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2016年6月13日 (月)

アジア覇権を宣言するアメリカ

2016年6月10日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook

アジアにおける、アメリカの意図がこれほど露骨になったことはこれまでなかった。地域におけるアメリカの役割を、建設的やら、必要やらと描き出す取り組みは、第二次世界大戦終結以来続いてきたが、最近、アジアが自ら運命を決められるようになり始めると、アメリカ政府の調子は益々、ぶっきらぼうで、直接的なものになりつつある。

シンガポール、シャングリラ対話でのアシュトン・カーター国防長官発言は、地球上でも、アメリカから文字通り大洋を隔てた地域、アジアをめぐるアメリカ覇権宣言に他ならない。

ロイター記事“アジアが南シナ海騒動を懸念する中、力を誇示するアメリカ”では、カーター国防長官は以下のように発言したとされている。

アメリカ合州国は、今後何十年にわたって[アジア]地域における最も強力な軍隊であり、安全保障の主要保証人でありつづけるが、これについて疑念の余地はない。

暗黙の例外主義に加えて、アメリカは、自らの国境をはるか離れた地域全体の安全保障の保証人だと思っている理由を十分説明してもいないのに、なぜか正当化してしまう。

ロイターは、こうも報じている(強調は筆者による):

係争中の海域にある岩礁、黄岩島(スカボロー礁)の、中国によるあらゆる埋め立て行為は、重大な結果を招くと、カーターは述べた。

“アメリカ合州国と … 地域の他の国々による措置がとられる結果となり、それは緊張を増すのみならず、中国の孤立化を進めることになるから、そのような進展にならないよう願っている”シンガポールにおける、地域の安全保障フォーラム、シャングリラ対話で、カーターは語った。

“孤立化”という重要な言葉が、第二次世界大戦が始まる前から、アジアにおいて勃興する大国に対するアメリカ外交政策を規定してきた。

アジアにおける卓越の野望を、アメリカの政策立案者たちは決して隠そうとはしない。

元アメリカ大使、外交問題評議会(CFR)上級研究員、ロビイスト、イラク2003年のアメリカ侵略と占領期間、アメリカ国家安全保障会議議長代理だったロバート・ブラックウィルが、昨年、CFRで“アメリカの対中国大戦略を改訂”(.pdf)という論文を書き、そこでアジア・太平洋に対するアメリカの考え方を明らかした。

論文は明確にこう述べている(強調は筆者):

中国をリベラルな国際秩序に“組み込む”というアメリカの取り組みが、今やアジアにおけるアメリカの卓越にとって新たな脅威を生み出しており、最終的には、結果的に、アメリカの世界的権力に挑戦することになりかねないので、アメリカは、中国の上昇を支援し続けるのでなく、中国の力の勃興に対してバランスをとることを軸とする対中国の新たな大戦略が必要だ。

論文は、これをいかにして達成するか施策を列挙し、詳細に述べている(強調は筆者による)。

…世界体制における、アメリカの卓越維持が、21世紀アメリカ大戦略の中心的課題でありつづけるべきだ。勃興する中国の力に直面しながら、この状態を維持するには、以下のようなことが必要だ。他国に対する、アメリカ合州国の非対称的な経済的優位性を生かせる破壊的革新をはぐくむためのアメリカ経済再活性化。中国を意図的に排除する仕組みを使い相互の利益を増大するための、アメリカ友好諸国や同盟諸国間の新たな優遇的貿易協定の締結。アメリカ合州国と、パートナー諸国に対し“効果の高い戦略的危害”を加えられるような軍事的、戦略的能力を、中国が入手することを妨げるアメリカ同盟諸国が参加する技術的、支配体制の再創造。中国周辺のアメリカの友人と同盟者の権力-政治能力の共同歩調による強化。中国とのあらゆる協力を継続しながら、中国のあらゆる反対にもかかわらず-アメリカの重要な国益に敵う様々なやり方で、アジア周辺諸国における効果的な力の誇示用のアメリカ軍能力増強

特に“中国周辺のアメリカの友人と同盟者の権力-政治能力の共同歩調に強化”に関する点は、一見そうみえるほど無邪気なものではないことに留意が必要だ。ブラックウィル自身、ロビイストとして、東南アジアの国タイのそうした“中国周辺のアメリカの友人と同盟者”タクシン・シナワットの傀儡政権を代理していた。

シナワットは権力の座にいた間、アメリカの違法なイラク侵略と占領を支援すべく、タイ軍を派兵し、CIAの忌まわしい特別引き渡し施設をタイ領に受け入れ、タイの国益を犠牲にして、アメリカ-タイ自由貿易協定を押し通そうとした。シナワットの、タイをウオール街とアメリカ権益の属国に変える企みは、最終的には崩壊し、流血を伴う政治的対立と化し、現在も続いている。

シナワットは、最終的に権力の座を追放されたが、アメリカの既得権益団体は、彼を再度権力の座にしつらえるか、似たような代理をしつらえようとしてうごき続けており、タイの既存の政治秩序や機関を弱体化させ、破壊しようとねらっている。

現実には“中国周辺のアメリカの友人と同盟者の権力-政治能力強化”が実際意味するところは、主権政府を打倒し、傀儡政権自身の平和、安定と繁栄を犠牲にして、北京とのアメリカ政府の代理戦争で使うことが可能な従順な傀儡政権に置き換えることだ。

ブラックウィル論文は、南シナ海における緊張を利用して、アジアにおける“アメリカの大戦略”に役だてる重要性も挙げている。論文にはこうある。

中華人民共和国のふるまいのおかげで、アジア諸国は既に、アジア内部でのより大きな協調行動によって中国に対するバランスをとり始めており、これはアメリカ大戦略と完全に一致しており、それを強化するものだ。

実際アジア中で、勃興する中国と他のアジア諸国との間で力を均衡させる必要性に関する現実主義的な理解が、中国の隣国諸国の経済的、軍事的な拡張を導いてきた。しかし、それは、アメリカの野望とは別個に、しかも北京との良好な関係を維持しながら行われている。目標は、アジアにおける卓越を維持することであり、中国の勃興を孤立化させ、封じ込めることを狙っていると、アメリカは、あからさまに述べている。これは中国周辺全ての国々の最善の利益と全く矛盾する。

ワシントンの対北京長期戦

アシュトン・カーター国防長官と、ロバート・ブラックウィルが、アジアにおけるアメリカ政策を認めたのは、1950年代、ベトナム戦争にまでさかのぼり、今日に到るまで続いている長年の封じ込め政策を、最近確認するものに過ぎない。
米国国務省歴史課から、1968年“チベット作戦現状報告”が発行され、“中国共産党の拡張封じ込め”という目標のために、アメリカ中央情報局(CIA)が、第14代ダライ・ラマと、武装チベット人過激派を支援したことを明らかにしている。

報告にはこうある。

その一部が、1956年に、委員会の承認のもとで開始されたCIAチベット計画は、1951年と、1956年に、アメリカ政府がダライ・ラマにした約束に基づいている。計画は[一行以上の原文が機密解除されていない]によって、適切に調整され、支援される政治的活動、プロパガンダ、準軍事および諜報作戦で構成されている。

また報告にはこうある(強調は筆者による):

政治活動とプロパガンダの分野では、チベット計画の目標は、チベットや、他の国々で、ダライ・ラマ指導の下でのチベット自治区という概念を支援して、中国政権の影響力と能力を弱めること、チベット国内で、あり得る政治的進展に対するレジスタンスの能力を作り出すこと、そして、NSC 5913/1.2 [6行の原文が機密解除されていてない]で当初述べられているアメリカの政策目標に従って、中国共産党の拡張封じ込めが狙いだ。

1967年に、当時の国防長官ロバート・マクナマラによってまとめられた、1945年から、1967年までのベトナムへのアメリカ関与に関する秘密の国防省研究の、悪名高い漏洩“ペンタゴン・ペーパー”が、中国封じ込めというアメリカが継続する取り組みで、アメリカ軍がより直接的に使用されたことを暴露している。

こうした文書からの三つの重要な文章がこの戦略を暴露している。まずこういうものがある。

…2月の北ベトナム爆撃決定と、7月の第一段階配備の承認は、アメリカ合州国による長期的な中国封じ込め政策を支持する場合にのみ、意味をなす。

こうも主張している。

中国は、1917年代のドイツ、30年代末の西洋におけるドイツと、東洋における日本、1947年のソ連と同様に、世界におけるわが国の重要性、世界における有効性を損なう恐れのある、更により迂遠ではあるが、より威嚇的に、アジアの全てを反米でまとめる可能性がある主要大国として立ちはだかっている。

最後に、当時対中国のためアメリカが関わる広大な地域戦線の概要をこう述べている。

…中国を封じ込める長年の取り組みには三つの前線がある(北と北西からのソ連による中国“封じ込め”があるので): (a) 日本-韓国前線; (b) インド-パキスタン前線;そして (c) 東南アジア前線。

第二次世界大戦終了以来、今日にいたるまで、中国封じ込めという目標が、アメリカのアジア外交政策を支配してきた。アメリカ国務省が認めた1950年代のチベットでの代理戦争、1960年代のベトナムにおける全面戦争、そして、最近では、2001年から2006年、タクシン・シナワットのもとでの中国と対決する傀儡政権の創造、そして現在タイの平和と安定をむしばみ続けている、今や費用のかかる政治危機状態もこれにあたる。

似たような傀儡政権が、全く文字通り、アメリカとイギリスの資金提供と政治的支援で作り出し、永続化されているアウン・サン・スー・チーのもと、ミャンマーで権力を掌握する過程にある。マレーシアは、アメリカ傀儡アンワル・イブラヒムを通して、政治的不安定化の標的にされており、フィリピンは一世紀以上の長きにわたって、アメリカ外交政策に従属している。

東アジアでは、日本も韓国も、それぞれ第二次世界大戦と 朝鮮戦争後に、アメリカ軍を受け入れている。

中国国境の西にあるアフガニスタン占領や、中国内での政治秩序と安定性をむしばむ取り組みを含め、こうしたもの全てを地図に描けば、地政学的な輪が、事実上、西と東から、中国を囲んでいる。

アジアの平和と繁栄を犠牲にした上での、アメリカの卓越

地域に対する中国の増大しつつある影響力にあわせて、アジアが既にバランスを取り直していることは、繰り返す価値があろう。ところが、中国周辺の国々は、既に中国興隆の恩恵も受けている。経済から軍事に到るまで、様々な分野での中国との協力は、中国隣国諸国に直接恩恵を与えている。この地域は、対立的でない協調的な地域秩序の中で、力の均衡を実現しようとしているように見える。

日和見主義のアメリカ合州国は、この地域秩序を生み出すのを支援するふりをしているが、最近の宣言からすれば、進行中の中国インフラ建設プロジェクトがからむミャンマーから、南シナ海、更には朝鮮半島と、ありとあらゆる場所で意図的に緊張を煽り、中国の孤立化を目指していることが明らかだ。

中国を孤立化し、勃興を妨げるプロセスは、北京だけが犠牲を払うわけではなく、全アジアが犠牲を払うことになる。たとえアメリカが、アジア内で醸成している紛争のリスクと経費を否定したとしても。だがアメリカが画策し、奨励しているこうした対立を考えると、この地域におけるアメリカ政府自身の虫のいい野望を実現するため、各国は資源と政治的信用を費やすよう駆り立てられつつあるのが現実だ。

ことは極めて単純だ。アメリカ合州国はアジアに存在しているわけではない。アジアを紛争地帯に変えるのはアメリカにとって全く好都合だ。勃興するアジアは、ウオール街の既得権益団体や、ワシントンで、連中に仕えている政治家連中にとって、直接の競争相手となる。異質な貿易協定や、政治的強要や、脅しを黙って受け入れないような強いアジアから、アメリカが得るものは皆無だ。全アジアの平和と繁栄を犠牲にして、中国を封じ込めるのは、実際、アメリカが、全アジアで“今後、何十年も”卓越を維持することを保障するのだから、アメリカ政治家にとって素晴らしいボーナスだ。

アジアの指導者たちにとって、勃興する中国と他のアジア諸国間で、建設的で協調的な手段で、力のバランスをとろうと努力し続けることが重要だ。これは、地域における、アメリカの、いわれのない悪意ある影響力を徐々に駆逐しながら行わねばならない。これは、アメリカが中国を孤立化させようとしているような形で、アメリカを孤立化させるわけではなく、覇権ではなく、平等を前提に、アジアとの正常なつながりを維持することを、アメリカが認めるようにさせる程度の孤立化だ。

アメリカの安全保障が、アジアが引き受けるべきものでないのと同様、アジアの安全保障は、決してアメリカ合州国が引き受けるべきものではない。“例外的”な国など存在せず、本当の“国際秩序”が存在するには、ワシントンにいようが、北京にいようが、あるいは他の場所にいようが、全員に対し、公平で客観的な基準が適用されるべきだという事実を確立する上で、アメリカの政治家連中と、彼らが仕えている既得権益団体に、これをはっきり示すことが不可欠だ。

Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”に寄稿している。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2016/06/10/us-declares-hegemony-over-asia
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大本営広報部洗脳番組の断片をたまたま見てしまった。意図して、売国政治家宣伝番組を見るわけがない。毎回、呼吸するように易々と真っ赤なウソをつく連中が居並ぶ日曜番組。

ヌケヌケとアホノミクス道なかばとのたまう売国与党。
カルト屋が「社会主義、共産主義革命を目指す連中にまかせるのか」とは良くいう。
宗主国侵略戦争に、多国籍企業に、国民全員を売り渡そうとしているのは誰だ。
日本の人々が培ってきた伝統や習慣を捨てさせようとしているのは誰だ。

ああした白痴製造装置、本気で見ている皆様は、売国与党や野党のふりをした別動隊に票を入れるのだろう。週日昼の洗脳番組にもあきれる。北朝鮮と都知事のみ『カエルの地獄』。

アホノミクスは『アベノミクス批判――四本の矢を折る』によって完膚なきまでに論破され、更にはエセ右翼政策まで的確に批判されている。
ネット巨大書店でさえ、書評は絶賛が圧倒的多数。今からでもお読みいただきたい名著だ。
新刊の岩波新書『ガルブレイス』もお勧め。

憲法破壊策謀の阻止、戦争推進法案廃止、売国TPP廃案、原発廃止こそ、今回の争点。
大本営広報部の洗脳・白痴化番組など見てはいけない。

植草一秀氏のブログ記事ご指摘の通り。TPPは参院選の最重要争点の一つだ。

いのちよりお金の条約=TPPを断固阻止する

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