アメリカCIA支局と化すドイツ連邦情報局(BND)
Eric Zuesse
Global Research
2016年6月8日
“Merkel entmachtet BND: USA kontrollieren Spionage in Deutschland”つまり“メルケル、BNDを排除。アメリカがドイツのスパイ行為を支配する”という見出しの6月7日のドイツ経済ニュース(ドイチェ・ヴィルトシャフツ・ナハリヒテン、DWN)報道によれば、新たな法律が間もなくドイツ議会で成立し、アンゲラ・メルケル首相が承認するが、それによって、ドイツのCIAにあたる連邦情報局=ブンデス・ナハリヒテン・ディエンスト(BND)は、CIA支局と化してしまい、ドイツ企業に対する、アメリカ大企業によるスパイ行為さえもが、この‘ドイツ’工作の一環になる。新法のもとでは、BNDの独自の能力が骨抜きにされ、機能しなくなるのだ。
“事実上、これはつまり、アメリカ国家安全保障局[NSA]がドイツのあらゆる企業、あらゆる個人の盗聴をすることが許されるということだ。”
(これには、以前、電話会話が、NSAによって盗聴されていたことが恥ずかしくも暴露された首相本人も含むが、今や、それが合法になるのだ。)
これは、世界戦争に向けた欧米による軍事力増強の一環の可能性がある。6月6日、German Economic Newsに掲載された記事によれば、ドイツ政府は対ロシア戦争をする準備をしており、ロシアを敵国だと宣言するドイツ連邦軍報告書草稿もある。DWNはこう報じている。
“ロシア諜報機関は徹底的にこの論文を検討したようだ。論文が発表される前に、厳しい抗議がベルリンに送られた。ロシア議会下院国際委員会委員長アレクセイ・プシコフはこういうツイッター記事を投稿した。‘ロシアを敵と宣言するドイツ政府の決定は、メルケルがオバマ政権に追随していることを示している。’”
2月17日、DWNは、ドイツのメルケル首相“ロシアによるクリミア‘併合’がモスクワに対する軍事行動の根拠だ”とする“新たな軍事ドクトリンを策定する予定”と報じていた。どうやら、この報道が間もなく実現されるということのようだ。
DWNのこうした報道をまとめれば、対ロシアのNATO戦争準備の時期において、ドイツ政府が、明らかにアメリカ政府に追随していることを示している。
ロシア語話者の聴衆に向かって話した時にだけ、アメリカ‘民間CIA’企業の会長が認めた、欧米によるロシアに対するあらゆる経済制裁やら、今のこの軍事行動に対する欧米の‘正当化’なるものの詐欺を暴露している事実を、DWN記事でも、あるいは欧米のどの‘報道’機関でも、全く触れていない。彼は(英語で)2014年2月のロシアの隣国ウクライナにおける、ウクライナ大統領の打倒は、“史上、もっともあからさまなクーデター”だったと言っていた。そのクーデターが、オバマが打倒した大統領に対し圧倒的多数が投票していた二つの地域を、ウクライナから分離するに至らせたのだ。
あの打倒がクーデターだったことを実証する膨大なビデオ記録が存在しており、ウクライナ議会が正式に任命する22日前に、オバマ政権が、クーデター後のウクライナ指導者を選んでいたことを実証しているものさえある。更に、証拠に関する詳細な唯一の学術的研究も、同じ結論に達している。あれはアメリカ・クーデターだった。クーデター直前の月は、オバマが雇ったファシストが、政府治安部隊を残忍なやり方で攻撃し、非常に暴力的だった。前月の1月21日、更に1月22日、そして更に1月25日の惨事の一部がここにある。
しかも打倒直後、EUはキエフに調査員を派遣し、打倒がどのように行われたのか報告させた際、彼もクーデターだったと報告した。そのあと後、明らかになったのは、クーデターのほぼ一年前、2013年3月1日までに、オバマ政権が、キエフのアメリカ大使館内で、クーデター準備を開始していたことだった。クーデターのずっと前からの何十年にもおよぶ準備として、CIA傘下の‘非利益’団体、NGO組織(欧米支配層や連中の大企業が資金提供する)がこのクーデターの下地作りをしていたことも、しっかり記録しているオンライン・サイトがある。
こうした情報の何一つ、広く報じられていない。欧米では、こうした情報は事実上、全く報じられていない。潜在的な視聴者数は膨大なはずだが(特に、欧米の大衆がこの作戦の大半の経費を払っていて、結果としての、ウクライナ略奪で得られる恩恵は全くうけておらず、それは全て、アメリカの支配層と、同盟諸国の支配層に行ってしまうのだから)、欧米では、それを報じる市場は、事実上皆無だ、市場は欧米マスコミありで、連中は全て(ごく少数の、このサイトのように小規模なものを除いて)支配層に乗っ取られていて、大衆でなく(視聴者に対しては、だますのが商売で)支配層に仕えているためだ。支配層の企業が広告を載せ、それによって、こうした‘報道’機関の大半に資金提供し、支配層の政府がそれ以外のものに資金をする - しかも、支配層の政治家連中に投票するよう操られているだけでなく、NGOや支配層が支払わないものに対して、課税もされて、大衆がこの費用も出している(つまり大衆が兵器類を購入しているのだ)。多数から、ごく少数への巨大な資金注入なのだ。
クリミアの、ウクライナから、ロシアへの編入を、欧米‘報道’機関は、ロシアによる‘征服’やら、ロシアによるクリミア‘占領’やら、ロシア’がクリミアを‘盗んだ’やらとして扱っているが、このどれも本当ではない(しかも、クリミア住民が、オバマが据えたクーデター政権を恐れたのは、もっともだったし、ロシアが、クリミア住民をその政権から救ったのだ)が、支配層によるロシア侵略を組織し、実行するため、ウソは広めなければならない。
不幸なことに、ウクライナにおけるこのアメリカ・クーデターのことが、一体なぜ欧米ではいまだに報じられないかという理由は、この事実を欧米諸国民周知の事実にしてしまえば、クーデター後のウクライナ政府から分離するという、クリミア住民による圧倒的多数の決断をロシアが受け入れた後の、欧米による対ロシア経済制裁を台無しにするのみならず、NATO全加盟国の対ロシア戦争準備をも台無しにしかねないためだ。経済制裁も侵略も、根拠も、欧米大衆による支持も無くなってしまうのだ。これらの全て(経済制裁、そして今の、ありうる対ロシア侵略のための、ロシア国境あるいは国境付近への軍隊や兵器の大規模投入)は、欧米大衆にとって、もはや全く受け入れ難いものになってしまう、もしこの歴史 - 全てウクライナにおける暴力的なアメリカ・クーデターから始まった- ことが、アメリカとNATO侵略が起きる前に知られてしまうようなことがあれば。だから、こうしたこと全てが‘民主的’な欧米では、抑圧されたままになっている。
そこで、どうか本記事のURLアドレス(この記事のすぐ上にある)、友人に電子メールで送り、NATOがロシア侵略の準備をしている話を広めていただきたい。友人たちがお読みの‘報道’機関が伝える可能性はない(手遅れになるまで)のだから。
筆者注記: 上記記事は、6月7日朝、下記マスコミに、独占記事とするよう提案したのだが全社が無視した。そこで、これは、あらゆるメディアに対して、無料で配布しているが、下記メディアは既に独占記事とするのを断ってきた。The Daily Beast、Slate、The Intercept、Huffington Post、Salon、Common Dreams、Truthout、ProPublica、Harper’s、Atlantic、Foreign Policy、National Journal、AP、Globe and Mail、National Post、Telegraph、Guardian、Financial Times、The Economist、Daily Mail、London Times、London Review of Books、New Statesman、The Spectator、Bloomberg、NYT、McClatchy、CBS、CNN、Politico、The Nation、The National Interest、The New Republic、Reason、Rolling Stone、Buzzfeed、Newsweek、Time、USN&WR、Consortium News Service。
歴史研究家Eric Zuesseは作家で、最新刊は、They’re Not Even Close: The Democratic vs. Republican Economic Records、1910-2010、および CHRIST’S VENTRILOQUISTS: The Event that Created Christianity「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出した出来事」。
本記事の元はGlobal Researchである。
著作権 Eric Zuesse、Global Research、2016
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都知事問題があきられてきた中、政権と大本営広報部が、選挙目当てに突然脚光をあてているのが中国、ロシア艦船の航行問題。
洗脳番組を見るのは人生の無駄、エネルギーの無駄、お金の無駄。
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