ダラス事件はなぜ起きたのか
Paul Craig Roberts
2016年7月8日
ダラスでの警官銃撃は、銃規制のための偽旗事件だったのだろうか? 心的外傷後ストレス障害を病んでいる退役軍人によるものなのだろうか? 銃撃は、21世紀における、警官による何千もの勝手放題なアメリカ国民殺害への報復の始まりなのだろうか? 他に適切な説明があるのだろうか?
我々には決してわかるまい。実行犯は死んだ。当局は何であれ当局の狙いに沿った説明をするだろう。
人々に対する、連中による節操のない暴力的振る舞いによって、警察自ら、これをひき起こしたということは言えるだろう。一方、我々も、市民を、殺したり、いわれのない暴力をふるったりした警官連中の責任を問う責任がある、警察署長、警官組合、知事や、市議会、市長、検事や司法省の責任を問うべきなのだ。
警察が誰かを殺害する場合、口実はいつも、このようなものだ。“彼はシャツの下、ウエストバンドに手を突っ込んだ。彼が銃を持っていると思った。私は自分の子を父なし児にしたくなかったし、妻を未亡人にしたくなかった。”殺害された被害者に、妻や子どもが、もしいたとしても、どうでも良いのだ。
保守派、特に犯罪を恐れるよう教え込まれている連中は、警官による殺人には、ほとんど反対しない。彼らの意見はいつもこうだ。“警官が理由無しに相手を撃つまい。”同じ警察びいきが、なぜ保守派の陪審員たちは、いつも有罪判決をだすかという理由だ。
リベラル派は、銃撃を、人種差別と解釈しがちで、彼らは人種差別と戦いたがる。
本当の問題は、当局が、いわれのない暴力から、人々を守らないことだ。だから、警官に対する憎悪と軽蔑が増大しているのだ。毎日数人という、警官による頻繁な殺人ほぼ全てが罰を免れていることが、人々が切れて、暴力には暴力で応じるようにさせる一種の怒りを生み出しているのだ。
刑事司法制度が警官にも適用されれば、気ままに人を殺す前に、警官も良く考えるようになるだろう。
警察官であることは危険を伴わないわけではないものと考えられている。警察官は、自分の家族だけでなく、市民のことも思いやるべきだ。警察官の振る舞いは、自分の家族への思いやりに影響されているからと言って、現場での警官によるいわれのない暴力を許すわけには行かない。もし警察官が警察官であることの危険を受け入れられないのであれば、違う職業を探すべきなのだ。
知事、検事や市長が、それを止めるのを拒んで、人々を失望させているため、警官の暴力は手に負えないのだ。保守派によれば、懲罰は犯罪を抑止するというが、彼らは、これを警官には適用しない。
警官に、自らを防衛し、どんなことをしてでも容疑者を制圧するよう教える警官教育における革命の結果として、警官の暴力が手に負えなくなっているという部分もある。多数の元警察官の方々が、自分たちが仕事を辞めた理由は、現在、警官が兵士のような殺し屋になるよう訓練されているためだと書いてこられる。
もし元警察官か、どなたか、この教育に関して詳しい方が、その歴史が、一体どこから生じたのか、その理由はなぜなのか説明くだされば、このウェブに掲載したいと思う。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/07/08/why-dallas-happened-paul-craig-roberts/
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『政府はもう嘘をつけない』堤未果著 角川新書を読み終えた。
与党や、とりまき傀儡ファッショ政党に投票するような方々、決して読まないだろう。
すさまじい宗主国のありさま。それは、すなわち我々の未来図。
大本営広報部の洗脳・隠蔽工作のかいあって、めでたく三分の二という、まっすぐ地獄への道を進むことになった今こそ、B層以外の方々の必読書に思える。
アメリカは、9/11以後は、不思議なほど即座に「愛国者法」が導入された。緊急事態条項発動のようなものだろう。
フランスでは、テロ事件のあと、同様に緊急事態条項発動のようなものだろう。これで、労働条件を極端に悪化させる法律を押し通すのに、その状態を利用して、労働運動、国民運動を弾圧している。
日本の緊急事態条項も、宗主国や、フランスにならった、ファシズム法制の導入に他ならないことが、同書を読むとよくわかる。
第2章、155ページに、この記事と照応する言葉がある。
「緊急事態や治安維持という言葉とともに、警察権限が拡大されてきたら注意です。」
そして、続けて、ミズーリ州セントルイス郡、ファーガソンでの悪名高い事態やら、軍隊化する警察の説明がある。
わずか800円。大本営広報部の紙媒体なり、洗脳白痴製造装置なりへの「みかじめ料」支払い金と比較すれば、圧倒的に価値がある。
IMFのなすがままになったギリシャとは対照的な、アイルランドの話には、びっくり。これを知っただけでも、拝読の価値があったと、個人的に思う。
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コメント
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今回の「選挙結果」に基づいて「絶望」しているびいとるさん、ちょっと待った!!
大本営発表の「投票率」、「得票結果」をそのまま鵜呑みにするのですか?
「情報統制」「不正選挙」という洗脳ツールを知りませんか?
この二つによってヴァーチャルな「民意」を完全にコントロールし、
「現状やむなし」「自分一人が何をやっても無駄だ...」
という無力感、絶望感を植え付けることが、彼らの狙いだ
としたら、どうしますか?
国民の覚醒は驚くべきスピードで進んでいます。
私たちに必要なのは、絶望することではなく、連中の策略を
研究し、その欺罔のテクニックを解き明かし、その目的を
世にさらすことです。
連中も必死です。早く戦争へと誘導しなければ、彼ら自身が
瓦解してしまう。しかし、長年の嘘の上塗りがたたり、連中の
内部は髄まで腐敗し、その悪臭が至るところで湧き上がっている。
その悪臭をかき消すために、さらに混乱を生み出す。
しかし、私たちはもう騙されない!
「低投票率」も「得票結果」も、連中によって都合よく改竄された
ものであることを知っている。
私たちは目覚めた。
もう騙されない。
投稿: Tsuneo Honda | 2016年7月12日 (火) 15時28分
今日のこの日のために、学力破壊の「ゆとり教育」があったのだと思います。
ゆとり教育終了後も、公立学校では勉強させません。授業の代わりに、近くの商店街で赤い羽根募金、野菜などの販売、郵便局で切手の販売、電車の駅で駅員の真似、津波を想定した地域の老人の避難経路作り、模擬訓練の指導、学校近くの並木道の木の実の摘み取り・・・などなどに学童・生徒が駆り出されています。一方高額の授業料を払う私立中高では、有名塾が作った教科書で 徹底して勉強させます。
英語の教科書を公立・私立を比べてみると、私立は系統だっていて、確実に力がついていく内容です。反対に公立は、会話重視で(やたらに省略文が出てくる)、文法指導がまるで欠けているので、塾などに行っていない生徒は、すぐ訳が分からなくなります。
韓国の学校の話を聞くと、大学受験の競争が激しいということの 弊害はありますが、少なくとも日本のように中学に進学するときに 私立か公立かという選別は行われないようですし、勉強重視という文化は濃厚にあるようです。また渡辺一枝さんの チベットに関する本(題名を忘れました)を読むと、小学校一年生から 午後もびっしりと詰まっている時間割だそうです。チベット人の親も 必死で子どもに勉強させようとしているそうです。
三浦朱門(元教育審議会会長)が言ったとおり、「魚屋の子供が官僚になったら 国民の迷惑」「多くの国民は実直であればいい」「100人中、何人かのエリートがいればいい」の世界に 日本はなっています。当時マスコミ挙げて 「学力とは受験能力ではない」「学力とは生きる力」「勉強よりも遊びから学ぶことが大事」など、読み書き計算能力を 軽視するキャンペーンがはられました。それで多くの親は、「勉強させたら 人格が歪むのかも」と思わされました。
彼らの成果は 計り知れません。漢字が読めない、書けない、読書とは無縁、テレビのみが情報源という圧倒的多数を前にして、それでも「無理やり勉強させるのはどうか?」「勉強よりも人柄、人間力でしょう」など 訳の分からないことを言って 反撃する人がいます。そう言う人に限って 自分の子供や孫は 私立中学に行かせていますし、自分は読書する階層であったりして・・・。
元教員よ 立ち上がれ。老後の楽しみに ふけっている場合じゃない。孫の年齢の子どたちに 勉強を教えるボランティアになれ。心からそう呼びかけたいです。
投稿: nobara | 2016年7月12日 (火) 12時49分
今般選挙の結果は、最初から判っていた結果とはいえ、国民意識の低さ、民度の低さを再確認させられ、その現実に打ちひしがれて、私はもう虚脱状態です。
無知とは恐ろしいものです。それがまた、国民全体で集団的無知ですから、恐怖でしかありません。
投票率も期待した数値には程遠く、昨年、安保法制であれ程大騒ぎしたにも拘らず、やはり大半の国民はまだ殆ど目覚めていないという現実に打ちのめされた気分です。
そしてもう、抗う手立てが無いという現実。
現時点でさえ、警察の横暴が目立つというのに、憲法を改悪されたら間違いなく米国並みになる事は火を見るより明らかです。
ところが大半の国民は未だ何も知らないままで、自公とその補完勢力を支持するという恐ろしさ。
若年層は政治に無関心な者が多く、「消費税も気にならない」といった具合で、今現在の事しか考えず、茹で蛙状態なのには呆れます。
結局、今現在では何の兆しも現れていない為、やがて訪れる恐怖の未来を想像できないのだろうと思う訳ですが、それはつまり民族的劣化、白痴化、愚民化洗脳が功を奏している事の表れと言えます。
このまま行き着くところまで、と言っても、民族滅亡まで止まらないでしょうけれど、そこまで確定してしまった様なものです。
憲法改悪が先か、TPP批准が先か、はたまた同時進行か、この先、ネット内での言論も統制されるでしょうし、もう打つ手がありません。
投稿: びいとるさいとう | 2016年7月12日 (火) 06時16分