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2016年7月20日 (水)

グラディオ作戦を思い出させるニース事件

2016年7月18日
Paul Craig Roberts


グラディオ作戦を思い出させるニース事件

公式説明を信用しないことを身につけた評論家、ピーター・ケニーグや
(http://www.informationclearinghouse.info/article45106.htm )、
スティーブン・レンドマンは
(http://sjlendman.blogspot.com/2016/07/hyping-terrorism-stoking-fear-following.html )ニース事件に疑問を提起している。

フランス革命記念日の花火見物のためにフランス人が集まっている閉鎖された区域に、大型トラックを運転する単独の人物が入れたのは奇妙に思える。実行犯とされる人物の家族が、彼は全く信心深くなく、宗教的動機はないと言っている人物を、テロリストとレッテルを貼るのも奇妙だ。

我々は真相を知ることはあるまい。またしても実行犯とされる人物は死亡し、好都合にも、身分証明書が残された。

その結果、フランスが、恒久的戒厳令状態になるということのようだ。この社会機能停止は、資本主義者の傀儡オランドによる、フランス労働者保護の撤廃に反対する抗議も不可能にしてしまうことになる。苦労して手にいれた権利が取り消されることに反対する動きも、戒厳令の下では遮断されてしまう。

オランドの新“労働改革”の主たる受益者、グローバル資本主義にとって、余りに好都合な事件には驚かされる。

ケニーグとレンドマンが提示した疑問はグラディオ作戦を思い出させる。グラディオというのは、第二次世界大戦後、赤軍が西ヨーロッパを蹂躙するのではないかという恐怖から、アメリカがたちあげた秘密NATO作戦の暗号名だ。本来、グラディオは、ソ連占領軍に対するゲリラ戦を遂行するための秘密の武器の隠し場所と組織とで構成されていた。

ソ連侵略の代わりにあらわれた脅威は、フランス、そして特にイタリアの共産党の人気だった。共産党が政権を構成するのに十分な票を得て、そうした共産党政権がモスクワと提携してワシントンの西ヨーロッパ帝国が破壊されてしまうのではないかとアメリカ政府は恐れたのだ。

その結果、グラディオは、ヨーロッパの共産党に向けられた。イタリア諜報機関が、CIAと共に、285人が殺害され、四肢を失ったり、他の負傷をしたりしたボローニャ駅のようなイタリア公共施設爆破を開始した。

1984年の1980年ボローニャ駅爆破裁判の際、グラディオ工作員ヴィンチェンツォ・ヴィンチグエッラが、グラディオの存在を初めて暴露した。ボローニャ爆破について問われて、ヴィンチグエラはこう述べた。

“イタリアには、国軍と並行する、民間人と軍人で構成されている秘密の軍隊が、対ソ連能力、つまりイタリア領土で、対ロシア軍抵抗運動を組織するための実力を持ったものが存在している…秘密組織で、通信、兵器や爆薬、それを使用するよう訓練された人々のネットワークを有する超組織で…超組織の対象であるソ連による軍事侵略は起こらない可能性があったため、NATOに成り代わって、イタリアの政治的バランスが左寄りになるのを防ぐという仕事を引き受けた。連中は、これを公式の特殊部隊や政治勢力や軍隊の支援を得て実行した。” https://en.wikipedia.org/wiki/Vincenzo_Vinciguerra

6年後の、1990年になって、ようやくイタリア首相のジュリオ・アンドレオッティが、公式にグラディオの存在を認めた。

1970年代前半には、イタリア人将軍のジェラルド・セラヴァリエが、イタリアのグラディオ作戦参加を指揮していた。Wikipediaには、立案、調整の責任者たちは“イギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルク、オランダとイタリアの秘密組織の将校だった。この秘密組織の代表は、毎年、いずれかの首都で会合した… 残置部隊の会合には、CIA代表が必ず出席していた。”という彼の証言がある https://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Gladio

1960年代から、1980年代中期まで、多数の民間人犠牲者を生み出した多くの爆破事件があった。 ヴィンチグエッラはこう語っていた。

“国を頼らせ、政府を頼らせ、治安を良くして欲しいと、イタリア国民に思わせるよう無理やり仕向ける目的のためだけに、一般市民、女性、子ども、政治的な舞台とは無関係な無辜の人々を攻撃する。これがあらゆる爆破の背後にある政治論理だ。国は自らを有罪にすることはできないので、連中は処罰されないままだ。” https://www.youtube.com/watch?v=vaMUbCpaRyc

爆破事件は、ヨーロッパの共産党の信頼を損なうのに役立つ、実存していたのか、デッチアゲの諜報工作用隠れ蓑かわからない共産主義テロ集団である、赤色旅団やバーダー・マインホフなどの集団のせいにされた。

1984年、 フェリーチェ・カッソン裁判官が、12年も昔のイタリア、ペテアノでの自動車爆破訴訟を再開した。裁判官は、事件は改竄されて、赤色旅団に罪をなすりつけたが、実際は、軍の特殊機関、国防情報庁(SID)が、グラディオによって作られたか、取り込まれた右翼団体のOrdine Nuovoと協力して実行したものだったのを発見した。捜査を改竄した警察幹部は懲役を課せられた。カッソン裁判官の捜査は、ペテアノ爆破事件は、ミラノのフォンターナ広場爆破、16が死亡し、80人が負傷した、1980年の、85人が死亡し、200人が負傷したボローニャ駅爆破を含め、グラディオが実行した一連の爆破の一環だったと結論づけた。

イタリアでの暴露に基づき、ベルギーとスイスの政府は、自国におけるグラディオ作戦の調査を行った。アメリカ政府は、爆破へのいかなる関与も否定した。だが、カッソン裁判官による、イタリア軍秘密機関の保存記録の調査で、グラディオ・ネットワークの存在と、NATOとアメリカ合州国とのつながりの証拠があらわれた。https://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Gladio

民主主義が金権政治へと堕落してしまった欧米の人々は、政府が自国民を殺害するとは決して考えないよう、吹き込まれてしまっている。彼らは明らかにグラディオ作戦について、学ぶ必要がある。

グラディオ作戦は今でも健在なのだろうか? 現代のテロ事件は、共産主義者ではなく、イスラム教徒のせいにされる。フランスとベルギーでのテロ攻撃が、グラディオ作戦だという可能性はあるだろうか?

補追:

イギリスのデイリー・メール紙のニース攻撃に関する膨大な写真コレクションがある。http://www.dailymail.co.uk/news/article-3691019/Several-people-injured-truck-crashes-crowd-Bastille-Day-celebrations-Nice.html - 惨事が起きたと報じられている街路には、全く血がないように見え、遺体と報じられているものの血も皆無のようだ。殺人兵器と報じられている白いトラックは、血も破損も全く無いように見える。友人が鹿に衝突したことかあるが、彼の車は大破した。186人もの人に衝突して、トラックに何の損傷もないなどということがありうるだろうか? また、写真の中には、トラック運転席から数メートルの場所に立って、身をさらした警官が、運転席にむけて銃撃しているビデオがある。銃を持っている精神異常者と報じられている人物に対して、警官が身をさらしているということは、彼が銃を持っていなかったか、トラック運転席は空だったことを意味している。なぜ警官はドアを開けて、彼を逮捕しなかったのか、あるいは、もし彼が武銃を持っていたのであれば、弾丸が尽きるまで待たなかったのだろうか? こうした攻撃の全てで、実行犯とされる人物は必ず殺されている。既に犠牲者の名前と写真と実行犯の経歴も報じられていることに留意願いたい。一体どのようにして、これだけ様々な人々の多数の写真が、これほど素早く集められ、実行犯に関するこれほど多くの情報が集められたのだろう? マスコミは、決して、当局にそのような質問はしないし、答えを出すこともしない。記事は準備されていて、事件が起きた際に、すぐに出せるようになっていたように思えるが、我々が知り得る話はそれしかない。

また、これは一体どう考えればよいのだろう。http://www.globalresearch.ca/the-paris-bataclan-terror-attack-six-french-military-were-present-instructed-not-to-intervene-people-died/5534527 バタクラン惨事を止めることができた、現場の武装フランス軍兵士が、一体なぜ警備態勢を解くよう命令されなければならなかったのだろう?

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/07/18/nice-brings-to-mind-operation-gladio/

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素人には、労働法改悪のための自作自演としか思えない。9/11直後に、愛国者法を成立させたアメリカ。テロ事件とされるもののあとで、戒厳令を恒久化させたフランス。

グラディオ作戦については、2007年に下記記事を翻訳してある。

大衆を国家に頼らせるべく、無辜の民間人、女性、子供を攻撃せよ<グラディオ作戦>

この国ではどんなテロを画策して、緊急事態条項を導入するのだろう?

伊波洋一氏が、得票率57.8%を獲得・現職の島尻安伊子氏を下し、初当選した沖縄、東村高江ヘリパッド工事強行。機動隊大量投入。この国、戒厳令がなくとも、戒厳令状態?

<高江ヘリパッド>機動隊きょうから100人超投入 車両撤去も視野

東村高江工事再開へ資材搬入 市民ら約100人が抗議集会

本土の大本営広報部、白痴製造箱も紙も、ほとんど伝えない。しらしめず、よらしめよ。

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コメント

削除されたYouTubeの補足
なんと 削除された映像と同じ映像が残っています。この2つの映像の違いは、マネキンである説明があるかないかです。説明が真実であることが、焦った短絡的な削除でみえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=D-GufYWuFQg:暴力的 衝撃的でも削除されていない映像
https://www.youtube.com/watch?v=o4ezrLmj_FA&feature=youtu.be:同じ映像でも削除

ニースの現場の映像について、スロー再生し、道路に倒れている人がマネキンであることを、わかりやすく見せているYouTubeがありました。とれた腕の切り口が、人形の手がはずれたように平らなのがわかります。離れている首から血が一滴も出ていないところもはっきりわかりました。だれがみても不自然な映像ですが、すでに”暴力的 衝撃的 理由”で削除されていました。
https://www.youtube.com/watch?v=o4ezrLmj_FA&feature=youtu.be
あわてて削除することで”グラディオ作戦”を思い起こさせるより、ますますそのもののようです。

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