を更に強化するというのが必然的結果になりそうだ。

フランス軍の海外における作戦も、更にエスカレートするものと予想される。オランドも、マヌエル・ヴァルス首相も「イスラム国」 (IS、またはダーイシュ)に対する戦争を宣言し、“戦いは長く続く”と言明した。

7月14日のニース惨事から、わずか数日後、北シリア、マンビジのIS拠点近くで、フランス戦闘機が、何回か空爆を実施した。ところがシリア政府筋は、攻撃で、100人以上の民間人が殺害される結果となったと主張している。ダマスカスは、国連安全保障理事会に、空爆を行う上で、フランスの人道法違反とシリアの主権侵害を非難する書簡を送った。

起きているのは死のテロ無限連鎖だ。現行の状況下では、この連鎖は、一層深く恐ろしい回復の見込めない状態へ落ち込もう。

神父殺害後に、ルーアンの司教総代理が提示した疑問に戻ろう。我々は一体どうしてこのような事態に至ったのだろうか?

フランスから、ベルギー、さらにドイツまでに至るヨーロッパ中で、起きている、いわゆる聖戦戦士による暴力行為の大半は、ヨーロッパ諸国が中央アジア、中東や北アフリカで行ってきた違法な戦争の一種の逆噴射のようなものであることは、いくら強調しても強調しすぎることはない。これらの戦争は、アメリカ合州国とともに、NATOの旗印の下、アフガニスタン、イラク、リビア、ソマリア、そしてマリで公然と行われてきた。一見したところ犯罪的ではないにせよ、こうした“介入”の適法性はおおいに疑問の余地がある。

ニコラ・サルコジ大統領の下、2011年3月、フランスは、NATOとしてリビアを爆撃し、破綻国家にし、ムアマル・カダフィの政権を打倒し、マグレブ、サハラや、中東地域全体にイスラム主義テロを解き放った。

2012年からのオランド大統領の下、フランスは、選挙で選ばれたバッシャール・アル・アサド大統領政権を打倒するためのシリアにおける過去5年間の秘密戦争の主要後援者だ。アメリカ合州国、イギリス、サウジアラビア、カタールやトルコと共に、フランスは、現代史における大きな犯罪の一つの責任を負っている - 死者数400,000人、何百万人もの退去難民を出しているシリアの理不尽な破壊、全て、政権転覆を目指して、テロリスト民兵を秘密裏に支援していることから生じている。

シリアの国連大使バッシャール・アル-ジァーファリは、先週、安全保障理事会で皮肉をこめて警告した。“一体なぜ、ヨーロッパでの攻撃はテロ行為として非難され、連中がシリアでそれをすると、欧米政府は‘穏健反政府派’の行為と呼ぶのですか?”

自称イスラム主義テロリストが、ノルマンディーで神父の喉を掻き切ったのは、確かに衝撃的だ。しかし、シリアの同じテロ集団による、何千人ものキリスト教徒や、イスラム教徒の斬首は一体どれほど、より衝撃的だろう?

シリアの正教会総主教は「イスラム国」や他のアルカイダとつながるテロ集団に包囲された町や村のキリスト教徒の殲滅について長年警告してきた。シリア正教会首座イグナチウス・エフレム二世は、数ある中でも、アル・カラティン村の教会内で21人のキリスト教徒が虐殺された一つの恐ろしい出来事について語った。テロ支配は、今年4月、シリア・アラブ軍とロシア空軍聖戦士から奪還して、ようやく終わった。

昨年10月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が軍事介入を命じるまで、100もの国からの傭兵の聖戦戦士ネットワークが、すんでの所で、シリア国家を打倒するところだった。国家の打倒が、フランス政府と、同盟諸国の目標だった。しかも、代理部隊は、外国列強に、指揮され、資金を提供され、武器を供与されていた。フランス、アメリカ、イギリスやどの国々は、大きな戦争犯罪のかどで有罪だ。こうした国々の政治指導者は起訴されるべきだ。法律のもとで責任を問われることがなければ、法律は存在しないことになる。我々は無法地帯に屈することになる。

フランソワ・オランドは、2012年という早い時点に、フランス兵器が、欧州連合の対シリア禁輸に違反し、シリア“反政府派”に提供されているのを公式に認めた記録がある。

欧米マスコミ報道も、外国兵器が、公式にはテロ・ネットワークとされる連中の手に渡っていることを時折恥ずかしげに認めることがある。穏健派と過激派との違いという考え方など、連中がテロリストを支援し、煽動しているという正当な告発から、欧米政府が責任逃れをするための身勝手な言い訳だ。

先週、北シリアの都市アレッポ近くでの、アメリカが支援するヌルディン・アルザンキ旅団“反政府派”による、10歳のパレスチナ人少年の斬首ビデオは、このいんちきな見せかけの証明だ。アメリカ国務省は、集団とのつながりを認め、少年のぞっとする殺害で、旅団への支援継続を“一時停止”することになろうと述べた。

フランスがテロの死の悪循環から抜け出る道は無いように見える。フランスのみならず、全ヨーロッパで。

ドイツにおけるテロに関連する一連の攻撃 - 先週三件 -アラブや、イスラム教の国々から暴力を逃れてくる亡命希望者に対する恐怖と憤りを一般ドイツ人の間で掻き立てている。

ルーアン近郊のフランス教会での残虐行為は、フランスのキリスト教の伝統に対する冒涜と見なされている。極右フランス民族主義団体が、アラブ人やイスラム教徒のコミュニティーへの攻撃で報復を狙う恐れという報道もある。恐怖、疑惑、報復と、外国人嫌いという心理は、益々強力になる非常事態権限や、煽動的な政治言辞によっても、強化されかねない。

底無しの黙示録的な果てしない暴力の展望があるように思える。ヨーロッパ国民が、いかにして暴力の悪循環から脱出するか、途方に暮れているように見えるのも無理はない。

フランスにおけるテロの悪循環も、より広範なヨーロッパでのそれも、フランスなどの国々が、違法な政権転覆計画のため、テロリスト代理軍を支援して、国際法を無視し、他国の主権を侵害しているならずもの国家としての行為を止めてこそ終わるだろうというのが真実だ。

フランスは喪に服している - またしても。フランスは、自らの国際的無法さという現実に目覚める必要がある。そして、ヨーロッパやアメリカのNATO同盟諸国とともに、そもそも、政府が大々的にそそのかしたテロの連鎖を絶つことだ。

ルーアン近郊での神父の殺害後の演説で、オランド大統領は、TVカメラを見つめて、おごそかに述べた。“私は皆様に真実を語る義務がある。 この戦いは長いものになります。標的にされているのは、我々の民主主義です。我々は団結しなければなりません。”

ちょっと待った。これは欧米政府による非難されるべき一種の詐欺だ。人々が最初に団結すべきことは、果てしのないテロという現象を、我々のただなかに引き起こした戦犯や組織的な国際法違反に対する起訴であるべきなのだ。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/07/30/france-terror-spiral-ends-when-france-stops-being-rogue-state.html

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マレーシアで施行される「国家安全保障会議法」どういうものなのだろう?

 【ハノイ=松本眞志】マレーシアで1日、ナジブ首相に広範な治安上の権限を与える「国家安全保障会議法」が施行されます。東南アジアの国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は7月29日、同法は市民の自由を規制するものだと懸念を表明しました。

苦渋の決断で立候補を取り下げた宇都宮健児氏に、IWJが独占インタビュー!「野党4党も市民連合も、深刻に総括をすべき。これをやらないと、これからも負けっぱなしですよ」 2016.7.31

孫崎享氏のメルマガ、『トランボ』が話題だった。見にゆきたいものだ。

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コメント

国家安全保障会議法って、米国のFEMAそのままですね。
もう、どこの国もワシントン傀儡ですから、ネオコンに逆らう勢力の粛清が目的でしょう。
マレーシアも日本と事情がよく似ているという事ですね。
ただ違う点は、まだ前首相のマハティール氏の影響力が衰えていない為、彼がTPP反対の旗振り役で頑張っており、国民の多くもこれに賛同しているというところでしょう。
従って、ネオコンとしてはマハティール氏が邪魔で、それを支えTPP反対運動を続ける民衆も邪魔、だから、これの粛清を図るのが目下の課題。そこで出てきたのが、この法案という訳でしょう。
日本でも国家安全保障省の創設などが検討されており、これに合わせる形で憲法に緊急事態条項を加える動きがあることを考えますと、このマレーシアの件も同じ意味合いと解釈できますね。
尤も、日本の場合はTPP反対運動そのものが殆ど無い状態ですから、もっと別の目的があると見るべきなのかな、とは思いますけれど・・。
何れにしても安倍の政府は、米国に歩調を合わせる事しか考えていないのは明白ですね。


>標的にされているのは、我々の民主主義です。

ブッシュの「奴らは我々の自由を憎んでいる」並みの迷言ですね(笑)

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