TTP、TTIP、TISAとCETA: 国連法律専門家、提案されている貿易協定は“違法”と主張
Eric Zuesse
Global Research
2016年6月25日
民主的で公正な国際秩序推進に関する国連の独立専門家、アルフレッド・デ・サヤスは、国際法の基準を、提案されている条約に適用して、これらの条約が、国際法に合致しているかどうかを判断するという任務を課された。6月24日、金曜日、彼は、北大西洋諸国間の国際貿易に関して提案されている三つの大形条約: TTIP、TISAと、CETAに関する彼の所見を発表した。既に、2月2日、彼は、太平洋諸国間で提案されているTPP条約に関し、同様な所見を発表しており、ここでの彼の結論も同じだった。提案されている条約は、国際法に違反しており、民主主義とは相いれない。
提案されている大西洋条約に関する彼の所見は、こういって条約を非難している。“貿易協定は、労働組合、消費者団体、医療専門家や環境専門家、そして今や議会などの主要な利害関係者たちを排除して、秘密裏に準備され、交渉されており、民主的正当性は皆無だ。”これは、アメリカのバラク・オバマ大統領が提案している全ての貿易条約: EUとカナダの間で提案されている条約CETAも含め、TPP、TTIPとTISAのことをいっている。
彼は更に手厳しく、こう述べた。“国民から、この重要な議論に参加する権利を剥奪するのは非民主的であり、国民の意見を完全に無視しているのは一目瞭然です。”
6月24日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)による報道発表には、とりわけこうある。
2014年に、欧州委員会が行った以前の調査では ヨーロッパ中の回答者の97%が、アメリカとの環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)の非対称な投資保護に参加することへの反対を表明する結果となっている。“同じことが、CETAにもあてはまりますが、何の調査も行われていません”と彼は言う
“非対称な投資保護”というのは、国民を有毒物質や環境害からの安全保護を強化し、労働者の権利や他の人権を保護する規制が、大企業の利益を減らす可能性がある場合、これら提案されている条約が、多国籍企業が(彼らの利益に対する損失とされるものに対し)国家を訴える権限を与えることを言っている。“非対称”というのは、提案されている条約が、国民を保護する、その国の法律に違反した多国籍企業を訴える、対称的な権限を政府には認めていないことを言う。
デ・サヤスはこれらの条約が“非対称的”だと非難するだけ留まらない。彼は更に言う“貿易協定と人権条約が矛盾した場合、優先するのは後者です。国家は人権条約義務の実現を遅らせたり、開始したり、妨げたり、不可能にしたりするような条約を結んではいけません。”
4月19日、欧州評議会に対する声明で、デ・サヤスはこう述べていた。“現時点で、イデオロギー的に推進されている大企業による美辞麗句の中で失われているように見える二つの存在論を私は想起したい。第一に、国家の存在論で、その存在理由は、公共の利益のために立法し規制することだ。これには、たとえば、水圧破砕や他の事業活動の結果としての、国民に対する潜在的危害を防ぐため、予防対策を採ることも含まれる。第二に、事業の存在論は、利益のために、予測されるリスクを負うことだ。”彼はそこで、企業が、国家に優先することを可能にし、どのような国の法律や憲法を忠実に守ることを要求されない自分たちの‘仲裁’制度を押しつけて、国際投資家が民主的国家の国家主権に優先することを可能にするこれらの提案されている条約は、国際法に違反していると言う。
国連人権高等弁務官事務所OHCHRの6月24日プレス・リリースの結論は下記の通り。
“貿易協定は、その人権、健康や環境影響評価が行われた後でのみ、批准されるべきですが、CETAやTTIPの場合、そうなっていません”と、デ・サヤスは述べた。
“CETAとTTIPの批准は、人権上の‘底辺への競争’を始めることとなり、国家による規制を酷く損なうことになろう。これは国連憲章の目的と原則に反しており、民主的で公正な国際秩序を実現するための重大な障害となるだろう”と国連独立専門家は結論付けている。
国連の民主的で公正な国際秩序を推進に関する独立専門家による声明は、提案されている条約をこき下ろしている。これら条約に関して国連が任命した独立法律専門家として、彼は、どこかの国で法律となるか、なるまいかとは無関係に、こうした条約は、国際法に明らかに違反していると述べている。
調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者。
本記事の最初の出典は、Global Research。
Copyright Eric Zuesse、Global Research、2016
記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/ttp-ttip-tisa-and-ceta-u-n-legal-expert-calls-proposed-trade-deals-illegal/5532672
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何かにつけて国連を錦の御旗に利用する売国大本営広報部、この件全く報じない。
大本営広報部、大政翼賛会のツールと、毎回小生書いているが、心から残念に思うのは、これが罵詈ではなく、事実だということ。
多勢に無勢。世の中で主流か否かと、その言い分が正しいか否かと、全く何の関係もない。結果がでる頃には、もう手遅れなのだ。
貧しい年金生活者が、いつも通り、歯を食いしばって購入した『泥沼ニッポンの再生』植草一秀、伊東真著の「はじめに」5ページで、デ・サヤス氏の発言が引用されている。洗脳・白痴製造が目的の大本営広報部、大政翼賛会には、彼氏の発言は完全に封鎖されている。昔のソ連も、今の北朝鮮も笑えない。どちらも超えた全体主義。
「あらためて、沖縄の2つの新聞はクズやと思った」という有名太鼓持ち氏の発言、ある意味、逆に正しい。「あらためて、本土の新聞はほとんどクズやと思う。」
デ・サヤス氏の発言について、まともな報道をしているのは、大手「マスコミ」なるしろものではない。IWJだ。
【IWJブログ】「TPPに署名しないか批准しないことが、民主的に選ばれた議会の責務」!!国連人権理事会の専門家アルフレッド・デ・サヤス氏が国際法および国際規約違反を示唆して警告!!
署名も批准もするな! TPP署名式の直前に国連が各国政府にたいして異例の呼びかけ
大本営広報部・洗脳虚報集団が決して報じない下記もお読み願いたい。
【決定版TPP】 “貧困・格差・TPP” 「月刊日本」5月増刊号。
TPP交渉差止・違憲訴訟の会
【IWJブログ】「TPPに署名しないか批准しないことが、民主的に選ばれた議会の責務」!!国連人権理事会の専門家アルフレッド・デ・サヤス氏が国際法および国際規約違反を示唆して警告!!
【IWJブログ・特別寄稿】「いのちの市場化」にNO!~TPPと国家戦略特区は「新自由主義」を実現する双子である (アジア太平洋資料センター〈PARC〉事務局長 内田聖子)
植草一秀の『知られざる真実』
- 子どもの命と健康思うママ・パパはTPP阻止すべし 2016年5月1
- 安倍政権が全面推進する米国による日本収奪 2016年4月27日
TPPに関する、小生による関連海外記事翻訳リストは下記。
« 欧米民主主義の崩壊 | トップページ | 7月4日 軍国主義の慶賀を拒否する »
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マレーシアの総選挙結果から
改選222議席。先日9日の総選挙でマハティール元首相らの野党がナジブ首相率いる与党BNに30議席以上の差をつけて政権を奪った。マハティール氏は現在92歳で首相時代は当然与党BNに属していた。アジア通貨危機の後,失策を理由に退陣したが,与党BNを離脱して反ナジブの旗を鮮明にして今回野党を勝利に導いた。選挙結果が判明した10日の今日と明日は急きょ公休日と相成った。投票日の水曜日も公休日であったから,この国の仕組みは小生の想像を越える。首相権限で公休日を設定できるらしい。
経緯はいろいろあるようだが,野党連合の勝利の原因は何であろうか。勝因は4つあると思う。第1にマハティール元首相個人の名声。首相退陣後は新首相の政策を批判してきた。まあ,元首相からすれば後継のアドブラ氏も現ナジブ首相も頼りないのであろう。国産車プロトンの会長を辞め経営会議から追放された。息子はある州の首相をしていたが議会の圧力で辞任せざるを得なかった。セクハラ罪やオトモダチ優遇人事・政策とは無関係に辞任したようだ。さらに元首相派の閣僚たちも不利益を被った。しかし警察による事情聴取にも拘らず,事あるごとに現政権に対抗して,多くの国民の喝さいを密かに浴びていた。
細かい話になるが,最近できた“フェイク・ニューズ対策法“。この法律によって政権批判をマスコミに流すと罪になるという法律。詳細は分からないが,マハティール氏を狙った法律と言えよう。しかしさすがに警察署長は選挙数日前になっても22年間も首相を務めた元首相を逮捕できなかったようだ。
勝因の第2は,IMBDの公金横領疑惑。現首相が造った投資会社だが多額の資金が消えたそうだ。どこに行ったのか。海辺の町を転々としていたが,どこに行ってもこの問題は話題で持ちきりだった。
この1MBDに加えてサウジの王様からもらった6.8億米ドル(これは返却されている)。
ある日町はずれの,新鮮な野菜や安い果物を求めて市場に寄った時は地方の議員さんがいてカレンダーを配っていた。日本なら公選法違反だろうが,いやに堂々と配っていた。しかし驚いたのは,そのカレンダーの内容。曜日と日付はいいとしてもその枠外に「26億リンギはどこへ行った」と大文字で書いてある。わが国の「消えた年金」を思い出させるが,政権批判であるから逮捕される可能性があったに違いないがお咎めなし。この議員さん,小生が旅人にすぎないと分かっても何かあったら連絡をくれとのこと。感謝。
ところでナジブ首相の奥様がアメリカで5,000万ドルの買い物をしたといった噂があるが,嫉妬が現首相の愛人を殺させたとヒソヒソと耳打ちしてくる現地人もいた。いずこも同じなのかもしれない。ひょっとして日本人の祖先はマレーシア人??首相夫人への疑惑は堂々と語られるようになるかもしれない。
これも積極的な理由ではないが,旅客機MH370で280名近くの方が行方不明になったが,多くの国民はその行方不明機の解決方法に満足していない。旅籠に同宿になった人とよもや話をしていると突然質問される。政治に関心があるというとMH370が現在どうなったと尋ねてくる場合が多い。
ついでにMH17機の話をすると,目をきょとんとされる方も多い。MH17機はウクライナ空軍に墜とされたというと彼らにとってはチンプンカンプンらしいが,MH17機は別にしてもMH370機への関心は知識階級でも高い。
最後になったが,勝利の第4は,消費税GST6%が新設されたことに対する反発。日本では創価学会が支援する公明党が主張する軽減税率が考慮されているが,ここでは第一次農産物の売買は非課税である。しかし他の物価が上がればそれが農産物生産価格に跳ね返る。現に跳ね返り,諸物価は2倍から2.5倍になり,農産物は1.5倍から1.8倍になった感がある。すなわち軽減税率は庶民の生活に役立っていないどころか苦しめている。
しかし日本の黒田総裁が聞けば喜びそうな話題である。GDP比2%の物価目標はすでに到達されている状況だそうだ。州境,国境を越えてこの国に入国するたびに物価上昇率が高まっていることを実感する。そこで出会った人や会計場で隣りあった人に尋ねると,口々に「消費税は嫌い」だという。
野党連合というよりマハティール氏が首相に返り咲くかどうかはこの2,3日で判明すると思われるが,MH370機の探索を再開するかどうか,GSTを0%にするかどうか,TPP11から離脱するかどうか等は,今後の政局次第であろう。
この国は”Datu”という名前がつくと政府で重用されるらしい。しかし新政権が間もなく誕生する。検事総長が「問題なし」とした1MBD問題がぶり返されるのかどうか。この国の行方も亦,興味が尽きない。
追記: マハティール元首相はTPP反対であった。最近のTPP11はTPPより22項目減っているという(現地の新聞)。TPPはGDPが大きい日本または米国のいずれかが抜け出れば発効しないからトランプの米国が抜け出た現在,ご破算であるが,TPP11は署名国の半分が賛成である場合,この協定は有効であるらしい。すなわち協定国の過半数でその存続が決まる。
追記2:選挙の1ヶ月前ぐらいから,食堂がやたら込み始めた。庶民の懐具合がよくなったせいか,それとも札束が桜の花のように舞ったせいか。ホテルの従業員某によれば,一人頭1.2万円程度もらったようだ。
日本も公職選挙法を廃止して選挙買収OKにすれば,小生のような定職なしや非正規労働者は潤うに違いない。日本の岡山または広島(?)の警察署で8000万円が行方不明で解決されていないという。それから比べたら1万または2万円の爆弾=現ナマなんて配った方ももらった方も罪には当たらないだろう。なにしろムスリム世界では「喜捨」は当たり前で,「見返りナシ(?)」が慣行として現存しているのだから。
総選挙が年に2度ぐらいあってもいいと思っている。なぜなら年金は減額され,若い頃約束された年金満額支給開始年齢がさらに遅らされたから。
フェリーから降りたら知り合いのお兄ちゃんに会った。ニコニコしながら「ワリサン,ワリサン」という。与党BNの反対党”Warisan”なのであろう。それが今日から与党なのだ。
投稿: 箒川 兵庫助 | 2018年5月10日 (木) 12時17分
このデ・サヤスという人は、国連の中でも本当に勇気のある方ですね。
TPP調印の前にも、彼は参加各国の政府に宛て注意を促していましたが、例によってマスコミも政府も黙殺という愚行によって揉み消されてしまいました。
バーニー・サンダース氏も勇気のある人ですが、今頃はネオコン勢力から相当な脅しを受けている事でしょう。彼は今、無所属で出馬するか否か、迷っている事と思います。
何しろあのトランプ氏ですら、奴等の仲間に入らないとなれば冤罪で陥れるなど、どんな汚い手を使ってでも自分たちの思い通りになる人間、キラリー・クリントンを大統領に仕立て上げるシナリオを完遂しようとする奴等ですからね。
属国では更に酷く、TPPに反対する議員は僅か58名、国民に至っては、未だTPPが何なのかすら理解していない、それどころかTPPというものの存在すら知らないという有様です。
最も情報に触れている筈のネット世論ですら、ヤフー意識調査の結果では、なんと、TPP賛成派が反対派を大きく上回っているのが現状です。
そうしたTPP賛成派の人たちの、TPPに対する認識は、「世界の経済成長に欠かせない牽引ツール」或は「少子高齢化に伴う日本の経済衰退を食い止める為には必要なもの」という考えが大半の様です。
実体は全く逆のものなのに、彼らは頭から「TPP=経済革命」と思い込み、バラ色の未来を夢想し、TPP合意文書の内容など全く読もうとすらしないのです。
尤も、読んでも何が何やらさっぱり理解できないとは思いますが・・・。(解らないならPARC他市民団体などが分析してくれたレポートを読めっての)
それもその筈、TPPは貿易協定のフリをしたビジネス契約なのですから。
ビジネス契約と言っても、その内容は国を丸ごと植民地として差し出し、人民を奴隷、家畜として差し出します、という奴隷契約であり、それをあろう事か、その国の政府が業務を代行しているという、信じられない事態である為、通常の思考回路では到底理解できる筈も無く、それ故に大半の国民は訳が解らず、思考停止に陥っているのだと思います。
だからTPPと聞いても全く無関心で、「政府のやる事だから任せるよ」という按配で、全く危機感が伝わらず、私など反対運動に携わる者の活動は空回りを続けるばかりで空しい限りです。
そういう具合ですから、この選挙に於いても、安倍傀儡氏が「この道を進めるしかないじゃありませんか」と呼びかければ、白痴化された大衆は去年あれ程大騒ぎした安保法制の是非も忘れ、「そうだ、やっぱり経済が第一だよな」とばかり拍手している様は、なんと滑稽でありながら哀れな光景でありましょうか。
彼らには最早、掛ける言葉すら浮かびません。
投稿: びいとるさいとう | 2016年7月 2日 (土) 10時09分