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2016年7月 4日 (月)

世界の地政学を再編するBrexit

2016年6月28日
Thierry Meyssan
voltairenet.org

ロシア無しのままで、今度は連合王国を失って、ヨーロッパ再建を再開する方法を世界中のマスコミが模索しているが、ティエリ・メイサンは、体制の崩壊を防ぐ方法は皆無だと考えている。だが彼は、危機的状態にあるのは、欧州連合そのものではなく、アメリカ合州国による世界支配を可能にしてきた組織と、アメリカ合州国そのものの完全性だと指摘している。

欧州連合を離脱するというイギリスによる決定の影響を誰も理解していないように見える。政党政治を解釈するだけで、国際的課題に対する理解力をとうの昔に失った評論家連中には、馬鹿げた政治宣伝しか目に入らない。片や、無制限な移民に反対する連中、片や、連合王国を、大変な苦悩で脅かしてきた子どもだましの“鬼”。

だがこの決定の利害関係は、こうした主題とは無関係だ。現実と 政治マスコミ論議との不一致が、欧米エリートが実際患っている病、無能さを実証している。

覆いが我々の目の前で引き裂かれつつあるのに、エリート連中は、1989年11月のベルリンの壁崩壊の影響を理解できなかったソ連共産党ほども状況を理解していない。1991年12月のソ連崩壊、更に六カ月後の経済相互援助会議(コメコン)と、ワルシャワ条約崩壊、更にロシアそのものを解体しようという企みが続き、チェチェンさえ失うところだった。

そっくりな形で、我々は間もなく、欧州連合崩壊、次にNATO、そして彼らが細心の注意を払わない限り、アメリカ合州国の崩壊を目の当たりにすることになる。

Brexitの背後には、一体どのような権益があるのだろう?

ナイジェル・ファラージの得意げな主張と逆に、イギリス独立党が、勝利したばかりの国民投票の生みの親だったわけではない。投票を行う決定は、保守党議員たちによって、デービッド・キャメロンに押しつけられたものだった。

彼らにとって、ロンドンの政策は世界の進展に対する実際的な適応でなければならない。ナポレオンが“小売り店主たちの国”と表現したものが、アメリカ合州国は、もはや世界の主要経済大国でも、主要な軍事大国でもないと見抜いたのだ。だから、もはや特権を持ったパートナーとして、アメリカにしがみついている理由がないのだ。

マーガレット・サッチャーが、イギリスを国際金融センターに転換させるために、イギリス産業を破壊するのをためらわなかったのと同様、保守党は、シティーを「元」の主要オフショア金融センターに転換するために、スコットランドと北アイルランド独立の道を開くことをためらわず - 北海油田を失った。

Brexitキャンペーンは、大衆マスコミを動員して独立回帰を呼びかけた、紳士階級とバッキンガム宮殿に、主として支援されていた。

ヨーロッパ・マスコミが報道している解釈と逆に、EUは離脱に関する官僚的な交渉に必要な時間より早く崩壊するのだから、イギリスのEUからの離脱がゆっくりと起きることはない。遠心運動が始まるやいなや、コメコンが機能を停止したので、コメコン諸国は離脱交渉をする必要がなかった。何であれ連合の残り物を保存しようと必死にしがみつくEU加盟諸国は、この新たな分配に適応するのに失敗し、新ロシアが最初の数年味わった痛ましい激変、目の回るような生活水準と平均余命の下落を経験する危険を冒すことになる。

必然的に職を失う、何十万人もの公務員、選出された議員や、ヨーロッパの協力者たちや、この制度に朝貢していた国のエリート連中を救うため、緊急に制度を改革する必要がある。彼ら全員、Brexitは、懐疑派が飛び込む裂け目を開いたと誤って思い込んでいたのだ。だが、Brexitは、アメリカ合州国の衰退に対する一つの反応に過ぎない。

現在、ワルシャワでのNATOサミットを準備しているペンタゴンは、自分たちが、もはや、同盟諸国に、国防予算を増やして、アメリカの軍事的冒険を後押ししろとどなりつける立場にないまだ理解していない。アメリカ政府の世界支配は終わったのだ。

我々は新たな時代に入りつつあるのだ。

一体何が変わるのだろう?

ソ連圏崩壊は、初めての、ある世界観の完全な終焉だった。ソ連とその同盟諸国は、できるだけ多くのものが、共有財産と見なせるような統一した社会を構築しようとしていた。彼らは、巨大な官僚制度と、昏睡状態の指導者たちの無慈悲な集団を生み出すことに成功した。

ベルリンの壁は、反共産主義者によってではなく、共産主義青年団とルター派教会の連合によって破壊された。彼らの意図は、共産主義の理想を復興することだったが、ソ連のくびきと、政治警察と官僚から解放することになったのだ。彼らは、ソ連の権益に長く仕えたあと、進んで180度転換し、あわててアメリカ合州国の利益に仕えるようになった自国のエリートに裏切られたのだ。Brexitに投票した人々の中でも最も熱心な人々は、国家主権を取り戻し、西ヨーロッパの指導者たちに、大衆がヨーロッパ憲法を拒否した後、リスボン条約を押しつけて示した(2004-07)傲慢さの償いをさせようとしていた。彼らもまた、次におこることに失望するのかもしれない。

Brexitは、安物雑貨店民主主義が“4つの自由”として慶賀するアメリカ合州国によるイデオロギー支配の終焉でもある。1941年の一般教書演説で、ルーズベルト大統領は、それをこう定義した。(1) 言論の自由と、表現の自由、(2) 全ての人々が、自分が選んだ方法で、神を崇拝する自由、(3) 欠乏からの自由、(4)[外国による侵略の] 恐怖からの自由。もしイギリスが自らの伝統に戻るつもりなら、ヨーロッパ大陸人も、権力の正統性に関して、フランス革命とロシア革命が投げ掛けた疑問を再検討し、フランス-ドイツ間の新たな紛争を引き起こしかねない危険がある組織を大改造すべきなのだ。

NATOとEUは一枚の硬貨の両面に過ぎないので、たとえ、外交政策や共通の安全保障の構築には、自由な物流よりも、実施により長い時間がかかるとしても、Brexitは、アメリカによる軍事-経済支配の終焉を意味する。最近、シリアの状況に関し、この政策について私は書いた。EUの公表されているもの、公表されていないもの、あらゆる内部文書を調べて、現場の現実を全く知らずに書かれていて、アメリカ国務省の指示を複写していただけの、ドイツ外務大臣が書いたノートからのものだという結論に達した。数年前、別の国に対して同じ作業をしなければならなかったが、同じ結論に達していた(この場合、仲介人は、ドイツではなく、フランス政府だった点を除いて)。

EU内部での最初の影響

現在、フランスの労働組合は、アメリカ国務省からの指示で促された欧州連合の報告書を基に、ヴァルス政権か下記書き上げた労働法案を拒否している。CGT(フランス労働総同盟)を動員して、フランス人は、この問題における、EUの役割を発見できたが、彼らはまだ、EU-アメリカの繋がりは把握していない。彼らは、政府が基準を逆転して、企業の契約を、個々の協定より優位にしようとしていることを理解しており、政府は、実際、契約に対する、法律の優位性に疑問を表明している - だが、彼らは、ヨセフ・コルベルと彼の二人の子ども、実娘の民主党のマデレーヌ・オルブライトと、彼女の養女、共和党のコンドリーザ・ライスの戦略を知らないのだ。コルベル教授は、世界を支配するため、アメリカ政府に必要なのは、国際関係をアングロ-サクソンの法律用語で書き換えるよう押しつけるだけでよいと請け合った。実際、契約を法律より上におくことで、アングロ-サクソンの法律文体が、長期的に、貧しく生活に困っている人々より、金持ちで有力な人々に特権を与えている。

フランス人、オランダ人、デンマーク人や、他の全ての人々が、EUから離れようとする可能性はある。そのためには、彼らは支配階級と対決しなければならない。この戦いの期間は予測できないが、この問題には疑いの余地はない。いずれにせよ、来る激変の時期に、現在組織がばらばらのイギリスの労働者とは違い、フランス労働者の扱いは難しかろう。

連合王国にとっての最初の影響

デービッド・キャメロン首相は、辞任を、10月まで延期するため、夏季休暇カードを利用した。彼の後任、おそらくボリス・ジョンソンは、ダウニング街に着任次第、実施する変更方針を準備する時間が持てる。連合王国は、自らの政策を策定するのに、EUからの決定的な離脱まで待つことはあるまい  - 手始めは、ロシアとシリアに対して科されている経済制裁からの離脱だ。

ヨーロッパのマスコミが主張することとは逆に、ロンドンのシティーは、直接Brexitを懸念してはいない。王室の権限のもとでおかれた独立国家としての特別な立場のおかげで、欧州連合の一部となったことはこれまで決してなかった。もちろん、もはや、EUに撤退する一部企業の本社を擁することはできまいが、逆に「元」市場を発展させるのに、ロンドンの主権を活用することが可能だ。既に4月に、中国中央銀行との協定に署名し、必要な特権を取得してある。それに加え、シティーは、ヨーロッパの金融ヘブンとしての活動を発展させる可能性がある。

Brexitは、イギリス経済を、一時的に混乱させるだろうが、新たなルールが決まるのを待って、おそらく連合王国は - あるいは少なくともイギリスは、自らのより大きな利益のために、急速に再編成するだろう。この地震をひき起こした連中に、離脱の報償を国民と共有する智恵かあるかどうかは、じっと待って様子をみないとわからない。Brexitは、国家主権への回帰ではあるが、国民の主権を保障するものではないのだ。

国際的な様相は、今後の反応次第で 様々な形で展開するだろう。だが、たとえ物事が一部の人々にとって、不都合な結果となろうと、砕け散るまで夢にすがりつくよりも、イギリスがしたように、常に現実に執着するほうが良いのだ。

Thierry Meyssanは、フランス人知識人、ヴォルテール・ネットワークとアクシス・フォー・ピース・コンファレンスの創始者で会長。彼 の国際関係コラム記事は、アラビア語、スペイン語やロシア語の日刊新聞や週刊誌に掲載されている。最新刊二冊、『9/11 デマ宣伝』と『ペンタゲート』は英語で刊行されている。

voltairenet.org

記事原文のurl:http://www.voltairenet.org/article192607.html

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ダッカ襲撃事件記者会見で頻繁に登場する組織のトップ氏、たしか見覚えがあるなあと思った。IWJに、うってつけの過去記事がある。

【IWJブログ】明らかとなった集団的自衛権行使容認論者の「腹の中」~安倍総理の最側近・北岡伸一氏の詭弁 2013.11.19

宗主国、経済・政治・社会構造が、軍産安保複合体。戦争で人を殺して生きる怪物のようなもの。

自前のやらせテロで、火のないところに煙をたて、あおりたて、紛争を起こし、激化させ、介入しつづけ、武器を消費し続けないと、支配体制がもたない仕組みになっている。

集団的自衛など、まっかな嘘で、集団的侵略こそ国是。

「集団的自衛」なるものに参加すれば、100%集団的侵略。そうした理不尽な侵略で、無辜の人々を殺害し、強制退去させることになるだけ。被害者による、やらせでない本当のテロも起きるかもしれない。

ネットで、大切な言葉が足りない広告を再三みかける。広告は正しくないといけない。

日本は今地獄に前進しています。
政治は1%の国民のもの。

大本営広報部洗脳白痴情報を見ている余裕はない。

植草一秀の『知られざる真実』
テロの標的にされる日本 2016年7月 3日 (日)

中国軍艦の尖閣「接続水域」進入、背景に日米印の大規模共同訓練が~安倍政権による「中国脅威論」のウソを暴く!岩上安身による横浜市立大学名誉教授・矢吹晋氏インタビュー 2016.7.3

中国空軍機が航空自衛隊機に攻撃動作をしかけた!? 日中双方の政府は報道を否定~しかし日米印の「マラバール作戦」は確かに中国を挑発している!? 2016.7.2

参院3分の2議席で現実化する!世界の常識では絶対悪「ナチス」の手口。ヒトラー独裁政権を徹底検証!ー岩上安身による石田勇治・東京大学教授インタビュー 2016.7.1


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コメント

EUの崩壊は避けられず、しかもそれは離脱交渉にかかる時間よりも早い(旧ソ連の崩壊のように)、Brexitは米国の経済•軍事支配の終焉を意味する、英国は中国元の取り扱いや欧州の金融ヘイブンとして生き残る道がある、大陸の欧州人は独仏の戦いを生じさせる可能性のある組織の構造改革をする必要がある、などなど興味深い近未来予測がなされているが、最後の一文「砕け散る夢を追うより、英国人のように常に現実に執着する方がよいのだ。」を、周回遅れで欧米「十字軍」への参加を夢見る安倍首相に聞かせたい。

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