ヒトという悪は、地球上の生命を破壊するのだろうか?
Paul Craig Roberts
2016年8月17日
世界自然保護基金によれば、トラは世界中に、わずか3,890匹しかいないという。短期的利益のために、環境を破壊する搾取的資本主義のおかげで、トラの生息地は急速に消滅しつつある。環境破壊と、素晴らしい動物を殺すことが、男らしいとか、もうかるとか考えている連中による狩猟や密猟が、この美しい動物の急速な絶滅を引き起こしている。間もなく、トラは動物園展示だけになってしまうだろう。
同じことが、ライオン、チーター、ヒョウ、サイ、象、ボブキャット、狼、熊、鳥、チョウチョ、ミツバチにも起きている。ありとあらゆるものに。
我々が目にしているのは、美しい地球に所属しない、大悪魔に呪われた生命体、人類の無責任さだ。呪われた人類は、地球の居住適性を破壊する核戦争を始めることさえ可能だ。
神は、悪の虜になっている人類に、地球の管轄権を与えてしまった時、間違いをおかしたのだ。神は、動物に管轄権を与えるべきだったのだ。人類が動物に一体何をしたかを考えて頂きたい。例えば、「野生動物の擁護者」という団体が、現在、ヘラジカを殺りくするための、より多くの狩猟許可証を、州がハンターに販売できるよう、腐敗したアラスカ州が、狼やハイイログマを虐殺していると報じている。狼の群れや、ハイイログマに食べられるヘラジカも、ハンターに殺りくされるために存在しているわけではない。州は、狩猟許可証料収入を減らす捕食動物を全滅させているのだ。
ウズラ・ハンターたちは、より多くのウズラを撃てるよう、ボブキャットを殺して欲しいと思っている。ニューハンプシャー州魚類鳥獣部が、ボブキャットのために、狩猟と罠をしかける季節を設定することに決めたが、絶滅危惧種のオオヤマネコも、同じ罠にかかることが明らかになって、決定を覆さざるを得なかった。動物が絶滅の瀬戸際になって初めて、人は保護の価値があると考えるのだ。
殺りくと死は、ハンターだけでなく、アメリカ人にも受けるのだ。過去15年間に、7つの国々における、自国政府による、殺りくや、負傷や、何百万人ものイスラム教徒難民に心を痛めているアメリカ国民を一体何人ご存じだろう?
数年前に、アメリカ人が、相手を殺したり、殺されたりする目的で犬を喧嘩させる闘犬の常連に、NBAのスターがいたというスキャンダルがあった。アメリカ人は、雄鶏が殺したり、殺されたりする、闘鶏を楽しむ。イギリス人は、熊と犬が戦って死ぬのを楽しみ、熊と戦う特殊な犬を育てている。スペイン人は、闘牛、あるいは闘牛士の死を見るのを楽しみにしている。ローマのコロシアムでの血を流す競技は、大いに人類の一環だ。
酷い育てられ方をした少年たちは、犬や猫の尻尾にカンを結びつけ、驚いた動物が走るの見て笑うが、こうした動物は車にはねられて死ぬことが多い。
私は、時々友人と射撃練習場に行って紙の標的を撃つことがある。ある時、超強力な銃の爆音で、我々の集中力が乱された。射撃するたびに、彼はひるんでいた。練習するには、それほど強力ではない銃を使った方が良いと、私は助言した。
実は、彼の息子がアフリカに行き、ライオンを殺すのに、25,000ドル払ったのだと彼は言った。息子が父親に自分の功績に応えるよう圧力をかけ、父親は、0.375 H&Hマグナム弾を撃つ度に、肩にあざをふやすというわけだ。彼は引き金を引くたびに縮みあがるようになり、彼の狙いは、撃つたびに、益々外れてゆくのだった。
ライフルで照準を合わせられるようになりたいのだと彼は言った。我々自身が目と手の連動に集中できるようにするため、私はお手伝いすようと言った。我々の不満そうな表情を見て、本当は、ライオンを撃ちたくはないが、友人連中と息子が狩猟文化にはまって、動物を殺すのは、男らしさの証明だと言うのだと口走った。彼らに受け入れてもらうためには、そうするしかないと彼は思ったのだ。
そして彼は、偉大なライオン・ハンターが危険な動物を殺す方法を説明してくれた。
最初に、カバを撃つのだと彼は言った。そこで、死んだ動物の一部を、わずか55メートル先のライオンのように大きな動物を撃つための自分のライフル銃を背負って上がれない場合でも銃が置いてある、高さ6メートルの足場から、わずか18メートルの所に餌として、つり下げるのだ。そして、もし撃ち損ねれば、グレート・ホワイト・ハンター・ガイドが撃ち、あなたは危険な野獣に勝利したのだと主張できるというわけだ。
このエセ狩りシナリオに参加するのに余り気乗りがしないようですねと私は言った。彼は気乗りはしなかったが、25,000ドル支払ってしまったと言った。旅行をキャンセルし、25,000ドルは卑劣な殺りくに参加する恥を避けるための費用だと考えるように私は助言した。
象は素晴らしい生き物だ。象の知性は、多くのヒトよりも高く、もし殺害されなければ、象の寿命は、ヒトの寿命より長い可能性がある。それなのに、象は驚くべき率で殺害されつつある。ニック・ブラントは写真集「Across The Ravaged Land」で、東アフリカの動物の消滅を記録している。
かつては強力だったが、現在は弱体で、アメリカ政府の言いなりになっているイギリス新聞ガーディアンは、2014年に、20,000匹のアフリカ象が密猟者によって殺されたと報じている。東アフリカと、中央アフリカ中での同じ惨害で、タンザニアとモザンビークは、象の数の半分を失った。
象の絶滅に直面して、欧州連合は一体何をしただろう? EUは、象牙取り引き禁止を拒否したのだ! 禁止は、資本家連中の利益を妨げかねない。
自由市場イデオローグが理論をでっちあげた 動物を救う方法は、動物の殺害が儲かるようにすることだというのだ。そこで、人はハンターに殺されるために動物を育てるのだ。言い換えれば、動物は、人が動物を殺す喜びのためにのみ存在する。https://www.theguardian.com/environment/2016/jul/06/african-wildlife-officials-appalled-as-eu-opposes-a-total-ban-on-ivory-trade
我々が押しつけられているのは、もはや文明などではなく、地球上のあらゆる生命に対する実存的脅威たる“欧米文明”だ。オバマは、一兆ドルのアメリカ核兵器近代化計画を発表した。http://billmoyers.com/story/the-trillion-dollar-question-the-media-have-neglected-to-ask-presidential-candidates/ 死のために使われるこの膨大な金額は、そうではなく、生のために使うことも可能なはずだ。これは、多数の大きな良く保護された野生生物保護区域に資金を提供するに十分な金額だ。
核兵器が代表する悪は、地球上の生命の存在継続とは相いれない。他国に対する覇権への欲望で狂ったアメリカ政府は、無責任に、核大国間戦争を招こうとしている。世界の指導者の中で、プーチンだけが、アメリカ政府が、全員にとって見込みのない進路をとっていると警告している。
あらゆる事実にもかかわらず、だまされているアメリカ国民は、いまだに、自らを、地球上で最も善良な地の塩、“例外的な国民”“必要欠くべからざる国民”だと思い込んでいる。もしこの妄想が治療できなければ、人間は地球を殺りくするだろう。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/08/17/will-human-evil-destroy-life-on-earth-paul-craig-roberts/
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我々が押しつけられているのは、もはや文明などではなく、地球上のあらゆる生命に対する実存的脅威たる“欧米文明”だ。核兵器のもう一つの顔、原発が代表する悪は、地球上の生命の存在継続とは相いれない。
■■■ 日刊IWJガイド「『脱原発テント』を国が強制撤去!午前3時の強制執行に市民らが怒りの声!/何様なのか!天皇陛下『生前退位』のご意向を批判する日本会議メンバーたち/まだまだ暑い日が続いています!『TALK ABOUT DEMOCRACY』Tシャツ、好評発売中!」2016.8.22日号~No.1438号~ ■■■
(2016.8.22 8時00分)おはようございます。IWJで主にテキスト関連の業務を担当している平山と申します。
昨日8月21日午前3時半過ぎ、霞が関の経済産業省前に市民が設置した「脱原発テント」に対し、東京地方裁判所が強制執行を開始。市民による「脱原発」運動の象徴的な存在だった「脱原発テント」は、2011年9月11日の設置から約5年を経て、国により強制撤去されてしまいました。
IWJでは、強制撤去開始の知らせを受けたぎぎまき記者が、早朝の午前5時過ぎに現場に到着し、Ustreamでの中継を開始。その後行われた緊急の記者会見や抗議行動などを、ぎぎ記者、葦澤美也子記者、川島安乃スタッフ、城石裕幸カメラマンの4人でつなぎながら、午後18時30分頃まで中継を続けました。
早朝から騒然となった現場の様子は、事務所で中継のモニタリングを行った安道幹記者と学生インターンの西原良太さんが「速報記事」としてまとめました。記事にはYouTubeでのハイライト動画もあわせて掲載していますので、ぜひ、下記URLよりご覧ください。
※【速報!】「テントが一つ、二つなくなったからといって、脱原発の意志が変更されることはない!」―21日未明、寝込みを襲う「脱原発テント」の強制撤去!! IWJはテント関係者に現場の様子を直接インタビュー!!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/326651※【続報】福島県双葉町の女性は「こんな辛い思いを、私と同じ惨めな思いをさせたくない」~脱原発テント強制撤去に対する緊急抗議会見!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/326652この「脱原発テント」に関しては、2011年9月11日に設置されて以降、IWJでは繰り返しその時々の様子を伝え続けてきました。雨の中、瀬戸内寂聴氏や澤地久枝氏がハンガーストライキを行ったこともありましたし、「在特会」や右翼の街宣車による襲撃を受けたことも何度もありました。
※2012/05/02 経産省前テントでのハンスト(瀬戸内寂聴氏、澤地久枝氏)インタビュー中継
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/13936※2016/08/14 経産省前テント襲撃(在特会所属の瀬戸弘幸氏等)に対するカウンター行動
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/325531IWJでは現在、この5年におよぶ「脱原発テント」の歩みを振り返るスペシャル・ムービーを製作しています。編集作業が終わりましたら、この「日刊IWJガイド」やTwitter、Facebookなどで改めて告知しますので、どうぞご注目ください!
「脱原発テント」の前では、この5年、様々な人間ドラマが展開されました。歌う人、怒る人、泣く人、悲しむ人、喜ぶ人・・・。既存大手メディアが報じないこうした市民一人ひとりの表情を、IWJはその都度、全力でお伝えし続けてきました。
IWJがこうした報道を続けてこられたのも、定額会員の皆様やご寄付・カンパをお寄せいただいている皆様のおかげです。改めて、厚く御礼を申し上げます。
ですが、8月15日に、会員継続のためのご入金が確認できなかった方を対象に、会員としての資格を一時的に停止する手続きを取らせていただきました。その結果、現在(8月20日時点)の会員数は5,899名様と、再び6,000名様を割り込むことになってしまいました。
会費がまだ未納になっている方は、この日刊ガイドを御覧になりましたら、ぜひ、お納めいただきたいと思います。入金確認がとれ次第、ただちにサービスを再開させていただきます。
IWJがこれからも活動を続けるためには、安定した経営基盤がどうしても必要です。経営者である岩上さんによると、会員数が最低でも8,000名様に届かないと、支出と収入のバランスが合わず、赤字に転落してしまう、とのこと。
実際には、会費収入はそのラインには達していないわけで、その分を皆様からお寄せいただくご寄付、カンパによって補っているという次第です。ジャーナリストであり、IWJの配信するコンテンツの編集長でもあり、その一方でIWJの経営者である岩上さんは、日々、経営に関する数字とにらめっこしながら頭を悩ませています。
思えば、「脱原発テント」が設置された2011年9月、IWJではまだ会員制がスタートしておらず、皆様からのご寄付・カンパを頼りに、岩上さんが自分の貯金を切り崩し、私財を投じて活動を続けるという状態にありました。それでもこの間、岩上さんの驚異的な頑張りと、皆様からのあたたかいお支えにより、IWJはつぶれることなく存続することができました。
この「脱原発テント」のような市民運動だけでなく、安保法制、改憲、TPP、沖縄での高江のヘリパッドや辺野古での新基地建設問題など、IWJはこれからも日本政治の「中心」を報じ続けたいと思っています。ぜひ、定額会員にご登録いただくか、ご寄付・カンパをお寄せいただくというかたちで、IWJの活動をご支援ください。どうぞ、よろしくお願いいたします。
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コメント
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こうした野生動物への酷い仕打ちなども結局、人間のエゴによる一つの例ですね。
象牙を獲る為や珍重される動物の密猟も許せない所業ですけれど、このスポーツハンティングというのは、優越感や満足感を満たす為であり、そこに所謂イジメ的な意味合いがありますから、尚更許せませんね。
しかし、人間のエゴによる生物の受難は、こうした直接的な殺戮に留まらない事をどれ程の人が意識しているのか、と考えさせられるところでもあります。
例えば今、高江で起きている事、辺野古の埋め立て問題にしてもそうですけど、そこには米軍基地に対する拒絶もありますが、私の場合、寧ろ自然破壊という側面の方が気になってます。
地元の人にとってはオスプレイの騒音で恐らく健康被害が深刻なものとなるでしょうし、同じくヤンバルに生息する特有の生物も大打撃を受ける事でしょう。
できれば止めたい気持ちでいっぱいです。
考えてみれば、人類が文明というものを手に入れてからというもの、生物の絶滅は加速度的に進んできたのであり、近代に入ってからは戦争や開発、汚染などで失われる生命の数は計り知れません。
近年は、それが更に加速されて、今や人類は人類自らをも絶滅させようとしていますね。
けれども、特に日本人は危機感が薄いという悲しい現実。
人々は日々の生活に追われ、他人の事など構っていられないし、まして他の生物の事など顧みる余裕などある訳がありません。
富裕層は尚更、傲慢で全ての物事を金額で推し量る事ばかり考えていて、金銭の為には動物の命など、どうでもよく、自然環境を破壊するのは当たり前という感覚でいる人が多いように思います。
人が生きる為には、自然環境や他の生物に対して、どうしても最小限の加害は致し方ないとは思いますが、必要以上の破壊や殺戮は慎むべきというのが私の持論です。
お金の為やゲーム感覚のハンティングは勿論止めさせなければいけませんし、環境破壊や放射能、産業排水、農薬などの汚染も止めたいところです。
そうした理想を実現する為には、結局のところ政治に辿り着く訳ですが、この現在の政治的劣化や世界全体の不条理を正す為には、結局、地球上に暮らす一人ひとりの意識を高める他はないのかもしれません。
しかしグローバルエリートの連中は、それを快く思っていない様で、彼らは寧ろ環境破壊、汚染、殺戮の限りを尽くしても、より多くの人類を他の生物種共々絶滅させたがっている様に見えます。
つまり我々99%が、生物への惨い仕打ちや環境破壊、汚染、戦争も含め地球全体を穢す事を厭わない強欲な連中に勝利する以外には、地球生命全体の滅亡を防ぐ道は無いという結論に至る訳です。
それには先ずTPPを絶対に阻止せねば!です。
投稿: びいとるさいとう | 2016年8月22日 (月) 21時55分