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2016年6月17日 (金)

ロシアと中国はイデオロギー戦争を強化するべきだ

Andre Vltchek
2016年6月13日

今どき、中東や中南米で、自分はロシア人だと言うと、多くの庶民に抱きしめられることが多いが、そうした感情的な爆発は主に直感的なものだ。極めて効果的な、否定的な欧米プロパガンダで、長年、何十年も爆撃されてきてた後、世界中の人々は、欧米の帝国主義に誇り高くも抵抗してきた二大国ロシアと中国に関して、いまだにほとんど何も知らない。

最近、広範な反革命運動の全てを、欧米があからさまに支持して、進歩的な政権を、文字通り、次々に打倒している中南米に、5週間でかけていた。改革プロセスを救うべく、前に進む道を決めるのを助けようと、現地の左翼知識人たちと一緒に働いたのだ。

だが私は、ロシアと中国に関して、現地では、ほとんど知られていないことに衝撃を受けた。愛国的中南米左翼にとって、何十年もの根っからの二つの同盟国について。

“プーチン支持ですか、反対ですか?”それと“中国は本当に、今は、我々が読んでいる通り、資本主義なのですか?”

これは、良く聞かれる二つの質問だ。

もちろん、キューバではそういうことはない。帝国のプロパガンダ・メディアがほとんどないキューバは、実際、地球上で、最も良い教育を受けた、知識ある社会の一つだ。キューバでは、人々は、欧米帝国主義に対する、こうした長年の、何世紀にもわたるロシア人の勇壮な闘いの全てを知っている。キューバでは、中国が、本質的に、国民のための繁栄する社会を作り上げるために、管理された資本主義の手法もいくつか活用している明確な中央計画の共産主義(しかも成功した)国であることを良く知られている。

だが、アルゼンチンやチリのような教養のある国々でさえ、そして、エクアドルやベネズエラのような、進歩と革命の中心地でさえも、世界の二大国は誤解されていることが多い。中南米の大多数の人々は、ロシアにも、中国にも教官を感じるかも知れないが、両国の現実について深い知識を持っていない。

中南米左翼は、ロシアや中国とも、更に南アフリカ、イランや他の誇り高い国々とも協力してる欧米帝国主義に抵抗している戦線の極めて重要な要素の一つなのだから、これは実に残念なことだ。

こうした全ての理由を理解するのは容易だ。中南米の最も革命的な国々においてさえ、欧米マスメディアは、通常、右翼大企業のケーブルTVや衛星放送局によって、しっかり存在感を確保している。大半の大手新聞は現地実業界の手中にある。

だから、ロシアと中国については、否定的で、誤解を招くような情報が常に流布されている。人々は、テレビ番組、発行部数の多い新聞や、輸入(欧米)映画によって、そうした情報で爆撃されているのだ。

多くの人々が反抗している。彼らは直感的にロシアと中国にすがりつきたがっている。だが彼らには十分な“弾薬”がない。彼らは、前向きの士気を鼓舞する十分な情報が得られないでいる。一方、批判する側は、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンやマドリッドで大量生産される悪質なプロパガンダで完全武装している。

アジアにおける状況はもっと酷い。

そこでは、二つの主要敵国の信頼を損なうべく、帝国は、使えるあらゆる資源を実に徹底的に動員している。

インドネシアやフィリピンなどの国にいる友人や同僚と話してみると、大半の人々が、ロシアに関しては、ごく僅か、というよりほとんど何も知らないことがわかる。いまだに、冷戦中、そして冷戦後の型にはまったものでしか見られていないのだ。欧米のプロパガンダ装置は、ロシア人を、冷たく、攻撃的で、洗脳されていて、危険だと描いてきた。

偉大なロシア文化、ロシア芸術や、ロシア人の格別の温かさは、大半のアジア諸国の人々にはほとんど知られていない。

シリアのような“人々が、絶対にもっと良く知っているべき”ロシアの素晴らしい外交政策の成功は、インドネシアやマレーシアなどのイスラム教の国々においてさえ、歪曲され犯罪にされている。

何十年もソ連と親密なインドでは、状況は、もう少し明るいが、それもごく僅かな教養ある人々の間に限られる。インドでは、世界の他の国々と同様、大企業志向で欧米志向のマスコミが、帝国の邪魔になるもの全てを悪魔化し、欧米権益を巧妙に擁護している。

中国は、ロシア以上に、より大きな力、悪意ある力で標的にされている。成功した共産主義の中国は、欧米やアジア現地の‘エリート’にとって最悪の悪夢だ。

プロパガンダ装置の全てが今や暴走状態で、イデオロギー的攻撃と否定的メッセージを振りまいている。地球上で、最も平和的な大国が、侵略者で、地域と世界の平和に対する脅威のように描かれている。フィリピンや他の国々で、欧米グローバル権力は、最も安価で、極めて危険な、好戦的な形の民族主義を刺激している。

革命後、中国から去った人々の子孫で、主に反共産主義者が暮らしている東南アジアにおける中国人居住地は極めて重要な破壊的な役割を演じている。

アメリカ合州国/NATOが、軍事基地で、ロシアと中国を包囲し、新たな攻撃ミサイル・システムを配備していることには誰も気がつかないようだ。二十世紀における欧米によるアジア侵略で何千万人もの人々虐殺されたことについては誰も語らない。

アフリカや他の場所でも、状況はさほど変わらない。

*

確かに、欧米プロパガンダに対抗するために、ロシアも中国も相当な資源を投資している。RT、スプートニクやNEO (New Eastern Outlook)などは、いずれも、極めて効果的な世界情報源、知的な解毒メディアになっている。

だが欧米は、依然、より多く投資している。イデオロギー戦争は、最近、アメリカ政府内でさえ、あからさまに議論されている。ロシアと中国が抵抗すればするほど、両国が自らを守れば守るほど、欧米プロパガンダは、益々洗脳キャンペーンを強化する。

ロシアも中国も、自国の利益のためだけでなく、世界平和のためにも、もっと色々すべきなのは明らかだ。

中国とロシアの偉大な実績は詳細に説明されるべきなのだ。こうした情報は世界のあらゆる場所に広められるべきなのだ。

この分野では、海外で見られる中国マスコミは、依然余りに‘及び腰’で融和的にすぎるので、中国は、ロシアに学ぶべきだ。強力で、何世紀もの歴史を持つ欧米プロパガンダや洗脳計画に対抗するための本当の力と決意が必要だ。膨大な予算も必要だ。

だが、知的‘レジスタンス’やイデオロギー戦争は、政治やニュースや分析の分野だけで戦われるべきというわけではない。中国とロシアの膨大な文化的、知的実績を、全ての大陸の人々が知れるようにすべきなのだ。中国は、主に孔子学院によって、既に多大な努力を払っている。中国はもっと努力すべきであり、ロシアもそうすべきだ。

両国は素晴らしい文化的豊穣さを持っており、智恵と芸術に満ちている。両国の人間尊重は、欧米のそれより遥かに深い。欧米は、主に、何世紀にもわたり地球を略奪することによって、その富を作りあげたのだ。

人々が思い出せる限りの期間、ヨーロッパも北アメリカも、大量虐殺をおこない、大陸まるごとを奴隷化してきた。同時に、連中は自己賛美し、連中の政治的、経済的、文化的概念を押し進めてきた。連中は自分たちの文化的優位性を主張した。そして連中は、それを大変な力と、途方もない残酷さで、進めてきたおかげで、最終的に、将来のためには、実際、他に代案、他の方法(欧米のやり方以外には)がないことを受け入れるよう、世界の大半を、完全に洗脳することに大成功したわけだ。

言うまでもなく、当然、ずっと良い他のやり方がある!

実際、ヨーロッパ植民地主義が、地球を破壊し、奴隷化を始めるまでは、世界のほとんどの場所で、欧米のものより遥かに進んだ、より穏やかな社会で暮らしていたのだ。

この事実は、現在ほとんど知られていない。代替案は、もはや主流マスコミでは語られない。より良い世界、より人間的な概念の追求は、ほぼ完璧に放棄された。少なくとも、欧米と、その植民地と‘傀儡”諸国においては。

まるで、欧米グローバル独裁政権によって、世界が無理やり追いやられつつあるこの恐ろしい悪夢だけが、唯一想像可能な我々人類の未来であるかのようだ。

そうではない。地球上には、多くの代替案を提案できる、二つの偉大な国、ロシアと中国がある。両国は欧米からの圧力に耐えられるだけ十分強力だ。両国には、心と頭脳がある。両国には、代替案を提示し、我々人類の将来に関する千年もの歴史のある本質的な議論を再開するノウハウと資源がある。

だが、これが実現するために、まずは世界が、ロシアと中国について知らねばならない。世界は両国の文化を理解しなければならない。

帝国主義に対する戦争は、戦場でだけ戦っていてはだめなのだ。放送、印刷機、コンサート・ホールや劇場においても闘うべきなのだ。優さしさ、人間尊重主義、国際主義や知識は、ミサイルや戦略爆撃機や潜水艦より、ずっと強力な武器として機能しうるのだ。

アンドレ・ヴルチェクは、哲学者、作家、映画制作者、調査ジャーナリストで、Vltchek’s Worldの作者で、熱心なTwitterユーザーで、特にオンライン・マガジン“New Eastern Outlook”に寄稿している。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2016/06/13/russia-and-china-have-to-step-up-ideological-war/

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アンドレ・ヴルチェクの著作では、翻訳書『チョムスキーが語る戦争のからくり: ヒロシマからドローン兵器の時代まで』が、平凡社から刊行されている。

NHK新書『中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌』高橋和夫著
222ページに、本記事と関連する記述があるので、一部転載させて頂こう。

中国で育っている中東専門家

 中国の対中東外交で興味深いのは、そのメディア戦略だ。中国では2009年から、アラビア語の24時間テレビ放送を行っている。これが衛星放送によってアラブ世界全体に向けて放送されている。
 率直に評価すると、現時点ではたいした内容ではないが、いずれ充実したものになっていくと思われる。こうした事業の意味は大きい。

以下略

洗脳・白痴製造装置、見るのも、いい加減あきてきた。楽しんでみていたわけではない。

時間の無駄、頭脳の無駄はせず、闘う人々についての重要な情報を得たいと思う。典型例は、たとえば下記。

日本外国特派員協会主催 原中勝征氏(元日本医師会会長)、山田正彦氏(元農水大臣)、植草一秀氏(政治経済学者)、内田聖子氏(アジア太平洋資料センター事務局長)記者会見 2016.6.15

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コメント

メタボ大兄、久しぶりです。膨大な量と質の訳業ただただすごいというほかありません。

僕は日本人だということで抱きしめられたことはありません。が、かつては、5年ほど前まではとても好意的に誤解されることはありました。また、通り一遍の日本ポップカルチャーおたくとは一線を画した日本びいきから彼・彼女の日本の近代史認識に関して意見を求められることもしばしばありました。その頃までは、パキスタンからむこうアイルランドあるいはポーランドあたりまで、または旧仏領アフリカの有り体にいってやられっ放しの国や地域の人たちの一部にとって日本国はある種の反逆のカルトヒーローだったのかと今は思い返します。

曰く、エンペラーヒロヒトは国民の痛みを思うあまりに早めに降伏したんだろう?

また、映画ラストサムライは史実に即してるか?詳しい歴史的背景を教えてくれ

あるいは、日本はいつだってカムバックしてきた。またやるんだろ?

カムバック?したっけ?と思いつつも。まあね、などと相手の幻想をこわさないような受け答えをしていましたが、ここしばらくは絶えてそんな質問にはあいません。これからもないでしょうね。こちらは年度末。予算消化のためか訓練機から戦闘機まで景気良く飛び回ってます。Skypeの向こうで「これ、下手したら中国と戦争になるで」という父に「戦争は起こるものじゃくて、やりたい人たちが始めるもの、台風じゃないだから勝手には始まらないの」とは言うのですがなかなか伝わらないようです。

これからも健筆をたのしみにしています。ご自愛のほど。

「ロシアと中国はイデオロギー戦争を強化するべきだ」Andre Vltchek

よくぞこの文章を翻訳していただき、掲載していただきました、感謝申し上げます。
まさに、”我が意を得たり”です。
今の米国一国による「世界支配野望・覇権主義」を後押ししているのが、「中国・ロシアへの敵視」政策であり、メディアプロパガンダによって真実を見えなくさせられマインドコントロールされている日本国民の「厭中国・ロシア」感情でしょう。
実際は、中国もロシアも、北朝鮮でさえも、日本を侵略する意図(理由も)など全く無いでしょう。
日本を侵略・占領・従属させているのは、明らかに米国です、しかも71年間も。
中国とロシアに関する正確な知識が、日本人には必要だと思います。
ありがとうございました。

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