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2016年7月28日 (木)

南シナ海: ご注意を。中国という龍は嚙みつくかも!

Andre Vltchek
Global Research
2016年7月25日

中国は怒っている。もういい加減うんざりして、限界に達しつつあるのだ。何十年間も、欧米を宥めようとつとめ、国際法に則って動き、国際社会の良き責任あるパートナーてあろうとしてきた。そして何十年も、他国の内政に決して干渉せず、いかなるクーデターも支援せず、外国領土を攻撃しなかった。

相手プロパガンダへの反撃においてさえ、慎重で、礼儀正しく、穏やかだ。

それだけのことをしてきたのに、中国は称賛も尊敬もされないのだ!

軍事的にも、イデオロギー的にも、中国は常に、敵とされ、挑発され、包囲され続けている。領土からほど遠からぬところには、沖縄の致命的なアメリカ軍事基地(普天間と嘉手納)があり、朝鮮半島にも膨大な基地があり、東南アジア、特にフィリピンで、アメリカ軍駐留は増大している. 沿岸近くでは、常時、陸軍演習や、海軍演習が行われ、つい最近、韓国(ROK)は、アメリカの先進的ミサイル防衛システム(THAAD)の星州郡への配備を認める決定をした.

長崎で、友人のオーストラリア人歴史学者、ジョフリー・ガンが、現状についてこうコメントした。

    “ことの核心は、中国が、この包囲に憤っているということです。中国は、アメリカ政府が日本を支援していること、アメリカ政府 が、尖閣/釣魚台列嶼を巡る日本の非妥協的な政策を進んで支持していることに怒っているのです。ですから、現状は、明らかに憤慨している中国と、いわゆる領土的一体性に関して、基本的に攻撃的な姿勢をとっている日本ということです。そこで、太平洋アジアは、ますます好戦的となり、東アジアはより紛争が起こりやすくなっているのです。”

ヨーロッパと北アメリカにおける反中国プロパガンダは、最高潮に達しつつある。中国は、再び(中国式)社会主義よりになって、ロシアとのつながりを深めており、欧米各国政府や主流マスコミからのイデオロギー攻撃は一層強力になっている。

(南シナ海紛争を巡る)ハーグの‘いかさま’仲裁裁判所による最近の裁定で、とうとう堪忍袋の緒が切れたようだ。

中国という龍が、怒って立ち上がったのだ。パンチを受けるのにうんざりして、力があり強い中国は、欧米に強力なメッセージを送ったのだ。中国は巨大で平和な国だ。だが、もし脅かされれば、もし攻撃されれば、今回中国は断固、決然と動くつもりだ。中国は自らと、その権益を守るのだ。

*

丁度、ハーグの裁判所が裁定の用意ができていたころ、ロシア極東の都市ハバロフスクから南へ、真っ直ぐ、中国国境へと車で向かっていた。

我々の下を流れているのは、二つの大国、中国とロシアを分ける巨大なウスリー川だ。我々が進んでいる現代の橋は出来立てだ。グーグル地図にさえ、まだ載っていないのだ。今やこの橋が、片方の側は、アムール川に、もう一方の側はウスリー川に囲まれた巨大な島、大ウスリー島とロシア本土を結んでいる。

過去、この地域は、大変な緊張に悩まされており、何度か紛争もおきた。だ。この島は明らかに‘係争中の領土’、a‘no go’area、a military zone.

過去の記憶があるので、パスポートや、いくつかの記者証を用意してきたが、運転手のニコライは、私の慎重さをからかった。

“ここは、今はもう全く平和で穏やかですよ”と彼は言った。“今は、ロシアと中国は偉大な友人で同盟国ですよ。ご覧なさい。川岸で、人々は車を停めて、ピクニックを楽しんでいますよ。”

本当なのだが、見回すと、過去の名残が目に入った。放棄された掩蔽壕、軍事的ゴースト・タウンや、禁止されている国境地域に入りつつあることへの頻繁な警告標識板。さほど離れていないところに、中国の塔を見つけた。我々は本当に国境にいるのだ。

男性が馬に乗って行き、道路近くに、集団農場を見つけた。

私は自分が本当にこの場に、トワイライト・ゾーンにいたことが信じられなかった。アンドレイ・タルコフスキーの古い映画を見ているような感覚だった。

だが、現地の人々にとっては、今や全てが‘全くあたりまえ’なのだ。中国人とロシア人は交際し、お互いに知り合い、理解しつつある。観光客や買い物客が、フェリーやバスや飛行機でやってきて、大変な人数が国境を越えている。ウラジオストックとハバロフスクの博物館、コンサート・ホールや、ショッピング・センターは、今や好奇心に満ちた中国観光客で溢れている。

紛争は終わった。2004年に、ウラジーミル・プーチンと胡錦濤が会談し、いずれの指導者も、明快な良い意図を抱いていた。交渉は複雑だったが、双方とも、困難を克服したのだ。二人は、ロシア-中国国境協定の付録に署名し、あらゆる困難な紛争は速やかに解決された。

現在、中国は、繁栄するロシア極東に何百億ドルも投資している。素晴らしいインフラ建設プロジェクトが実現している。確固とした友情が築かれた。反帝国主義同盟ができている。両国、中国もロシアも発展中だ。両国とも将来への楽観と希望に満ちている。

‘やればできる’隣国中国への敬服を表明する何人かの現地の人々とお話した後、私はそう考えている。‘強い意志さえあれば、必ず実現できる!’

*

南に数千キロ、フィリピンの首都マニラを取り巻くひどいスラムの中を私は車で進んでいた。

インドネシア同様、フィリピンは、明らかに‘破綻’国家だが、両国とも、欧米の忠実な同盟国として知られており、それゆえ、両国の支配層エリート連中は、その服従と追従に対する報酬を得続けている。中国を敵に回し、挑発するのは、ワシントンや、ヨーロッパ各首都に忠誠を示すための最も確実な方法の一つだ。

2012年という早い時点に、‘対立’南沙諸島(スプラトリー諸島を巡る記事を、人民日報P(中国で、最も重要な新聞の一つで、共産党の公式刊行物)に書こうと初めて決意していた。何人かの友人、優れたフィリピン人学者と話をした。私のドキュメンタリー映画用の、群島における忌まわしいアメリカ植民地支配の遺物を探して、メトロ・マニラを自動車で走っている時に、彼らの一人、上級研究員で、フィリピン大学の開発研究と公的管理の教授ローランド・G・シンブランが‘紛争’について話してくれた。

    “率直に言って、南沙諸島(スプラトリー諸島)は、我々にとって、さほど重要ではありません。今起きているのは、わが国の政治エリートが、明らかに、アメリカから、中国を挑発するよう奨励されており、わが国の軍に対するし、アメリカ軍の影響も実に大きいということです。フィリピン軍は、その種の‘奨励’には極めて弱いと申しあげておきましょう。ですから、アメリカは、絶えずこうした挑戦的な態度を助長しています。しかし、この種のやり方を継続するのは、わが国にとって悲惨なことになりかねません。基本的に、わが国は、中国に、地理的にも他の点でも非常に近いのです。”

“中国の主張の方が、フィリピンのものより強力です”と、フィリピン大学(UP)のアジア研究教授である、エドゥアルド・C・タデム教授が、二年後、自宅で説明してくれた。

    “我々が諸島について何か知る前から、中国が南沙諸島(スプラトリー諸島)を支配していました。我々の唯一の主張は距離の近さだけです。率直に言って、これは特別有力な主張ではありません。”

エドゥアルド・タデムも、妻のテレサ・S・エンカルナシオン・タデム(フィリピン大学の政治学カレッジ科学・哲学部教授で、UPの‘第三世界研究’元部長)も、南沙諸島(スプラトリー諸島)の天然資源が確実に、一番弱い当事者の手にはいるようにしながら、欧米は中国を挑発し続けているということに同意している。

    “わが国の天然資源採掘の上で、我々は完全に外国企業に依存しています。フィリピンは、採掘されたものの分け前を受け取るだけです。多国籍企業が全ての主要な契約をしている。外国の多国籍企業は、もしフィリピンのように、脆弱で、従属的な国がその所有者となれば、シナ海の天然資源から多大な利益を得ることになる。”

*

ハーグの最終裁定が出た直後2016年7月に、2016年7月18日に、中国で感情が爆発した。ロイターが報じている。

    “中国は、南シナ海における膨大な領有権の主張を無効とするハーグの仲裁法廷の裁定を認めることを拒否し、フィリピンが起こした訴訟手続きには参加していなかった。

    裁定を守るべきだという欧米の諸国や日本の呼びかけに中国は怒りの対応をした。

    中国は、毎年5兆ドル以上の貿易貨物が通過する戦略的航路南シナ海での問題をかき立てていることで、アメリカ合州国を再三非難してきた。

    中国、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、台湾とベトナムは、いずれも拮抗する主張をしているが、中国のものが最大だ。”

中国科学院のアメリカ研究者たちは、こうした的確な観察をしている。“国連海洋法条約を決して批准していないアメリカ政府が、そもそもの始めから、仲裁訴訟を開始するよう、マニラを奨励し、支援したことがわかっている。”

北京や海外の多くの専門家は、裁定は明らかに政治的だったことを指摘しており、しかも5人のうち、4人の裁判官はEU国民で、一人(裁判長)はガーナ人だったが、ヨーロッパに長年在住している。

中国の対応は迅速かつ毅然としていた。政府の公式新聞“中華日報中国”は、7月15日に “木曜日、北京は、もし、いかなる当事者でも、南シナ海に関し一方的に開始した仲裁の制定を、中国の権益を損なうために利用しようとした場合、中国は毅然と対応する”と宣言した。

*

中国の立場は明確だ。中国は、近隣諸国とのいくつかの二国間協定によって拘束され、更に交渉を進める用意がある。しかし、中国や、欧米の命令を受け入れようとしない全ての国々に対して敵対的な、欧米やその機関によって進めることはない。

モンゴルの首都ウランバートルにおける最近の会合中、ベトナムのグエン・スアン・フック首相は、中国の李克強首相と会談し“ベトナムは、二国間交渉を推進し、地域の平和と安定に貢献するため、中国との違いを適切に処理する用意がある”と宣言した。そのようなやり方を、北京は歓迎し、奨励しているのだ。

マニラにおいてでさえ、将来および即座の中国との二国間交渉を呼びかける非常に多くの理性の声が上がり始めている。

*

中国を敵に回すのは誤っているだけでない。それは危険で近視眼的だ。北京は何十年も余りに長期間、譲歩し、妥協してきた。もはや、そうすることはあるまい。中国は公正を要求している。欧米がフィリピンを、自分たちの帝国主義的目標のための代理として利用していることにフィリピンは気づくべきなのだ。

フィリピンがしているように、アジア内の紛争に欧米の裁判所を巻き込めば、状況を悪化させるだけだ。係争水域での中国漁船銃撃(インドネシア海軍が最近行ったように)緊張を高めるだけだ(既に、インドネシアは、中国に関しては、1965年の欧米が支援した残虐なクーデター後、何十年間も、中国語、中国文化、更には中国名の使用さえ禁止した恐るべき実績がある)。

当面、中国は‘様子見’戦略をとるだろう。またしても、中国は外交を活用し、フィリピン、ベトナムや他の国々との二国間交渉を再開するだろう。

だが、もし欧米が引き下がることを拒否し、もし、いくつかの東南アジア諸国が欧米の代理として行動し続ければ、北京は、もっともきつい選択肢を選ぶ可能性が非常に大きい。一つは南シナ海上空に防空識別圏を設定することだ。もう一つは、直接的な軍事的エスカレーションだ。この地域における、より多くの海軍と空軍の駐留だ。

そこで、世界での位置はどうだろう? 欧米プロパガンダが一体なにを宣伝しようと、ごく少数の国、主としてアメリカと、最も緊密な同盟諸国(本記事を書いている時点では、5カ国)は、公式に、フィリピンと、ハーグによる裁定を支持している。70以上の国々が中国を支持しており、紛争は、仲裁ではなく、交渉で解決されるべきだと考えている。それ以外の国々は‘中立’だ。

中国と良い取り引きをすることは可能だ。ただし、中国という龍には、決して敵としてではなく、友人として接近する必要がある。そして、平和の手が正直に差し伸べられなければならない。決して欧米帝国主義の剣を背後に隠し持っていてはならない!

アンドレ・ヴルチェクは、小説家、映画製作者で、調査ジャーナリスト。彼は数十ヶ国で、戦争や紛争を報道してきた。彼の新著は“帝国のウソを暴く”と“欧
米帝国主義との戦い”。ノーム・チョムスキーとの討論は『チョムスキー、西側諸国のテロリズムについて語る
ヒロシマからなし崩しの戦争まで』。彼の政治革命小説『Point of No
Return』は高い評価を得た。『オセアニア』は、南太平洋の欧米帝国主義に関する著書。スハルト後のインドネシアに関する彼の挑発的な本の書名は『イ
ンドネシア:
恐怖群島列島』。アンドレは、テレスールや、プレスTV向けに映画を制作している。。長年、中南米とオセアニアで暮らした後、ヴルチェクは現在東アジアと
アフリカに住み、働いている。彼のウェブか、ツィッターで彼と連絡できる。

The original source of this article is Global Research
Copyright c Andre Vltchek、Global Research、2016

記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/south-china-sea-watch-out-china-dragon-could-bite/5537790







この話題、一方的というか、さっぱりわけが分からないので全くしらべずにいた。信頼する筆者たちが続けて、この話題で書いたので、始めてまじめに読んでみた。

茶番。この記事でいう英語の「カンガルー裁判」。日本語で「いかさま裁判」裁判官全員が宗主国の息がかかった連中。彼らを選んだ人物を知れば納得。大本営広報部報道をまじめに見聞きしなくてよかったと大いに納得。

大本営広報部、下記の宗主国と傀儡5カ国の「意見」しかたれ流さない。

    • 5カ国は、フィリピンと、ハーグによる裁定を支持している。
    • 70以上の国々が中国を支持し、紛争は、仲裁ではなく、交渉で解決されるべきだと考えている。
  • それ以外の国々は‘中立’だ。

下記の記事を拝読して、やっと様子がわかった。大本営公報を鵜呑みにしてはいけない。

 

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