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2016年6月23日 (木)

Brexit: 一体何が本当の問題か?

Paul Craig Roberts
2016年6月22日

もし皆様が、売女マスコミをお読みなら、Brexit- 明日のEUからのイギリス離脱に関する国民投票- の要点は人種差別だ。公式説明によれば、暴力的傾向のある怒った右翼人種差別主義者が、より多くの肌の色が濃い移民を、イギリスが受け入れるのを避けるために、EUを離脱したがっているのだ。

離脱反対のしつこいプロパガンダにもかかわらず、女性議員ジョー・コックスが、“Brexit”と叫んだと、目撃者が語っている男によって殺害されるまで、世論調査で、より多数の人々が、EU残留ではなく、離脱を支持していた。コックスはEU離脱に反対だった。

イギリス政府と、売女マスコミは、コックス殺害事件を、暴力的な人種差別主義者が、Brexitの背後にいたというプロパガンダの強調に利用している。ところが、他の目撃者たちは、違う報告をしている。プロパガンダを推進しているガーディアンも、最近は“他の目撃者は、議員が、毎週手術をうけていた病院近くで、二人の男の口論にかかわった後、襲撃が行われたと語った”と報じている。もちろん、コックス殺害は、Brexitに対する武器として余りに貴重なので、我々は決して真相を知ることはあるまい。

イギリス国民の多くが、自分たちの国の変身を心配しているのは疑いようがない。自分の国が、違う文化の人々によって、自分から奪われていると感じるのに、人種差別主義者である必要はない。イギリスには、侵略者を撃退してきた長い歴史があり、多くの人々が、武力によるものではないにせよ、侵略を味わっていると考えているのだ。武装侵略であれば、もちろん、政府やマスコミの支持は得られまい。

評論家連中が、移民は、社会福祉を受ける以上に、イギリスに貢献するというのを、イギリス国民は聞かされるが、言われていることと、自分たちの経験とは矛盾している。しかも、多くのイギリス人は、ロンドンを含む自分たちの都市丸ごとを、治安の懸念から避けなければならないのに、うんざりしているのだ。

こうした懸念を、文化的な防衛ではなく、人種差別だと呼ぶのは、プロパガンダ判断であり、イギリスの既成政治支配層は、そういうプロパガンダ判断をしているのだ。イギリス支配層がイギリスを代表しているなどと、実に多くのイギリス国民が、もはや考えていないのも全く不思議ではない。

だが、宣伝者連中にも、疑わしきは罰せずという原則を適用して、議論のために、Brexit、離脱は、人種差別の問題だと仮定しよう。離脱反対派は、いったい何が狙いなのだろう? イギリス政府が可能にしてきたアメリカの戦争からの難民を助けることが狙いでないことは確実だ。もし、イギリス支配層が、アメリカによる侵略、爆撃や、無人機攻撃からのイスラム教徒難民に、それほど気配りするのなら、イギリス支配層は、こうした人々に対する、アメリカ政府による攻撃を支持するべきではなかったのだ。

Brexit離脱反対の根拠は、アメリカの二大強力権益だ。

一つは、競合する金融センターとしてのイギリスを抹殺しようというニューヨークの銀行とウオール街の権益だ。この露骨な事実が、シティーにも、イングランド銀行にも見落とされている。

イギリスがEUに片足を突っ込んでいるのは、自国通貨を維持するのを認められたがゆえであることを、イギリスは忘れてしまっている。イギリスは、ユーロを使っておらず、それで、イギリス政府に資金を調達する力を保持していられるのだ。ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリア、フランス、ドイツなどは、この能力を持っていない。資金調達の上で、彼らは民間銀行に依存している。

イギリスをEU参加するようだますため、イギリスは特権を与えられた。ところが、こうした特権は永遠には続かない。EUのプロセスは政治統合だ。私が何年も前に報じた通り、当時の欧州中央銀行総裁ジャン=クロード・トリシェは、ヨーロッパ政治統合を完成するためには、加盟諸国の財政政策を一元管理する必要があると述べた。もしイギリスが自国の中央銀行と通貨を持った自立した金融センターになれば、財政政策を一元管理することは不可能だ

Brexitが敗北すれば 、国が自国通貨と中央銀行を持たない限り、金融センターになるのは不可能なのだから、金融センターとしてのロンドンの寿命が短くなることを、ウオール街は理解している。イギリスがEUのメンバーでいながら、欧州中央銀行のもとで動かないというのは不可能なのだから、Brexit、離脱の国民投票が敗北してしまえば、イギリスを、ユーロへと強制する過程が、次第に始まろう。

もう一つの強力な権益は、一国が離脱すれば、他の国々の離脱を誘発することになるのを防ごうとする、アメリカ政府の関心だ。アメリカ国立公文書記録管理局で発見されたCIA文書にはっきりと書かれている通り、EUは、CIAの構想であり、狙いは、アメリカ政府が、ヨーロッパに対する政治的支配を行うのを容易にすることだった。アメリカ政府にとって、28の個別の国々を支配するより、EUを支配するほうがずっと容易だ。しかも、もしEUがほころび始めれば、アメリカ政府の侵略にとって必要な隠れ蓑であるNATOもほころびる可能性が高い。

EUは、アメリカ政府と1パーセントのためのものだ。他の誰のためのものでもない。EUは、主権と諸国民を殺りくするものに他ならない。イギリス人、フランス人、ドイツ人、イタリア人、ギリシャ人、スペイン人、そして他の全ての国民を、国民として消滅させるのが狙いだ。Brexit、EU離脱は、この隠された思惑を打破する最後のチャンスなのだが、どうやら、イギリス人は、一体何が問題なのか、一体何について投票するのかを全く分からないままに、明日投票するようだ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTThe Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/06/22/brexit-what-is-it-about-paul-craig-roberts/
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イギリスのBrexit説明、そのまま、今回の参議院選挙にあてはまりそう。

もし皆様が、売女マスコミをお読みなら、参議院選挙の要点は、アホノミクスだ。公式説明によれば、道半ばにして、アホノミクスをやめようと、民共が騒いでいるのだ。

評論家連中が、アホノミクスは、国民のためになるというのを国民は聞かされるが、言われていることと、自分たちの経験とは矛盾している。

憲法改悪、緊急事態条項、戦争法案、原発再稼働、TPP、アメリカ軍基地、地位協定、アホノミクス、全て、アメリカ多国籍企業と1パーセントのためのものだ。

参議院選挙は、この隠された思惑を打破する最後のチャンスなのだが、どうやら、日本人は、一体何が問題なのか、一体何について投票するのかを全く分からないままに、来月投票するようだ。

【特番・第4弾】運命の分かれ道・2016年夏の参院選を徹底予想分析スペシャル!~改憲勢力の3分の2議席獲得の野望を阻止できるか!?危うしニッポン! ゲスト:元日経新聞政治部記者・宮崎信行氏、司会:岩上安身、プレゼンター:IWJ記者 2016.6.21

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コメント

             英国の Brexit 派に拍手を送る

  泡沫候補と言われたアメリカ大統領候補トランプ氏には確乎としてた外交政策がないと言われていた。しかし彼は英国の Brexit を後押しした。対するオバマ大統領は英国まで出かけていってEU離脱が不利益をもたらすことを強調した。1%の味方であるオバマがEU残留を説くのは理に適っているが,TPPやTTIPに反対のトランプの方が英国人の気質・考え,あるいは英国のおかれた事態をより理解していたと言えるだろう。

  英国のすべてを賛美するわけにはいかないが,東西冷戦を煽っていたW.チャ-チルをWWⅡ戦勝利直後の総選挙で敗北させたように,イ-トン・ガッツがまだ英国社会には残っていたといえるのではなかろうか。イ-トン・ガッツとは,英国が敗戦濃厚になっていたとき,メ-サ-・シュミットに勇敢に挑み,形勢を逆転させた生徒(パイロット)を養ったイ-トン校の精神を言うらしい。

  英国は米国,日本が承認する前に中国共産党政府を承認した歴史がある。そして昨年は,中国主導のAIIB銀行に米国の反対を押し切って参加を果たした。ロシア・中国封じ込め政策には加担しないという実利主義,一種のコモン・センスがあるのかもしれない。

  サッチャ-の新自由主義の流れを汲むキャメロン首相が,メルケル首相率いるEU統合に熱を入れるのは,P.C.ロバ-ツ氏が説くように「アメリカの二大強力権益」のため,1%のためである。パナマ・ケイマン諸島を利用して脱税出来る富裕層のためである。

  僅差とは言え,英国民がCIAが構想したEU統合に吸収されることに反対するのは,当然であろう。米国が英国を作ったのではなくて,英国が米国を作ったからである。アメリカ大陸にあのまずい食事を輸出したのは,英国民である。その輸出先の子孫が,TTIPやTiSAを利用して本家本元の英国を支配することは許されない。英国の主権をEU本部ブリュッセルに譲る訳にはいかない。すなわち,独立は保たれなければならない。
  英国内のNATOの軍事基地は間もなく無くなるか,縮小されることが予想される。Brexit 派の国民には,米国が経済的にはTTIPで,軍事的にはNATO軍でEUを支配する構造が見えていたのかも知れない。
  ところでローマ市長にはEU離脱派の女性がなったらしい。イタリアと日本は敗戦国なのであろう。NATO軍やアメリカ軍駐留により主権が著しく制限されているイタリア。しかしEU離脱派や軍事基地反対派が勢いを増して,GDP比2%の軍事費を拒否する事態が生じるかもしれない。もちろんCIAは潰しにかかるだろうが,EU離脱派の域内での勢いは燎原の火のように広がるであろう。

  最後になったが,65年前,単独講和により米国の従属国家になることを選択した日本で今日,「独立」,「主権」などという言葉は滅多に聞かれない。RT.コムでの英国リファレンダム番組には複数の論者が登場するが, independence(独立)とか sovereign(主権)とかいう言葉を何度も発する。
 羨ましい国土愛であるが,日本は全くの逆。アメリカ様の言うことに憲法を犯すことを厭わず,ポチの如く,ついていく。独立とか主権なんぞ,関係ない??
  ロバ-ツ氏は,レファレンダムの争点が何であるかも分からず投票することになる英国を憂えておられたが,何時の時代にも,どこにでも事態を理解しない者はいる。それにも関わらず,理性ある選択をした英国民に拍手を送りたい。

追記: 参院選で,新たに「選挙権」を得た高校生や若い人はどの人物,どの党に投票するのであろうか。日本に,一億総火の玉の精神でなく,イ-トン・ガッツをもった若い人が現れることを期待したい。

> 憲法改悪、緊急事態条項、戦争法案、原発再稼働、TPP、アメリカ軍基地、地位協定、アホノミクス、全て、アメリカ多国籍企業と1パーセントのためのものだ。

ここまでくると核の傘をかけ替えたほうがましな
結果を生みそうですね。
戦争経済国家と、これからまだ伸びる国家。
願わくば宗主国に襟を正して欲しいとか思ってしまう
あたりが属国民根性なんでしょうね。彼我の力の差は
絶大ですからね。

と、ちょっと妄想してしまいました。

小国が生き残っていくためにはどうしたら良いので
しょうね。小国ほど政治に真剣に取り組まないと
持たないと思うのですが。
技術の発達で、もはや絶海の孤島ではなくなって
しまって、パワーポリティクスから逃れることは
できないのですから。

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